住宅地区改良法
法律第八十四号(昭三五・五・一七)
目次
第一章 総則(第一条―第四条)
第二章 住宅地区改良事業
第一節 事業計画(第五条―第八条)
第二節 改良地区の整備、改良住宅の建設等(第九条―第十九条)
第三節 測量及び調査(第二十条―第二十四条)
第四節 費用の負担及び補助(第二十五条―第二十九条)
第五節 補則(第三十条―第三十二条)
第三章 雑則(第三十三条―第三十六条)
第四章 罰則(第三十七条―第三十九条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、不良住宅が密集する地区の改良事業に関し、事業計画、改良地区の整備、改良住宅の建設その他必要な事項について規定することにより、当該地区の環境の整備改善を図り、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅の集団的建設を促進し、もつて公共の福祉に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「住宅地区改良事業」とは、この法律で定めるところに従つて行なわれる改良地区の整備及び改良住宅の建設に関する事業並びにこれに附帯する事業をいう。
2 この法律において「施行者」とは、住宅地区改良事業を施行する者をいう。
3 この法律において「改良地区」とは、第四条の規定により指定された土地の区域をいう。
4 この法律において「不良住宅」とは、主として居住の用に供される建築物又は建築物の部分でその構造又は設備が著しく不良であるため居住の用に供することが著しく不適当なものをいう。
5 不良住宅の判定の基準に関し必要な事項は、政令で定める。
6 この法律において「改良住宅」とは、第十七条の規定により施行者が建設する住宅及びその附帯施設をいう。
7 この法律において「地区施設」とは、児童遊園、共同浴場、集会所、共同作業場その他改良地区内に建設される住宅の居住者の共同の福祉又は利便のため必要な施設で政令で定めるものをいう。
8 この法律において「公共施設」とは、道路、公園、広場その他公共の用に供する施設で政令で定めるものをいう。
(施行者)
第三条 住宅地区改良事業は、市町村が施行する。
2 都道府県は、市町村が住宅地区改良事業を施行することが困難な場合その他特別の事情がある場合においては、住宅地区改良事業を施行することができる。
3 特別区の存する区域においては、住宅地区改良事業は、都が施行する。
(改良地区)
第四条 建設大臣は、不良住宅が密集して、保安、衛生等に関し危険又は有害な状況にある一団地で政令で定める基準に該当するものを改良地区として指定することができる。
2 前項の規定による指定は、住宅地区改良事業を施行しようとする者の申出に基づいてしなければならない。この場合において、市町村がその申出をしようとするときは、都道府県知事を経由してしなければならない。
3 第一項の規定による指定は、都市計画法(大正八年法律第三十六号)第二条の規定により決定された都市計画区域内の土地については、都市計画審議会の議を経てしなければならない。
4 第一項の規定による指定は、建設省令で定めるところにより、官報に告示することによつて行なう。
5 第一項の規定により指定があつたときは、第二項の申出をした者は、建設省令で定めるところにより、その旨を改良地区内の適当な場所に掲示しなければならない。
第二章 住宅地区改良事業
第一節 事業計画
(事業計画の認可)
第五条 施行者は、事業計画を定め、建設省令で定めるところにより、建設大臣の認可を受けなければならない。この場合において、市町村がその申請をしようとするときは、都道府県知事を経由してしなければならない。
2 前項の規定は、施行者が事業計画を変更しようとする場合(政令で定める軽微な変更をしようとする場合を除く。)に準用する。
(事業計画)
第六条 事業計画においては、改良地区内の土地の利用に関する基本計画及び住宅地区改良事業の実施計画を定めなければならない。
2 改良地区内の土地の利用に関する基本計画においては、次の各号に掲げる事項を定めなければならない。
一 住宅並びに公共施設、地区施設及びその他の施設の用に供すべき土地の規模及び配置
二 公共施設、地区施設及びその他の施設の種類
三 その他建設省令で定める事項
3 住宅地区改良事業の実施計画においては、次の各号に掲げる事項を定めなければならない。
一 住宅地区改良事業を施行する土地の区域
二 改良住宅の建設戸数
三 工事の設計
四 資金計画
五 その他建設省令で定める事項
4 事業計画は、環境の整備改善を図り、災害を防止し、衛生を向上し、その他改良地区を健全な住宅地区に形成するように定めなければならない。
5 事業計画は、公共施設その他の施設に関する都市計画が決定されている場合においては、その都市計画に適合して定めなければならない。
6 公共施設その他の施設に関する都市計画が決定されているため改良地区内に住宅を建設することができないことその他特別の事情により第四項の規定を適用し難い場合においては、改良地区内の土地の利用に関する基本計画は、定めることを要しない。
7 改良地区内の土地の利用に関する基本計画において住宅の用に供すベきものと定められた土地に建設される住宅は、改良住宅、公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)の規定による公営住宅、日本住宅公団法(昭和三十年法律第五十三号)の規定による住宅又は一団地の住宅経営に関する都市計画事業により建設される住宅とする。
8 この法律に規定するもののほか、事業計画の設定の技術的基準その他事業計画に関し必要な事項は、建設省令で定める。
(事業計画に関する協議)
第七条 施行者は、事業計画を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、事業計画又はその変更に関係のある次の各号に掲げる者に協議しなければならない。
一 公共施設の管理者又は管理者となるべき者
二 地区施設の設置について許可、認可その他の処分をする権限を有する行政機関
三 改良地区内において住宅経営をしようとする地方公共団体、日本住宅公団及び一団地の住宅経営に関する都市計画事業を行なう者
(事業計画又はその変更の認可の告示)
第八条 建設大臣は、事業計画又はその変更の認可をしたときは、建設省令で定めるところにより、その旨を官報に告示しなければならない。
2 前項の告示があつたときは、施行者は、建設省令で定めるところにより、その旨を改良地区内の適当な場所に掲示しなければならない。
第二節 改良地区の整備、改良住宅の建設等
(建築行為等の制限)
第九条 前条第一項の告示があつた日後、改良地区内において、住宅地区改良事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築を行ない、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行なおうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 都道府県知事は、前項に規定する許可の申請があつた場合において、その許可を与えようとするときは、あらかじめ、施行者の意見をきかなければならない。
3 都道府県知事は、第一項に規定する許可をする場合において、住宅地区改良事業の施行のため必要があると認めるときは、許可に期限その他必要な条件を附することができる。この場合において、これらの条件は、当該許可を受けた者に不当な義務を課するものであつてはならない。
4 都道府県知事は、第一項の規定に違反し、又は前項の規定により附した条件に違反した者がある場合においては、これらの者又はこれらの者から当該土地、建築物その他の工作物又は物件についての権利を承継した者に対して、相当の期限を定めて、住宅地区改良事業の施行に対する障害を排除するため必要な限度において、当該土地の原状回復又は当該建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命ずることができる。
5 都道府県知事は、前項の規定により土地の原状回復又は建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命じようとするときは、あらかじめ、その原状回復又は移転若しくは除却を命ずべき者について聴聞を行なわなければならない。ただし、それらの者が正当な理由がなくて聴聞に応じないときは、この限りでない。
6 第四項の規定により土地の原状回復又は建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命じようとする場合において、過失がなくてその原状回復又は移転若しくは除却を命ずべき者を確知することができないときは、都道府県知事は、それらの者の負担において、その措置を自ら行ない、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行なわせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、これを原状回復し、又は移転し、若しくは除却すべき旨及びその期限までに原状回復し、又は移転し、若しくは除却しないときは、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が、原状回復し、又は移転し、若しくは除却する旨を、政令で定めるところにより、公告しなければならない。
7 前項の規定により土地を原状回復し、又は建築物その他の工作物若しくは物件を移転し、若しくは除却しようとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつた場合においては、これを提示しなければならない。
(不良住宅の除却)
第十条 施行者は、改良地区内の不良住宅を除却しなければならない。
(不良住宅の収用等)
第十一条 施行者は、改良地区内の不良住宅を除却するため必要がある場合においては、当該不良住宅又はこれに関する所有権以外の権利を収用することができる。
2 施行者は、改良地区内の不良住宅を除却するため必要がある場合においては、改良地区内の不良住宅の占有者で当該不良住宅に関し施行者に対抗することができる権利を有しないものに対して、相当の期限を定めて、これを明け渡すベきことを命ずることができる。
(土地の整備)
第十二条 施行者は、改良地区内の土地の利用に関する基本計画に従つて、改良地区内の土地について区画形質の変更、整地その他健全な住宅地区を形成するため必要な整備を行なわなければならない。
(土地の整備のための土地の収用等)
第十三条 施行者は、前条の規定による土地の整備のため必要がある場合においては、改良地区内の土地又はその土地にある土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第五条第一項各号に掲げる権利を収用することができる。
2 施行者は、前条の規定による土地の整備のため必要がある場合においては、改良地区内の不良住宅以外の建築物、工作物その他の物件の所有者で当該物件の存する土地に関し施行者に対抗することができる権利を有しないものに対して、相当の期限を定めて、当該物件の移転を命じ、当該物件の占有者で当該物件に関し所有者に対抗することができる権利を有しないものに対して、相当の期限を定めて、当該物件を所有者に引き渡すべきことを命ずることができる。
(一時収容施設の設置)
第十四条 施行者は、第十八条の規定により改良住宅に入居させるべき者を一時収容するため必要がある場合においては、これに必要な施設を設置しなければならない。
(一時収容施設等の設置のための土地等の使用)
第十五条 施行者は、前条の施設その他改良地区内における住宅地区改良事業の施行のため欠くことのできない材料置場等の施設を設置するため必要な土地又はこれに関する所有権以外の権利を使用することができる。
(土地収用法の適用)
第十六条 第十一条第一項若しくは第十三条第一項の規定による収用又は前条の規定による使用に関しては、この法律に特別の規定がある場合のほか、土地収用法の規定を適用する。
(改良住宅の建設)
第十七条 施行者は、改良地区の指定の日において、改良地区内に居住する者で、住宅地区改良事業の施行に伴いその居住する住宅を失うことにより、住宅に困窮すると認められるものの世帯の数に相当する戸数の住宅を建設しなければならない。
2 施行者は、前項の規定により建設しなければならない住宅の戸数が、次条の規定により改良住宅に入居させるべき者の世帯の数に比較して過不足を生ずることが明らかとなつた場合においては、これを増減することができる。
3 第一項の規定により建設する住宅は、第六条第六項に規定する場合その他特別の事情がある場合を除き、改良地区内に建設しなければならない。
4 第一項の規定により建設する住宅は、原則として、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)に規定する耐火建築物又は簡易耐火建築物としなければならない。
(改良住宅に入居させるべき者)
第十八条 施行者は、次の各号に掲げる者で、改良住宅への入居を希望し、かつ、住宅に困窮すると認められるものを改良住宅に入居させなければならない。
一 次に掲げる者で住宅地区改良事業の施行に伴い住宅を失つたもの
イ 改良地区の指定の日から引き続き改良地区内に居住していた者。ただし、改良地区の指定の日後に別世帯を構成するに至つた者を除く。
ロ イただし書に該当する者及び改良地区の指定の日後に改良地区内に居住するに至つた者。ただし、政令で定めるところにより、施行者が承認した者に限る。
ハ 改良地区の指定の日後にイ又はロに該当する者と同一の世帯に属するに至つた者
二 前号イ、ロ又はハに該当する者で改良地区の指定の日後に改良地区内において災害により住宅を失つたもの
三 前二号に掲げる者と同一の世帯に属する者
(整備完了後の土地の引渡し)
第十九条 施行者は、第十二条の規定による改良地区内の土地の整備を完了したときは、遅滞なく、事業計画で定めるところに従つて、第七条第一号若しくは第三号に掲げる者又は地区施設その他の施設を設置すべき者にその土地を引き渡さなければならない。
第三節 測量及び調査
(測量及び調査のための土地の立入り等)
第二十条 都道府県知事又は市町村長は、住宅地区改良事業の施行の準備又は施行のため他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行なう必要がある場合においては、その必要の限度において、他人の占有する土地に、自ら立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができる。
2 前項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、立ち入ろうとする日の三日前までにその旨を土地の占有者に通知しなければならない。
3 第一項の規定により、建築物が所在し、又はかき、さく等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合においては、その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨をその土地の占有者に告げなければならない。
4 日出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があつた場合を除き、前項に規定する土地に立ち入つてはならない。
5 土地の占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
(障害物の伐除及び土地の試掘等)
第二十一条 前条第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行なう者は、その測量又は調査を行なうにあたり、やむを得ない必要があつて、障害となる植物若しくはかき、さく等(以下「障害物」という。)を伐除しようとする場合又は当該土地に試掘若しくはボーリング若しくはこれらに伴う障害物の伐除(以下「試掘等」という。)を行なおうとする場合において、当該障害物又は当該土地の所有者及び占有者の同意を得ることができないときは、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて当該障害物を伐除し、又は当該土地の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けて当該土地に試掘等を行なうことができる。この場合において、市町村長が許可を与えようとするときは障害物の所有者及び占有者に、都道府県知事が許可を与えようとするときは土地又は障害物の所有者及び占有者に、あらかじめ、意見を述べる機会を与えなければならない。
2 前項の規定により障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行なおうとする者は、伐除しようとする日又は試掘等を行なおうとする日の三日前までに、当該障害物又は当該土地若しくは障害物の所有者及び占有者に通知しなければならない。
3 第一項の規定により障害物を伐除しようとする場合(土地の試掘又はボーリングに伴う障害物の伐除をしようとする場合を除く。)において、当該障害物の所有者及び占有者がその場所にいないためその同意を得ることが困難であり、かつ、その現状を著しく損傷しないときは、都道府県知事若しくは市町村長又はその命じた者若しくは委任した者は、前二項の規定にかかわらず、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて、ただちに、当該障害物を伐除することができる。この場合においては、当該障害物を伐除した後、遅滞なく、その旨をその所有者及び占有者に通知しなければならない。
(証明書等の携帯)
第二十二条 第二十条第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯しなければならない。
2 前条の規定により障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行なおうとする者は、その身分を示す証明書及び市町村長又は都道府県知事の許可証を携帯しなければならない。
3 前二項に規定する証明書又は許可証は、関係人の請求があつた場合においては、これを提示しなければならない。
(土地の立入り等に伴う損失の補償)
第二十三条 都道府県又は市町村は、第二十条第一項又は第二十一条第一項若しくは第三項の規定による行為により他人に損失を与えた場合においては、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
2 前項の規定による損失の補償については、損失を与えた者と損失を受けた者が協議しなければならない。
3 前項の規定による協議が成立しない場合においては、損失を与えた者又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。
(測量のための標識の設置)
第二十四条 都道府県又は市町村は、住宅地区改良事業の施行の準備又は施行に必要な測量を行なうため必要がある場合においては、建設省令で定める標識を設けることができる。
2 何人も、前項の規定により設けられた標識を設置者の承諾を得ないで移転し、若しくは除却し、又は汚損し、若しくは損壊してはならない。
第四節 費用の負担及び補助
(費用の負担)
第二十五条 住宅地区改良事業に要する費用は、この法律に特別の規定がある場合のほか、施行者の負担とする。
(受益者負担金)
第二十六条 施行者は、不良住宅の除却により著しく利益を受ける者がある場合においては、条例で定めるところにより、それらの者にその利益を受ける限度において、除却に要した費用の全部又は一部を負担させることができる。
(国の補助)
第二十七条 国は、施行者に対して、不良住宅の除却(除却のための取得を含む。)に要する費用について、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、その二分の一以内を補助することができる。
2 国は、施行者に対して、改良住宅の建設(建設のため必要な土地の取得及びその土地を宅地に造成することを含む。)に要する費用について、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、その三分の二以内を補助することができる。
3 前二項の規定による国の補助金額の算定については、第一項に規定する不良住宅の除却又は前項に規定する改良住宅の建設に要する費用が建設大臣の定める標準除却費又は標準建設費をこえる場合においては、それぞれ標準除却費又は標準建設費をその費用とみなす。
(都道府県の補助)
第二十八条 都道府県は、住宅地区改良事業を施行する市町村に対して、補助金を交付することができる。
(国の補助に係る改良住宅の管理及び処分)
第二十九条 第二十七条第二項の規定により国の補助を受けて建設された改良住宅の管理及び処分については、改良住宅を公営住宅法に規定する第二種公営住宅とみなして、同法第十一条の二から第二十五条までの規定を準用する。ただし、同法第十六条から第十八条までの規定は、第十八条の規定により改良住宅に入居させるべき者が入居せず、又は居住しなくなつた場合に限る。
2 前項の規定による公営住宅法の規定の準用について必要な技術的読替えは、政令で定める。
第五節 補則
(関係図書の備付け)
第三十条 施行者は、建設省令で定めるところにより、事業計画に関する図書をその事務所に備え付けておかなければならない。
2 利害関係人から前項の図書の閲覧の請求があつた場合においては、施行者は、正当な理由がないのに、これを拒んではならない。
(書類の送付にかわる公告)
第三十一条 施行者は、住宅地区改良事業の施行に関し書類を送付する場合において、送付を受けるべき者がその書類の受領を拒んだとき、又は過失がなくてその者の住所、居所その他書類を送付すべき場所を確知することができないときは、政令で定めるところにより、その書類の内容を公告することをもつて書類の送付にかえることができる。
2 前項の公告があつた場合においては、その公告があつた日から起算して十日を経過した日に、当該書類が送付を受けるべき者に到達したものとみなす。
(技術的援助の請求)
第三十二条 市町村は建設大臣又は都道府県知事に対して、都道府県は建設大臣に対して、住宅地区改良事業の施行の準備又は施行のため、それぞれ住宅地区改良事業に関し専門的知識を有する職員の技術的援助を求めることができる。
第三章 雑則
(監督)
第三十三条 建設大臣は、都道府県知事若しくは市町村長又は施行者に対して、これらの者が行なう処分又は工事が、この法律、この法律に基づく命令又はこれらに基づく建設大臣の処分に違反していると認められる場合においては、住宅地区改良事業の適正な施行を確保するため必要な限度において、その処分の取消し、変更若しくは停止又はその工事の中止若しくは変更その他必要な措置を命ずることができる。
(報告、勧告等)
第三十四条 建設大臣は都道府県又は市町村に対して、都道府県知事は市町村に対して、住宅地区改良事業の施行又は改良住宅の管理及び処分に関し、この法律の施行のため必要な限度において、報告若しくは資料の提出を求め、又は住宅地区改良事業の施行の促進を図り、若しくは改良住宅の管理及び処分を適正に行なわせるため必要な勧告、助言若しくは援助をすることができる。
(異議の申立て及び訴願)
第三十五条 第九条第四項、第十一条第二項又は第十三条第二項の規定による命令について不服のある者は、その命令があつた日から三十日以内にその命令をした都道府県知事又はその命令をした施行者である都道府県若しくは市町村の長に異議の申立てをすることができる。
2 前項の規定による異議の申立てがあつたときは、都道府県知事又は施行者である都道府県若しくは市町村の長は、申立てを受理した日から三十日以内に文書をもつて決定しなければならない。
3 前項の規定による決定に不服のある者は、決定の通知を受けた日から二十日以内に建設大臣に訴願することができる。
4 訴願法(明治二十三年法律第百五号)第十二条の規定は、第一項の規定による異議の申立てについて準用する。
(協議)
第三十六条 建設大臣は、次の各号に掲げる事項に関する処分をしようとするときは、あらかじめ、厚生大臣と協議しなければならない。
一 第四条の規定による改良地区の指定
二 第五条の規定による事業計画又はその変更の認可
三 第二十九条第一項において準用する公営住宅法第十三条第一項の規定による承認
四 第二十九条第一項において準用する公営住宅法第二十条の規定による家賃、同法第十七条各号の条件以外の入居者の具備すべき条件又は入居者の選考方法の変更命令
五 第二十九条第一項において準用する公営住宅法第二十四条第一項の規定による譲渡の承認又は同条第三項の規定による用途廃止の承認
六 第二十九条第一項において準用する公営住宅法第二十四条の二第一項の規定による譲渡の承認
第四章 罰則
第三十七条 次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一 第九条第四項の規定による命令に違反して、土地の原状回復をせず、又は建築物その他の工作物若しくは物件を移転し、若しくは除却しなかつた者
二 第二十条第一項の規定による土地の立入りを拒み、又は妨げた者
三 第二十一条第一項に規定する場合において、市町村長の許可を受けないで障害物を伐除した者又は都道府県知事の許可を受けないで土地に試掘等を行なつた者
第三十八条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第十一条第二項の規定による命令に違反して、不良住宅を明け渡さなかつた者
二 第十三条第二項の規定による命令に違反して、建築物、工作物その他の物件を移転せず、又は所有者に引き渡さなかつた者
三 第二十四条第二項の規定に違反して、同条第一項の規定による標識を移転し、除却し、汚損し、又は損壊した者
第三十九条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(不良住宅地区改良法の廃止)
2 不良住宅地区改良法(昭和二年法律第十四号)は、廃止する。
(登録税法の一部改正)
3 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第二十一号ノ二の次に次の一号を加える。
二十一ノ三 都道府県又ハ市町村ガ住宅地区改良法ニ依ル住宅地区改良事業ノ施行ノ為ニスル土地又ハ建物ノ権利ノ取得又ハ所有権ノ保存ノ登記
(建設省設置法の一部改正)
4 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第二十一号中「不良住宅地区改良」を「住宅地区改良法(昭和三十五年法律第八十四号)の施行」に改める。
(国有財産特別措置法の一部改正)
5 国有財産特別措置法(昭和二十七年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。
第六条の二第一項中「公営住宅(公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)第二条第四号に規定する第二種公営住宅で耐火性能を有する構造の地上階数三以上のものに限る。以下同じ。)」を「公営住宅等(公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)第二条第四号に規定する第二種公営住宅又は住宅地区改良法(昭和三十五年法律第八十四号)第二条第六項に規定する改良住宅で耐火性能を有する構造の地上階数三以上のものをいう。以下同じ。)」に、「当該公営住宅」を「当該公営住宅等」に改め、「公営住宅法第七条第三項」の下に「又は住宅地区改良法第二十七条第三項」を加える。
第六条の二第二項中「公営住宅」を「公営住宅等」に改める。
(租税特別措置法の一部改正)
6 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
第三十一条第一項第一号中「、不良住宅地区改良法(昭和二年法律第十四号)」を削り、「道路法(昭和二十七年法律第百八十号)」の下に「、住宅地区改良法(昭和三十五年法律第八十四号)」を加える。
(内閣総理・大蔵・厚生・建設大臣署名)