国立教育会館法
法律第八十九号(昭三九・六・一)
目次
第一章 総則(第一条―第七条)
第二章 役員及び職員(第八条―第十七条)
第三章 評議員会(第十八条・第十九条)
第四章 業務(第二十条・第二十一条)
第五章 財務及び会計(第二十二条―第三十一条)
第六章 監督(第三十二条・第三十三条)
第七章 雑則(第三十四条・第三十五条)
第八章 罰則(第三十六条・第三十七条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 国立教育会館は、その設置する教育職員その他の教育関係者のための研修施設を運営し、教育関係者の資質の向上を図り、もつて教育の振興に寄与することを目的とする。
(法人格)
第二条 国立教育会館(以下「教育会館」という。)は、法人とする。
(事務所)
第三条 教育会館は、事務所を東京都に置く。
(資本金)
第四条 教育会館の資本金は、教育会館の設立の際現に国の有する別表に掲げる不動産及び政令で定めるその他の財産の価格の合計額に相当する金額とし、政府がその全額を出資する。
2 政府は、必要があると認めるときは、教育会館に追加して出資することができる。
3 教育会館は、前項の規定による政府の出資があつたときは、その出資額により資本金を増加するものとする。
4 政府は、第二項の規定により教育会館に出資するときは、金銭以外の財産を出資の目的とすることができる。
5 政府が出資の目的とする金銭以外の財産の価格は、出資の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価格とする。
6 評価委員その他前項に規定する評価に関し必要な事項は、政令で定める。
(定款)
第五条 教育会館は、定款をもつて次の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 資本金及び資産に関する事項
五 役員に関する事項
六 評議員会及び評議員に関する事項
七 業務及びその執行に関する事項
八 財務及び会計に関する事項
九 定款の変更に関する事項
2 定款の変更は、文部大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(登記)
第六条 教育会館は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(民法の準用)
第七条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、教育会館について準用する。
第二章 役員及び職員
(役員)
第八条 教育会館に、役員として、館長一人、理事三人以内及び監事二人を置く。
(役員の職務及び権限)
第九条 館長は、教育会館を代表し、その業務を総理する。
2 理事は、館長の定めるところにより、館長を補佐して教育会館の業務を掌理し、館長に事故があるときはその職務を代理し、館長が欠員のときはその職務を行なう。
3 監事は、教育会館の業務を監査する。
4 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、館長又は館長を通じて文部大臣に意見を提出することができる。
(役員の任命)
第十条 役員は、文部大臣が任命する。
(役員の任期)
第十一条 役員の任期は、二年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十二条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。
一 国務大臣、国会議員、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長
二 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)
(役員の解任)
第十三条 文部大臣は、役員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 文部大臣は、役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
(役員の兼職禁止)
第十四条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、文部大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
(代表権の制限)
第十五条 教育会館と館長との利益が相反する事項については、館長は、代表権を有しない。この場合には、監事が教育会館を代表する。
(職員の任命)
第十六条 教育会館の職員は、館長が任命する。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第十七条 教育会館の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 評議員会
(評議員会)
第十八条 教育会館に評議員会を置く。
2 評議員会は、二十人以内の評議員で組織する。
3 次に掲げる事項については、館長は、あらかじめ、評議員会の意見をきかなければならない。
一 定款の変更
二 業務方法書の変更
三 毎事業年度の事業計画及び予算
四 その他教育会館の業務に関する重要事項で、定款をもつて定める事項
4 前項に規定する事項のほか、評議員会は、館長の諮問に応じ、又は必要と認める事項について、館長に意見を述べることができる。
(評議員)
第十九条 評議員は、教育会館の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、文部大臣が任命する。
2 第十一条及び第十三条第二項の規定は、評議員について準用する。
第四章 業務
(業務)
第二十条 教育会館は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行なう。
一 教育職員、教育機関の職員、教育行政機関の職員及び社会教育の関係者のための研修施設を設置し、及び運営すること。
二 その設置する研修施設を利用して、前号に掲げる者の資質の向上のため必要な業務を行なうこと。
三 教育に関する内外の資料を収集し、整理し、保存し、及び利用に供すること。
四 前三号の業務に附帯する業務
2 教育会館は、前項の業務を行なうほか、第一条の目的の達成に支障のない限り、その設置する研修施設を一般の利用に供することができる。
(業務方法書)
第二十一条 教育会館は、業務の開始の際、業務方法書を作成し、文部大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、文部省令で定める。
第五章 財務及び会計
(事業年度)
第二十二条 教育会館の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(事業計画等の認可)
第二十三条 教育会館は、毎事業年度、事業計画及び予算を作成し、当該事業年度の開始前に、文部大臣の認可を受けなければならない。これに重要な変更を加えようとするときも、同様とする。
(決算)
第二十四条 教育会館は、毎事業年度の決算を翌年度の五月三十一日までに完結しなければならない。
(財務諸表)
第二十五条 教育会館は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸表」という。)を作成し、これに予算の区分に従い作成した決算報告書を添え、監事の意見をつけて、決算完結後二月以内に文部大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 館長は、財務諸表及び決算報告書に監事の意見をつけて、決算完結後一月以内に、これを評議員会に提出しなければならない。
3 教育会館は、第一項の規定による文部大臣の承認を受けた財務諸表を事務所に備えておかなければならない。
(利益及び損失の処理)
第二十六条 教育会館は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 教育会館は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(短期借入金)
第二十七条 教育会館は、文部大臣の認可を受けて、短期借入金をすることができる。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。
(余裕金の運用)
第二十八条 教育会館は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債その他文部大臣の指定する有価証券の取得
二 銀行への預金又は郵便貯金
三 信託業務を営む銀行又は信託会社への金銭信託
(財産の処分等の制限)
第二十九条 教育会館は、文部省令で定める重要な財産を譲渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、文部大臣の認可を受けなければならない。
(給与及び退職手当の支給の基準)
第三十条 教育会館は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、文部大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(文部省令への委任)
第三十一条 この法律に規定するもののほか、教育会館の財務及び会計に関し必要な事項は、文部省令で定める。
第六章 監督
(監督)
第三十二条 教育会館は、文部大臣が監督する。
2 文部大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、教育会館に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第三十三条 文部大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、教育会館に対してその業務に関し報告をさせ、又はその職員に教育会館の事務所その他の事業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第七章 雑則
(解散)
第三十四条 教育会館の解散については、別に法律で定める。
(大蔵大臣との協議)
第三十五条 文部大臣は、次の場合には、あらかじめ、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第二十一条第一項、第二十三条、第二十七条第一項又は第二十九条の規定による認可をしようとするとき。
二 第二十五条第一項又は第三十条の規定による承認をしようとするとき。
三 第二十一条第二項、第二十九条又は第三十一条の規定により文部省令を定めようとするとき。
四 第二十八条第一号の規定による指定をしようとするとき。
第八章 罰則
(罰則)
第三十六条 第三十三条第一項の規定による報告を求められて、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした教育会館の役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
第三十七条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした教育会館の役員又は職員は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律により文部大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第六条第一項の政令の規定に違反して登記することを怠つたとき。
三 第二十条に規定する業務以外の業務を行なつたとき。
四 第二十八条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
五 第三十二条第二項の規定による文部大臣の命令に違反したとき。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(教育会館の設立)
第二条 文部大臣は、教育会館の館長、理事又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された館長、理事又は監事となるべき者は、教育会館の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ館長、理事又は監事に任命されたものとする。
第三条 文部大臣は、設立委員を命じて、教育会館の設立に関する事務を処理させる。
2 設立委員は、定款を作成して、文部大臣の認可を受けなければならない。
3 設立委員は、前項の規定による認可を受けたときは、政府に対し、出資の目的たる財産の給付を求めなければならない。
4 設立委員は、出資の目的たる財産の給付があつた日において、その事務を前条第一項の規定により指名された館長となるべき者に引き継がなければならない。
第四条 附則第二条第一項の規定により指名された館長となるべき者は、前条第四項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
第五条 教育会館は、設立の登記をすることによつて成立する。
(経過規定)
第六条 教育会館の最初の事業年度は、第二十二条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、昭和四十年三月三十一日に終わるものとする。
第七条 教育会館の最初の事業年度の事業計画及び予算については、第二十三条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「教育会館の成立後遅滞なく」とする。
(登録税法の一部改正)
第八条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「国立競技場」の下に「、国立教育会館」を、「国立競技場法」の下に「、国立教育会館法」を加え、同条第二十八号の次に次の一号を加える。
二十八ノ二 国立教育会館ガ国立教育会館法第二十条第一項第一号ノ研修施設ノ用ニ供スル建物又ハ土地ノ権利ノ取得又ハ所有権ノ保存ノ登記
(印紙税法の一部改正)
第九条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第六号ノ二ノ二中「国立競技場」の下に「又ハ国立教育会館」を加える。
(所得税法の一部改正)
第十条 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第十号中「国立競技場」の下に「、国立教育会館」を加える。
(法人税法の一部改正)
第十一条 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第三号中「国立競技場」の下に「、国立教育会館」を加える。
(地方税法の一部改正)
第十二条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の四第一項第三号中「国立競技場」の下に「、国立教育会館」を加える。
第七十三条の四第一項第十一号中「国立競技場」の下に「及び国立教育会館」を加える。
第三百四十八条第二項第十八号中「国立競技場」の下に「及び国立教育会館」を加える。
別表
一 土地
東京都千代田区霞ケ関三丁目四番地 所在
雑種地 六千四百七十三・七四平方メートル
二 建物
東京都千代田区霞ケ関三丁目四番地 所在
鉄骨鉄筋コンクリート造陸屋根地下一階付き六階建 一むね
総床面積 一万八百三十七・八九平方メートル
(法務・大蔵・文部・自治・内閣総理大臣署名)