港湾運送事業法の一部を改正する法律

法律第八十四号(昭四一・六・一五)

 港湾運送事業法(昭和二十六年法律第百六十一号)の一部を次のように改正する。

 第二条第一項第二号中「貨物の取卸」の下に「(第四号に掲げる行為を除く。)」を加え、同項第三号中「(総トン数百トン以上の鋼製船舶を除く。)」を削り、同項第四号中「はしけからの取卸若しくははしけへの積込」を「船舶(運輸省令で定める総トン数未満のものに限る。以下この号において同じ。)若しくははしけからの取卸し若しくは船舶若しくははしけへの積込み(貨物の船舶からの取卸し又は船舶への積込みにあつては、当該船舶が岸壁、さん橋又は物揚場に係留され、かつ、当該船舶の揚貨装置を使用しないで行なう場合に限る。)」に改め、同条第四項を同条第五項とし、同条第三項中「水域は」の下に「、政令で定めるものを除くほか」を加え、「いい、これに接続する湖川の政令で定める区域を含む」を「いう」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。

3 この法律で「港湾運送関連事業」とは、営利を目的とするとしないとを問わず、他人の需要に応じて次に掲げる行為を行なう事業をいう。

 一 港湾においてする、船舶に積み込まれた貨物の位置の固定若しくは積載場所の区画、船積貨物の荷造り若しくは荷直し又は船舶への貨物の積込み若しくは船舶からの貨物の取卸しに先行し若しくは後続する船倉の清掃

 二 港湾においてする船積貨物の警備

 「第二章 港湾運送事業」を「第二章 港湾運送事業等」に改める。

 第六条第一項第二号を次のように改める。

 二 第三条第一号から第五号までに掲げる港湾運送事業にあつては、少なくとも、港湾運送事業の種類及び港湾ごとに運輸省令で定める施設及び労働者を有するものであること。

 第六条第一項中第四号を第五号とし、第三号を第四号とし、第二号の次に次の一号を加える。

 三 当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。

 第十六条を次のように改める。

 (下請の制限)

第十六条 一般港湾運送事業者は、各月中に引き受けた港湾運送については、第二条第一項第二号から第五号までに掲げる行為の種別ごとに、少なくとも、当該月中に引き受けた港湾運送のうち当該種別のものに係る貨物量に運輸省令で定める率を乗じて得た貨物量の貨物に係る当該種別の行為を自ら行なわなければならない。

2 前項の規定の適用については、一般港湾運送事業者がその引き受けた港湾運送を他の港湾運送事業者(当該一般港湾運送事業者が発行済株式の総数の二分の一をこえる株式を保有することによりその事業活動を支配するものその他当該一般港湾運送事業者とこれに準ずる運輸省令で定める密接な関係を有するものに限る。)に下請をさせる場合における当該下請に係る行為は、自ら行なつた行為とみなす。ただし、当該一般港湾運送事業者が、当該月中に引き受けた港湾運送に係る第二条第一項第二号から第五号までに掲げる行為のうちいずれかの種別の行為を前項の規定に従つて自ら行なつた場合に限る。

3 第三条第二号から第五号までに掲げる港湾運送事業(以下「船内荷役事業等」という。)の免許を受けた者は、各月中に引き受けた港湾運送(他の港湾運送事業者から引き受けたものを除く。)については、少なくとも、当該月中に引き受けた港湾運送に係る貨物量に第一項の運輸省令で定める率を乗じて得た貨物量の貨物に係る港湾運送を自ら行なわなければならない。

4 船内荷役事業等の免許を受けた者は、他の港湾運送事業者から引き受けた港湾運送については、その全部を自ら行なわなければならない。

5 第一項及び第三項に規定する貨物量の算出の方法は、運輸省令で定める。

6 運輸大臣は、港湾運送事業者が第一項、第三項又は第四項の規定に違反していると認めるときは、当該港湾運送事業者に対し、その是正のために必要な事業施設の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる。

 第十七条の二の次に次の一条を加える。

 (会計)

第十七条の三 港湾運送事業者は、その事業年度、勘定科目の分類、帳簿書類の様式その他の会計に関する手続について運輸省令で定めるところに従い、その会計を処理しなければならない。

 第十八条第二項中「及び解散」を削り、同条に次の一項を加える。

6 第六条の規定は、第一項、第二項又は第四項の認可について準用する。

 第二十条の見出し中「許可」を「許可等」に改め、同条第三項中「前項」を「前二項」に、「休止」を「事業の休止若しくは廃止又は法人の解散」に改め、同項を同条第五項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第一項の次に次の二項を加える。

2 港湾運送事業を経営する法人の解散の決議又は総社員の同意は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3 運輸大臣は、当該事業の休止若しくは廃止又は当該法人の解散によつて利用者の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除くほか、第一項の許可又は前項の認可をしなければならない。

 第二章中第二十二条の次に次の四条を加える。

 (港湾運送関連事業の届出)

第二十二条の二 港湾運送関連事業を営もうとする者は、あらかじめ、港湾ごとに、運輸省令で定める事項を運輸大臣に届け出なければならない。当該届出をした者(以下「港湾運送関連事業者」という。)が当該届出をした事項を変更しようとするときも、同様とする。

2 港湾運送関連事業者は、その事業を休止し、又は廃止したときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。

 (料金)

第二十二条の三 港湾運送関連事業者は、運輸省令で定めるところにより、港湾ごとに、料金を定め、その実施前に、運輸大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 (料金の変更命令及び聴聞)

第二十二条の四 運輸大臣は、港湾運送関連事業者が前条の規定により届け出た料金が次の各号の基準に適合しないと認めるときは、当該港湾運送関連事業者に対し、期限を定めて当該料金を変更すべきことを命ずることができる。

 一 能率的な経営の下における適正な原価を償い、かつ、適正な利潤を含むものであること。

 二 特定の利用者に対し不当な差別的取扱いをするものでないこと。

2 運輸大臣は、前項の規定により料金の変更を命じようとするときは、当該港湾運送関連事業者に対し、あらかじめ期日及び場所を通知して、公開による聴聞を行なわなければならない。

3 聴聞に際しては、当該港湾運送関連事業者及び利害関係人に対し、意見を述べ、及び証拠を提出する機会を与えなければならない。

 (料金の割りもどしの禁止及び料金の掲示)

第二十二条の五 第十条の規定は港湾運送関連事業者が収受した料金について、第十二条の規定は港湾運送関連事業者が第二十二条の三の規定により届け出た料金について準用する。

 第二十九条を次のように改める。

 (免許等の条件又は期限)

第二十九条 免許、許可又は認可には、条件又は期限を附し、及びこれを変更することができる。

2 前項の条件又は期限は、公共の利益を増進し、又は免許、許可若しくは認可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該港湾運送事業者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。

 第三十三条第一項及び第二項中「港湾運送事業者」の下に「又は港湾運送関連事業者」を加える。

 第三十三条の三第三項中「第十六条まで」を「第十五条の二まで、第十六条第四項及び第六項」に、「及び第三十三条」を「並びに第三十三条」に、「第十九条第一項を除く」を「第十六条第四項及び第十九条第一項を除く」に、「第十九条第一項中」を「第十六条第四項中「船内荷役事業等の免許を受けた者」とあるのは「第三十三条の三第一項の規定の適用を受ける内航海運業者」と、第十九条第一項中」に改め、第四章中同条の次に次の一条を加える。

 (政令への委任)

第三十三条の四 第二条第四項の規定に基づき政令を制定し、又は改廃する場合においては、政令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

 第三十五条第三号中「第三十三条の二第二項」を「第二十二条の五、第三十三条の二第二項」に改め、「第十六条(第三十三条の三第三項において準用する場合を含む。)」を削り、同条第五号中「第十七条の二第二項又は第二十一条」を「第十六条第六項(第三十三条の三第三項において準用する場合を含む。)、第十七条の二第二項、第二十一条又は第二十二条の四第一項」に改め、同条に次の一号を加える。

 六 第二十二条の三の規定による届出をしないで料金を収受した者

 第三十七条第一号中「第三十三条の二第二項」を「第二十二条の五、第三十三条の二第二項」に改め、同条第二号中「第十七条第三項」の下に「第二十二条の二」を加える。


   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、昭和四十一年十月一日から施行する。ただし、第二十二条の三から第二十二条の五までの改正規定並びに附則第六項及び第七項の規定は、昭和四十二年十月一日から施行する。

 (経過規定)

2 この法律の施行前にした改正前の港湾運送事業法の規定による港湾運送事業の免許及びその申請は、改正後の港湾運送事業法(以下「新法」という。)の規定に基づいてしたものとみなす。

3 次の各号の一に該当する者は、この法律の施行の日から一年間は、新法第四条の免許を受けないでも、当該各号の事業を従前の例により引き続き営むことができる。その者がその期間内に同条の免許の申請をした場合において、その申請について免許をする旨又は免許をしない旨の通知を受けるまでの期間についても、同様とする。

 一 この法律の施行の際現に、内航海運業法(昭和二十七年法律第百五十一号)第三条第一項の規定による登録を受けて内航運送業を営んでいる者であつて、第二条第一項第三号の規定の改正により新たにはしけ運送事業となる事業に相当する事業を営んでいるもの

 二 この法律の施行の際現に、船内荷役事業の免許を受けている者であつて、第二条第一項第四号の規定の改正により新たに沿岸荷役事業となる事業に相当する事業を営んでいるもの

4 この法律の施行の際現に新法第三条第一号から第五号までに掲げる港湾運送事業の免許を受けている者に係る港湾運送(他の港湾運送事業者から引き受けるものを除く。)の下請の制限については、新法第十六条第一項から第三項までの規定にかかわらず、この法律の施行の日から二年間は、なお従前の例による。

5 この法律の施行の際現に港湾運送関連事業を営んでいる者については、新法第二十二条の二第一項前段中「あらかじめ」とあるのは、「この法律の施行の日から三十日以内に」と読み替えて、同項前段の規定を適用する。

6 第二十二条の三の改正規定の施行の際現に港湾運送関連事業者である者については、新法第二十二条の三中「その実施前に」とあるのは、「第二十二条の三の改正規定の施行の日から三十日以内に」と読み替えて、同条の規定を適用する。

7 前項に規定する者は、同項及び新法第二十二条の三の規定により料金を届け出るまでの間は、第二十二条の三の改正規定の施行の際実施している料金を引き続き実施することができる。この場合において、当該料金については、新法第二十二条の五の規定(新法第十条の規定を準用する部分に限る。)は、適用しない。

8 この法律の施行前にした行為及び附則第四項の規定により従前の例によることとされる港湾運送の下請の制限に係るこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。


 (海上運送法の一部改正)

9 海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)の一部を次のように改正する。

  第二条第二項中「第二条第三項」を「第二条第四項」に改める。


 (内航海運業法の一部改正)

10 内航海運業法の一部を次のように改正する。

  第二条第三項第三号及び第四項中「第二条第三項」を「第二条第四項」に改める。


 (内航海運組合法の一部改正)

11 内航海運組合法(昭和三十二年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一項第五号中「第二条第三項」を「第二条第四項」に改める。

(運輸・内閣総理大臣署名) 

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