決算調整資金に関する法律

法律第四号(昭五三・二・一八)

 (目的)

第一条 この法律は、決算調整資金を設置し、予見し難い租税収入の減少等により一般会計の歳入歳出の決算上不足が生ずることとなる場合において、この資金からその不足を補てんすることにより、一般会計における収支の均衡を図ることを目的とする。


 (資金の設置)

第二条 この法律の目的を達成するため、決算調整資金(以下「資金」という。)を設置する。


 (資金の所属及び管理)

第三条 資金は、一般会計の所属とし、大蔵大臣が、法令の定めるところに従い、管理する。


 (資金への繰入れ)

第四条 政府は、各会計年度の一般会計において、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第六条第一項に規定する剰余金を生じた場合においては、当該剰余金の金額から同項の規定により公債又は借入金の償還財源に充てるべき金額を控除して得た金額を限り、当該年度の翌々年度までに、予算の定めるところにより、一般会計から資金に繰り入れることができる。

2 政府は、前項の規定による繰入れのほか、特別の必要がある場合には、予算の定めるところにより、一般会計から資金に繰り入れることができる。


 (資金に充てる財源)

第五条 資金は、前条第一項又は第二項の規定による繰入金及び次条第一項の規定により預託した場合に生ずる利子をもつて充てる。


 (資金の預託)

第六条 資金に属する現金は、資金運用部に預託することができる。

2 前項の規定により預託した場合に生ずる利子は、資金に編入するものとする。


 (資金からの歳入への組入れ)

第七条 資金に属する現金は、各会計年度の一般会計の歳入歳出の決算上不足を生ずることとなる場合に限り、当該年度の翌年度七月三十一日までに、当該不足を生ずることとなる額(以下「決算上不足額」という。)を補てんするため、その全部又は一部を当該不足を生ずることとなる会計年度の一般会計の歳入に組み入れるものとする。

2 前項の決算上不足額の計算については、政令で定める。


 (資金の経理)

第八条 資金の受払いは、歳入歳出外とし、その経理に関し必要な事項は、政令で定める。


 (資金からの歳入組入れに関する調書)

第九条 大蔵大臣は、第七条第一項の規定により資金に属する現金を歳入に組み入れたときは、その調書を作成しなければならない。

2 内閣は、前項の調書を次の常会において国会に提出して、その承諾を求めなければならない。

3 大蔵大臣は、前項の調書を会計検査院に送付しなければならない。


 (資金に係る計算書)

第十条 大蔵大臣は、毎会計年度、政令で定めるところにより、資金に属する現金の増減及び現在額の計算書を作成しなければならない。

2 内閣は、財政法第三十九条の規定により歳入歳出決算を会計検査院に送付する場合においては、前項の計算書を添付しなければならない。

3 内閣は、財政法第四十条第一項の規定により歳入歳出決算を国会に提出する場合においては、第一項の計算書を添付しなければならない。


   附 則


 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。


 (国債整理基金からの繰入れ等)

第二条 第七条第一項の規定により資金に属する現金を一般会計の歳入に組み入れる場合において、資金に属する現金が決算上不足額に不足するときは、当分の間、当該不足する額を限り、国債整理基金(以下この条において「基金」という。)から基金に属する現金を資金に繰り入れることができる。

2 前項の繰入れについては、基金の状況、国債の償還見込みその他の事情を勘案し、国債の償還等基金の運営に支障を生じないようにしなければならない。

3 第一項の規定により基金に属する現金を資金に繰り入れた場合においては、当該繰り入れた日の属する年度の翌年度までに、予算の定めるところにより、当該繰入金に相当する金額を、一般会計から資金に繰り入れなければならない。

4 前項の規定により資金に繰り入れられた繰入金に相当する金額は、直ちに基金に繰り入れなければならない。


 (大蔵省設置法の一部改正)

第三条 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。

  第四条第十五号の二の次に次の一号を加える。

  十五の三 決算調整資金の管理に関すること。

  第八条第四号の二の次に次の一号を加える。

  四の三 決算調整資金の管理に関すること。

(大蔵・内閣総理大臣署名) 

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