自然環境保全法
法律第八十五号(昭四七・六・二二)
目次
第一章 総則(第一条―第十一条)
第二章 自然環境保全基本方針及び自然環境保全審議会(第十二条・第十三条)
第三章 原生自然環境保全地域
第一節 指定等(第十四条―第十六条)
第二節 保全(第十七条―第二十一条)
第四章 自然環境保全地域
第一節 指定等(第二十二条―第二十四条)
第二節 保全(第二十五条―第三十条)
第三節 雑則(第三十一条―第三十五条)
第五章 雑則(第三十六条―第四十四条)
第六章 都道府県自然環境保全地域及び都道府県自然環境保全審議会(第四十五条―第五十一条)
第七章 補則(第五十二条)
第八章 罰則(第五十三条―第五十八条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、自然環境の保全の基本理念その他自然環境の保全に関し基本となる事項を定めるとともに、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)その他の自然環境の保全を目的とする法律と相まつて、自然環境の適正な保全を総合的に推進し、もつて現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第二条 自然環境の保全は、自然環境が人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることにかんがみ、広く国民がその恵沢を享受するとともに、将来の国民に自然環境を継承することができるよう適正に行なわれなければならない。
(財産権の尊重及び他の公益との調整)
第三条 自然環境の保全に当たつては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、国土の保全その他の公益との調整に留意しなければならない。
(国の責務)
第四条 国は、自然環境を適正に保全するための基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。
(基礎調査の実施)
第五条 国は、おおむね五年ごとに地形、地質、植生及び野生動物に関する調査その他自然環境の保全のために講ずべき施策の策定に必要な基礎調査を行なうよう努めるものとする。
(科学技術の振興)
第六条 国は、自然環境の保全のために講ずべき施策の策定及びその実施に必要な科学技術の振興を図るため、試験研究の体制の整備、研究開発の推進、研究者の養成等必要な措置を講ずるものとする。
(国民の理解を深めるための措置)
第七条 国は、教育活動、広報活動等を通じて、自然環境の確保の必要性について国民の理解を深めるよう適切な措置を講じなければならない。
(地域開発施策等における配慮)
第八条 国は、地域の開発及び整備その他の自然環境に影響を及ぼすと認められる施策の策定及びその実施に当たつては、自然環境の適正な保全について配慮しなければならない。
(地方公共団体の責務)
第九条 地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて、国の施策に準じ、当該地域の自然的社会的諸条件に応じて、自然環境を適正に保全するための施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。
(事業者の責務)
第十条 事業者は、その事業活動の実施に当たつて自然環境が適正に保全されるよう必要な措置を講ずるとともに、国及び地方公共団体が実施する自然環境の保全に関する施策に協力しなければならない。
(国民の責務)
第十一条 国民は、自然環境が適正に保全されるよう自ら努めるとともに、国及び地方公共団体が実施する自然環境の保全に関する施策に協力しなければならない。
第二章 自然環境保全基本方針及び自然環境保全審議会
(自然環境保全基本方針)
第十二条 国は、自然環境の保全を図るための基本方針(以下「自然環境保全基本方針」という。)を定めなければならない。
2 自然環境保全基本方針には、次の各号に掲げる事項を定めるものとする。
一 自然環境の保全に関する基本構想
二 原生自然環境保全地域及び自然環境保全地域の指定その他これらの地域に係る自然環境の保全に関する施策に関する基本的な事項
三 都道府県自然環境保全地域の指定の基準その他その地域に係る自然環境の保全に関する施策の基準に関する基本的な事項
四 前三号に掲げるもののほか、前二号に掲げる地域と自然公園法その他の自然環境の保全を目的とする法律に基づく地域との調整に関する基本方針その他自然環境の保全に関する重要事項
3 内閣総理大臣は、自然環境保全基本方針の案を作成して、閣議の決定を求めなければならない。
4 内閣総理大臣は、自然環境保全基本方針の案を作成する場合には、あらかじめ、自然環境保全審議会の意見をきかなければならない。
5 内閣総理大臣は、第三項の規定による閣議の決定があつたときは、遅滞なく、自然環境保全基本方針を公表しなければならない。
6 前三項の規定は、自然環境保全基本方針の変更ついて準用する。
(自然環境保全審議会)
第十三条 環境庁に、自然環境保全審議会を置く。
2 自然環境保全審議会(以下この条において「審議会」という。)は、この法律、自然公園法、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律(大正七年法律第三十二号)及び特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律(昭和四十七年法律第四十九号)の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議するほか、環境庁長官又は関係大臣の諮問に応じ、自然環境の保全に関する重要事項を調査審議する。
3 審議会は、自然環境の保全に関する重要事項について、環境庁長官又は関係大臣に意見を述べることができる。
4 審議会は、委員四十五人以内で組織する。
5 特別の事項を調査審議するため必要があるときは、審議会に臨時委員を置くことができる。
6 審議会の委員及び臨時委員は、自然環境の保全に関し学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
7 審議会の委員及び臨時委員は、非常勤とする。
8 第四項から前項までに定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
第三章 原生自然環境保全地域
第一節 指定等
(指定)
第十四条 環境庁長官は、その区域における自然環境が人の活動によつて影響を受けることなく原生の状態を維持しており、かつ、政令で定める面積以上の面積を有する土地の区域であつて、国又は地方公共団体が所有するもの(森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第二十五条第一項の規定により指定された保安林の区域を除く。)のうち、当該自然環境を保全することが特に必要なものを原生自然環境保全地域として指定することができる。
2 環境庁長官は、原生自然環境保全地域の指定をしようとするときは、あらかじめ、関係都道府県知事及び自然環境保全審議会の意見をきかなければならない。
3 環境庁長官は、原生自然環境保全地域の指定をしようとするときは、あらかじめ、当該区域内の土地を、国が所有する場合にあつては当該土地を所管する行政機関の長の、地方公共団体が所有する場合にあつては当該地方公共団体の同意を得なければならない。
4 環境庁長官は、原生自然環境保全地域を指定する場合には、その旨及びその区域を官報で公示しなければならない。
5 原生自然環境保全地域の指定は、前項の規定による公示によつてその効力を生ずる。
6 第二項、第四項及び前項の規定は原生自然環境保全地域の指定の解除及びその区域の変更について、第三項の規定は原生自然環境保全地域の区域の拡張について、それぞれ準用する。
(原生自然環境保全地域に関する保全計画の決定)
第十五条 原生自然環境保全地域に関する保全計画(原生自然環境保全地域における自然環境の保全のための規制又は施設に関する計画をいう。以下同じ。)は、環境庁長官が関係都道府県知事及び自然環境保全審議会の意見をきいて決定する。
2 環境庁長官は、原生自然環境保全地域に関する保全計画を決定したときは、その概要を公示しなければならない。
3 前二項の規定は、原生自然環境保全地域に関する保全計画の廃止及び変更について準用する。
(原生自然環境保全地域に関する保全事業の執行)
第十六条 原生自然環境保全地域に関する保全事業(原生自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて執行する事業であつて、当該地域における自然環境の保全のための施設で政令で定めるものに関するものをいう。以下同じ。)は、国が執行する。
2 地方公共団体は、環境庁長官の承認を受けて、原生自然環境保全地域に関する保全事業の一部を執行することができる。
第二節 保全
(行為の制限)
第十七条 原生自然環境保全地域内においては、次の各号に掲げる行為をしてはならない。ただし、環境庁長官が学術研究その他公益上の事由により特に必要と認めて許可した場合又は非常災害のために必要な応急措置として行なう場合は、この限りでない。
一 建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること。
二 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地の形質を変更すること。
三 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。
四 水面を埋め立て、又は干拓すること。
五 河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
六 木竹を伐採し、又は損傷すること。
七 木竹以外の植物又は落葉若しくは落枝を採取すること。
八 木竹を植栽すること。
九 動物を捕獲し、又は動物の卵を採取すること。
十 家畜を放牧すること。
十一 火入れ又はたき火をすること。
十二 屋外において物を集積し、又は貯蔵すること。
十三 車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
十四 前各号に掲げるもののほか、原生自然環境保全地域における自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの
2 前項ただし書の許可には、当該原生自然環境保全地域における自然環境の保全のために必要な限度において、条件を附することができる。
3 原生自然環境保全地域内において非常災害のために必要な応急措置として第一項各号に掲げる行為をした者は、その行為をした日から起算して十四日以内に、環境庁長官にその旨を届け出なければならない。
4 原生自然環境保全地域が指定され、又はその区域が拡張された際当該原生自然環境保全地域内において第一項各号に掲げる行為に着手している者は、その指定又は区域の拡張の日から起算して三月間(その期間内に同項ただし書の許可を申請したときは、許可又は不許可の処分があるまでの間)は、同項の規定にかかわらず、引き続き当該行為をすることができる。
5 次の各号に掲げる行為については、第一項及び第三項の規定は、適用しない。
一 原生自然環境保全地域に関する保全事業の執行として行なう行為
二 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、原生自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので総理府令で定めるもの
(中止命令等)
第十八条 環境庁長官は、原生自然環境保全地域における自然環境の保全のために必要があると認めるときは、前条第一項の規定に違反し、又は同条第二項の規定により許可に附せられた条件に違反した者に対して、その行為の中止を命じ、又は相当の期限を定めて、原状回復を命じ、若しくは原状回復が著しく困難である場合に、これに代わるべき必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
2 環境庁長官は、政令で定めるところにより、その職員のうちから自然保護取締官を命じ、前項に規定する権限の一部を行なわせることができる。
3 前項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
(立入制限地区)
第十九条 環境庁長官は、原生自然環境保全地域における自然環境の保全のために特に必要があると認めるときは、原生自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内に、立入制限地区を指定することができる。
2 第十四条第三項の規定は立入制限地区の指定及びその区域の拡張について、同条第四項及び第五項の規定は立入制限地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について、それぞれ準用する。
3 何人も、立入制限地区に立ち入つてはならない。ただし、次の各号に掲げる場合は、この限りでない。
一 第十七条第一項ただし書の許可を受けた行為(第二十一条第一項後段の規定による協議に係る行為を含む。)を行なうために立ち入る場合
二 非常災害のために必要な応急措置を行なうために立ち入る場合
三 原生自然環境保全地域に関する保全事業を執行するために立ち入る場合
四 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、原生自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので総理府令で定めるものを行なうために立ち入る場合
五 前各号に掲げるもののほか、環境庁長官がやむを得ない事由があると認めて許可した場合
(報告)
第二十条 環境庁長官は、原生自然環境保全地域における自然環境の保全のために必要があると認めるときは、第十七条第一項ただし書の許可を受けた者に対して、当該許可を受けた行為の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
(国等に関する特例)
第二十一条 国の機関又は地方公共団体が行なう行為については、第十七条第一項ただし書又は第十九条第三項第五号の許可を受けることを要しない。この場合において、当該国の機関又は地方公共団体は、その行為をしようとするときは、あらかじめ、環境庁長官に協議しなければならない。
2 国の機関又は地方公共団体は、第十七条第三項の規定により届出を要する行為をしたときは、同項の規定による届出の例により、環境庁長官にその旨を通知しなければならない。
第四章 自然環境保全地域
第一節 指定等
(指定)
第二十二条 環境庁長官は、原生自然環境保全地域以外の区域で次の各号のいずれかに該当するもののうち、自然的社会的諸条件からみてその区域における自然環境を保全することが特に必要なものを自然環境保全地域として指定することができる。
一 高山性植生又は亜高山性植生が相当部分を占める森林又は草原の区域(これと一体となつて自然環境を形成している土地の区域を含む。)でその面積が政令で定める面積以上のもの(政令で定める地域にあつては、政令で定める標高以上の標高の土地の区域に限る。)
二 すぐれた天然林が相当部分を占める森林の区域(これと一体となつて自然環境を形成している土地の区域を含む。)でその面積が政令で定める面積以上のもの
三 地形若しくは地質が特異であり、又は特異な自然の現象が生じている土地の区域及びこれと一体となつて自然環境を形成している土地の区域でその面積が政令で定める面積以上のもの
四 その区域内に生存する動植物を含む自然環境がすぐれた状態を維持している海岸、湖沼、湿原又は河川の区域でその面積が政令で定める面積以上のもの
五 その海域内に生存する熱帯魚、さんご、海そうその他これらに類する動植物を含む自然環境がすぐれた状態を持推している海域でその面積が政令で定める面積以上のもの
六 植物の自生地、野生動物の生息地その他の政令で定める土地の区域でその区域における自然環境が前各号に掲げる区域における自然環境に相当する程度を維持しているもののうち、その面積が政令で定める面積以上のもの
2 自然公園法第二条第一号に規定する自然公園の区域は、自然環境保全地域の区域に含まれないものとする。
3 環境庁長官は、自然環境保全地域の指定をしようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の長及び自然環境保全審議会の意見をきかなければならない。この場合においては、次条第一項に規定する自然環境保全地域に関する保全計画の案についても、あわせて、その意見をきかなければならない。
4 環境庁長官は、自然環境保全地域を指定しようとするときは、あらかじめ、総理府令で定めるところにより、その旨を公告し、その案を当該公告の日から二週間公衆の縦覧に供しなければならない。
5 前項の規定による公告があつたときは、当該区域に係る住民及び利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された案について、環境庁長官に意見書を提出することができる。
6 環境庁長官は、前項の規定により縦覧に供された案について異議がある旨の意見書の提出があつたとき、又は当該自然環境保全地域の指定に関し広く意見をきく必要があると認めたときは、公聴会を開催するものとする。
7 第十四条第四項及び第五項の規定は自然環境保全地域の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について、第三項前段の規定は自然環境保全地域の指定の解除及びその区域の変更について、同項後段及び前三項の規定は自然環境保全地域の区域の拡張について、それぞれ準用する。
(自然環境保全地域に関する保全計画の決定)
第二十三条 自然環境保全地域に関する保全計画(自然環境保全地域における自然環境の保全のための規制又は施設に関する計画をいう。以下同じ。)は、環境庁長官が決定する。
2 自然環境保全地域に関する保全計画には、次の各号に掲げる事項を定めるものとする。
一 保全すべき自然環境の特質その他当該地域における自然環境の保全に関する基本的な事項
二 当該地域における自然環境の特質に即して、特に保全を図るべき土地の区域(以下「特別地区」という。)又は特に保全を図るべき海域(以下「海中特別地区」という。)の指定に関する事項
三 当該地域における自然環境の保全のための規制に関する事項
四 当該地域における自然環境の保全のための施設に関する事項
3 第十五条第二項の規定は自然環境保全地域に関する保全計画の決定、廃止及び変更について、前条第三項前段の規定は自然環境保全地域に関する保全計画の廃止及び変更について、同条第四項から第六項までの規定は自然環境保全地域に関する保全計画の決定及び変更(前項第二号又は第三号に掲げる事項に係る変更に限る。)について、それぞれ準用する。
(自然環境保全地域に関する保全事業の執行)
第二十四条 自然環境保全地域に関する保全事業(自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて執行する事業であつて、当該地域における自然環境の保全のための施設で政令で定めるものに関するものをいう。以下同じ。)は、国が執行する。
2 地方公共団体は、環境庁長官の承認を受けて、自然環境保全地域に関する保全事業の一部を執行することができる。
第二節 保全
(特別地区)
第二十五条 環境庁長官は、自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内に、特別地区を指定することができる。
2 第十四条第四項及び第五項の規定は、特別地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。
3 環境庁長官は、特別地区を指定し、又はその区域を拡張するときは、あわせて、当該自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内において次項の許可を受けないで行なうことができる木竹の伐採(第十項に規定する行為に該当するものを除く。)の方法及びその限度を農林大臣と協議して指定するものとする。自然環境保全地域に関する保全計画で当該特別地区に係るものの変更(第二十三条第二項第三号に掲げる事項に係る変更以外の変更を除く。)をするときも、同様とする。
4 特別地区内においては、次の各号に掲げる行為は、環境庁長官の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行なう行為、第一号若しくは第三号に掲げる行為で森林法第二十五条第一項若しくは第二項の規定により指定された保安林の区域若しくは同法第四十一条の規定により指定された保安施設地区(第二十八条第一項において「保安林等の区域」という。)内において同法第三十四条第二項(同法第四十四条において準用する場合を含む。)の許可を受けた者が行なう当該許可に係るもの又は第二号に掲げる行為で前項の規定により環境庁長官が指定する方法により当該限度内において行なうものについては、この限りでない。
一 第十七条第一項第一号から第五号までに掲げる行為
二 木竹を伐採すること。
三 環境庁長官が指定する湖沼又は湿原及びこれらの周辺一キロメートルの区域内において当該湖沼若しくは湿原又はこれらに流水が流入する水域若しくは水路に汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること。
5 第十七条第二項の規定は、前項の許可について準用する。
6 環境庁長官は、第四項各号に掲げる行為で総理府令で定める基準に適合しないものについては、同項の許可をしてはならない。
7 特別地区内において非常災害のために必要な応急措置として第四項各号に掲げる行為をした者は、その行為をした日から起算して十四日以内に、環境庁長官にその旨を届け出なければならない。
8 特別地区が指定され、若しくはその区域が拡張された際当該特別地区内において第四項第一号若しくは第二号に掲げる行為に着手し、又は同項第三号に規定する湖沼若しくは湿原が指定された際同号に規定する区域内において同号に掲げる行為に着手している者は、その指定又は区域の拡張の日から起算して六月間は、同項の規定にかかわらず、引き続き当該行為をすることができる。
9 前項に規定する者が同項の期間内に当該行為について環境庁長官に届け出たときは、第四項の許可を受けたものとみなす。
10 次の各号に掲げる行為については、第四項及び第七項の規定は、適用しない。
一 自然環境保全地域に関する保全事業の執行として行なう行為
二 法令に基づいて国又は地方公共団体が行なう行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので総理府令で定めるもの
三 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので総理府令で定めるもの
(野生動植物保護地区)
第二十六条 環境庁長官は、特別地区内における特定の野生動植物の保護のために特に必要があると認めるときは、自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内に、当該保護すべき野生動植物の種類ごとに、野生動植物保護地区を指定することができる。
2 第十四条第四項及び第五項の規定は、野生動植物保護地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。
3 何人も、野生動植物保護地区内においては、当該野生動植物保護地区に係る野生動植物(動物の卵を含む。)を捕獲し、又は採取してはならない。ただし、次の各号に掲げる場合は、この限りでない。
一 前条第四項の許可を受けた行為(第三十条において準用する第二十一条第一項後段の規定による協議に係る行為を含む。)を行なうためにする場合
二 非常災害のために必要な応急措置を行なうためにする場合
三 自然環境保全地域に関する保全事業を執行するためにする場合
四 法令に基づいて国又は地方公共団体が行なう行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので総理府令で定めるものを行なうためにする場合
五 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので総理府令で定めるものを行なうためにする場合
六 前各号に掲げるもののほか、環境庁長官が特に必要があると認めて許可した場合
4 第十七条第二項の規定は、前項第六号の許可について準用する。
(海中特別地区)
第二十七条 環境庁長官は、自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内に、海中特別地区を指定することができる。
2 第十四条第四項及び第五項の規定は、海中特別地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。
3 海中特別地区内においては、次の各号に掲げる行為は、環境庁長官の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行なう行為又は第一号から第三号まで及び第六号に掲げる行為で漁具の設置その他漁業を行なうために必要とされるものについては、この限りでない.
一 工作物を新築し、改築し、又は増築すること。
二 海底の形質を変更すること。
三 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。
四 海面を埋め立て、又は干拓すること。
五 熱帯魚、さんご、海そうその他これらに類する動植物で、海中特別地区ごとに環境庁長官が農林大臣の同意を得て指定するものを採捕すること。
六 物を係留すること。
4 第十七条第二項の規定は、前項の許可について準用する。
5 環境庁長官は、第三項各号に掲げる行為で総理府令で定める基準に適合しないものについては、同項の許可をしてはならない。
6 海中特別地区内において非常災害のために必要な応急措置として第三項各号に掲げる行為をした者は、その行為をした日から起算して十四日以内に、環境庁長官にその旨を届け出なければならない。
7 海中特別地区が指定され、又はその区域が拡張された際当該海中特別地区内において第三項各号に掲げる行為に着手している者は、その指定又は区域の拡張の日から起算して六月間は、同項の規定にかかわらず、引き続き当該行為をすることができる。
8 前項に規定する者が同項の期間内に当該行為について環境庁長官に届け出たときは、第三項の許可を受けたものとみなす。
9 次の各号に掲げる行為については、第三項及び第六項の規定は、適用しない。
一 自然環境保全地域に関する保全事業の執行として行なう行為
二 法令に基づいて国又は地方公共団体が行なう行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので総理府令で定めるもの
三 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので総理府令で定めるもの
(普通地区)
第二十八条 自然環境保全地域の区域のうち特別地区及び海中特別地区に含まれない区域(以下「普通地区」という。)内において次の各号に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、環境庁長官にその旨を届け出なければならない。ただし、第一号から第三号までに掲げる行為で森林法第三十四条第二項本文の規定に該当するものを保安林等の区域内においてしようとする者及び第一号から第三号までに掲げる行為で海面内において漁具の設置その他漁業を行なうために必要とされるものをしようとする者は、この限りでない。
一 その規模が総理府令で定める基準をこえる建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること(改築又は増築後において、その規模が総理府令で定める基準をこえるものとなる場合における改築又は増築を含む。)。
二 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地(海底を含む。)の形質を変更すること。
三 鉱物を掘探し、又は土石を採取すること。
四 水面を埋め立て、又は干拓すること。
五 特別地区内の河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
2 環境庁長官は、前項の規定による届出があつた場合において、自然環境保全地域における自然環境の保全のために必要があると認めるときは、その届出をした者に対して、その届出があつた日から起算して三十日以内に限り、当該自然環境の保全のために必要な限度において、その届出に係る行為を禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
3 環境庁長官は、第一項の規定による届出があつた場合において、実地の調査をする必要があるとき、その他前項の期間内に同項の処分をすることができない合理的な理由があるときは、その理由が存続する間、同項の期間を延長することができる。この場合においては、同項の期間内に、第一項の規定による届出をした者に対して、その旨及び期間を延長する理由を通知しなければならない。
4 各の各号に掲げる行為については、前三項の規定は、適用しない。
一 非常災害のために必要な応急措置として行なう行為
二 自然環境保全地域に関する保全事業の執行として行なう行為
三 法令に基づいて国又は地方公共団体が行なう行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので総理府令で定めるもの
四 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので総理府令で定めるもの
五 自然環境保全地域が指定され、又はその区域が拡張された際着手している行為
(報告及び検査等)
第二十九条 環境庁長官は、自然環境保全地域における自然環境の保全のために必要な限度において、第二十五条第四項、第二十六条第三項第六号若しくは第二十七条第三項の許可を受けた者若しくは前条第二項の規定により行為を制限され、若しくは必要な措置をとるべき旨を命ぜられた者に対し、当該行為の実施状況その他必要な事項について報告を求め、又はその職員に、自然環境保全地域の区域内の土地若しくは建物内に立ち入り、第二十五条第四項各号、第二十六条第三項本文、第二十七条第三項各号若しくは前条第一項各号に掲げる行為の実施状況を検査させ、若しくはこれらの行為の自然環境に及ぼす影響を調査させることができる。
2 前項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(準用)
第三十条 第十八条の規定は自然環境保全地域の区域内における行為に対する命令について、第二十一条の規定は当該区域内において国の機関又は地方公共団体が行なう行為について、それぞれ準用する。この場合において、第十八条第一項中「前条第一項の規定に違反し、又は同条第二項の規定により許可に附せられた条件」とあるのは「第二十五条第四項、第二十六条第三項若しくは第二十七条第三項の規定に違反し、若しくは第二十五条第五項、第二十六条第四項若しくは第二十七条第四項において準用する第十七条第二項の規定により許可に附せられた条件に違反した者、第二十八条第一項の規定による届出をせず、同項各号に掲げる行為をした者又は同条第二項の規定による処分」と、第二十一条第一項中「第十七条第一項ただし書又は第十九条第三項第五号」とあるのは「第二十五条第四項、第二十六条第三項第六号又は第二十七条第三項」と、同条第二項中「第十七条第三項」とあるのは「第二十五条第七項、第二十七条第六項又は第二十八条第一項」と、「同項」とあるのは「これら」と読み替えるものとする。
第三節 雑則
(実地調査)
第三十一条 環境庁長官は自然環境保全地域の指定若しくはその区域の拡張、自然環境保全地域に関する保全計画の決定若しくは変更又は自然環境保全地域に関する保全事業の執行に関し、環境庁長官以外の国の機関又は地方公共団体の長は自然環境保全地域に関する保全事業の執行に関し、実地調査のため必要があるときは、それぞれその職員に、他人の土地に立ち入り、標識を設置させ、測量させ、又は実地調査の障害となる木竹若しくはかき、さく等を伐採させ、若しくは除去させることができる。ただし、他の法律に実地調査に関する規定があるときは、当該規定の定めるところによる。
2 国の機関又は地方公共団体の長は、その職員に前項の規定による行為をさせようとするときは、あらかじめ、土地の所有者(所有者の住所が明らかでないときは、その占有者。以下この条において同じ。)及び占有者並びに木竹又はかき、さく等の所有者にその旨を通知し、意見書を提出する機会を与えなければならない。
3 第一項の職員は、日出前及び日没後においては、宅地又はかき、さく等で囲まれた土地に立ち入つてはならない。
4 第一項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
5 土地の所有者若しくは占有者又は木竹若しくはかき、さく等の所有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りその他の行為を拒み、又は妨げてはならない。
(公害等調整委員会の裁定)
第三十二条 第二十五条第四項、第二十七条第三項又は第二十八条第二項の規定による環境庁長官の処分に不服がある者は、その不服の理由が鉱業、採石業又は砂利採取業との調整に関するものであるときは、公害等調整委員会に裁定を申請することができる。この場合には、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。
2 行政不服審査法第十八条の規定は、前項の処分につき、処分庁が誤つて審査請求又は異議申立てをすることができる旨を教示した場合に準用する。
(損失の補償)
第三十三条 国は、第二十五条第四項、第二十六条第三項第六号若しくは第二十七条第三項の許可を得ることができないため、第二十五条第五項、第二十六条第四項若しくは第二十七条第四項において準用する第十七条第二項の規定により許可に条件を附せられたため、又は第二十八条第二項の規定による処分を受けたため損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償する。
2 前項の補償を受けようとする者は、環境庁長官にこれを請求しなければならない。
3 環境庁長官は、前項の規定による請求を受けたときは、補償すべき金額を決定し、当該請求者にこれを通知しなければならない。
4 国は自然環境保全地域の指定若しくはその区域の拡張、自然環境保全地域に関する保全計画の決定若しくは変更又は国が行なう自然環境保全地域に関する保全事業の執行に関し、地方公共団体は当該地方公共団体が行なう自然環境保全地域に関する保全事業の執行に関し、第三十一条第一項の規定による当該職員の行為によつて損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償する。
5 第二項及び第三項の規定は、前項の規定による損失の補償について準用する。この場合において、第二項及び第三項中「環境庁長官」とあるのは、「主務大臣又は地方公共団体の長」と読み替えるものとする。
(訴えの提起)
第三十四条 前条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による決定に不服がある者は、その通知を受けた日から起算して三月以内に訴えをもつて補償すベき金額の増額を請求することができる。
2 前項の訴えにおいては、国又は地方公共団体を被告とする。
(配慮)
第三十五条 自然環境保全地域に関する規定の適用に当たつては、当該地域に係る住民の農林漁業等の生業の安定及び福祉の向上に配慮しなければならない。
第五章 雑則
(保全事業の執行に要する費用)
第三十六条 保全事業(原生自然環境保全地域に関する保全事業及び自然環境保全地域に関する保全事業をいう。以下同じ。)の執行に要する費用は、その保全事業を執行する者の負担とする。
(原因者負担)
第三十七条 国又は地方公共団体は、他の工事又は他の行為により保全事業の執行が必要となつた場合においては、その原因となつた工事又は行為について費用を負担する者に、その保全事業の執行が必要となつた限度において、その費用の全部又は一部を負担させることができる。
(受益者負担)
第三十八条 国又は地方公共団体は、保全事業の執行により著しく利益を受ける者がある場合においては、その者に、その受益の限度において、その保全事業の執行に要する費用の一部を負担させることができる。
(負担金の徴収方法等)
第三十九条 前二条の規定による負担金の徴収方法その他負担金に関して必要な事項は、政令又は条例で定める。
(負担金の強制徴収)
第四十条 第三十七条又は第三十八条の規定による負担金を納付しない者があるときは、環境庁長官又は当該地方公共団体の長は、督促状によつて納付すべき期限を指定して督促しなければならない。
2 前項の場合においては、環境庁長官は総理府令で定めるところにより、当該地方公共団体の長は条例で定めるところにより、延滞金を徴収することができる。ただし、延滞金は、年十四・五パーセントの割合を乗じて計算した額をこえない範囲内で定めなければならない。
3 環境庁長官又は地方公共団体の長は、第一項の規定による督促を受けた者がその指定する期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、当該負担金が国の収入となる場合にあつては国税の、地方公共団体の収入となる場合にあつては地方税の滞納処分の例により、前二項に規定する負担金及び延滞金を徴収することができる。この場合における負担金及び延滞金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
4 延滞金は、負担金に先だつものとする。
(国の補助)
第四十一条 国は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、保全事業を執行する都道府県に対して、その保全事業の執行に要する費用の一部を補助することができる。
(適用除外)
第四十二条 第三十六条から前条までの規定は、保全事業のうち他の法律にその執行に要する費用に関して別段の規定がある事業については、適用しない。
(権限の委任)
第四十三条 この法律に定める環境庁長官の権限は、政令で定めるところにより、その一部を都道府県知事に委任することができる。
(協議)
第四十四条 環境庁長官は、原生自然環境保全地域、自然環境保全地域、立入制限地区、特別地区、野生動植物保護地区若しくは海中特別地区の指定若しくはその区域の拡張をしようとするとき、原生自然環境保全地域に関する保全計画若しくは自然環境保全地域に関する保全計画の決定若しくは変更をしようとするとき、又は第二十五条第六項若しくは第二十七条第五項の総理府令の制定若しくは改廃の立案をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
2 環境庁長官以外の国の機関は、保全事業を執行しようとするときは、環境庁長官に協議しなければならない。
第六章 都道府県自然環境保全地域及び都道府県自然環境保全審議会
(都道府県自然環境保全地域の指定)
第四十五条 都道府県は、条例で定めるところにより、その区域における自然環境が自然環境保全地域に準ずる土地の区域で、その区域の周辺の自然的社会的諸条件からみて当該自然環境を保全することが特に必要なものを都道府県自然環境保全地域として指定することができる。
2 自然公園法第二条第一号に規定する自然公園の区域は、都道府県自然環境保全地域の区域に含まれないものとする。
(保全)
第四十六条 都道府県は、都道府県自然環境保全地域における自然環境を保全するため、条例で定めるところにより、その区域内に特別地区(野生動植物保護地区を含む。)を指定し、かつ、特別地区(野生動植物保護地区を含む。)内及び都道府県自然環境保全地域の区域のうち特別地区に含まれない区域内における行為につき、それぞれ自然環境保全地域の特別地区(野生動植物保護地区を含む。)又は普通地区における行為に関する第四章第二節の規定による規制の範囲内において必要な規制を定めることができる。この場合においては、当該地域に係る住民の農林漁業等の生業の安定及び福祉の向上に配慮しなければならない。
2 都道府県は、前項の規定に基づく条例で第十八条第一項の権限に相当する都道府県知事の権限を定めた場合においては、当該条例で、都道府県知事が同条第二項及び第三項の規定の例によりその職員にその権限の一部を行なわせることができる旨を定めることができる。
3 第三十二条の規定は、第一項の規定に基づく条例の規定による処分に対する不服について準用する。
(実地調査)
第四十七条 都道府県は、条例で、都道府県自然環境保全地域に関し実地調査のため必要がある場合に、都道府県知事が第三十一条の規定の例によりその職員に他人の土地に立ち入り、同条第一項に規定する標識の設置その他の行為をさせることができる旨を定めることができる。
(損失の補償)
第四十八条 都道府県は、第四十六条第一項の規定に基づく条例の規定による処分又は前条の規定に基づく条例の規定による当該職員の行為によつて損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
(協議等)
第四十九条 都道府県は、都道府県自然環境保全地域の特別地区(野生動植物保護地区を含む。)の指定又はその区域の拡張をしようとするときは、その区域に係る自然環境の保全に関する計画を添えて環境庁長官に協議しなければならない。
2 環境庁長官は、前項の規定による協議を受けたときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
3 都道府県が第四十六条第一項の規定に基づく条例で都道府県自然環境保全地域の区域内における行為につき規制を定めた場合における国の機関又は地方公共団体が行なう行為に関する特例については、第三十条において準用する第二十一条の規定の例による。
(報告、助言又は勧告)
第五十条 環境庁長官は、都道府県に対し、都道府県自然環境保全地域に関し、必要な報告を求めることができる。
2 環境庁長官は、都道府県に対し、都道府県自然環境保全地域の行政又は技術に関し、必要な助言又は勧告をすることができる.
(都道府県自然環境保全審議会)
第五十一条 都道府県に、都道府県自然環境保全審議会を置く。
2 都道府県自然環境保全審議会は、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議するほか、都道府県知事の諮問に応じ、当該都道府県における自然環境の保全に関する重要事項を調査審議する。
3 都道府県自然環境保全審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、都道府県の条例で定める。
第七章 補則
(地方債についての配慮)
第五十二条 都道府県が自然環境の保全を図るために行なう事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該都道府県の財政状況が許す限り、適切な配慮をするものとする。
第八章 罰則
第五十三条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
一 第十七条第一項の規定に違反した者
二 第十八条第一項又は第二項(これらの規定を第三十条において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者
第五十四条 次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
一 第十七条第二項(第二十五条第五項、第二十六条第四項及び第二十七条第四項において準用する場合を含む。)の規定により許可に附せられた条件に違反した者
二 第十九条第三項、第二十五条第四項、第二十六条第三項又は第二十七条第三項の規定に違反した者
第五十五条 第二十八条第二項の規定による処分に違反した者は、十万円以下の罰金に処する。
第五十六条 次の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
一 第二十条又は第二十九条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
二 第二十八条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三 第二十九条第一項の規定による立入検査又は立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者
四 第三十一条第五項の規定に違反して、同条第一項の規定による立入りその他の行為を拒み、又は妨げた者
第五十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第五十三条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。
第五十八条 第四十六条第一項又は第四十七条の規定に基づく条例には、その条例に違反した者に対して、その違反行為の態様に応じ、それぞれ、第五十三条から前条までに定める処罰の程度をこえない限度において、刑を科する旨の規定を設けることができる。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(良好な都市環境を確保するために必要な自然環境の保全)
第二条 政府は、良好な都市環境を確保するために必要な自然環境の保全のための制度についてすみやかにその整備を図るものとする。
(鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部改正)
第三条 鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を次のように改正する。
本則(第二十条ノ五から第二十条ノ九までの規定を除く。)中「中央鳥獣審議会」を「自然環境保全審議会」に、「都道府県鳥獣審議会」を「都道府県自然環境保全審議会」に改める。
第二十条ノ五から第二十条ノ九までを削り、第二十条ノ十を第二十条ノ五とし、第二十条ノ十一を第二十条ノ六とする。
(鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律の一部改正)
第四条 鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律(昭和二十五年法律第二百九十二号)の一部を次のように改正する。
第一条第一項第二号中ヲの次に次のように加える。
ワ 自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)第三十二条第一項(同法第四十六条第三項において準用する場合を含む。)
第四十五条第一項中「自然公園法」を
「 |
自然公園法 |
」 |
自然環境保全法 |
に改め、同条中第七項を第九項とし、第四項から第六項までを二項ずつ繰り下げ、第三項の次に次の二項を加える。
4 第一項の規定により自然環境保全法又はこれに基づく条例の規定による許可があつたものとみなされる場合においては、裁定で、自然環境保全地域又は都道府県自然環境保全地域内における自然環境を保全するために必要な限度において、鉱業権者若しくは租鉱権者又は採石業者が守るべき事項を定めることができる。
5 前項の規定により自然環境保全地域における自然環境を保全するために定められた事項は、自然環境保全法の規定の適用については、同法第二十五条第五項又は第二十七条第四項において準用する同法第十七条第二項の規定により許可に附せられた条件とみなす。
(土地収用法の一部改正)
第五条 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。
第三条中第二十九号の次に次の一号を加える。
二十九の二 自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)による原生自然環境保全地域に関する保全事業及び自然環境保全地域に関する保全事業
(森林法の一部改正)
第六条 森林法の一部を次のように改正する。
第二十五条第一項ただし書中「海岸保全区域」の下に「及び自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)第十四条第一項の規定により指定される原生自然環境保全地域」を加える。
(自然公園法の一部改正)
第七条 自然公園法の一部を次のように改正する。
目次中「第一節 自然公園審議会(第四条−第九条)」を「第一節 削除」に、「第四十条」を「第四十条の二」に改める。
第二条の二中「すぐれた自然環境が現代及び次代における国民の健康で文化的な生活の享受のため欠くことができないものであることを認識し」を「自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)第二条に規定する自然環境の保全の基本理念にのつとり」に改める。
第三条中「当つては」の下に「、自然環境保全法第三条で定めるところによるほか」を加え、「自然公園の保護及び利用と」を削る。
第二章第一節を次のように改める。
第一節 削除
第四条から第九条まで 削除
第十条第一項中「審議会」を「自然環境保全審議会(以下「審議会」という。)」に改める。
第三十六条第二項中「国」の下に「又は都道府県」を加える。
第二章第六節中第四十条の次に次の一条を加える。
(原生自然環境保全地域との関係)
第四十条の二 自然環境保全法第十四条第一項の規定により指定された原生自然環境保全地域の区域は、国立公園又は国定公園の区域に含まれないものとする。
第四十八条の見出し中「国立公園又は国定公園」を「国立公園等」に改め、同条中「又は国定公園」を「若しくは国定公園又は自然環境保全法第十四条第一項の規定により指定された原生自然環境保全地域」に改める。
(特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律の一部改正)
第八条 特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律の一部を次のように改正する。
第二条第二項中「中央鳥獣審議会」を「自然環境保全審議会」に改める。
(環境庁設置法の一部改正)
第九条 環境庁設置法(昭和四十六年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第六号の次に次の一号を加える。
六の二 自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)の施行に関する事務を処理すること。
第四条第十五号中「第七号」を「第六号の二」に改める。
第五条第四項中「同条第七号」を「同条第六号の二」に、「自然公園審議会及び中央鳥獣審議会」を「自然環境保全審議会」に改める。
第十一条第一項の表中
「 |
自然公園審議会 |
国立公園及び国定公園に関する重要事項を調査審議すること。 |
」 |
中央鳥獣審議会 |
鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律及び特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律の規定によりその権限に属させられた事項を行なうこと。 |
を
「 |
自然環境保全審議会 |
自然環境保全法、自然公園法、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律及び特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律の規定によりその権限に属させられた事項を行なうこと。 |
」 |
に改める。
(内閣総理・法務・農林・自治大臣署名)