日本銀行券預入令等を廃止する法律

法律第六十六号(昭二九・四・一〇)

 左に掲げる法令は、廃止する。

 一 日本銀行券預入令(昭和二十一年勅令第八十四号)

 二 日本銀行券預入令の特例の件(昭和二十一年勅令第九十号)

 三 旧日本銀行券の未回収発行残高に相当する金額の一部を国庫に納付するに伴う日本銀行への交付金に関する法律(昭和二十二年法律第百八十三号)

   附 則

1 この法律は、公布の日から起算して六月以内で政令で定める日から施行する。

2 外国その他政令で定める地域から引き揚げ、昭和二十年九月二十四日以後に本邦(当該政令で定める地域を除く。)に到着した者(以下「引揚者」という。)が引揚の際携帯した旧日本銀行券(旧日本銀行券預入令第一条の規定により強制通用の効力を失つた日本銀行券をいう。以下同じ。)で左の各号に掲げるものについては、当該引揚者又はその相続人は、当該各号に掲げる期間内に、日本銀行に対し、これを次項の規定により新日本銀行券(引換の際現に通用する日本銀行券をいう。以下同じ。)と引き換えることを請求することができる。

 一 旧外国為替管理法(昭和十六年法律第八十三号)、旧金、銀又は白金等の地金又は合金の輸入の制限又は禁止等に関する件(昭和二十年勅令第五百七十八号)、旧財産及び貨物の輸出入の取締に関する政令(昭和二十四年政令第百九十九号)若しくは外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)又はこれらに基く命令の規定により携帯輸入が認められなかつたため税関に寄託されていた旧日本銀行券 その返還を受けた日から三月以内(この法律の施行前に返還を受けている場合には、この法律の施行の日から三月以内)

 二 昭和二十八年九月一日以後この法律の施行の日から二月を経過した日前に本邦に到着した引揚者が引揚の際携帯した旧日本銀行券 この法律の施行の日から三月以内

 三 この法律の施行の日から二月を経過した日以後に本邦に到着した引揚者が引揚の際携帯した旧日本銀行券 本邦に到着した日から一月以内

3 前項の規定により引換を請求することができる新日本銀行券の金額は、引揚者一人につき、左の各号に掲げる金額とする。

 一 旧日本銀行券の券面金額の合計額が五万円以下であるときは、旧日本銀行券の券面金額一円に対し一円の割合で計算した金額

 二 旧日本銀行券の券面金額の合計額が五万円をこえるときは、五万円につき前号の規定により計算した金額と、五万円をこえる金額につき旧日本銀行券の券面金額一円に対し七十銭の割合で計算した金額との合計額。但し、当該合計額が二十万円をこえるときは、二十万円とし、一円未満の端数を生じたときは、一円として計算する。

4 第二項の規定により旧日本銀行券の引換を請求しようとする者は、大蔵省令で定めるところにより、自己又はその被相続人が引揚者であり、且つ、その引揚の際当該旧日本銀行券を携帯したことを立証しなければならない。

5 日本銀行は、第二項の規定による引換の請求があつたときは、直ちに旧日本銀行券と引き換えた第三項に規定する金額の新日本銀行券を交付しなければならない。

6 左の各号に掲げる旧日本銀行券については、その還付を受けた者その他の政令で定める所持者は、政令で定める期間内に、日本銀行に対し、これを新日本銀行券と引き換えることを請求することができる。

 一 刑事事件について差し押えられ、又は領置されていたことその他の政令で定めるやむを得ない事由により、この法律の施行前に旧日本銀行券預入令第二条の規定により預金、貯金又は金銭信託とすることができなかつた旧日本銀行券

 二 旧日本銀行券預入令の特例の件第一条第一項に規定する証紙をはり付けた旧日本銀行券で、昭和二十一年十月三十一日以前に刑事事件について差し押えられ、又は領置され、この法律の施行の日の前日から起算して二週間前の日以後に還付され、又は国に帰属したもの

7 第三項及び第五項の規定は、前項の規定による引換について準用する。

8 政令で定める金融機関は、政令で定めるところにより、日本銀行に代り、この附則の規定による旧日本銀行券の引換の事務の一部を取り扱うものとする。

9 日本銀行は、特別の勘定を設け、旧日本銀行券の発行高に相当する金額のうち、この法律の施行の際旧日本銀行券預入令第五条第二項に規定する勘定に属する金額を、政令で定めるところにより、区分整理しなければならない。

10 日本銀行は、前項に規定する特別の勘定に属する金額のうち政令で定める金額を、政令で定めるところにより、国に納付しなければならない。

11 日本銀行が前項の規定に基き第九項に規定する特別の勘定に属する金額の一部を国に納付した場合において、日本銀行が旧日本銀行券預入令第二条第二項の規定により昭和二十一年四月一日以後旧日本銀行券で預入を受けた金額と第五項(第七項において準用する場合を含む。)の規定により交付した新日本銀行券の金額との合計額が、昭和二十一年三月三十一日における旧日本銀行券の発行高に相当する金額から日本銀行が同令第五条第三項又は前項の規定に基き国に納付した金額の合計額を控除した金額をこえるときは、政府は、政令で定めるところにより、その超過額に相当する金額を日本銀行に交付しなければならない。

12 前二項に定めるものの外、第九項に規定する特別の勘定に属する金額に相当する日本銀行の財産の処理に関し必要な事項は、政令で定める。

13 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

14 小額通貨の整理及び支払金の端数計算に関する法律(昭和二十八年法律第六十号)の一部を次のように改正する。

  附則第三項中「所持するもの」の下に「及び昭和二十年九月二十四日から昭和二十八年八月三十一日までの間に旧外国為替管理法(昭和十六年法律第八十三号)、旧金、銀又は白金等の地金又は合金の輸入の制限又は禁止等に関する件(昭和二十年勅令第五百七十八号)、旧財産及び貨物の輸出入の取締に関する政令(昭和二十四年政令第百九十九号)若しくは外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)又はこれらに基く命令の規定により輸入が認められなかつたため税関に寄託されていたもの」を加える。

(大蔵・内閣総理大臣署名) 

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