自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律

法律第百一号(昭三九・六・一五)

 (趣旨)

第一条 この法律は、自家用自動車の一時輸入に関する通関条約(以下「条約」という。)を実施するため、関税法(昭和二十九年法律第六十一号)、関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)、物品税法(昭和三十七年法律第四十八号)及び国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)の特例その他必要な事項を定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 車両 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項及び第三項に規定する自動車及び原動機付自転車をいい、これらとともに輸入されるこれらの部分品並びに通常の附属品及び備品を含む。

 二 保証団体 第七条第一項の規定により大蔵大臣の認可を受けた者をいう。

 三 一時輸入書類 本邦に輸入される車両又は車両修理用の部分品に課される関税及び物品税を保証するため、条約及びこの法律の定めるところに従い、保証団体が直接に又は条約の他の締約国にある対応する団体を通じて発給する通関用の書類で、これにより当該物品の輸入につき条約第二条又は第四条1の規定の適用を受けることができるものをいう。

 四 自家用 条約第二条の規定の適用を受けて車両を輸入した者が、その個人的な使用に供することをいい、有償又は無償で産業上又は商業上の運送の用に供することを含まない。ただし、条約第十一条の規定に従い、他の者に使用させ、又は運転させることは、当該輸入した者の個人的な使用に供するものとみなす。

 (車両等の輸入手続)

第三条 条約第二条又は第四条1の規定により関税及び物品税(以下「輸入税」という。)の免除を受けて車両又は車両修理用の部分品を輸入しようとする者は、政令で定めるところにより、当該物品に係る一時輸入書類につき保証団体の認証を受け、その認証を受けたことを示す書類を当該一時輸入書類に添えて、税関に提出しなければならない。

 (輸入税の徴収)

第四条 条約第二条又は第四条1の規定により輸入税の免除を受けて輸入された車両(以下「免税車両」という。)又は車両修理用の部分品(以下「免税部分品」という。)が、当該物品の輸入をした者(以下「免税車両等輸入者」という。)又は条約第十一条1の規定に従い免税車両を使用する者(以下「第三者」という。)により、当該物品に係る一時輸入書類の有効期間内に、譲渡され、又は自家用若しくは免税車両の修理用以外の用途に供されたときは、当該譲渡し、又は当該用途以外の用途に供した免税車両等輸入者又は第三者から当該物品に係る輸入税を直ちに徴収する。

2 免税車両又は免税部分品を、当該物品に係る一時輸入書類の有効期間内に、免税車両等輸入者又は第三者から譲り受けた者は、免税車両等輸入者又は第三者と連帯して当該物品に係る輸入税を納付する義務を負う。この場合における輸入税の徴収については、前項の規定を準用する。

3 免税車両又は免税部分品が、当該物品に係る一時輸入書類の有効期間内に輸入されないときは、当該物品に係る輸入税を、免税車両等輸入者又は保証団体から、直ちに又は条約の規定に従い徴収する。

4 前三項の規定による関税の徴収については、国税徴収の例による。

5 第一項から第三項までの規定による輸入税の徴収は、当該徴収に係る免税車両又は免税部分品の輸入地を所轄する税関長が行なう。

 (輸入税の軽減等)

第五条 免税車両又は免税部分品につき前条第一項から第三項までの規定により輸入税を徴収することとなる場合において、当該物品が事故により著しく損傷したものであるときは、政令で定めるところにより、関税定率法第十条の規定に準じて当該輸入税を軽減することができる。

2 事故により著しく損傷した免税車両若しくは免税部分品又は条約第四条2に規定する取り替えられた部分品が、当該物品に係る一時輸入書類の有効期間内に、政令で定めるところにより、税関長の承認を受けて滅却されたときは、前条第三項の規定は、適用しない。

 (国税通則法の準用)

第六条 国税通則法第六十条第一項第三号、同条第二項から第四項まで、第六十二条、第六十三条、第九十条第三項及び第九十一条第四項の規定は、第四条第一項から第三項までの規定により関税を直ちに徴収することとされている場合における関税の延滞税について準用する。この場合において、同法第六十条第一項第三号及び第二項中「法定納期限」とあるのは、「輸入税を直ちに徴収すべきこととされている原因となる事実の生じた日」と読み替えるものとする。

 (保証団体)

第七条 一時輸入書類を発給することができる者となるには、大蔵大臣の認可を受けなければならない。

2 前項の認可を申請するには、申請書に、定款、事業計画書及び業務方法書その他大蔵省令で定める書類を添えて、これを大蔵大臣に提出しなければならない。

3 大蔵大臣は、第一項の認可の申請者が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の認可をしてはならない。

 一 条約第六条1に規定する国際団体(以下「国際団体」という。)に加盟している法人であること。

 二 国際団体との間に輸入税に関する保証契約を締結することが確実であること。

 三 輪入税の納付その他保証団体の業務を適正に遂行するに足りる能力があること。

4 保証団体は、条約の他の締約国にある対応する団体を通じて発給した一時輸入書類を認証し、及び一時輸入書類により輸入された免税事両又は免税部分品が当該一時輸入書類の有効期間内に輸出されないときは、当該免税車両等輸入者と連帯して当該免除された輸入税を納付する義務を負う。

5 保証団体は、第三項第二号に規定する保証契約を締結したときは、直ちに、その旨及び当該保証契約の内容を大蔵大臣に届け出なければならない。

6 保証団体は、前項の届出をした後でなければ、一時輸入書類を発給してはならない。

7 保証団体は、その業務を廃止しようとするときは、大蔵省令で定めるところにより、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。

8 大蔵大臣は、保証団体が第三項各号の一に適合しなくなつたと認めるとき、保証団体がこの法律若しくはこの法律に基づく命令若しくはこれらに基づく処分に違反したとき、又は保証団体から前項の届出があつたときは、第一項の認可を取り消すことができる。

9 前項の規定により認可が取り消された場合において、当該認可を取り消された者がその取消しの前に発給した一時輸入書類があるときは、当該一時輸入書類については、当該認可を取り消された者を保証団体とみなして、この法律を適用する。

 (担保の提供等)

第八条 大蔵大臣は、輸入税の保全のため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、保証団体に対し、金額及び期間を指定し、輸入税につき担保の提供を命ずることができる。

2 大蔵大臣は、必要があると認めるときは、前項の金額又は期間を変更することができる。

3 大蔵大臣は、第一項の規定により担保を徴した場合において、保証団体が納付すべき輸入税がその納期限までに完納されないときは、税関長にその担保として提供された財産の処分その他の処分を行なわせるものとする。

4 国税通則法第五十二条の規定は、前項の処分について準用する。

 (報告の徴取及び検査)

第九条 大蔵大臣は、必要があると認めるときは、保証団体に対し業務若しくは財産に関し報告をさせ、又はその職員をして保証団体の事務所に立ち入り、業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類でその他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (条約の非締約国への便益提供)

第十条 保証団体が、国際団体に加盟している団体(国際団体との間に輸入税に関する保証契約を締結しているものに限る。)で条約の締約国以外の政令で定める国にあるものを通じて発給した輸入税の保証を示す書類は、第二条第三号に規定する一時輸入書類とみなして、条約及びこの法律を適用する。

 (政令への委任)

第十一条 前各条に規定するもののほか、条約及びこの法律の実施に関し必要な事項は、政令で定める。

 (罰則)

第十二条 第九条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、五万円以下の罰金に処する。

第十三条 保証団体の代表者、代理人、使用人その他の従業者が保証団体の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その保証団体に対して前条の刑を科する。


   附 則

 この法律は、条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。

(大蔵・内閣総理大臣署名) 

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