沖縄・北方対策庁設置法

法律第三十九号(昭四五・五・一)

 (目的)

第一条 この法律は、沖縄・北方対策庁の所掌事務の範囲及び権限を定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するに足る組織を定めることを目的とする。

 (設置)

第二条 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の規定に基づいて、総理府の外局として、沖縄・北方対策庁(以下「対策庁」という。)を設置する。

 (任務)

第三条 対策庁は、沖縄(硫黄鳥島及び伊平屋島並びに北緯二十七度以南の南西諸島(大東諸島を含む。)をいう。以下同じ。)の復帰に関し、その準備のための施策を推進し、並びに沖縄の経済及び社会の開発及び発展を図り、あわせて北方領土問題その他北方地域(政令で定める地域をいう。以下同じ。)に関する諸問題の解決の促進を図るため、沖縄及び北方地域に係る国の行政事務(外務省の所掌に属する事務を除く。)を総合的に行なうことを主たる任務とする。

 (権限)

第四条 対策庁は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため、次に掲げる権限を有する。ただし、その権限の行使は、法律(法律に基づく命令を含む。)に従つてなされなければならない。

 一 総理府設置法、(昭和二十四年法律第百二十七号)第四条第一号から第十一号までに掲げる権限で対策庁に係るもの

 二 対策庁の公印を制定すること。

 三 沖縄の復帰に関し、その準備のための施策を策定し、並びに沖縄の経済及び社会の開発及び発展を図るための基本的な施策を策定すること。

 四 前号に規定する施策の推進を図り、及びその施策の実施に関し、関係行政機関の事務の総合調整を行なうこと。

 五 北方領土間題その他北方地域に関する諸問題について、調査研究し、関係資料を収集分析し、及び国民世論の啓発を図ること。

 六 北方地域に生活の本拠を有していた者に対する必要な援護措置の実施の推進を図り、及びその援護措置の実施に関し、関係行政機関の事務の総合調整を行なうこと。

 七 本土(沖縄及び北方地域以外の地域をいう。以下同じ。)と沖縄との間の渡航に関する事務を行なうこと。

 八 本土と沖縄又は北方地域にわたる身分関係事項その他の事実について、公の証明に関する文書を作成すること。

 九 本土と沖縄又は北方地域との間において解決を要する事項について、調査し、連絡し、あつせんし、及び処理すること。

 十 前各号に掲げるもののほか、沖縄又は北方地域に関する事務に関し、関係行政機関の事務の総合調整及び推進を図ること。

 十一 南方同胞援護会及び北方領土問題対策協会を監督すること。

 十二 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき対策庁の所掌に属することとされた事務を行なうこと。


 (内部部局)

第五条 対策庁に、次の二部を置く。

  総務部

  調整部


 (総務部の事務)

第六条 総務部においては、次の事務をつかさどる。

 一 人事、会計及び庶務に関すること。

 二 庁務の総合調整に関すること。

 三 第四条第三号に規定する施策の推進に関すること。

 四 北方領土問題その他北方地域に関する諸問題についての調査研究、関係資料の収集分析及び国民世論の啓発に関すること。

 五 北方地域に生活の本拠を有していた者に対する必要な援護措置の実施の推進及びその援護措置の実施に関する関係行政機関の事務の総合調整に関すること。

 六 本土と沖縄との間の渡航に関する事務に関すること。

 七 本土と沖縄又は北方地域にわたる身分関係事項その他の事実についての公の証明に関する文書の作成に関すること。

 八 本土と沖縄又は北方地域との間において解決を要する事項についての調査、連絡、あつせん及び処理に関すること。

 九 南方同胞援護会及び北方領土問題対策協会に関すること。

 十 前各号に掲げるもののほか、対策庁の所掌事務で調整部の所掌に属さない事務に関すること。


 (調整部の事務)

第七条 調整部においては、次の事務をつかさどる。

 一 第四条第三号に規定する施策の策定に関すること。

 二 第四条第三号に規定する施策の実施に関する関係行政機関の事務の総合調整に関すること。

 三 沖縄における経済の動向についての調査研究及び関係資料の収集分析に関すること。


 (長官)

第八条 対策庁の長は、沖縄・北方対策庁長官とする。

2 沖縄・北方対策庁長官は、対策庁の所掌事務を遂行するために必要がある場合には、関係行政機関の長に対して協力を求め、又は意見を述べることができる。


 (沖縄事務局)

第九条 対策庁の機関として、沖縄島那覇に、沖縄事務局を置く。

2 沖縄事務局は、次の事務を行なう。

 一 第四条第三号に規定する施策の実施に関し、琉球政府との連絡調整その他その推進を図るために必要な措置を講ずること。

 二 第四条第三号に規定する施策の策定に必要な調査を行ない、及び関係資料を収集分析すること。

 三 前二号に掲げるもののほか、対策庁の所掌事務で沖縄に係るもののうち、沖縄においてその処理をする必要がある事務を行なうこと。

 四 前三号に掲げる事務に関し、沖縄におけるアメリカ合衆国の政府機関との連絡及び協議を行なうこと。

 五 旅券法の特例に関する法律(昭和四十二年法律第百三十七号)の規定の適用を受ける旅券に関する申請書の受理その他の事務を行なうこと。

 六 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき沖縄事務局の所掌に属することとされた事務を行なうこと。

3 沖縄事務局の内部組織は、総理府令で定める。

第十条 沖縄事務局に局長を置く。

2 局長は、沖縄・北方対策庁長官の命を受け、局務を掌理する。

3 前項の規定にかかわらず、前条第二項第四号に掲げる事務のうち、アメリカ合衆国の政府機関との協議に関する事務及び同項第五号に掲げる事務については、外務大臣が局長を指揮監督する。この場合において、当該指揮監督をするときは、外務大臣は、その旨を内閣総理大臣に通知しなければならない。

4 第二項の規定にかかわらず、前条第二項第三号及び第六号に掲げる事務については、その事務を管理する主任の大臣は、局長を指揮監督することができる。この場合において、当該指揮監督をするときは、主任の大臣は、内閣総理大臣に協議しなければならない。

第十一条 沖縄事務局に置かれる職員(以下この条において「職員」という。)には、俸給、扶養手当、期末手当及び勤勉手当(指定職俸給表の適用を受ける者にあつては、俸給及び期末手当)のほか、在勤手当を支給する。

2 職員に対して支給する在勤手当の支給額は、職員がその体面を維持し、かつ、その職務と責任に応じて能率を十分発揮することができるように沖縄事務局の所在地における物価、為替相場及び生活水準を勘案して、政令で定める。

3 在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律(昭和二十七年法律第九十三号)第二条第三項、第三条、第四条、第十条の二(第三項を除く。)及び第二十一条第二項の規定は、第一項の俸給、扶養手当、期末手当及び勤勉手当並びに在勤手当の支給について準用する。この場合において、同法第二条第三項中「大使及び公使以外の在外職員」とあるのは「職員」と、同法第三条中「在外職員」とあるのは「職員」と、同法第四条第一項中「在外職員」とあるのは「職員」と、「特別職の職員の給与に関する法律第八条並びに一般職の職員の給与に関する法律」とあるのは「一般職の職員の給与に関する法律」と、同法第十条の二中「在勤基本手当」とあるのは「在勤手当」と、「在外職員」とあるのは「職員」と、同条第二項中「外国」とあるのは「沖縄島那覇」と、同条第五項中「本邦へ出張を命ぜられ、又は休暇帰国を許された」とあるのは「本邦へ出張を命ぜられた」と、同法第二十一条第二項中「在外職員」とあるのは「職員」と読み替えるものとする。


   附 則


 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第十条の規定は、公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。


 (職員の引継ぎ)

第二条 この法律の施行の際現に特別地域連絡局及び日本政府沖縄事務所の職員である者は、別に辞令を発せられない限り、同一の勤務条件をもつて、それぞれ沖縄・北方対策庁及び沖縄事務局の職員となるものとする。


 (国家行政組織法の一部改正)

第三条 国家行政組織法の一部を次のように改正する。

  別表第一総理府の項中「科学技術庁」を

科学技術庁

沖縄・北方対策庁

 に改める。


 (総理府設置法の一部改正)

第四条 総理府設置法の一部を次のように改正する。

 第三条第三号及び第四条第十九号中「南方地域」を「沖縄」に改める。

 第五条第一項中「五局」を「四局」に改め、「特別地域連絡局」を削る。

 第九条を次のように改める。

 第九条 削除

  第十条を次のように改める。

  (附属機関)

 第十条 第十四条及び第十五条に規定するもののほか、本府に、附属機関として、統計職員養成所を置く。

  第十三条を次のように改める。

 第十三条 削除

  第十四条及び第十四条の二を削り、第十四条の三を第十四条とする。

  第十七条中「科学技術庁」を

科学技術庁

沖縄・北方対策庁

 に改める。

  第十八条の表科学技術庁の項の次に次のように加える。

沖縄・北方対策庁

沖縄・北方対策庁設置法(昭和四十五年法律第三十九号)


 (南方同胞援護会法の一部改正)

第五条 南方同胞援護会法(昭和三十二年法律第百六十号)の一部を次のように改正する。

  第一条及び第二十条第一号から第三号までの規定中「南方地域」を「沖縄」に改める。


 (引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律の一部改正)

第六条 引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律(昭和四十二年法律第百十四号)の一部を次のように改正する。

  第十五条第一項中「日本政府沖縄事務所長」を「沖縄事務局長」に改める。


 (旅券法の特例に関する法律の一部改正)

第七条 旅券法の特例に関する法律の一部を次のように改正する。

  第二条第一項中「沖縄事務所(総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)第十三条に定める日本政府沖縄事務所をいう。以下同じ。)」を「沖縄事務局(沖縄・北方対策庁設置法(昭和四十五年法律第三十九号)第九条に定める沖縄事務局をいう。以下同じ。)」に、「沖縄事務所長」を「沖縄事務局長」に改め、同条第三項、第三条第二項及び第六条中「沖縄事務所長」を「沖縄事務局長」に改める。


 (沖縄における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法の一部改正)

第八条 沖縄における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法(昭和四十四年法律第四十七号)の一部を次のように改正する。

  第二条第五号を次のように改める。

  五 沖縄事務局 沖縄・北方対策庁設置法(昭和四十五年法律第三十九号)第九条第一項に規定する沖縄事務局をいう。

  第三条第三項中「沖縄事務所」を「沖縄事務局」に改める。

  第四条中「沖縄事務所の所長」を「沖縄事務局の局長」に改める。

  第二十七条第四項中「日本政府沖縄事務所の所長」を「沖縄事務局の局長」に改める。


 (引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律等の一部改正に伴う経過措置)

第九条 この法律の施行前に前三条の規定による改正前の引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律、旅券法の特例に関する法律若しくは沖縄における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法又はこれらに基づく命令の規定に基づいて日本政府沖縄事務所長がした処分又は手続は、前三条の規定による改正後のこれらの法律又はこれらに基づく命令の相当規定に基づいて、沖縄事務局長がした処分又は手続とみなす。

2 この法律の施行の際現に前三条の規定による改正前の引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律、旅券法の特例に関する法律若しくは沖縄における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法又はこれらに基づく命令の規定に基づいて日本政府沖縄事務所長に対してされている手続は、前三条の規定による改正後のこれらの法律又はこれらに基づく命令の相当規定に基づいて、沖縄事務局長に対してされた手続とみなす。


 (旅券法の一部を改正する法律の一部改正)

第十条 旅券法の一部を改正する法律(昭和四十五年法律第百五号)の一部を次のように改正する。

  附則第六項のうち旅券法の特例に関する法律第二条第一項の改正規定中「沖縄事務所長」を「沖縄事務局長」に改める。

(内閣総理・各省大臣署名) 

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