行政書士法
法律第四号(昭二六・二・二二)(業務)
第一条 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とする。
2 行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。
(資格)
第二条 第四条の規定による行政書士試験に合格した者は、当該都道府県において行政書士となる資格を有する。
2 左の各号の一に該当する者は、いずれの都道府県においても、行政書士となる資格を有する。
一 弁護士となる資格を有する者
二 弁理士となる資格を有する者
三 公認会計士となる資格を有する者
四 国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間がこれを通算して八年以上(次条第一号に該当する者にあつては五年以上)になる者
(行政書士試験の受験資格)
第三条 左の各号の一に該当する者は、行政書士試験を受けることができる。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校を卒業した者その他同法第五十六条第一項に規定する者
二 国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間がこれを通算して三年以上になる者
三 都道府県知事の定めるところにより、前号に掲げる者と同等以上の知識及び能力を有すると認められた者
(行政書士試験)
第四条 都道府県知事は、毎年一回以上行政書士試験を行わなければならない。
2 前項の試験は、行政書士の業務に関し必要な知識及び能力について行う。
3 行政書士試験を受けようとする者は、政令の定めるところにより、試験手数料を当該都道府県に納めなければならない。
4 前三項に規定するものの外、試験の科目、受験手続その他行政書士試験に関し必要な事項は、都道府県規則で定める。
(欠格事由)
第五条 左の各号の一に該当する者は、行政書士となることができない。
一 未成年者
二 禁治産者又は準禁治産者
三 禁こ以上の刑に処せられた者で、その執行を終り又は執行を受けることがなくなつてから二年を経過しないもの
四 公務員で懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
五 第十四条第一項の規定により登録取消の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
(登録)
第六条 行政書士となる資格を有する者は、行政書士となるには、その資格を有する都道府県において備える行政書士名簿に、住所、氏名、生年月日、事務所の所在地その他都道府県知事の定める事項につき、登録を受 けなければならない。
2 行政書士の登録を受けようとする者は、政令の定めるところにより、登録手数料を当該都道府県に納めなければならない。
3 一の都道府県において行政書士の登録を受けている者は、重ねて、他の都道府県において、行政書士の登録を受けることができない。
4 この法律に定めるものを除く外、登録の申請、登録事項の変更、行政書士名簿その他登録に関し必要な事項は、都道府県規則で定める。
5 第二条第一項の規定により行政書士となる資格を有し、行政書士の登録を受けた者は、やむを得ない事由がある場合に限り、第二条第一項の規定にかかわらず、他の都道府県において、その都道府県知事の認可を受け ることにより、行政書士となる資格を有することができる。
(登録のまつ消)
第七条 都道府県知事は、行政書士の登録を受けた者が左の各号の一に該当する場合には、その登録をまつ消しなければならない。
一 第五条第二号から第五号までに掲げる事由の一に該当するに至つたとき。
二 前条第五項の規定により他の都道府県知事の認可を受け当該都道府県において行政書士の登録を受けたとき。
三 その業を廃止しようとする旨の届出があつたとき。
四 死亡したとき。
五 前条第三項の規定に違反して登録を受けたとき。
(事務所)
第八条 行政書士は、登録を受けた都道府県において事務所を設けなければならない。その事務所は、一箇所とする。
2 行政書士は、都道府県知事の認可を受けた場合に限り、出張所を設けることができる。
(報酬)
第九条 行政書士が受けることのできる報酬の額は、都道府県知事の定めるところによる。
2 行政書士は、その業務に関して、前項に規定する額をこえて報酬を受けてはならない。
3 行政書士は、その事務所又は出張所の見易い場所に、報酬の額を掲示しなければならない。
(帳簿の備付及び保存)
第十条 行政書士は、その業務に関する帳簿を備え、これに事件の名称、年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所氏名その他都道府県知事の定める事項を記載しなければならない。
2 行政書士は、前項の帳簿をその関係書類とともに、帳簿閉鎖の時から一年間保存しなければならない。行政書士でなくなつたときも、また同様とする。
(依頼に応ずる義務)
第十一条 行政書士は、正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒むことができない。
(秘密を守る義務)
第十二条 行政書士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つた事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。行政書士でなくなつた後も、また同様とする。
(立入検査)
第十三条 都道府県知事は、必要があると認めるときは、日没から日出までの時間を除き、当該吏員に行政書士の事務所又は出張所に立ち入り、その業務に関する帳簿及び関係書類を検査させることができる。
2 前項の場合においては、都道府県知事は、当該吏員にその身分を証明する証票を携帯させなければならない。
3 当該吏員は、第一項の立入検査をする場合においては、その身分を証明する証票を関係者に呈示しなければならない。
4 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(登録の取消等の処分)
第十四条 行政書士が、この法律若しくはこれに基く命令、規則その他都道府県知事の処分に違反したとき又は行政書士たるにふさわしくない重大な非行があつたときは、都道府県知事は、左の各号の処分をすることがで きる。
一 一年以内の業務の停止
二 登録の取消
2 都道府県知事が前項の処分をしようとするときは、当該行政書士又はその代理人の出頭を求めて、公開による聴聞を行わなければならない。
3 前項の場合において、都道府県知事は、処分をしようとする事由並びに聴聞の期日及び場所を、その期日の一週間前までに、当該行政書士に通知し、且つ、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。
4 聴聞においては、当該行政書士又はその代理人は、釈明をし、且つ、証拠を提出することができる。
5 都道府県知事は、当該行政書士又はその代理人が正当な理由がなくて聴聞の期日に出頭しないときは、聴聞を行わないで、第一項の処分をすることができる。
(行政書士会)
第十五条 行政書士は、都道府県の区域ごとに、会則を定めて、行政書士会を設立することができる。
2 行政書士会は、行政書士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。
(行政書士会の会則)
第十六条 行政書士会の会則には、左の事項を記載しなければならない。
一 名称及び事務所の所在地
二 会の代表者その他役員に関する規定
三 会議に関する規定
四 会計に関する規定
五 行政書士の品位保持に関する規定
六 その他重要な会務に関する規定
(行政書士会の会員)
第十七条 行政書士会の区域内に事務所を有する行政書士は、その行政書士会の会員となることができる。
(行政書士会連合会)
第十八条 行政書士会は、共同して特定の事項を行うため、会則を定めて、全国を単位とする行政書士会連合会を設立することができる。
(行政書士でない者の取締)
第十九条 行政書士でない者は、業として第一条に規定する業務を行うことができない。但し、他の法律に別段の定がある場合及び正当の業務に附随して行う場合は、この限りでない。
2 行政書士でない者は、行政書士又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない。
(総理府令への委任)
第二十条 この法律に定めるものの外、行政書士の業務執行、行政書士会及び行政書士連合会に関し必要な事項は、総理府令で定める。
(罰則)
第二十一条 第十九条第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十二条 第十二条の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
第二十三条 左の各号の一に該当する者は、五千円以下の罰金に処する。
一 第九条第二項、第十条又は第十一条の規定に違反した者
二 第十三条第一項の規定による当該吏員の検査を拒み、妨げ又は忌避した者
三 第十九条第二項の規定に違反した者
附 則
1 この法律は、昭和二十六年三月一日から施行する。
2 この法律施行の際、現に第一条に規定する業務を行つている者(第五条第一号から第四号までの一に該当する者を除く。)で、同条に規定する業務を行つた年数を通算して三年以上になるものは、この法律の規定によ る行政書士とみなす。
3 前項の規定により行政書士とみなされた者は、この法律施行の日から二月以内に、その業務を行つている都道府県において、第六条の規定による登録を受け、及び出張所を設けている者にあつては第八条第二項の規定 による認可を受けなければならない。当該期間内にその登録の申請をしない場合においては、当該期間経過の日において、行政書士の資格を失う。
4 第二項に掲げる者を除く外、この法律施行の際現に第一条に規定する業務を行つている者(第五条第一号から第四号までの一に該当する者を除く。)は、この法律施行後一年を限り、行政書士の名称を用いてその業務 を行うことができる。この場合においては、その者に対して、第七条から第十四条まで及び第二十二条の規定並びに第二十三条第一号及び第二号の罰則を準用する。
5 前項の規定により行政書士の業務を行うことができる者は、この法律施行の日から二月以内に、その業務を行つている都道府県において、第六条の規定に準じて都道府県知事が定めるところにより、登録を受けなけれ ばならない。当該期間内に登録の申請をしない場合においては、当該期間経過後は、前項の規定にかかわらず、行政書士の業務を行うことができない。
6 都道府県知事は、この法律施行の日から六月以内に、最初の行政書士試験を行わなければならない。
7 この法律施行の際、現に第一条に規定する業務を行つている者又は同条に規定する業務を行つた年数を通算して一年以上になる者は、この法律施行後三年を限り、第三条の規定にかかわらず、行政書士試験を受けるこ とができる。
8 この法律施行の際、現に第一条に規定する業務を行つている者のその業務に関する報酬の額については、第九条第一項の規定により都道府県知事が報酬の額を定めるまでは、従前の額をもつて同条同項の規定により定 められた報酬の額とみなす。
9 この法律施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
10 建築代理士に関しては、この法律施行後でも、当分の間、条例の定めるところによるものとし、その条例は、第一条第二項及び第十九条第一項但書の規定の適用については、法律とみなす。
11 地方自治庁設置法(昭和二十四年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第三条に次の一号を加える。
九 行政書士に関する事務を処理すること。
(内閣総理大臣・法務総裁・外務・大蔵・文部・厚生・農林・通商産業・運輸・郵政・電気通信・労働・建設大臣・経済安定本部総裁署名)