中小企業近代化促進法の一部を改正する法律
法律第五十一号(昭五〇・七・一)
中小企業近代化促進法(昭和三十八年法律第六十四号)の一部を次のように改正する。
第一条中「の実態を調査して」を「をめぐる経済事情の変化に対処してその成長発展を図るため」に、「その円滑な実施を図る」を「中小企業の構造改善を推進する」に改め、「健全な発展」の下に「と国民生活の安定向上」を加える。
第三条の見出しを「(中小企業近代化計画)」に改め、同条第一項中「きいて」を「聴いて」に、「中小企業近代化基本計画(以下「基本計画」という。)」を「中小企業近代化計画(以下「近代化計画」という。)」に改め、同項第一号中「行なわれ」を「行われ」に改め、同項第二号を次のように改める。
二 次のイ又はロに該当すること。
イ 当該業種に属する中小企業の近代化を図ることが産業構造の高度化又は産業の国際競争力の強化を促進し、国民経済の健全な発展に資するため特に必要であると認められること。
ロ 当該業種に属する事業が国民生活との関連性が高い物品又は役務を供給するものであり、かつ、その業種に属する中小企業の近代化を図ることが国民生活の安定又は向上に資するため特に必要であると認められること。
第三条第二項から第四項までを次のように改める。
2 近代化計画には、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 次のイ又はロに掲げる事項
イ 製造業にあつては、目標年度における製品の性能又は品質、生産費その他の近代化の目標及び製品の供給の見通し
ロ 製造業以外の業種にあつては、イに掲げる事項に準ずる事項
二 新商品又は新技術の開発、設備の近代化、生産又は経営の規模又は方式の適正化、競争の正常化又は取引関係の改善その他の近代化の目標を達成するために必要な事項
三 従業員の福祉の向上、消費者の利益の増進、環境の保全その他の近代化に際し配慮すべき重要事項
3 主務大臣は、第一項の規定により近代化計画を定めたときは、その要旨を公表するとともに、当該指定業種に属する事業を行う中小企業者又は当該中小企業者を直接若しくは間接の構成員(以下単に「構成員」という。)とする団体に対し、必要な指導を行うものとする。
4 主務大臣は、経済事情の変化のため必要があると認めるときは、中小企業近代化審議会の意見を聴いて、近代化計画を変更するものとする。
第三条に次の一項を加える。
5 第三項の規定は、前項の規定により近代化計画を変画した場合に準用する。
第四条及び第五条を削り、第五条の二第一項中「指定業種のうち」の下に「、経済事情の著しい変化に対処して緊急に」を加え、「国際競争力を強化するため緊急に」を「国民経済の健全な発展又は国民生活の安定若しくは向上に資するため特に」に、「行なう」を「行う」に、「生産」を「新商品又は新技術の開発、生産」に改め、同条第二項中「前項」を「前各項及び第十八条第二項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第一項の次に次の三項を加え、同条を第四条とする。
2 特定業種に属する事業(以下「特定事業」という。)を行う中小企業者を構成員とする商工組合等(以下「特定商工組合等」という。)は、関連業種(その業種に属する事業と特定事業との関連性が高いことその他の政令で定める基準に該当するものとして主務大臣が特定業種ごとに指定する業種をいう。以下同じ。)に属する事業を行う者(以下「関連事業者」という。)又は関連事業者を構成員とする商工組合等と共同して、その特定商工組合等の構成員たる中小企業者が行う特定事業に係る構造改善事業について構造改善計画を作成し、これを主務大臣に提出して、その構造改善計画が適当である旨の承認を受けることができる。
3 構造改善計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 構造改善事業の目標
二 構造改善事業の内容及び実施時期
三 構造改善事業を実施するのに必要な資金の額及びその調達方法
四 特定商工組合等が構造改善事業を実施する場合において、必要な試験研究費に充てるためその構成員又は関連事業者に対し負担金の賦課をしようとするときは、その賦課の基準
4 主務大臣は、第一項又は第二項の承認の申請があつた場合において、その構造改善計画が、近代化計画に定める近代化の目標を達成するため適当なものであることその他の政令で定める基準に該当するものであると認めるときは、その承認をするものとする。
第六条の前に次の一条を加える。
(中小企業新分野進出計画の承認等)
第五条 その業種に属する中小企業の供給する物品又は役務に対する需要が需給構造その他の経済事情の変化による著しい影響を受けていることその他の政令で定める基準に該当するため、当該業種に属する事業以外の事業の分野への進出を促進することが特に必要であるものとして当該業種に属する事業を所管する大臣が指定する業種(以下「進出促進業種」という。)に属する事業を行う中小企業者を構成員とする商工組合等は、その構成員たる中小企業者の新商品の開発等による新たな事業の分野への進出のための試験研究の実施又はその成果の企業化、需要の開拓、進出促進業種に属する事業の用に供している設備の処理その他の事業(以下「新分野進出事業」という。)について中小企業新分野進出計画(以下「新分野進出計画」という。)を作成し、これを主務大臣に提出して、その新分野進出計画が適当である旨の承認を受けることができる。
2 主務大臣は、前項の承認の申請があつた場合において、その新分野進出計画が、当該進出促進業種に属する事業を行う構成員たる中小企業者の能力を有効かつ適切に発揮することができる事業の分野への進出に係るものであることその他の政令で定める基準に該当するものであると認めるときは、その承認をするものとする。
3 第一項の承認を受けた商工組合等の構成員たる中小企業者であつてその承認に係る新分野進出計画に定める設備の処理を実施しようとするものは、設備処理計画を作成し、これを主務大臣に提出して、その設備処理計画がその承認に係る新分野進出計画を円滑に実施するため適当なものである旨の承認を受けることができる。
4 前条第三項の規定は新分野進出計画に、同条第五項の規定は第一項又は前項の承認及びその取消しに準用する。
第六条中「実施計画」を「近代化計画」に、「若しくは前条第一項」を「第四条第一項若しくは第二項」に改め、「構造改善事業を」の下に「実施し、若しくは前条第一項の承認に係る新分野進出計画に従つて新分野進出事業を」を加える。
第七条第一項中「基本計画」を「近代化計画」に、「第三条第二項第五号又は第六号の」を「生産若しくは経営の規模若しくは方式の適正化に関する事項又は競争の正常化若しくは取引関係の改善に関する」に、「行なう」を「行う」に改め、同条第二項中「行なう者(以下「関連事業者」という。)」を「行う者」に、「当該関連事業者」を「当該事業を行う者」に改める。
第八条第一項中「行なう」を「行う」に、「生産性が著しく向上し」を「近代化が著しく促進され」に、「基本計画」を「近代化計画」に改め、同条第二項中「第五条の二第一項」を「第四条第一項」に、「特定業種に属する事業(以下「特定事業」という。)」を「特定事業」に、「行なう」を「行う」に、「生産性が著しく向上する」を「近代化が著しく促進される」に改め、同条第四項中「前三項」を「前各項」に、「若しくは第二項」を「から第三項まで」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項中「前二項」を「前三項」に改め、「指定事業を行なう」を削り、「行なう」を「行う」に、「あわせて」を「併せて」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 主務大臣は、政令で定めるところにより、第四条第二項の承認を受けた特定商工組合等の構成員たる中小企業者であつて特定事業を行うものに対し、その者が当該承認に係る構造改善計画に従つて、指定事業を行う他の法人である中小企業者若しくは当該承認を受けた関連事業者たる法人である中小企業者と合併し、又は特定事業を行う他の法人である中小企業者に対して出資し、若しくは指定事業を行う他の中小企業者若しくは当該承認を受けた関連事業者たる中小企業者とともに出資して特定事業を行う法人(会社又は企業組合に限る。)を設立し、かつ、それにより当該特定事業を行う中小企業者の事業の近代化が著しく促進されることとなると認められる旨の承認をすることができる。特定事業以外の指定事業を行う中小企業者が同項の承認を受けた特定商工組合等の構成員たる中小企業者であつて特定事業を行うものと当該承認に係る構造改善計画に従つて合併する場合であつて、その合併により当該特定事業を行う中小企業者の事業の近代化が著しく促進されることとなると認められるときにおける当該指定事業を行う中小企業者及び同項の承認を受けた関連事業者たる中小企業者が当該承認に係る構造改善計画に従つて、当該承認を受けた特定商工組合等の構成員たる法人である中小企業者であつて特定事業を行うものと合併し、又は当該特定事業を行う法人である中小企業者に対して出資し、若しくは当該特定事業を行う中小企業者とともに出資して特定事業を行う法人(会社又は企業組合に限る。)を設立する場合であつて、その合併又は出資により当該特定事業を行う中小企業者の事業の近代化が著しく促進されたこととなると認められるときにおける当該関連事業者たる中小企業者に対しても、同様とする。
第九条中「行なう」を「行う」に改め、同条に次の二項を加える。
2 商工組合等が、第四条第一項の承認を受けた構造改善計画若しくは第五条第一項の承認を受けた新分野進出計画で定める賦課の基準に基づいてその構成員たる中小企業者に対し、又は第四条第二項の承認を受けた構造改善計画で定める賦課の基準に基づいてその構成員たる中小企業者若しくは当該関連事業者たる中小企業者に対し、試験研究の実施に必要な機械装置(工具、器具及び備品を含む。)を取得し、又は製作するための費用に充てるための負担金を賦課した場合において、当該構成員たる中小企業者又は当該関連事業者たる中小企業者がその負担金を納付したときは、租税特別措置法で定めるところにより、その負担金について特別償却をすることができる。
3 第五条第三項の承認を受けた中小企業者が当該承認に係る進出促進業種に属する事業の用に供している減価償却資産の廃棄又は譲渡をするときは、租税特別措置法で定めるところにより、当該中小企業者に対する法人税又は所得税の課税について特別の措置を講ずる。
第十七条第一項中「基本計画若しくは実施計画」を「近代化計画」に、「当該指定業種に属する事業を行なう」を「当該指定事業を行う」に改め、同条第二項中「、関連事業者」を「、当該中小企業者の事業と競合し又は関連する事業を行う者」に、「当該関連事業者」を「当該事業を行う者」に改め、同条第三項中「第五条の二第一項」を「第四条第一項又は第二項」に、「商工組合等に対し、」を「特定商工組合等に対し」に改め、「実施状況について」の下に「、第五条第一項の承認を受けた商工組合等に対し新分野進出事業の実施状況について」を加える。
第十八条を次のように改める。
(主務大臣等)
第十八条 この法律における主務大臣は、当該指定事業を所管する大臣とする。ただし、次の各号に掲げる事項に関しては、当該各号に定める大臣とする。
一 策五条第一項若しくは第三項の承認又は新分野進出事業の実施状況に係る前条第三項の報告の徴収 当該進出促進業種に属する事業を所管する大臣及び当該新分野進出事業によつて進出しようとする事業を所管する大臣
二 第七条第二項の勧告、第十条第一項の指導又は前条第二項の報告の徴収 当該勧告、指導又は報告の徴収の対象となる者の行う事業を所管する大臣(その対象となる者が特別の法律によつて設立された組合又はその連合会であるときは、その対象となる者の行う事業を所管する大臣及びその組合又は連合会を所管する大臣)
2 主務大臣は、第四条第二項の指定又は承認をしようとするときは、当該関連業種に属する事業を所管する大臣に協議しなければならない。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
第二条 改正前の第五条の二第一項又は第八条第二項若しくは第三項の規定によつてした承認であつてこの法律の施行の際現にその効力を有するものは、それぞれ改正後の第四条第一項又は第八条第二項若しくは第四項の規定によつてしたものとみなす。
(地方税法の一部改正等)
第三条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第五百八十六条第二項第十号を次のように改める。
十 中小企業近代化促進法(昭和三十八年法律第六十四号)第四条第一項若しくは第二項若しくは沖繩振興開発特別措置法第二十条第一項若しくは第二項の規定による承認を受けた構造改善計画に従つて実施される構造改善事業又は中小企業近代化促進法第五条第一項の規定による承認を受けた新分野進出計画に従つて実施される新分野進出事業の用に供する土地で政令で定めるもの
2 前項の規定による改正後の地方税法第五百八十六条第二項第十号の規定中土地に対して課する特別土地保有税に関する部分は、昭和五十一年度分から適用し、昭和五十年度分までの土地に対して課する特別土地保有税については、なお従前の例による。
3 第一項の規定による改正後の地方税法第五百八十六条第二項第十号の規定中土地の取得に対して課する特別土地保有税に関する部分は、この法律の施行の日以後の土地の取得について適用し、同日前の土地の取得に対して課する特別土地保有税については、なお従前の例による。
(地方税法の一部を改正する法律の一部改正)
第四条 地方税法の一部を改正する法律(昭和五十年法律第十八号)の一部を次のように改正する。
第四章中第六節を第七節とし、第五節を第六節とし、第四節の次に次の一節を加える改正規定中第七百一条の三十四第三項第二十一号に係る部分を次のように改める。
二十一 中小企業近代化促進法第四条第一項若しくは第二項の規定による承認を受けた構造改善計画に従って実施される構造改善事業又は同法第五条第一項の規定による承認を受けた新分野進出計画に従つて実施される新分野進出事業の用に供する施設で政令で定めるもの
(中小企業信用保険法の一部改正)
第五条 中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項第二号中「事業を行なう」を「事業、同法第四条第二項の承認を受けた構造改善計画に係る構造改善事業又は同法第五条第一項の承認を受けた新分野進出計画に係る新分野進出事業を行う」に改める。
(沖縄振興開発特別措置法の一部改正等)
第六条 沖縄振興開発特別措置法(昭和四十六年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第十九条第一項中「きいて」を「聴いて」に、「近代化基本計画」を「近代化計画」に改め、同項第一号中「行なわれ」を「行われ」に改め、同項第二号中「生産性の向上」を「近代化」に改め、同条第二項中「第四項まで、第四条及び第五条」を「第五項まで」に、「近代化基本計画」を「近代化計画」に、「及び第三項」を「及び第四項」に、「行なう」を「行う」に、「第四条第一項、第五条第一項」を「第三条第四項」に改める。
第二十条第一項中「行なう」を「行う」に、「において「商工組合等」と」を「及び次条において「商工組合等」と」に改め、「構造改善に関する事業」の下に「(以下この条において「構造改善事業」という。)」を加え、同条第二項中「第五条の二第二項の規定は前項」を「第四条第三項から第五項までの規定は第一項又は第二項」に、「及び第三項の規定は前項の承認を受けた商工組合等」を「から第四項までの規定は第一項又は第二項の承認を受けた特定商工組合等」に、「行なうもの」を「行うもの及び同項の承認を受けた関連事業者たる中小企業者」に、「前項の承認を受けた商工組合等」を「第一項又は第二項の承認を受けた商工組合等及び同項の承認を受けた関連事業者」に改め、同項を同条第四項とし、同条第一項の次に次の二項を加える。
2 特定業種に属する事業を行う沖縄の中小企業者を構成員とする商工組合等(以下この条及び次条において「特定商工組合等」という。)は、関連業種(その業種に属する事業と特定業種に属する事業との関連性が高いことその他の政令で定める基準に該当するものとして関係行政機関の長が特定業種ごとに指定する業種をいう。以下この条において同じ。)に属する事業を行う者(以下この条及び次条において「関連事業者」という。)又は関連事業者を構成員とする商工組合等と共同して、その特定商工組合等の構成員たる中小企業者が行う特定業種に属する事業に係る構造改善事業について構造改善計画を作成し、これを関係行政機関の長に提出して、その構造改善計画が適当である旨の承認を受けることができる。
3 関係行政機関の長は、前項の指定又は承認をしようとするときは、当該関連業種に属する事業を所管する大臣に協議しなければならない。
第二十一条第一項中「第八条第四項」を「第八条第五項」に改め、同項第一号中「第三項又は前条第二項」を「第四項又は前条第四項」に、「若しくは第三項の承認」を「から第四項までの承認」に改め、同項第二号中「前条第二項」を「前条第四項」に、「第八条第二項」を「第八条第二項若しくは第三項」に改め、同条第二項中「行なう」を「行う」に、「第九条」を「第九条第一項」に改め、同条第三項中「行なう」を「行う」に、「については、その者」を「及び前条第二項の承認を受けた関連事業者たる中小企業者(関連事業者を構成員とする同項の承認を受けた商工組合等のうち同法第二条第一項第二号及び第四号から第七号までに掲げるものに該当するものを含む。)については、これらの者」に改める。
第五十七条第一項中「第二十条第二項」を「第二十条第四項」に改める。
2 前項の規定による改正前の沖縄振興開発特別措置法第十九条第二項において準用する改正前の中小企業近代化促進法第八条第一項又は第三項の規定によつてした承認であつてこの法律の施行の際現にその効力を有するものは、前項の規定による改正後の沖縄振興開発特別措置法第十九条第二項において準用する改正後の中小企業近代化促進法第八条第一項又は第四項の規定によつてしたものとみなす。
3 この法律の施行前にした行為に対する沖縄振興開発特別措置法の罰則の適用については、なお従前の例による。
(内閣総理・大蔵・厚生・農林・通商産業・運輸・建設・自治大臣署名)