奥地等産業開発道路整備臨時措置法

法律第百十五号(昭三九・六・二四)

 (目的)

第一条 この法律は、奥地等における産業の総合的な開発の基盤となるべき奥地等産業開発道路の整備を促進することにより、地域格差の是正に資するとともに、民生の向上と国民経済の発展に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「奥地等」とは、交通条件がきわめて悪く、産業の開発が十分に行なわれていない山間地、奥地その他のへんぴな地域で政令で定める基準に該当するものをいう。

2 この法律において「道路」とは、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)による道路をいう。

3 この法律において「奥地等産業開発道路」とは、奥地等における次に掲げる地域で政令で指定するものと主要な道路とを連絡する地方的な幹線たる道路で、当該奥地等における産業開発の総合的効果を発揮するために必要なものとして第三条第一項の規定により指定されたものをいう。

 一 森林資源が豊富に存し、かつ、その開発が十分に行なわれていない地域

 二 酪農振興法(昭和二十九年法律第百八十二号)第三条第一項の規定により指定された集約酪農地域

 三 農用地としての開発及び整備が必要とされる相当規模の開拓適地その他の地域

 四 地下資源が豊富に存し、かつ、その開発の効果が期待される地域

 五 水産物の集散地としての発展が予想される地域

 六 観光適地でその開発が十分に行なわれていない地域

 七 低開発地域工業開発促進法(昭和三十六年法律第二百十六号)第二条第一項の規定により指定された低開発地域工業開発地区、産炭地域振興臨時措置法(昭和三十六年法律第二百十九号)第二条第一項に規定する産炭地域その他の工業の発展が予想される地域


 (奥地等産業開発道路の指定)

第三条 建設大臣は、関係行政機関の長及び関係都道府県知事の意見をきいて、奥地等産業開発道路を指定しなければならない。

2 前条第三項に規定する地域の指定及び奥地等産業開発道路の指定については、当該奥地等に関する開発についての国の調査がなされているときは、その調査の成果をしんしやくしなければならない。

3 建設大臣は、第一項の規定により奥地等産業開発道路の指定をしたときは、当該道路の路線名その他政令で定める事項を官報で公示しなければならない。


 (奥地等産業開発道路整備計画)

第四条 建設大臣は、政令で定めるところにより、奥地等産業開発道路の新設及び改築に関する計画(以下「奥地等産業開発道路整備計画」という。)の案を作成して、閣議の決定を求めなければならない。

2 建設大臣は、前項の規定により奥地等産業開発道路整備計画の案を作成しようとするときは、道路審議会の意見をきかなければならない。

3 建設大臣は第一項の規定による閣議の決定があつたときは、遅滞なく、奥地等産業開発道路整備計画を関係都道府県知事に通知しなければならない。

4 前三項の規定は、奥地等産業開発道路整備計画を変更しようとする場合について準用する。


 (奥地等産業開発道路整備計画の実施に関する措置)

第五条 政府は、奥地等産業開発道路整備計画を実施するため必要な資金の確保を図り、かつ、国の財政の許す範囲内において、その実施を促進することに努めなければならない。

2 前項の場合において、奥地等産業開発道路の新設又は改築に要する費用に係る国の負担割合又は補助率については、道路法(第八十八条を除く。)の規定にかかわらず、四分の三の範囲内で、政令で特別の定めをすることができる。


 (協力等)

第六条 関係行政機関の長及び関係地方公共団体は、奥地等産業開発道路の整備に関し、その円滑な実施が促進されるように、できる限り協力しなければならない。

2 関係行政機関の長及び関係地方公共団体は、奥地等産業開発道路の整備に関し、当該奥地等に関する林道等の整備との調整を必要とするときは、その措置が適切に行なわれるように配慮しなければならない。


   附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第五条第二項の規定は、昭和四十年四月一日から施行する。

2 この法律は、昭和四十四年三月三十一日限りその効力を失う。

(大蔵・建設・内閣総理大臣署名) 

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