厚生年金保険法等の一部を改正する法律

法律第三十八号(昭二四・四・三〇)

第一条 厚生年金保険法(昭和十六年法律第六十号)の一部を次のように改正する。

第二条第二項から第四項までを削る。

第三条第一項但書を次のように改める。

但シ臨時ニ受クルモノ及三月ヲ超ユル期間毎ニ受クルモノハ此ノ限ニ在ラズ

第三条第二項中「行政庁」を「都道府県知事」に改め、同条同項に次の但書を加える。

但シ被保険者ガ健康保険組合ノ組合員ニシテ其ノ健康保険組合ガ健康保険法第二条第三項ノ規定ニ依ル定ヲ為シタル場合ニ於テハ其ノ者ニ関スル報酬ノ価額ハ其ノ定ニ依リ之ヲ定ム

第四条第二項を次のように改める。

標準報酬ハ被保険者ノ報酬月額ニ基キ左ノ区別ニ依リ之ヲ定ム

標準報酬等級

標準報酬月額

報酬月額

第一級

二、〇〇〇円

二、二五〇円未満

第二級

二、五〇〇円

二、二五〇円以上二、七五〇円未満

第三級

三、〇〇〇円

二、七五〇円以上三、二五〇円未満

第四級

三、五〇〇円

三、二五〇円以上三、七五〇円未満

第五級

四、〇〇〇円

三、七五〇円以上四、二五〇円未満

第六級

四、五〇〇円

四、二五〇円以上四、七五〇円未満

第七級

五、〇〇〇円

四、七五〇円以上五、五〇〇円未満

第八級

六、〇〇〇円

五、五〇〇円以上六、五〇〇円未満

第九級

七、〇〇〇円

六、五〇〇円以上七、五〇〇円未満

第一〇級

八、〇〇〇円

七、五〇〇円以上

第四条第四項を次のように改め、同条第七項中「第五項」を「第三項」に改め、同条第一項及び第五項を削る。

被保険者ノ報酬ガ其ノ増減アリタルニ因リ従前ノ報酬月額ニ基キ定メラレタル標準報酬ニ該当セザルニ至リタル場合ニ於テハ其ノ報酬ニ増減アリタル月ノ翌月(報酬ニ増減アリタル日ガ月ノ初日ナルトキハ其ノ月)ヨリ其ノ標準報酬ヲ変更ス

第四条ノ二第二項に次の但書を加える。

但シ被保険者ガ健康保険組合ノ組合員ナル場合ニ於テハ其ノ者ノ報酬月額ハ其ノ健康保険組合ガ健康保険法第三条ノ二第三項ノ規定ニ依リ定メタル算定方法ニ依リ之ヲ算定ス

第十一条を次のように改める。

第十一条 保険料ヲ滞納スル者アルトキハ行政庁ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スべシ

前項ノ規定ニ依リ督促ヲ為サントスルトキハ行政庁ハ納付義務者ニ対シ督促状ヲ発スベシ

前項ノ督促状ハ納付義務者ガ健康保険法第十一条ノ規定ニ依リ督促ヲ受クル者ナルトキハ同法同条ノ規定ニ依ル督促状ニ併記シテ発スルコトヲ得

行政庁ハ督促状ヲ発シタルトキハ督促手数料トシテ十円ヲ徴収ス但シ前項ノ規定ニ依リ督促状ヲ発シタルトキハ督促手数料ハ之ヲ徴収セズ

第二項ノ督促状ニ依リ督促ヲ為シタル場合ニ於テハ徴収金額百円ニ付一日二十銭ノ割合ヲ以テ納期限ノ翌日ヨリ徴収金完納又ハ財産差押ノ日ノ前日迄ノ日数ニ依リ計算シタル延滞金ヲ徴収ス但シ左ノ各号ノ一ニ該当スル場合又ハ滞納ニ付酌量スベキ情状アルト認ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ

一 納入ノ告知書一通ノ徴収金額千円未満ナルトキ

二 納期ヲ繰上ゲ徴収ヲ為ストキ

三 納付義務者ノ住所及居所ガ日本国内ニ在ラザル為又ハ其ノ住所及居所共ニ不明ナル為公示送達ノ方法ニ依リ納入ノ告知又ハ督促ヲ為シタルトキ

延滞金ヲ計算スルニ当リ徴収金額ニ千円未満ノ端数アルトキハ其ノ端数ハ之ヲ切捨テ計算ス

督促状ニ指定シタル期限迄ニ徴収金ヲ完納シタルトキ又ハ前二項ノ規定ニ依リ計算シタル金額ガ十円未満ナルトキハ延滞金ヲ徴収セズ延滞金ノ金額ニ十円未満ノ端数アルトキハ之ヲ切捨ツ

第十一条ノ二を次のように改める。

第十一条ノ二 前条ノ規定ニ依ル督促ヲ受ケタル者其ノ指定ノ期限迄ニ保険料其ノ他本法ニ依ル徴収金ヲ納付セザルトキハ行政庁ハ国税滞納処分ノ例ニ依リ之ヲ処分シ又ハ滞納者若ハ其ノ者ノ財産ノ在ル市町村(東京都ノ区ノ存スル区域及地方自治法第百五十五条第二項ノ市ニ在リテハ区以下之ニ同ジ)ニ対シ之ガ処分ヲ請求スルコトヲ得

前項ノ規定ニ依リ市町村ニ対シ処分ヲ請求シタルトキハ市町村ハ市町村税ノ例ニ依リ之ヲ処分ス此ノ場合ニ於テハ行政庁ハ徴収金額ノ百分ノ四ニ相当スル金額ヲ当該市町村ニ交付スベシ

第二十六条ノ六の次に次の二条を加える。

第二十六条ノ七 前五条ノ規定ニ依リ保険給付ヲ受クベキ遺族ニ同順位者ガ二人以上在ル場合ニ於テハ其ノ保険給付ハ其ノ人数ニ依リ等分シテ之ヲ支給ス

第二十六条ノ八 遺族年金又ハ遺児年金ヲ受クル同順位者中一人ガ其ノ年金ヲ受クル権利ヲ失ヒタル場合ニ於テ仍同順位者ガ二人以上在ルトキハ其ノ遺族年金又ハ遺児年金ハ其ノ人数ニ依リ等分シテ之ヲ支給ス

第三十七条ノ二を次のように改める。

第三十七条ノ二 別表第一ニ定ムル廃疾ノ程度一級ニ該当スルニ因リ障害年余ヲ受クル者ノ配偶者又ハ十六歳未満ノ子ニシテ障害年金ヲ受クル者ガ廃疾卜為リタル当時其ノ者ニ依リ生計ヲ維持シタルモノアルトキハ其ノ配偶者又ハ子一人ニ付二千四百円ヲ前条各項ノ金額ニ加給ス但シ障害年金ヲ受クル者ガ廃疾ト為リタル当時ヨリ引続キ不具廃疾ニ因リ労働能力ナキ子ニ付テハ十六歳以上ト雖モ之ヲ加給ス

第二十六条第二項ノ規定ハ障害年金ヲ受クル者ガ廃疾卜為リタル当時胎児タル子ニ付之ヲ準用ス

第四十六条ノ二に次の一項を加える。

第二十六条ノ八ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ遺族年金ヲ同順位者ニ転給スル場合ニ之ヲ準用ス

第五十八条に次の三項を加える。

保険料額ハ第二十四条第一項(第二十五条ノ二ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)又ハ第二項ノ規定ニ依リ計算シタル被保険者タリシ期間ノ各月ニ付被保険者ノ標準報酬月額ニ保険料率ヲ乗ジテ得タル額トス

第二十二条ノ規定ニ依ル被保険者ノ其ノ被保険者ト為リタル月ノ保険料額ハ前項ノ例ニ依リ之ヲ算定ス

第一項ノ規定ニ依リ徴収スル保険料ノ保険料率ハ左ノ如シ

一 坑内夫タル被保険者ニ付テハ千分ノ百二十三

二 坑内夫タル被保険者以外ノ男子タル被保険者ニ付テハ千分ノ九十四

三 女子タル被保険者ニ付テハ千分ノ五十五

四 第二十二条ノ規定ニ依ル被保険者ニ付テハ千分ノ七十八

第五十八条ノ二を削る。

第六章を第七章とし、第五章を六章とし、第六十一条の次に次の一章を加える。

第五章 厚生年金保険審議会

第六十一条ノ二 厚生年金保険事業ノ運営ニ関スル事項ヲ審議スル為厚生省ニ厚生年金保険審議会(以下審議会卜称ス)ヲ置ク

第六十一条ノ三 審議会ハ厚生年金保険事業ノ運営ニ関スル事項ニ付厚生大臣ノ諮問ニ応ジ審議シ及文書ヲ以テ答申スルノ外自ラ厚生大臣若ハ関係各大臣ニ文書ヲ以テ建議スルコトヲ得

厚生大臣ハ厚生年金保険事業ニ付テノ企画、立法又ハ実施ノ大綱ニ関シ予メ審議会ノ意見ヲ求ムルモノトス

第六十一条ノ四 審議会ハ被保険者ヲ代表スル委員、事業主ヲ代表スル委員及公益ヲ代表スル委員各六人ヲ以テ之ヲ組織ス

各委員ハ厚生大臣之ヲ命ズ

第六十一条ノ五 委員ノ任期ハ二年トシ一年毎ニ其ノ半数ヲ命ズ

委員ニ欠員ヲ生ジタルトキ新ニ命ゼラレタル委員ノ任期ハ前任者ノ残任期間トス

第六十一条ノ六 審議会ニ公益ヲ代表スル委員中ヨリ委員ノ選挙セル会長一人ヲ置ク

会長ハ会務ヲ総理シ審議会ヲ代表ス

会長事故アルトキハ第一項ノ規定ニ準ジ選挙セラレタル者其ノ職務ヲ代理ス

第六十一条ノ七 厚生大臣ハ審議会ノ要求アリタルトキハ厚生年金保険事業ニ関スル資料及情報ヲ提供スベシ

第六十一条ノ八 審議会ハ必要ニ応ジ開クモノトス但シ正当ナル理由アル場合ヲ除クノ外少クトモ三月ニ一回以上之ヲ開クベシ

第六十一条ノ九 審議会ハ会長之ヲ招集ス

会長ハ厚生大臣ノ諮問アリタルトキ又ハ委員ノ三分ノ一以上ノ要求アリタルトキハ二週間以内ニ審議会ヲ招集スベシ

第六十一条ノ十 審議会ハ毎会計年度経過後六十日以内ニ其ノ年度ニ於ケル審議会ノ活動状況、審議ノ結果及建議ノ大要ヲ文書ヲ以テ厚生大臣ニ報告スベシ

第六十一条ノ十一 審議会ニ幹事八人以内ヲ置キ厚生省ノ職員又ハ学識経験者ニ就キ厚生大臣之ヲ命ズ

幹事ハ委員ノ要求アリタルトキハ常ニ之ニ対シ技術上ノ助言及事務上ノ援助ヲ為スモノトス

第六十一条ノ十二 審議会ニ書記五人以内ヲ置キ厚生省ノ職員ニ就キ厚生大臣之ヲ命ズ

書記ハ上司ノ指揮ヲ受ケ庶務ニ従事ス

第六十三条中「第十一条」を「第十一条ノ二」に改める。

第六十五条ノ十五を第六十五条ノ十七とし、第六十五条ノ十四の次に次の二条を加える。

第六十五条ノ十五 厚生年金保険審査会ニ幹事六人以内ヲ置キ厚生省ノ職員ニ就キ厚生大臣之ヲ命ズ

幹事ハ厚生年金保険審査会ノ委員ノ要求アリタルトキハ常ニ之ニ対シ技術上ノ助言及事務上ノ援助ヲ為スモノトス

第六十五条ノ十六 厚生年金保険審査会ニ書記五人以内ヲ置キ厚生省ノ職員ニ就キ厚生大臣之ヲ命ズ

書記ハ上司ノ指揮ヲ受ケ庶務ニ従事ス

第六十七条中「事業主」を「被保険者ヲ使用スル事業主故ナク」に、「トキハ一万円」を「場合ニ於テハ六月以下ノ懲役又ハ三万円」に、同条第一号中「提出」を「提示」に改め、同条に次の一号を加える。

三 第六十条本文ニ規定スル保険料ヲ督促状ニ指定シタル期限迄ニ納付セザルトキ

第六十八条中「事業主」を「前条ニ規定スル者」に、「左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ五千円」を「故ナク左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ六月以下ノ懲役又ハ一万円」に、同条第一号中「又ハ出頭セザルトキ」を「若ハ出頭セズ又ハ医師ノ診断ヲ拒ミタルトキ」に改める。

第二条 厚生年金保険法等の一部を改正する法律(昭和二十三年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。

附則第五条第二項を次のように改める。

2 厚生年金保険法施行令(昭和十六年勅令第千二百五十号)別表第一の定による廃疾の程度一級(労働者年金保険法施行令中改正の件(昭和十九年勅令第三百六十三号)別表第一の定による廃疾の程度一級から三級までを含む。)に該当したことによつて障害年金を受ける者の配偶者又は十六歳未満の子であつて、障害年金を受ける者が廃疾になつた当時その者によつて生計を維持していたものがあるときは、その配偶者又は子一人について二千四百円を前項の金額に加給する。但し、障害年金を受ける者が廃疾になつた当時から引き続いて不具廃疾のため労働能力のない子については、十六歳以上であつても、これを加給する。

附則第五条に次の一項を加える。

3 厚生年金保険法第二十六条第二項の規定は、障害年金を受ける者が廃疾になつた当時胎児であつた子について、これを準用する。

附則第十一条を次のように改める。

第十一条 厚生年金保険法第五十八条第四項の規定による保険料率は、当分の間、同条同項の規定にかかわらず、これを同条同項第一号の被保険者については、千分の三十五、同条同項第二号の被保険者については、千分の三十、同条同項第三号の被保険者については、千分の三十とする。

附 則

1 この法律は、昭和二十四年五月一日から施行する。

2 この法律施行の日前に被保険者の資格を取得して、この法律施行の日まで引き続いて被保険者の資格のある者の標準報酬については、第四条の改正規定の適用については、その者が同日において被保険者の資格を取得したものとみなす。

3 この法律施行の日前に督促状を発した保険料に対する延滞金については、なお従前の例による。

4 この法律施行の日において、障害年金を受ける権利のある者に支給する障害年金(厚生年金保険法等の一部を改正する法律(昭和二十三年法律第百二十七号)附則第五条第一項又は附則第八条の規定によつて増額した障害年金を除く。)のうち、厚生年金保険法等の一部を改正する法律施行の日前の標準報酬のみに基いてその額を算定した障害年金の額は、厚生年金保険法第三十七条第一項又は健康保険法の一部を改正する等の法律(昭和二十二年法律第四十五号)附則第四条若しくは附則第五条の規定にかかわらず、従前の障害年金の額の五倍に相当する額とする。

5 厚生年金保険法等の一部を改正する法律附則第五条第二項及び同条第三項の規定は、前項の場合に準用する。

6 この法律施行の日の翌日以後において、厚生年金保険法等の一部を改正する法律施行の日前の標準報酬のみに基いてその額を算定する障害年金(厚生年金保険法等の一部を改正する法律附則第八条の規定によつて増額する障害年金を除く。)を受ける権利を有するに至つた者があるときは、その者に支給する障害年金の額の算定については、第四項の規定を準用する。

7 厚生年金保険法等の一部を改正する法律附則第五条第二項及び同条第三項の規定は、前項の場合に準用する。

8 この法律施行の日において、現に厚生年金保険委員会の委員、幹事及び書記の職にある者は、それぞれ厚生年金保険審議会の委員、幹事又は書記を命ぜられたものとみなす。

9 前項の規定によつて、厚生年金保険審議会の委員を命ぜられたものとみなされた委員の任期は、その者が厚生年金保険委員会の委員を命ぜられ、又は委嘱された時から起算する。

10 厚生年金保険法第五十七条第一項の規定は、第四項(第六項の規定によつて準用する場合を含む。)の規定によつて、増額せられる障害年金のその増額せられる部分については、適用しない。

(大蔵・厚生・内閣総理大臣署名)

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