国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律
法律第二十二号(昭四五・四・一七)
国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律(昭和二十七年法律第百九十一号)の一部を次のように改正する。
第二条に次の一項を加える。
4 前三項の規定により出資することができる金額のほか、政府は、基金又は銀行に対し、それぞれ、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律(昭和四十五年法律第二十二号)の施行の日における基準外国為替相場で換算した本邦通貨の金額が一千七百十億円又は九百一億四千四百万円に相当する第一項の合衆国ドルの金額の範囲内において、出資することができる。
第三条中「基金に対しては、」の下に「外国為替資金特別会計の負担において」を、「銀行に対しては、」の下に「一般会計の負担において」を加える。
第五条の見出しを「(証券による基金への出資)」に改め、同条第一項中「及び銀行」を削り、「国債」を「基金通貨代用証券(国際通貨基金協定第三条第五項の規定に基づき、本邦通貨に代えて基金に交付する国債(日本銀行が買い取つたものを含む。)をいう。以下同じ。)」に改め、同条第二項中「政府は」の下に「、外国為替資金特別会計の負担において」を加え、「国債」を「基金通貨代用証券」に改め、同条第三項中「国債」を「基金通貨代用証券」に改め、同条第四項中「国債」を「基金通貨代用証券」に改め、「又は銀行」を削り、同条第五項中「国債」を「基金通貨代用証券」に改める。
第六条の見出し中「基金等」を「基金」に、「国債」を「証券」に改め、同条中「又は銀行」を削り、「国債」を「基金通貨代用証券」に改める。
第七条の見出しを「(基金に出資した証券の買取り)」に改め、同条第一項を次のように改める。
政府は、第五条第一項の規定により基金に出資した基金通貨代用証券につき償還の請求を受けた場合において、当該償還の請求を受けた時に基金の保有する本邦通貨及び基金通貨代用証券(償還の請求を受けたものを除く。)の額の合計額が第三条の規定により基金に出資した本邦通貨及び第五条第一項の規定により基金に出資した基金通貨代用証券の額の合計額に満たないときは、日本銀行に対し、その差額に相当する金額の範囲内において、当該償還の請求を受けた基金通貨代用証券の全部又は一部を基金から買い取ることを命ずることができる。
第七条第三項中「当該国債」を「当該基金通貨代用証券」に改め、「第一項」の下に「又は第二項」を加え、「国債を」を「基金通貨代用証券を」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「前二項」に、「国債」を「基金通貨代用証券」に改め、同項を同条第三項とし、同項の前に次の一項を加える。
2 前項の規定により日本銀行が買い取つた基金通貨代用証券(これを借り換えたものを含む。)を償還するため、政府は、外国為替資金特別会計の負担において、必要な額を限度として基金通貨代用証券を発行し、日本銀行に対し、これを買い取ることを命ずることができる。
第八条の見出し中「国債」を「証券」に改め、同条中「発行する国債」を「発行する基金通貨代用証券」に改め、「前条第一項」の下に「又は第二項」を加え、「買い取つた国債」を「買い取つたもの」に、「以下」を「次条において」に改める。
第九条を削り、第十条中「発行する国債」を「発行する基金通貨代用証券」に改め、「第二条第二項」の下に「、第三条及び第五条」を加え、同条を第九条とし、同条の次に次の二条を加える。
(国債による銀行への出資等)
第十条 政府は、第三条の規定により銀行に出資する本邦通貨に代えて、その一部を国債で出資することができる。
2 前項の規定により出資するため、政府は、必要な額を限度として国債を発行することができる。
3 第五条第三項から第五項までの規定は、前項の規定により発行する国債について、第六条の規定は、第一項の規定により銀行に出資した国債について、それぞれ準用する。この場合において、第五条第四項中「第七条第一項」とあるのは「第十条第四項」と、「基金」とあるのは「銀行」と、第六条中「基金」とあるのは「銀行」と読み替えるものとする。
4 政府は、第一項の規定により銀行に出資した国債につき償還の請求を受けた場合において、緊急やむをえない理由があるため又は償還財源に不足があるため当該請求に係る金額の全部又は一部の償還を行なうことができないときは、日本銀行に対し、政府が償還を行なうことのできない金額に相当する額に限り、当該国債を銀行から買い取ることを命ずることができる。
5 第七条第三項及び第四項の規定は、前項の規定により日本銀行が買い取つた国債について準用する。
この場合において、同条第四項中「第一項又は第二項」とあるのは、「第十条第四項」と読み替えるものとする。
6 前各項に規定するもののほか、第二項の規定により発行する国債(第四項の規定により日本銀行が買い取つたものを含む。次項において同じ。)に関し必要な事項は、大蔵大臣が定める。
7 第二項の規定により発行する国債は、国債整理基金特別会計法第二条第二項の規定の適用については、国債とみなさない。
(証券による本邦通貨の取得等)
第十条の二 政府は、外国為替資金特別会計の負担において、基金通貨代用証券により基金の保有する本邦通貨を取得することができる。
2 前項の規定により本邦通貨を取得した場合において、第七条第一項又は第二項(これらの規定を第四項及び第十三条第七項において準用する場合を含む。)の規定により日本銀行が買い取つた基金通貨代用証券(以下この項において「買取証券」という。)があるときは、政府は、直ちに当該取得のため基金に引き渡した基金通貨代用証券の額(その額が当該買取証券の額より多いときは、当該買取証券の額)に相当する額の当該買取証券の償還を行なわなければならない。
3 第一項の規定により本邦通貨を取得するため、政府は、外国為替資金特別会計の負担において、必要な額を限度として基金通貨代用証券を発行することができる。
4 第五条第三項から第五項まで、第八条及び第九条の規定は、前項の規定により発行する基金通貨代用証券について、第六条及び第七条の規定は、第一項の規定による取得のため基金に引き渡した基金通貨代用証券について、それぞれ準用する。この場合において、第八条中「前三条」とあるのは、「第十条の二」と読み替えるものとする。
第十一条の見出し中「取引」を「取引等」に改め、同条第一項中「行う」を「行なう」に、「買入」を「買入れ」に改め、同条第二項中「ほか」の下に「、外国為替資金特別会計の負担において」を加え、「行なう」を「行ない、並びに日本銀行に対し当該貸付けに係る債権を譲り渡し、及びこれを日本銀行から譲り受ける」に改める。
第十二条の見出し中「国債」を「証券」に改め、同条第一項中「前条第一項第一号」を「第十一条第一項第一号」に、「買入」を「買入れ」に、「行う」を「行なう」に、「国債」を「基金通貨代用証券」に改め、同条第五項中「第六条及び第八条」を「第八条及び第九条」に、「第三項の規定により発行する国債について」を「第五項の規定により発行する基金通貨代用証券について、第六条及び第七条の規定は、第一項の規定による買入れのため基金に引き渡した基金通貨代用証券について、それぞれ」に、「第十二条第二項」を「第十三条第七項において準用する第七条第一項の命令に従い買い取る場合及び第十三条第三項」に、「行う」を「行なう」に改め、「、「基金又は銀行」とあるのは「基金」と、第六条中「基金又は銀行から前条第一項の規定により基金又は銀行に出資した国債」とあるのは「基金から第十二条第一項の規定による買入のため基金に引き渡した国債」と」を削り、「「第十二条」」を「「第十三条」」に改め、同項を同条第七項とし、同条第四項中「国債」を「基金通貨代用証券」に、「基き」を「基づき」に、「買入」を「買入れ」に改め、同項を同条第六項とし、同条第三項中「買入を行う」を「買入れを行なう」に、「国債」を「基金通貨代用証券」に改め、同項を同条第五項とし、同項の前に次の一項を加える。
4 政府は、前項の規定により基金通貨代用証券の買いもどしを行なつたときは、直ちに、これを削却しなければならない。
第十二条第二項中「前項」を「第一項」に、「買入を行つた」を「買入れを行なつた」に、「国債」を「基金通貨代用証券」に、「行う」を「行なう」に改め、同項を同条第三項とし、同項の前に次の一項を加える。
2 第十条の二第二項の規定は、前項の規定により買入れを行なつた場合について準用する。
第十三条を削り、第十二条を第十三条とし、同条の前に次の一条を加える。
(日本銀行における基金貸付債権の取扱い)
第十二条 日本銀行は、日本銀行法(昭和十七年法律第六十七号)第二十七条の規定にかかわらず、前条第二項の譲渡し及び譲受けに係る取引を行なうことができる。
2 日本銀行は、日本銀行法第三十二条第二項及び第四項の規定にかかわらず、その保有する前条第二項に規定する債権を同法第三十二条第一項の保証に充てることができる。
3 前項の場合には、日本銀行は、同項の保証の価格を定め、大蔵大臣の認可を受けなければならない。
第十四条中「これに代るべき」を「基金通貨代用証券及び」に、「以下」を「以下この条において」に改め、「(昭和十七年法律第六十七号)」を削り、「行う」を「行なう」に改める。
第十六条中「国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律(昭和四十四年法律第十九号)の施行の日における」を削り、同条に次の一項を加える。
2 政府は、国際通貨基金協定の円滑な履行を確保するため必要があると認めるときは、前項の規定によるもののほか、外国為替資金特別会計の負担において、特別引出権の配分を受け入れることができる。
第十八条第三項を次のように改め、同条第四項を削る。
3 第十二条第二項及び第三項の規定は、日本銀行の保有する特別引出権について準用する。
第十九条を第二十条とし、同条の前に次の一条を加える。
(理事の任命)
第十九条 国際通貨基金協定第十二条第三項又は国際復興開発銀行協定第五条第四項の規定による基金又は銀行の理事の任命は、内閣が行なう。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 政府は、改正後の国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律(以下「改正後の加盟措置法」という。)第二条第四項の規定により国際通貨基金(以下「基金」という。)に対して行なう出資の財源に充てるため、昭和四十五年度において、四百四十四億六千万円を限り、外国為替資金特別会計法(昭和二十六年法律第五十六号)第十三条に規定する積立金から外国為替資金に組み入れることができる。
3 この法律の施行前に改正前の国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律(以下「改正前の加盟措置法」という。)の規定により出資し、発行し、日本銀行が買い取り、又は基金に引き渡した国債は、それぞれ改正後の加盟措置法の相当規定により出資し、発行し、日本銀行が買い取り、又は基金に引き渡した基金通貨代用証券又は国債とみなす。
4 外国為替資金特別会計法の一部を次のように改正する。
第一条中「これに伴う取引」の下に「(国際通貨基金とのその他の取引を含む。)」を加える。
第五条中第六項を第七項とし、第五項を第六項とし、第四項の次に次の一項を加える。
5 外国為替資金に属する外国為替等及び現金は、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律第二条の規定による国際通貨基金に対する出資及び基金通貨代用証券(同法第五条第一項に規定する基金通貨代用証券をいう。以下同じ。)の償還に充てることができる。
第九条中「円貨代り金とし」の下に「、国際通貨基金協定第五条第九項の規定による報酬を含み」を、「利益を除く。以下同じ。)」の下に「、第十二条の二の規定による一般会計からの繰入金」を加え、「、第十四条第二項の規定による一般会計からの補てん金及び」を「並びに」に、「及び融通証券の利子、融通証券」を「、融通証券及び基金通貨代用証券の利子、融通証券及び基金通貨代用証券」に改める。
第十二条の次に次の一条を加える。
(一般会計からの繰入れ)
第十二条の二 政府は、この会計の収入支出の状況により必要があると認めるときは、予算の範囲内において、一般会計からこの会計に繰入金をすることができる。
第十三条中「収益金」の下に「、前条の規定による一般会計からの繰入金」を加え、「及び融通証券の利子、融通証券」を「、融通証券及び基金通貨代用証券の利子、融通証券及び基金通貨代用証券」に改める。
第十四条第二項を削る。
第十八条の見出し中「外国為替資金」を「外国為替資金等」に改め、同条第一項中「外国為替資金」の下に「若しくは第十三条に規定する積立金」を加える。
第二十条中「第十八条第一項」を「基金通貨代用証券の利子、第十八条第一項」に、「融通証券の発行」を「融通証券及び基金通貨代用証券の発行」に改める。
第二十一条を次のように改める。
第二十一条 削除
5 前項の規定による改正後の外国為替資金特別会計法の規定は、昭和四十五年度の予算から適用する。
6 この法律の施行の際一般会計に属する権利及び義務のうち、改正前の加盟措置法第二条の規定による基金に対する出資に係るものは、外国為替資金に帰属する。この場合において、同法第五条第一項の規定により基金に出資した国債(同法第七条第一項の規定により日本銀行が買い取つたものを含む。)でこの法律の施行前に償還をしたものの額に相当する額は、一般会計に対する負債として整理し、その支払については、政令で定める。
7 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律(昭和三十五年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第三項中「第五条第三項から第五項まで(国債の発行条件)及び第六条から第十条まで(国債の償還、国債整理基金特別会計への繰入れ等)」を「第十条第三項から第七項まで(国債の発行条件、償還等)」に、「同法第五条第四項、第六条及び第七条第一項」を「同条第三項及び第四項」に改め、「基金又は」を削る。
8 アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律(昭和四十一年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。
第三条第三項中「第五条第三項から第五項まで(国債の発行条件)及び第六条から第十条まで(国債の償還、国債整理基金特別会計への繰入れ等)」を「第十条第三項から第七項まで(国債の発行条件、償還等)」に、「同法第五条第四項、第六条及び第七条第一項」を「同条第三項及び第四項」に改め、「基金又は」及び「同法第六条及び第七条第一項中」を削る。
(大蔵・内閣総理大臣署名)