航空機工業振興法の一部を改正する法律

法律第四十五号(昭三四・三・二六)

 航空機工業振興法(昭和三十三年法律第百五十号)の一部を次のように改正する。

 題名の次に次の目次及び章名を加える。

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 航空機工業審議会(第三条―第十条)

 第三章 航空機工業の助成(第十一条・第十二条)

 第四章 日本航空機製造株式会社(第十三条―第三十七条)

 附則

   第一章 総則

 第三条の前に次の章名を加える。

   第二章 航空機工業審議会

 第十一条の前に次の章名を加える。

   第三章 航空機工業の助成

 策十二条の次に次の一章を加える。

   第四章 日本航空機製造株式会社

 (会社の目的)

第十三条 日本航空機製造株式会社は、輸送用航空機の設計、試作、製造その他輸送用航空機の国産化を促進するため必要な事業を行うことを目的とする株式会社とする。

 (株式)

第十四条 日本航空機製造株式会社(以下「会社」という。)の株式は、額面株式とする。

2 政府は、予算の範囲内で、会社に対して出資することができる。

 (商号の使用制限)

第十五条 会社以外の者は、その商号中に日本航空機製造株式会社という文字を使用してはならない。

 (取締役及び監査役の人数)

第十六条 会社の取締役は、七人以内、監査役は、二人以内とする。

 (取締役及び監査役の選任等の決議)

第十七条 会社の取締役、代表取締役及び監査役の選任、選定及び解任の決議は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

 (取締役の兼職制限)

第十八条 会社の取締役は、他の報酬のある職務又は営業に従事してはならない。ただし、通商産業大臣の承認を受けたときは、この限りでない。

 (事業の範囲)

第十九条 会社は、その目的を達成するため、次の事業を営むものとする。

 一 輸送用航空機の設計、試作及び試験

 二 輸送用航空機及びその機体構造部品の製造及び販売

 三 前二号に掲げるもののほか、会社の目的を達成するため必要な事業

2 会社は、前項第三号に掲げる事業を営もうとするときは、通商産業大臣の認可を受けなければならない。

 (事業計画等)

第二十条 会社は、毎営業年度の開始前に、その営業年度の事業計画、資金計画及び収支予算を定め、通商産業大臣の認可を受けなければならない。これらを変更しようとするときも、同様とする。

 (重要な財産の譲渡等)

第二十一条 会社は、通商産業省令で定める重要な財産を譲渡し、担保に供し、又は有償で取得しようとするときは、通商産業大臣の認可を受けなければならない。

 (社債及び借入金)

第二十二条 会社は、社債を募集し、又は弁済期限が一年をこえる資金を借り入れようとするときは、通商産業大臣の認可を受けなければならない。

 (社債発行限度の特例)

第二十三条 会社は、商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百九十七条の規定による制限をこえて社債を募集することができる。ただし、資本及び準備金の総額又は最終の貸借対照表により会社に現存する純財産額のいずれか少ない額の二倍をこえてはならない。

 (設計費用等の繰延)

第二十四条 会社は、その成立の日から成立後五年を経過する日の属する営業年度の終了の日までに支出した輸送用航空機の設計、試作及び試験の費用を貸借対照表の資産の部に計上することができる。この場合には、会社は、その成立後十二年を経過する日の属する営業年度の終了の日までに、通商産業省令で定めるところにより、毎営業年度その一部を消却しなければならない。

 (利益配当の制限)

第二十五条 会社は、その成立の日の属する営業年度から成立後五年を経過する日の属する営業年度までは、利益の配当をすることができない。

 (定款の変更等)

第二十六条 会社の定款の変更、利益金の処分、合併及び解散の決議は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

 (財産目録等の提出)

第二十七条 会社は、毎営業年度経過後三月以内に、その営業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに営業報告書を通商産業大臣に提出しなければならない。

 (監督)

第二十八条 会社は、通商産業大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。

2 通商産業大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社に対し、業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

 (協議)

第二十九条 通商産業大臣は、第二十条から第二十二条まで又は第二十六条(会社の定款の変更の決議に係るものについては、会社が発行する株式の総数を変更するものに限る。)の認可をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。

 (報告及び検査)

第三十条 通商産業大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社からその業務若しくは経理の状況に関する報告を徴し、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、業務若しくは経理の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (航空機製造事業法の適用)

第三十一条 会社は、航空機製造事業法の適用については、同法第二条の二の許可を受けた者とみなす。この場合において、同法第二条の七から第五条までの規定は、会社には、適用しない。

 (罰則)

第三十二条 会社の取締役、監査役その他の職員が、その職務に関して、わいろを収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役に処する。これによつて不正の行為をし、又は相当の行為をしなかつたときは、五年以下の懲役に処する。

2 前項の場合において、収受したわいろは、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

第三十三条 前条第一項のわいろを供与し、又はその申込若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

2 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。

第三十四条 第三十条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした会社の取締役又は職員は、三万円以下の罰金に処する。

第三十五条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした会社の取締役は、三十万円以下の過料に処する。

 一 第二十条の規定に違反して、事業計画、資金計画又は収支予算の認可を受けなかつたとき。

 二 第二十一条の規定に違反して、財産を譲渡し、担保に供し、又は有償で取得したとき。

 三 第二十二条の規定に違反して、社債を募集し、又は資金を借り入れたとき。

 四 第二十七条の規定に違反して、財産目録、貸借対照表、損益計算書若しくは営業報告書を提出せず、又は不実の記載をしたこれらの書類を提出したとき。

 五 第二十八条第二項の規定による命令に違反したとき。

第三十六条 第十九条第二項の規定に違反した場合には、その違反行為をした会社の取締役は、五万円以下の過料に処する。

第三十七条 第十五条の規定に違反した者は、五万円以下の過料に処する。


   附 則


 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。


 (会社の設立)

第二条 通商産業大臣は、設立委員を命じ、会社の設立に関して発起人の職務を行わせる。

2 設立委員は、定款を作成して、通商産業大臣の認可を受けなければならない。

3 通商産業大臣は、前項の認可をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。

4 設立委員は、第二項の認可を受けたときは、遅滞なく、会社の設立に際し発行する株式の総数のうち、政府が引き受けない株式につき、株主を募集しなければならない。

5 株式申込証には、定款の認可の年月日を記載しなければならない。

6 商法第百六十七条、第百八十一条及び第百八十五条の規定は、会社の設立については、適用しない。


 (政府の出資)

第三条 政府は、会社が最初に行う輸送用航空機の設計、試作及び試験が完了した年度の翌年度以降は、会社に対して新たな出資を行わないものとする。


 (商号についての経過規定)

第四条 第十五条の規定は、この法律の施行の際現にその商号中に日本航空機製造株式会社という文字を使用している者については、この法律の施行の日から起算して六月間は、適用しない。


 (事業計画等についての経過規定)

第五条 会社の成立の日の属する営業年度の事業計画、資金計画及び収支予算については、第二十条中「毎営業年度の開始前に」とあるのは、「会社の成立後遅滞なく」とする。


 (租税特別措置法の一部改正)

第六条 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。  第八十三条の次に次の一条を加える。

  (日本航空機製造株式会社の登記の免税)

 第八十三条の二 日本航空機製造株式会社が次に掲げる事項について登記を受ける場合には、その登記の登録税は、免除する。ただし、資本の金額又は増加資本の金額のうち政府の出資に係る部分以外の部分については、この限りでない。

  一 会社の設立

  二 会社の資本増加(設立の日以後五年以内に行われる場合に限る。)

(大蔵・通商産業・内閣総理大臣署名) 

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