下水道事業センター法
法律第四十一号(昭四七・五・二九)
目次
第一章 総則(第一条―第七条)
第二章 設立(第八条―第十二条)
第三章 管理(第十三条―第二十五条)
第四章 業務(第二十六条―第二十八条)
第五章 財務及び会計(第二十九条―第四十一条)
第六章 監督(第四十二条・第四十三条)
第七章 補則(第四十四条―第四十六条)
第八章 罰則(第四十七条―第四十九条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 下水道事業センターは、地方公共団体の要請に基づき、下水道に関する技術的援助を行ない、下水道の根幹的施設を建設するとともに、下水道技術者の養成並びに下水道に関する技術の開発及び実用化を図り、もつて下水道の整備の促進に寄与することを目的とする。
(法人格)
第二条 下水道事業センター(以下「センター」という。)は、法人とする。
(数)
第三条 センターは、一を限り、設立されるものとする。
(資本金)
第四条 センターの資本金は、その設立に際し、政府及び地方公共団体が出資する額の合計額とする。
2 センターは、必要があるときは、建設大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。
3 政府及び地方公共団体は、前項の規定によりセンターがその資本金を増加するときは、センターに出資することができる。
4 政府及び地方公共団体は、センターに出資するときは、金銭以外の財産を出資の目的とすることができる。
5 センターに出資しようとする地方公共団体は、自治大臣の承認を受けなければならない。
6 第四項の規定により出資の目的とする金銭以外の財産の価額は、出資の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。
7 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。
(名称)
第五条 センターは、その名称中に下水道事業センターという文字を用いなければならない。
2 センターでない者は、その名称中に下水道事業センターという文字を用いてはならない。
(登記)
第六条 センターは、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(民法の準用)
第七条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、センターについて準用する。
第二章 設立
(発起人)
第八条 センターを設立するには、都道府県知事の全国的連合組織の推薦する都道府県知事、市長の全国的連合組織の推薦する市長及び下水道又は下水道事業について学識経験のある者十五人以上が発起人となり、定款を作成し、建設大臣の認可を受けなければならない。
2 建設大臣は、前項の認可をしたときは、遅滞なく、その旨を告示しなければならない。
3 発起人は、第一項の認可を受けたときは、地方公共団体に対して、センターに対する出資を募集しなければならない。
(理事長又は監事となるべき者)
第九条 建設大臣は、前条第一項の認可をしたときは、遅滞なく、発起人が推薦した者のうちから、センターの理事長又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、センターの成立の時において、この法律の規定により、それぞれ理事長又は監事に任命されたものとする。
(設立の認可等)
第十条 発起人は、第八条第三項の規定による募集が終わつたときは、建設大臣に対して、設立の認可を申請しなければならない。
2 発起人は、前項の認可を受けたときは、政府及び出資の募集に応じた地方公共団体に対して、出資金の払込み又は出資の目的たる財産の給付を求めなければならない。
(事務の引継ぎ)
第十一条 発起人は、出資金の払込み又は出資の目的たる財産の給付があつた日において、その事務を第九条第一項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。
(設立の登記)
第十二条 第九条第一項の規定により指名された理事長となるべき者は、前条の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
2 センターは、設立の登記をすることによつて成立する。
第三章 管理
(定款)
第十三条 センターは、定款をもつて、次の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 資本金、出資及び資産に関する事項
五 役員に関する事項
六 評議員会に関する事項
七 業務及びその執行に関する事項
八 財務及び会計に関する事項
九 定款の変更に関する事項
十 公告の方法
2 定款の変更は、建設大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(役員)
第十四条 センターに、役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事一人を置く。
2 センターに、役員として、前項の理事のほか、非常勤の理事二人以内を置くことができる。
(役員の職務及び権限)
第十五条 理事長は、センターを代表し、その業務を総理する。
2 理事は、定款で定めるところにより、理事長を補佐してセンターの業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行なう。
3 監事は、センターの業務を監査する。
(役員の任命)
第十六条 理事長及び監事は、建設大臣が任命する。
2 理事は、理事長が建設大臣の認可を受けて任命する。
(役員の任期)
第十七条 役員の任期は、三年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十八条 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員(非常勤の理事を除く。)となることができない。
(役員の解任)
第十九条 建設大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定による役員となることができない者に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 建設大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 理事長は、前項の規定によりその任命に係る役員を解任しようとするときは、あらかじめ、建設大臣の認可を受けなければならない。
(役員の兼職禁止)
第二十条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、建設大臣の承認を受けたときは、この限りでない。.
(代表権の制限)
第二十一条 センターと理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事がセンターを代表する。
(代理人の選任)
第二十二条 理事長は、理事又はセンターの職員のうちから、センターの業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(評議員会)
第二十三条 センターに、その運営に関する重要事項を審議する機関として、評議員会を置く。
2 評議員会は、評議員十人以内で組織する。
3 評議員は、センターに出資した地方公共団体の長及び下水道又は下水道事業について学識経験を有する者のうちから、建設大臣の認可を受けて、理事長が任命する。
(職員の任命)
第二十四条 センターの職員は、理事長が任命する。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第二十五条 センターの役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第四章 業務
(業務)
第二十六条 センターは、第一条の目的を達成するため、次の業務を行なう。
一 地方公共団体の委託に基づき、下水道の整備に関する計画の策定及び事業の施行並びに下水道の維持管理に関する技術的援助を行なうこと。
二 地方公共団体の委託に基づき、終末処理場及びこれに直接接続する幹線管 渠、終末処理場以外の処理施設並びにポンプ施設の建設を行なうこと。
三 下水道に関する技術を担当する者の養成及び訓練を行なうこと。
四 下水道に関する技術を開発し、これを実用化することを促進するために研究、調査及び試験を行なうこと。
五 前各号に掲げる業務に附帯する業務
六 前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するために必要な業務
2 センターは、前項第六号に掲げる業務を行なおうとするときは、建設大臣の認可を受けなければならない。
(業務方法書)
第二十七条 センターは、業務開始の際、業務方法書を作成し、建設大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、建設省令で定める。
(国及び地方公共団体の配慮)
第二十八条 国及び地方公共団体は、センターの業務の円滑な運営が図られるように、適当と認める人的及び技術的援助をする等必要な配慮を加えるものとする。
第五章 財務及び会計
(事業年度)
第二十九条 センターの事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(予算等の認可)
第三十条 センターは、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、建設大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(財務諸表)
第三十一条 センターは、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に建設大臣に提出して、その承認を受けなければならない。
2 センターは、前項の規定により財務諸表を建設大臣に提出するときは、これに、予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添附しなければならない。
(書類の送付)
第三十二条 センターは、第三十条又は前条第一項に規定する認可又は承認を受けたときは、当該認可に係る予算、事業計画及び資金計画に関する書類又は承認に係る財務諸表を、センターに出資した地方公共団体に送付しなければならない。
(利益及び損失の処理)
第三十三条 センターは、毎事業年度、揖益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 センターは、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(借入金)
第三十四条 センターは、建設大臣の認可を受けて、長期借入金又は短期借入金をすることができる。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、建設大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
(債務保証)
第三十五条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、第二十六条第一項第二号に掲げる業務の費用に充てるためのセンターの長期借入金に係る債務について保証することができる。
2 第二十六条第一項第二号に掲げる業務をセンターに委託する地方公共団体は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律第三条の規定にかかわらず、当該委託に係る業務に要する費用の額の範囲内において、センターの長期借入金に係る債務について保証することができる。
(償還計画)
第三十六条 センターは、毎事業年度、長期借入金の償還計画をたてて、建設大臣の認可を受けなければならない。
(補助金)
第三十七条 政府及び地方公共団体は、予算の範囲内において、センターに対し、センターの業務運営費の一部を補助することができる。
(余裕金の運用)
第三十八条 センターは、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債その他建設大臣の指定する有価証券の取得
二 銀行への預金又は郵便貯金
三 信託業務を営む銀行又は信託会社への金銭信託
(財産の処分等の制限)
第三十九条 センターは、建設省令で定める重要な財産を譲渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、建設大臣の認可を受けなければならない。
(給与及び退職手当の支給の基準)
第四十条 センターは、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、建設大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(建設省令への委任)
第四十一条 この法律に規定するもののほか、センターの財務及び会計に関し必要な事項は、建設省令で定める。
第六章 監督
(監督)
第四十二条 センターは、建設大臣が監督する。
2 建設大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、センターに対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第四十三条 建設大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、センターに対してその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、センターの事務所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第七章 補則
(解散)
第四十四条 センターの解散については、別に法律で定める。
(大蔵大臣との協議)
第四十五条 建設大臣は、次の場合には、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第四条第二項、第二十六条第二項、第二十七条第一項、第三十条、第三十四条第一項若しくは第二項ただし書、第三十六条又は第三十九条の認可をしようとするとき。
二 第三十一条第一項又は第四十条の承認をしようとするとき。
三 第三十八条第一号の規定による指定をしようとするとき。
四 第四十一条の建設省令を定めようとするとき。
(他の法令の準用)
第四十六条 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、センターを国の行政機関とみなして、これらの法令を準用する。
第八章 罰則
第四十七条 第四十三条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をしたセンターの役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
第四十八条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をしたセンターの役員は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定により建設大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第六条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠つたとき。
三 第二十六条第一項に規定する業務以外の業務を行なつたとき。
四 第三十八条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
五 第四十二条第二項の規定による建設大臣の命令に違反したとき。
第四十九条 第五条第二項の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
2 この法律の施行の際現にその名称中に下水道事業センターという文字を用いている者については、第五条第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
3 センターの最初の事業年度は、第二十九条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。
4 センターの最初の事業年度の予算、事業計画及び資金計画については、第三十条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「センターの成立後遅滞なく」とする。
(所得税法の一部改正)
5 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中健康保険組合及び健康保険組合連合会の項の前に次のように加える。
下水道事業センター |
下水道事業センター法(昭和四十七年法律第四十一号) |
(法人税法の一部改正)
6 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中健康保険組合及び健康保険組合連合会の項の前に次のように加える。
下水道事業センター |
下水道事業センター法(昭和四十七年法律第四十一号) |
(印紙税法の一部改正)
7 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。
別表第二の表中公営企業金融公庫の項の前に次のように加える。
下水道事業センター |
下水道事業センター法(昭和四十七年法律第四十一号) |
(登録免許税法の一部改正)
8 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第二の表中公営企業金融公庫の項の前に次のように加える。
下水道事業センター |
下水道事業センター法(昭和四十七年法律第四十一号) |
(地方税法の一部改正)
9 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の四第一項第三号中「日本中央競馬会」の下に「、下水道事業センター」を加える。
第七十三条の四第一項に次の一号を加える。
二十六 下水道事業センターが下水道事業センター法(昭和四十七年法律第四十一号)第二十六条第一項第三号又は第四号に規定する業務の用に供する不動産で政令で定めるもの
第三百四十八条第二項に次の一号を加える。
三十 下水道事業センターが下水道事業センター法第二十六条第一項第三号又は第四号に規定する業務の用に供する固定資産で政令で定めるもの
(建設省設置法の一部改正)
10 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条中第七号の三を第七号の四とし、第七号の二を第七号の三とし、第七号の次に次の一号を加える。
七の二 下水道事業センターの業務の監督その他下水道事業センター法(昭和四十七年法律第四十一号)の施行に関する事務を管理すること。
第四条第四項中「第七号の三」を「第七号の四」に改める。
第四条の二第四項中「第三条第七号」の下に「及び第七号の二」を加える。
(大蔵・建設・自治・内閣総理大臣署名)