水先法の一部を改正する法律

法律第九十二号(昭三九・六・一)

 水先法(昭和二十四年法律第百二十一号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第一条・第二条」を「第一条―第二条」に、「第二十二条」を「第二十二条の六」に改める。

 第一条第三項中「水先人の組合(水先人の組合」を「第二十二条の三第一項に規定する水先人会(同項に規定する水先人会」に改め、同条を第一条の二とし、第一章中同条の前に次の一条を加える。

 (目的)

第一条 この法律は、水先をすることができる者の資格を定め、及び水先業務の適正かつ円滑な遂行を確保することにより、船舶交通の安全を図り、あわせて船舶の運航能率の増進に資することを目的とする。

 第四条第一項第一号中「二年」を「三年」に、「千トン」を「三千トン」に改める。

 第十一条中「別表の通りとする」を「政令で定める」に改め、同条に次の一項を加える。

2 前項の規定に基づき、政令を制定し、又は改廃する場合においては、政令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。

 第十五条の次に次の一条を加える。

 (水先業務用施設の確保)

第十五条の二 水先人は、水先船その他の水先業務に必要な施設であつて省令で定めるもの(以下「水先業務用施設」という。)を確保しておかなければならない。

 第十六条中「船長の行う水先人を求める信号を認めた」を「船長から水先人を求める旨の通報を受けた」に、「直ちに」を「その求めに応じ」に改める。

 第三章中第二十二条の次に次の五条を加える。

 (水先約款)

第二十二条の二 水先人は、水先約款を定め、その実施前に、運輸大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 運輸大臣は、前項の水先約款が利用者の正当な利益を害するおそれがあると認めるときは、当該水先人に対し、その水先約款を変更すべきことを命ずることができる。

3 水先人は、第一項の水先約款をその事務所において利用者に見やすいように掲示しておかなければならない。

 (水先人会)

第二十二条の三 水先区を同一にする水先人は、当該水先区について一個の水先人会を設立しなければならない。

2 水先人会は、水先業務の円滑な遂行に資するため、合同事務所(会員のする水先の引受けに関する事務を統合して行なうための事務所をいう。以下同じ。)の設置及び運営、水先人の養成並びに会員の指導及び連絡に関する事務を行なうことを目的とする。

 (水先人会の会則)

第二十二条の四 水先区を同一にする水先人は、水先人会を設立しようとするときは、会則を定め、その会則について運輸大臣の認可を受けなければならない。

2 水先人会の会則には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 名称及び事務所の所在地

 二 会の代表者その他役員に関する規定

 三 入会及び退会に関する規定

 四 会議に関する規定

 五 合同事務所の設置及び運営に関する規定

 六 水先修業生の修習に関する規定

 七 会計に関する規定

 八 その他重要な会務に関する規定

3 水先人会は、その会則を変更しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。

 (入会)

第二十二条の五 水先人会が設立されている水先区について水先人の免許を受けた水先人は、当該水先人会に入会しなければならない。

 (会則遵守の義務)

第二十二条の六 水先人は、所属水先人会の会則を守らなければならない。

 第二十三条中「この法律の規定」を「この法律若しくはこれに基づく処分」に改める。

 第二十四条の二に見出しとして「(海上航行安全審議会の意見の徴取等)」を附し、同条第一項中「前二条」を「前三条」に改め、同条を第二十四条の三とし、第二十四条の次に次の一条を加える。

 (業務改善の命令)

第二十四条の二 運輸大臣は、水先人がその業務を行なうにあたり利用者の利便を阻害している事実があると認めるときは、当該水先人に対し、水先業務用施設の改善その他水先業務の円滑な遂行を確保するため必要な事項を命ずることができる。

 第二十五条を次のように改める。

 (水先人会に対する勧告)

第二十五条 運輸大臣は、水先人会の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、水先人会に対し、その行なう業務について勧告することができる。

 第二十六条の前の見出し中「及び報告」を削る。

 第二十七条及び第二十八条中「報告し」を「届け出」に改める。

 第二十九条及び第三十条を次のように改める。

 (報告及び検査)

第二十九条 運輸大臣は、この法律の施行に必要な限度において、水先人若しくは水先人会に対してその業務に関し報告をさせ、又はその職員に水先人若しくは水先人会の事務所その他の事業場若しくは水先船に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (職権の委任)

第三十条 この法律の規定により運輸大臣の職権に属する事項は、政令で定めるところにより、海運局長に行なわせることができる。

 第三十一条第四号中「第二十五条第一項」を「第二十二条の二第二項又は第二十四条の二」に改める。

 第三十二条第三号中「第三十条」を「第二十八条」に改め、「若しくは報告」を削り、同号を同条第五号とし、同条第二号の次に次の二号を加える。

 三 第二十二条の二第一項の規定による届出をしないで水先の引受けをした者

 四 第二十二条の二第三項の規定による掲示をせず、又は虚偽の掲示をした者

 第三十二条に次の一号を加える。

 六 第二十九条第一項の規定による報告を求められて、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

 別表を削る。


   附 則


 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。ただし、附則第四条の規定は、公布の日から施行する。

 (経過規定)

第二条 この法律の施行前にした改正前の水先法(以下「旧法」という。)第三条の規定による水先人の免許は、改正後の水先法(以下「新法」という。)の規定に基づいてしたものとみなす。

2 この法律の施行の際現に水先人の免許の申請をしている者に対して当該申請に係る水先人の免許をする場合における免許の要件については、新法第四条第一項第一号の規定にかかわらず、なお従前の例による。

3 新法第四条第一項第二号の規定の適用については、この法律の施行前に旧法第一条第三項に規定する水先修業生として実務を修習した期間は、新法第一条の二第三項に規定する水先修業生として実務を修習した期間とみなす。

第三条 この法律の施行の際現に水先人である者が、その際現に実施している水先約款については、新法第二十二条の二第一項中「その実施前に」とあるのは、「水先法の一部を改正する法律(昭和三十九年法律第九十二号)の施行の日から三十日以内に」とする。

第四条 水先区を同一にする水先人は、この法律の施行前において、新法第二十二条の三及び第二十二条の四の規定の例により、会則を定めて運輸大臣の認可を受け、水先人会を設立することができる。

2 前項の規定により認可を受けた会則は、この法律の施行の日にその効力を生ずるものとし、当該水先人会は、この法律の施行の日において新法の規定により設立されたものとみなす。

第五条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(運輸・内閣総理大臣署名) 

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