空港整備特別会計法

法律第二十五号(昭四五・四・一七)

 (設置)

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第一条 空港整備事業(空港整備法(昭和三十一年法律第八十号)第二条第一項に規定する空港その他の飛行場で公共の用に供されるもの(これらとあわせて設置すべき政令で定める施設を含む。以下「空港」という。)の設置、改良、災害復旧及び維持その他の管理に関する事業並びに当該事業についての国の負担金その他の経費の交付で運輸大臣が行なうものをいう。以下同じ。)に関する政府の経理を明確にするため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。

2 この会計においては、前項に定めるもののほか、次の事項に関する経理を行なうものとする。

 一 空港整備事業に属する工事に密接な関連のある工事で運輸大臣が施行するもの(以下「関連工事」という。)

 二 空港整備事業に属する工事に密接な関連のある工事で運輸大臣が委託に基づき施行するもの(以下「受託工事」という。)

 三 前二号に掲げるもののほか、空港整備事業を行なう空港事務所等(運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)第五十五条の六に規定する空港事務所その他の地方機関で空港に所在するものをいう。以下同じ。)の所掌する事務(以下「空港事務所等所掌事務」という。)

 (管理)

第二条 この会計は、運輸大臣が、法令で定めるところに従い、管理する。

 (歳入及び歳出)

第三条 この会計においては、国の空港(空港事務所等が設置されているものに限る。)の使用料収入、空港整備法第六条第一項及び第二項(同法第十条第二項において準用する場合を含む。)並びに同条第一項の規定による負担金、一般会計からの繰入金、第七条第一項の規定による借入金、受託工事に係る納付金並びに附属雑収入をもつてその歳入とし、空港整備事業に要する費用、関連工事に要する費用及び受託工事に要する費用(これらの事業及び工事で国が北海道において行なうものに係る職員の給与に要する費用その他の工事事務費については、空港事務所等に係るものに限る。)、空港事務所等所掌事務の実施に要する費用、第七条第一項の規定による借入金の償還金及び利子、第九条第一項の規定による一時借入金の利子、第十一条第一項又は第二項の規定による港湾整備特別会計又は一般会計への繰入金並びに附属諸費をもつてその歳出とする。

2 前項に規定する一般会計からの繰入金は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、繰り入れるものとする。

 (歳入歳出予定計算書等の作成及び送付)

第四条 運輸大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書、繰越明許費要求書及び国庫債務負担行為要求書(以下「歳入歳出予定計算書等」という。)を作成し、大蔵大臣に送付しなければならない。

2 前項の歳入歳出予定計算書等には、次に掲げる書類を添附しなければならない。

 一 前前年度の事業実績表並びに前年度及び当該年度の事業計画表

 二 国庫債務負担行為で翌年度以後にわたるものについての前年度未までの支出額及び支出額の見込み、当該年度以後の支出予定額並びに数会計年度にわたる事業に伴うものについてはその全体の計画及びその進行状況等に関する調書

 (歳入歳出予算の区分)

第五条 この会計の歳入歳出予算は、歳入にあつては、その性質に従つて款及び項に、歳出にあつては、その目的に従つて項に区分する。

 (予算の作成及び提出)

第六条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。

2 前項の予算には、第四条第一項に規定する歳入歳出予定計算書等及び同条第二項各号に掲げる書類を添附しなければならない。

 (借入金)

第七条 この会計において、空港整備事業に係る施設の整備に要する費用の財源に充てるため必要があるときは、政令で定めるところにより、この会計の負担において、借入金をすることができる。

2 前項の規定による借入金の限度額については、予算をもつて、国会の議決を経なければならない。

 (借入限度の繰越し)

第八条 この会計において、借入金の借入れについて国会の議決を経た金額のうち、当該年度において借入れをしなかつた金額があるときは、当該金額を限度として、かつ、歳出予算の繰越額の財源として必要な金額の範囲内で、翌年度において、前条第一項の規定による借入金をすることができる。

 (一時借入金等)

第九条 この会計において、支払上現金に不足があるときは、この会計の負担において、一時借入金をし、又は国庫余裕金を繰り替えて使用することができる。

2 前項の規定による一時借入金及び繰替金の限度額については、予算をもつて、国会の議決を経なければならない。

3 第一項の規定による一時借入金及び繰替金は、当該年度の歳入をもつて償還しなければならない。

 (借入金及び一時借入金の借入れ及び償還の事務)

第十条 第七条第一項の規定による借入金及び前条第一項の規定による一時借入金の借入れ及び償還に関する事務は、大蔵大臣が行なう。

 (他会計への繰入れ)

第十一条 港湾整備特別会計において行なう港湾整備特別会計法(昭和三十六年法律第二十五号)第一条第二項第四号に規定する空港整備特別会計所属空港関係工事の管理に要する事務費に相当する金額(政令で定める額に相当する金額を除く。)は、毎会計年度、政令で定めるところにより、この会計から港湾整備特別会計の港湾整備勘定に繰り入れるものとする。

2 受託工事に係る納付金のうち、当該工事について、一般会計において支弁した政令で定める経費の額に相当する金額は、当該納付金を収納した年度内において、この会計から一般会計に繰り入れるものとする。

3 第七条第一項の規定による借入金の償還金及び利子並びに第九条第一項の規定による一時借入金の利子の支出に必要な金額は、毎会計年度、この会計から国債整理基金特別会計に繰り入れるものとする。

 (歳入歳出決定計算書の作成及び送付)

第十二条 運輸大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作成し、大蔵大臣に送付しなければならない。

2 前項の歳入歳出決定計算書には、次に掲げる書類を添附しなければならない。

 一 当該年度の事業実績表

 二 債務に関する計算書

 (歳入歳出決算の作成及び提出)

第十三条 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。

2 前項の歳入歳出決算には、前条第一項に規定する歳入歳出決定計算書及び同条第二項各号に掲げる書類を添附しなければならない。

 (剰余金の繰入れ)

第十四条 この会計において、毎会計年度における歳入歳出の決算上剰余を生じたときは、これを翌年度の歳入に繰り入れるものとする。

 (余裕金の預託)

第十五条 この会計において、支払上現金に余裕があるときは、これを資金運用部に預託することができる。

 (政令への委任)

第十六条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。


   附 則

1 この法律は、公布の日から施行し、昭和四十五年度の予算から適用する。

2 この法律の施行の日の前日までに昭和四十五年度の一般会計又は港湾整備特別会計の港湾整備勘定の予算に基づいてした債務の負担又は支出で第一条に規定する事務又は事業に要する費用に係るものがあるときは、政令で定めるところにより、同年度の一般会計又はこの会計の予算に基づいてしたものとみなし、同日までに一般会計において収入した同年度分の第三条に規定する空港の使用料その他の収入は、この会計の歳入とみなす。

3 昭和四十四年度の一般会計の歳出予算のうち、第一条に規定する事務又は事業に係る経費で財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第十四条の三第一項又は第四十二条ただし書の規定により繰り越されたもの及び当該繰り越された予算に基づいてこの法律の施行前に同会計においてした債務の負担又は支出は、それぞれ、この会計に繰り越されたもの及びこの会計においてした債務の負担又は支出とみなす。

4 前項の規定によりこの会計に繰り越されたものがあるときは、財政法第四十一条の規定により昭和四十五年度の一般会計の歳入に繰り入れるべき昭和四十四年度の同会計の歳入歳出の決算上の剰余金のうち、同項の繰越しの額に相当する金額から政令で定める額を控除した額に相当する金額は、この会計の昭和四十五年度の歳入に繰り入れるものとする。

5 この法律の施行の際一般会計、特定国有財産整備特別会計又は港湾整備特別会計の港湾整備勘定に所属する権利義務で第一条に規定する事務又は事業に係るものは、政令で定めるところにより、この会計に帰属するものとする。

6 第四条第二項又は第六条第二項の規定によりこの会計の歳入歳出予定計算書等又は予算に添附すべき前前年度の事業実績表及び前年度の事業計画表は、昭和四十五年度(前前年度の事業実績表については、昭和四十六年度を含む。)の予算に限り、これらの規定にかかわらず、その添附を要しないものとする。

7 この会計に所属する国有財産で、空港における関税法(昭和二十九年法律第六十一号)その他の関税法規による関税の賦課徴収並びに輸出入貨物、航空機及び旅客の取締り並びに検疫法(昭和二十六年法律第二百一号)の規定による検疫のために使用する必要があるものその他政令で定めるものは、当分の間、政令で定めるところにより、各省各庁の長(国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第四条第二項に規定する各省各庁の長をいう。)の所管に属する国有財産とするため、一般会計に所管換又は所属替をするものとする。

8 次に掲げる場合には、当分の間、この会計と一般会計との間において無償として整理することができる。

 一 前項の規定により所管換又は所属替をする場合

 二 前項の規定によりこの会計から一般会計に所管換又は所属替をした国有財産で同会計において使用する必要がなくなつたものその他同会計に所属する国有財産のうち、この会計の業務の用に供するため必要があるものについて、政令で定めるところにより、この会計に所管換又は所属替をする場合

 三 前項に規定する事務のために使用する場合その他政令で定める場合において、この会計に所属する国有財産を一般会計において使用させるとき。

 四 この会計の業務のために使用する必要がある場合において、一般会計に所属する国有財産を、政令で定めるところにより、この会計において使用させるとき。

9 この会計と一般会計との間において、附則第七項に規定する所管換又は所属替をする場合には、国有財産法第十二条及び第十四条の規定は、適用しない。

10 退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律(昭和二十五年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「自動車検査登録特別会計」の下に「、空港整備特別会計」を加える。

11 国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法(昭和三十二年法律第百十五号)の一部を次のように改正する。

  第六条第二項中「空港整備法(昭和三十一年法律第八十号)の規定により運輸大臣が設置する公共用飛行場(当該飛行場とあわせて設置すべき他の施設で法令の規定により運輸大臣が設置するものを含む。)に係るもの及び」を削る。

12 特定国有財産整備特別会計法(昭和三十二年法律第百十六号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一項中「、運輸大臣」を削り、同条第二項中「所管大臣の全部又は一部」を「大蔵大臣又は建設大臣」に改める。

  第三条第一項中「、法令の規定による負担金で特定国有財産整備計画の実施に伴い徴収するもの」を削る。

13 港湾整備特別会計法の一部を次のように改正する。

  第一条第二項第三号中「並びに海岸法」を「及び海岸法」に改め、「及び飛行場」を削り、同項第四号を同項第五号とし、同項第三号の次に次の一号を加える。

  四 空港整備特別会計所属空港関係工事(空港整備法(昭和三十一年法律第八十号)第二条第一項に規定する空港その他の飛行場で公共の用に供されるものの新設、改良又は災害復旧に関する工事で運輸大臣が施行するもの及び当該工事に密接な関連のある工事で運輸大臣が委託に基づき施行するもののうち政令で定めるものをいう。以下同じ。)の管理

  第四条第一項第一号中「一般会計からの繰入金」の下に「、空港整備特別会計法(昭和四十五年法律第二十五号)第十一条第一項の規定による空港整備特別会計からの繰入金」を加え、同条第二項第二号中「一般会計所属港湾関係工事」の下に「、空港整備特別会計所属空港関係工事」を加える。

14 運輸省設置法の一部を次のように改正する。

  第二十八条の二第一項第十二号の二中「特定国有財産整備特別会計」を「空港整備特別会計」に改める。

15 特定国有財産整備特別会計及び港湾整備特別会計の昭和四十四年度の収入及び支出並びに決算に関しては、なお従前の例による。

(大蔵・運輸・内閣総理大臣署名) 

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