漁業協同組合整備促進法
法律第六十一号(昭三五・四・二七)
目次
第一章 総則(第一条)
第二章 漁業協同組合の整備(第二条―第十五条)
第三章 漁業協同組合整備基金
第一節 通則(第十六条―第二十八条)
第二節 役員(第二十九条―第三十五条)
第三節 出資者総会(第三十六条―第三十九条)
第四節 業務(第四十条・第四十一条)
第五節 財務及び会計(第四十二条―第四十五条)
第六節 監督(第四十六条―第四十八条)
第七節 雑則(第四十九条―第五十二条)
第八節 罰則(第五十三条―第五十五条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、漁業協同組合の整備につき指導及び助成を行なうことを目的とする法人の設立その他漁業協同組合の整備を促進するための措置について定めて、漁業に関する協同組織の健全な発展に資することを目的とする。
第二章 漁業協同組合の整備
(整備計画の樹立)
第二条 事業の継続に著しい支障をきたすことなしにはその債務を弁済することができない漁業協同組合であつて、この法律によつて整備を行なおうとするものは、政令で定める日までにおいて都道府県知事の指定する日(以下「指定日」という。)現在により貸借対照表を作成し、これに基づいて整備計画をたてなければならない。
2 漁業協同組合は、前項の規定により貸借対照表を作成するにあたつては、農林省令で定めるところにより、資産の適正な評価を行ない、その評価によつて損失を生ずる場合には、その損失金額を欠損金に算入しなければならない。
3 漁業協同組合は、第一項の規定により整備計画をたてるにあたつては、農林省令で定めるところにより、信用漁業協同組合連合会(水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第八十七条第一項第一号及び第二号の事業をあわせ行なう漁業協同組合連合会をいう。以下同じ。)又は農林中央金庫と協議しなければならない。
4 漁業協同組合が第一項の規定により整備計画をたてるには、その組合員(水産業協同組合法第十八条第三項の規定による組合員を除く。)の半数以上が出席する総会において、その議決権の三分の二以上の多数による議決を経なければならない。
(整備の目標)
第三条 前条第一項の漁業協同組合は、指定日から起算して五年を経過した日の属する事業年度の終了の日までに次に掲げる条件をみたすように整備を行なわなければならない。
一 固定した債務の全部の整理(その事業分量その他の経営条件からみて固定した債務の額が過大であるため当該期限までにその全部の整理ができないと認められる漁業協同組合にあつては、その債務のうち、その額の二分の一をこえない範囲内において都道府県知事がその経営に支障がないと認めて指定した債務以外のものの全部の整理)
二 欠損金の全部の補てん(その事業分量その他の経営条件からみて欠損金の額が過大であるため当該期限までにその全部の補てんができないと認められる漁業協同組合にあつては、その欠損金の額のうち、その払込済出資金の額の二分の一をこえない範囲内において都道府県知事がその経営に支障がないと認めて承認した額をその欠損金の額から控除した残額の全部の補てん)
(整備計画の内容)
第四条 整備計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 組合員又は当該漁業協同組合が会員となつている漁業協同組合連合会との間における利用及び協力を強化するための方策
二 事業の執行の体制を改善するための措置
三 固定した債権及び在庫品の資金化並びに不要固定資産の処分
四 固定した債務の条件の緩和その他信用漁業協同組合連合会又は農林中央金庫から受ける援助の内容
五 固定した債務の整理
六 欠損金の補てん
七 出資金の増加
(整備計画の適否の認定)
第五条 第二条第一項の規定により整備計画をたてた漁業協同組合は、農林省令で定める手続により、これを都道府県知事に提出するものとする。
2 都道府県知事は、前項の規定による整備計画の提出があつたときは、政令で定めるところにより、漁業協同組合の整備に関し学識経験を有する者の意見を聞いて、その整備計画が適当であるかどうかを認定しなければならない。
3 前項の規定による認定は、農林省令で定める基準に従つて行なわなければならない。
(合併の場合の特例)
第六条 前条第二項(第三項及び次条において準用する場合を含む。)の規定によりその整備計画が適当である旨及びこれを変更した場合にあつてはその変更につき適当である旨の認定を受けている漁業協同組合(以下「整備組合」という。)が合併によつて解散した場合には、当該認定は、その効力を失う。この場合において、当該合併によつて成立した漁業協同組合又は当該合併後存続する漁業協同組合(整備組合を除く。)が整備を行なおうとするときは、当該合併についての登記の日現在により貸借対照表を作成し、これに基づいて整備計画をたてなければならない。
2 前項後段に規定する漁業協同組合は、整備を行なう場合には、当該合併によつて解散した整備組合についての指定日(当該合併によつて二以上の整備組合が解散した場合において、その指定日が異なるときは、当該合併についての登記の日に最も近い指定日とする。)から起算して五年を経過した日の属する事業年度の終了の日までに第三条に規定する条件をみたすようにしなければならない。
3 第一項後段の場合には、第二条第二項から第四項まで、第四条並びに前条の規定を準用する。
(整備計画の変更)
第七条 整備組合が第五条第二項(前条第三項において準用する場合を含む。)の規定により適当である旨の認定を受けた整備計画を変更する場合には、第二条第三項及び第四項並びに第五条の規定を準用する。
(都道府県知事の援助)
第八条 漁業協同組合は、都道府県知事に対し、整備計画の樹立及び変更並びにその実施に関する助言を求めることができる。
2 都道府県知事は、漁業協同組合が整備計画をたて、若しくは変更し、又はこれを実施するため、債権者とその債務の条件の緩和その他の緩助を受ける契約をする必要がある場合には、当該漁業協同組合の申出により、そのあっせんをすることができる。
(都道府県の助成)
第九条 都道府県は、信用漁業協同組合連合会又は農林中央金庫が第五条第二項(第六条第三項において準用する場合を含む。)の規定により適当である旨の認定を受けた整備計画(これを変更した場合にあつては、その変更につき第七条において準用する第五条第二項の規定により適当である旨の認定を受けたものに限る。)に従い誠実に整備を行なつていると認められる整備組合に対する債権の利息を当該整備計画に従つて減免した場合に、当該信用漁業協同組合連合会又は農林中央金庫に対して、その減免した利息の額の一部に相当する金額を補助し、及び第十四条第一項の勧告に係る漁業協同組合が合併した場合に、当該合併によつて成立した漁業協同組合又は当該合併後存続する漁業協同組合に対して、合併奨励金を交付することができる。
(信用漁業協同組合連合会の貸付事業の特例)
第十条 信用漁業協同組合連合会は、その会員たる整備組合の整備を促進するため必要があるときは、水産業協同組合法第八十七条第一項及び第四項の規定にかかわらず、当該整備組合の承諾を得て、当該整備組合の組合員に対し、その事業に必要な資金の貸付けを行なうことができる。
(法人税法の特例)
第十一条 昭和四十二年三月三十一日までに第五条第二項の規定によりその整備計画が適当である旨の認定を受けた整備組合の昭和二十九年四月一日から昭和三十五年三月三十一日までの間に開始する各事業年度において生じた欠損金(その整備組合が合併によつて成立した漁業協同組合又は合併後存続する漁業協同組合である場合にあつては、当該合併によつて解散した漁業協同組合(第十三条第一項に規定する解散整備組合を除く。)から引き継いだ当該欠損金を含む。)は、当該整備組合に係る指定日の属する事業年度からその整備計画において第三条第二号に掲げる条件が達成されることとなつている事業年度までの各事業年度において、法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)第九条第一項の所得の計算上、損金に算入する。ただし、当該欠損金についての明細書を提出しているとともに、昭和三十五年四月一日から昭和三十六年三月三十一日までの間に開始する事業年度(昭和三十四年四月一日から昭和三十五年三月三十一日までの間に開始する事業年度の所得につき青色申告書(法人税法第二十五条第一項の申告書をいう。以下同じ。)を提出しなかつた漁業協同組合及び昭和三十五年四月一日以後において合併により成立した漁業協同組合については、昭和三十六年四月一日から昭和三十七年三月三十一日までの間に開始する事業年度)に係る青色申告書を提出し、かつ、その後においても連続して青色申告書を提出している場合に限る。
2 前項ただし書に規定する欠損金についての明細書は、最初に提出しようとする青色申告書に係る事業年度が昭和三十五年四月一日から昭和三十七年三月三十一日までの間に開始する事業年度である漁業協同組合にあつては当該漁業協同組合が法人税法第二十五条第三項の規定により提出する申請書(次条の規定により同法第二十五条第三項の期限後に提出されるものを含む。)に添えて、昭和三十四年四月一日から昭和三十五年三月三十一日までの間に開始する事業年度に係る青色申告書を提出している漁業協同組合にあつては当該漁業協同組合の昭和三十五年四月一日から昭和三十六年三月三十一日までの間に開始する事業年度に係る青色申告書に添えて、当該漁業協同組合の法人税に係る納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない。
3 第一項の規定により各事業年度において法人税法第九条第一項の所得の計算上損金に算入すべき欠損金の金額は、同法第二十六条の四第四項の規定による還付を受けた金額(同法第二十六条の二第三項の規定により納付した若しくは納付すべき又は同法第三十三条第二項の規定により徴収された若しくは徴収されるべき税額がある場合には、当該金額から、当該税額(同法第二十六条の四第六項の規定により加算された金額に係る部分の税額を除く。)に相当する金額を控除した金額)の計算の基礎とならなかつた金額で、かつ、その欠損金の生じた事業年度以後の事業年度において同法第九条第一項の所得の計算上同項の総益金から控除されなかつたものに限る。
4 前三項の規定により法人税法第九条第一項の所得の計算上損金に算入すべき欠損金が同条第五項又は第六項の規定により損金に算入すべきものである場合には、当該欠損金については、同条第五項又は第六項の規定は、適用しない。
第十二条 漁業協同組合が最初に提出しようとする青色申告書に係る事業年度が昭和三十五年四月一日以後最初に開始する事業年度である場合には、当該漁業協同組合が法人税法第二十五条第三項の規定により提出する申請書は、同項の期限後においても、当該事業年度の終了の日の二月前までは、提出することができる。
第十三条 整備組合が指定日を含む事業年度の翌事業年度の開始の日以後昭和四十二年三月三十一日までに合併によつて解散し、当該合併によつて成立した漁業協同組合又は当該合併後存続する漁業協同組合が第五条第二項(第六条第三項又は第七条において準用する場合を含む。)の規定によりその整備計画(その変更を含む。)につき適当である旨の認定を受けているときは、当該合併によつて解散した整備組合で第十一条第一項ただし書(次項において準用する場合を含む。)の欠損金の明細書を同条第二項(次項において準用する場合を含む。)の規定により提出し、かつ、同条第一項ただし書(次項において準用する場合を含む。)に規定する事業年度に係る青色申告書を提出しているとともに、その後においても解散の日を含む事業年度の直前の事業年度までの各事業年度(その解散した整備組合が解散の日を含む事業年度の直前の事業年度に係る青色申告書を提出しないで解散した場合には、当該解散の日を含む事業年度の直前の事業年度を除く。)において青色申告書を提出しているもの(以下この項において「解散整備組合」という。)の同条第一項の欠損金で、当該合併によつて成立した漁業協同組合又は当該合併後存続する漁業協同組合にその欠損金として引き継がれたものは、当該合併後に開始する最初の事業年度又は当該合併の日の属する事業年度及びその事業年度終了の日後に開始し、当該漁業協同組合の整備計画において第三条第二号に掲げる条件が達成されることとなつている事業年度の終了の日までに終了する各事業年度において、法人税法第九条第一項の所得の計算上、損金に算入する。ただし、当該合併によつて成立した漁業協同組合又は当該合併後存続する漁業協同組合が当該解散整備組合についての解散の日を含む事業年度(当該解散整備組合が解散の日を含む事業年度の直前の事業年度に係る青色申告書を堤出しないで解散した場合には、当該解散の日を含む事業年度及びその直前の事業年度)に係る青色申告書を提出した場合に限る。
2 前項本文の場合には、第十一条第一項ただし書及び第二項から第四項までの規定を準用する。
(合併の奨励措置)
第十四条 都道府県知事は、組合員の数の過少その他特別の理由によりその事業を継続することが著しく困難であると認められる漁業協同組合がある場合において、漁業に関する協同組織の健全な発展を図るため必要があるときは、当該漁業協同組合及びこれと合併することを相当と認める漁業協同組合に対し、合併についての協議をすべき旨の勧告をすることができる。
2 前項の勧告は、第二条第一項の政令で定める日までにするものとする。
(合併の場合の承継漁業権の行使に関する特例)
第十五条 前条第一項の勧告に係る漁業協同組合が合併する場合において、当該合併によつて成立する漁業協同組合又は当該合併後存続する漁業協同組合が、当該合併によつて解散する漁業協同組合から水産業協同組合法第七十二条の規定により共同漁業権又は区画漁業権(ひび建養殖業、かき養殖業、内水面における魚類養殖業又は第三種区画漁業たる貝類養殖業を内容とするものに限る。)を承継するときは、合併によつて成立する漁業協同組合にあつてはその最初の定款において、合併後存続する漁業協同組合にあつてはその合併後遅滞なく定款を変更して、いずれも、当該承継に係る漁業権についての組合員の権利につき規定を設けなければならない。この場合には、当該規定に係る定款の部分につき、その定款の設定又は変更前に、当該合併により解散する漁業協同組合の当該解散の時の組合員で当該合併によつて成立する漁業協同組合の組合員となるもの又は当該合併後存続する漁業協同組合の組合員となつたものの三分の二以上の同意を得なければならない。
2 前項の規定による定款の設定又は変更後当該漁業権の存続期間中において当該漁業権に係る組合員の権利についての定款の規定を変更する場合も、同項後段と同様とする。
第三章 漁業協同組合整備基金
第一節 通則
(漁業協同組合整備基金の目的)
第十六条 漁業協同組合整備基金は、漁業協同組合の整備につき指導及び助成を行なうことを目的とする。
(法人格)
第十七条 漁業協同組合整備基金(以下「基金」という。)は、法人とする。
(事務所)
第十八条 基金は、主たる事務所を東京都に置く。
2 基金は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(定款)
第十九条 基金は、定款をもつて次の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 資本金、出資及び資産に関する事項
五 役員に関する事項
六 出資者総会に関する事項
七 業務及びその執行に関する事項
八 財務及び会計に関する事項
九 公告の方法
2 定款の変更は、農林大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(資本金)
第二十条 基金の資本金は、次条第一項に規定する者が出資する金額の合計額とする。
(出資)
第二十一条 基金に出資することができる者は、次に掲げる者とする。
一 漁業協同組合連合会
二 漁業信用基金協会(中小漁業融資保証法(昭和二十七年法律第三百四十六号)第五条ただし書の規定により主務大臣が指定したものを除く。)
三 農林中央金庫
2 前項第二号に規定する漁業信用基金協会及び農林中央金庫は、それぞれ、中小漁業融資保証法第四条及び農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十六条の規定にかかわらず、基金に出資することができる。
(出資金)
第二十二条 基金の出資一口の金額は、十万円とする。
2 基金に出資する者は、出資の払込みについて、相殺をもつて基金に対抗することができない。
(持分の払いもどし等の禁止)
第二十三条 基金は、出資者に対し、その持分を払いもどすことができない。
2 基金は、出資者の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
(出資者たる地位の喪失)
第二十四条 出資者は、その持分の全部の譲渡しによつてのみ出資者たる地位を失うことができる。
(持分の譲渡し)
第二十五条 出資者は、基金の承認を得なければ、その持分を譲り渡すことができない。
2 第二十一条第一項各号に掲げる者でなければ、出資者の持分の譲渡しを受けることができない。
3 出資者の持分の譲受人は、その持分について、譲渡人の権利義務を承継する。
(登記)
第二十六条 基金は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
2 前項の規定により登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第二十七条 基金でない者は、漁業協同組合整備基金という名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第二十八条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、基金に準用する。
第二節 役員
(役員)
第二十九条 基金に、役員として、理事長一人、理事五人以内及び監事二人以内を置く。
(役員の職務及び権限)
第三十条 理事長は、基金を代表し、その業務を総理する。
2 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して基金の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠けたときはその職務を行なう。
3 監事は、基金の業務を監査する。
(役員の選任)
第三十一条 役員は、定款で定めるところにより、出資者総会で選任する。
2 役員の選任は、農林大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(役員の任期等)
第三十二条 理事長及び理事の任期は三年とし、監事の任期は二年とする。
2 役員は、再任されることができる。
3 理事長、理事又は監事が欠けたときは、遅滞なく補欠の役員を選任しなければならない。補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 理事長及び理事又は監事の全員が欠けた場合において、それぞれ後任の理事長若しくは理事又は監事の少なくとも一人が就任するまでは、辞任又は任期満了により退任した理事長若しくは理事又は監事は、なおその職務を行なう。
5 理事長及び理事の全員が欠けた場合において、必要があると認めるときは、農林大臣は、利害関係人の請求により、一時理事長の職務を行なうべき者を選任することができる。
(役員の兼職禁止)
第三十三条 監事は、理事長又は理事と兼ねてはならない。
(代表権の制限)
第三十四条 基金と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事が基金を代表する。
(代理人の選任)
第三十五条 理事長は、理事又は基金の職員のうちから、基金の従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
第三節 出資者総会
(出資者総会)
第三十六条 基金に出資者総会を置く。
2 出資者総会は、出資者の総員をもつて組織する。
(出資者総会の権限)
第三十七条 次に掲げる事項は、出資者総会の議決を経なければならない。
一 定款の変更
二 第四十一条第一項の業務方法書の設定及び変更
2 出資者総会は、出資者の総員の三分の二以上の多数による議決をもつて、役員を解任することができる。
3 第三十一条第二項の規定は、前項の規定による役員の解任につき準用する。
(議決権、議事等)
第三十八条 出資者総会においては、出資者は、おのおの一個の議決権を有する。
2 出資者総会の議事は、この法律又は定款に特別の定がある場合のほか、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
3 議長は、出資者総会において、そのつど選任する。
4 議長は、出資者として出資者総会の議決に加わる権利を有しない。
(招集)
第三十九条 出資者総会は、理事長が招集する。
2 出資者が出資者の総員の三分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事長に提出して出資者総会の招集を請求したときは、理事長は、その請求のあつた日から起算して二十日以内に、出資者総会を招集しなければならない。
3 理事長の職務を行なう者がないとき、又は前条の請求があつた場合において理事長が正当な理由がないのに出資者総会の招集の手続をしないときは、監事は、出資者総会を招集しなければならない。
第四節 業務
(業務)
第四十条 基金は、第十六条の目的を達成するため、次の業務を行なう。
一 信用漁業協同組合連合会又は農林中央金庫が、第五条第二項(第六条第三項において準用する場合を含む。)の規定により適当である旨の認定を受けた整備計画(これを変更した場合にあつては、その変更につき第七条において準用する第五条第二項の規定により適当である旨の認定を受けたものに限る。)に従い誠実に整備を行なつていると認められる整備組合に対する債権の利息を当該整備計画に従つて減免した場合に、当該信用漁業協同組合連合会又は農林中央金庫に対して、その減免した利息の額の全部又は一部に相当する金額を交付すること。
二 第十四条第一項の勧告に係る漁業協同組合が合併した場合に、当該合併によつて成立した漁業協同組合又は当該合併後存続する漁業協同組合に対して、合併奨励金を交付すること。
三 漁業協同組合に対して、その整備を促進するための指導を行なうこと。
四 前各号に掲げる業務に附帯する業務
(業務方法書)
第四十一条 基金は、業務関始の際、業務方法書を作成し、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書において定めるべき事項は、農林省令で定める。
第五節 財務及び会計
(事業年度)
第四十二条 基金の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。
(財務諸表等の作成及び送付)
第四十三条 基金は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸表」という。)を作成し、決算完結後一月以内に、これを出資者に送付しなければならない。
2 基金は、前項の規定により財務諸表を出資者に送付するときは、当該事業年度の決算報告書を添え、かつ、財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見をつけなければならない。
(利益及び損失の処理)
第四十四条 基金は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 基金は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(余裕金の運用)
第四十五条 基金は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 銀行、農林中央金庫又は農林大臣の指定するその他の金融機関への預金
二 国債、地方債又は金融機関の発行する債券の取得
三 信託業務を営む銀行又は信託会社への金銭信託
第六節 監督
(監督)
第四十六条 基金は、農林大臣が監督する。
2 農林大臣は、この章の規定を施行するため必要があると認めるときは、基金に対して、その業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第四十七条 農林大臣は、この章の規定を施行するため必要があると認めるときは、基金に対し、その業務に関し報告をさせ、又はその職員に、基金の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(役員の改選命令等)
第四十八条 農林大臣は、基金の役員がこの法律、この法律に基づく命令、定款又は業務方法書に違反したときは、基金に対し、期間を指定して、その役員の全部又は一部の改選を命ずることができる。
2 農林大臣は、基金が前項の規定による命令に違反したときは、その命令に係る役員を解任することができる。
3 前項の規定による解任の処分があつたときは、その時に、その処分に係る役員は、その職を失う。
第七節 雑則
(国の基金に対する貸付け)
第四十九条 国は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、基金に対し、基金の業務に要する経費の財源の一部をその運用によつて得るための資金を貸し付けるものとする。
2 前項の規定による貸付金については、利息をつけない。
(出資者に対する通知又は催告)
第五十条 基金が出資者に対してする通知又は催告は、出資者名簿に記載したその出資者の住所(出資者が別に通知又は催告を受ける場所を基金に通知したときは、その場所)にあててすれば足りる。
2 前項の通知又は催告は、通常到達すべきであつた時に、到達したものとみなす。
(書類の備付け及び閲覧)
第五十一条 基金は、定款、業務方法書、出資者名簿及び財務諸表を各事務所に備えておかなければならない。
2 出資者名簿には、各出資者について次の事項を記載しなければならない。
一 名称及び住所
二 出資の引受け及び払込みの年月日
三 出資口数及び出資各口の取得の年月日
3 出資者及び基金の債権者は、第一項の書類の閲覧を求めることができる。
(解散)
第五十二条 基金は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、これを各出資者に対し、その出資額に応じて分配しなければならない。
2 前項の規定により各出資者に分配することができる額は、その出資額を限度とする。
3 前二項に規定するもののほか、基金の解散については、別に法律で定める。
第八節 罰則
第五十三条 第四十七条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、その違反行為をした基金の役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
第五十四条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした基金の役員又は職員は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定により農林大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかつたとき。
二 第二十三条第一項の規定に違反して、出資者の持分を払いもどしたとき。
三 第二十三条第二項の規定に違反して、出資者の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けたとき。
四 第二十六条第一項の政令の規定に違反して、登記をすることを怠つたとき。
五 第四十条に規定する業務以外の業務を行なつたとき。
六 第四十三条第一項の規定に違反して、財務諸表を出資者に送付しないとき。
七 第四十五条の規定に違反して、業務上の余裕金を運用したとき。
八 第四十六条第二項の規定による農林大臣の命令に違反したとき。
九 第五十一条第一項の規定に違反して書類を備えて置かず、同条第二項の規定に違反して出資者名簿に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに同条第一項の書類の閲覧を拒んだとき。
第五十五条 第二十七条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して九十日をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(基金の設立)
第二条 農林大臣は、第二十一条第一項各号に掲げる者の役員のうちから設立委員を命じて、基金の設立に関する事務を処理させる。
第三条 設立委員は、定款を作成し、農林大臣の認可を受けなければならない。
2 設立委員は、前項の認可を受けたときは、農林省令で定める手続により、基金の理事長、理事又は監事となるべき者を選任し、農林大臣の認可を受けなければならない。
3 設立委員は、前項の認可を受けたときは、第二十一条第一項各号に掲げる者に対し、基金に対する出資を募集しなければならない。
4 設立委員は、前項の規定による募集が終つたときは、農林大臣に対して、設立の認可を申請しなければならない。
5 設立委員は、前項の認可を受けたときは、出資の募集に応じた第二十一条第一項各号に掲げる者に対し、出資金の払込みを求めなければならない。
6 設立委員は、出資金の払込み(出資金が分割して払い込まれるときは、第一回の払込み)があつた日において、その事務を第二項の規定により選任された理事長となるべき者に引き継がなければならない。
第四条 前条第二項の規定により選任された理事長となるべき者は、同条第六項の規定による引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
第五条 基金は、設立の登記をすることによつて成立する。
第六条 附則第三条第二項の規定により選任された理事長、理事又は監事となるべき者は、基金の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ理事長、理事又は監事に選任されたものとする。
2 前項の規定によりこの法律の規定により選任されたものとされた理事長、理事又は監事の任期は、第三十二条第一項の規定にかかわらず、一年とする。
(成立の当初の資本金)
第七条 基金の成立の当初における払込済の資本金の額は、一億円を下るものであつてはならない。
(経過規定)
第八条 この法律の施行の際現に漁業協同組合整備基金という名称を使用している者は、この法律の施行後六月以内にその名称を変更しなければならない。
2 第二十七条の規定は、前項に規定する期間内は、同項に規定する者には、適用しない。
第九条 基金の最初の事業年度は、第四十二条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、昭和三十六年三月三十一日に終るものとする。
(登録税法の一部改正)
第十条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「酪農振興基金」の下に「、漁業協同組合整備基金」を、「酪農振興基金法」の下に「、漁業協同組合整備促進法」を加える。
(印紙税法の一部改正)
第十一条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第五号ノ八の次に次の一号を加える。
五ノ九 漁業協同組合整備基金ノ発スル出資証券
(所得税法の一部改正)
第十二条 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第十二号中「酪農振興基金」の下に「、漁業協同組合整備基金」を加える。
(法人税法の一部改正)
第十三条 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項第四号中「酪農振興基金」の下に「、漁業協同組合整備基金」を加える。
(地方税法の一部改正)
第十四条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第四号中「酪農振興基金」の下に「、漁業協同組合整備基金」を加える。
(内閣総理・法務・大蔵・農林大臣署名)