急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律

法律第五十七号(昭四四・七・一)

目次

 第一章 総則(第一条−第五条)

 第二章 急傾斜地崩壊危険区域に関する管理等(第六条−第二十条)

 第三章 急傾斜地崩壊危険区域に関する費用(第二十一条−第二十三条)

 第四章 雑則(第二十四条−第二十六条)

 第五章 罰則(第二十七条−第三十条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、急傾斜地の崩壊による災害から国民の生命を保護するため、急傾斜地の崩壊を防止し、及びその崩壊に対しての警戒避難体制を整備する等の措置を講じ、もつて民生の安定と国土の保全とに資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「急傾斜地」とは、傾斜度が三十度以上である土地をいう。

2 この法律において「急傾斜地崩壊防止施設」とは、次条第一項の規定により指定される急傾斜地崩壊危険区域内にある擁壁、排水施設その他の急傾斜地の崩壊を防止するための施設をいう。

3 この法律において「急傾斜地崩壊防止工事」とは、急傾斜地崩壊防止施設の設置又は改造その他次条第一項の規定により指定される急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊を防止するための工事をいう。


 (急傾斜地崩壊危険区域の指定)

第三条 都道府県知事は、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、関係市町村長(特別区の長を含む。以下同じ。)の意見をきいて、崩壊するおそれのある急傾斜地で、その崩壊により相当数の居住者その他の者に危害が生ずるおそれのあるもの及びこれに隣接する土地のうち、当該急傾斜地の崩壊が助長され、又は誘発されるおそれがないようにするため、第七条第一項各号に掲げる行為が行なわれることを制限する必要がある土地の区域を急傾斜地崩壊危険区域として指定することができる。

2 前項の指定は、この法律の目的を達成するために必要な最小限度のものでなければならない。

3 都道府県知事は、第一項の指定をするときは、建設省令で定めるところにより、当該急傾斜地崩壊危険区城を公示するとともに、その旨を関係市町村長に通知しなければならない。これを廃止するときも、同様とする。

4 急傾斜地崩壊危険区域の指定又は廃止は、前項の公示によつてその効力を生ずる。


 (調査)

第四条 前条第一項の指定は、必要に応じ、当該指定に係る土地に関し、地形、地質、降水等の状況に関する現地調査をして行なうものとする。


 (調査のための立入り)

第五条 都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者は、前条の調査のためにやむを得ない必要があるときは、他人の占有する土地に立ち入り、又は特別の用途のない他人の土地を材料置場若しくは作業場として一時使用することができる。

2 前項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。

3 第一項の規定により宅地又はかき、さく等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合においては、その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に告げなければならない。

4 日出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があつた場合を除き、前項に規定する土地に立ち入つてはならない。

5 第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

6 第一項の規定により特別の用途のない他人の土地を材料置場又は作業場として一時使用しようとする者は、あらかじめ、当該土地の占有者及び所有者に通知して、その意見をきかなければならない。

7 土地の占有者又は所有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入り又は一時使用を拒み、又は妨げてはならない。

8 都道府県は、第一項の規定による立入り又は一時使用により損失を受けた者がある場合においては、その者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

9 前項の規定による損失の補償については、都道府県と損失を受けた者とが協議しなければならない。

10 前項の規定による協議が成立しない場合においては、都道府県は、自己の見積つた金額を損失を受けた者に支払わなければならない。この場合において、当該金額について不服のある者は、政令で定めるところにより、補償金の支払を受けた日から三十日以内に、収用委員会に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条の規定による裁決を申請することができる。

   第二章 急傾斜地崩壊危険区域に関する管理等


 (標識の設置)

第六条 都道府県は、急傾斜地崩壊危険区域の指定があつたときは、建設省令で定めるところにより、当該急傾斜地崩壊危険区域内にこれを表示する標識を設置しなければならない。


 (行為の制限)

第七条 急傾斜地崩壊危険区域内においては、次の各号に掲げる行為は、都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行なう行為、当該急傾斜地崩壊危険区域の指定の際すでに着手している行為及び政令で定めるその他の行為については、この限りでない。

 一 水を放流し、又は停滞させる行為その他水のしん透を助長する行為

 二 ため池、用水路その他の急傾斜地崩壊防止施設以外の施設又は工作物の設置又は改造

 三 のり切、切土、掘さく又は盛土

 四 立木竹の伐採

 五 木竹の滑下又は地引による搬出

 六 土石の採取又は集積

 七 前各号に掲げるもののほか、急傾斜地の崩壊を助長し、又は誘発するおそれのある行為で政令で定めるもの

2 都道府県知事は、前項の許可に、急傾斜地の崩壊を防止するために必要な条件を附することができる。

3 急傾斜地崩壊危険区域の指定の際当該急傾斜地崩壊危険区域内においてすでに第一項各号に掲げる行為(非常災害のために必要な応急措置として行なう行為及び同項ただし書に規定する政令で定めるその他の行為を除く。)に着手している者は、その指定の日から起算して十四日以内に、建設省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

4 国又は地方公共団体が第一項の許可を受けなければならない行為(以下「制限行為」という。)をしようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議することをもつて足りる。


 (監督処分)

第八条 都道府県知事は、次の各号の一に該当する者に対して、前条第一項の許可を取り消し、若しくは同項の許可に附した条件を変更し、又は制限行為の中止その他制限行為に伴う急傾斜地の崩壊を防止するために必要な措置をとることを命ずることができる。

 一 前条第一項の規定に違反した者

 二 前条第一項の許可に附した条件に違反した者

 三 偽りその他不正な手段により前条第一項の許可を受けた者

2 都道府県知事は、前項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくてその措置をとることを命ずべき者を確知することができず、かつ、これを放置することが著しく公益に反すると認められるときは、その者の負担において、その措置をみずから行ない、又はその命じた者若しくは委任した者に行なわせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置をとるべき旨及びその期限までにその措置をとらないときは、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行なうべき旨を、あらかじめ、公告しなければならない。


 (土地の保全等)

第九条 急傾斜地崩壊危険区域内の土地の所有者、管理者又は占有者は、その土地の維持管理については、当該急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊が生じないように努めなければならない。

2 急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊により被害を受けるおそれのある者は、当該急傾斜地の崩壊による被害を除却し、又は軽減するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

3 都道府県知事は、急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊による災害を防止するために必要があると認める場合においては、当該急傾斜地崩壊危険区域内の土地の所有者、管理者又は占有者、その土地内において制限行為を行なつた者、当該急傾斜地の崩壊により被害を受けるおそれのある者等に対し、急傾斜地崩壊防止工事の施行、被害を受けるおそれが著しいと認められる家屋の移転その他の必要な措置をとることを勧告することができる。


 (改善命令)

第十条 都道府県知事は、急傾斜地崩壊危険区域内の土地において制限行為(当該急傾斜地崩壊危険区域の指定前に行なわれた行為又はその指定の際すでに着手している行為であつて、その行為が当該指定後に行なわれたとしたならば制限行為に該当する行為となるべきものを含む。以下同じ。)が行なわれ、かつ、当該制限行為に伴う急傾斜地の崩壊を防止するために必要な急傾斜地崩壊防止工事がなされていないか又はきわめて不完全であることのために、これを放置するときは、当該制限行為に伴う急傾斜地の崩壊のおそれが著しいと認められる場合においては、その著しいおそれを除去するために必要であり、かつ、土地の利用状況、当該制限行為が行なわれるに至つた事情等からみて相当であると認められる限度において、当該制限行為の行なわれた土地の所有者、管理者又は占有者に対し、相当の猶予期限をつけて、急傾斜地崩壊防止工事の施行を命ずることができる。

2 前項に規定する場合において、制限行為の行なわれた土地の所有者、管理者又は占有者以外の者の行為によつて同項に規定する急傾斜地の崩壊の著しいおそれが生じたことが明らかであり、その行為をした者に同項の工事の全部又は一部を行なわせることが相当であると認められ、かつ、これを行なわせることについて当該制限行為が行なわれた土地の所有者、管理者又は占有者に異議がないときは、都道府県知事は、その行為をした者に対して、同項の工事の全部又は一部の施行を命ずることができる。

3 前二項の規定は、第八条第一項各号に掲げる者に対しては、適用しない。

4 都道府県知事は、第一項又は第二項の規定により急傾斜地崩壊防止工事の施行を命じようとする場合においては、あらかじめ、当該工事の施行を命ずべき者について聴聞を行なわなければならない。

5 第八条第二項の規定は、第一項又は第二項の場合について準用する。


 (立入検査)

第十一条 都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者は、第七条第一項、第八条第一項又は前条第一項若しくは第二項の規定による権限を行なうために必要がある場合においては、当該土地に立ち入り、当該土地又は当該土地における急傾斜地崩壊防止工事若しくは制限行為の状況を検査することができる。

2 第五条第五項の規定は、前項の場合について準用する。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。


 (都道府県の施行する急傾斜地崩壊防止工事)

第十二条 都道府県は、急傾斜地崩壊防止工事のうち、制限行為に伴う急傾斜地の崩壊を防止するために必要な工事以外の工事で、当該急傾斜地の所有者、管理者若しくは占有者又は当該急傾斜地の崩壊により被害を受けるおそれのある者が施行することが困難又は不適当と認められるものを施行するものとする。

2 前項の規定は、砂防法(明治三十年法律第二十九号)第二条の規定により指定された土地、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第二十五条第一項の規定により指定された保安林若しくは同法第四十一条の規定により指定された保安施設地区又は地すべり等防止法(昭和三十三年法律第三十号)第三条第一項の規定により指定された地すべり防止区域若しくは同法第四条第一項の規定により指定されたぼた山崩壊防止区域については、適用しない。

3 都道府県は、漁港法(昭和二十五年法律第百三十七号)第二条に規定する漁港の区域(水域を除く。)内、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第三十七条第一項に規定する港湾隣接地域内又は海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第三条第一項に規定する海岸保全区域内において第一項の規定による急傾斜地崩壊防止工事(以下「都道府県営工事」という。)を施行しようとするときは、あらかじめ、漁港管理者、港湾管理者又は海岸管理者に協議しなければならない。ただし、港湾法第三十七条第一項及び第三項又は海岸法第十条第二項の規定により港湾管理者の長又は海岸管理者に協議しなければならない場合においては、この限りでない。


 (都道府県以外の者の施行する工事)

第十三条 国又は地方公共団体以外の者が急傾斜地崩壊防止工事を施行しようとするときは、建設省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

2 国又は地方公共団体は、急傾斜地崩壊防止工事を施行しようとするときは、あらかじめ、その旨を都道府県知事に通知しなければならない。


 (急傾斜地崩壊防止工事の施行の基準)

第十四条 急傾斜地崩壊防止工事は、急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊の原因、機構及び規模に応じて、有効かつ適切なものとしなければならない。

2 急傾斜地崩壊防止工事は、政令で定める技術的基準に従い、施行しなければならない。


 (適用の除外)

第十五条 前二条の規定は、急傾斜地崩壊防止工事が砂防法による砂防工事、森林法による保安施設事業に係る工事又は地すべり等防止法による地すベり防止工事若しくはぼた山崩壊防止工事である場合における当該急傾斜地崩壊防止工事については、適用しない。


 (附帯工事の施行)

第十六条 都道府県は、都道府県営工事により必要を生じた急傾斜地崩壊防止工事以外の工事(以下「他の工事」という。)又は都道府県営工事を施行するために必要を生じた他の工事を当該都道府県営工事とあわせて施行することができる。

2 前項の場合において、他の工事が河川工事(河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)が適用され、又は準用される河川の河川工事をいう。以下同じ。)又は道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)による道路をいう。以下同じ。)に関する工事であるときは、当該他の工事の施行については、同項の規定は、適用しない。


 (土地の立入り等)

第十七条 都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者は、都道府県営工事のためにやむを得ない必要があるときは、他人の占有する土地に立ち入り、又は特別の用途のない他人の土地を材料置場若しくは作業場として一時使用することができる。

2 第五条第二項から第十項までの規定は、前項の場合について準用する。


 (急傾斜地崩壊防止工事に伴う損失の補償)

第十八条 土地収用法第九十三条第一項の規定による場合を除き、都道府県営工事を施行したことにより、当該都道府県営工事を施行した土地に面する土地について、通路、みぞ、かき、さくその他の施設若しくは工作物を新築し、増築し、修繕し、若しくは移転し、又は盛土若しくは切土をするやむを得ない必要があると認められる場合においては、都道府県は、これらの工事をすることを必要とする者(以下この条において「損失を受けた者」という。)の請求により、これに要する費用の全部又は一部を補償しなければならない。この場合において、都道府県又は損失を受けた者は、補償金の全部又は一部に代えて、都道府県が当該工事を施行することを要求することができる。

2 前項の現定による損失の補償は、都道府県営工事の完了の日から一年を経過した後においては、請求することができない。

3 第一項の規定による損失の補償については、都道府県と損失を受けた者とが協議しなければならない。

4 前項の規定による協議が成立しない場合においては、都道府県又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法第九十四条の規定による裁決を申請することができる。


 (災害危険区域の指定)

第十九条 都道府県(建築主事を置く市町村(特別区を含む。以下同じ。)の区域については、当該市町村)は、急傾斜地崩壊危険区域の指定があつたときは、当該急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊による危険の著しい区域を建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第三十九条第一項の規定により災害危険区域として指定するものとする。


 (警戒避難体制の整備)

第二十条 市町村防災会議(市町村防災会議を設置しない市町村にあつては、当該市町村の市町村長)は、急傾斜地崩壊危険区域の指定があつたときは、市町村地域防災計画(災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)による市町村地域防災計画をいう。)において、当該急傾斜地崩壊危険区域ごとに、情報の収集及び伝達、災害に関する予報又は警報の発令及び伝達、避難、救助その他当該急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊による災害を防止するために必要な警戒避難体制に関する事項について定めるものとする。

   第三章 急傾斜地崩壊危険区域に関する費用


 (都道府県営工事に要する費用の補助)

第二十一条 国は、都道府県に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、都道府県営工事に要する費用の二分の一以内を補助することができる。


 (附帯工事に要する費用)

第二十二条 都道府県営工事により必要を生じた他の工事又は都道府県営工事を施行するために必要を生じた他の工事に要する費用は、第七条第一項の許可に附した条件に特別の定めがある場合及び同条第四項の協議による場合を除き、その必要を生じた限度において、都道府県がその全部又は一部を負担するものとする。

2 前項の場合において、他の工事が河川工事又は道路に関する工事であるときは、当該他の工事に要する費用については、同項の規定は、適用しない。


 (受益者負担金)

第二十三条 都道府県は、都道府県営工事により著しく利益を受ける者がある場合においては、その利益を受ける限度において、その者に、当該道府県営工事に要する費用の一部を負担させることができる。

2 前項の場合において、負担金の徴収を受ける者の範囲及びその徴収方法については、都道府県の条例で定める。

   第四章 雑則


 (家屋の移転者等に対する住宅金融公庫の資金の貸付け)

第二十四条 第九条第三項又は第十条第一項若しくは第二項の規定による勧告又は命令を受けた者に対する資金の貸付けについては、住宅金融公庫法(昭和二十五年法律第百五十六号)の定めるところによる。


 (国有地の無償貸付け等)

第二十五条 普通財産である国有地は、都道府県営工事により設置する急傾斜地崩壊防止施設の用に供する場合においては、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二十二条又は第二十八条の規定にかかわらず、当該都道府県に無償で貸し付け、又は譲与することができる。


 (報告の徴取)

第二十六条 都道府県知事は、急傾斜地崩壊危険区域内の土地の所有者、管理者若しくは占有者又は当該土地において急傾斜地崩壊防止工事若しくは制限行為を行ない、若しくは行なつた者に対し、この法律の施行に関して必要な報告を求めることができる。

   第五章 罰則

第二十七条 第八条第一項の規定による都道府県知事の命令に違反した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

第二十八条 次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。

 一 第五条第七項(第十七条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

 二 第七条第一項の規定に違反した者

 三 第十条第一項又は第二項の規定による都道府県知事の命令に違反した者

 四 第十一条第一項の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

第二十九条 次の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。

 一 第六条の規定により設置した標識を移動し、汚損し、又は破損した者

 二 第七条第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 三 第二十六条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

第三十条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。


   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (建設省設置法の一部改正)

2 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。

  第三条第九号の二の次に次の一号を加える。

  九の二 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和四十四年法律第五十七号)の施行に関する事務を管理すること。

  第四条第五項中「第八号から」の下に「第九号の二までに規定する事務、同条第九号の三に規定する事務(災害危険区域の指定に関する事務を除く。)、同条第十号から」を加え、同条第七項中「監督に関するもの」の下に「、同条第九号の三に規定する事務のうち災害危険区域の指定に関する事務」を加える。

  第四条の二第四項中「同条第十四号」を「同条第九号の三に規定する事務(災害危険区域の指定に関する事務を除く。)、同条第十四号」に、「に関するもの」を「並びに同条第九号の三に規定する事務(災害危険区域の指定に関する事務を除く。)に関するもの」に改める。

 (住宅金融公庫法の一部改正)

3 住宅金融公庫法の一部を次のように改正する。

  第十七条第七項中「承認を得た関連事業計画」の下に「又は急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和四十四年法律第五十七号)第九条第三項の規定による勧告」を、「公表の日」の下に「又は当該勧告の日」を加え、「地すべり関連住宅」を「地すべり等関連住宅」に改め、同条第八項中「又は第十六条第一項若しくは第二項」を「若しくは第十六条第一項若しくは第二項又は急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第九条第三項若しくは第十条第一項若しくは第二項」に改める。

  第十七条第十一項、第二十一条第五項、第二十一条の三第三項、第二十三条第一項、第二十四条第二項、第三十四条第二項及び第三十五条第三項中「地すべり関連住宅」を「地すべり等関連住宅」に改める。

 (土地収用法の一部改正)

4 土地収用法の一部を次のように改正する。

  第三条第三号の二の次に次の一号を加える。

  三の三 都道府県が設置する急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和四十四年法律第五十七号)による急傾斜地崩壊防止施設

 (北海道防寒住宅建設等促進法の一部改正)

5 北海道防寒住宅建設等促進法(昭和二十八年法律第六十四号)の一部を次のように改正する。

  第八条の二第一項及び第二項中「地すべり関連住宅」を「地すべり等関連住宅」に改める。

 (海岸法の一部改正)

6 海岸法の一部を次のように改正する。

  第十六条第二項中「又は地すべり防止工事」を「、地すべり防止工事」に、「であるときは」を「又は急傾斜地崩壊防止工事(急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和四十四年法律第五十七号)による急傾斜地崩壊防止工事をいう。以下同じ。)であるときは」に、「又は地すべり等防止第第十五条第一項」を「、地すべり等防止法第十五条第一項又は急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第十六条第一項」に改める。

  第三十一条第二項中「又は地すべり防止工事」を「、地すべり防止工事又は急傾斜地崩壊防止工事」に、「又は地すべり等防止法第三十五条第一項及び第三項」を「、地すべり等防止法第三十五条第一項及び第三項又は急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第二十二条第一項」に改める。

(大蔵・農林・運輸・建設・自治・内閣総理大臣署名) 

法令一覧(年度別)に戻る