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中小企業信用保険公庫法

法律第九十三号(昭三三・四・二六)

目次

 第一章 総則(第一条―第七条)

 第二章 役員及び職員(第八条―第十七条)

 第三章 業務(第十八条―第二十条)

 第四章 会計(第二十一条―第二十五条)

 第五章 監督(第二十六条―第二十八条)

 第六章 雑則(第二十九条―第三十一条)

 第七章 罰則(第三十二条―第三十四条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 中小企業信用保険公庫は、中小企業者の債務の保証等につき保険を行うとともに、信用保証協会に対してその業務に必要な資金を融通することにより、中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にすることを目的とする。

 (法人格)

第二条 中小企業信用保険公庫(以下「公庫」という。)は、法人とする。

 (事務所)

第三条 公庫は、主たる事務所を東京都に置く。

2 公庫は、主務大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。

 (資本金)

第四条 公庫の資本金は、政府の一般会計からの出資金二十億円、経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律(昭和三十三年法律第  号)第十条第二号の規定により同法第十一条第一項第二号に掲げる保険準備基金に充てるものとして政府から出資された六十五億円及び附則第八条第二項の規定により政府から出資があつたものとされた金額との合計額とする。

2 前項に規定する保険準備基金については、この法律に定めるもののほか、経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律の定めるところによる。

 (登記)

第五条 公庫は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。

2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

 (名称の使用制限)

第六条 公庫でない者は、中小企業信用保険公庫という名称又はこれに類似する名称を用いてはならない。

 (民法の準用)

第七条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、公庫に準用する。

   第二章 役員及び職員

 (役員)

第八条 公庫に、役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事二人以内を置く。

 (役員の職務及び権限)

第九条 理事長は、公庫を代表し、その業務を総理する。

2 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して公庫の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。

3 監事は、公庫の業務を監査する。

 (役員の任命)

第十条 理事長及び監事は、主務大臣が任命する。

2 理事は、理事長が主務大臣の認可を受けて任命する。

 (役員の任期)

第十一条 役員の任期は、四年とする。

2 役員は、再任されることができる。

 (役員の欠格条項)

第十二条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。

 一 国会議員、国家公務員(審議会、協議会等の委員その他これに準ずる地位にある者であつて、非常勤のものを除く。)、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長若しくは常勤の職員

 二 政党の役員

 三 中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)第二条第一項に規定する金融機関及び信用保証協会の役員及び職員

 (役員の兼職禁止)

第十三条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。

 (代表権の制限)

第十四条 公庫と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合は、監事が公庫を代表する。

 (代理人の選任)

第十五条 理事長は、理事又は公庫の職員のうちから、公庫の従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。

 (役員及び職員の地位)

第十六条 役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

 (退職手当の支給の基準)

第十七条 公庫は、役員及び職員に対する退職手当の支給の基準を設けようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

   第三章 業務

 (業務の範囲)

第十八条 公庫は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。

 一 中小企業信用保険法による保険を行うこと。

 二 信用保証協会に対し、その保証債務の額を増大するために必要な原資となるべき資金及びその履行を円滑にするために必要な資金の貸付を行うこと。

2 公庫は、事業年度ごとに、保険にあつては中小企業信用保険法に定める融資保険、普通保証保険及び包括保証保険の別による保険価額の総額について、貸付にあつては貸付金の総額について、それぞれ国会の議決を経た金額の範囲内でなければ、前項の規定による保険又は貸付を行うことができない。


 (業務の方法)

第十九条 公庫は、業務開始の際、業務の方法を定め、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 前項の業務の方法には、保険関係が成立する貸付又は保証の範囲、保険事故、保険金額の保険価額に対する割合、保険料及び保険金に関する事項その他保険に関する業務の方法並びに貸付金の使途、利率、償還期限、貸付金額の限度及び償還の方法に関する事項その他貸付に関する業務の方法を定めておかなければならない。


 (事業計画及び資金計画)

第二十条 公庫は、事業年度の半期ごとに、事業計画及び資金計画を作成し、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

   第四章 会計

 (予算及び決算)

第二十一条 公庫の予算及び決算に関しては、公庫の予算及び決算に関する法律(昭和二十六年法律第九十九号)の定めるところによる。

 (基金)

第二十二条 公庫は、第十八条第一項第一号の規定による保険の事業に関して、保険準備基金を設け、経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律第十条第二号の規定により出資された六十五億円並びに附則第八条第二項に規定する中小企業信用保険特別会計の保険基金及び積立金に相当する金額の合計額をもつてこれに充てるものとする。

2 公庫は、第十八条第一項第二号の規定による資金の貸付の事業に関して、融資基金を設け、第四条第一項に規定する政府の一般会計からの出資金二十億円及び附則第八条第二項に規定する中小企業信用保険特別会計の融資基金に相当する金額をもつてこれに充てるものとする。

3 前二項に規定する基金の経理に関しては、他の法律に定めるもののほか、政令の定めるところによる。

 (利益及び損失の処理)

第二十三条 公庫は、毎事業年度の損益計算上利益を生じたときは、これを積立金として積み立てなければならない。ただし、次項の規定による資本金の減額がなされているときは、第四条第一項に定める資本金の額に達するまで資本金に組み入れ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として積み立てなければならない。

2 公庫は、毎事業年度の損益計算上損失を生じたときは、前項の積立金を取りくずして整理し、なお不足があるときは、その不足の額は、資本金を減額して整理しなければならない。

3 第一項の積立金は、前項の規定により損失をうめる場合を除いては、取りくずしてはならない。

4 第一項の規定による資本金への組入又は第二項の規定による資本金の減額がなされたときは、公庫の資本金は、第四条第一項の規定にかかわらず、その組入又は減額後の額に相当する額となるものとする。

 (余裕金の運用等)

第二十四条 公庫は、資金運用部に預託する場合を除いては、業務上の余裕金を運用してはならない。

2 公庫は、業務に係る現金を国庫以外に預託してはならない。


 (会計帳簿)

第二十五条 公庫は、主務大臣の定めるところにより、業務の性質及び内容並びに事業の運営及び経理の状況を適切に示すため必要な帳簿を備えなければならない。

   第五章 監督


 (監督)

第二十六条 公庫は、主務大臣が監督する。ただし、公庫を当事者又は参加人とする訴訟については、法務大臣が監督する。

2 主務大臣は、この法律又は中小企業信用保険法を施行するため必要があると認めるときは、公庫に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。


 (役員の解任)

第二十七条 主務大臣は、公庫の役員が第十二条各号の一に該当するに至つたときは、これを解任しなければならない。

2 主務大臣は、公庫の役員が次の各号の一に該当するに至つたときは、これを解任することができる。

 一 この法律又はこの法律に基く命令に違反したとき。

 二 刑事事件により有罪判決の言渡を受けたとき。

 三 破産の宣告を受けたとき。

 四 心身の故障により職務を執ることができないとき。


 (報告及び検査)

第二十八条 主務大臣は、この法律又は中小企業信用保険法を施行するため必要があると認めるときは、公庫に対し、その業務に関し報告をさせ、又はその職員に、公庫の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

   第六章 雑則


 (恩給)

第二十九条 公庫の設立の際現に恩給公務員(恩給法(大正十二年法律第四十八号)に規定する公務員をいう。以下同じ。)として在職する者が、引き続いて公庫の職員となり、さらに引き続いて恩給公務員となつたときは、その恩給公務員に給すべき普通恩給については、公庫の職員としての在職年月数を恩給公務員としての在職年月数に通算する。

2 前項の規定は、公庫の職員となるまでの恩給公務員としての在職年が普通恩給についての最短恩給年限に達する者については、適用しないものとする。

3 第一項の規定の適用を受ける者についての恩給法第六十四条ノ二(再就職の場合の普通恩給)の規定の適用については、公庫の職員としての就職を再就職とみなす。

第三十条 公庫は、前条第一項の規定の適用を受ける公庫の職員であつた者又はその遺族の恩給の支払に充てる金額を、政令で定めるところにより、国庫に納付するものとする。


 (主務大臣)

第三十一条 この法律における主務大臣は、通商産業大臣及び大蔵大臣とする。ただし、第二十八条第一項に規定する主務大臣の権限は、通商産業大臣又は大蔵大臣がそれぞれ単独に行使することを妨げない。

   第七章 罰則

第三十二条 第二十八条第一項の規定に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合においては、その違反行為をした公庫の役員又は職員を三万円以下の罰金に処する。

第三十三条 次の各号の一に該当する場合においては、その違反行為をした公庫の役員又は職員を三万円以下の過料に処する。

 一 この法律により主務大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。

 二 第五条第一項の政令に違反して登記をすることを怠つたとき。

 三 第十八条第一項に規定する業務以外の業務を行つたとき。

 四 第二十四条第一項の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。

 五 第二十四条第二項の規定に違反して業務に係る現金を国庫以外に預託したとき。

 六 第二十六条第二項の命令に違反したとき。

第三十四条 第六条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。


   附 則


 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第七条及び第八条の規定は、公布の日から起算して三月をこえない範囲内で政令で定める日から施行する。


 (公庫の設立)

第二条 主務大臣は、第十条第一項の例により、公庫の理事長又は監事となるべき者を指名する。

2 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、公庫の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ理事長又は監事に任命されたものとする。

第三条 主務大臣は、設立委員を命じて、公庫の設立に関する事務を処理させる。

第四条 設立委員は、設立の準備を完了したときは、遅滞なく、政府に対し、資本金の払込の請求をしなければならない。

2 設立委員は、資本金の払込があつた日において、その事務を附則第二条第一項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。

第五条 附則第二条第一項の規定により指名された理事長となるべき者は、前条の事務の引継を受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。

第六条 公庫は、設立の登記をすることによつて成立する。


 (中小企業信用保険特別会計法の廃止)

第七条 中小企業信用保険特別会計法(昭和二十五年法律第二百六十五号)は、廃止する。

2 中小企業信用保険特別会計の昭和三十三年四月一日に始まる会計年度は、中小企業信用保険特別会計法の廃止の日の前日に終るものとする。

3 中小企業信用保険特別会計の昭和三十二年度及び昭和三十三年度の決算及び損益の処理に関しては、なお従前の例による。


 (権利及び義務の承継等)

第八条 中小企業信用保険特別会計法の廃止の際現に中小企業信用保険法による保険事業及び信用保証協会法(昭和二十八年法律第百九十六号)第二十条の二第一項の規定による資金の貸付の事業に関し国が有する権利及び義務(中小企業信用保険特別会計が国の他の会計に対して有する権利及びこれに対して負う義務を含む。以下同じ。)は、公庫の成立の時において公庫が承継する。

2 前項の規定により公庫が国の有する権利及び義務を承継したときは、その承継の際における中小企業信用保険特別会計の保険基金、融資基金及び積立金の合計額は、政府から公庫に出資されたものとする。

(内閣総理・法務・大蔵・通商産業大臣署名) 

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