塩専売法

法律第百十二号(昭二四・五・二八)

塩専売法(明治三十八年法律第十一号)の全部を改正する。

目次

第一章 総則(第一条―第三条)

第二章 製造(第四条―第二十一条)

第三章 輸入(第二十二条)

第四章 販売(第二十三条―第四十条)

第五章 輸出(第四十一条)

第六章 雑則(第四十二条―第四十六条)

第七章 罰則(第四十七条―第五十五条)

附則

第一章 総則

 (定義)

第一条 この法律において「塩」とは、塩化ナトリウムの含有量が百分の四十以上の固形物をいう。但し、チリ硝石、カイニツト、シルヴイニツトその他大蔵省令で定める鉱物を除く。

2 この法律において「にがり」とは、塩を製造する際、かん水から塩を析出した母液又は残液をいう。

3 この法律において「かん水」とは、海水又はかん泉に操作を加えた液体で、その含有固形物中に塩化ナトリウムを百分の五十以上含有し、摂氏十五度における比重がボーメ比重計指度五度以上であるものをいう。

4 この法律において塩の「再製」とは、自己の用に供する場合を除き、塩の利用価値を高めるため塩を溶解しその溶解した物に操作を加えて、再び塩を製造することをいう。

5 この法律において塩の「加工」とは、自己の用に供する場合を除き、塩の利用価値を高めるためこれを焼き、洗い、くだき、圧さくする等溶解以外の方法により塩の形状を変え、又はその不純物を除去若しくは変質させることをいう。

 (専売権)

第二条 塩及びにがりの一手買取、輸入、再製、加工及び販売の権能は、国に専属する。

 (専売権の実施)

第三条 前条の規定により国に専属する権能及びこれに伴う必要な事項は、この法律及び日本専売公社法(昭和二十三年法律第二百五十五号)の定めるところにより、日本専売公社(以下「公社」という。)に行わせる。

第二章 製造

 (製造の許可)

第四条 塩、にがり又はかん水は、公社又は第六条第一項の許可を受けた者でなければ製造(再製を除く。以下同じ。)してはならない。

 (収納)

第五条 公社は、その許可を受けて塩又はにがりを製造する者の製造したすべての塩又はにがりを収納する。但し、許可を受けて塩を製造する者及びその従業者が使用する塩で大蔵省令の定めるものについては、この限りでない。

2 前項の収納の価格は、公社が定めて、あらかじめ公告する。

 (許可の申請)

第六条 塩、にがり又はかん水を製造しようとする者は、製品の種類、製造の方法、製造場及び貯蔵所の規模及び位置並びに一箇年の製造能力を定め、公社に申請して、製造場ごとにその許可を受けなければならない。

2 前項の申請書には、左に掲げる事項を記載しなければならない。

一 製造場及び貯蔵所の設備の構造

二 製造着手の予定日及び年間における操業の時間

三 現に他の事業を営んでいる場合には、その種類

四 法人である場合には、その資本金額及び役員の氏名

3 第一項に規定する事項を変更しようとするときは、公社の許可を受けなければならない。

 (許可の制限)

第七条 公社は、左の各号の一に該当する場合においては、塩、にがり又はかん水の製造を許可しないことができる。

一 申請者がこの法律に基いて処罰(第五十五条において準用する国税犯則取締法(明治三十三年法律第六十七号)に基いてされる通告の処分を含む。以下同じ。)され、その処罰の日から二年を経ない者である場合。但し、懲役に処せられた者については、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経ない者である場合。

二 申請者がこの法律に基いて製造の許可を取り消され、取消の日から二年を経ない者である場合。

三 申請者が塩の販売の業務を営んでいる場合。

四 製造場の位置若しくは設備又は製造方法が製造上又は取締上不適当と認められる場合。

五 一箇年の製造能力が公社の定める標準に達しない場合。

六 塩の需給調整上製造数量を制限する必要がある場合。

2 法人が申請者である場合においては、前項第一号から第三号までの規定については、法人の代表者もまた申請者とみなす。

3 未成年者又は禁治産者が申請者である場合においては、第一項第一号から第三号までの規定の適用については、その法定代理人もまた申請者とみなす。但し、営業に関し成年者と同一の能力を有する未成年者の場合においては、この限りでない。

 (製造の引継)

第八条 公社の許可を受けて塩、にがり又はかん水を製造する者(以下「製造者」という。)が死亡した場合において、引き続いて塩、にがり又はかん水の製造をしようとする相続人は、遅滞なくその旨を公社に届け出なければならない。

2 前項の外、製造者の塩、にがり又はかん水の製造を引き継ごうとする者は、公社の許可を受けなければならない。

3 前条第一項第一号から第三号まで及び第二項並びに第三項の規定は、前項の許可について準用する。

 (製造の制限)

第九条 公社は、塩、にがり又はかん水の需給調整上必要があるときは、製造者に対し、塩、にがり又はかん水の製造数量を制限することができる。

 (指示)

第十条 公社は、製造者に対し、塩、にがり又はかん水の製造方法、貯蔵場所又は貯蔵方法についてあらかじめ公社の定めたる標準に従うように指示することができる。

 (届出)

第十一条 製造者は、住所、氏名若しくは名称又は第六条第二項に掲げる事項に変更があつたときは、遅滞なくその旨を公社に届け出なければならない。

2 製造者は、災害その他の事故に因り、塩、にがり若しくはかん水又は製造場若しくは貯蔵所に損害を受けたときは、遅滞なく損害の原因及び程度を公社に届け出なければならない。

 (廃止及び休止)

第十二条 製造者は、その製造場における製造を廃止しようとするときは、公社の許可を受けなければならない。

2 前項の製造の廃止の許可申請が正当の事由に基いてなされたときは、公社は、その年における塩の製造数量の確保上著しい支障がない限り、その許可を拒むことができない。

3 製造者は、製造を休止し、又は休止後改めて製造に着手しようとする製造場があるときは、事由を具して公社に届け出なければならない。

 (帳簿及び報告)

第十三条 製造者は、帳簿を作製し、公社の定める事項を記載しなければならない。

2 製造者は、公社の指示するところにより、業務に関する報告を公社に提出しなければならない。

 (納付)

第十四条 製造者は、第五条第一項但書に該当する場合を除き、その製造した塩及びにがりを、すべて公社に納付しなければならない。

2 公社は、製造者に対し、前項の納付の期日、場所及び運搬通路並びに塩の包装方法を指示することができる。

3 公社は、製造者の納付する塩又はにがりの品質が著しく粗悪な場合は、更に必要な処理をした上納付するよう指示することができる。

4 公社は、製造者に対し、第一項の規定により納付しなければならない塩又はにがりを公社の指定した者に引き渡すように指示することができる。この場合においては、公社が引渡を指示したときに、同項の規定による納付があつたものとみなす。

 (鑑定及び再鑑定)

第十五条 公社は、製造者の納付(前条第四項の規定により納付があつたものとみなされる場合を含む。)した塩又はにがりの品質又は等級を鑑定し、その品質又は等級に相当する収納代金を支払う。

2 製造者は、前項の鑑定に不服があるときは、公社に対して再鑑定を求めることができる。

3 前項の再鑑定の申立は、収納代金の請求前にしなければならない。

4 再鑑定の申立があつたときは、公社は、二人以上の鑑定人を選定し、再鑑定を行わせて、その品質又は等級を決定する。この場合において、鑑定人は、少くともその半数を公社の職員でないものから選定しなければならない。

5 再鑑定による塩又はにがりの品質又は等級が第一項の鑑定による品質又は等級より上位の品質又は等級とならないときは、再鑑定に要した費用は、その申立人の負担とする。

6 公社は、第二項の規定による再鑑定の申立があつた場合においては、その決定があるまで収納代金を支払わないことができる。

 (災害補償)

第十六条 製造者が津波の害、風水害、震害その他の災害に因り、塩、にがり又はかん水について滅失、損傷その他の事由に因る損害を受けたときは、公社は、その製造者にその損害の三分の二に相当する金額の範囲内で大蔵省令で定める額の補償金を交付することができる。

 (製造者の団体)

第十七条 公社は、製造者又は製塩施設の所有者の組織する団体又はその連合体に対し、公社の事務の一部を委託し、又は製塩事業の健全な発達を図るため必要な指示をすることができる。

2 公社は、前項の規定により委託又は指示を受けた団体又はその連合体に対し、当該年度の予算の範囲内で、交付金を交付することができる。

 (許可の取消)

第十八条 公社は、製造者が左の各号の一に該当するときは、製造の許可を取り消すことができる。

一 この法律の規定に違反したとき。

二 この法律に基いて公社の指示した事項に従わないとき。

三 第七条第一項第三号に該当するに至つたとき。

四 正当の事由がなくて一年以上製造をしないとき。

2 第七条第二項及び第三項の規定は、前項の場合に準用する。この場合において「申請者」とあるのは「製造者」と読み替えるものとする。

第十九条 公社は、前条の規定により製造者の許可の取消をしようとするときは、あらかじめ本人にその旨を通知し、製造者又はその代理人の出頭を求め、釈明のための証拠を提出する機会を与えるため、公社の指定する職員をして聴聞をさせなければならない。

 (廃業後の処置)

第二十条 製造者がその許可を取り消され、又はその製造を廃止した場合において塩、にがり又はかん水が現存するときは、その現存する物については、その者をなお製造者とみなす。

 (再製及び加工)

第二十一条 公社又は公社の委託を受けた者でなければ、塩を再製し、又は加工してはならない。

2 薬事法(昭和二十三年法律第百九十七号)の規定に基いて第一条第一項の規定に該当する医薬品を製造する者は、前項の規定にかかわらず、公社の許可を受けて、公社の売り渡した塩を医薬品とする目的をもつて再製又は加工することができる。

第三章 輸入

 (輸入)

第二十二条 塩及びにがりは、公社又は公社の委託を受けた者でなければ輸入してはならない。但し、旅行者が自己の用に供するため携帯する塩又はにがりであつて大蔵省令の定めるものについては、この限りでない。

第四章 販売

 (販売)

第二十三条 公社は、その指定した塩の元売人又は小売人(以下「販売人」という。)をして塩を販売させることができる。

2 公社又は販売人でなければ、塩を販売してはならない。但し、薬事法第二条第四項第一号に該当する物又はこれをもつて製造若しくは調剤した物については、この限りでない。

3 塩元売人は、公社から塩を買い受け、塩小売人に販売するものとする。但し、大蔵省令の定める数量をこえるときは、直接消費者に販売することができる。

4 塩小売人は、塩元売人から塩を買い受け、消費者に販売するものとする。

5 公社又は公社の委託を受けた者でなければ、にがりを販売してはならない。

 (指定の申請)

第二十四条 販売人となろうとする者は、元売人又は小売人の別並びに営業所及び貯蔵所の位置を定め、公社に申請して、その指定を受けなければならない。

2 前項の指定申請書には、左に掲げる事項を記載しなければならない。

一 貯蔵所の設備の構造

二 販売品種

三 一箇年の販売予定数量

四 販売に充てることができる資金の総額

五 現に他の事業を営んでいる場合には、その種類

六 法人である場合には、その資本金額及び役員の氏名

3 第一項に規定する事項を変更しようとするときは、公社の許可を受けなければならない。営業所又は貯蔵所を設置又は廃止しようとするときも、同様とする。

 (指定の制限)

第二十五条 公社は、左の各号の一に該当する場合においては、販売人の指定をしないことができる。

一 申請者がこの法律に基いて処罰され、その処罰の日から二年を経ない者である場合。但し、懲役に処せられた者については、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経ない者である場合。

二 申請者がこの法律に基いて販売人の指定を取り消され、その取消の日から二年を経ない者である場合。

三 申請者が製造者又は塩の再製、加工若しくは輸入の委託を受けた者である場合その他事業として取締上不適当な物品を取り扱つている場合。

四 申請者が元売人と小売人とを兼ねようとする場合。

五 営業所又は貯蔵所の設備が塩の販売業を営むのに不適当と認められる場合。

六 塩の販売予定数量が公社の定める標準に達せず、その他著しく不適当と認められる場合。

七 申請者が破産者で復権を得ていない場合その他その経営の基礎が著しく薄弱であると認められる場合。

2 第七条第二項及び第三項の規定は、前項の場合に準用する。この場合において「前項第一号から第三号まで」及び「第一項第一号から第三号まで」とあるのはそれぞれ「第二十五条第一項第一号から第四号まで及び第七号」と読み替えるものとする。

 (指定の期間及び指定書の交付)

第二十六条 販売人の指定は、三年以内の期間を定めて行う。

2 公社は、販売人の指定をした場合には、これに対し指定書を交付する。

3 公社は、第一項の期間が満了した場合において、引き続き指定することを適当と認めるときは、第二十四条の申請をまたないで、その指定をすることができる。

 (販売の引継)

第二十七条 販売人が死亡した場合において、引き続いて塩の販売をしようとする相続人は、遅滞なくその旨を公社に届け出なければならない。

2 前項の外、塩の販売を引き継ごうとする者は、公社の許可を受けなければならない。

3 第二十五条第一項第一号から第四号まで及び第七号並びに第二項の規定は、前項の場合に準用する。

 (公社の売渡価格)

第二十八条 公社は、大蔵大臣の認可を受けて、塩及びにがりの公社の売渡価格を定めて公告する。

2 前項の規定は、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三条の規定の適用を妨げるものではない。

 (特別価格)

第二十九条 公社は、か性ソーダ、ソーダ灰その他政令で指定する化学製品の製造の用に供する者に塩を売り渡す場合においては、前条の規定にかかわらず、大蔵大臣の認可を受けて同条第一項の売渡価格より低い価格(以下「特別価格」という。)でこれを売り渡すことができる。

2 公社は、前項の規定により特別価格で塩を買い受けた者に対し、帳簿の作製、報告の提出その他必要な指示をすることができる。第四項の規定による許可を受け譲り渡した塩を前項の用に供するため譲り受けた者についても、同様とする。

3 公社は、第一項に該当する者に特別価格で塩を売り渡す場合においては、大蔵省令の定めるところにより、その特別価格と前条第一項の売渡価格との差額の全部又は一部に相当する担保を提供させることができる。

4 第一項の用に供するため特別価格で買い受けた塩について、その目的を変更しようとするとき又はこれを他に譲り渡そうとするときは、公社の許可を受けなければならない。この場合においては、公社は、他の第一項に該当する者に譲り渡す場合を除き、特別価格と前条第一項の売渡価格との差額に相当する金額を徴収する。

5 特別価格以外の価格で買い受けた塩が第一項の用に供されたときは、公社は、その用に供した者に対し、特別価格と前条第一項の売渡価格との差額の五分の四に相当する金額の交付金を交付することができる。

6 公社は、第一号又は第二号に該当する場合においては、特別価格と前条第一項の売渡価格との差額に売渡数量(第二号の場合には、不足した数量)を乗じて得た金額の二倍、第三号に該当する場合においては、虚偽の書類又は陳述に基き受けた交付金額の二倍に相当する金額の範囲内で追徴金を徴収する。

一 特別価格で買い受けた塩について、公社の許可を受けないでその目的を変更した場合又は他に譲り渡した場合。

二 特別価格で買い受けた塩について、その目的に充てた数量が売渡数量に対し正当の事由がなくて不足した場合。

三 虚偽の書類又は陳述により第五項の交付金を受けた場合。

 (保管料)

第三十条 公社は、公社から塩又はにがりを買い受けた者が公社の定める引取期限までにこれを引き取らないときは、相当の保管料を徴収することができる。但し、自己の責に帰することができない事由に因り引取をすることのできない日数に対しては、この限りでない。

 (代金の延納)

第三十一条 公社は、公社から塩又はにがりを買い受ける者に対し、その代金を一時に支払うことが困難であると認めるときは、確実な担保を徴し、その代金の延納を許可することができる。

2 公社は、特に必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、担保提供額が買受代金の三分の一を下らない範囲内において、担保の提供を免除することができる。

3 第一項の場合において、その代金を支払期日までに支払わないときは、公社は、大蔵省令の定めるところにより、遅延利息を徴収することができる。

4 公社は、第一項の規定により延納を許可した者について、延納継続の必要がないと認めたとき又は延納の継続を著しく不適当と認めたときは、延納の許可を取り消すことができる。

 (販売手教科)

第三十二条 公社は、元売人及び小売人に対し、それぞれ塩の販売に当り第二十八条第一項の売渡価格に加算すべき販売手数料を定めて指示することができる。

第三十三条 公社は、大蔵省令の定めるところにより、元売人以外のもの(第二十九条第一項に該当する者を除く。)に塩を売り渡す場合においては、第二十八条の規定にかかわらず、同条第一項の売渡価格に元売人又は小売人の販売手数料を加算した額の範囲内でこれを売り渡すことができる。

 (買受販売制限)

第三十四条 元売人は、公社以外の者から、小売人は、公社及び元売人以外の者から、販売のために塩を譲り受けてはならない。但し、左の各号の一に該当するときは、この限りでない。

一 廃業その他の事由により営業を継続することのできなくなつた元売人又は小売人から、それぞれ元売人又は小売人が譲り受けるとき。

二 競落により取得するとき。

2 販売人は、前項各号の場合においては、遅滞なくその旨を公社に報告しなければならない。

 (混和禁止)

第三十五条 販売人は、その販売する塩に他物を混和してはならない。

2 販売人は、他物の混和した塩を販売してはならない。但し、自己の責に帰することができない事由に因り他物が混和した塩について公社の許可を受けた場合は、この限りでない。

 (指示)

第三十六条 公社は、販売人に対し、営業所及び貯蔵所の設備、引取方法、備えて置くべき塩の種類及び数量、塩の販売及び保存の方法並びに塩を販売する場合における販売先、用途、数量及び時期について、指示することができる。

2 公社は、販売人の組織する団体又はその連合体に対し、塩の販売業の健全な発達を図るために必要な事項を指示することができる。

3 第十三条の規定は、販売人、その組織する団体又はその連合体に準用する。

 (差益及び差損)

第三十七条 公社は、第二十八条第一項の売渡価格を改定した場合において、現に販売人の所有する塩から生ずる差益又は差損の全部又は一部を販売人に納付させ、又は販売人に対し払い戻すことができる。

2 販売人は、売渡価格の改定があつた場合においては、遅滞なくその改定があつたときにおいて所有する塩の品種別数量を公社に届け出なければならない。

 (届出)

第三十八条 販売人は、住所、氏名若しくは名称又は第二十四条第二項に掲げる事項に変更があつたときは、遅滞なくその旨を公社に届け出なければならない。

2 販売人は、その営業を廃止しようとするときは、その旨を公社に届け出なければならない。

 (指定の取消及び販売の差止)

第三十九条 公社は、販売人が左の各号の一に該当するときは、販売人の指定を取り消すことができる。

一 この法律の規定に違反したとき。

二 この法律に基いて公社の指示した事項に従わないとき。

三 第二十五条第一項第三号、第四号又は第七号に該当するに至つたとき。

四 正当の事由がなくて、引き続き三月以上営業をしないとき。

五 この法律に基く届出、報告又は帳簿に虚偽の記載があつたとき。

六 元売人が正当の事由がなくて支払期日を過ぎてなお塩の買受代金を完納しないとき。

2 公社は、販売人が前項第一号又は第二号の規定に該当する場合においては、指定の取消に代え、一月以内の期間を定めて、塩の販売を差し止めることができる。

3 第七条第二項及び第三項の規定は、前二項の場合に準用する。この場合において「申請者」とあるのは「販売人」と読み替えるものとする。

4 第十九条の規定は、第一項の指定の取消及び第二項の販売の差止に準用する。

 (廃業後の処分)

第四十条 販売人がその指定を取り消され、又はその営業を廃止した際所有する塩は、公社の指示を受けなければならない。

第五章 輸出

 (輸出)

第四十一条 公社は、塩若しくはにがりを輸出し、又は輸出のためこれを売り渡すことができる。

2 輸出のため公社から買い受けた塩又はにがりは、公社の許可がなければ輸出前に他に譲り渡し、又は消費してはならない。

3 公社は、必要があると認めるときは、第一項の規定により輸出のため塩又はにがりを売り渡した者から、その売り渡した塩又はにがりに関する報告を提出させることができる。

第六章 雑則

 (所有等の制限)

第四十二条 何人も、この法律の規定により認められた場合を除く外、公社の売り渡した塩又はにがりでなければ、所有し、所持し、譲り渡し、又は譲り受けてはならない。但し、正当の理由により所有し、又は所持する場合は、この限りでない。

2 この法律により没収する場合を除く外、公社は、前項に該当する物件を、公社の定めるところにより納付させることができる。この場合においては、他物を混和した塩又はにがりを除く外、第十五条第一項の規定を準用する。

 (かん水の譲渡)

第四十三条 かん水は、塩又はにがりの製造者以外に譲り渡してはならない。但し、公社の許可を受けた場合においては、この限りでない。

2 かん水を塩及びにがりの製造用以外の用途に使用する場合は、公社の許可を受けなければならない。

3 公社は、塩の需給調整上特に必要があるときは、製造者に対し、かん水の譲渡先、用途並びに譲渡の数量、時期及び場所を指示することができる。

4 公社は、かん水の譲渡価格を制限することができる。

 (にがりの使用に関する報告)

第四十四条 公社は、必要があると認めるときは、大蔵省令の定める数量をこえて、公社からにがりを買い受けた者からその買い受けたにがりの使用に関し報告させることができる。

 (立入検査)

第四十五条 公社は、その職員をして左に掲げる場所に立ち入り、塩、にがり、かん水、器具機械、張簿又は書類を検査させることができる。

一 塩、にがり又はかん水の製造場又は貯蔵所

二 製造者、塩の再製若しくは加工の委託若しくは許可を受けた者、塩若しくはにがりの輸入の委託を受けた者、販売人、特別価格で塩を買い受けた者若しくはその塩を所有し、若しくは使用する者、第二十九条第五項の規定による交付金を受け、若しくは受けようとする者、輸出のため公社から塩を買い受けた者又は公社からにがりを買い受けた者の事務所、営業所、工場、事業場又は倉庫

2 当該職員は、前項の規定による立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。

 (強制徴収)

第四十六条 第十五条第五項、第二十九条第四項及び第六項並びに第三十七条第一項の規定により、公社に納付すべき金額は、国税滞納処分の例により徴収することができる。但し、先取特権の順位は、国税に次ぐものとする。

第七章 罰則

第四十七条 左の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

一 第四条の規定に違反して、塩、にがり若しくはかん水を製造し、又はこれらの製造の準備をした者

二 第二十三条第二項又は第五項の規定に違反して、塩若しくはにがりを販売し、又はこれらの販売の準備をした者

三 第三十四条第一項、第三十五条、第四十一条第二項又は第四十二条第一項の規定に違反した者

第四十八条 第二十二条の規定に違反して、塩又はにがりの輸入をした者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。但し、輸入した塩又はにがりの価額の十倍が三十万円をこえるときは、罰金は、当該価額の十倍以下とする。

2 前項の罪を犯す目的をもつてその予備をした者又は同項の犯罪の実行に着手してこれを遂げない者は、同項の例による。

3 第一項の価額は、その塩又はにがりの生産地又は仕入地における原価に、荷造費、運送費、保険料その他輸入地に到着するまでの諸費及び輸入税に相当する金額を加えたものとする。

第四十九条 左の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。

一 公社の許可を受けた位置以外の場所に、塩、にがり又はかん水の製造場又は貯蔵所を設けた製造者

二 第六条第三項の規定に違反して、製品の種類、製造方法、製造場若しくは貯蔵所の規模又は製造能力を変更した者

三 第八条第二項又は第二十七条第二項の規定に違反して、塩、にがり若しくはかん水の製造又は塩の販売を引き継いだ者

四 第十二条第一項の規定に違反して製造を廃止した者

五 正当の理由がなくて、公社の指示した納付期日にその指示した納付の場所に塩又はにがりを納付しなかつた製造者

六 第十四条第四項の規定による公社の指示に違反した者

七 第二十一条第一項又は第四十三条第一項若しくは第二項の規定に違反した者

八 第二十八条第一項の売渡価格に公社の指示した販売手数料を加算した額によらないで塩を売り渡した販売人

九 第四十三条第四項の規定により制限された価格をこえてかん水を譲り渡したかん水の製造者

第五十条 左の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。

一 第八条第一項、第二十七条第一項、第三十四条第二項又は第四十条の規定に違反した者

二 正当の事由がなくて、第十条、第三十六条第一項又は第四十三条第三項の規定による公社の指示に違反した者

三 第十三条第一項(第三十六条第三項において販売人に準用する場合を含む。)又は第二十九条第二項の規定による帳簿を作製せず、若しくは所定の事項を記載せず、又は虚偽の記載をした者

四 第十三条第二項(第三十六条第三項において販売人に準用する場合を含む。)、第三十七条第二項又は第四十一条第三項の規定による報告若しくは届出をせず、又は虚偽の報告若しくは届出をした者

五 第十四条第二項の規定による運搬通路又は包装方法の指示に違反した者

六 第二十四条第三項の規定に違反して、営業所若しくは貯蔵所の位置を変更し、又は営業所若しくは貯蔵所を設置若しくは廃止した者

七 第三十八条第二項の規定に違反して営業を廃止した者

八 第四十五条の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

第五十一条 第四十七条、第四十八条第一項若しくは第二項又は第四十九条第六号の犯罪に係る塩、塩に他物を混和した物、にがり又はかん水は没収する。

2 前項の物件を他に譲り渡し、若しくは消費したとき又は他にその物件の所有者があつて没収することのできないときは、その価額を追徴する。

第五十二条 第四十七条又は第四十八条第一項若しくは第二項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。

第五十三条 法人の代表者、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者が法人又は人の業務又は財産に関して第四十七条から第五十条までの違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対し各本条の罰金刑を科する。

第五十四条 第四十七条から第五十条まで(第五十条第三号及び第八号を除く。)の罪を犯した者には、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十八条第三項但書、第三十九条第二項、第四十条、第四十一条、第四十八条第二項、第六十三条及び第六十六条の規定は、適用しない。但し、懲役刑に処する場合又は懲役及び罰金を併科する場合における懲役刑については、この限りでない。

第五十五条 国税犯則取締法の規定は、この法律の違反事件に準用する。この場合においては、この法律の違反事件は、間接国税の犯則事件とする。

2 前項の場合において、国税犯則取締法に規定する財務局長、税務署長又は収税官吏の職務は、たばこ専売法(昭和二十四年法律第百十一号)第七十九条第二項又は第三項に規定する公社の役員又は職員並びに司法警察職員及び国家公務員が行う。

3 たばこ専売法第七十九条第五項及び第七項から第十項までの規定は、第一項の場合に準用する。

附 則

1 この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。

2 改正前の塩専売法(以下「旧法」という。)又はこれに基く命令により政府がした許可、指定、これらの取消、命令、指示、決定その他の処分(塩業組合又は塩業組合連合会に係るものを除く。)は、それらの処分のあつた日において、この法律に基いて公社がしたものとみなす。

3 旧法又はこれに基く命令による申請、再鑑定の申立、申告、報告、届出又は書類の提出は、この法律に基いて公社にされたものとみなす。

4 旧法若しくはこれに基く命令に基き、又は旧法若しくはこれに基く命令に基く政府の処分に因り、この法律施行の日以後において政府に納付すべき、又は政府から受領すべき代金、塩、にがりその他の物は、それぞれ公社に納付し、又は公社から受領するものとする。この法律施行前に政府に納付すべきであつた、又は政府から受領すべきであつた物についても、同様とする。

5 この法律施行前に、旧法第十三条第二項の規定に基いて通知をし、まだ許可の取消をしていない場合においては、当該許可の取消については、同条の規定は、なお効力を有する。

6 この法律施行前に、旧法第十九条の規定に基いて特に定めた価格で塩を売り渡した場合又は交付金の下付を受けることができる場合であつて、第二十九条の規定により特別価格で塩を売り渡すことができない場合又は交付金の交付を受けることのできない場合については、旧法第十九条及び同条に基く命令の規定は、なお効力を有する。

7 旧法又はこれに基く命令に基いて処罰された者は、この法律に基いて処罰された者とみなす。

8 この法律施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

9 旧法の違反事件については、第五十五条の例による。

10 旧法第三十八条において準用する国税犯則取締法に基いてした処分は、この法律に基いて権限を有する公社の役員又は職員がしたものとみなす。

11 この法律施行前に、政府の売り渡した塩及びにがりは、この法律により、公社の売り渡したものとみなす。

12 第二十八条第二項の財政法第三条には、財政法第三条の特例に関する法律(昭和二十三年法律第二十七号)が効力を有する間は、同法を含むものとする。

13 臨時物資需給調整法(昭和二十一年法律第三十二号)に基いて塩の割当又は配給が行われている間は、第二十四条から第二十六条まで、第二十七条第二項及び第三項、第三十八条第一項(第二十四条第二項に関する部分に限る。)及び第三十九条の規定は、適用しない。

14 臨時物資需給調整法に基く命令により塩元売業若しくは塩小売業の登録を受けた者又はその取消を受けた者は、それぞれこの法律に基いて元売人若しくは小売人の指定を受けた者又はその取消を受けた者とみなす。

15 旧法中塩業組合及び塩業組合連合会に関する規定並びに旧法第十七条ノ十二に基く命令(塩業組合中央会に関する部分及び私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第二十四条各号に掲げる要件にてい触する部分を除く。)は、中小企業等協同組合に関する法律が制定施行されるまでの間は、なお効力を有する。

16 前項の規定により効力を有する旧法の規定に基く塩業組合及び塩業組合連合会は、その規定が効力を有する間は、事業者団体法(昭和二十三年法律第百九十一号)第六条第一項第一号の団体とする。

17 左の勅令は、廃止する。

特別用塩規則(大正五年勅令第百九十七号)

塩業組合令(昭和十八年勅令第四百二号)

塩専売法臨時特例(昭和二十年勅令第七百二十九号)

18 廃止前の塩専売法臨時特例第二条の規定に基いて、塩、にがり、又はかん水の製造の届出をし、この法律施行の際現にこれらを製造する者で、この法律施行後引き続きこれらを製造しようとするものは、この法律施行の日から一月以内に、第六条第一項の規定により公社に対し許可の申請をしなければならない。この場合においては、第七条第一項第四号及び第五号の規定は、適用しない。

19 公社は、前項の規定による申請に基き、第七条第一項第四号又は第五号の規定に該当する者に対し、製造の許可をする場合においては、当該許可に一年の範囲内で期限を附することができる。

20 第十八項の規定により申請をすることができる者は、同項の期間内(同項の規定による申請をした場合は当該申請に基き公社の許可又は不許可の処分があるまで)は、この法律の規定にかかわらず、塩、にがり又はかん水の製造をすることができる。

21 前項の規定により塩、にがり又はかん水を製造することができる者がその製造をすることができる期間内に製造した塩、にがり又はかん水については、なお従前の例による。但し、この場合においては、政府とあるのは公社とする。

22 事業者団体法の一部を次のように改正する。

第六条第一項第一号ロを次のように改める。

ロ 削除

23 公社は、大蔵大臣の定める期日までは、第三十二条の規定にかかわらず、元売人及び小売人の販売価格を制限することができる。

24 前項の規定により制限された価格をこえて塩を販売した元売人又は小売人は、十万円以下の罰金に処する。

25 第五十三条及び第五十四条の規定は、前項の場合に準用する。

26 公社は、第二十三項の期日までは、元売人以外のもの(第二十九条第一項に該当する者を除く。)に塩を売り渡す場合においては、第三十三条の規定にかかわらず、第二十八条第一項の売渡価格に公社の定める金額を加算した額の範囲内でこれを売り渡すことができる。

(大蔵・内閣総理大臣署名)

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