臨時舶船建造調整法
法律第百四十九号(昭二八・八・一)
(目的)
第一条 この法律は、臨時に船舶の建造についての調整を行い、もつてわが国の国際海運の健全な発展に資することを目的とする。
(建造の許可)
第二条 造船事業者が、総トン数五百トン以上又は長さ五十メートル以上の鋼製の船舶であつて、船舶安全法(昭和八年法律第十一号)の規定により遠洋区域又は近海区域の航行区域を定めることのできる構造を有するもののうち政令で定めるものの建造(政令で定める重要な改造を含む。以下同じ。)をしようとするときは、その建造の着手前に運輸大臣の許可を受けなければならない。
(許可の基準)
第三条 運輸大臣は、前条の許可の申請が、左の各号に掲げる基準に適合すると認めるときは、同条の許可をしなければならない。
一 当該船舶の建造によつてわが国の国際海運の健全な発展に支障を及ぼすおそれのないこと。
二 当該船舶を建造する造船事業者が、その船舶の建造に必要な技術及び設備を有していること。
2 前項第一号に掲げる基準の適用は、その判断の基礎となる事項につき、運輸大臣が海運造船合理化審議会にはかり、その意見を尊重して決定し、これに従つてしなければならない。
3 前項の規定により運輸大臣が決定した事項は、告示しなければならない。
(許可事項の変更)
第四条 第二条の許可を受けた者が、当該許可に係る船舶の設計のうち運輸省令で定める事項につき変更しようとするときは、運輸大臣の承認を受けなければならない。
2 前項の規定は、前条の承認をする場合に準用する。
(不服の申立)
第五条 この法律の規定による運輸大臣の処分に関して不服のある者は、運輸大臣に対し、不服の申立をすることができる。
(聴聞)
第六条 運輸大臣は、前条の不服の申立を受理したときは、その不服の申立をした者に対し、相当な期間をおいて予告をした上、公開による聴聞を行わなければならない。
2 前項の予告においては、聴聞の期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。
3 聴聞に際しては、不服の申立をした者及び利害関係人に対し、当該事案について証拠を提出し、及び意見を述べる機会を与えなければならない。
4 運輸大臣は、前項の聴聞を行つた後、文書をもつて決定をし、その写を不服の申立をした者に送付しなければならない。
(罰則)
第七条 第二条の規定による許可を受けないで、船舶の建造に着手した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 第四条の規定による承認を受けないで変更した設計に基き、当該変更部分の工事に着手した者は、六月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
第八条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対して、同条の罰金刑を科する。
附 則
1 この法律の施行期日は、公布の日から起算して三十日をこえない範囲内において政令で定める。
2 この法律は、昭和三十二年三月三十一日限り効力を失う。
3 第二条の規定は、この法律の施行の際現に建造に着手している船舶については、適用しない。
4 臨時船舶管理法(昭和十二年法律第九十三号)は、廃止する。
5 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第十六号を次のように改める。
十六 船舶の製造及び改造を許可すること。
6 漁船法(昭和二十五年法律第百七十八号)の一部を次のように改正する。
第八条を次のように改める。
第八条 削除
(農林・運輸・内閣総理大臣署名)