貸金業者の自主規制の助長に関する法律

法律第百二号(昭四七・六・二四)

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 庶民金融業協会(第三条―第十一条)

 第三章 全国庶民金融業協会連合会(第十二条)

 第四章 庶民金融業者の名称の使用等(第十三条・第十四条)

 第五章 雑則(第十五条・第十六条)

 第六章 罰則(第十七条―第二十三条)

 附則

   第一章 総則

 (この法律の目的)

第一条 この法律は、貸金業を行なう者の自主規制を助長するため、貸金業を行なう者の団体及び庶民金融業者の名称の使用について必要な事項を定め、もつて貸金業の適正な運営と不正金融の防止に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「貸金業」とは、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律(昭和二十九年法律第百九十五号)第七条第一項に規定する貸金業(同法第九条の規定の適用により同項に規定する貸金業に該当するものを含む。)をいう。

   第二章 庶民金融業協会

 (庶民金融業協会)

第三条 貸金業を行なう者は、都道府県の区域ごとに、その区域内に主たる営業所又は事務所を有する貸金業を行なう者を会員とし、会員たる貸金業を行なう者の貸金業に係る法令の遵守、貸金業の適正な運営及び不正金融の防止に資することを目的とし、庶民金融業協会と称する民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定による法人を設立することができる。

2 庶民金融業協会は、都道府県ごとに一個とする。

3 庶民金融業協会は、第一項の目的を達成するため、次の業務を行なう。

 一 会員の行なう貸金業に関し、契約の内容を適正ならしめるため必要な調査、指導、連絡、勧告その他の業務

 二 会員の行なう貸金業に関し、過大な担保の要求その他資金需要者たる顧客の利益を不当に害する行為を防止するため必要な調査、指導、連絡、勧告その他の業務

 三 前二号に掲げるもののほか、会員の行なう貸金業に関し、その適正な運営を図るため必要な業務

 (法令の遵守等)

第四条 庶民金融業協会の会員は、貸金業を行なうについて、貸金業に係る法令を遵守するとともに、資金需要者たる顧客に対し政令で定める金利以下の金利により資金を提供し、業務を適正に運営するように努めなければならない。

 (会員の欠格事由等)

第五条 次の各号の一に該当する者は、庶民金融業協会の会員となることができない。

 一 破産者であつて復権を得ないもの

 二 禁錮以上の刑に処せられた者であつて、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から三年を経過しないもの

 三 第十三条第二項又は出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の規定に違反して罰金の刑に処せられた者であつて、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から三年を経過しないもの

 四 次条第二号の規定により庶民金融業協会を退会させられた者であつて、その退会させられた日から二年を経過しないもの

 五 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者であつて、その法定代理人が前各号の一に該当するもの

 六 法人又は法人でない社団若しくは財団であつて、その役員又は代表者若しくは管理人のうちに第一号から第四号までの一に該当する者があるもの

 七 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第七条第一項前段の規定による届出をしていない者

2 庶民金融業協会は、貸金業を行なう者が、貸金業を行なうにあたつて悪質又は著しく不当な行為をした者であつて、庶民金融業者の名称を使用するのに適しないものであるときは、その者を入会させてはならない。

 (退会)

第六条 庶民金融業協会は、会員が次の各号の一に該当する場合には、その会員を退会させなければならない。

 一 前条第一項第一号から第三号まで、第五号及び第六号の一に該当するに至つたとき。

 二 貸金業を行なうにあたつて悪質又は著しく不当な行為をしたとき。

 (内部機関)

第七条 庶民金融業協会は、定款で定めるところにより、会員の入会及び退会について審査を行なう機関並びに会員の貸金業に係る行為についての苦情の処理に関する事項をつかさどる機関を設けるものとする。


 (会員の名簿の閲覧)

第八条 庶民金融業協会は、会員たる貸金業を行なう者の名簿を一般の閲覧に供しなければならない。


 (報告及び資料の提出の要求)

第九条 都道府県知事は、庶民金融業協会の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、庶民金融業協会に対して、報告又は資料の提出を求めることができる。


 (指導、助言又は勧告)

第十条 都道府県知事は、庶民金融業協会の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、庶民金融業協会に対して、指導、助言又は勧告をすることができる。


 (監督命令)

第十一条 都道府県知事は、庶民金融業協会の運営がこの法律の目的に適合していないと認めるときは、庶民金融業協会に対して、監督上必要な命令をすることができる。

   第三章 全国庶民金融業協会連合会


 (全国庶民金融業協会連合会)

第十二条 庶民金融業協会は、全国を単位として、庶民金融業協会を会員とする全国庶民金融業協会連合会と称する民法第三十四条の規定による法人を設立することができる。

2 全国庶民金融業協会連合会は、全国を通じて一個とする。

3 全国庶民金融業協会連合会は、庶民金融業協会の運営に関する連絡調整を行なうことを目的とする。

   第四章 庶民金融業者の名称の使用等


 (庶民金融業者の名称の使用)

第十三条 庶民金融業協会に入会している者は、貸金業を行なうについて庶民金融業者の名称を使用することができる。

2 庶民金融業協会に入会していない者は、貸金業を行なうについて庶民金融業者の名称又はこれに類似する名称を使用してはならない。


 (業務の停止)

第十四条 都道府県知事は、貸金業を行なう者が前条第二項の規定に違反して罰金の刑に処せられた後において同項の規定に違反した場合においては、当該貸金業を行なう者に対し、六月以内の期間を定めて、その業務の停止を命ずることができる。

   第五章 雑則


 (団体の名称の使用制限)

第十五条 庶民金融業協会及び全国庶民金融業協会連合会でない者は、庶民金融業協会若しくは全国庶民金融業協会連合会という名称又はこれらに類似する名称を使用してはならない。


 (主務官庁)

第十六条 民法第三十四条、第三十八条第二項、第五十九条第三号、第六十七条、第七十一条、第七十二条第二項、第七十七条及び第八十三条に規定する主務官庁は、庶民金融業協会については都道府県知事とし、全国庶民金融業協会連合会については大蔵大臣とする。

   第六章 罰則

第十七条 第十四条の規定による業務の停止の命令に違反して貸金業を行なつた者は、一年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第十八条 第十三条第二項の規定に違反した者は、五万円以下の罰金に処する。

第十九条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。

第二十条 第九条の規定による報告又は資料の提出を求められて、報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは虚偽の資料の提出をした場合には、その違反行為をした庶民金融業協会の役員、代理人、使用人その他の従業者を三万円以下の罰金に処する。

2 庶民金融業協会の役員、代理人、使用人その他の従業者がその庶民金融業協会の業務に関して前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その庶民金融業協会に対しても同項の刑を科する。

第二十一条 正当な理由がないのに第八条の名簿の閲覧を拒んだ場合には、その違反行為をした庶民金融業協会の役員、代理人、使用人その他の従業者を三万円以下の過料に処する。

第二十二条 第十一条の規定による都道府県知事の命令に違反した場合には、その違反行為をした庶民金融業協会の役員を三万円以下の過料に処する。

第二十三条 第十五条の規定に違反した者は、二万円以下の過料に処する。


   附 則


 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。


 (庶民金融業者の名称の使用制限に関する経過措置)

2 この法律の施行の際現に貸金業を行なうについて庶民金融業者の名称又はこれに類似する名称を使用している者については、第十三条第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。


 (団体の名称の使用制限に関する経過措置)

3 この法律の施行の際現に庶民金融業協会若しくは全国庶民金融業協会連合会という名称又はこれらに類似する名称を使用している者については、第十五条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。

(大蔵・内閣総理大臣署名) 

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