国家公務員共済組合法
法律第六十九号(昭二三・六・三〇)
国家公務員共済組合法目次
第一章 総則
第二章 組合員
第三章 給付
第四章 福祉施設
第五章 掛金及び国庫負担金
第六章 共済組合審査会
第七章 雑則
国家公務員共済組合法
第一章 総則
(目的及び組織)
第一条 国に使用される者で国庫から報酬を受けるもの(以下職員という。)は、この法律の定めるところにより、相互救済を目的とする共済組合(以下組合という。)を組織する。但し、左の各号に掲げるものを除く。
一 常時勤務に服しない者
二 臨時に使用される者(雇ようの日から二月を超える者を除く。)
三 公団及び特別調達庁の職員のうち政府の管掌する健康保険の被保険者又は健康保険組合の被保険者
四 連合国軍の需要に応じて連合国軍のために労務に服する者
五 公共事業費をもつて経費の全部又は一部を支弁する事業に係る労務に服する者
六 未復員者給与法(昭和二十二年法律第百八十二号)の適用を受ける者
(組合の設置区分)
第二条 組合は、衆議院、参議院、内閣(総理庁を含む。)、法務庁、各省、裁判所及び会計検査院(以下各省各庁という。)ごとにそれぞれこれを設ける。
2 前項に定めるものの外、左の各号の一に該当する職員を単位として、当該各号に掲げる名省各庁に、それぞれ別に一組合を設ける。
一 国家地方警察及び国家消防庁に属する職員 総理庁
二 副看守長及び看守 法務庁
三 専売局に属する職員並びにアルコールの専売及びアルコール専売法(昭和十二年法律第三十二号)第二条に規定するアルコール以外のアルコール類及びケトン類の製造に関する事務に従事する職員 大蔵省
四 印刷局に属する職員 大蔵省
五 造幣局に属する職員 大蔵省
六 国立学校に属する職員 文部省
七 営林局(営林署を含む。)に属する職員 農林省
八 運輸省に属し陸運に関する事務並びに国有鉄道に関連する国有船舶及び倉庫営業(臨港倉庫に係るものを除く。)に関する事務に従事する職員 運輸省
九 建設省の地方建設局(第一技術研究所を含む。)に属する職員並びに運輸省の地方支分部局に属し港湾の建設又は保存に関する事務に従事する職員 建設省
3 前項各号の規定により設けられた組合の組合員の範囲は、当該組合の共済組合運営規則(以下運営規則という。)により、これを定める。
(組合の管理)
第三条 組合は法人とする。
2 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、法務総裁、各省大臣、最高裁判所長官及び会計検査院長(以下各省各庁の長という。)は、この法律に基いて、それぞれその各省各庁に設けられた組合を代表し、その事業を執行する。
3 各省各庁の長は、前項の規定により、組合の事業を執行するに必要な運営規則を定めるものとする。
4 各省各庁の長が、運営規則を定める場合においては、あらかじめ大蔵大臣に協議しなければならない。
5 運営規則には、左に掲げる事項を規定するものとする。
一 組合の事業を執行する権限の一部を委任する場合においては、その委任に関する事項
二 組合員に関する事項
三 掛金に関する事項
四 資産の管理その他財務に関する事項
五 共済組合運営審議会及び共済組合審査会に関する事項
六 その他組合の事業執行に関して必要な事項
(組合の住所)
第四条 組合は、各省各庁の長の指定する地に主たる事務所を置く。
2 組合は、大蔵大臣の承認を受けて、その事業を執行するために従たる事務所を設けることができる。
(組合運営審議会)
第五条 組合の適正な運営を図るため、各組合に共済組合運営審議会(以下運営審議会という。)を置く。
2 運営審議会の委員は十名以内とし、当該組合の組合員のうちから、各省各庁の長が、これを命ずる。
3 各省各庁の長が、前項の規定により委員を命ずる場合においては、一部の者の利益に偏することのないように相当の注意を払わなければならない。
第六条 左に掲げる事項は、運営審議会の議を経なければならない。
一 運営規則のうち第三条第五項第二号から第六号までに掲げる事項に関する部分の制定及び改廃
二 組合の毎事業年度の予算及び決算
三 重要な財産の処分又は重大な義務の負担
四 訴訟、訴願の提起及び和解
五 その他各省各庁の長又は運営審議会において特に重要であると認めた事項
2 前項に定める事項の外、運営審議会は、各省各庁の長の諮問に応じ、又は必要と認める事項につき各省各庁の長に建議することができる。
(事務職員及び国の施設の利用)
第七条 各省各庁の長は、組合の運営に必要な範囲内において、大蔵大臣の承認を受けて、その各省各庁に所属する職員をして組合の事務に従事させ、又はその管理に係る施設を組合の利用に供することができる。
(会計)
第八条 組合の事業年度は、毎年四月一日から翌年三月三十一日までとする。
2 組合の会計組織は、大蔵大臣がこれを定めるものとし、組合は、その財産目録、貸借対照表及び収支計算書に関する報告書を少くとも毎事業年度末及び大蔵大臣の指定するときに、大蔵大臣に提出しなければならない。
3 前項に規定する書類は、大蔵大臣の承認を受けることを要し、その承認を受けたときは、組合はその書類の写をすべての組合員の閲覧に供しなければならない。
(大蔵大臣の権限)
第九条 組合の事業の執行は、大蔵大臣が、これを監督する。
2 組合は、大蔵大臣の定めるところにより、毎月末日現在におけるその事業についての詳細な報告を、大蔵大臣と厚生大臣とに提出しなければならない。
3 大蔵大臣は、毎年少くとも一回、組合の資産及び会計について監査するものとする。
(非課税)
第十条 組合には、所得税及び法人税を課さない。
2 組合の給付として支給を受ける金品のうち、退職給付及び休業手当金以外の給付については、これを標準として、所得税を課さない。
3 第十七条に掲げる給付に関する証書及び帳簿には、印紙税を課さない。
4 地方公共団体は、組合の事業に対しては、地方税を課することができない。
(無料証明)
第十一条 組合又はこの法律に基いて給付を受くべき者は、その行う給付又はその受ける給付に関し必要な範囲内において、国、市町村長(東京都の特別区のある地域及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百五十五条第二項の市にあつては区長。)又はその代理者に対し、無料で証明を求めることができる。
第二章 組合員
(組合員の資格の取得)
第十二条 職員は、第一条各号に掲げる者を除き、その職員となつた日(第一条各号の一に該当する者がこれに該当しない職員となつたときにはそのなつた日)から、各省各庁につき第二条の規定により設けられる組合の組合員たる資格を取得する。
(組合員の資格の喪失)
第十三条 組合員は、左に掲げる事由に該当するに至つたときはその翌日(第四号に該当する場合はその該当するに至つた日)から、その組合の組合員たる資格を喪失する。
一 死亡したとき。
二 退職したとき。
三 職員が第一条各号に掲げる職員となつたとき。
四 他の組合の組合員たる資格を取得したとき。
(期間計算の方法)
第十四条 組合員たる期間の計算は、組合員たる資格を取得した日の属する月からこれを起算し、その資格を喪失した日の属する月をもつて終るものとする。
第十五条 組合員が、他の組合の組合員たる資格を取得したときは、もとの組合の組合員であつた期間(他の組合の組合員たる資格を取得した日の属する月を含まない。)は、これをその者があらたに組合員たる資格を取得した組合の組合員たる期間とみなす。
(責任準備金の移換)
第十六条 組合員が、他の組合の組合員たる資格を取得した場合は、もとの組合はその者に係る責任準備金に相当する金額を他の組合に移換しなければならない。但し、命令で指定する組合相互の間については、この限りでない。
2 第八十一条に規定する組合は、船員たる組合員が組合員としての資格を喪失したときにおいて、なお船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)の適用を受ける場合においては、その者に係る責任準備金に相当する金額を、船員保険特別会計に移換しなければならない。
3 前二項の責任準備金の計算については、命令で、これを定める。
第三章 給付
第一節 通則
(組合の給付)
第十七条 組合は、この法律の定めるところにより、組合員の疾病、負傷、廃疾、死亡、分べん、退職、災厄若しくは休業又はその被扶養者の疾病、負傷、死亡、分べん、若しくは災厄に関して、左の各号に掲げる給付を行う。
一 保健給付
二 退職給付
三 廃疾給付
四 遺族給付
五 罹災給付
六 休業給付
(被扶養者の範囲)
第十八条 この法律において被扶養者とは、組合員の直系尊属、配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)、子及び組合員と同一の世帯に属する者で主としてその収入により生計を維持するものとする。
(給付額の算定方法)
第十九条 給付額算定の基準となるべき俸給は、給付事由発生当時(給付事由が退職後に発生したものにあつては退職当時)の掛金の標準となつた俸給とし、その三十分の一(休業給付にあつてはその二十五分の一)をもつて俸給日額とする。
2 給付額に円位未満の端数を生じたときは、これを円位に満たしめる。
(年金の支給の始期及び終期)
第二十条 年金たる給付は、その給付事由の生じた月の翌月からその事由の止んだ月までこれを支給する。
2 年金の支給については、月割計算とし、毎年三月、六月、九月及び十二月においてその前月分までを支給する。但し、年金の給付事由が止んだとき又はその支給を停止したとき若しくはこれを受ける権利が消滅したときは、その支給期月にかかわらず、その時までの分を支給する。
(年金を受くべき遺族の範囲)
第二十一条 年金を受くべき遺族の範囲は、組合員又は組合員であつて引き続きこの法律によつて年金を受けていた者(組合員であつた者という。以下この節及び第六十二条において同じ。)の配偶者並びに子、父母、孫及び祖父母で、組合員又は組合員又は組合員であつた者の死亡当時主としてその収入によつて生計を維持していた者とする。
2 組合員又は組合員であつた者の死亡当時胎児であつた子が出生したときは、前項の規定の適用については、組合員又は組合員であつた者の死亡当時主としてその収入によつて生計を維持していた者とみなす。
第二十二条 前条第一項に規定する遺族のうち組合員又は組合員であつた者の死亡当時年齢満十八歳未満の子又は孫にあつては、まだ婚姻(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情に入つていると認められる場合を含む。以下同じ。)していない場合に限り、年齢満十八歳以上の子又は孫にあつては、組合員又は組合員であつた者の死亡当時から引き続き不具廃疾で生活資料を得る途がない場合に限り、年金を支給する。
(年金以外の給付を受くべき遺族の範囲)
第二十三条 年金以外の給付を受くべき組合員又は組合員であつた者の遺族の範囲は、左の各号に掲げる者とする。
一 組合員又は組合員であつた者の配偶者
二 組合員又は組合員であつた者の子、父母、孫及び祖父母で組合員又は組合員であつた者の死亡当時主としてその収入によつて生計を維持していたもの
三 前号に掲げる者を除く外組合員又は組合員であった者の死亡当時主としてその収入によつて生計を維持していた者
四 組合員又は組合員であつた者の子、父母、孫及び祖父母で第二号に該当しないもの
(給付を受くべき遺族の順位)
第二十四条 組合員又は組合員であつた者が死亡した場合において給付を受くべき遺族の順位は、左の各号に掲げる者とする。
一 年金を受ける者の順位は、第二十一条第一項に掲げる順序
二 年金以外の給付を受ける者の順位は、前条各号の順序。但し、同条第二号又は第四号に掲げる者の間においては、それぞれ当該各号に掲げる順序
2 前項の場合において、父母については養父母を先にし実父母を後にし、祖父母については養父母の父母を先にし実父母の父母を後にし、父母の養父母を先にし父母の実父母を後にする。
(給付の併給)
第二十五条 二以上の給付事由が同時に存したときは、左に掲げる場合を除くの外、当該各種の給付を併給するものとする。
一 出産手当金の支給をなす場合においては、その支給期間内は傷病手当金はこれを支給しない。
二 傷病手当金又は出産手当金を受ける期間については、休業手当金はこれを支給しない。
三 廃疾年金を受ける権利を有する者には、退職給付はこれを行わない。
四 退職年金を受ける権利を有する者には、廃疾一時金はこれを支給しない。
(給付金からの控除)
第二十六条 組合員が、組合員たる資格を喪失したときその者に支給すべき給付金がある場合において、その者が組合に対して支払うべき金額があるときは、給付金からこれを控除する。
(時効)
第二十七条 この法律に基く給付を受ける権利は、その給付事由発生の日から年金たる給付については五年間、その他の給付については二年間、これを行わないときは、時効に因り消滅する。
(給付を受ける権利の保護)
第二十八条 給付を受ける権利は、これを譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
(損害賠償の請求権)
第二十九条 組合は、給付事由が第三者の行為に因りて生じた場合においては、当該給付事由に対して行うべき給付の価額の限度で、給付を受ける権利を有する者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
第二節 保健給付
(療養の給付)
第三十条 組合員が、公務に因らないで疾病にかかり、又は負傷した場合においては、組合は、左に掲げる療養の給付を行う。
一 診察
二 薬剤又は治療材料の支給
三 処置、手術その他の治療
四 病院又は診療所への収容
五 看護
六 移送
2 前項第五号及び第六号の給付は、組合が必要と認めた場合に限りこれを行うものとする。
第三十一条 前条第一項第一号から第四号までの給付は、組合の指定する医師、歯科医師、薬剤師、その他の療養機関(以下指定医という。)のうち自己の選定したものについて、これを受けるものとし、組合は、厚生大臣の定める基準に従つて、その費用を指定医に支払うものとする。
(療養費)
第三十二条 組合員が、指定医以外のものについて第三十条各号に掲げる療養を受けたときは、療養の給付に替えて療養費を支給する。
2 前項の療養費の額は、組合が療養に要する費用を標準として厚生大臣の定める基準に従つて、これを定める。但し、組合員が現に支払つた額をこえることはできない。
(家族療養費)
第三十三条 組合は、その組合員の被扶養者が指定医につき第三十条各号に掲げる療養を受けた場合においては、組合は、第三十条及び第三十一条の規定により必要と定められた費用の半額を指定医に支払うものとする。
2 組合員の被扶養者が指定医以外のものにつき第三十条各号に掲げる療養を受けたときは、前条第二項の規定によつて定められた額の半額に相当する額を、その組合員に対し家族療養費として支給する。
(給付の支給期間)
第三十四条 療養の給付、療養費及び家族療養費は、同一の疾病並びに負傷及びこれに因り発生した疾病に関し左に掲げる事由に該当するに至つたとき以後は、これを支給しない。
一 廃疾給付を受けるに至つたとき。
二 療養の給付、療養費及び家族療養費の支給開始後三年を経過したとき。
2 組合員がその資格を喪失した際、療養の給付、療養費及び家族療養費を受けている場合においては、それらの給付は、前項第二号に規定する期間をこえて支給しない。但し、その期間内に他の組合の組合員たる資格を取得したときは、その日以後は、この限りでない。
(分べん費及び配偶者分べん費)
第三十五条 組合員が分べんしたときは、分べん費として俸給の一月分を支給する。
2 組合員であつた者が、その資格喪失後六月以内に分べんしたときもまた前項と同様とする。但し、資格喪失後分べんするまでの間に他の組合の組合員たる資格を取得したときは、もとの組合は、分べん費を支給しない。
3 組合員の被扶養者である配偶者が分べんしたときは、配偶者分べん費として俸給の半月分を支給する。
(ほ育手当金)
第三十六条 組合員又はその被扶養者である配偶者が分べん(死産の場合を除く。)し、且つ、ほ育する場合においては、ほ育手当金として分べんの日から引き続き六月間ほ育している期間一月につき百円を支給する。但し、その期間一月に満たないときは、これを一月とする。
2 前条第二項の規定は、ほ育手当金の支給に関して、これを準用する。
(埋葬料及び家族埋葬料)
第三十七条 組合員が公務に因らないで死亡したときは、その埋葬を行う者に埋葬料として、俸給の一月分に相当する額を支給する。但し、その額が二千円に満たないときは二千円とする。
2 組合員の被扶養者が死亡したときは、家族埋葬料として前項に規定する額の二分の一を支給する。
第三十八条 第三十四条第二項の規定により給付を受ける者が死亡したとき、同項の規定により給付を受けた者がその給付を受けなくなつた日後三月以内に死亡したとき又は組合員の資格を喪失した日後三月以内に死亡したときは、その埋葬を行う者に、前条第一項の規定に準じ埋葬料を支給する。
2 第三十四条第二項但書の規定は、前項の場合に、これを準用する。
第三節 退職給付
(退職年金)
第三十九条 組合員であつた期間二十年以上の者が、第十三条第二号又は第三号に規定する事由に該当し組合員たる資格を喪失したときは、その者の死亡に至るまで退職年金を支給する。但し、年齢満五十歳に達するまではその支給を停止する。
2 退職年金の年額は、俸給の四月分とし、組合員であつた期間二十年以上一年を増すごとにその一年につき俸給日額の四日分を加算する。
第四十条 退職年金の支給を受ける者が再び組合員となつたときは、その組合員となつた日の属する月から退職年金の支給を停止する。
2 前項の規定により退職年金の支給を停止された組合員が、第十三条第二号又は第三号に規定する事由に該当したときは、前後の組合員であつた期間を合算して退職年金の額を改定する。
3 前項の規定により退職年金の額を改定した場合において、その改定額が従前の退職年金の額より少いときは、従前の退職年金の額をもつて改定退職年金の額とする。
(退職一時金)
第四十一条 組合員であつた期間六月以上二十年未満の者が、第十三条第二号又は第三号に規定する事由に該当したときは、退職一時金を支給する。
2 退職一時金の額は、俸給日額に、組合員であつた期間に応じ別表第一に定める日数を乗じて得た金額とする。但し、廃疾一時金の支給を受ける者に支給すべき額は、廃疾一時金の額と合算して俸給の二十二月分を超えることができない。
第四節 廃疾給付
(廃疾年金)
第四十二条 組合員であつた期間六月以上の者が公務に因らないで疾病にかかり、又は負傷し、若しくはこれに因り発した疾病のため退職した場合において、療養の給付を受けた日又は療養費の給付事由の発生した日から起算し三年以内に治ゆしたとき又は治ゆしないがその期間を経過したとき別表第二に掲げる程度の廃疾の状態にある者には、その程度に応じて、その者の死亡に至るまで廃疾年金を支給する。
2 廃疾年金の額は、俸給に、別表第三に定める月数を乗じて得た金額とする。
3 組合員であつた期間十年以上の者に支給する廃疾年金の年額は、前項の金額に、その期間二十年に至るまでは十年以上一年を増すごとにその一年につき俸給日額の三日分を、二十年以上については二十年以上一年を増すごとにその一年につき俸給日額の四日分を加算する。
第四十三条 廃疾年金を受ける権利を有する者が、廃疾年金の支給を受ける程度の廃疾の状態に該当しなくなつたとき以後は、その廃疾年金は、これを支給しない。
第四十四条 組合員であつた期間二十年未満で廃疾年金を受ける権利を有する者が前条の規定により廃疾年金の支給を受けなくなつた場合において、すでに支給を受けた廃疾年金の総額が、その者が組合員の資格を喪失した際受けるべきであつた退職一時金と俸給十月分との合算額(その合算額が俸給二十二月分を超える場合は俸給二十二月分。)に満たないときは、その差額を支給する。
(廃疾一時金)
第四十五条 組合員であつた期間六月以上の者が公務に因らないで廃疾にかかり、又は負傷し、若しくはこれに因り発した疾病のため退職した場合において、療養の給付を受けた日又は療養費の給付事由の発生した日から起算し三年以内に治ゆしたとき又は治ゆしないがその期間を経過したとき別表第四に掲げる程度の廃疾の状態にある者には、廃疾一時金を支給する。
2 廃疾一時金の額は、俸給の十月分とする。但し、退職一時金の支給を受ける者に支
給すべき額は、退職一時金の額と合算して俸給の二十二月分を超えることができない。
第五節 遺族給付
(遺族年金)
第四十六条 組合員であつた期間二十年以上の者が死亡したときは、その者の遺族に対し遺族年金を支給する。
第四十七条 遺族年金の額は、左の区分による金額とする。
一 退職年金の支給を受ける者が死亡した場合においては、その退職年金の額の二分の一
二 組合員であつた期間二十年以上の者が、退職年金の支給を受けることなくして死亡した場合においては、その者が支給を受けるべきであつた退職年金の額の二分の一
三 組合員であつた期間二十年以上の者で、廃疾年金の支給を受ける権利を有する者が死亡した場合においては、その者が支給を受けるべきであつた退職年金の額の二分の一
(遺族年金の転給)
第四十八条 遺族年金を受ける者が左の各号の一に該当するに至つたときは、その年金を受ける権利を失う。
一 死亡したとき。
二 婚姻したとき。
三 子又は孫(不具廃疾で生活資料を得る途がない者を除く。)が年齢満十八歳に達したとき。
四 不具廃疾で生活資料を得る途がないため遺族年金を受けていた者につき、その事情が止んだとき。
2 前項の規定において遺族年金を受くべき後順位者があるときは、その者にこれを支給する。
第四十九条 遺族年金を受ける者が一年以上所在不明であるときは、次順位者の申請により、所在不明中その年金の支給を停止することができる。
2 前項の規定によつて、遺族年金を停止した場合においては、その停止期間中、その年金は、当該次順位者にこれを支給する。
(遺族一時金)
第五十条 組合員が死亡したときは、その遺族に、遺族一時金を支給する。
2 遺族一時金の額は、俸給日額に、組合員であつた期間に応じ別表第五に定める日数を乗じて得た金額とする。
(年金者遺族一時金)
第五十一条 左の各号の一に該当するときは、組合員であつた者の遺族に対し、年金者遺族一時金を支給する。
一 退職年金を受ける権利を有する者が死亡した場合において、遺族年金の支給を受くべき遺族がないとき。
二 組合員であつた期間二十年以上の者で、廃疾年金の支給を受ける権利を有するものが死亡した場合において、遺族年金の支給を受くべき遺族がないとき。
三 組合員であつた期間二十年未満の者で、廃疾年金の支給を受ける権利を有するものが死亡したとき。
四 遺族年金の支給を受ける者がその支給を受ける権利を失い、以後年金を受くべき遺族がないとき。
第五十二条 前条の一時金の額は、左の区分による。
一 前条第一号に該当する場合において、すでに支給を受けた年金の総額が、退職年金の額の六年分に満たないときは、その差額
二 前条第二号に該当する場合において、すでに支給を受けた年金の総額が、その組合員が退職の際受けるべきであつた退職年金の六年分に満たないときは、その差額
三 前条第三号に該当する場合においては、すでに支給を受けた年金の総額が、俸給日額に組合員であつた期間に応じ別表第一に定める日数を乗じて得た額と俸給の十月分との合算額(その合算額が俸給の二十二月分をこえるときは二十二月分)に満たないときは、その差額
四 前条第四号に該当する場合においては、すでに支給を受けた退職年金、廃疾年金及び遺族年金の総額が、その組合員が受けた退職年金又は受けるべきであつた退職年金の額の六年分に満たないときは、その差額
第六節 罹災給付
(弔慰金及び家族弔慰金)
第五十三条 組合員又はその被扶養者が水震火災その他の非常災害によつて死亡したときは、組合員については俸給の一月分の弔慰金をその遺族に、被扶養者については俸給の半月分の家族弔慰金を支給する。
(災害見舞金)
第五十四条 組合員がその住居又は家財に損害を受けたときは、別表第六に掲げる損害の程度に応じて、俸給に、同表に定める月数を乗じて得た金額を災害見舞金として支給する。
第七節 休業給付
(傷病手当金)
第五十五条 組合員が公務に因らないで疾病にかかり、又は負傷し療養のため引き続き勤務に服することができない場合においては、傷病手当金として、勤務に服することができなくなつた日以後三日を経過した日から、その後における勤務に服することができない期間一日につき俸給日額の十分の八に相当する金額を支給する。
2 組合員で被扶養者のないものが入院した場合において支給すべき傷病手当金は、前項の規定にかかわらず、俸給日額の十分の六に相当する金額とする。
3 傷病手当金の支給期間は、同一の疾病並びに負傷及びこれに因り発生した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算し六月間とする。
4 結核性疾病に関しては、前項の期間をこえ通じて三年に至るまでの療養のため勤務に服することができなかつた期間について、継続して傷病手当金を支給する。
5 第三十四条第二項の規定は、前二項の場合に、これを準用する。
(出産手当金)
第五十六条 組合員が分べんしたときは出産手当金として分べんの日前四十二日、分べんの日以後四十二日以内において勤務に服することができなかつた期間一日につき俸給日額の十分の八に相当する金額を支給する。組合員であつた者が、組合員の資格喪失後六月以内に分べんしたときもまた同様とする。
2 前条第二項の規定は、出産手当金の支給に関して、これを準用する。
3 組合員がその資格を喪失した際出産手当金を受けている場合においては、その給付は第一項に規定する期間内は、引き続きこれを支給する。但し、その期間内に他の組合の組合員たる資格を取得したときは、その日以後は、この限りでない。
(休業手当金)
第五十七条 組合員が、左の各号の一の事由に因り欠勤した場合においては、休業手当金としてその期間(第三号から第五号までの各号については当該各号に掲げる期間内)一日につき俸給日額の十分の六を支給する。
一 公務に因らない疾病又は負傷
二 組合員の被扶養者の疾病又は負傷
三 組合員又はその配偶者の分べん 十四日
四 組合員又はその被扶養者に係る公務に因らない不慮の災害 五日
五 組合員の婚姻又は配偶者の死亡、二親等内の血族、一親等の姻族若しくはその他の被扶養者で組合員の収入により主としてその生計を維持する者の婚姻又は葬祭 七日
六 前各号に掲げるものの外、所属機関の長が已むを得ないと認めた事由
第五十八条 傷病手当金、出産手当金又は休業手当金は、その支給期間に係る俸給の全部又は一部を受ける場合は、その受ける金額の限度において、その全部又は一部を支給しない。
第八節 給付の制限
第五十九条 この法律により給付を受くべき者が、故意に給付事由を生ぜしめたときは、当該給付事由に係る給付は、その全部又は一部を行わないことができる。その者が懲戒処分を受け、又は禁こ以上の刑に処せられたときも、また同様とする。
第六十条 組合員若しくは組合員であつた者又はその被扶養者が、正当の理由なくして療養に関する指揮に従わなかつたことにより、又は重大な過失により事故を生ぜしめたときは、その者に係る保健給付、廃疾給付又は休業給付の全部又は一部を行わないことができる。
第六十一条 保健給付、廃疾給付又は休業給付の支給に関し必要があると認めたときは、その支給に係る者につき診断を行うことができる。
2 正当の理由がなくて前項の診断を拒否した場合においては、その者に係る保健給付、廃疾給付又は休業給付の全部又は一部を支給しないことができる。
第六十二条 遺族給付の支給を受くべき者が、組合員又は組合員であつた者若しくは遺族給付の支給を受ける者を故意に死に致らしめたときは、その者については、その受くべき給付を支給しない。但し、この場合において後順位者があるときはその者に支給する。
第四章 福祉施設
第六十三条 組合は、前章に規定する給付を行う外、組合員の福祉を増進するため、左の各号に掲げる福利及び厚生に関する事業を行うことができる。
一 組合員の保健及び保養並びに教養に資する施設の経営
二 組合員の利用に供する財産の取得、管理又は貸付
三 組合員の貯金の受入又はその運用
四 組合員の臨時の支出に対する貸付
五 組合員の需要する生活必需物資の買入又は売却
2 組合が、前項に規定する事業を共同して行う必要がある場合においては、組合は、共済組合連合会(以下連合会という。)を設立することができる。
3 連合会は法人とする。
第六十四条 連合会は、主たる事務所を東京都に置く。
2 連合会は、大蔵大臣の認可を受けて前条に規定する事業を行うため、必要な地に従たる事務所を設けることができる。
3 連合会に加入している組合は、連合会の事業を執行するに要する費用に充てるためその組合に対し国庫が払い込む負担金(第十七条第二号から第四号までに掲げる給付に要するものを除く。)の百分の五に相当する金額を、その払込があるごとに、連合会に払い込まなければならない。
第六十五条 連合会は、定款をもつて左に掲げる事項を規定し、大蔵大臣の認可を受けなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 加入及び脱退に関する事項
五 役員に関する事項
六 資産の管理及び会計に関する事項
2 定款は、大蔵大臣の認可を受けなければ、これを変更することができない。
第六十六条 連合会は、前条の定款の認可の日に成立する。
第六十七条 第八条第一項及び第二項、第九条第一項並びに第十条第一項及び第四項の規定は、連合会に関して、これを準用する。
第五章 掛金及び国庫負担金
(掛金)
第六十八条 組合員は、組合の給付に要する費用に充てるため、掛金を負担する。
2 前項の掛金は、組合員の俸給を標準としてこれを算定するものとし、その俸給と掛金との割合は各組合につき、運営規則でこれを定める。
(国庫負担金)
第六十九条 国庫は、左の各号に掲げる金額を負担し、各省各庁の長は、これを毎月組合に払い込むものとする。
一 保険給付、罹災給付及び休業給付に要する費用の二分の一
二 退職給付、廃疾給付及び遺族給付に要する費用の百分の五十五
三 組合の事務に要する費用の全額
2 前項第三号に規定する組合の事務に要する費用は、毎年度予算をもつてこれを定める。
第七十条 組合員の俸給支給機関は、毎月俸給支給の際その俸給から運営規則に定める掛金に相当する金額を控除してこれをその所属する組合に払い込まなければならない。
第六章 共済組合審査会
(審査の請求)
第七十一条 給付に関する決定又は掛金の徴収に対し異議のある者は、直接共済組合審査会(以下審査会という。)に対し、或は組合の地方支部を通じて文書又は口頭をもつて審査会に対し審査を請求することができる。
2 前項の規定による給付に関する決定に対する審査の請求は、時効の中断に関しては、これを裁判上の請求とみなす。
3 第一項の審査の請求は、決定又は徴収の通知があつた日から六十日以内にこれをなさなければならない。
(審査会)
第七十二条 審査会は、各組合ごとにこれを置き、前条第一項の規定によりその権限に属せしめられた事項を掌る。但し、命令で定める場合においては、二以上の組合に一の審査会を置くことができる。
2 審査会は、第三条第二項の決定により、組合を代表する各省各庁の長の所轄に属する。但し、前項但書の規定により、二以上の組合に一の審査会を置いた場合においては、当該関係組合を代表する各省各庁の長の協議により、そのいずれか一人がそれを所轄する。
第七十三条 審査会は、委員九人をもつて、これを組織する。
2 前項の委員は、組合員を代表する者、政府を代表する者及び公益を代表する者各々三人とし、前条第二項の各省各庁の長がこれを委嘱する。但し、公益を代表する者の委嘱については、各省各長の長は、運営審議会の同意を得なければならない。
3 委員の任期は、三年とする。
4 委員に欠員を生じた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
第七十四条 審査会の委員は、公益を代表する委員のうちから、会長を選挙する。
2 会長は、会務を総理する。
3 会長に事故がある場合においては、委員は、公益を代表する他の委員のうちから会長の職務を代理する者を選挙する。
第七十五条 審査会は、会長が委員に対して適当な方法で通知をしてこれを招集し、その議事は、会長を除く出席委員の過半数でこれを決する。可否同数である場合には、会長の決するところによる。
2 審査会は、組合を代表する委員、政府を代表する委員及び公益を代表する委員が各々少くとも一人以上出席しなければ、議事を開き議決をすることができない。
3 会長は、第七十一条第一項の規定による請求があつた場合においては、遅滞なく審査会を招集しなければならない。
第七十六条 関係人及び証人は、会長の許可を受けて審査会の会議に出席し、意見を述べることができる。
第七十七条 審査会は、審査のため必要があると認める場合においては、如何なる関係人に対しても意見を求め、又は審査を請求した者に対して報告をさせ、若しくは出頭を命じ、又は給付の決定に関する請求の場合には医師に診断若しくは検案をさせることができる。
第七十八条 審査会の決定は、審査の請求を受けた日から起算して六十日以内に、これをなさなければならない。
2 審査会の決定の通知は、決定のあつた日から起算して七日以内に、文書で、組合及び請求者に対してこれを通知しなければならない。
第七十九条 審査会の委員の報酬及び旅費並びに第七十七条の規定により出頭を命じた関係人の旅費その他審査会に関し必要な事項は、政令で、これを定める。
第七章 雑則
(医療に関する事項)
第八十条 組合は、この法律の医療に関する事項については、随時厚生大臣に連絡をしなければならない。
(船員たる組合員に対する例外)
第八十一条 命令で指定する組合の組合員で船員保険の被保険者であるもの(以下船員たる組合員という。)の船員たる組合員としての資格の得喪及び期間の計算については、船員保険法の定めるところによる。
第八十二条 船員たる組合員又は船員たる組合員であつた組合員が、第十三条第一号から第三号に規定する事由に該当したときの退職給付又は遺族給付は、左の各号のうち組合員に有利ないずれか一つの給付とする。
一 組合員として受けるべき退職給付又は遺族給付と命令で指定する組合の組合員でなかつた船員保険の被保険者であつた期間がある場合のその期間に対する船員保険法に規定する養老年金又は脱退手当金若しくは遺族年金との併給
二 船員として受けるべき船員保険法の規定する養老年金、脱退手当金又は遺族年金と、船員たる組合員でない組合員であつた期間がある場合のその期間に対する組合員として受けるべき退職給付又は遺族給付との併給
第八十三条 前条に規定する場合の外、船員たる組合員又は船員たる組合員であつた組合員に対する給付は、組合員として受けるべき給付と、船員たる組合員として受けるべき船員保険法に指定する給付(失業に関する給付を除く。)とのうち、組合員に有利ないずれか一つを支給するものとする。
(国家公務員法との関係)
第八十四条 この法律は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)に定める諸条項にすべての点において従属し、且つ、いかなる点においてもこれにてい触しないものとする。又、従つて、国家公務員法の規定、同法に基く法律、政令又は人事委員会規則が施行せられたときは、これとてい触するこの法律の規定は、その効力を失うものとする。
附 則
(施行期日)
第八十五条 この法律は、昭和二十三年七月一日から、これを施行する。
(地方職員の取扱)
第八十六条 国に使用される者で地方公共団体から報酬を受けるもの又は地方公共団体の事務所に使用される者は、命令の定めるところにより、当分の間、この法律に基いて設けられた組合(以下新組合という。)の組合員となる。
2 前項の規定に該当する者で、国庫から報酬を受ける者以外の者に対するこの法律の適用については、第六十四条及び第六十九条中「国庫」とあるのは「地方公共団体」、第七条及び第六十九条中「各省各庁の長」とあるのは「都道府県知事」、第十九条中「俸給」とあるのは「給与」、第六十八条及び第七十条中「俸給」とあるのは「掛金算定の標準となつた給与」及びこの法律で「職員」とあるのは「国に使用される者で地方公共団体から報酬を受けるもの又は地方公共団体の事務所に使用される者」と読み替えるものとする。
3 第一項の組合員に対する給付額算定の基準となすべき給与については、命令で特別の定をなすことができる。
(旧法による共済組合の取扱)
第八十七条 この法律施行の際現に存する従前の法令に基いて組織された共済組合(以下旧組合という。)は、命令の定めるところにより、この法律に基いて組織されたものとみなす。但し、命令で指定する旧組合(以下廃止組合という。)については、この限りでない。
(旧組合の権利義務の承継)
第八十八条 廃止組合の管理に係る権利義務の承継に関しては、命令で、これを定める。
(旧組合員の取扱)
第八十九条 廃止組合の組合員で、新組合の組合員たる資格を有するものは、この法律施行の日において、その者の所属する各省各庁に設けられた組合の組合員となつたものとみなす。
2 廃止組合の組合員で新組合の組合員たる資格を有しないものは、この法律施行の日において、命令で指定する新組合の組合員となつたものとみなす。
3 廃止組合以外の旧組合の組合員で新組合の組合員たる資格を有しないものは、この法律施行の日において、命令で指定する新組合の組合員となつたものとみなす。
4 警察法(昭和二十二年法律第百九十六号)及び消防組織法(昭和二十二年法律第二百三十六号)施行の日からこの法律施行の日まで自治体警察の職員又は自治体消防の職員であつた者は、その職員であつた期間これを従前の警察共済組合令(大正九年勅令第四十四号)に基いて組織された組合の組合員であつたものとする。
(すでに給付事由の発生している給付の取扱)
第九十条 この法律施行の日前に、すでに給付事由が発生している給付及びこの法律施行の日前に給付の原因たる事故が発生し、この法律施行の日以後にその給付事由が発生した給付については、なお従前の法令の規定により支給する。
(組合員たる期間計算の特例)
第九十一条 この法律施行の際新組合の組合員である者のこの法律施行の日前から引続き旧組合の職員であつた期間(第一条各号の一に該当する職員であつた期間及び恩給法(大正十二年法律第四十八号)に規定する公務員又は公務員に準ずべき者であつた期限を除く。)は、これを新組合の組合員であつた期間とみなす。
(期間計算の特例に伴う追加費用の負担)
第九十二条 前條の規定により生ずべき組合の追加費用は、国庫(第八十六条第一項の規定に該当する者で国庫から報酬を受ける者以外の者については都道府県又は市町村。)が、これを負担する。
(施行の現在における貸借対照表)
第九十三条 新組合は、大蔵大臣の定めるところにより、この法律施行の日現在における貸借対照表を作成し、これを大蔵大臣に提出しなければならない。
(退職給付等の経過措置)
第九十四条 第十七条第二号から第四号までに掲げる給付は、恩給法の適用を受ける者及び命令で指定する組合の組合員に対しては、当分の間、これを行わない。
第九十五条 この法律施行の際、現に組合員である者に支給すべき退職年金、退職一時金又は遺族一時金の額は、第三十九条、第四十一条又は第五十条の規定により算定した額よりこの法律施行前の職員であつた期間一年について俸給日額に左の各号に掲げる日数を乗じて得た額を控除した金額とする。但し、組合員であつた期間二十年以上の者に対する遺族一時金については、控除しない。
一 退職年金にあつては、二・四五日
二 退職一時金又は遺族一時金にあつては、十日
第九十六条 第九十四条に規定する組合員以外の組合員が、同条に規定する組合員となつたときは、退職給付の支給については、これを退職とみなす。但し、退職年金は、その者が組合員である期間その支給を停止する。
(共済組合連合会の解散)
第九十七条 財団法人政府職員共済組合連合会は、第六十六条の規定により、連合会が成立した日に解散するものとする。
2 財団法人政府職員共済組合適合会がその解散の日現在において有する一切の権利義務は、その日に連合会がこれを承継するものとする。
(審査会の委員の任期に関する特例)
第九十八条 審査会の最初の委員のうち、その三分の一の者の任期は、これを一年とし、他の三分の一の者の任期は、これを二年とする。その委員は、それぞれ第三条第二項の規定により組合を代表する各省各庁の長が、これを命ずる。
(法令の廃止)
第九十九条 左に掲げる勅令は、この法律施行の日に、これを廃止する。
鉄道共済組合令(明治四十年勅令第百二十七号)
営林局署共済組合令(大正八年勅令第三百六号)
警察共済組合令(大正九年勅令第四十四号)
生糸検査所共済組合令(昭和十二年勅令第二百一号)
刑務共済組合令(昭和十五年勅令第四百八十九号)
政府職員共済組合令(昭和十五年勅令第八百二十七号)
印刷局共済組合令(昭和十五年勅令第九百四十四号)
専売局共済組合令(昭和十五年勅令第九百四十五号)
造幣局共済組合令(昭和十五年勅令第九百四十六号)
逓信共済組合令(昭和十五年勅令第九百五十号)
教職員共済組合令(昭和十六年勅令第十七号)
土木共済組合令(昭和十六年勅令第六百四十九号)
北海道庁営林現業員共済組合令(昭和十七年勅令第六百八十六号)
別表第一
組合員の期間 |
日数 |
組合員の期間 |
日数 |
組合員の期間 |
日数 |
六月以上 |
一〇日 |
七年 以上 |
一四〇日 |
十三年六月以上 |
三〇五日 |
一年 以上 |
二〇日 |
七年六月以上 |
一五〇日 |
十四年 以上 |
三二〇日 |
一年六月以上 |
三〇日 |
八年 以上 |
一六〇日 |
十四年六月以上 |
三三五日 |
二年 以上 |
四〇日 |
八年六月以上 |
一七〇日 |
十五年 以上 |
三五〇日 |
二年六月以上 |
五〇日 |
九年 以上 |
一八〇日 |
十五年六月以上 |
三六五日 |
三年 以上 |
六〇日 |
九年六月以上 |
一九〇日 |
十六年 以上 |
三八○日 |
三年六月以上 |
七〇日 |
十年 以上 |
二〇〇日 |
十六年六月以上 |
三九五日 |
四年 以上 |
八○日 |
十年六月以上 |
二一五日 |
十七年 以上 |
四一○日 |
四年六月以上 |
九〇日 |
十一年 以上 |
二三〇日 |
十七年六月以上 |
四二五日 |
五年 以上 |
一〇〇日 |
十一年六月以上 |
二四五日 |
十八年 以上 |
四四〇日 |
五年六月以上 |
一一〇日 |
十二年 以上 |
二六〇日 |
十八年六月以上 |
四五五日 |
六年 以上 |
一二〇日 |
十二年六月以上 |
二七五日 |
十九年 以上 |
四七〇日 |
六年六月以上 |
一三○日 |
十三年 以上 |
二九〇日 |
十九年六月以上 |
四八五日 |
別表第二
廃疾年金を支給すべき程度の廃疾の状態
廃疾の程度 |
番号 |
廃疾の状態 |
一級 |
一 |
両眼の視力○・〇二以下に減じたもの又は一眼失明し他眼の視力〇・〇六以下に減じたもの |
二 |
そしやく又は言語の機能を廃したもの |
|
三 |
両腕を腕関節以上にて失つたもの |
|
四 |
両足を足関節以上にて失つたもの |
|
五 |
両腕の用を全廃したもの |
|
六 |
両足の用を全廃したもの |
|
七 |
十指を失つたもの |
|
八 |
前各号の外負傷又は疾病に因り廃疾となり高度の精神障害を残し勤労能力を喪失したもの |
|
二級 |
一 |
両眼の視力○・一以下に減じたもの |
二 |
鼓膜の大部分の欠損その他に因り両耳の聴力耳かくに接しなければ大声を解し得ないもの |
|
三 |
せき柱に著しい機能障害を残すもの |
|
四 |
そしやく又は言語の機能に著しい障害を残すもの |
|
五 |
一手のおや指及びひとさし指を併せて四指以上を失つたもの |
|
六 |
十指の用を廃したもの |
|
七 |
一腕の三大関節中二関節の用を廃したもの |
|
八 |
一足の三大関節中二関節の用を廃したもの |
|
九 |
一足を足関節以上で失つたもの |
|
十 |
十のあしゆびを失つたもの |
|
十一 |
前各号の外負傷又は疾病に因り廃疾となり精神障害又は身体障害を残し勤労能力に高度の制限を有するもの |
備 考
一 視力の測定は万国式視力表による屈折異状があるものについては矯正視力につき測定する。
二 指を失つたものとはおや指は指関節、その他の指は第一指関節以上を失つたものをいう。
三 指の用を廃したものとは指の末節の半以上を失い、又は掌指関節若しくは第一指関節(おや指にあつては指関節)に著るしい運動障害を残すものをいう。
四 あしゆびを失つたものとはその全部を失つたものをいう。
別表第三
廃疾年金 |
廃疾の程度 |
月数 |
一級 |
五月 |
|
二級 |
四月 |
別表第四
廃疾一時金を支給すべき程度の廃疾の状態 |
|
番号 |
廃疾の状態 |
一 |
一眼の視力○・一以下に減じたもの又は両眼の視力○・六以下に減じたもの |
二 |
両眼のまぶたに著るしい欠損又は両眼に半盲症、視野狭さく若しくは視野変状を残すもの |
三 |
そしやく又は言語の機能に著るしい障害を残すもの |
四 |
鼓膜の大部分の欠損その他に因り一耳の聴力耳かくに接しなければ大声を解し得ないもの |
五 |
鼻を欠損しその機能に著るしい障害を残すもの |
六 |
せき柱に著るしい運動障害を残すもの |
七 |
おや指又はひとさし指若しくはその他の二指以上を失つたもの |
八 |
おや指の用を廃したもの又はひとさし指を併せて二指の用を廃したもの若しくはおや指及びひとさし指以外の三指の用を廃したもの |
九 |
一腕の三大関節中一関節以上に著るしい機能障害を残すもの |
十 |
一足の三大関節中一関節以上に著るしい機能障害を残すもの |
十一 |
一腕の長管状骨に仮関節を残すもの |
十二 |
一足の長管状骨に仮関節を残すもの |
十三 |
一足を三センチメートル以上短縮したもの |
十四 |
一足の第一のあしゆび又はその他の四のあしゆびを失つたもの |
十五 |
一足の五のあしゆびの用を廃したもの |
十六 |
前各号の外負傷又は疾病に因り廃疾となり精神障害、身体障害又は神経系統に障害を残し勤労能力に制限を有するもの |
備 考
一 視力測定は万国式視力表による屈折異状があるものについては矯正視力につき測定する。
二 指を失つたものとはおや指は指関節、その他の指は第一関節以上を失つたものをいう。
三 指の用を廃したものとは指の末節の半以上を失い、又は掌指関節若しくは第一指関節(おや指にあつては指関節)に著るしい運動障害を残すものをいう。
四 あしゆびを失つたものとはその全部を失つたものをいう。
五 あしゆびの用を廃したものとは第一のあしゆびは末節の半以上、その他のあしゆびは末関節以上を失つたもの又はしよし関節若しくは第一し関節(第一のあしゆびにあつてはし関節)に著るしい運動障害を残すものをいう。
別表第五
組合員の期間 |
日数 |
組合員の期間 |
日数 |
組合員の期間 |
日数 |
六月未満 |
一二〇日 |
七年 以上 |
二六〇日 |
十四年 以上 |
四四〇日 |
六月以上 |
一三〇日 |
七年六月以上 |
二七〇日 |
十四年六月以上 |
四五五日 |
一年 以上 |
一四〇日 |
八年 以上 |
二八〇日 |
十五年 以上 |
四七〇日 |
一年六月以上 |
一五○日 |
八年六月以上 |
二九〇日 |
十五年六月以上 |
四八五日 |
二年 以上 |
一六〇日 |
九年 以上 |
三〇〇日 |
十六年 以上 |
五〇〇日 |
二年六月以上 |
一七〇日 |
九年六月以上 |
三一〇日 |
十六年六月以上 |
五一五日 |
三年 以上 |
一八○日 |
十年 以上 |
三二〇日 |
十七年 以上 |
五三〇日 |
三年六月以上 |
一九〇日 |
十年六月以上 |
三三五日 |
十七年六月以上 |
五四五日 |
四年 以上 |
二〇〇日 |
十一年 以上 |
三五〇日 |
十八年 以上 |
五六〇日 |
四年六月以上 |
二一〇日 |
十一年六月以上 |
三六五日 |
十八年六月以上 |
五七五日 |
五年 以上 |
二二○日 |
十二年 以上 |
三八○日 |
十九年 以上 |
五九〇日 |
五年六月以上 |
二三〇日 |
十二年六月以上 |
三九五日 |
十九年六月以上 |
六〇五日 |
六年 以上 |
二四〇日 |
十三年 以上 |
四一○日 |
二十年 以上 |
一二〇日 |
六年六月以上 |
二五〇日 |
十三年六月以上 |
四二五日 |
別表第六
損害の程度 |
月数 |
一 住居及び家財の全部が焼失又は滅失したとき |
三月 |
二 住居及び家財の半分以上が焼失又は滅失したとき |
二月 |
三 住居又は家財の半分程度が焼失又は滅失したとき |
一月 |
(内閣総理・外務・大蔵大臣・法務総裁・文部・厚生・農林・商工・運輸・逓信・労働大臣署名)