日本国有鉄道法の一部を改正する法律

法律第百四十八号(昭二八・八・一)

 日本国有鉄道法(昭和二十三年法律第二百五十六号)の一部を次のように改正する。

 目次中「監理委員会」を「経営委員会」に改める。

 第二章の章名を「第二章 経営委員会」に改める。

 第九条の見出しを「(経営委員会の設置)」に、同条中「監理委員会」を「経営委員会」に改める。

 第十条を次のように改める。

 (経営委員会の権限)

第十条 経営委員会は、日本国有鉄道の業務の運営に関する重要事項を決定する機関とする。

2 左の事項は、経営委員会の議決を経なければならない。

 一 予算、事業計画及び資金計画

 二 決算

 三 長期借入金及び短期借入金の借入並びに鉄道債券の発行

 四 長期借入金及び鉄道債券の償還計画

 五 その他経営委員会が特に必要と認めた事項

 第十一条の見出しを「(経営委員会の組織)」に、同条中「監理委員会」を「経営委員会」に改める。

 第十二条第一項中「監理委員会」を「経営委員会」に改め、同条第四項第四号中「(任命の日以前一年間においてこれに該当した者を含む。)」を削り、同項第五号及び第六号中「(任命の日以前一年間においてこれらの者であつた者を含む。)」を削る。

 第十三条第一項中「五年」を「四年」に改め、同条第三項を削る。

 第十六条中「監理委員会」を「経営委員会」に、同条第一項中「二人以上の委員」を「二人以上の委員又は特別委員」に改め、同条第二項但書を削る。

 第十九条第一項中「総裁は、監理委員会に対し責任を負う。」を削り、「監理委員会の特別委員」を「経営委員会の特別委員」に改める。

 第二十条第一項中「監理委員会が推薦した者につき、」を「経営委員会の同意を得て、」に、同条第二項中「推薦」を「同意」に、同条第三項中「監理委員会」を「経営委員会」に改める。

 第二十二条中「監理委員会」を「経営委員会」に改める。

 第二十四条中「監理委員会」を「経営委員会」に改める。

 第三十七条第二項中「七月三十一日」を「六月三十日」に改める。

 第三十九条から第四十二条の二までを次のように改める。

 (予算の弾力性)

第三十九条 日本国有鉄道の予算には、その事業を企業的に経営することができるように、需要の増加、経済事情の変動その他予測することができない事態に応ずることができる弾力性を与えるものとする。

 (予算の作成及び提出)

第三十九条の二 日本国有鉄道は、毎事業年度の予算を作成し、これに当該事業年度の事業計画、資金計画その他予算の参考となる事項に関する書類を添え、運輸大臣に提出しなければならない。

2 運輸大臣は、前項の規定により予算の提出を受けたときは、大蔵大臣と協議して必要な調整を行い、閣議の決定を経なければならない。

3 内閣は、前項の決定をしたときは、その予算を国の予算とともに国会に提出しなければならない。

4 前項の予算には、第一項に規定する添付書類を附するものとする。

 (予算の内容)

第三十九条の三 日本国有鉄道の予算は、予算総則、収入支出予算、継続費及び債務負担行為とする。

 (予算総則)

第三十九条の四 予算総則には、収入支出予算、継続費及び債務負担行為に関する総括的規定(第三十九条に規定する弾力性に関する規定を含む。)を設ける外、左の事項に関する規定を設けるものとする。

 一 第三十九条の八第二項の規定により債務を負担する行為の限度額

 二 第三十九条の十四第二項に規定する経費の指定

 三 第三十九条の十五第一項但書に規定する経費の指定

 四 長期借入金、短期借入金及び鉄道債券の限度額

 五 第四十四条第一項に規定する役員及び職員に対して支給する給与の総額及び同条第二項の給与の支給に関する事項

 六 その他予算の実施に関し必要な事項

 (収入支出予算)

第三十九条の五 収入支出予算は、資本勘定、損益勘定及び工事勘定の別に区分し、更に収入にあつてはその性質、支出にあつてはその目的に従つて項に区分する。

 (予備費)

第三十九条の六 災害の復旧その他予見することができない事由による支出予算の不足を補うため、日本国有鉄道の予算に予備費を設けることができる。

2 日本国有鉄道は、予備費を使用したときは、直ちにその旨を運輸大臣に通知しなければならない。

 (継続費)

第三十九条の七 日本国有鉄道は、工事又は製造であつて、その完成に数事業年度を要するものについて、特に必要があるときは、経費の総額及び年割額を定め、あらかじめ継続費として国会の議決を経て、その議決するところに従い、数事業年度にわたつて支出することができる。

 (債務の負担)

第三十九条の八 日本国有鉄道は、法律に基くもの又は支出予算の金額若しくは継続費の総額の範囲内におけるものの外、債務を負担する行為をするには、あらかじめ予算をもつて国会の議決を経なければならない。

2 日本国有鉄道は、前項に規定するものの外、災害復旧その他緊急の必要がある場合においては、毎事業年度、予算をもつて国会の議決を経た金額の範囲内において、債務を負担する行為をすることができる。

 (予算の議決)

第三十九条の九 日本国有鉄道の予算の議決に関しては、国の予算の議決の例による。

 (予算の議決の通知)

第三十九条の十 内閣は、日本国有鉄道の予算が国会の議決を経たときは、運輸大臣を経由して、直ちにその旨を日本国有鉄道に通知するものとする。

2 日本国有鉄道は、前項の規定による通知を受けた後でなければ、予算を実施することができない。

3 第一項の規定により日本国有鉄道に対する通知があつたときは、運輸大臣は、直ちにその旨を会計検査院に通知しなければならない。

 (追加予算)

第三十九条の十一 日本国有鉄道は、予算作成後に生じた避けることのできない事由により必要がある場合に限り、追加予算を作成し、これに当該予算に係る事業計画、資金計画その他当該予算の参考となる事項に関する書類を添え、運輸大臣に提出することができる。

2 第三十九条の二第二項から第四項までの規定は、前項の規定による追加予算に準用する。

 (予算の修正)

第三十九条の十二 日本国有鉄道は、前条第一項の場合を除く外、予算成立後に生じた事由に基いて既に成立した予算に変更を加える必要があるときは、予算を修正し、これに当該予算に係る事業計画、資金計画その他当該予算の参考となる事項に関する書類を添え、運輸大臣に提出することができる。

2 第三十九条の二第二項から第四項までの規定は、前項の規定による予算の修正に準用する。

 (暫定予算)

第三十九条の十三 日本国有鉄道は、必要に応じて、一事業年度のうち一定期間に係る暫定予算を作成し、これに当該予算に係る事業計画、資金計画その他当該予算の参考となる事項に関する書類を添え、運輸大臣に提出することができる。

2 第三十九条の二第二項から第四項までの規定は、前項の規定による暫定予算に準用する。

3 暫定予算は、当該事業年度の予算が成立したときは、失効するものとし、この暫定予算に基く支出又はこれに基く債務の負担があるときは、これを当該事業年度の予算に基いてしたものとみなす。

 (予算の流用等)

第三十九条の十四 日本国有鉄道は、支出予算については、当該予算の目的の外に使用してはならない。但し、予算の実施上適当且つ必要であるときは、第三十九条の五の規定による区分にかかわらず、彼此流用することができる。

2 日本国有鉄道は、予算で指定する経費の金額については、運輸大臣の承認を受けなければ、流用し、又はこれに予備費を使用することができない。

 (予算の繰越)

第三十九条の十五 日本国有鉄道は、予算の実施上特に必要があるときは、支出予算の経費の金額のうち、当該事業年度内に支出を終らなかつたものを、翌事業年度に繰り越して使用することができる。但し、予算で指定する経費の金額については、あらかじめ運輸大臣の承認を受けなければならない。

2 日本国有鉄道は、継続費の毎事業年度の年割額に係る支出予算の経費の金額のうち、当該事業年度内に支出を終らなかつたものを、継続費に係る工事又は製造の完成年度まで、逓次繰り越して使用することができる。

3 日本国有鉄道は、前二項の規定による繰越をしたときは、事項ごとにその金額を明らかにして、運輸大臣及び会計検査院に通知しなければならない。

 (資金計画)

第三十九条の十六 日本国有鉄道は、国会の議決を経た予算に基いて、四半期ごとに資金計画を定め、これを運輸大臣、大蔵大臣及び会計検査院に提出しなければならない。これを変更するときも同様とする。

2 大蔵大臣は、前項の規定により提出された資金計画が国の資金の状況により実施することができないと認めるときは、その実施することができる限度を、運輸大臣を経由して、日本国有鉄道に通知するものとする。

3 日本国有鉄道は、前項の通知を受けたときは、その通知に基いて資金計画を変更しなければならない。

 (収入支出等の報告)

第三十九条の十七 日本国有鉄道は、毎月、第三十九条の八の規定により負担した債務の金額並びに収入及び支出をした金額を、政令で定めるところにより、運輸大臣及び会計検査院に報告しなければならない。

 (決算)

第四十条 日本国有鉄道は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸表」という。)を作成し、決算完結後一月以内に運輸大臣に提出して、その承認を受けなければならない。

2 日本国有鉄道は、前項の規定による運輸大臣の承認を受けたときは、その財務諸表を公告しなければならない。

第四十条の二 日本国有鉄道は、毎事業年度、予算の区分に従いその実施の結果を明らかにした報告書を作成し、前条第一項の規定により運輸大臣の承認を受けた当該事業年度の財務諸表とともに、運輸大臣に提出しなければならない。

2 運輸大臣は、前項に規定する報告書及び財務諸表(以下「決算書類」という。)の提出を受けたときは、これを内閣に送付しなければならない。

3 第一項に規定する報告書の形式及び内容は、政令で定める。

第四十条の三 内閣は、前条第二項の規定により日本国有鉄道の決算書類の送付を受けたときは、翌事業年度の十一月三十日までにこれを会計検査院に送付しなければならない。

2 内閣は、会計検査院の検査を経た日本国有鉄道の決算書類を、国の歳入歳出の決算とともに国会に提出しなければならない。

 (利益及び損失の処理等)

第四十一条 日本国有鉄道は、毎事業年度の損益計算において利益を生じたときは、これを利益積立金として積み立てなければならない。但し、前事業年度から繰り越した損失があるときは、その利益を損失の補てんにあて、なお利益の残余があるときは、その残余の額を利益積立金として積み立てなければならない。

2 日本国有鉄道は、毎事業年度の損益計算において損失を生じたときは、これを繰越欠損金として整理しなければならない。但し、利益積立金があるときは、これを減額して整理し、なお不足があるときは、その不足の額を繰越欠損金として整理しなければならない。

3 資本取引により生じた額は、第五条第二項の規定による資本金の増加の場合を除き、その都度資本積立金として整理しなければならない。

 (業務に係る現金の取扱)

第四十二条 日本国有鉄道は、業務に係る現金を国庫に預託しなければならない。但し、業務上必要があるときは、政令で定めるところにより、郵便局又は銀行その他大蔵大臣が指定する金融機関に預け入れることができる。

2 政府は、前項の規定により国庫に預託された預託金については、大蔵大臣の定めるところにより相当の利子を附するものとする。

 (借入金及び鉄道債券)

第四十二条の二 日本国有鉄道は、運輸大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは短期借入金をし、又は鉄道債券を発行することができる。

2 前項の規定による長期借入金、短期借入金及び鉄道債券の限度額については、予算をもつて国会の議決を経なければならない。

3 第一項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。但し、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額を限り、運輸大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。

4 前項但書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。

5 鉄道債券の消滅時効は、元金については十年、利子については五年をもつて完成する。

6 日本国有鉄道は、運輸大臣の認可を受けて、鉄道債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。

7 前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社については、商法第三百九条から第三百十一条までの規定を準用する。

8 日本国有鉄道は、国会の議決を経た長期借入金又は鉄道債券の限度額のうち、当該事業年度において借入又は発行をしなかつた金額があるときは、当該金額を限度として、第三十九条の十五の規定による繰越額及び翌事業年度に持ち越す未払金の金額の範囲内で、翌事業年度において、長期借入金をし、又は鉄道債券を発行することができる。

9 第一項、第二項及び第五項から前項までの規定に定めるものの外、鉄道債券に関し必要な事項は、政令で定める。

 第四十四条に次の一項を加える。

2 前項後段の規定は、能率の向上により、収入が予定より増加し、又は経費を予定より節減したときは、その収入の増加額又は経費の節減額の一部に相当する金額を、予算の定めるところにより、運輸大臣の認可を受けて、特別の給与として支給するときは、適用しない。

 第四十五条を次のように改める。

第四十五条 削除

 第四十七条中「第三十九条の十一、第四十条第一項及び」を削り、「第四十三条第三項」を「同条第六項」に改める。

   附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。但し、改正後の同法第三十九条から第三十九条の十四まで、第三十九条の十五第二項、第三十九条の十七及び第四十五条の規定は、昭和二十九年度以降の予算について、改正後の同法第三十七条第二項及び第四十条から第四十条の三までの規定は、昭和二十九年度以降の決算について適用する。

2 日本国有鉄道の昭和二十八年度の予算の繰越についての改正後の日本国有鉄道法第三十九条の十五第一項の規定の適用については、同項中「支出予算」とあるのは、「歳出予算」と読み替えるものとする。

3 日本国有鉄道の昭和二十八年度の予算(歳出予算の繰越を除く。)、昭和二十七年度及び昭和二十八年度の決算並びに昭和二十七年度の損益の処理については、なお従前の例による。

4 この法律施行の際、現に日本国有鉄道の監理委員会の委員である者は、改正後の日本国有鉄道法第十二条の規定により最初に経営委員会の委員が任命されるまで経営委員会の委員としての職務を行う。

5 改正後の日本国有鉄道法第十二条の規定により最初に任命される経営委員会の委員の任期は、同法第十三条第一項の規定にかかわらず、内閣が定めるところにより、任命の日から、一人は一年、一人は二年、一人は三年、二人は四年とする。

6 この法律の施行の際現に日本国有鉄道の総裁又は副総裁である者は、改正後の日本国有鉄道法第二十条の規定により総裁又は副総裁として任命された者とみなす。この場合において、これらの者の任期は、改正前の総裁又は副総裁としての任期の残存期間とする。

(大蔵・運輸・内閣総理大臣署名) 

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