銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律

法律第七十二号(昭三七・四・五)

 銃砲刀剣類等所持取締法(昭和三十三年法律第六号)の一部を次のように改正する。

 第二条第二項中「刃渡五・五センチメートルをこえる飛出しナイフ(四十五度以上に自動的に開刃する装置を有するナイフをいう。)」を「四十五度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ(刃渡り五・五センチメートル以下の飛出しナイフで、開刃した刃体をさやと直線に固定させる装置を有せず、刃先が直線であつてみねの先端部が丸みを帯び、かつ、みねの上における切先から直線で一センチメートルの点と切先とを結ぶ線が刃先の線に対して六十度以上の角度で交わるものを除く。)」に改める。

 第三条第一項第三号中「所持する場合」を「当該許可を受けた者が所持する場合」に改め、同号の次に次の一号を加える。

 三の二 第十条の二第一項の規定による銃砲の保管の委託を受けた者がその委託に係る銃砲を同条第二項の規定により保管のため所持する場合

 第四条第一項を次のように改める。

  次の各号の一に該当する者は、総理府令で定める手続により、所持しようとする銃砲又は刀剣類ごとに、その所持について、住所地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならない。

 一 狩猟、有害鳥獣駆除、と殺、人命救助、漁業又は建設業の用途に供するため必要な銃砲又は刀剣類を所持しようとする者

 二 政令で定める試験又は研究の用途に供するため必要な銃砲を所持しようとする者

 三 国際的な規模で開催される政令で定める運動競技会のけん銃射撃競技に参加する選手又はその候補者として適当であるとして政令で定める者から推薦された者で、当該けん銃射撃競技の用途に供するため必要な銃砲を所持しようとするもの

 四 国際的又は全国的な規模で開催される政令で定める運動競技会における運動競技の審判に従事する者として適当であるとして政令で定める者から推薦された者で、当該運動競技の出発合図の用途に供するため必要な銃砲を所持しようとするもの

 五 祭礼等の年中行事に用いる刀剣類その他の刀剣類で所持することが一般の風俗慣習上やむを得ないと認められるものを所持しようとする者

 第四条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第一項の次に次の三項を加える。

2 前項の規定による許可を受けた者は、銃砲又は刀剣類を所持することになつた場合においては、その所持することになつた日から起算して十四日以内に、総理府令で定めるところにより、その所持することとなつた銃砲又は刀剣類が当該許可に係る銃砲又は刀剣類であるかどうかについて、住所地を管轄する都道府県公安委員会の確認を受けなければならない。

3 第一項第三号に規定する政令で定める者が行なう推薦は、国家公安委員会が定める数の範囲内において行なうものとする。

4 第一項第三号に掲げる銃砲の所持の許可は、政令で定めるところにより、期間を定めて行なうものとする。

 第五条第一項第一号を次のように改める。

 一 十八歳に満たない者(空気銃の所持の許可を受けようとする者で、政令で定めるところにより、政令で定める者から推薦されたものにあつては、十四歳に満たない者)

 第五条第一項第六号中「人の生命」を「他人の生命」に改める。

 第五条に次の一項を加える。

3 都道府県公安委員会は、前条の規定による許可を受けようとする者に第一項第六号に該当する同居の親族(配偶者については、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この項において同じ。)がある場合において、その同居の親族が当該許可の申請に係る銃砲又は刀剣類を使用して他人の生命若しくは財産又は公共の安全を害するおそれがあると認められる者であるときは、許可をしないことができる。

 第八条第一項中第六号を第七号とし、第五号を第六号とし、同号を次のように改める。

 六 許可を受けた者が第四条第一項第三号若しくは第四号の政令で定める者からその推薦を取り消された場合又は空気銃の所持の許可を受けた者で十八歳に満たないものが第五条第一項第一号の政令で定める者からその推薦を取り消された場合

 第八条第一項中第一号から第四号までを一号ずつ繰り下げ、第一号として次の一号を加える。

 一 許可を受けた者が許可を受けた日から起算して三月以内に当該許可に係る銃砲又は刀剣類を所持することとならなかつた場合

 第九条の次に次の一条を加える。

 (射撃場の指定等)

第九条の二 都道府県公安委員会は、銃砲で射撃を行なう施設のうち、その位置及び構造設備がその射撃を行なう銃砲の種類ごとに総理府令で定める基準に適合し、かつ、当該施設を管理する者及びその管理の方法が総理府令で定める基準に適合するものを、当該施設を設置し、又は管理する者(以下この条において「設置者等」という。)の申請に基づき、当該種類の銃砲に係る指定射撃場として指定することができる。

2 都道府県公安委員会は、指定射撃場について、第一項の総理府令で定める基準に適合しているかどうかを調査する必要があると認めるときは、警察官に立ち入り、検査させ、若しくは関係者に質問させ、又は当該指定射撃場の設置者等に対し、必要な報告若しくは資料の提出を求めることができる。

3 警察官は、前項の規定により立入り検査を行なう場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に指示しなければならない。

4 都道府県公安委員会は、指定射撃場が第一項の総理府令で定める基準に適合しなくなつた場合においては、その指定を解除することができる。

5 第一項の申請の手続その他指定射撃場の指定に関して必要な事項は、総理府令で定める。

 第十条第二項第三号を次のように改める。

 三 指定射撃場において、その指定射撃場の指定に係る種類の銃砲で射撃をする場合

 第十条の次に次の一条を加える。

 (銃砲の保管の委託等)

第十条の二 第四条第一項第三号に掲げる銃砲の所持の許可を受けた者は、政令で定める場合を除き、政令で定める者に当該許可に係る銃砲の保管を委託しなければならない。

2 前項の規定により保管の委託を受けた者は、総理府令で定めるところにより、銃砲を保管しなければならない。

3 都道府県公安委員会は、前項の規定による銃砲の保管の状況について、同項の規定により銃砲を保管する者に対し、必要な報告を求めることができる。

 第十一条第七項中「第二項」を「第三項」に改め、同項を同条第八項とし、同条第六項を同条第七項とし、同条第五項を同条第六項とし、同条第四項中「第二項」を「第三項」に、「許可が取り消された者からの譲渡、贈与、返還等により新たに所持の許可を受けようとする者」を「許可が取り消された者から譲渡、贈与、返還等を受けて当該銃砲又は刀剣類について所持の許可を受けた者」に改め、「申請をしたときは」の下に「、都道府県公安委員会は」を加え、「返還することができる」を「返還するものとする」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「前項各号の一」を「第一項各号の一又は前項」に、「人の生命」を「他人の生命」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 都道府県公安委員会は、許可を受けた銃砲又は刀剣類を所持する者について第五条第三項に規定する事情が生じた場合においては、その許可を取り消すことができる。

 第十二条中「前条第一項」の下に「又は第二項」を加える。

 第四章中第二十二条の前に次の一条を加える。

 (譲渡の制限)

第二十一条の二 武器等製造法の武器製造事業者、猟銃等製造事業者若しくは猟銃等販売事業者又は捕鯨用標識銃等製造事業者若しくは捕鯨用標識銃等販売事業者は、譲受人が第三条第一項第一号、第二号、第六号若しくは第九号に該当することを確認した場合又は譲受人が第七条第一項の許可証を提示した場合でなければ、銃砲又は刀剣類(第三条第一項第四号に掲げるものを除く。)を譲り渡してはならない。

 第二十二条の見出しを「(刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物の携帯の禁止)」に改め、同条中「あいくちに類似する刃物」を「総理府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物」に改め、同条に次のただし書を加える。

  ただし、総理府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。

 第二十四条の次に次の一条を加える。

 (銃砲刀剣類等の一時保管等)

第二十四条の二 警察官は、銃砲、刀剣類又は第二十二条に規定する刃物(以下この条において「銃砲刀剣類等」という。)を携帯し、又は運搬していると疑うに足りる相当な理由のある者が、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して他人の生命又は身体に危害を及ぼすおそれがあると認められる場合においては、銃砲刀剣類等であると疑われる物を提示させ、又はそれが隠されていると疑われる物を開示させて調べることができる。

2 警察官は、銃砲刀剣類等を携帯し、又は運搬している者が、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して他人の生命又は身体に危害を及ぼすおそれがあると認められる場合において、その危害を防止するため必要があるときは、これを提出させて一時保管することができる。

3 前条第三項の規定は、警察官が前二項の規定により職務を行なう場合について準用する。

4 第一項及び第二項に規定する警察官の権限は、銃砲刀剣類等による危害を予防するため必要な最小の限度において用いるべきであつて、いやしくもその乱用にわたるようなことがあつてはならない。

5 警察官は、第二項の規定により一時保管した場合においては、すみやかに、その一時保管に係る銃砲刀剣類等を一時保管した場所を管轄する警察署長(以下この条において「所轄警察署長」という。)に引き継がなければならない。この場合において、所轄警察署長は、当該銃砲刀剣類等を一時保管しなければならない。

6 所轄警察署長は、第二項の規定により警察官が一時保管を始めた日から起算して五日以内に(当該期間内であつても、一時保管する必要がなくなつた場合にあつては、直ちに)一時保管に係る銃砲刀剣類等を本人(当該銃砲刀剣類等について本人に対し返還請求権を有することが明らかな者がある場合においては、その者)に返還するものとする。ただし、本人に返還することが危害防止のため不適当であると認められる場合においては、本人の親族又はこれに代わるべき者に返還することができる。

7 所轄警察署長は、一時保管に係る銃砲刀剣類等が、第三条第一項の規定により当該銃砲又は刀剣類を所持することが禁止されている者から提出されたものである場合(当該銃砲又は刀剣類が、本人以外の者の所有に係り、かつ、その者が第二十七条第二項各号の一に該当する場合を除く。)においては、前項の規定にかかわらず、これを返還しないものとする。

8 第十一条第六項及び第七項の規定は、前項の銃砲又は刀剣類について準用する。この場合において、同条第六項中「許可が取り消された日から起算して六月以内に前項の規定による返還の申請がない場合においては、当該仮領置した銃砲又は刀剣類」とあるのは、「前項の銃砲又は刀剣類」と読み替えるものとする。

9 所轄警察署長は、第六項本文に規定する者の所在が明らかでないため、第二項の規定により警察官が一時保管を始めた日から起算して五日を経過しても当該銃砲刀剣類等を返還することができない場合においては、総理府令で定める事項を公告しなければならない。

10 前項の規定による公告の日から起算して六月を経過してもなお当該銃砲刀剣類等を返還することができない場合においては、その銃砲刀剣類等の所有権は、政令で定める区分に従い、国又は都道府県に帰属する。

11 第六項から前項までに規定するもののほか、第二項及び第五項の一時保管に関して必要な事項は、総理府令で定める。

 第二十五条第三項第一号中「許可を受けようとする場合」を「許可を受けた場合」に改め、同条第五項を同条第六項とし、同条第四項中「所持していた者」の下に「又はその者から当該銃砲若しくは刀剣類の譲渡、贈与、返還等を受けた者」を加え、「前項各号の一に掲げる」を「前二項に規定する」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項の次に次の一項を加える。

4 第一項の規定により銃砲又は刀剣類が仮領置されている場合において、当該銃砲又は刀剣類を所持していた者から譲渡、贈与、返還等を受けて当該銃砲又は刀剣類について所持の許可を受けた者が総理府令で定める手続により返還の申請をしたときは、第一項又は第二項の規定により仮領置した警察署長は、当該銃砲又は刀剣類をその者に返還するものとする。

 第二十七条第三項中「第十一条第五項及び第六項」を「第十一条第六項及び第七項」に、「同条第五項中」を「同条第六項中」に改める。

 第三十三条を次のように改める。

第三十三条 次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。

 一 第十七条第一項の規定により届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 二 第二十一条の二の規定に違反した者

 第三十五条第三号を同条第五号とし、同条第二号中「第十一条第二項」を「第十一条第三項」に改め、同号を同条第四号とし、同条第一号中「第七条第二項」を「第四条第二項、第七条第二項」に改め、同号の次に次の二号を加える。

 二 第九条の二第二項の規定により警察官が行なう検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

 三 第九条の二第二項の規定による報告若しくは資料の提出の要求に応ぜず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出した者

 第三十六条中「第三十三条」を「第三十三条第一号」に改める。

 第三十六条の次に次の一条を加える。

第三十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第三十一条、第三十二条第二号、第三十三条又は第三十五条第一号から第四号までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。


   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過規定)

2 この法律の施行の際現に十八歳に満たない者でこの法律による改正前の銃砲刀剣類等所持取締法第四条第一項の規定により銃砲又は刀剣類の所持について許可を受けているものは、その者が十八歳に達するまでの間は、この法律による改正後の銃砲刀剣類等所持取締法(以下「新法」という。)第四条第一項の規定により当該銃砲又は刀剣類について許可を受けた者とみなす。

3 この法律の施行の際現に都道府県公安委員会に対し銃砲又は刀剣類の所持の許可の申請をしている者に対する年齢に関する許可の基準の規定の適用については、新法第五条第一項第一号の規定にかかわらず、なお従前の例による。

4 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(内閣総理大臣署名)

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