港湾整備特別会計法

法律第二十五号(昭三六・三・三一)

 (設置)

第一条 港湾整備緊急措置法(昭和三十六年法律第二十四号)第三条に規定する港湾整備五箇年計画の実施に伴い、港湾整備事業(同法第二条に規定する港湾整備事業をいう。以下同じ。)で国が施行するものに関する政府の経理を明確にするため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。

2 この会計においては、前項に定めるもののほか、次の事項に関する経理を行なうものとする。

 一 直轄港湾整備事業(港湾整備事業で国が施行するもののうち次号に規定する特定港湾施設工事等以外のものをいう。以下同じ。)に密接な関連のある工事その他港湾の整備のため特に必要のある工事で運輸大臣が委託に基づき施行するもの(以下「港湾整備関係受託工事」という。)

 二 特定港湾施設工事等(特定港湾施設整備特別措置法(昭和三十四年法律第六十七号)第二条に規定する特定港湾施設工事及び当該工事に関連して施行する港湾整備事業で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に密接な関連のある工事で運輸大臣が委託に基づき施行するもの(以下「特定港湾施設関係受託工事」という。)

 三 一般会計所属港湾関係工事(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第五項に規定する港湾施設の災害復旧に関する工事、港湾整備緊急措置法第二条第一号に規定する政令で定める事業の工事及び海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第二条第一項に規定する海岸保全施設の新設、改良又は災害復旧に関する工事で運輸大臣が施行するもの並びにこれらの工事に密接な関連のある工事で運輸大臣が委託に基づき施行するものをいう。以下同じ。)の管理

 四 港湾整備事業で港湾管理者が施行するものに係る負担金又は補助金の交付

 (管理)

第二条 この会計は、運輸大臣が、法令で定めるところに従い、管理する。

 (勘定区分)

第三条 この会計は、港湾整備勘定及び特定港湾施設工事勘定に区分する。

 (港湾整備勘定の歳入及び歳出)

第四条 港湾整備勘定においては、次に掲げる収入及び附属雑収入をもつてその歳入とする。

 一 第七条第一項の規定による一般会計からの繰入金及び第八条第一項の規定による特定港湾施設工事勘定からの繰入金

 二 港湾法第五十二条第二項において準用する同法第四十二条第一項本文若しくは第二項、同法第五十二条第三項又は北海道開発のためにする港湾工事に関する法律(昭和二十六年法律第七十三号)第三条第二項において準用する同法第二条第一項の規定による負担金で、直轄港湾整備事業に係るもの

 三 港湾整備関係受託工事に係る納付金

2 港湾整備勘定においては、次に掲げる費用及び附属諸費をもつてその歳出とする。

 一 直轄港湾整備事業及び港湾整備関係受託工事に関する費用(国が北海道で行なうこれらの事業又は工事に関する職員の給与に要する費用その他の事務費を除く。)

 二 一般会計所属港湾関係工事、特定港湾施設工事等及び特定港湾施設関係受託工事に関する事務費(国が北海道で行なうこれらの工事に関する事務費を除く。)

 三 港湾整備事業で港湾管理者が施行するものに係る負担金及び補助金

 四 第九条の規定による一般会計への繰入金


 (特定港湾施設工事勘定の歳入及び歳出)

第五条 特定港湾施設工事勘定においては、次に掲げる収入及び附属雑収入をもつてその歳入とする。

 一 第七条第二項の規定による一般会計からの繰入金

 二 港湾法第五十二条第二項において準用する同法第四十二条第一項本文若しくは第二項、北海道開発のためにする港湾工事に関する法律第三条第二項において準用する同法第二条第一項、特定港湾施設整備特別措置法第四条又は企業合理化促進法(昭和二十七年法律第五号)第八条第四項後段の規定による負担金で、特定港湾施設工事等に係るもの

 三 特定港湾施設関係受託工事に係る納付金

2 特定港湾施設工事勘定においては、次に掲げる費用及び附属諸費をもつてその歳出とする。

 一 特定港湾施設工事等及び特定港湾施設関係受託工事に関する費用(これらの工事に関する事務費を除く。)

 二 第八条第一項の規定による港湾整備勘定への繰入金

 三 第九条の規定による一般会計への繰入金


 (特定港湾施設工事勘定の歳入及び歳出等の整理)

第六条 特定港湾施設工事勘定においては、歳入及び歳出並びに資産及び負債を工事別その他の政令で定める区分(以下「工事別等の区分」という。)に従つて整理しなければならない。


 (一般会計からの繰入れ)

第七条 直轄港湾整備事業に関する費用で国庫が負担するもの、一般会計所属港湾関係工事に関する事務費並びに港湾整備事業で港湾管理者が施行するものに係る負担金及び補助金の額に相当する金額は、毎会計年度、一般会計から港湾整備勘定に繰り入れるものとする。

2 特定港湾施設工事等に関する費用で国庫が負担するものの額に相当する金額は、毎会計年度、一般会計から工事別等の区分に従つて、特定港湾施設工事勘定に繰り入れるものとする。

3 前二項の規定による繰入れは、国が北海道において行なう事業又は工事に関する事務費の額その他政令で定める額に相当する金額を除き、予算の範囲内において政令で定めるところにより行なうものとする。


 (特定港湾施設工事勘定からの港湾整備勘定への繰入れ)

第八条 特定港湾施設工事等及び特定港湾施設関係受託工事に関する事務費の額に相当する金額は、毎会計年度、工事別等の区分に従つて、特定港湾施設工事勘定から港湾整備勘定に繰り入れるものとする。

2 前条第三項の規定は、前項の規定による繰入れについて準用する。


 (一般会計への繰入れ)

第九条 港湾整備関係受託工事及び特定港湾施設関係受託工事に係る納付金のうち、当該工事について一般会計において支弁した政令で定める経費の額に相当する金額は、当該納付金を収納した年度内において、港湾整備関係受託工事に係るものにあつては港湾整備勘定から、特定港湾施設関係受託工事に係るものにあつては、工事別等の区分に従つて、特定港湾施設工事勘定から、それぞれ一般会計に繰り入れるものとする。


 (歳入歳出予定計算書等の作成及び送付)

第十条 運輸大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書、繰越明許費要求書及び国庫債務負担行為要求書(以下「歳入歳出予定計算書等」という。)を作成し、大蔵大臣に送付しなければならない。

2 前項の歳入歳出予定計算書等には、次に掲げる書類を添附しなければならない。

 一 前前年度の事業実績表並びに前年度及び当該年度の事業計画表

 二 国庫債務負担行為で翌年度以後にわたるものについての前年度末までの支出額及び支出額の見込み、当該年度以後の支出予定額並びに数会計年度にわたる事業又は工事に伴なうものについてはその全体の計画及びその進行状況等に関する調書

3 前項各号の書類のうち特定港湾施設工事勘定に係るものは、工事別等の区分に従つて作成するものとする。ただし、当該年度の事業計画表については、この限りでない。


 (歳入歳出予算の区分)

第十一条 この会計の歳入歳出予算は、港湾整備勘定及び特定港湾施設工事勘定に区分し、各勘定において、歳入にあつては、その性質に従つて款及び項に区分し、歳出にあつては、その目的に従つて項に区分する。


 (国庫債務負担行為の区分)

第十二条 この会計の国庫債務負担行為は、港湾整備勘定及び特定港湾施設工事勘定の区分に従い、更に特定港湾施設工事勘定にあつては工事別に、その必要の理由を明らかにし、かつ、これをする年度及び債務負担の限度額を明らかにし、また、必要に応じ、これに基づいて支出をすべき年度、年限又は年割額を示さなければならない。


 (予算の作成及び提出)

第十三条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。

2 前項の予算には、第十条第一項に規定する歳入歳出予定計算書等及び同条第二項各号に掲げる書類を添附しなければならない。この場合においては、同条第三項の規定を準用する。


 (特定港湾施設工事勘定の予算の執行)

第十四条 特定港湾施設工事勘定の予算で、その項又は目が工事別等の区分によつていないものの配賦は、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十一条第二項の規定によるほか、工事別等の区分により行なうものとする。

2 特定港湾施設工事勘定の工事別等の区分に応ずる収入金は、当該区分に応ずる費用の財源に充てるものとする。この場合において、その収入金のうち当該費用の財源に充てる必要がない剰余を生じたときにおける当該剰余の処理について必要な事項は、政令で定める。

3 特定港湾施設工事勘定において、工事別等の区分による歳出予算の金額を支出するには、当該区分による歳入の収納済額をこえてはならない。


 (予備費の使用)

第十五条 港湾整備勘定の予備費は、当該年度の予見し難い必要に基づく経費の財源に充てるための特別の収入その他政令で定める収入の収納済額に相当する額を限度として、使用することができる。

2 特定港湾施設工事勘定の予備費は、当該年度の予見し難い必要に基づく経費の財源に充てるための特別の収入その他政令で定める収入の収納済額で工事別等の区分によるものに相当する額を限度として、工事別等の区分に従つて使用することができる。


 (歳入歳出決定計算書の作成及び送付)

第十六条 運輸大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分によるほか、特定港湾施設工事勘定にあつては工事別等の区分に従つて、この会計の歳入歳出決定計算書を作成し、大蔵大臣に送付しなければならない。

2 前項の歳入歳出決定計算書には、次に掲げる書類を添附しなければならない。

 一 当該年度の事業実績表

 二 債務に関する計算書

3 第十条第三項本文の規定は、前項の書類について準用する。


 (歳入歳出決算の作成及び提出)

第十七条 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。

2 前項の歳入歳出決算には、前条第一項に規定する歳入歳出決定計算書及び同条第二項各号に掲げる書類を添附しなければならない。


 (剰余金の繰入れ)

第十八条 港湾整備勘定において、毎会計年度の歳入歳出の決算上剰余を生じたときは、これを翌年度の歳入に繰り入れるものとする。

2 特定港湾施設工事勘定において、毎会計年度の歳入歳出の決算上剰余を生じたときは、これを工事別等の区分により翌年度の歳入に繰り入れるものとする。


 (余裕金の預託)

第十九条 港湾整備勘定において、支払上現金に余裕があるときは、資金運用部に預託することができる。

2 特定港湾施設工事勘定において、工事別等の区分に応ずる支払上現金に余裕があるときは、当該区分に従つて、資金運用部に預託することができる。


 (実施規定)

第二十条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。


   附 則

1 この法律は、昭和三十六年四月一日から施行する。

2 特定港湾施設工事特別会計法(昭和三十四年法律第六十八号)は、廃止する。

3 特定港湾施設工事特別会計の昭和三十五年度の収入及び支出並びに同年度以前の年度の決算に関しては、なお従前の例による。

4 昭和三十五年度以前の年度の一般会計の直轄港湾整備事業の施行又は一般会計所属港湾関係工事の管理に関する予算(昭和三十六年度に繰り越したものを含む。)に係る一般会計所属の資産及び負債は、政令で定めるところにより、この会計の港湾整備勘定又は特定港湾施設工事勘定に帰属する。

5 特定港湾施設工事特別会計の廃止の際同会計に属する資産及び負債は、政令で定めるところにより、この会計の港湾整備勘定又は特定港湾施設工事勘定に帰属する。

6 前項の規定によりこの会計の港湾整備勘定又は特定港湾施設工事勘定に帰属した地方債証券(港湾法に基づく港務局の発行する債券を含む。以下同じ。)の償還金及び利子は、それぞれその帰属した勘定の歳入とし、同項の規定によりこれらの勘定に帰属した旧特定港湾施設工事特別会計の借入金の償還及び利子は、それぞれその帰属した勘定の歳出とする。

7 前項に規定する地方債証券の償還金及び利子は、同項に規定する借入金の償還金及び利子の財源に充てるものとし、その財源に充ててなお残余があるときは、その残余の額は、直轄港湾整備事業又は特定港湾施設工事等に関する費用のうち国庫が負担するものの財源に充てなければならない。

8 第六項に規定する借入金の償還に関する事務は、大蔵大臣が行なう。

9 第六項に規定する借入金の償還金及び利子の額に相当する金額は、特定港湾施設工事等に係るものにあつては工事別等の区分に従つて特定港湾施設工事勘定から、その他の工事に係るものにあつては港湾整備勘定から、それぞれ国債整理基金特別会計に繰り入れるものとする。

10 特定港湾施設工事特別会計の昭和三十五年度分の歳出予算の経費の金額のうち財政法第十四条の三第一項又は第四十二条ただし書の規定により翌年度に繰り越して使用することができるものがあるときは、その使用は、特定港湾施設工事等に係るものにあつては特定港湾施設工事勘定において、その他の工事に係るものにあつては港湾整備勘定において行なうものとする。

11 第十条第二項又は第十三条第二項の規定によりこの会計の歳入歳出予定計算書等又は予算に添附すべき前前年度の事業実績表及び前年度の事業計画表は、昭和三十六年度分(前前年度の事業実績表については、昭和三十七年度分を含む。)に限り、これらの規定にかかわらず、その添附を要しないものとする。

12 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。

  第二十六条第一項第三号の二中「特定港湾施設工事特別会計」を「港湾整備特別会計」に改める。

13 退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律(昭和二十五年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「特定港湾施設工事特別会計」を「港湾整備特別会計」に改める。

14 特定港湾施設整備特別措置法の一部を次のように改正する。

  第四条第四項を削る。

(大蔵・運輸・内閣総理大臣署名) 

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