視能訓練士法

法律第六十四号(昭四六・五・二〇)

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 免許(第三条―第九条)

 第三章 試験(第十条―第十六条)

 第四章 業務(第十七条―第二十条)

 第五章 罰則(第二十一条・第二十二条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、視能訓練士の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるように規律し、もつて医療の普及及び向上に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律で「視能訓練士」とは、厚生大臣の免許を受けて、視能訓練士の名称を用いて、医師の指示の下に、両眼視機能に障害のある者に対するその両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査を行なうことを業とする者をいう。

   第二章 免許

 (免許)

第三条 視能訓練士になろうとする者は、視能訓練士国家試験(以下「試験」という。)に合格し、厚生大臣の免許(以下「免許」という。)を受けなければならない。

 (絶対的欠格事由)

第四条 目が見えない者、耳がきこえない者又は口がきけない者には、免許を与えない。

 (相対的欠格事由)

第五条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。

 一 罰金以上の刑に処せられた者

 二 前号に該当する者を除くほか、視能訓練士の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者

 三 素行が著しく不良である者

 四 精神病者、麻薬、大麻若しくはあへんの中毒者又は伝染性の疾病にかかつている者


 (視能訓練士名簿)

第六条 厚生省に視能訓練士名簿を備え、免許に関する事項を登録する。

 (登録及び免許証の交付)

第七条 免許は、視能訓練士名簿に登録することによつて行なう。

2 厚生大臣は、免許を与えたときは、視能訓練士免許証を交付する。

 (免許の取消し等)

第八条 視能訓練士が第四条の規定に該当するに至つたときは、厚生大臣は、その免許を取り消さなければならない。

2 視能訓練士が第五条各号のいずれかに該当するに至つたときは、厚生大臣は、その免許を取り消し、又は期間を定めて視能訓練士の名称の使用の停止を命ずることができる。

3 都道府県知事は、視能訓練士について前二項の処分が行なわれる必要があると認めるときは、その旨を厚生大臣に具申しなければならない。

4 第二項の規定により免許を取り消された者であつても、その者がその取消しの理由となつた事項に該当しなくなつたとき、その他その後の事情により再び免許を与えるのが適当であると認められるに至つたときは、再免許を与えることができる。この場合においては、前条の規定を準用する。

5 厚生大臣は、第一項又は第二項に規定する処分をしようとするときは、あらかじめ、その相手方にその処分の理由を通知し、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。

 (政令への委任)

第九条 この章に規定するもののほか、免許の申請、視能訓練士名簿の登録、訂正及び消除並びに視能訓練士免許証の交付、書換え交付、再交付、返納及び提出に関し必要な事項は、政令で定める。

   第三章 試験

 (試験の目的)

第十条 試験は、視能訓練士として必要な知識及び技能について行なう。

 (試験の実施)

第十一条 試験は、毎年少なくとも一回、厚生大臣が行なう。

 (視能訓練士試験委員)

第十二条 試験に関する事務をつかさどらせるため、厚生省に視能訓練士試験委員(以下「試験委員」という。)を置く。

2 試験委員に関し必要な事項は、政令で定める。

 (試験事務担当者の不正行為の禁止)

第十三条 試験委員その他試験に関する事務をつかさどる者は、その事務の施行に当たつて厳正を保持し、不正の行為がないようにしなければならない。

 (受験資格)

第十四条 試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。

 一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十六条第一項の規定により大学に入学することができる者で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した視能訓練士養成所において、三年以上視能訓練士として必要な知識及び技能を修得したもの

 二 学校教育法に基づく大学若しくは旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基づく大学又は厚生省令で定める学校若しくは養成所において二年以上修業し、かつ、厚生大臣の指定する科目を修めた者で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した視能訓練士養成所において、一年以上視能訓練士として必要な知識及び技能を修得したもの

 三 外国の視能訓練に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国で視能訓練士の免許に相当する免許を受けた者で、厚生大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定したもの

 (不正行為の禁止)

第十五条 試験に関して不正の行為があつた場合には、その不正行為に関係のある者について、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。この場合においては、なお、その者について、期間を定めて試験を受けることを許さないことができる。

 (省令への委任)

第十六条 この章に規定するもののほか、試験科目、受験手続、受験手数料その他試験に関し必要な事項並びに第十四条第一号及び第二号の学校又は視能訓練士養成所の指定に関し必要な事項は、省令で定める。

   第四章 業務

 (業務)

第十七条 視能訓練士は、保健婦助産婦看護婦法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査を行なうことを業とすることができる。

2 前項の規定は、第八条第二項の規定により視能訓練士の名称の使用の停止を命ぜられている者については、適用しない。

 (特定行為の制限)

第十八条 視能訓練士は、医師の具体的な指示を受けなければ、厚生省令で定める矯正訓練又は検査を行なつてはならない。

 (秘密を守る義務)

第十九条 視能訓練士は、正当な理由がある場合を除き、その業務上知り得た人の秘密を他に漏らしてはならない。視能訓練士でなくなつた後においても、同様とする。


 (名称の使用制限)

第二十条 視能訓練士でない者は、視能訓練士という名称又はこれに粉らわしい名称を使用してはならない。

   第五章 罰則

第二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三万円以下の罰金に処する。

 一 第十三条の規定に違反して、故意若しくは重大な過失により事前に試験問題を漏らし、又は故意に不正の採点をした者

 二 第十九条の規定に違反した者

2 前項第二号の罪は、告訴を待つて論ずる。

第二十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、一万円以下の罰金に処する。

 一 第八条第二項の規定による視能訓練士の名称の使用の停止命令に違反した者

 二 第十八条又は第二十条の規定に違反した者


   附 則


 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して六十日を経過した日から施行する。


 (受験資格の特例)

2 視能訓練士として必要な知識及び技能を修得させる養成所であつて、厚生大臣が指定したものにおいて、この法律の施行の際現に視能訓練士として必要な知識及び技能の修得をおえている者又はこの法律の施行の際現に視能訓練士として必要な知識及び技能を修得中であり、その修得をこの法律の施行後におえた者は、第十四条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。

3 この法律の施行の際現に病院又は診療所において、医師の指示の下に、両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査を業として行なつている者であつて、次の各号のいずれにも該当するに至つたものは、昭和五十一年三月三十一日までは、第十四条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。

 一 学校教育法第五十六条第一項の規定により大学に入学することができる者又は政令で定める者

 二 厚生大臣が指定した講習会の課程を修了した者

 三 病院又は診療所において、医師の指示の下に、両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査を五年以上業として行なつた者

4 学校教育法に基づく大学若しくは旧大学令に基づく大学又は厚生省令で定める学校若しくは養成所において二年以上修業し、かつ、厚生大臣の指定する科目を修めた者については、前項第三号中「五年以上」とあるのは、「三年以上」と読み替えるものとする。

5 旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による中等学校を卒業した者又は省令で定めるところによりこれと同等以上の学力があると認められる者は、第十四条第一号及び附則第三項第一号の規定の適用については、学校教育法第五十六条第一項の規定により大学に入学することができる者とみなす。


 (登録免許税法の一部改正)

6 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第二十三号(六)イ(3)中「又は衛生検査技師」を「、衛生検査技師又は視能訓練士」に改める。


 (厚生省設置法の一部改正)

7 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。

  第五条第三十九号の三中「又は作業療法士」を「、作業療法士又は視能訓練士」に改める。

(法務・大蔵・文部大臣臨時代理・厚生・内閣総理大臣署名) 

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