商標法の一部を改正する法律
法律第六十五号(平三・五・二)
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
目次中「第七十七条」を「第七十七条の二」に改める。
第二条の見出しを「(定義等)」に改め、同条第一項中「業として商品を生産し加工し証明し又は譲渡する者がその商品について使用をする」を「次に掲げる」に改め、同項に次の各号を加える。
一 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)
第二条第三項第一号中「附する」を「付する」に改め、同項第二号中「附した」を「付した」に、「引き渡し」を「、引き渡し、」に、「引渡」を「引渡し」に、「又は輸入する」を「、又は輸入する」に改め、同項第三号中「商品」の下に「又は役務」を加え、「附して」を「付して」に、「又は頒布する」を「、又は頒布する」に改め、同号を同項第七号とし、同項第二号の次に次の四号を加える。
三 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
四 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
五 役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
六 役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
第二条に次の一項を加える。
4 この法律において、商品に類似するものの範囲には役務が含まれることがあるものとし、役務に類似するものの範囲には商品が含まれることがあるものとする。
第三条第一項各号列記以外の部分中「商品」の下に「又は役務」を加え、同項第一号及び第二号中「商品」の下に「又は役務」を加え、同項第三号中「又は」を「若しくは」に改め、「、加工」を削り、「時期」の下に「又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期」を加え、同項第五号中「きわめて」を「極めて」に、「かつ」を「、かつ、」に改め、同項第六号中「前五号」を「前各号」に改め、「商品」の下に「又は役務」を加え、同条第二項中「商品」の下に「又は役務」を加える。
第四条第一項第一号中「 褒章」を「褒章」に改め、同項第五号中「商品」の下に「又は役務」を加え、同項第十号中「係る商品」の下に「若しくは役務」を加え、「又はこれに類似する商品」を「若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務」に改め、同項第十一号中「指定商品」の下に「若しくは指定役務」を加え、「商品を」を「商品又は役務を」に、「これに類似する商品」を「これらに類似する商品若しくは役務」に改め、同項第十二号中「指定商品」の下に「又は指定役務」を加え、同項第十三号中「又はこれに類似する商品」を「若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務」に改め、同項第十四号中「商品」の下に「若しくは役務」を加え、同項第十五号中「商品」の下に「又は役務」を加え、同項第十六号中「品質」の下に「又は役務の質」を加える。
第五条第一項中「添附して」を「添付して」に改め、同項第三号中「及び」を「又は指定役務並びに」に改め、「定める商品」の下に「及び役務」を加え、同条第二項中「指定商品」の下に「若しくは指定役務」を、「類似する商品」の下に「若しくは役務」を加える。
第六条第一項中「定める商品」の下に「及び役務」を、「の商品」の下に「又は役務」を加え、同条第二項中「の商品」の下に「及び役務」を、「、商品」の下に「又は役務」を加える。
第七条第一項中「指定商品」の下に「若しくは指定役務」を、「類似する商品」の下に「若しくは役務」を加え、同条第三項中「指定商品」の下に「又は指定役務」を、「類似する商品」の下に「又は役務」を加える。
第八条第一項及び第二項中「商品」の下に「又は役務」を加える。
第九条第一項中「出品した商品」の下に「又は出展した役務」を、「出品した者」の下に「又は役務を出展した者」を、「その出品」の下に「又は出展」を、「その商品」の下に「又は役務」を、「指定商品」の下に「又は指定役務」を加え、同条第二項中「商品」の下に「又は役務」を加え、同条の次に次の一条を加える。
第九条の二 パリ条約の同盟国でされた商標(第二条第一項第二号に規定する商標に相当するものに限る。)の登録の出願に基づく優先権は、同項第一号に規定する商標に相当する商標の登録の出願に基づく優先権についてパリ条約第四条に定める例により、これを主張することができる。
第十条第一項中「の商品」の下に「又は役務」を、「指定商品」の下に「又は指定役務」を加える。
第十五条第三号中「みたして」を「満たして」に改め、同条第四号中「又はこれに類似する商品」を「若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務」に、「申立」を「申立て」に改める。
第十六条第三項第三号中「添附した」を「添付した」に改め、同項第四号中「指定商品」の下に「又は指定役務」を加える。
第十九条第二項第二号及び第三項中「指定商品」の下に「又は指定役務」を加える。
第二十条第二項中「三月」を「満了の日」に改め、同条第四項中「更新された」を「その満了の時(前項の規定による出願があつたときは、その出願の時)に更新された」に改める。
第二十四条第一項及び第二十五条中「指定商品」の下に「又は指定役務」を加える。
第二十六条第一項第二号中「又は」を「若しくは」に改め、「、加工」を削り、「時期」の下に「又は当該指定商品に類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期」を加え、同項第三号中「又はこれに類似する商品」を「若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務」に改め、同号を同項第四号とし、同項第二号の次に次の一号を加える。
三 当該指定役務若しくはこれに類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期又は当該指定役務に類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する商標
第二十七条第二項中「指定商品」の下に「又は指定役務」を加え、「基いて」を「基づいて」に改める。
第二十九条、第三十条第二項及び第三十一条第二項中「指定商品」の下に「又は指定役務」を加える。
第三十二条第一項中「又はこれに類似する商品」を「若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務」に改め、「係る商品」及び「その商品」の下に「又は役務」を加え、同条第二項中「商品」の下に「又は役務」を加え、「附す」を「付す」に改める。
第三十三条第一項中「又はこれに類似する商品」を「若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務」に改め、「係る商品」及び「その商品」の下に「又は役務」を加え、同項第一号及び第二号中「指定商品」の下に「又は指定役務」を加える。
第三十四条第一項中「定を」を「定めを」に改め、「指定商品」の下に「又は指定役務」を加える。
第三十七条第一号中「指定商品」の下に「若しくは指定役務」を、「類似する商品」の下に「若しくは役務」を加え、同条第二号中「指定商品又はこれ」を「指定商品又は指定商品若しくは指定役務」に、「附した」を「付した」に、「引渡」を「引渡し」に改め、同条第六号中「譲渡し引き渡し」を「、譲渡し、引き渡し、」に改め、同号を同条第八号とし、同条第五号中「又はこれに類似する商品」を「若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務」に、「又は使用」を「、又は使用」に、「又は輸入する」を「、又は輸入する」に改め、同号を同条第七号とし、同条第四号中「又はこれに類似する商品」を「若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務」に、「引き渡し」を「、引き渡し、」に、「引渡」を「引渡し」に改め、同号を同条第六号とし、同条第三号中「又はこれに類似する商品」を「若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務」に改め、同号を同条第五号とし、同条第二号の次に次の二号を加える。
三 指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供するために所持し、又は輸入する行為
四 指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供させるために譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持し、若しくは輸入する行為
第四十六条第一項及び第四十八条第一項中「指定商品」の下に「又は指定役務」を加える。
第五十条の前の見出し中「取消」を「取消し」に改め、同条中「指定商品」の下に「又は指定役務」を加える。
第五十一条第一項中「指定商品」の下に「若しくは指定役務」を、「類似する商品」の下に「若しくは役務」を、「品質」の下に「若しくは役務の質」を、「係る商品」の下に「若しくは役務」を加え、同条第二項中「又はこれに類似する商品」を「若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務」に改める。
第五十三条第一項中「又はこれに類似する商品」を「若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務」に改め、「品質」の下に「若しくは役務の質」を、「係る商品」の下に「若しくは役務」を加え、同条第二項中「又はこれらに類似する商品」を「若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務」に改める。
第五十三条の二中「又はこれらに類似する商品」を「若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務」に改め、「指定商品」の下に「又は指定役務」を加える。
第五十六条第一項中「第百二十三条第一項」の下に「、第百二十五条の二第一項」を加える。
第五十九条中「若しくは」を「、若しくは」に改め、同条第一号中「指定商品」の下に「又は指定役務」を加える。
第六十条第一項中「若しくは取り消した」を「、若しくは取り消した」に、「又はこれに類似する商品」を「若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務」に改め、「係る商品」及び「その商品」の下に「又は役務」を加える。
第六十一条中「同法第百七十四条第三項」を「同条第三項」に改め、「第百二十三条第一項」の下に「、第百二十五条の二第一項」を加える。
第六十三条第二項中「取消」を「取消し」に、「訴に」を「訴えに」に、「又は第百二十九条第一項」を「、第百二十五条の二第一項若しくは第百二十九条第一項」に改める。
第六十四条中「商標権者は、」の下に「商品に係る」を、「以外の商品」の下に「又は指定商品に類似する役務以外の役務」を、「その商品」及び「ある商品」の下に「又は役務」を加え、同条に次の一項を加える。
2 商標権者は、役務に係る登録商標が自己の業務に係る指定役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、その登録商標に係る指定役務及びこれに類似する役務以外の役務又は指定役務に類似する商品以外の商品について他人が登録商標の使用をすることによりその役務又は商品と自己の業務に係る指定役務とが混同を生ずるおそれがあるときは、そのおそれがある役務又は商品について、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる。
第六十七条第一号中「指定商品」の下に「又は指定役務」を加え、同条第二号中「附した」を「付した」に、「引渡」を「引渡し」に改め、同条第五号中「指定商品」の下に「又は指定役務」を加え、「又は」を「、又は」に改め、同号を同条第七号とし、同条第四号中「指定商品」の下に「又は指定役務」を加え、「引き渡し」を「、引き渡し、」に、「引渡」を「引渡し」に改め、同号を同条第六号とし、同条第三号中「指定商品」の下に「又は指定役務」を加え、同号を同条第五号とし、同条第二号の次に次の二号を加える。
三 指定役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録防護標章を付したものを、これを用いて当該指定役務を提供するために所持し、又は輸入する行為
四 指定役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録防護標章を付したものを、これを用いて当該指定役務を提供させるために譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持し、若しくは輸入する行為
第六十八条第一項中「第六条第一項」の下に「、第九条の二」を加え、「及び次条第一項」を「又は指定役務並びに次条第一項」に改め、「定める商品」の下に「及び役務」を加え、同条第五項中「から第五号まで」を「から第七号まで」に改める。
第六十九条(見出しを含む。)中「指定商品」の下に「又は指定役務」を加える。
第七十三条中「又は指定商品の包装」を「若しくは指定商品の包装若しくは指定役務の提供の用に供する物に登録商標を付するとき、又は指定役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該指定役務の提供に係る物」に、「附する」を「付する」に改める。
第七十四条第一号中「附する」を「付する」に改め、同条第二号中「以外の商品」を「又は指定役務以外の商品又は役務」に、「附する」を「付する」に改め、同条第三号中「附した」を「付した」に、「又は指定商品」を「、指定商品」に、「登録商標を」を「商品に係る登録商標を」に、「であつて」を「又は商品若しくはその商品の包装に役務に係る登録商標を付したものであつて」に、「引渡」を「引渡し」に改め、同条に次の二号を加える。
四 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標以外の商標を付したもの、指定役務以外の役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に役務に係る登録商標を付したもの又は役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に商品に係る登録商標を付したものであつて、その商標に商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付したもの(次号において「役務に係る虚偽商標登録表示物」という。)を、これを用いて当該役務を提供するために所持し、又は輸入する行為
五 役務に係る虚偽商標登録表示物を、これを用いて当該役務を提供させるために譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持し、若しくは輸入する行為
第八章中第七十七条の次に次の一条を加える。
(経過措置)
第七十七条の二 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
附 則
(施行期日等)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第九条の改正規定、同条の次に一条を加える改正規定、第三十七条及び第六十七条の改正規定並びに第六十八条第一項の改正規定中「第六条第一項」の下に「、第九条の二」を加える部分並びに附則第十四条第二項の規定は、この法律の施行の日から六月を経過した日から施行し、改正後の商標法(以下「新法」という。)第三十七条及び第六十七条の規定は、同日以後の行為について適用する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に特許庁に係属している商標登録出願又は防護標章登録出願については、その商標登録出願又は防護標章登録出願について査定又は審決が確定するまでは、なお従前の例による。
2 この法律の施行前に改正前の商標法(以下「旧法」という。)第二十条第二項(旧法第六十八条第三項において準用する場合を含む。)に規定する更新登録の出願の期間を経過している商標権又は防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録については、なお従前の例による。
3 この法律の施行前にした商標登録出願及び防護標章登録出願に係る登録の無効の理由については、なお従前の例による。
4 新法第五十一条第一項及び第五十三条第一項の規定は、この法律の施行後にした行為を理由とする商標登録の取消しについて適用し、この法律の施行前にした行為を理由とする商標登録の取消しについては、なお従前の例による。
5 新法第五十三条の二(新法第六十八条第四項において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行後にした商標登録出願又は防護標章登録出願に係る商標登録又は防護標章登録の取消しについて適用し、この法律の施行前にした商標登録出願又は防護標章登録出願に係る商標登録又は防護標章登録の取消しについては、なお従前の例による。
6 第二項の規定により従前の例によることとされる手続に係る行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(施行後六月経過前の使用による役務に係る商標の使用をする権利)
第三条 この法律の施行の日から六月を経過する前から日本国内において不正競争の目的でなく他人の登録商標(この法律の施行後の商標登録出願に係るものを含む。)に係る指定役務又は指定商品若しくは指定役務に類似する役務についてその登録商標又はこれに類似する商標の使用をしていた者は、継続してその役務についてその商標の使用をする場合は、この法律の施行の日から六月を経過する際現にその商標の使用をしてその役務に係る業務を行っている範囲内において、その役務についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても、同様とする。
2 当該商標権者又は専門使用権者は、前項の規定により商標の使用をする権利を有する者に対し、その者の業務に係る役務と自己の業務に係る商品又は役務との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。
3 前二項の規定は、防護標章登録に基づく権利に準用する。
(施行後六月間にした商標登録出願についての先願の特例)
第四条 この法律の施行の日から六月間にした商品に係る商標登録出願については、新法第四条第一項(第十一号に係る部分に限る。)並びに第八条第一項及び第二項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
2 この法律の施行の日から六月間にした役務に係る商標登録出願については、新法第四条第一項(第十一号及び第十三号に係る部分に限る。)及び第八条第一項の規定は、適用しない。
3 前項の商標登録出願についての新法第八条第二項の規定の適用については、当該商標登録出願は同日にしたものとみなし、かつ、同項中「商品又は役務」とあるのは、「役務」とする。
(使用に基づく特例の適用)
第五条 自己の業務に係る役務について日本国内において不正競争の目的でなく使用をしている商標について商標登録を受けようとする者は、この法律の施行の日から六月間にその商標について当該役務を指定役務として商標登録出願をするときは、当該商標登録出願について、使用に基づく特例の適用を主張することができる。
2 使用に基づく特例の適用の主張を伴う商標登録出願(以下「特例商標登録出願」という。)についての新法第四条第一項(第十号に係る部分に限る。)の規定の適用については、同号中「使用をするもの」とあるのは、「使用をするもの(自己の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であつてその役務について使用をするものを除く。)」とする。
3 前条第三項の規定により同日にしたものとみなされた同一又は類似の役務について使用をする同一又は類似の商標についての二以上の商標登録出願がある場合において、当該二以上の商標登録出願のいずれかが特例商標登録出願であるときは、同項の規定により読み替えられた新法第八条第二項の規定の適用については、同項中「商標登録出願人の協議により定めた一の商標登録出願人」とあるのは、「商標法の一部を改正する法律(平成三年法律第六十五号)附則第五条第二項に規定する特例商標登録出願の商標登録出願人(当該特例商標登録出願が二以上あつたときは、それらの特例商標登録出願の商標登録出願人)」とする。
第六条 使用に基づく特例の適用を主張しようとする者は、その旨を記載した書面を商標登録出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、その商標登録出願が次の各号に該当することを証明するため必要な書類を商標登録出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。
一 その商標登録出願に係る商標が商標登録出願前から日本国内において自己の業務に係る役務について使用をしているものであること。
二 その商標登録出願に係る指定役務が前号の役務に含まれるものであること。
2 使用に基づく特例の適用を主張した者が前項に規定する期間内に同項に規定する書類を提出しないときは、使用に基づく特例の適用の主張は、初めからなかったものとみなす。
3 特例商標登録出願について新法第十条第一項の規定による商標登録出願の分割があったときは、もとの商標登録出願についてした使用に基づく特例の適用の主張及び第一項の規定による書類の提出は、その主張の取下げがあった場合を除き、もとの商標登録出願及び新たな商標登録出願についてしたものとみなす。
4 特例商標登録出願について新法第十一条第一項又は第二項の規定による商標登録出願の変更があったときは、もとの商標登録出願についてした使用に基づく特例の適用の主張及び第一項の規定による書類の提出は、その主張の取下げがあった場合を除き、新たな商標登録出願についてしたものとみなす。
5 特例商標登録出願により生じた権利について新法第十三条第二項において準用する特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第三十四条第四項又は第五項の規定による承継の届出があったときは、その承継が当該指定役務に係る業務とともにされたものである場合を除き、使用に基づく特例の適用の主張は取り下げられたものとみなす。
6 特例商標登録出願の商標登録出願人は、その特例商標登録出願について査定又は審決が確定した後は、使用に基づく特例の適用の主張を取り下げることができない。
第七条 特例商標登録出願の拒絶の査定についての新法第十五条の規定の適用については、同条中「商標登録出願が次の各号の一に該当するとき」とあるのは、「商標登録出願が商標法の一部を改正する法律(平成三年法律第六十五号)附則第六条第一項の規定により提出された書類によつては同項各号に該当するものとは認められないとき、同法附則第五条第一項の規定による使用に基づく特例の適用の主張に係る使用が不正競争の目的で行われていたとき、又は商標登録出願が次の各号の一に該当するとき」とする。
2 特例商標登録出願に係る商標登録の無効の審判についての新法第四十六条第一項及び第四十七条の規定の適用については、同項中「商標登録が次の」とあるのは「商標登録を受けた者(その商標登録出願により生じた権利が指定役務に係る業務とともに承継された場合にあつては、当該商標登録出願の時の商標登録出願人。以下同じ。)がその商標登録出願前から日本国内において指定役務についてその登録商標の使用をしていなかつたとき若しくは使用をしていた場合において当該使用が不正競争の目的でなされていたとき、商標登録がその商標登録出願により生じた権利を承継した者であつて、指定役務に係る業務をともに承継しないものの商標登録出願に対してされたとき、又は商標登録が次の」と、同条中「商標登録が第三条」とあるのは「商標登録を受けた者がその商標登録出願前から日本国内において指定役務についてその登録商標の使用をしていなかつたとき、商標登録がその商標登録出願により生じた権利を承継した者であつて、指定役務に係る業務をともに承継しないものの商標登録出願に対してされたとき、又は商標登録が第三条」とする。
(存続期間の更新登録の特例)
第八条 特例商標登録出願に係る同一又は類似の役務について使用をする同一又は類似の二以上の登録商標がある場合においては、それらの登録商標に係る商標権の存続期間の更新登録については、新法第十九条第二項ただし書第一号中「又は第十六号に掲げる商標に該当するものとなつているとき」とあるのは、「若しくは第十六号に掲げる商標に該当するものとなつているとき、又は商標法の一部を改正する法律(平成三年法律第六十五号)附則第八条第一項に規定する二以上の登録商標のうちその登録商標以外の登録商標に係る商標権者、専用使用権者若しくは通常使用権者の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標となつているとき」とする。
2 前項に規定する二以上の登録商標のうちその登録商標以外の登録商標に係る商標権者、専用使用権者若しくは通常使用権者の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標となっている登録商標について商標権の存続期間の更新登録がされたときは、その更新登録についての新法第四十八条第一項の審判は、商標権の存続期間を更新した旨の登録の日から五年を経過した後は、請求することができない。
3 第一項に規定する二以上の登録商標のうちその登録商標以外の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標となっている登録商標に係る商標権の存続期間の更新登録の出願について、拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定した場合(他の拒絶の理由がある場合を除く。)においては、次の各号の一に該当する者が、当該商標権の存続期間の満了の際現にその登録商標の使用をしている指定役務について継続してその商標の使用をするときは、当該商標権の存続期間の満了の際現にその登録商標の使用をしてその指定役務に係る業務を行っている範囲内において、その役務についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても、同様とする。
一 当該登録商標に係る商標権者
二 当該商標権の存続期間の満了の際現にその商標権についての専用使用権又はその商標権若しくは専用使用権についての新法第三十一条第四項において準用する特許法第九十九条第一項の効力を有する通常使用権を有する者
4 前項に規定する場合において、当該商標権の存続期間の満了の際現にその登録商標が同項各号の一に該当する者の業務に係る指定役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その者は、継続してその役務についてその商標の使用をする場合は、同項の規定にかかわらず、その役務についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても、同様とする。
5 前二項の規定は、商標権の存続期間の更新登録を無効にすべき旨の審決が確定した場合に準用する。この場合において、第三項中「他の拒絶の理由がある場合」とあるのは「他の無効の理由がある場合」と、同項及び前項中「当該商標権の存続期間の満了の際」とあるのは「新法第四十八条第一項の審判の請求の登録の際」と読み替えるものとする。
6 附則第三条第二項の規定は、前三項の場合に準用する。
(混同を防ぐための表示)
第九条 前条第一項に規定する場合において、その一の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の指定役務についての登録商標の使用により他の登録商標に係る商標権者又は専用使用権者の業務上の利益(当該他の登録商標の使用をしている指定役務に係るものに限る。)が害されるおそれのあるときは、当該他の登録商標に係る商標権者又は専用使用権者は、当該一の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者に対し、当該使用について、その者の業務に係る役務と自己の業務に係る役務との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。
(商標登録の取消しの審判の特例)
第十条 附則第八条第一項に規定する場合においては、それらの商標登録の取消しについての新法第五十一条第一項の規定の適用については、同項中「商標権者が」とあるのは「商標権者が不正競争の目的で指定役務についての登録商標の使用であつて商標法の一部を改正する法律(平成三年法律第六十五号)附則第八条第一項に規定する二以上の登録商標のうちその登録商標以外の登録商標に係る商標権者、専用使用権者若しくは通常使用権者の業務に係る役務と混同を生ずるものをしたとき、又は」と、「又は」とあるのは「若しくは」とする。
2 前項の規定により読み替えられた新法第五十一条第一項における「登録商標の使用」には、その登録商標に類似する商標であって、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものの使用を含むものとする。
(不正競争防止法の適用)
第十一条 附則第八条第一項に規定する場合においては、それらの登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の指定役務についての登録商標の使用については、不正競争防止法(昭和九年法律第十四号)第六条の規定にかかわらず、同法第一条第一項(第二号に係る部分に限る。)、第一条ノ二第一項及び第四項並びに第五条(第二号に係る部分に限る。)の規定を適用する。この場合において、同法第一条第一項中「虞アル者」とあるのは「虞アル他ノ登録商標(商標法の一部を改正する法律(平成三年法律第六十五号)附則第八条第一項ニ規定スル二以上ノ登録商標ノ中其ノ登録商標以外ノ登録商標ヲ謂フ以下同ジ)ニ係ル商標権者又ハ専用使用権者」と、同項第二号中「他人ノ氏名、商号、標章其ノ他他人ノ営業タルコトヲ示ス表示」とあるのは「他ノ登録商標」と、「使用シテ他人ノ」とあるのは「使用シテ他ノ登録商標ニ係ル商標権者又ハ専用使用権者ノ」と、同法第一条ノ二第一項中「前条第一項各号ノ一」とあるのは「前条第一項第二号」と、「害セラレタル者」とあるのは「害セラレタル他ノ登録商標ニ係ル商標権者又ハ専用使用権者」と、同条第四項中「前条第一項第一号若ハ第二号若ハ同条第二項ノ行為若ハ営業秘密ニ係ル不正行為ニ因リ他人ノ営業上ノ信用ヲ害シタル者又ハ同条第一項第六号ノ行為ヲ為シタル者」とあるのは「前条第一項第二号ノ行為ニ因リ他ノ登録商標ニ係ル商標権者又ハ専用使用権者ノ営業上ノ信用ヲ害シタル者」と、「被害者」とあるのは「被害者タル他ノ登録商標ニ係ル商標権者又ハ専用使用権者」と、同法第五条第二号中「第一条第一項第一号又ハ第二号」とあるのは「第一条第一項第二号」とする。
2 前項における「登録商標の使用」には、前条第二項の規定を準用する。
(証明等の請求についての特例)
第十二条 この法律の施行の日から六月間は、新法第七十二条(工業所有権に関する手続等の特例に関する法律(平成二年法律第三十号)第十二条第三項において準用する場合を含む。)中「公の秩序又は善良の風俗」とあるのは、「商標法の一部を改正する法律(平成三年法律第六十五号)の施行の日から六月間にした役務に係る商標登録出願に係る書類(特許庁長官が特に認める場合を除く。)又は公の秩序若しくは善良の風俗」とする。
(種苗法の一部改正)
第十三条 種苗法(昭和二十二年法律第百十五号)の一部を次のように改正する。
第十条第一項第三号中「前号」を「前二号」に改め、同号を同項第四号とし、同項第二号の次に次の一号を加える。
三 出願品種の種苗又は当該種苗と類似の商品に関する役務に係る登録商標と同一又は類似のものであるとき。
(種苗法の一部改正に伴う経過措置)
第十四条 この法律の施行前にした品種についての登録の出願については、なお従前の例による。
2 前項に規定する出願に係る品種の名称を表示する商標の当該品種の種苗についての使用については、新法第三十七条の規定にかかわらず、なお従前の例による。ただし、当該品種の登録がされないことが確定したときは、この限りでない。
(政令への委任)
第十五条 附則第二条から第十二条まで及び前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の一部改正)
第十六条 沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律(昭和四十六年法律第百二十九号)の一部を次のように改正する。
第百二十二条第一項中「現にその商標が自己の業務に係る商品」の下に「又は役務」を加える。
(農林水産大臣臨時代理・通商産業大臣臨時代理・内閣総理大臣臨時代理署名)