厚生省設置法
法律第百五十一号(昭二四・五・三一)
目次
第一章 総則(第一条―第五条)
第二章 本省
第一節 内部部局(第六条―第十四条)
第二節 附属機関(第十五条―第二十九条)
第三節 地方支分部局(第三十条―第三十六条)
第一款 駐在防疫官事務所(第三十一条―第三十三条)
第二款 医務出張所(第三十四条―第三十六条)
第三章 外局(第三十七条・第三十八条)
第四章 職員(第三十九条・第四十条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、厚生省の所掌事務の範囲及び権限を明確に定めるとともに、その所掌する行政事務及び事業を能率的に遂行するに足る組織を定めることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律の解釈に関しては、左の定義に従うものとする。
一 「食品」とは、すべての飲食物をいう。但し、医薬として摂取するものは含まない。
二 「添加物」とは、食品の調味、着色、着香、保存、漂白又は膨脹その他食品の加工の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によつて使用するものをいう。
三 「器具」とは、飲食器、割ぽう具その他食品又は添加物の採取、製造、加工、調理、貯蔵、運搬、陳列、授受又は摂取の用に供され、且つ、食品又は添加物に直接接触する機械、器具その他の物をいう。但し、農業及び水産業における食品の採取の用に供される機械、器具その他の物は含まない。
四 「容器包装」とは、食品又は添加物を入れ、又は包んでいる物で、食品又は添加物を授受する場合そのままで引き渡すものをいう。
五 「医薬品」とは、左の各号に掲げる物をいう。但し、用具を除く。
イ 薬局方、医薬品集又はこれらの追補(公定書という。以下同じ。)に収められたもの
ロ 人の疾病の診断、治ゆ、軽減、処置又は予防に使用することが目的とされているもの
ハ 人の身体の構造又は機能に影響を与えることが目的とされているもの(食品を除く。)
ニ 前各号に掲げるものの構成の一部として使用されているもの
六 「用具」とは、左の各号に掲げる物をいう。
イ 人の疾病の診断、治ゆ、軽減、処置又は予防に使用することが目的とされている器具、器械又は装置
ロ 人の身体の構造又は機能に影響を与えることが目的とされている器具、器械又は装置
(設置)
第三条 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の規定に基いて、厚生省を設置する。
2 厚生省の長は、厚生大臣とする。
(厚生省の任務)
第四条 厚生省は、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進を図ることを任務とし、左に掲げる国の行政事務及び事業を一体的に遂行する責任を負う行政機関とする。
一 国民の保健
二 薬事並びに麻薬及び大麻の取締
三 社会事業、災害救助その他国民生活の保護指導
四 児童及び母性の福祉の増進
五 社会保険に関する事務及び事業(労働省の所管に属するものを除く。)
六 人口問題に関する事務
(厚生省の権限)
第五条 厚生省は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため、左に掲げる権限を有する。但し、その権限の行使は、法律(これに基く命令を含む。)に従つてなされなければならない。
一 予算の範囲内で、所掌事務の遂行に必要な支出負担行為をすること。
二 収入金を徴収し、所掌事務の遂行に必要な支払をすること。
三 所掌事務遂行に直接必要な事務所等の施設を設置し、及び管理すること。
四 所掌事務遂行に直接必要な業務用資材、事務用品、研究用資材等を調達すること。
五 不用財産を処分すること。
六 職員の任免及び賞罰を行い、その他職員の人事を管理すること。
七 職員の厚生及び保健のために必要な施設をなし、及び管理すること。
八 職員に貸与する宿舎を設置し、及び管理すること。
九 所掌事務に関する統計及び調査資料を頒布し、又は刊行すること。
十 所掌事務の監察を行い、法令の定めるところに従い、必要な措置をとること。
十一 所掌事務に関し資料の収集、準備及び周知宣伝を行うこと。
十二 厚生省の公印を制定すること。
十三 所掌事務に係る公益法人につき許可又は認可を与え、又はその許可を取り消すこと。
十四 区域を定めて国立公園を指定すること。
十五 国立公園事業を執行し、その一部を公共団体に執行させること。
十六 国立公園の区域内に特別地域を指定し、その区域内で一定の行為をしようとする者に対し許可を与え、その条件に違反した者に対し原状回復を命ずること。
十七 国立公園の区域内で一定の行為を禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置を命じ、これらの命令若しくは処分に違反した者に対し原状回復を命ずること。
十八 温泉の公共的利用増進のため、施設の整備及び環境の改善に必要な地域を指定すること。
十九 指定区域内において、温泉利用施設の管理者に対し、必要な指示をなすこと。
二十 優生結婚相談所の設置を認可し、優生結婚相談所に関する基準を定めること。
二十一 栄養士養成施設を指定し、栄養士試験を行うこと。
二十二 都道府県又は政令で定める市に対し、保健所の設置及び運営に関し必要な事項を命ずること。
二十三 伝染病予防法(明治三十年法律第三十六号)を適用すべき伝染病を指定し、その適用範囲を定めること。
二十四 都道府県知事の行う伝染病毒汚染の建物の処分並びに船舶、汽車及び電車の検疫を認可すること。
二十五 臨時予防接種を都道府県をして行わせること。
二十六 性病のまん延著しいとき、都道府県知事が健康診断を行おうとする場合これを承認すること。
二十七 都道府県に対して精神病院の設置を命ずること。
二十八 都道府県その他必要と認める公共団体に対して結核療養所の設置を命ずること。
二十九 二以上の都道府県を指定し、これに対してらい療養所の設置を命ずること。
三十 検疫を施行すべき海港及び伝染病の種類を指定すること。
三十一 理容師養成施設を指定すること。
三十二 販売の用に供する食品、添加物、器具又は容器包装につき、その基準又は規格を定め、必要な製品検査を行うこと。
三十三 輸出品取締法(昭和二十三年法律第百五十三号)及び同法に基く命令の規定に基き輸出品の等級及びその標準を定め、又は指定輸出品の最低標準及び包装条件を定めて、検査を行うこと。但し、同法及び同法に基く命令によつて他省に属せしめられた権限を除く。
三十四 食品衛生監視員をして食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)の定める営業施設につき、臨検、検査させ、試験用物品を収去させること。
三十五 市町村に対して、と場の設置を命ずること。
三十六 水道及び下水道に関する事務を行うこと。
三十七 医師及び歯科医師の試験、免許及び登録を行い、並びに免許の取消又は医業の停止を命ずること。
三十八 保健婦、助産婦及び甲種看護婦の試験、免許及び登録を行い、並びに免許の取消又は業務の停止を命ずること。
三十九 歯科衛生士の試験を行うこと。
四十 医療監視員をして、病院、診療所若しくは助産所につき、立入検査させること。
四十一 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)の規定に基き、国の開設する病院の開設及び使用の承認を与え、国の開設する診療所又は助産所について立入検査を行い、必要な申出をすること。
四十二 都道府県、市町村その他厚生大臣の定める者に対し、病院又は診療所の設置を命じ、その開設者又は管理者に対して、医療法の定めるところにより、必要な事項を命ずること。
四十三 薬剤師国家試験を監督し、薬剤師の免許及び登録を行い、並びに免許の取消又は業務の停止を命ずること。
四十四 医薬品、用具又は化粧品の製造業者及び輸入販売業者の登録を行い、並びに登録の取消又は業務の停止を命ずること。
四十五 薬事審議会の提出する原案に基いて、公定書を発行し、公布すること。
四十六 医薬品の製造業者が、公定書に収められていない医薬品を製造しようとするとき、又は用具の製造業者が、用具を製造しようとするとき、品目ごとにその製造を許可すること。
四十七 医薬品、医療用用具その他の衛生用品及びこれらの生産資材の割当を行うこと。
四十八 薬事監視員をして、必要な立入検査を行わせ、必要な場合において試験用物品を収去させること。
四十九 麻薬及び大麻の取扱者の免許及び登録を行い、免許の取消及び登録のまつ消を行い並びに麻薬取締員を指名し、監督し、指揮すること。
五十 毒物及び劇物を指定すること。
五十一 医薬品(生物学的製剤及び抗菌性物質を含む。)の規格を定め、及びこれらの検定を行うこと。
五十二 都道府県又は政令で定める市に対して、社会事業の経営を命ずること。
五十三 都道府県知事の行う災害救助につき、他の都道府県知事に対して応援をなすべきことを命ずること。
五十四 地域又は職域が都道府県又は特別市の区域を越える消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会の設立を認可すること。
五十五 民生委員及び児童委員を委嘱し、その定数及び指導訓練の基準を定めること。
五十六 児童福祉施設の設備及び運営につき、最低基準を定めること。
五十七 政府の管掌する健康保険及び船員保険に関し、療養に要する費用を定め、診療契約を締結すること。
五十八 健康保険組合及び健康保険組合連合会の設立、規約、保険料率又は予算を認可し、これらに対し事実に関する報告をさせ、事業及び財産の状況を検査し、規約の変更を命じ、その他監督上必要な処分をなすこと。
五十九 社会保険診療報酬支払基金の予算を認可し、その事業又は財産の状況に関し報告をさせ、又は当該官吏にその業務又は財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させること。
六十 国民健康保険を行う市町村(特別区を含む。)国民健康保険組合、国民健康保険を行う社団法人及び国民健康保険団体連合会に対して、その事業及び財産に関し報告をさせ、その状況を検査し、条例、規約又は規定の変更を命じ、その他監督上必要な命令又は処分をなすこと。
六十一 国民健康保険の診療報酬の標準額及び国家公務員共済組合の療養費の基準を定めること。
六十二 政府の管掌する健康保険又は厚生年金保険若しくは船員保険の保険料を徴収すること。
六十三 前各号に掲げるものの外、法律(法律に基く命令を含む。)に基き厚生省に属せしめられた権限。
第二章 本省
第一節 内部部局
(内部部局)
第六条 本省に、大臣官房及び左の六局を置く。
公衆衛生局
医務局
薬務局
社会局
児童局
保険局
2 大臣官房に統計調査部及び国立公園部を、公衆衛生局に環境衛生部を置く。
(特別な職)
第七条 医務局に次長一人を置く。
(大臣官房の事務)
第八条 大臣官房においては、厚生省の所掌事務に関し、左の事務をつかさどる。
一 機密に関すること。
二 職員の職階、任免、分限、懲戒、服務その他の人事並びに教養及び訓練に関すること。
三 大臣の官印及び省印を管守すること。
四 公文書類を接受し、発送し、編集し、及び保存すること。
五 経費及び収入の予算、決算及び会計並びに会計の監査に関すること。
六 行政財産及び物品を管理すること。
七 職員の衛生、医療その他福利厚生に関すること。
八 行政の考査を行うこと。
九 渉外事務に関すること。
十 こう報に関すること。
十一 法令案の審査その他総合調整に関すること。
十二 所管行政に関する物資の総合調整を行うこと。
十三 所管行政に関する調査一般に関すること。
十四 人口動態統計その他厚生省の所管行政に必要な統計について、企画、普及、資料の収集、保管、製表、解析及び編さんを行うこと。
十五 国立公園を保護し、国立公園計画を定め、国立公園事業を行うこと。
十六 国立公園及び温泉に関する観光事業を指導育成し、これらに関する利用施設の整備改善を図ること。
十七 皇居外苑、京都御苑及び新宿御苑を維持管理すること。
十八 景勝地及び休養地に関し、国民厚生のため調査を行い、これらの普及発達及び利用の増進を図ること。
十九 国民の厚生のため公園(都市計画上の公園を除く。)に関し、調査を行い、その整備改善を図ること。
二十 温泉を保護し、その利用の適正を図ること。
二十一 前各号に掲げるものの外、厚生省の所掌事務で他局及び他の機関の所掌に属さない事務に関すること。
2 統計調査部は、前項第十三号及び第十四号に掲げる事務をつかさどる。
3 国立公園部は、第一項第十五号から第二十号までに掲げる事務をつかさどる。
(公衆衛生局の事務)
第九条 公衆衛生局においては、左の事務をつかさどる。
一 国民の健康増進及び資質の向上に関し、企画し、実施すること。
二 優生保護法(昭和二十三年法律第百五十六号)を施行すること。
三 国民厚生運動の普及発達を図ること。
四 国民の栄養状態の調査を行い、その改善向上を図ること。
五 栄養士の身分及び業務について、監督を行うこと。
六 疾病にかかつている者の栄養食品の確保及び調理の指導を行うこと。
七 保健所の設置及び運営を指導監督すること。
八 衛生教育及び公衆衛生従事者の再教育に関すること。
九 伝染病、精神病、地方病その他特殊の疾病について伝ばん及び発生の防止、予防治療施設の拡充等予防業務の指導監督を行うこと。但し、他局の主管に属するものを除く。
十 疾病予防の試験、検査及び研究を指導すること。
十一 海港及び空港における検疫に関すること。
十二 旅館、興行場、公衆浴場、理容所等多数集合する場所の衛生の向上を図ること。
十三 建築物衛生及び清掃衛生の改善及び向上を図ること。
十四 ねずみ、こん虫等の駆除、へい獣処理場等の指導監督その他環境衛生の改善及び向上を図ること。
十五 飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止すること。
十六 と場、と畜及び犬の狂犬病の予防に関すること。
十七 販売の用に供する食品、添加物、器具又は容器包装の取締を行うこと。
十八 水道及び下水道に関すること。
十九 墓地、埋葬、火葬等に関すること。
二十 前各号に掲げるものの外、公衆衛生の向上及び増進に関すること。但し、他局の主管に属するものを除く。
2 環境衛生部は、前項第十二号から第十九号までに掲げる事務をつかさどる。
(医務局の事務)
第十条 医務局においては、左の事務をつかさどる。
一 医師及び歯科医師の身分及び業務について、指導監督を行うこと。
二 医療の指導及び監督を行うこと。
三 保健婦、助産婦、看護婦、歯科衛生士その他医療関係者の身分及び業務について、指導監督を行うこと。
四 あん摩師、はり師、きゆう師、柔道整復師等の身分及び業務について、指導監督を行うこと。
五 日本医療団の清算の指導を行うこと。
六 医療機関の整備改善を図ること。
七 医療の普及及び向上を図ること。
八 国立病院及び国立療養所に関すること。
九 国立病院特別会計の経理を行うこと。
(薬務局の事務)
第十一条 薬務局においては、左の事務をつかさどる。
一 医薬品、医療用用具その他衛生用品の生産配給、販売等に関する業務の指導、奨励、監督及び調整を行うこと。
二 薬剤師の身分及び業務について、指導監督を行うこと。
三 医薬品、用具又は化粧品の製造業者及び輸入販売業者に関すること。
四 薬事法(昭和二十三年法律第百九十七号)に規定する不良又は不正表示医薬品、用具及び化粧品の取締を行うこと。
五 医薬品、用具及び化粧品の試験、検査及び研究を指導すること。
六 生物学的製剤、抗菌性物質製剤及び特定の医薬品の検定に関すること。
七 毒物及び劇物の取締を行うこと。
八 麻薬及び大麻に関するすべての活動を取り締り、監督し、及びこれらの物件の処分を行うこと。
九 前各号に掲げるものの外、薬事、麻薬及び大麻の取締に関する法律を施行すること。
(社会局の事務)
第十二条 社会局においては、左の事務をつかさどる。
一 社会事業の助長及び監督を行うこと。
二 社会事業の調査研究を行うこと。
三 民生委員の指導及び監督を行うこと。
四 社会事業関係職員の教養訓練を行うこと。
五 生活困窮者その他保護を要する者に対して必要な保護を行うこと。
六 り災者の応急救助を行うこと。
七 身体障害者の保護更生事業を実施し、その助長及び監督を行うこと。
八 消費生活協同組合の助長及び監督を行うこと。
九 公益質屋その他社会福利施設の助長及び監督を行うこと。
十 り災者の救助及び保護を要する者の保護に必要な物資に関すること。
十一 前各号に掲げるものの外、国民生活の保護及び指導に関すること。但し、他局の主管に属するものを除く。
(児童局の事務)
第十三条 児童局においては、左の事務をつかさどる。
一 児童福祉司及び児童委員を指導すること。
二 児童及び妊産婦の保健の向上を図ること。
三 妊産婦、乳幼児に特殊な疾病の予防及び栄養の改善を図ること。
四 児童の福祉のための文化の向上を図ること。
五 児童の保育、養護、教護その他児童の保護を図ること。
六 保護を要する母子の保護を図ること。
七 児童の不良化を防止すること。
八 里親を指導すること。
九 児童の心身の育成発達を指導すること。
十 児童相談所、児童福祉施設及び児童福祉施設の職員を養成する施設の設備及び運営につき、指導監督すること。
十一 児童相談所及び児童福祉施設の職員を養成及び指導すること。
十二 前各号に掲げるものの外、児童及び妊産婦その他母性の福祉を図ること。但し、他局の主管に属するものを除く。
(保険局の事務)
第十四条 保険局においては、左の事務をつかさどる。
一 政府の管掌する健康保険事業を行うこと。
二 健康保険組合及び健康保険組合連合会を指導監督すること。
三 厚生年金保険事業を行うこと。
四 船員保険事業を行うこと。
五 厚生省所管の社会保険全般に関し、審査及び再審に関する事務を行い、各種審議会を維持すること。
六 国民健康保険を行う市町村(特別区を含む。)及び国民健康保険を行う社団法人の国民健康保険事業並びに国民健康保険組合及び国民健康保険団体連合会を指導監督すること。
七 社会保険診療報酬支払基金を指導監督すること。
八 厚生保険特別会計の経理を行うこと。
九 船員保険特別会計の経理を行うこと。
十 社会保険制度の調整を図ること。
十一 社会保障の向上及び増進に関し、調査研究を行うこと。
十二 厚生省所管の社会保険全般に関し、経理及び数理の報告を収集し、保管し、発表し、並びに適当な企画又は立法に必要な研究を行うこと。
第二節 附属機関
(附属機関)
第十五条 第二十九条に規定するものの外、本省に左の附属機関を置く。
人口問題研究所
国立公衆衛生院
国立栄養研究所
国立予防衛生研究所
検疫所
国立病院
国立療養所
病院管理研修所
国立衛生試験所
国立光明寮
国立身体障害者更生指導所
国立教護院
国立健康保険療養所
(人口問題研究所)
第十六条 人口問題研究所は、人口問題に関する調査研究をつかさどる機関とする。
2 人口問題研究所は、東京都に置く。
3 人口問題研究所の内部組織は、厚生省令で定める。
(国立公衆衛生院)
第十七条 国立公衆衛生院は、公衆衛生技術者の養成訓練並びにこれに対する公衆衛生に関する学理の応用の調査研究をつかさどる機関とする。
2 国立公衆衛生院は、東京都に置く。
3 国立公衆衛生院の内部組織は、厚生省令で定める。
(国立栄養研究所)
第十八条 国立栄養研究所は、国民の栄養その他食生活の調査研究をつかさどる機関とする。
2 国立栄養研究所は、東京都に置く。
3 国立栄養研究所の内部組織は、厚生省令で定める。
(国立予防衛生研究所)
第十九条 国立予防衛生研究所は、伝染病その他の特定疾病及び食品衛生に関し、左に掲げる事務をつかさどる機関とする。
一 病原及び病因の検索並びに予防治療方法の研究及び講習を行うこと。
二 予防、治療及び診断に関する生物学的製剤、抗菌性物質、消毒剤、殺虫剤及び殺そ剤の生物学的検査、検定及び試験的製造を行うこと。
三 ペストワクチンその他使用されることが稀で、その製造が技術上困難なワクチン及び血清の製造を行うこと。
四 食品衛生に関し、細菌学的及び生物学的試験検査を行うこと。
五 その他予防衛生に関し、科学的調査研究を行うこと。
六 予防衛生に関する試験研究の総合調整を行うこと。
2 国立予防衛生研究所は、東京都に置く。
3 国立予防衛生研究所の内部組織は、厚生省令で定める。
4 厚生大臣は、国立予防衛生研究所の事務を分掌させるため、所要の地に国立予防衛生研究所の支所を設けることができる。その名称、位置及び内部組織は、厚生省令で定める。
(検疫所)
第二十条 検疫所は、海港及び空港における検疫及び防疫を行う機関とする。
2 検疫所の名称、位置及び内部組織は、厚生省令で定める。
(国立病院)
第二十一条 国立病院は、医療を行い、あわせて医療の向上に寄与する機関とする。
2 国立病院の名称、位置及び内部組織は、厚生省令で定める。
3 厚生大臣は、必要があると認めるときは、所要の地に国立病院の分院又は診療所を設けることができる。その名称、位置及び内部組織は、厚生省令で定める。
4 国立病院又は分院若しくは診療所は、厚生省令の定めるところにより、その業務に差支えない限り、その建物の一部、設備、器械及び器具を、当該国立病院、分院又は診療所に勤務しない医師又は歯科医師の診療又は研究のために利用させることができる。
5 国立病院に、看護婦及び助産婦の養成所を附置することができる。養成所に関し必要な事項は、厚生省令で定める。
(国立療養所)
第二十二条 国立療養所は、特殊の療養を要する者に対して、医療を行い、あわせて医療の向上に寄与する機関とする。
2 国立療養所の名称、位置及び内部組織は、厚生省令で定める。
3 厚生大臣は、必要があると認めるときは、所要の地に国立療養所の分院又は診療所を設けることができる。その名称、位置及び内部組織は、厚生省令で定める。
4 前条第四項の規定は、国立療養所又は分院若しくは診療所に準用する。
5 国立療養所において看護婦の再教育及び講習を行うことができる。
(病院管理研修所)
第二十三条 病院管理研修所は、病院管理に関し調査研究及び研修をつかさどる機関とする。
2 病院管理研修所は、東京都に置く。
3 病院管理研修所の内部組織は、厚生省令で定める。
(国立衛生試験所)
第二十四条 国立衛生試験所は、左に掲げる事務をつかさどる機関とする。
一 国家検定を要する医薬品及び食品等の試験及び検査を行うこと。
二 輸出品取締法に基き輸出する医薬品(生物学的製剤及び抗菌性物質を除く。)、用具、化粧品及び食品等の試験及び検査を行うこと。
三 国内消費用医薬品(生物学的製剤及び抗菌性物質を除く。)、用具、化粧品及び食品等の試験及び検査を行うこと。
四 消毒剤、殺虫剤及び殺そ剤の試験及び検査(生物学的検査を除く。)を行うこと。
五 薬用植物の栽培、指導及び研究を行うこと。
六 医薬品等の試験的製造を行うこと。
七 その他衛生上必要な事項の試験、調査及び研究を行うこと。
2 国立衛生試験所は、東京都に置く。
3 国立衛生試験所の内部組織は、厚生省令で定める。
4 厚生大臣は、国立衛生試験所の事務を分掌させるため、所要の地に国立衛生試験所の支所を設けることができる。その名称、位置及び内部組織は、厚生省令で定める。
(国立光明寮)
第二十五条 国立光明寮に関しては、国立光明寮設置法(昭和二十三年法律第百六十二号)の定めるところによる。
(国立身体障害者更生指導所)
第二十六条 国立身体障害者更生指導所に関しては、国立身体障害者更生指導所設置法(昭和二十四年法律第百五十二号)の定めるところによる。
(国立教護院)
第二十七条 国立教護院は、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十七条第一項第三号及び同法施行令(昭和二十三年政令第七十七号)第十条第二項の規定により入院させた児童の教護をつかさどり、あわせて全国の教護院における教護の向上に寄与する機関とする。
2 国立教護院の名称、位置及び内部組織は、厚生省令で定める。
3 国立教護院に教護事務に従事する職員の養成所を附置することができる。養成所に関し必要な事項は、厚生省令で定める。
(国立健康保険療養所)
第二十八条 国立健康保険療養所は、健康保険、国民健康保険その他社会保険の被保険者及び被扶養者の療養をつかさどる機関とする。
2 国立健康保険療養所の名称、位置及び内部組織は、厚生省令で定める。
(その他の附属機関)
第二十九条 左の表の上欄に掲げる機関は、本省の附属機関として置かれるものとし、その設置の目的は、それぞれ下欄に記載する通りとする。
種類 |
目的 |
衛生統計協議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、衛生統計に関する重要事項を調査審議すること。 |
国民体力審議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、国民体力に関する重要事項を調査審議すること。 |
中央優生保護審査会 |
主として優生手術に関する適否の再審査を行い、その他優生保護上必要な事項を処理すること。 |
栄養士試験審議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、栄養士試験に関する重要事項を調査審議すること。 |
国立公園中央審議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、国立公園に関する重要事項を調査審議すること。 |
国立公園地方審議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、当該国立公園の運営に関する重要事項を調査審議すること。 |
中央温泉審議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、温泉及びこれに関する行政に関し、調査審議すること。 |
理容師養成施設指定協議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、理容師養成施設の指定に関し、調査審議すること。 |
中央食品衛生調査会 |
厚生大臣の諮問に応じて、食品衛生及び食品衛生に関する行政に関し、調査審議すること。 |
医道審議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、医師、歯科医師の免許の取消、再免許若しくは業務の停止の処分又は医道の向上に関する重要事項を調査審議すること。 |
医師国家試験審議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、医師国家試験に関する重要事項を調査審議すること。 |
歯科医師国家試験審議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、歯科医師国家試験に関する重要事項を調査審議すること。 |
医師国家試験委員 |
医師国家試験に関する事務をつかさどること。 |
歯科医師国家試験委員 |
歯科医師国家試験に関する事務をつかさどること。 |
医師国家試験予備試験委員 |
医師国家試験予備試験に関する事務をつかさどること。 |
歯科医師国家試験予備試験委員 |
歯科医師国家試験予備試験に関する事務をつかさどること。 |
医師実地修練審議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十一条の規定による実地修練に関する重要事項を調査審議すること。 |
歯科医師実地修練審議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、歯科医師法(昭和二十三年法律第二百二号)第十一条の規定による実地修練に関する重要事項を調査審議すること。 |
保健婦助産婦看護婦試験審議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、保健婦国家試験、助産婦国家試験、甲種看護婦国家試験及び乙種看護婦試験に関する重要事項を調査審議すること。 |
保健婦助産婦甲種看護婦国家試験委員 |
保健婦国家試験、助産婦国家試験及び甲種看護婦国家試験の実施に関する事務をつかさどること。 |
医療機関整備中央審議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、医療機関の整備に関する重要事項を調査審議すること。 |
診療報酬審議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、公的医療機関の開設者が請求することのできる診療の報酬に関する事項を審議すること。 |
あん摩、はり、きゆう、柔道整復営業中央審議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法(昭和二十二年法律第二百十七号)第二条第一項に規定する学校又は養成施設の認定及び試験、同法第八条第一項に規定する指示又は同法第十一条第二項に規定する処分に関する重要事項を調査審議すること。 |
医薬制度調査会 |
厚生大臣の諮問に応じて、医薬制度の改善に関する重要事項を調査審議すること。 |
日本医療団清算管理協議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、日本医療団の清算に関する重要事項を調査審議すること。 |
薬事審議会 |
公定書の改訂又は追補に関し、その原案を厚生大臣に提出し、薬剤師国家試験を執行し、新医薬品その他薬事に関し厚生大臣に建議し、及び免許若しくは登録の取消又は業務の停止に対する再審査を行うこと。 |
中央社会事業審議会 |
社会事業法(昭和十三年法律第五十九号)第七条及び同法第十三条の規定によりその権限に属する事項を調査審議する外、厚生大臣の諮問に応じて、社会事業に関する重要事項を調査審議すること。 |
中央児童福祉審議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、児童及び妊産婦の福祉に関する事項を調査審議すること。 |
健康保険審議会 |
政府管掌の健康保険事業の運営に関する事項を審議すること。 |
厚生年金保険審議会 |
厚生年金保険事業の運営に関する事項を審議すること。 |
船員保険審議会 |
船員保険事業の運営に関する事項を審議すること。 |
健康保険審査会 |
健康保険における保険給付の決定及び保険料の徴収に関する不服について審査すること。 |
厚生年金保険審査会 |
厚生年金保険における保険給付の決定及び保険料の徴収に関する不服について審査すること。 |
船員保険審査会 |
船員保険における保険給付の決定及び保険料の徴収に関する不服について審査すること。 |
中央社会保険診療協議会 |
健康保険の保険医に対し、適正なる保険診療を指導し、及びその監督を図ること。 |
社会保険診療報酬算定協議会 |
厚生大臣の諮問に応じて、健康保険及び船員保険における適正な診療報酬並びに国民健康保険における診療報酬標準額を審議すること。 |
2 前項に掲げる附属機関の組織、所掌事務及び委員その他の職員については、他の法律(これに基く命令を含む。)に別段の定がある場合を除く外、政令で定める。
第三節 地方支分部局
(地方支分部局)
第三十条 本省に左の地方支分部局を置く。
駐在防疫官事務所
医務出張所
第一款 駐在防疫官事務所
(所掌事務)
第三十一条 駐在防疫官事務所は、本省の所掌事務のうち防疫に関する事務を分掌する。
(名称、位置及び管轄区域)
第三十二条 駐在防疫官事務所の名称、位置及び管轄区域は左の通りとする。
名称 |
位置 |
管轄区域 |
北海道地区駐在防疫官事務所 |
札幌市 |
北海道 |
東北地区駐在防疫官事務所 |
仙台市 |
青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 |
関東信越地区駐在防疫官事務所 |
東京都 |
茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 山梨県 新潟県 長野県 |
東海北陸地区駐在防疫官事務所 |
名古屋市 |
静岡県 愛知県 岐阜県 三重県 富山県 石川県 福井県 |
近畿地区駐在防疫官事務所 |
大阪市 |
滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 |
中国地区駐在防疫官事務所 |
広島市 |
鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 |
四国地区駐在防疫官事務所 |
高松市 |
徳島県 香川県 愛媛県 高知県 |
九州地区駐在防疫官事務所 |
福岡市 |
福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 |
(内部組織)
第三十三条 駐在防疫官事務所の内部組織は、厚生省令で定める。
第二款 医務出張所
(所掌事務)
第三十四条 医務出張所は、本省の所掌事務のうち国立病院及び国立療養所の業務の指導監督並びに国立病院特別会計の経理に関する事務を分掌する。
(名称、位置及び管轄区域)
第三十五条 医務出張所の名称、位置及び管轄区域は左の通りとする。
名称 |
位置 |
管轄区域 |
北海道医務出張所 |
札幌市 |
北海道 |
東北医務出張所 |
仙台市 |
青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 |
関東信越医務出張所 |
東京都 |
茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 山梨県 新潟県 長野県 |
東海北陸医務出張所 |
名古屋市 |
静岡県 愛知県 岐阜県 三重県 富山県 石川県 |
近畿医務出張所 |
大阪市 |
福井県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 |
中国医務出張所 |
広島県佐伯郡大竹町 |
鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 |
四国医務出張所 |
香川県仲多度郡善通寺町 |
徳島県 香川県 愛媛県 高知県 |
九州医務出張所 |
福岡市 |
福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 |
(内部組織)
第三十六条 医務出張所の内部組織は、厚生省令で定める。
第三章 外局
(外局の設置)
第三十七条 国家行政組織法第三条第二項の規定に基いて厚生省に置かれる外局は、左の通りとする。
引揚援護庁
(引揚援護庁)
第三十八条 引揚援護庁の組織、所掌事務及び権限は、引揚援護庁設置令(昭和二十三年政令第百二十四号)の定めるところによる。
第四章 職員
(職員)
第三十九条 厚生省に置かれる職員の任免、昇任、懲戒その他人事管理に関する事項については、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)の定めるところによる。
(定員)
第四十条 厚生省に置かれる職員の定員は、別に法律で定める。
附 則
1 この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。但し、第十五条の規定は、国立身体障害者更生指導所に関しては、同年十月一日から適用する。
2 左の勅令は、廃止する。但し、法律(これに基く命令を含む。)に別段の定のある場合を除く外、従前の機関及び職員は、この法律に基く相当の機関及び職員となり、同一性をもつて存続するものとする。
厚生省官制(昭和十三年勅令第七号)
厚生部内臨時職員設置制(昭和十三年勅令第八号)
臨時厚生省に顧問を置くの件(昭和二十年勅令第五百四十六号)
人口問題研究所官制(昭和二十一年勅令第二百五十号)
公衆衛生院官制(昭和二十一年勅令第二百四十九号)
国立栄養研究所官制(昭和二十二年勅令第百七十五号)
予防衛生研究所官制(昭和二十二年勅令第五十八号)
検疫所官制(昭和二十二年勅令第百四十七号)
衛生試験所官制(明治二十三年勅令第百五十五号)
国立少年教護院官制(昭和九年勅令第二百八十一号)
国立健康保険療養所官制(昭和十八年勅令第二十三号)
中央衛生会官制(明治二十八年勅令第五十七号)
薬剤師試験委員官制(明治二十九年勅令第百十九号)
3 前項但書の規定は、職員の定員に関する法律の適用に影響を及ぼすものではない。
(厚生・内閣総理大臣署名)