辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律
法律第八十八号(昭三七・四・二五)
(目的)
第一条 この法律は、辺地を包括する市町村について、当分の間、当該辺地に係る公共的施設の総合的、かつ、計画的な整備を促進するために必要な財政上の特別措置等を定め、辺地とその他の地域との間における住民の生活文化水準の著しい格差の是正を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「辺地」とは、交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれず、他の地域に比較して住民の生活文化水準が著しく低い山間地、離島その他のへんぴな地域で、住民の数その他について政令で定める要件に該当しているものをいう。
2 この法律において「公共的施設」とは、次の各号に掲げる施設で、辺地とその他の地域との間における住民の生活文化水準の著しい格差の是正を図るため最低限度必要なものをいう。
一 電灯用電気供給施設
二 道路及び渡船施設
三 小学校又は中学校の児童又は生徒の通学を容易にするための自動車、渡船施設又は寄宿舎
四 診療施設
五 飲用水供給施設
六 前各号に掲げるもののほか、政令で定める施設
(総合整備計画の策定等)
第三条 この法律によつて公共的施設の整備をしようとする市町村は、当該市町村の議会の議決を経て当該辺地に係る公共的施設の総合的な整備に関する財政上の計画(以下「総合整備計画」という。)を定め、これを自治大臣に提出しなければならない。この場合において、当該市町村は、あらかじめ、都道府県知事と協議しなければならない。
2 総合整備計画は、次の各号に掲げる事項について定めるものとする。
一 整備を必要とする辺地の事情
二 整備しようとする公共的施設
三 整備の方法
四 整備に要する経費とその財源内訳
五 前各号に掲げるもののほか、自治省令で定める事項
3 都道府県知事は、第一項の規定により市町村が自治大臣に提出する総合整備計画に関し、当該都道府県が当該市町村に協力して講じようとする措置の計画を定め、これを自治大臣に提出するものとする。
4 自治大臣は、第一項の規定により総合整備計画の提出があつた場合においては、ただちに、その旨を当該総合整備計画について関係がある各省各庁の長(財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第二十条第二項の各省各庁の長をいう。)(以下「関係各省各庁の長」という。)に通知しなければならない。この場合において、関係各省各庁の長は、当該総合整備計画についてその意見を自治大臣に申し出ることができる。
5 前四項の規定は、第一項の規定により総合整備計画を提出した市町村が当該総合整備計画を変更しようとする場合について準用する。
(関係各省各庁の長等の協力)
第四条 自治大臣は、総合整備計画に基づく公共的施設の整備に関し必要がある場合においては、関係各省各庁の長に対し、当該市町村に対する技術的助言その他の協力を求めることができる。
2 自治大臣は、総合整備計画のうちに、第二条第二項各号に掲げる施設に関する事業で当該市町村以外の者が経営するものに係る計画が含まれている場合においては、関係各省各庁の長を通じて、これらの者に対し、これらの施設の設置及び経営について当該市町村に対する協力を求めることができる。
(地方債)
第五条 第三条第一項の規定により市町村が自治大臣に提出した総合整備計画に基づいて実施する公共的施設の整備につき当該市町村が必要とする経費については、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条第一項各号に規定する経費に該当しないものについても、地方債をもつてその財源とすることができる。
(元利償還金の基準財政需要額への算入)
第六条 総合整備計画に基づいて実施する公共的施設の整備につき当該市町村が必要とする経費の財源に充てるため起こした地方債(当該地方債を財源として設置した施設に関する事業の経営に伴う収入を当該地方債の元利償還に充てることができるものを除く。)で、自治大臣が指定したものに係る元利償還に要する経費は、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)の定めるところにより、当該市町村に交付すべき地方交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入するものとする。
(助言及び調査)
第七条 自治大臣は、公共的施設の総合的、かつ、計画的な整備を促進するために必要があると認める場合においては、辺地を包括する市町村に対し助言し、又はそれらの市町村について調査を行なうことができる。
2 自治大臣は、前項の助言又は調査を都道府県知事に委任して行なわせることができる。
(政令への委任)
第八条 この法律の実施のための手続その他その施行に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行し、次項の規定による改正後の地方交付税法の規定は、昭和三十八年度分の地方交付税から適用する。
2 地方交付税法の一部を次のように改正する。
第十二条第一項の表市町村の項中
「 |
八 特定債償還費 |
公共事業費等特定の事業費の財源に充てるため発行を許可された地方債に係る元利償還金 |
一円につき |
二五 |
」 |
を
「 |
八 特定債償還費 |
公共事業費等特定の事業費の財源に充てるため発行を許可された地方債に係る元利償還金 |
一円につき |
二五 |
」 |
九 辺地対策事業債償還費 |
辺地対策事業費の財源に充てるため発行を許可された地方債に係る元利償還金 |
一円につき |
五七 |
に改め、同条第二項の表中
「 |
四十一 公共事業費等特定の事業費の財源に充てるため発行を許可された地方債に係る元利償還金 |
国庫の補助金、負担金その他これらに類するものを受けて施行した一般公共事業、失業対策事業及び義務教育施設の建設事業に係る経費に充てるため昭和二十一年度から昭和三十年度までの間に発行を許可された地方債(地盤沈下等対策事業債、緊急砂防等事業債及び特殊土じよう対策事業債並びに昭和二十六年度、昭和二十七年度及び昭和二十九年度において特別の措置として発行を許可された地方債で自治大臣の指定するものを除く。)又は国の行なう一般公共事業に係る負担金に充てるため昭和二十一年度から昭和三十四年度までの間に発行を許可された地方債(地盤沈下等対策事業債、緊急砂防等事業債及び特殊土じよう対策事業債並びに昭和二十六年度、昭和二十七年度及び昭和二十九年度において特別の措置として発行を許可された地方債で自治大臣の指定するものを除く。)に係る当該年度における元利償還金 |
円 |
」 |
を
「 |
四十一 公共事業費等特定の事業費の財源に充てるため発行を許可された地方債に係る元利償還金 |
国庫の補助金、負担金その他これらに類するものを受けて施行した一般公共事業、失業対策事業及び義務教育施設の建設事業に係る経費に充てるため昭和二十一年度から昭和三十年度までの間に発行を許可された地方債(地盤沈下等対策事業債、緊急砂防等事業債及び特殊土じよう対策事業債並びに昭和二十六年度、昭和二十七年度及び昭和二十九年度において特別の措置として発行を許可された地方債で自治大臣の指定するものを除く。)又は国の行なう一般公共事業に係る負担金に充てるため昭和二十一年度から昭和三十四年度までの間に発行を許可された地方債(地盤沈下等対策事業債、緊急砂防等事業債及び特殊土じよう対策事業債並びに昭和二十六年度、昭和二十七年度及び昭和二十九年度において特別の措置として発行を許可された地方債で自治大臣の指 定するものを除く。)に係る当該年度における元利償還金 |
円 |
」 |
四十二 辺地対策事業費の財源に充てるため発行を許可された地方債に係る元利償還金 |
辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律(昭和三十七年法律第八十八号)第六条に規定する地方債に係る当該年度における元利償還金 |
円 |
に改める。
3 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第十三号の二の次に次の一号を加える。
十三の三 辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律(昭和三十七年法律第八十八号)の施行に関する事務を行なうこと。
第十二条中第十四号を第十五号とし、第十三号の次に次の一号を加える。
十四 辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律の施行に関すること。
(大蔵・文部・厚生・通商産業・建設・自治・内閣総理大臣署名)