公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律

法律第百十六号(昭三三・五・一)

 (この法律の目的)

第一条 この法律は、公立の義務教育諸学校に関し、学級規模と教職員の配置の適正化を図るため、学級編制及び教職員定数の標準について必要な事項を定め、もつて義務教育水準の維持向上に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「義務教育諸学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する小学校、中学校又は盲学校若しくは聾学校の小学部若しくは中学部をいう。

2 この法律において「教職員」とは、校長(盲学校又は聾学校の小学部又は中学部にあつては、当該部の属する盲学校又は 聾学校の校長とする。)、教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭、講師(常時勤務の者に限る。)、寮母及び事務職員(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百七十二条第一項に規定する吏員に相当する者をいう。)をいう。

 (学級編制の標準)

第三条 公立の義務教育諸学校の学級は、同学年の児童又は生徒で編制するものとする。ただし、当該義務教育諸学校の児童又は生徒の数が著しく少いかその他特別の事情がある場合においては、数学年の児童又は生徒を一学級に編制することができる。

2 各都道府県ごとの、公立の小学校又は中学校の一学級の児童又は生徒の数の基準は、次の表の上欄に掲げる学校の種類及び同表の中欄に掲げる学級編制の区分に応じ、同表の下欄に掲げる数を標準として、都道府県の教育委員会が定める。ただし、同学年の児童又は生徒を四以下の学級に編制する場合の一学級の児童又は生徒の数の基準は、別に政令で定める数を標準として、都道府県の教育委員会が定める。

学校の種類

学級編制の区分

一学級の児童又は生徒の数

小学校

同学年の児童で編制する学級

五十人

二又は三の学年の児童で編制する学級

三十五人

四又は五の学年の児童で編制する学級

三十人

すべての学年の児童で編制する学級

二十人

学校教育法第七十五条に規定する特殊学級

十五人

中学校

同学年の生徒で編制する学級

五十人

二の学年の生徒で編制する学級

三十五人

すべての学年の生徒で編制する学級

三十人

学校教育法第七十五条に規定する特殊学級

十五人

3 各都道府県ごとの、公立の盲学校又は 聾学校の小学部又は中学部の一学級の児童又は生徒の数の基準は、十人を標準として、都道府県の教育委員会が定める。

 (学級編制の基準についての文部大臣の意見の聴取)

第四条 都道府県の教育委員会は、前条第二項又は第三項の規定により公立の義務教育諸学校の一学級の児童又は生徒の数の基準を定めるに当り、当該義務教育諸学校の学級編制の区分に応ずる同条第二項の表の下欄に掲げる数又は同条第三項に規定する数に五人を加えた数(同条第二項ただし書の規定により別に政令で定める数を標準とする場合にあつては、政令で定める数)をこえる数によろうとするときは、毎学年、当該基準について、あらかじめ文部大臣の意見をきかなければならない。

 (学級編制)

第五条 公立の義務教育諸学校の学級編制は、第三条第二項若しくは第三項又は前条の規定により都道府県の教育委員会が定めた基準に従い、当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会が行う。

 (学級編制についての都道府県の教育委員会の認可)

第六条 市町村の教育委員会は、毎学年、当該市町村の設置する義務教育諸学校に係る前条の学級編制について、あらかじめ都道府県の教育委員会の認可を受けなければならない。認可を受けた学級編制の変更についても、また同様とする。

 (教職員定数の標準)

第七条 各都道府県ごとの、公立の小学校に置くべき教職員の総数(以下「小学校教職員定数」という。)は、次の各号に定めるところにより算定した数の合計数を標準とする。

 一 学級総数に一を乗じて得た数

 二 次の表の上欄に掲げる学校規模ごとの学校数に当該学校規模に応ずる同表の下欄に掲げる数を乗じて得た数

学校規模

乗ずる数

六学級から十七学級までの学校

十八学級から三十学級までの学校

三十一学級から四十二学級までの学校

四十三学級から五十四学級までの学校

五十五学級以上の学校

 三 五学級以下の学校の総数に政令で定める数を乗じて得た数(一未満の端数を生じたときは、一に切り上げる。)

 四 児童総数に千五百分の一を乗じて得た数(一未満の端数を生じたときは、一に切り上げる。)

第八条 各都道府県ごとの、公立の中学校に置くべき教職員の総数(以下「中学校教職員定数」という。)は、次の各号に定めるところにより算定した数の合計数を標準とする。

 一 学級総数に三分の四を乗じて得た数(一未満の端数を生じたときは、一に切り上げる。)

 二 次の表の上欄に掲げる学校規模ごとの学校数に当該学校規模に応ずる同表の下欄に掲げる数を乗じて得た数

 

学校規模

乗ずる数

二学級以下の学校

三学級から八学級までの学校

九学級から二十学級までの学校

二十一学級以上の学校

 三 生徒総数に二千分の一を乗じて得た数(一未満の端数を生じたときは、一に切り上げる。)

第九条 各都道府県ごとの、公立の盲学校及び聾学校の小学部及び中学部に置くべき教職員の総数(以下「盲学校聾学校教職員定数」という。)は、次の各号に定めるところにより算定した数の合計数を標準とする。

 一 学校総数に二を乗じて得た数

 二 小学部又は中学部ごとの学級総数に、小学部にあつては一を、中学部にあつては三分の四を乗じて得た数(一未満の端数を生じたときは、一に切り上げる。)

 三 次の表の上欄に掲げる小学部又は中学部ごとに、同表の中欄に掲げる部の規模ごとの部の数に当該部の規模に応ずる同表の下欄に掲げる数を乗じて得た数

部の別

部の規模

乗ずる数

小学部

三学級から五学級までの部

六学級から十七学級までの部

十八学級以上の部

中学部

二学級以下の部

三学級から二十学級までの部

二十一学級以上の部

 四 寄宿舎に寄宿する児童及び生徒の総数の七分の一を乗じて得た数(一未満の端数を生じたときは、一に切り上げる。)

第十条 前三条の規定による小学校教職員定数、中学校教職員定数及び盲学校聾学校教職員定数(以下「教職員定数」と総称する。)には、次の各号に掲げる者に係るものを含まないものとする。

 一 休職者

 二 女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律(昭和三十年法律第百二十五号)第四条の規定により臨時的に任用される者


 (文部大臣の勧告)

第十一条 文部大臣は、公立の義務教育諸学校に置かれている教職員の総数が教職員定数を著しく下る都道府県があるときは、あらかじめ自治庁長官に通知して、当該都道府県に対し、教職員の増員について必要な勧告をすることができる。


 (政令への委任)

第十二条 この法律に特別の定があるもののほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。


   附 則


 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。


 (学級編制の標準に関する経過措置)

2 この法律の施行の際、現に公立の小学校又は中学校の学級編制の認可に当り一学級の児童又は生徒の数について第三条第二項の表の下欄に掲げる数(同項ただし書の規定により別に政令で定める数を標準とする場合にあつては、その数。以下同じ。)をこえる数を基準としている都道府県に係る一学級の児童又は生徒の数の標準については、当分の間、同項の規定にかかわらず、児童又は生徒の数の減少及び学校施設の整備の状況を考慮して政令で定めるところにより、暫定的にその標準となるべき数を定めるものとする。この場合における第四条の規定の適用についての必要な読替は、政令で定める。


 (教職員定数の標準に関する経過措置)

3 この法律の施行の際、現に公立の小学校又は中学校に置かれている教職員の総数(第十条各号に掲げる者に係るものを除く。以下「現員」という。)が第七条若しくは第八条又は次項の規定により算定した数(以下「定数」という。)に満たない都道府県の小学校教職員定数又は中学校教職員定数については、引き続き現員が定数に満たない間に限り、第七条及び第八条並びに次項の規定にかかわらず、定数に対する現員の充足の程度及び学級数の増加の状況を考慮して政令で定めるところにより、暫定的にその標準となるべき数を定めるものとする。


 (小学校教職員定数の標準に関する特例)

4 公立の小学校の同学年の児童で編制する学級のうちに、一学級の児童の数が五十五人をこえるものがある場合においては、当分の間、当該都道府県の小学校教職員定数は、第七条の規定にかかわらず、同条の規定により算定した数に政令で定める数を加えた数を標準とするものとする。


 (現員が定数をこえる場合の経過措置)

5 この法律の施行の際、現員が定数をこえ、かつ、現に公立の小学校又は中学校の学級編制の認可に当り一学級の児童又は生徒の数について第三条第二項の表の下欄に掲げる数をこえる数を基準としている都道府県にあつては、同項の基準を定める場合には、附則第二項の標準にかかわらず、当該現員が定数をこえる範囲まで、学級規模の適正化を行うものとする。

(文部・内閣総理大臣署名) 

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