自動車安全運転センター法
法律第五十七号(昭五〇・七・一〇)目次
第一章 総則(第一条―第八条)
第二章 設立(第九条―第十四条)
第三章 管理(第十五条―第二十八条)
第四章 業務(第二十九条―第三十一条)
第五章 財務及び会計(第三十二条―第三十九条)
第六章 監督(第四十条・第四十一条) 第七章 雑則(第四十二条―第四十四条)
第八章 罰則(第四十五条―第四十八条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 自動車安全運転センターは、運転免許を受けた者の自動車の運転に関する経歴に係る資 料及び交通事故に関する資料の提供、自動車の運転に関する研修の実施並びに交通事故等に関する調査研究を行うことにより、道路の交通に起因する障害の防止及び運転免許を受 けた者等の利便の増進に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 自動車 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第九号に規定する自動車及び同項第十号に規定する原動機付自転車をいう。
二 交通事故 道路交通法第七十二条第一項に規定する交通事故をいう。
三 運転免許 道路交通法第八十四条第二項の第一種運転免許及び第二種運転免許をいう。
(法人格)
第三条 自動車安全運転センター(以下「センター」という。)は、法人とする。
(数)
第四条 センターは、一を限り、設立されるものとする。
(資本金)
第五条 センターの資本金は、五千万円とし、政府がその全額を出資する。
2 政府は、必要があると認めるときは、センターに追加して出資することができる。
3 センターは、前項の規定による政府の出資があつたときは、その出資額により資本金を増加するものとする。
4 政府は、センターに出資するときは、金銭以外の財産を出資の目的とすることができる。
5 前項の規定により出資の目的とする金銭以外の財産の価額は、出資の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。
6 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。
(名称)
第六条 センターは、その名称中に自動車安全運転センターという文字を用いなければならない。
2 センターでない者は、その名称中に自動車安全運転センターという文字を用いてはならない。
(登記)
第七条 センターは、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(民法の準用)
第八条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、センターについて準用する。
第二章 設立
(発起人)
第九条 センターを設立するには、道路の交通に起因する障害の防止について識見を有する者七人以上が発起人となることを必要とする。
(設立の認可等)
第十条 発起人は、定款及び事業計画書を国家公安委員会に提出して、設立の認可を申請しなければならない。
2 前項の事業計画書に記載すべき事項は、総理府令で定める。
第十一条 国家公安委員会は、設立の認可をしようとするときは、前条第一項の規定による認可の申請が次の各号に適合するかどうかを審査しなければならない。
一 設立の手続並びに定款及び事業計画書の内容が法令の規定に適合するものであること。
二 定款又は事業計画書に虚偽の記載がないこと。
三 事業の運営が健全に行われ、道路の交通に起因する障害の防止及び運転免許を受けた者等の利便の増進に資することが確実であると認められること。
第十二条 国家公安委員会は、前条の規定により認可をしたときは、遅滞なく、発起人が推薦した者のうちから、センターの理事長又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、センターの成立の時において、第十八条第一項の規定により、それぞれ理事長又は監事に任命されたものとする。
(事務の引継ぎ)
第十三条 前条第一項の規定により理事長となるべき者が指名されたときは、発起人は、遅滞なく、その事務を理事長となるべき者に引き継がなければならない。
2 理事長となるべき者は、前項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政府に対し、第五条第一項の規定による出資金の払込みを求めなければならない。
(設立の登記)
第十四条 理事長となるべき者は、前条第二項の規定による出資金の払込みがあつたときは、遅 滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
2 センターは、設立の登記をすることによつて成立する。
第三章 管理
(定款)
第十五条 センターは、定款をもつて、次の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 役員に関する事項
五 評議員会に関する事項
六 業務及びその執行に関する事項
七 財務及び会計に関する事項
八 定款の変更に関する事項
九 公告の方法
2 定款の変更は、国家公定委員会の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(役員)
第十六条 センターに、役員として、理事長一人、理事四人以内及び監事一人を置く。
(役員の職務及び権限)
第十七条 理事長は、センターを代表し、その業務を総理する。
2 理事は、定款で定めるところにより、理事長を補佐してセンターの業務を掌理し、理事長に 事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。
3 監事は、センターの業務を監査する。
4 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は国家公安委員会に意 見を提出することができる。
(役員の任命)
第十八条 理事長及び監事は、国家公安委員会が任命する。
2 理事は、国家公安委員会の認可を受けて、理事長が任命する。
(役員の任期)
第十九条 役員の任期は、三年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とす る。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第二十条 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができな い。
(役員の解任)
第二十一条 国家公安委員会又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役 員となることができない者に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 国家公安委員会又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号のいずれかに該当す るとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 理事長は、前項の規定により理事を解任しようとするときは、国家公安委員会の認可を受け なければならない。
(役員の兼職禁止)
第二十二条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはなら ない。ただし、国家公安委員会の承認を受けたときは、この限りでない。
(代表権の制限)
第二十三条 センターと理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しな い。この場合には、監事がセンターを代表する。
(代理人の選任)
第二十四条 理事長は、理事又はセンターの職員のうちから、センターの業務の一部に関し一切 の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(評議員会)
第二十五条 センターに、定款の変更、業務方法書の変更、毎事業年度の予算及び事業計画その 他センターの運営に関する重要事項を審議する機関として、評議員会を置く。
2 評議員会は、評議員二十人以内で組織する。
3 評議員は、道路の交通に起因する障害の防止について識見を有する者のうちから、国家公安 委員会の認可を受けて、理事長が任命する。
(職員の任命)
第二十六条 センターの職員は、理事長が任命する。
(役員及び職員の秘密保持義務)
第二十七条 センターの役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、その職務に関して知り 得た秘密を漏らしてはならない。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第二十八条 センターの役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適 用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第四章 業務
(業務)
第二十九条 センターは、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 運転免許を受けた者が自動車の運転に関し道路交通法若しくは同法に基づく命令の規定又 は同法の規定に基づく処分に違反したことにより総理府令で定める場合に該当したときに、当該違反をした者に対し、その旨を書面で通知すること。
二 運転免許を受けた者の自動車の運転に関する経歴に係る総理府令で定める事項を記載した 書面を、当該運転免許を受けた者の求めに応じて交付すること。
三 交通事故に関し、その発生した日時、場所その他総理府令で定める事項を記載した書面 を、当該事故における加害者、被害者その他当該書面の交付を受けることについて正当な利益を有すると認められる者の求めに応じて交付すること。
四 運転免許を受けた者で自動車の運転に関し高度の技能及び知識を必要とする業務に従事す るもの又は運転免許を受けた青少年に対し、その業務の態様に応じて必要とされ、又はその資質の向上を図るために必要とされる自動車の運転に関する研修を実施するこ と。
五 自動車の安全な運転に必要な技能に関する調査研究その他道路の交通に起因する障害の防 止に資するための調査研究を行うこと。
六 前各号に掲げる業務に附帯する業務
七 前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するために必要な業務
2 センターは、前項第七号に掲げる業務を行おうとするときは、国家公安委員会の認可を受け なければならない。
3 第一項第一号から第三号までに規定する書面の様式は、総理府令で定める。
(業務方法書)
第三十条 センターは、業務の開始前に、業務方法書を作成し、国家公安委員会の認可を受けな ければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、総理府令で定める。
(照会)
第三十一条 センターは、第二十九条第一項第一号から第三号までに掲げる業務を行うため必要 な事項について、警察庁又は都道府県警察に照会することができる。この場合において、警察庁又は都道府県警察は、照会に係る事項をセンターに通知するものとする。
第五章 財務及び会計
(事業年度)
第三十二条 センターの事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わ る。
(予算等の認可)
第三十三条 センターは、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の 開始前に、国家公安委員会の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(財務諸表)
第三十四条 センターは、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸 表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に国家公安委員会に提出して、その承認を受けなければならない。
2 センターは、前項の規定により財務諸表を国家公安委員会に提出するときは、これに、予算 の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添付しなければならない。
(利益及び損失の処理)
第三十五条 センターは、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から 繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 センターは、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金 を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(借入金)
第三十六条 センターは、資金の借入れ(借換えを含む。)をしようとするときは、国家公安委 員会の認可を受けなければならない。
(財産の処分等の制限)
第三十七条 センターは、総理府令で定める重要な財産を譲渡し、交換し、又は担保に供しよう とするときは、国家公安委員会の認可を受けなければならない。
(給与及び退職手当の支給の基準)
第三十八条 センターは、役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとす るときは、国家公安委員会の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(総理府令への委任)
第三十九条 この法律に規定するもののほか、センターの財務及び会計に関し必要な事項は、総 理府令で定める。
第六章 監督
(監督)
第四十条 センターは、国家公安委員会が監督する。
2 国家公安委員会は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、センターに対し、 その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第四十一条 国家公安委員会は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、センター に対しその業務に関し報告をさせ、又は警察庁の職員にセンターの事務所その他の事業場に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができ る。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者に提示しな ければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならな い。
第七章 雑則
(連絡等)
第四十二条 センターは、その業務の運営について、都道府県警察と密接に連絡するものとす る。
2 都道府県警察は、センターに対し、その業務の円滑な運営が図られるように、必要な配慮を 加えるものとする。
(解散)
第四十三条 センターの解散については、別に法律で定める。
(大蔵大臣との協議)
第四十四条 内閣総理大臣は、第三十七条又は第三十九条の規定による総理府令を定めようとす るときは、大蔵大臣に協議しなければならない。
2 国家公安委員会は、次の場合には、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第二十九条第二項、第三十条第一項、第三十三条、第三十六条又は第三十七条の規定によ る認可をしようとするとき。
二 第三十四条第一項又は第三十八条の規定による承認をしようとするとき。
第八章 罰則
第四十五条 第二十七条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処す る。
第四十六条 第四十一条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の 規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をしたセンターの役員又は職員は、十万円以下の罰金に処する。
第四十七条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をしたセンターの役員は、 三万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定により国家公安委員会の認可又は承認を受けなければならない場合におい て、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第七条第一項の規定に違反して登記することを怠つたとき。
三 第二十九条第一項に規定する業務以外の業務を行つたとき。
四 第四十条第二項の規定による国家公安委員会の命令に違反したとき。
第四十八条 第六条第二項の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から 施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の際現にその名称中に自動車安全運転センターという文字を用いている 者については、第六条第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第三条 センターの最初の事業年度は、第三十二条の規定にかかわらず、その成立の日に始ま り、昭和五十一年三月三十一日に終わるものとする。
第四条 センターの最初の事業年度の予算、事業計画及び資金計画については、第三十三条中 「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「センターの成立後遅滞なく」とする。
(所得税法の一部改正)
第五条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中自転車競技会の項の次に次のように加える。
自動車安全運転センター |
自動車安全運転センター法(昭和五十年法律第五十七号) |
(法人税法の一部改正)
第六条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中雇用促進事業団の項の次に次のように加える。
自動車安全運転センター |
自動車安全運転センター法(昭和五十年法律第五十七号) |
(印紙税法の一部改正)
第七条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。
別表第二中市街地再開発組合の項の次に次のように加える。
自動車安全運転センター |
自動車安全運転センター法(昭和五十年法律第五十七号) |
(登録免許税法の一部改正)
第八条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第二中雇用促進事業団の項の次に次のように加える。
自動車安全運転センター |
自動車安全運転センター法(昭和五十年法律第五十七号) |
(地方税法の一部改正)
第九条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の四第一項第三号中「及び国際協力事業団」を「、国際協力事業団及び自動車安 全運転センター」に改める。
第七十三条の四第一項中第二十七号を第二十八号とし、第二十六号の次に次の一号を加え る。
二十七 自動車安全運転センターが自動車安全運転センター法(昭和五十年法律第五十七 号)第二十九条第一項第四号又は第五号に規定する業務の用に供する不動産で政令で定めるもの
第三百四十八条第二項に次の一号を加える。
三十一 自動車安全運転センターが自動車安全運転センター法第二十九条第一項第四号又は 第五号に規定する業務の用に供する固定資産で政令で定めるもの
(内閣総理・大蔵大臣署名)