石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律

法律第九十六号(昭三三・四・二六)

 石炭鉱業合理化臨時措置法(昭和三十年法律第百五十六号)の一部を次のように改正する。

 目次中「(第一条・第二条)」を「(第一条―第二条の二)」に、

第五章 販売価格及び生産数量の制限(第五十八条―第六十八条)

第六章 石炭鉱業審議会(第六十九条―第七十六条)

第五章 販売価格及び生産数量の制限(第五十八条―第六十八条)

第五章の二 未開発炭田の開発(第六十八条の二―第六十八条の十五)

第六章 石炭鉱業審議会(第六十九条―第七十六条)

第六章の二 石炭鉱区調整協議会(第七十六条の二―第七十六条の六)

に改める。

 第一条中「及び坑口の開設を制限する」を「坑口の開設を制限し、及び未開発炭田の急速かつ計画的な開発を促進する」に改める。

 第一章中第二条の次に次の一条を加える。

 (行為の効力の承継)

第二条の二 この法律の規定によつてした処分及び鉱業権者、租鉱権者又は関係人がこの法律の規定によつてした手続その他の行為は、これらの者の承継人に対して、その効力を有する。

2 この法律の規定によつてした処分及び採掘権者がこの法律の規定によつてした手続その他の行為は、租鉱権の設定又は租鉱区の増加があつたときは、租鉱権の範囲内において、租鉱権者に対しても、その効力を有する。

3 この法律の規定によつてした処分及び租鉱権者がこの法律の規定によつてした手続その他の行為は、租鉱権の消滅又は租鉱区の減少があつたときは、採掘権の範囲内において採掘権者に対しても、その効力を有する。ただし、採掘権の消滅による租鉱権の消滅の場合は、この限りでない。

 第三条第二項第一号中「昭和三十四年度」を「昭和四十二年度」に改め、「、生産費」を削り、同項第二号を次のように改める。

 二 未開発炭田の開発に関する事項

 第四条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 石炭鉱業合理化実施計画に定める事項は、次の通りとする。

 一 石炭の生産数量、生産能率、生産費その他石炭鉱業の合理化の目標

 二 工事の種類、費用の額その他石炭鉱業の合理化のため実施すべき工事に関する事項

 三 その他石炭鉱業の合理化に関する重要事項

 第三十六条第一項中「あてるため」の下に「、この法律の施行の日から五年間」を加える。

 第五十四条中「この法律の施行の日から三年間は、」を削り、同条に次のただし書を加える。

  ただし、鉱山保安法(昭和二十四年法律第七十号)第二十五条第一項(監督上の行政措置)の規定による鉱山保安監督部長の命令に基いて坑口の開設の工事をしようとするときは、この限りでない。

 第五十五条第一項中「石炭鉱業合理化基本計画に定める石炭鉱業の合理化の目標たる生産能率を著しく」を「通商産業省令で定める基準を」に改め、同条第二項中「前条の規定による処分」を「前項の通商産業省令の制定又は改廃」に改める。

 第五十七条中「この法律の施行の日から三年間は、」を削り、同条に次のただし書を加える。

  ただし、第六十八条の二第一項の規定による指定があつた地域内の採掘鉱区の採掘権者については、この限りでない。

 第五十七条に次の一項を加える。

2 第六十八条の二第一項の規定による指定の際現にその指定された地域内において事業に着手していない採掘権者についての鉱業法第六十二条第一項の適用に関しては、同項中「鉱業権の設定又は移転の登録があつた日」とあるのは、「石炭鉱業合理化臨時措置法第六十八条の二第一項の規定による指定があつた日」とし、第六十八条の二第一項の規定による指定の際現にその指定された地域内において事業を休止している採掘権者についての鉱業法第六十二条第三項の適用に関しては、同項中「引き続き」とあるのは、「石炭鉱業合理化臨時措置法第六十八条の二第一項の規定による指定の日から引き続き」とする。

 第六十八条の次に次の一章を加える。

   第五章の二 未開発炭田の開発

 (地域の指定)

第六十八条の二 通商産業大臣は、石炭の鉱床の状態、地質の状態その他の自然条件及び立地条件に関する調査の結果に基き、石炭鉱業審議会の意見をきいて、石炭資源の開発が十分に行われていない地域であつて、石炭鉱業の合理化のためにはその開発を急速かつ計画的に行う必要があると認められる地域を指定することができる。

2 前項の規定による指定は、告示により行う。

 (土地の立入)

第六十八条の三 通商産業大臣は、前条第一項に規定する調査のため必要があるときは、その職員に他人の土地に立ち入らせることができる。

2 前項の規定により他人の土地に立ち入る職員は、あらかじめ土地の占有者に通知しなければならない。ただし、宅地又はかき、さく等で囲まれた土地に立ち入る場合を除き、あらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。

3 日出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があつた場合を除き、宅地又はかき、さく等で囲まれた土地に立ち入つてはならない。

4 第一項の規定により他人の土地に立ち入る職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

5 国は、第一項の規定による立入によつて損失を生じたときは、損失を受けた者に対し、これを補償しなければならない。

第六十八条の四 土地の占有者は、正当な理由がなければ、前条第一項の規定による立入を拒み、又は妨げてはならない。

 (植物の伐採)

第六十八条の五 第六十八条の三第一項の規定により他人の土地に立ち入る職員は、調査のためやむを得ない必要があつて障害となる植物を伐採しようとする場合において、その障害となる植物が山林、原野その他これらに類する土地にあつて、その伐採についてあらかじめ所有者の承諾を得ることが困難であり、かつ、植物の現状を著しく損傷しないときは、その承諾を得ないで伐採することができる。この場合においては、遅滞なく、その旨を所有者に通知しなければならない。

2 第六十八条の三第五項の規定は、前項の場合に準用する。

 (開発計画)

第六十八条の六 通商産業大臣は、第六十八条の二第一項の規定による指定をしたときは、遅滞なく、石炭鉱業審議会の意見をきいて、その指定をした地域(以下「指定地域」という。)石炭資源の開発に関する計画を定めなければならない。

2 前項に規定する石炭資源の開発に関する計画(以下「開発計画」という。)に定める事項は、次の通りとする。

 一 石炭資源の開発を行うことにより達成すべき石炭の生産数量、生産能率及び生産費に関する目標

 二 工事の種類、費用の額その他石炭資源の開発のため実施すべき工事に関する事項

 三 その他石炭資源の開発に関する重要事項

3 第三条第四項の規定は、第一項の場合に準用する。

4 第五条の規定は、開発計画に準用する。

 (採掘権の譲渡等の勧告)

第六十八条の七 通商産業大臣は、指定地域内の採掘鉱区がさくそうする地域において採掘権の譲渡又は採掘鉱区相互の間の鉱区の増減を行うことによつてその地域の鉱床の急速かつ計画的な開発を行うことができると認めるときは、当該採掘鉱区の採掘権者に対し、採掘権の譲渡又は採掘鉱区相互の間の鉱区の増減の出願について協議すべきことを勧告することができる。

2 前項の規定による鉱区の増減の出願に係る協議に基く出願については、鉱業法第四十五条第三項の規定にかかわらず、同法第二十二条(鉱床説明書)及び第二十四条から第三十五条まで(不許可等)の規定は、適用しない。

3 第一項の規定による鉱区の増減の出願に係る協議に基く出願は、当事者が連名でしなければならない。

 (決定の申請)

第六十八条の八 前条第一項の規定による協議をすることができず、又は協議がととのわないときは、当事者は、通商産業大臣の決定を申請することができる。

2 前項の決定を申請するには、前条第一項の規定による協議の経過を記載した書類その他通商産業省令で定める書類を提出しなければならない。

 (意見書の提出)

第六十八条の九 通商産業大臣は、前条第一項の決定の申請があつたときは、その旨を公示するとともに、当該採掘権者及び当該採掘権に関し登録上利害関係を有する第三者に通知し、二十日を下らない期間を指定して意見書を提出する機会を与えなければならない。

2 通商産業大臣は、前項の期間を経過した後でなければ、決定してはならない。

 (処分の禁止)

第六十八条の十 採掘権者は、前条第一項の規定による通知を受けた後は、第六十八条の八第一項の規定による申請を拒否する旨の決定があるまで、第六十八条の十二第二項の規定による採掘権の移転若しくは変更の登録があるまで、又は第六十八条の十三第二項において準用する鉱業法第九十九条の規定により決定がその効力を失うまでは、当該採掘権を譲渡し、又は変更することができない。

 (決定)

第六十八条の十一 通商産業大臣は、次に掲げる事項を定めて、採掘権の譲渡又は採掘鉱区相互の間の鉱区の増減の決定をしなければならない。

 一 採掘鉱区の所在地

 二 採掘権の登録番号

 三 採掘権の譲渡の場合にあつては、その譲渡の時期、採掘鉱区相互の間の鉱区の増減の場合にあつては、採掘権の変更の時期及び内容

 四 対価並びにその支払の時期及び方法

2 通商産業大臣は、前項の決定をしようとするときは、石炭鉱区調整協議会の意見をきかなければならない。

3 第一項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。

4 通商産業大臣は、第一項の決定をしたときは、決定書の謄本を当事者に交付しなければならない。

 (決定の効果)

第六十八条の十二 前条第一項の決定があつたときは、当事者の間に、採掘権の譲渡又は採掘鉱区相互の間の鉱区の増減について協議がととのつたものとみなす。

2 前項の規定により協議がととつたものとみなされた場合において、対価を支払うべき者が対価の全部の支払又は供託をしたときは、通商産業局長は、その採掘権の移転又は変更の登録をし、かつ、その旨を当事者に通知しなければならない。

 (鉱業法の準用)

第六十八条の十三 鉱業法第九十七条(対価の不服の訴)及び第九十八条(対価の供託)の規定は、第六十八条の十一第一項の決定による対価に準用する。

2 鉱業法第九十九条(決定の失効)の規定は、第六十八条の十一第一項の決定に準用する。

 (事業計画)

第六十八条の十四 第六十八条の六第三項の規定において準用する第三条第四項の規定により開発計画が告示されたときは、当該指定地域内の採掘鉱区の採掘権者は、その告示の日から三月以内に、開発計画に準拠して当該採掘鉱区における石炭資源の開発に関する事業計画を定め、通商産業大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 前項の事業計画には、次の事項を定めなければならない。

 一 工事の種類、費用の額その他石炭資源の開発のため実施すべき工事に関する事項

 二 前号の工事が完了した場合における石炭の生産数量、生産能率及び生産費の見込

 三 その他通商産業省令で定める事項

第六十八条の十五 通商産業大臣は、開発計画の円滑な実施を図るため必要があると認めるときは、採掘権者に対し、前条第一項の事業計画を変更すべきことを指示することができる。

 第七十六条の次に次の一章を加える。

   第六章の二 石炭鉱区調整協議会

 (設置)

第七十六条の二 通商産業省に、石炭鉱区調整協議会を置く。

 (権限)

第七十六条の三 石炭鉱区調整協議会(以下「協議会」という。)は、この法律によりその権限に属させられた事項を調査審議するほか、通商産業大臣の諮問に応じ、指定地域における鉱区の調整に関する重要事項を調査審議する。

 (組織)

第七十六条の四 協議会は、委員五人以内で組織する。

第七十六条の五 委員は、石炭鉱業に関し学識経験のある者のうちから、通商産業大臣が任命する。

 (準用)

第七十六条の六 第七十二条第二項、第七十三条、第七十四条及び第七十六条の規定は、協議会に準用する。

 第八十六条第一号中「第六十六条」の下に「、第六十八条の十四第一項」を加え、同号の次に次の一号を加える。

 一の二 第六十八条の四の規定に違反して第六十八条の三第一項の規定による立入を拒み、又は妨げた者

 附則第二条中「施行の日から五年以内」を「昭和四十三年三月三十一日まで」に改める。


   附 則

1 この法律は、公布の日から起算して二月をこえない範囲内で政令で定める日から施行する。

2 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。

  第二十五条第一項の表中

石炭鉱業審議会

石炭鉱業の合理化に関する重要事項を調査審議すること。

 を

石炭鉱業審議会

石炭鉱業の合理化に関する重要事項を調査審議すること。

石炭鉱区調整協議会

石炭鉱区の調整に関する重要事項を調査審議すること。

 に改める。

(法務・大蔵・通商産業・労働・内閣総理大臣署名) 

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