関税法

法律第六十一号(昭二九・四・二)

 関税法(明治三十二年法律第六十一号)の全部を改正する。

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 賦課及び徴収(第三条―第十四条)

 第三章 船舶及び航空機(第十五条―第二十八条)

 第四章 保税地域

  第一節 総則(第二十九条―第三十六条)

  第二節 指定保税地域(第三十七条―第四十一条)

  第三節 保税上屋(第四十二条―第四十九条)

  第四節 保税倉庫(第五十条―第五十五条)

  第五節 保税工場(第五十六条―第六十二条)

 第五章 運送(第六十三条―第六十六条)

 第六章 通関(第六十七条―第七十八条)

 第七章 収容及び留置(第七十九条―第八十八条)

 第八章 異議の申立、審査の請求及び訴願(第八十九条―第九十五条)

 第九章 雑則(第九十六条―第百八条)

 第十章 罰則(第百九条―第百十八条)

 第十一章 犯則事件の調査及び処分

  第一節 犯則事件の調査(第百十九条―第百三十六条)

  第二節 犯則事件の処分(第百三十七条―第百四十条)

 附則

   第一章 総則

 (趣旨)

第一条 この法律は、関税の賦課及び徴収並びに貨物の輸出及び輸入についての税関手続の適正な処理を図るため必要な事項を定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律又はこの法律に基く命令において、左の各号に掲げる用語は、当該各号に掲げる定義に従うものとする。

 一 「輸入」とは、外国から本邦に到着した貨物(外国の船舶により公海で採捕された水産物を含む。)又は輸出の許可を受けた貨物を本邦に(保税地域を経由するものについては、保税地域を経て本邦に)引き取ることをいう。

 二 「輸出」とは、内国貨物を外国に向けて送り出すことをいう。

 三 「外国貨物」とは、輸出の許可を受けた貨物及び外国から本邦に到着した貨物(外国の船舶により公海で採捕された水産物を含む。)で輸入が許可される前のものをいう。

 四 「内国貨物」とは、本邦にある貨物で外国貨物でないもの及び本邦の船舶により公海で採捕された水産物をいう。

 五 「外国貿易船」とは、外国貿易のため本邦と外国との間を往来する船舶をいう。

 六 「外国貿易機」とは、外国貿易のため本邦と外国との間を往来する航空機をいう。

 七 「沿海通航船」とは、本邦と外国との間を往来する船舶以外の船舶をいう。

 八 「国内航空機」とは、本邦と外国との間を往来する航空機以外の航空機をいう。

 九 「船用品」とは、燃料、飲食物その他の消耗品及び帆布、綱、じう器その他これらに類する貨物で、船舶において使用するものをいう。

 十 「機用品」とは、航空機において使用する貨物で、船用品に準ずるものをいう。

 十一 「開港」とは、別表第一に掲げる港をいう。但し、第九十六条第二項(開港の閉鎖)の規定により開港でなくなつたものを除く。

 十二 「税関空港」とは、別表第二に掲げる空港をいう。

 十三 「不開港」とは、港、空港その他これらに代り使用される場所で、開港及び税関空港以外のものをいう。

   第二章 賦課及び徴収

 (課税物件)

第三条 輸入貨物には、この法律及び関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)により、関税を課する。但し、条約中に関税について特別の規定があるときは、当該規定による。

 (課税物件の確定)

第四条 関税は、輸入申告の時における輸入貨物の性質及び数量により課する。但し、左の各号に掲げるものについては、当該各号に掲げる時におけるその性質及び数量により課する。

 一 保税倉庫に置かれた外国貨物で、第五十三条(外国貨物を入れる際の検査)の規定により、保税倉庫に入れる際、税関の検査を受けたもの(第二号、第三号、第七号及び第八号に掲げるものを除く。)第五十二条第一項(外国貨物を入れることの承認)の規定により保税倉庫に入れることが承認された時

 二 第五十六条(保税工場の許可)に規定する保税作業による製品である外国貨物で、第六十二条(保税工場)において準用する第五十二条第一項(保税倉庫に外国貨物を入れることの承認)の規定によりその原料である外国貨物を保税工場に入れることが承認された時の性質及び数量により課税を受けることについて、政令で定めるところにより、税関長の承認を受けたもの(第七号及び第八号に掲げるものを除く。)外国貨物を保税工場に入れることが承認された時

 三 第六十一条第一項(保税工場外における保税作業)の規定により指定された場所に同項の規定により指定された期間を経過した後置かれている外国貨物(前号、第七号及び第八号に掲げるものを除く。) 同項の規定により外国貨物又はその原料である外国貨物を保税工場から出すことが許可された時

 四 保税上屋、保税倉庫若しくは保税工場に置かれた外国貨物又は第三十条第二号(許可を受けて保税地域外に置く外国貨物)の規定により税関長の許可を受けた外国貨物で、亡失し、又は滅却されたもの(第一号、第二号、第五号及び第八号に掲げるものを除く。)亡失又は滅却の時

 五 第六十三条第一項(保税運送)又は第六十四条第一項(難破貨物等の運送)の規定により運送の承認を受けて運送された外国貨物で、その指定された運送の期間内に運送先に到着しないもの(第一号、第二号、第七号及び第八号に掲げるものを除く。)運送が承認された時

 六 郵便物(第七号及び第八号に掲げるものを除く。)陸揚又は取卸の時

 七 収容され、若しくは留置された貨物、差押物件又は領置物件で、公売に付され、又は随意契約により売却されるもの 公売又は売却の時

 八 第百十八条第三項(犯罪貨物についての関税の徴収)の規定により関税を徴収すべき貨物 犯罪が行われた時

 (適用法令)

第五条 関税は、輸入申告の日において適用される法令により課する。但し、左の各号に掲げる貨物については、当該各号に掲げる日において適用される法令により課する。

 一 前条第三号から第八号までに掲げる貨物(前条第三号に掲げる貨物にあつては、同条第二号に掲げる貨物を除かないものとし、同条第四号及び第五号に掲げる貨物にあつては、同条第一号及び第二号に掲げる貨物を除かないものとする。) 当該各号に掲げる時の属する日

 二 保税倉庫に置かれた外国貨物(前号に掲げるものを除く。)輸入が許可された日(第七十三条第一項(輸入の許可前における貨物の引取)の規定により引き取ることを承認された貨物については、その承認がされた日)

 (納税義務者)

第六条 関税は、この法律又は関税定率法に別段の規定がある場合を除く外、輸入申告をした者から徴収する。

 (徴収の順位)

第七条 関税は、国税徴収法(明治三十年法律第二十一号)、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)その他の法令の規定にかかわらず、当該関税を徴収すべき外国貨物について、他の公課及び債権に先だつて徴収する。

2 税関は、関税が納付されていない外国貨物について国税徴収法の規定による滞納処分(他の法令においてその例によるものとされる場合を含む。)、民事訴訟法(明治二十三年法律第二十九号)の規定による強制執行若しくは破産法(大正十一年法律第七十一号)の規定による破産手続がされ、又は競売法(明治三十一年法律第十五号)の規定による競売の開始があつたときは、これらの処分をする行政機関、公共団体、執行裁判所、執行吏、強制管理人又は破産管財人に対し、当該貨物についての関税の交付を求めることができる。

3 国税徴収の例により徴収する場合における関税及びその滞納処分費の徴収の順位については、国税徴収法第二条第一項(徴収の順位)に規定する国税及びその滞納処分費の順位による。

 (納税の告知)

第八条 関税を徴収しようとするときは、納税義務者に対し、その納金額及び納付場所を指定して、納税の告知をしなければならない。

2 第六十一条第五項(保税工場外における保税作業の場合の関税の徴収)若しくは第六十五条第一項(運送の期間の経過に因る関税の徴収)若しくは関税定率法第十三条第六項(製造用原料品についての関税の徴収)、第十七条第三項(再輸出免税を受けた貨物についての関税の徴収)、第十八条第三項(船舶の建造又は修繕用貨物についての関税の徴収)若しくは第十九条第四項(輸出貨物の製造用原料品についての関税の徴収)の規定により関税を徴収する場合において担保の提供があつたとき、又は第七十三条第一項(輸入の許可前における貨物の引取)の規定により承認を受けた貨物について関税を徴収するときの納税の告知は、前項の規定による外、その納期日をあわせて指定しなければならない。

 (担保)

第九条 この法律又は関税定率法の規定により提供する関税の担保の種類は、左に掲げるものとする。

 一 金銭

 二 国債及び地方債

 三 税関長が確実と認める社債(特別の法律により設立された法人が発行する債券を含む。)

 四 税関長が確実と認める保証人の保証

2 前項の担保の提供について必要な事項は、政令で定める。

 (担保を提供した場合の充当又は徴収)

第十条 関税の担保として金銭を提供した納税義務者は、政令で定めるところにより、担保として提供した金銭をもつて関税の納付に充てることができる。

2 関税の担保が提供された場合において、第八条第二項(納税の告知)の規定により指定された納期日までに関税が完納されないときは、政令で定めるところにより、担保として提供された金銭をもつて直ちに関税に充て、若しくは金銭以外の担保物を公売してその代金をもつて公売に要した費用及び関税に充て、又は保証人にその旨を通知して関税を納付させる。

3 前項の規定により、担保として提供された金銭をもつて関税に充て、又は公売の代金をもつて公売に要した費用及び関税に充ててなお不足額があるときは、納税義務者から、国税徴収の例により、その不足額を徴収する。

4 第二項に規定する保証人が関税を完納しないときは、納税義務者から、国税徴収の例により徴収し、その徴収した金額をもつて徴収すべき関税及び滞納処分費に充ててなお不足額があるときは、保証人から、国税徴収の例により、その不足額を徴収する。

5 前項の保証人は、国税徴収法第三十二条(財産をかくす等の罪)の規定の適用については、納税者とみなす。

 (担保を提供しない場合の徴収)

第十一条 第四十五条第一項(保税上屋の許可を受けた者の関税の納付義務)(第三十六条(許可を受けて保税地域外に置く外国貨物)、第五十五条(保税倉庫)及び第六十二条(保税工場)において準用する場合を含む。)、第四十七条第三項(保税上屋の許可が消滅した場合の取扱)(第五十五条及び第六十二条において準用する場合を含む。)若しくは第百十八条第三項(犯罪貨物についての関税の徴収)若しくは関税定率法第九条第二項(不当廉売者等からの関税の徴収)、第十五条第二項(特定用途免税を受けた貨物についての関税の徴収)若しくは第十六条第二項(外交官用貨物等についての関税の徴収)の規定による関税の徴収又は関税の徴収に不足額があつた場合におけるその不足額の徴収については、国税徴収の例による。第六十一条第五項(保税工場外における保税作業の場合の関税の徴収)若しくは第六十五条第一項(運送の期間の経過に因る関税の徴収)又は関税定率法第十三条第六項(製造用原料品についての関税の徴収)、第十七条第三項(再輸出免税を受けた貨物についての関税の徴収)、第十八条第三項(船舶の建造又は修繕用貨物についての関税の徴収)若しくは第十九条第四項(輸出貨物の製造用原料品についての関税の徴収)の規定による関税の徴収について担保の提供がなかつた場合も、また同様とする。

 (利子税額)

第十二条 関税を徴収する場合において、納税義務者が第八条第二項(納税の告知)の規定により指定された納期日又は国税徴収の例により徴収する場合において指定された納期日までに関税を完納しないときは、その未納に係る関税額に対し、当該納期日の翌日から当該関税額を納付する日までの日数に応じ、百円につき一日四銭の割合を乗じて計算した金額に相当する利子税額をあわせて徴収する。

2 前項の場合において、納税義務者がその未納に係る関税額の一部を納付したときは、その納付の日の翌日以後の期間に係る利子税額計算の基礎となる関税額は、同項の未納に係る関税額からその一部納付に係る関税額を控除した額による。

3 利子税額計算の基礎となる関税額が千円未満である場合においては、第一項の規定を適用せず、当該関税額に千円未満の端数がある場合においては、これを切り捨てて計算する。

4 利子税額が三百円未満である場合においては、これを徴収しない。

5 第一項の規定により利子税額をあわせて徴収すべき場合において、その納税義務者が納付した税額が同項の未納に係る関税額に達するまでは、その納付した税額は、当該関税額に充てられたものとする。但し、国税徴収の例により徴収する場合における国税徴収法第二十八条(公売代金等の充当又は配分)の規定の適用を妨げない。

 (還付加算金)

第十三条 納税義務者が納付した関税又は滞納処分費に過誤納があつたため当該過誤納額を還付する場合においては、当該関税又は滞納処分費が納付された日の翌日から還付のため支払う日までの期間(還付のため過誤納金があることを納税義務者に通知した日後三十日以内に当該過誤納金の還付の請求をしない場合においては、当該通知をした日後三十日を経過した日から還付の請求があつた日までの期間を除く。)に応じ、当該過誤納額百円につき一日四銭の割合を乗じて計算した金額(以下この条において「還付加算金」という。)をその還付すべき金額に加算する。

2 前項の規定は、還付加算金の計算の基礎となる過誤納額が千円未満である場合においては適用せず、当該過誤納額に千円未満の端数がある場合においては、その端数を切り捨てる。

3 前二項の規定により計算した還付加算金の額が三百円未満である場合においては、還付加算金は加算せず、還付加算金の額に十円未満の端数がある場合においては、その端数を切り捨てる。

4 二回以上に分けて納付した関税又は滞納処分費について過誤納を生じた場合における第一項の規定の適用については、過誤納額に相当する関税又は滞納処分費は、最後の納付の日に納付があつたものとし、当該過誤納額がその日の納付額をこえる場合においては、過誤納額に達するまで順次にさかのぼつてそれぞれの納付の日にその納付があつたものとする。

 (時効)

第十四条 関税の徴収権は、これを行使することができる日から二年を経過したときは、時効に因り消滅する。但し、詐偽その他不正の行為により関税を免かれ、又は関税を納付すべき貨物について関税を納付しないで輸入した場合の関税の徴収権は、この限りでない。

2 関税の過誤納に因り生ずる請求権は、その納付の日から二年を経過したときは、時効に因り消滅する。

3 前二項の期間内にした納税の告知又は支払の請求は、民法(明治二十九年法律第八十九号)第百五十三条(催告と時効の中断)の規定にかかわらず、時効を中断する。

   第三章 船舶及び航空機

 (入港手続)

第十五条 外国貿易船が開港に入港したときは、船長は、入港の時から二十四時間(その時間が日曜日又は政令で定める休日(以下「休日」という。)に含まれる場合においては、これらの日に含まれる時間を除いて計算する。以下第十八条第一項(入出港の簡易手続)において同じ。)以内に入港届、積荷目録、船用品目録、旅客氏名表及び乗組員氏名表を税関に提出するとともに、船舶国籍証書及び最近の仕出港の出港許可書又はこれらに代る書類を税関職員に呈示しなければならない。

2 外国貿易機が税関空港に入港したときは、機長は、直ちに積荷目録、旅客氏名表、乗組員氏名表その他政令で定める事項を総括した入港届を税関に提出するとともに、最近の出港地の出港許可書又はこれに代る書類を税関職員に呈示しなければならない。

 (貨物の積卸)

第十六条 外国貿易船又は外国貿易機(以下「外国貿易船等」という。)に対する貨物の積卸は、あらかじめ税関長の承認を受けた場合を除く外、積荷目録の提出前にしてはならない。但し、旅客及び乗組員の携帯品、郵便物並びに船用品及び機用品については、この限りでない。

2 船舶又は航空機に外国貨物の積卸をしようとする者は、政令で定めるところにより、積卸についての書類を税関職員に呈示しなければならない。外国貿易船等に内国貨物の積卸をしようとする者も、また同様とする。

 (出港手続)

第十七条 外国貿易船等が開港又は税関空港を出港しようとするときは、船長又は機長は、税関に出港届を提出してその許可を受けなければならない。

 (入出港の簡易手続)

第十八条 外国貿易船が開港に入港した場合において、その船用品以外の貨物の積卸をしないで入港の時から二十四時間以内に出港するときは、第十五条第一項(外国貿易船の入港手続)及び前条の規定を適用しない。但し、船長は、入港届及び出港届を出港の時までに税関に提出しなければならない。

2 外国貿易機が税関空港に入港した場合において、その機用品以外の貨物の積卸をしないで出港するときは、第十五条第二項(外国貿易機の入港手続)及び前条の規定を適用しない。但し、機長は、その旨を出港の時までに税関に届け出なければならない。

 (執務時間外の貨物の積卸)

第十九条 日曜日、休日又はこれらの日以外の日の税関の執務時間外において、外国貨物を積んでいる船舶若しくは航空機に貨物の積卸をし、又は船舶若しくは航空機に外国貨物を積み込もうとするときは、税関長の許可を受けなければならない。但し、旅客及び乗組員の携帯品、郵便物並びに船用品及び機用品については、この限りでない。

 (不開港への出入)

第二十条 外国貿易船等の船長又は機長は、税関長の許可を受けた場合を除く外、当該外国貿易船等を不開港に出入させてはならない。但し、検疫のみを目的として検疫区域に出入する場合又は遭難その他やむを得ない事故がある場合は、この限りでない。

2 外国貿易船等が前項但書の事故に因り不開港に入港したときは、船長又は機長は、直ちにその事由を附してその旨を税関職員に(税関職員がいないときは警察官に)届け出なければならない。

 (外国貨物の仮陸揚)

第二十一条 外国貨物を仮に陸揚(取卸を含む。以下同じ。)しようとするときは、船長又は機長は、税関に(税関が設置されていない場所においては税関職員に、税関職員がいないときは警察官に)あらかじめその旨を届け出なければならない。但し、遭難その他やむを得ない事故に因りあらかじめ届け出ることができない場合においては、陸揚した後直ちにその旨を届け出なければならない。

 (沿海通航船等の外国寄港の届出等)

第二十二条 沿海通航船又は国内航空機(以下「沿海通航船等」という。)が遭難その他やむを得ない事故に因り外国に寄港して本邦に帰つたときは、船長又は機長は、直ちにその旨を税関に届け出るとともに、外国においてその船用品又は機用品を積み込んだ場合においては、その目録を税関に提出しなければならない。

 (船用品又は機用品の積込)

第二十三条 本邦と外国との間を往来する船舶又は航空機にその船用品又は機用品を積み込もうとするときは、船長又は機長は、税関に(税関が設置されていない場所においては税関職員に)届け出てその承認を受けなければならない。但し、遭難その他やむを得ない事故に因り不開港に入港し、その船用品又は機用品を積み込むことについて緊急な必要がある場合において、税関職員がいないときは、警察官にあらかじめその旨を届け出なければならない。

2 前項の承認は、当該承認に係る船用品又は機用品の種類及び数量が船舶又は航空機の種類、トン数又は自重、航海又は航行の日数並びに旅客及び乗組員の数等を勘案して適当と認められるときは、これをしなければならない。

 (船舶又は航空機と陸地との交通等)

第二十四条 本邦と外国との間を往来する船舶又は航空機と陸地との間の交通又は貨物の積卸は、税関長の許可を受けた場合を除く外、その指定した場所を経て行わなければならない。

2 本邦と外国との間を往来する船舶又は航空機と沿海通航船等との間の交通は、税関長の許可を受けた場合を除く外、行つてはならない。

 (船舶又は航空機の資格の変更)

第二十五条 外国貿易船等以外の船舶又は航空機を外国貿易船等として使用しようとするときは、船長又は機長は、あらかじめその旨を税関に届け出なければならない。外国貿易船等を外国貿易船等以外の船舶又は航空機として使用しようとするときも、また同様とする。

 (船長又は機長の行為の代行)

第二十六条 第二十条(不開港への出入)、第二十一条(外国貨物の仮陸揚)、第二十三条第一項(船用品又は機用品の積込)又は前条の規定により船長又は機長がなすべき行為は、これらの条に規定する船舶又は航空機の所有者若しくは管理者又はこれらの者の代理人も行うことができる。

 (船長又は機長の職務代行者)

第二十七条 この章の規定で船長又は機長に適用されるものは、船長又は機長がその職務を行うことができない場合においては、船長又は機長に代つてその職務を行う者に適用する。

 (税関職員に対する便宜供与)

第二十八条 税関職員が職務を執行するため船舶又は航空機に乗り込む場合においては、船長又は機長は、税関職員に対し職務の執行に必要な場所の提供その他の便宜を与えなければならない。

   第四章 保税地域

    第一節 総則

 (保税地域の種類)

第二十九条 保税地域は、指定保税地域、保税上屋、保税倉庫及び保税工場の四種とする。

 (外国貨物を置く場所の制限)

第三十条 外国貨物は、保税地域以外の場所に置くことができない。但し、左の各号に掲げるものについては、この限りでない。

 一 難破貨物

 二 保税地域に置くことが困難又は著しく不適当であると認め税関長が期間及び場所を指定して許可した貨物

 三 郵便物、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定により押収された物件その他政令で定める貨物

 (貨物の出し入れ)

第三十一条 外国貨物、輸入の許可を受けた貨物又は輸出しようとする貨物を保税地域に入れ、又は保税地域から出そうとする者は、あらかじめ税関に届け出なければならない。

2 前項に規定する貨物を保税地域に入れ、又は保税地域から出そうとするときは、税関職員の立会を受けなければならない。但し、税関長がその必要がないと認めた場合は、この限りでない。

 (見本の一時持出)

第三十二条 保税地域にある外国貨物を見本として一時持ち出そうとする者は、税関長の許可を受けなければならない。

 (執務時間外の貨物の出し入れ又は取扱)

第三十三条 日曜日、休日又はこれらの日以外の日の税関の執務時間外において、外国貨物、輸入の許可を受けた貨物又は輸出しようとする貨物を保税地域に入れ、若しくは保税地域から出し、又は保税地域においてこれらの貨物の取扱をしようとするときは、税関長の許可を受けなければならない。但し、旅客及び乗組員の携帯品、郵便物並びに船用品及び機用品については、この限りでない。

 (外国貨物の廃棄)

第三十四条 保税地域にある外国貨物を廃棄しようとする者は、あらかじめその旨を税関に届け出なければならない。但し、第四十五条第一項但書(保税上屋の許可を受けた者の関税の納付義務の免除)(第三十六条(許可を受けて保税地域外に置く外国貨物)、第五十五条(保税倉庫)及び第六十二条(保税工場)において準用する場合を含む。)の規定により滅却について承認を受けた場合は、この限りでない。

 (税関職員の派出)

第三十五条 税関長は、保税地域に税関職員を派出して、税関の事務の一部を処理させることができる。

 (保税地域についての規定の準用)

第三十六条 第三十一条第二項(税関職員の立会)、第三十二条から第三十四条まで(見本の一時持出・執務時間外の貨物の出し入れ又は取扱・外国貨物の廃棄)、第四十条(指定保税地域における貨物の取扱)(第一項第三号及び第四号を除く。)及び第四十五条(保税上屋の許可を受けた者の関税の納付義務)の規定は、第三十条第二号(許可を受けて保税地域外に置く外国貨物)の規定により税関長が許可した貨物について準用する。この場合において、第三十一条第二項若しくは第三十二条から第三十四条まで中「保税地域」とあり、第四十条中「指定保税地域」とあり、又は第四十五条中「保税上屋」とあるのは、「第三十条第二号の規定により税関長が指定した場所」と読み替えるものとする。

    第二節 指定保税地域

 (指定保税地域の指定又は取消)

第三十七条 指定保税地域とは、国、地方公共団体又は日本国有鉄道が所有し、又は管理する土地又は建設物その他の施設で、開港又は税関空港における税関手続の簡易、且つ、迅速な処理を図るため、外国貨物の積卸若しくは運搬をし、又はこれを一時置くことができる場所として大蔵大臣が指定したものをいう。

2 大蔵大臣は、指定保税地域を利用して行われる外国貿易の減少その他の事由に因りその全部又は一部を存置する必要がないと認めるときは、これについて前項の指定を取り消すことができる。

3 大蔵大臣は、指定保税地域の指定をしようとするときは、あらかじめ当該指定をしようとする土地又は建設物その他の施設の所有者及び管理者に協議し、且つ、公開による聴聞を行い、輸出入業者その他の当該指定について利害関係がある者に対して意見を述べる機会を与えなければならない。指定保税地域の指定の取消をしようとするときも、また同様とする。

4 大蔵大臣は、指定保税地域の指定又は指定の取消をしたときは、直ちにその旨を公告しなければならない。

 (指定保税地域の処分等)

第三十八条 指定保税地域の指定を受けた土地又は建設物その他の施設の所有者又は管理者は、左の各号に掲げる行為をしようとするときは、あらかじめ税関長に協議しなければならない。但し、所有者又は管理者が、国、地方公共団体及び日本国有鉄道以外の者である場合においては、税関長の承認を受けなければならない。

 一 当該土地又は建設物その他の施設の譲渡、交換、貸付その他の処分又はその用途の変更

 二 当該土地の工事又は当該土地内における建設物その他の施設の新築

 三 当該建設物その他の施設の改築、移転、撤去その他の工事

2 前項の場合において、税関長は、同項の協議又は承認の申請に係る行為が指定保税地域の利用を妨げず、且つ、この法律の実施を確保する上に支障がないと認めるときは、これについて同意し、又は承認しなければならない。

3 税関長は、指定保税地域において税関の事務を能率的に執行するため必要があると認めるときは、その所有者及び管理者の同意を得て、当該指定保税地域と当該指定保税地域以外の場所とを区別するため、当該指定保税地域にしよう壁その他これに類する施設を設けることができる。

4 指定保税地域の指定を受けた土地又は建設物その他の施設の所有者又は管理者は、正当な事由がなければ、外国貨物又は輸出しようとする貨物の積卸若しくは運搬をし、又はこれを置くことを拒むことができない。

 (入れることができる貨物)

第三十九条 税関長は、指定保税地域の目的を達成するため必要があると認めるときは、指定保税地域に入れることができる貨物の種類を定めることができる。

 (貨物の取扱)

第四十条 指定保税地域においては、外国貨物、輸入の許可を受けた貨物又は輸出しようとする貨物については、その積卸若しくは運搬をし、又はこれを置くことの外、左の各号に掲げる行為で税関長の許可を受けたものに限り行うことができる。

 一 内容の点検

 二 改装、仕分その他の手入

 三 見本の展示

 四 簡単な加工

 五 前各号に掲げるものに類する行為で税関長が指定したもの

2 税関長は、指定保税地域の利用を妨げず、且つ、この法律の実施を確保する上に支障がないと認めるときは、前項の許可をしなければならない。

 (指定の取消後における外国貨物)

第四十一条 指定保税地域の指定が取り消された場合において、その取消の際、当該指定保税地域に外国貨物があるときは、当該貨物については、税関長が指定する期間、その指定が取り消された場所を指定保税地域とみなす。

    第三節 保税上屋

 (保税上屋の許可)

第四十二条 保税上屋とは、外国貨物の積卸若しくは運搬をし、又はこれを一時置くことができる場所として、政令で定めるところにより、税関長が許可したものをいう。

2 前項の許可の期間は、十年をこえることができない。但し、政令で定めるところにより、十年以内の期間を定めてこれを更新することができる。

3 税関長は、第一項の許可又は前項但書の更新をしたときは、直ちにその旨を公告しなければならない。

 (許可の要件)

第四十三条 税関長は、左の各号の一に該当する場合においては、前条第一項の許可をしないことができる。

 一 前条第一項の許可を受けようとする者(以下この条において「申請者」という。)が保税上屋の許可を取り消された者であつて、その取り消された日から三年を経ない場合

 二 申請者がこの法律の規定に違反して刑に処せられ、又は通告処分を受け、その刑の執行を終り、若しくは執行を受けることがなくなつた日又はその通告の旨を履行した日から三年を経ない場合

 三 申請者がこの法律以外の法令の規定に違反して禁こ以上の刑に処せられ、その刑の執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経ない場合

 四 申請者が前三号の一に該当する者を役員とする法人である場合又はこれらの者を代理人、支配人その他の主要な従業者として使用する者である場合

 五 申請者の資力が薄弱であるためこの法律の規定により課される負担にたえないと認められる場合その他保税上屋の業務を遂行するのに充分な能力がないと認められる場合

 六 前条第一項の許可を受けようとする場所の位置又は設備が保税上屋として不適当であると認められる場合

 七 前条第一項の許可を受けようとする場所について保税上屋としての利用の見込又は価値が少いと認められる場合

 (貨物の収容能力の増減等)

第四十四条 保税上屋の許可を受けた者は、当該保税上屋の貨物の収容能力を増加し、若しくは減少し、又はその改築、移転その他の工事をしようとするときは、税関長の承認を受けなければならない。

2 第三十八条第二項(指定保税地域の処分等)の規定は、前項の承認について準用する。

 (許可を受けた者の関税の納付義務)

第四十五条 保税上屋にある外国貨物が亡失し、又は滅却されたときは、当該保税上屋の許可を受けた者から、直ちにその関税を徴収する。但し、外国貨物が災害その他やむを得ない事由に因り亡失した場合又はあらかじめ税関長の承認を受けて滅却された場合は、この限りでない。

2 税関長は、保税上屋にある外国貨物が腐敗し、若しくは変質し、又は他の外国貨物を害する虞がある等の事由に因りこれを滅却することがやむを得ないと認めるときは、前項但書の承認をしなければならない。

 (休業又は廃業の届出)

第四十六条 保税上屋の許可を受けた者は、許可の期間内に当該保税上屋の業務を休止し、又は廃止しようとするときは、あらかじめその旨を税関長に届け出なければならない。

 (許可の消滅)

第四十七条 保税上屋の許可は、左の各号に掲げる場合において消滅する。

 一 許可を受けた者が当該保税上屋の業務を廃止したとき。

 二 許可を受けた者が死亡し、又は解散したとき。

 三 許可を受けた者が破産の宣告を受けたとき。

 四 許可の期間が満了したとき。

 五 税関長が許可を取り消したとき。

2 保税上屋の許可が消滅したときは、税関長は、直ちにその旨を公告しなければならない。

3 保税上屋の許可が消滅した場合において、その消滅の際、当該保税上屋に外国貨物があるときは、当該貨物については、税関長が指定する期間、その許可が消滅した場所を保税上屋とみなす。この場合において、当該許可を受けていた者又はその相続人(許可を受けていた法人が合併に因り消滅した場合においては、合併後存続する法人又は合併に因り設立された法人)は、外国貨物を出し終るまでは、保税上屋についての義務を免かれることができない。

 (許可の取消)

第四十八条 税関長は、左の各号の一に該当する場合においては、期間を指定して外国貨物又は輸出しようとする貨物を保税上屋に入れることを停止させ、又は保税上屋の許可を取り消すことができる。

 一 許可を受けた者(その者が法人である場合においては、その役員を含む。)又はその代理人、支配人その他の従業者が保税上屋の業務についてこの法律の規定に違反したとき。

 二 許可を受けた者について第四十三条第三号から第七号まで(保税上屋の許可をしないことができる場合)のいずれかに該当することとなつたとき。

2 税関長は、前項の処分をしようとするときは、当該処分に係る保税上屋の許可を受けた者にあらかじめその旨を通知し、その者若しくはその代理人の出頭を求めて聴聞し、又はその他の方法により、釈明のための証拠を提出する機会を与えなければならない。

 (指定保税地域についての規定の準用)

第四十九条 第四十条(指定保税地域における貨物の取扱)(第一項第三号及び第四号を除く。)の規定は、保税上屋について準用する。

    第四節 保税倉庫

 (保税倉庫の許可)

第五十条 保税倉庫とは、外国貨物を置くことができる場所として、政令で定めるところにより、税関長が許可したものをいう。

 (外国貨物を置くことができる期間)

第五十一条 保税倉庫に外国貨物を置くことができる期間は、当該貨物を最初に保税倉庫に入れることが承認された日から二年とする。

 (外国貨物を入れることの承認)

第五十二条 保税倉庫に外国貨物を入れようとする者は、政令で定めるところにより、税関の承認を受けなければならない。

2 税関は、保税倉庫に外国貨物を入れることが他の法令の規定によりできない場合及び保税倉庫の利用を妨げる場合を除く外、前項の承認をしなければならない。

 (外国貨物を入れる際の検査)

第五十三条 外国貨物を自家用の保税倉庫に入れるときは、政令で定めるところにより、税関の検査を受けなければならない。

2 外国貨物を営業用の保税倉庫に入れるときは、政令で定めるところにより、税関の検査を受けることができる。

 (記帳義務)

第五十四条 保税倉庫の許可を受けた者は、当該保税倉庫にある外国貨物についての帳簿を設け、政令で定める事項を記載しなければならない。

 (指定保税地域及び保税上屋についての規定の準用)

第五十五条 第四十条(指定保税地域における貨物の取扱)(第一項第四号を除く。)、第四十二条第二項及び第三項(保税上屋の許可の期間及び公告)並びに第四十三条から第四十八条まで(保税上屋の許可の要件・貨物の収容能力の増減等・許可を受けた者の関税の納付義務・休業又は廃業の届出・許可の消滅・許可の取消)の規定は、保税倉庫について準用する。

    第五節 保税工場

 (保税工場の許可)

第五十六条 保税工場とは、外国貨物についての加工若しくはこれを原料とする製造(混合を含む。)又は外国貨物に係る改装、仕分その他の手入(以下これらの加工若しくは製造又は改装、仕分その他の手入を「保税作業」という。)をすることができる場所として、政令で定めるところにより、税関長が許可したものをいう。

 (外国貨物を置くことができる期間)

第五十七条 保税工場に保税作業のため外国貨物を置くことができる期間は、当該保税工場に入れることが承認された日から一年とする。

2 税関長は、特別の事由があると認めるときは、申請により、前項の期間を延長することができる。但し、通じて三年をこえることができない。

 (保税作業の届出)

第五十八条 保税工場において保税作業をしようとする者は、その開始及び終了の際、その旨を税関に届け出なければならない。但し、第四条第二号(原料課税)の規定により承認を受けた場合における保税作業の開始については、この限りでない。

 (内国貨物の使用等)

第五十九条 保税工場における保税作業(改装、仕分その他の手入を除く。)に外国貨物と内国貨物とを使用したときは、これによつてできた製品は、外国から本邦に到着した外国貨物とみなす。

2 政令で定めるところにより、税関長の承認を受けて、外国貨物と内国貨物とを混じて使用したときは、前項の規定にかかわらず、これによつてできた製品のうち当該外国貨物の数量に対応するものを外国から本邦に到着した外国貨物とみなす。

 (加算税額)

第六十条 第四条第二号(原料課税)の規定により承認を受けた外国貨物で、その承認の日の翌日から百日を経過した日後輸入されるものについては、その関税を徴収する際、当該関税額の外、その経過した日から輸入の許可の日までの日数に応じ当該関税額百円につき一日二銭の割合を乗じて計算した金額に相当する加算税額をあわせて徴収する。

2 第十二条第三項及び第四項(利子税額についての端数の切捨)の規定は、前項の加算税額について準用する。

 (保税工場外における保税作業)

第六十一条 税関長は、加工貿易の振興に資し、且つ、この法律の実施を確保する上に支障がないと認めるときは、政令で定めるところにより、期間及び場所を指定し、保税工場にある外国貨物について保税作業をするため、これを保税工場以外の場所に出すことを許可することができる。

2 税関長は、前項の許可をする場合において、必要があると認めるときは、その許可に係る外国貨物の関税額に相当する担保を提供させることができる。

3 第一項の規定により許可を受けて保税工場から出そうとする外国貨物が第四条第二号(原料課税)に規定する承認に係る貨物以外のものである場合においては、これを出す際に、税関の検査を受けなければならない。

4 第一項の許可を受けて同項の規定により指定された場所に出されている外国貨物は、同項の規定により指定された期間が満了するまでは、その出された保税工場にあるものとみなす。

5 第一項の規定により指定された期間が経過した場合において、その指定された場所に同項の規定により許可を受けた外国貨物又はその製品があるときは、当該貨物がその指定された場所に出された保税工場の許可を受けた者から、直ちにその関税を徴収する。

 (保税上屋及び保税倉庫についての規定の準用)

第六十二条 第四十二条第二項(保税上屋の許可の期間)、第四十三条から第四十八条まで(保税上屋の許可の要件・貨物の収容能力の増減等・許可を受けた者の関税の納付義務・休業又は廃業の届出・許可の消滅・許可の取消)、第五十二条(保税倉庫に外国貨物を入れることの承認)、第五十三条第一項(保税倉庫に外国貨物を入れる際の検査)及び第五十四条(保税倉庫の記帳義務)の規定は、保税工場について準用する。この場合において、第四十八条第一項中「保税上屋に入れることを停止させ」とあるのは「保税工場に入れ、若しくは保税工場において保税作業をすることを停止させ」と、第五十三条第一項中「自家用の保税倉庫」とあるのは「保税工場」と読み替えるものとする。

   第五章 運送

 (保税運送)

第六十三条 外国貨物(郵便物及び政令で定めるその他の貨物を除く。以下この章において同じ。)は、開港、税関空港、保税地域、税関官署及び第三十条第二号(許可を受けて保税地域外に置く外国貨物)の規定により税関長が指定した場所相互間に限り、外国貨物のまま運送することができる。この場合においては、その運送をしようとする者は、税関に申告し、貨物の検査を経て、その承認を受けなければならない。

2 税関長は、前項の場合において必要があると認めるときは、関税額に相当する担保を提供させることができる。

3 第一項の運送に際しては、政令で定めるところにより、運送目録を税関に呈示し、その確認を受けなければならない。

4 税関は、第一項の承認をする場合においては、相当と認められる運送の期間を指定しなければならない。この場合において、その指定後災害その他やむを得ない事由が生じたため必要があると認めるときは、税関は、その指定した期間を延長することができる。

5 第一項の規定により承認を受けた外国貨物が運送先に到着したときは、その承認を受けた者は、第三項の規定により確認を受けた運送目録を、直ちに到着地の税関に提出しなければならない。

 (難破貨物等の運送)

第六十四条 左の各号に掲げる外国貨物は、前条第一項前段の規定にかかわらず、そのある場所から開港、税関空港、保税地域又は税関官署に外国貨物のまま運送することができる。この場合においては、その運送をしようとする者は、税関(税関が設置されていない場所においては税関職員)の承認を受けなければならない。但し、税関が設置されていない場所から運送をすることについて緊急な必要がある場合において、税関職員がいないときは、警察官にあらかじめその旨を届け出なければならない。

 一 難破貨物

 二 運航の自由を失つた船舶又は航空機に積まれていた貨物

 三 仮に陸揚された貨物

2 前条第四項の規定は、前項の承認について準用する。

3 第一項の承認を受け、又は同項の届出をした外国貨物が運送先に到着したときは、その承認を受け、又は届出をした者は、当該承認又は届出を証する書類を、直ちに到着地の税関に提出しなければならない。

 (運送の期間の経過に因る関税の徴収)

第六十五条 第六十三条第一項(保税運送)又は前条第一項の規定により運送の承認を受けて運送された外国貨物がその指定された運送の期間内に運送先に到着しないときは、運送の承認を受けた者から、直ちにその関税を徴収する。但し、当該貨物が災害その他やむを得ない事由に因り亡失した場合又はあらかじめ税関長の承認を受けて滅却された場合は、この限りでない。

2 第四十五条第二項(保税上屋の許可を受けた者の関税の納付義務の免除)の規定は、前項但書の承認について準用する。

 (内国貨物の運送)

第六十六条 内国貨物を外国貿易船等に積んで本邦内の場所相互間を運送しようとする者は、税関に申告してその承認を受けなければならない。

2 前項の承認を受けた貨物が運送先に到着したときは、その承認を受けた者は、当該承認を証する書類を、直ちに到着地の税関に提出しなければならない。

   第六章 通関

 (輸出又は輸入の許可)

第六十七条 貨物を輸出し、又は輸入しようとする者は、政令で定めるところにより、税関に申告し、貨物の検査を経て、その許可を受けなければならない。

 (輸出申告又は輸入申告に際しての提出書類)

第六十八条 輸出申告又は輸入申告に際しては、仕入書を税関に提出しなければならない。但し、税関においてこれを提出することができない事由があると認める場合は、この限りでない。

2 前項の仕入書により輸入貨物の課税価格を決定することが困難であると認められるとき、又は同項但書に該当するときは、税関は、契約書その他課税価格の決定のため必要な書類で政令で定めるものを提出させることができる。

 (貨物の検査場所)

第六十九条 第六十七条(輸出又は輸入の許可)の検査は、税関長が指定した場所で行うものとする。

2 前項の規定により指定された場所以外の場所で第六十七条(輸出又は輸入の許可)の検査を受けようとする者は、税関長の許可を受けなければならない。

3 税関長は、貨物の性質又は数量により税関長が指定した場所で検査をすることが不適当であり、且つ、検査を能率的に行うのに支障がないと認めるときは、前項の許可をしなければならない。

 (証明又は確認)

第七十条 他の法令の規定により輸出又は輸入に関して許可、承認その他の行政機関の処分又はこれに準ずるもの(以下この項において「許可、承認等」という。)を必要とする貨物については、輸出申告又は輸入申告の際、当該許可、承認等を受けている旨を税関に証明しなければならない。

2 他の法令の規定により輸出又は輸入に関して検査又は条件の具備を必要とする貨物については、第六十七条(輸出又は輸入の許可)の検査の際、当該法令の規定による検査の完了又は条件の具備を税関に証明し、その確認を受けなければならない。

3 第一項の証明がされず、又は前項の承認を受けられない貨物については、輸出又は輸入を許可しない。

 (原産地を偽つた表示がされている貨物の輸入)

第七十一条 原産地について直接又は間接に偽つた表示がされている外国貨物については、輸入を許可しない。

2 税関は、前項の外国貨物については、その原産地の表示に偽りがある旨を輸入申告をした者に、直ちに通知し、期間を指定して、その者の選択により、その表示を消させ、若しくは訂正させ、又は当該貨物を積みもどさせなければならない。

 (関税の納付と輸入の許可)

第七十二条 関税を納付すべき外国貨物については、関税が納付された後(第十条第二項(担保を提供した場合の充当又は徴収)の規定により担保として提供された金銭又は金銭以外の担保物の公売の代金をもつて関税に充てる場合においては、その手続が完了した後)でなければ、輸入を許可しない。

 (輸入の許可前における貨物の引取)

第七十三条 外国貨物を輸入申告の後輸入の許可前に引き取ろうとする者は、関税額に相当する担保を提供して税関長の承認を受けなければならない。

2 輸入の許可を与えることができない場合(前条の規定による場合を除く。)においては、税関長は、前項の承認をしてはならない。

3 第一項の承認を受けた外国貨物は、この法律の適用については、第四条(課税物件の確定)、第五条(適用法令)、第三十一条(貨物の出し入れ)、第三十三条(執務時間外の貨物の出し入れ又は取扱)、第四十条(指定保税地域における貨物の取扱)(第四十九条(保税上屋)及び第五十五条(保税倉庫)において準用する場合を含む。)、前条、第百五条(税関職員の権限)及び第百六条(特別の場合における税関長の権限)を除く外、内国貨物とみなす。

 (輸入を許可された貨物とみなすもの)

第七十四条 外国貨物で、郵政官署から交付された郵便物(政令で定めるものを除く。)、第八十四条第一項から第三項まで(収容貨物の公売又は売却)(第八十八条(留置貨物)及び第百三十三条第三項(領置物件又は差押物件)において準用する場合を含む。)若しくは第百三十三条第二項(領置物件又は差押物件の公売)の規定により公売に付され、若しくは随意契約により売却されて買受人が買い受けたもの、第百十八条第一項(没収)若しくは関税定率法第二十一条第二項(輸入禁制品の処分)の規定により没収されたもの、第百三十四条第三項(領置物件又は差押物件の帰属)の規定により国庫に帰属したもの又は第百三十八条第一項(通告処分)の規定により納付されたものは、この法律の適用については、輸入を許可された貨物とみなす。

 (外国貨物の積みもどし)

第七十五条 本邦から外国に向けて行う外国貨物(仮に陸揚された貨物を除く。)の積みもどしには、第六十七条から第七十条まで(輸出又は輸入の許可・輸出申告又は輸入申告に際しての提出書類・貨物の検査場所・証明又は確認)の規定を準用する。

 (郵便物の輸出入の簡易手続)

第七十六条 第六十七条から第七十三条まで(輸出又は輸入の許可・輸出申告又は輸入申告に際しての提出書類・貨物の検査場所・証明又は確認・原産地を偽つた表示がされている貨物の輸入・関税の納付と輸入の許可・輸入の許可前における貨物の引取)及び前条の規定は、郵便物については適用しない。但し、輸出され、又は輸入される郵便物中にある信書以外の物は、政令で定めるところにより、税関の検査を受けるものとする。

2 税関職員は、前項但書の検査をするに際しては、信書の秘密を侵してはならない。

3 郵政官署は、第一項但書の規定により検査を受けるべき郵便物を受け取つたときは、その旨を税関に通知しなければならない。

4 第七十条(証明又は確認)の規定は、第一項但書の規定により検査を受ける郵便物について準用する。この場合において、同条第一項中「輸出申告又は輸入申告」とあり、又は同条第二項中「第六十七条(輸出又は輸入の許可)の検査」とあるのは、「第七十六条第一項但書の検査」と、同条第三項中「輸出又は輸入を許可しない。」とあるのは「郵政官署は、その郵便物を発送し、又は名あて人に交付しない。」と読み替えるものとする。

 (郵便物の関税の納付等)

第七十七条 関税を納付すべき物を内容とする郵便物があるときは、税関は、その関税額を郵政官署に通知しなければならない。

2 郵政官署は、前項の通知を受けたときは、郵便物を交付する前に、その関税額を名あて人に通知しなければならない。

3 前項の郵便物を受け取ろうとする者は、政令で定める場合を除く外、郵政官署に申し出て、印紙をもつてその関税を納付しなければならない。

 (原産地を偽つた表示がされている郵便物)

第七十八条 輸入される郵便物中にある信書以外の物にその原産地について直接又は間接に偽つた表示がされているときは、税関は、その旨を郵政官署に通知しなければならない。

2 郵政官署は、前項の通知を受けたときは、名あて人に、その選択により、同項の表示を消させ、又は訂正させなければならない。

3 名あて人が第一項の表示を消し、又は訂正しないときは、郵政官署は、その郵便物を交付してはならない。

   第七章 収容及び留置

 (貨物の収容)

第七十九条 税関は、保税地域の利用についてその障害を除き、又は関税の徴収を確保するため、左の各号に掲げる貨物を収容することができる。この場合においては、税関は、故意又は過失に因り損害を与えた場合を除く外、その危険を負担しない。

 一 指定保税地域又は保税上屋にある外国貨物で、当該指定保税地域又は保税上屋に入れた日から十五日を経過したもの

 二 保税倉庫にある外国貨物で、第五十一条(保税倉庫に外国貨物を置くことができる期間)に規定する期間を経過したもの

 三 保税工場にある外国貨物で、第五十七条(保税工場に外国貨物を置くことができる期間)に規定する期間を経過したもの

 四 第四十一条(指定保税地域の指定の取消後における外国貨物)又は第四十七条第三項(保税上屋の許可の消滅後における外国貨物)(第五十五条(保税倉庫)及び第六十二条(保税工場)において準用する場合を含む。)の規定により指定保税地域又は保税上屋、保税倉庫若しくは保税工場とみなされた場所にある外国貨物で、これらの規定により税関長が指定する期間を経過したもの

 五 第三十条第二号(許可を受けて保税地域外に置く外国貨物)の規定により許可を受け、指定された場所にある外国貨物で、同号の規定により指定された期間を経過したもの

 六 保税地域にある貨物のうち、第百六条第一号(特別の場合における税関長の権限)の規定により当該保税地域から出すことを命ぜられたもので、同号の規定により税関長が指定した期間を経過したもの

 七 第八十三条第一項(収容の解除)の規定による承認を受け、その際置かれていた場所にある貨物で、その承認の日から三日(その期間中に日曜日又は休日がある場合においては、これらの日を除く。)を経過したもの(第八十条第三項但書(収容された貨物の保管)の規定により保管された外国貨物で、第六十七条(輸出又は輸入の許可)の許可又は第七十三条第一項(輸入の許可前における貨物の引取)の承認を受けたものを除く。)

2 前項各号に掲げる貨物が生活力を有する動植物であるとき、腐敗し、若しくは変質したとき、腐敗若しくは変質の虞があるとき、又は他の外国貨物を害する虞があるときは、同項各号に掲げる期間は、短縮することができる。

3 税関は、第一項又は前項の規定により貨物を収容したときは、政令で定めるところにより、直ちにその旨を公告しなければならない。この場合において、前項の規定による期間の短縮があるときは、税関は、収容された貨物の知れている所有者、管理者その他の利害関係者にその旨を通知しなければならない。

 (収容の方法)

第八十条 収容は、税関が貨物を占有して行うものとする。

2 収容される貨物の質権者又は留置権者は、他の法令の規定にかかわらず、その貨物を税関に引き渡さなければならない。

3 収容された貨物は、税関が管理する場所に保管する。但し、その場所に保管することが困難又は不適当であると認められる貨物については、その貨物が置かれている場所の管理者の承諾を得て、その者に保管させることができる。この場合においては、税関は、封印その他の方法でその貨物が収容されたものであることを明らかにしなければならない。

 (収容の効力)

第八十一条 収容の効力は、収容された貨物から生ずる天然の果実に及ぶものとする。

2 収容は、裁判上の仮差押又は仮処分によつてその執行を妨げられない。

 (収容課金)

第八十二条 収容された貨物については、貨物の種類、容積又は重量及び収容期間を基準として政令で定める額の収容課金を課する。

 (収容の解除)

第八十三条 収容された貨物についてその解除を受けようとする者は、政令で定めるところにより、収容に要した費用及び収容課金を税関に納付してその承認を受けなければならない。

2 税関は、収容された貨物の引取が確実であると認められるときは、前項の承認をしなければならない。

 (収容貨物の公売又は売却等)

第八十四条 収容された貨物が最初に収容された日から四月を経過してなお収容されているときは、税関は、政令で定めるところにより、公告した後当該貨物を公売に付する。この場合において、公売に付される貨物について第二項の規定による期間の短縮があるときは、第七十九条第三項後段(収容の通知)の規定を準用する。

2 収容された貨物が生活力を有する動植物であるとき、腐敗し、若しくは変質したとき、腐敗若しくは変質の虞があるとき、又は他の外国貨物を害する虞があるときは、前項の期間は、短縮することができる。

3 税関長は、収容された貨物が公売に付することができないものであるとき、又は公売に付された場合において買受人がないときは、政令で定めるところにより、これを随意契約により売却することができる。

4 第一項若しくは第二項又は前項の規定により第七十一条第一項(原産地を偽つた表示がされている貨物)の貨物を公売に付し、又は随意契約により売却する場合においては、税関は、原産地を偽つた表示を消さなければならない。

5 税関長は、収容された貨物で人の生命又は財産を害する急迫した危険を生ずる虞があるものを廃棄することができる。

6 第八十一条第二項(収容と仮差押又は仮処分)の規定は、第一項若しくは第二項又は第三項の規定による公売又は随意契約による売却について準用する。

 (公売代金等の充当及び供託)

第八十五条 前条第一項若しくは第二項又は第三項の規定により貨物を公売に付し、又は随意契約により売却した場合においては、その代金をもつて公売又は随意契約による売却に要した費用、収容に要した費用、収容課金、関税及びその他の国税に、順次に充て、なお残金があるときは、政令で定めるところにより、公売又は随意契約による売却の際における当該貨物の所有者のために、これを供託する。

2 前条第一項若しくは第二項又は第三項の規定により公売に付され、又は随意契約により売却された貨物について、その収容の際、質権又は留置権を有していた者は、前項の規定により供託された残金について、他の債権者に先だつて、当該貨物について要した保管料、立替金その他の費用の弁済を受けることができる。この場合においては、その者は、民法第三百三十条(動産の先取特権の順位)に掲げる第一順位の先取特権者と同一順位の権利を有する。

 (旅客等の携帯品の留置)

第八十六条 旅客又は乗組員の携帯品が第七十条第三項(証明又は確認ができない貨物)の規定に該当する貨物であるときは、税関は、留置証と引換にこれを留置することができる。

2 前項の規定により留置された貨物の返還を受けようとする者は、その留置に要した費用を税関に納付しなければならない。

 (原産地を偽つた表示がされている貨物の留置)

第八十七条 税関は、第七十一条第一項(原産地を偽つた表示がされている貨物)の貨物について当該貨物の輸入申告をした者が同条第二項の規定により指定された期間内に原産地を偽つた表示を消し、若しくは訂正し、又は当該貨物を積みもどさないときは、これを留置する。

2 前項の規定により留置された貨物は、政令で定めるところにより、原産地を偽つた表示が消され、若しくは訂正され、又は当該貨物が積みもどされると認められる場合に限り返還する。

3 前条第二項の規定は、前項の返還について準用する。

 (収容についての規定の準用)

第八十八条 第七十九条第一項後段(収容貨物についての危険の負担)、第八十条(収容の方法)、第八十一条(収容の効力)、第八十四条(収容貨物の公売又は売却等)及び第八十五条(公売代金等の充当及び供託)の規定は、前二条の留置について準用する。

   第八章 異議の申立、審査の請求及び訴願

 (異議の申立)

第八十九条 第三章から前章まで(船舶及び航空機・保税地域・運送・通関・収容及び留置)又は第九章(雑則)の規定による税関長又は税関職員の処分(関税の賦課又は徴収に関する処分を除く。)について不服がある者は、当該処分に係る通知を受けた日(処分について通知がない場合においては、処分があつたことを知つた日)から一月以内に、不服の事由を記載した書面をもつて、当該処分をした税関長(処分をした者が税関長以外の税関職員である場合においては、当該職員が属する税関の税関長とする。以下第九十条第一項(審査の請求)において同じ。)に対して異議の申立をすることができる。

2 税関長は、通信、交通その他の状況に因り前項の期間内に異議の申立をすることができないことについてやむを得ない事由があると認める者については、同項の期間を延長することができる。

3 税関長は、第一項の異議の申立があつたときは、当該申立があつた日から一月以内に、その申立をした者又はその代理人の出頭を求めて聴聞し、又はその他の方法により、不服の事由を説明する機会を与えて、当該申立に対する決定をし、その理由を附記した書面により、これをその申立をした者に通知しなければならない。

 (審査の請求)

第九十条 関税の賦課若しくは徴収に関する処分又は滞納処分(国税徴収の例により関税を徴収する場合における滞納処分をいう。以下同じ。)について不服がある者は、当該処分に係る通知を受けた日(処分について通知がない場合においては、処分があつたことを知つた日)から一月以内に、政令で定めるところにより、不服の事由を記載した書面をもつて、当該処分をした税関長に対して審査の請求をすることができる。

2 前条第二項の規定は、前項の規定による審査の請求について準用する。

3 税関長は、第一項の審査の請求があつた場合において、その請求の方式又は手続に不備があるときは、相当と認められる期間を指定してその補正をさせることができる。

 (審査の決定)

第九十一条 税関長は、前条第一項の審査の請求があつた場合において、左の各号の一に該当するときは、当該請求があつた日から一月以内に、当該各号に定める決定をし、その理由を附記した書面により、これをその請求をした者に通知しなければならない。

 一 審査の請求が前条第一項の期間の経過後にされたとき、又は同条第三項の規定により税関長が補正を求めた場合において同項の期間内に補正がされなかつたとき 当該請求を却下する決定

 二 審査の請求の全部についてその理由がないと認めるとき 当該請求を棄却する決定

 三 審査の請求の全部又は一部についてその理由があると認めるとき 当該請求の目的となつた処分の全部叉は一部を取り消す決定

 (審査の請求と処分の執行)

第九十二条 審査の請求は、関税についての処分の執行を停止しない。但し、税関長は、相当の事由があると認めるときは、関税の全部若しくは一部の徴収を猶予し、又は滞納処分の執行を停止することができる。

 (訴願)

第九十三条 第九十一条(審査の決定)の規定による決定に対し不服がある者は、決定の通知を受けた日から一月以内に、不服の事由を記載した書面をもつて、大蔵大臣に対して訴願をすることができる。

2 第八十九条第二項(異議の申立の期間の延長)、第九十条第三項(審査の請求の方式等の補正)及び前条の規定は、前項の訴願について準用する。

 (訴願の裁決)

第九十四条 大蔵大臣は、前条第一項の訴願があつたときは、関税訴願審査会に諮問して裁決する。

 (関税訴願審査会)

第九十五条 前条の規定による諮問に応じ訴願について調査審議するため、大蔵省の附属機関として、関税訴願審査会を置く。

2 関税訴願審査会は、会長及び委員八人以内で組織する。

3 会長及び委員は、学識経験がある者又は関係行政機関の職員のうちから大蔵大臣が任命し、その任期は二年とする。但し、欠員が生じた場合の後任の会長又は補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 会長及び委員は、再任することができる。

5 会長は、関税訴願審査会の会務を総理する。会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員がその職務を代理する。

6 会長及び委員は、非常勤とする。

7 会長及び委員は、自己の利害に関係する議事に参与することができない。

8 前各項に規定するものを除く外、関税訴願審査会の運営について必要な事項は、政令で定める。

   第九章 雑則

 (開港及び税関空港)

第九十六条 開港の港域は、政令で定めるものを除く外、港域法(昭和二十三年法律第百七十五号)で定めるところにより、税関空港の港域は、政令で定めるところによる。

2 開港は、開港となつた年の翌年以後において左の各号の一に該当するに至つたときは、開港でなくなるものとする。この場合においては、大蔵大臣は、直ちにその旨を告示しなければならない。

 一 一年を通じて当該開港において貨物の輸出(第七十五条(外国貨物の積みもどし)に規定する積みもどしを含む。以下この項、第百一条第一項(手数料の軽減又は免除)及び第百二条第一項(証明又は計表の交付)において同じ。)及び輸入がなく、且つ、外国貿易船の入港及び出港がないとき。

 二 一年を通じて当該開港において輸出され、又は輸入された貨物の価額の合計額が五千万円をこえず、且つ、外国貿易船の入港隻数及び出港隻数の合計数が二十五隻に達しないことが引き続き二年に及んだとき。

3 前項各号の期間は、一月一日を起算日として計算する。

4 開港が第二項の規定により開港でなくなつたときは、最近の機会において別表第一の整理をするものとする。

 (警察官等の通報)

第九十七条 警察官は、第二十条第二項(事故に因る不開港への入港)、第二十一条(外国貨物の仮陸揚)、第二十三条第一項但書(船用品又は機用品の積込)又は第六十四条第一項但書(難破貨物等の運送)の規定による届出を受理したときは、直ちにその旨を税関に通報しなければならない。

2 市町村長が、水難救護法(明治三十二年法律第九十五号)の規定により公売し、売却を認可し、又は引き渡す場合、警察署長が、遺失物法(明治三十二年法律第八十七号)の規定により返還し、売却し、又は引き取らせる場合その他税関職員以外の公務員が物件を処分する場合において、その処分する物件中に外国貨物があるときは、あらかじめその旨を税関に通知しなければならない。

 (臨時開庁)

第九十八条 日曜日、休日又はこれらの日以外の日の税関の執務時間外において、税関の政令で定める臨時の執務を求めようとする者は、税関長の承認を受けなければならない。

2 税関長は、税関の事務の執行上支障がないと認めるときは、前項の承認をしなければならない。

 (承認又は許可の基準)

第九十九条 第十六条第一項(積荷目録提出前の貨物の積卸)、第五十九条第二項(保税工場における外国貨物と内国貨物とを混ずる使用)、第六十三条第一項(保税運送)、第六十四条第一項(難破貨物等の運送)若しくは第六十六条第一項(内国貨物の運送)の承認又は第十七条(出港手続)、第十九条(執務時間外の貨物の積卸)、第二十条第一項(不開港への出入)、第二十四条(船舶又は航空機と陸地との交通等)、第三十条第二号(許可を受けて保税地域外に置く外国貨物)、第三十二条(見本の一時持出)(第三十六条(許可を受けて保税地域外に置く外国貨物)において準用する場合を含む。)若しくは第三十三条(執務時間外の貨物の出し入れ又は取扱)(第三十六条において準用する場合を含む。)の許可は、この法律の実施を確保する上に支障がないと認められるときは、これをしなければならない。

 (手数料)

第百条 左の各号に掲げる許可又は承認を受ける者は、当該各号に規定する事項を基準として政令で定める額の手数料を、政令で定めるところにより、税関に納付しなければならない。

 一 第十九条(執務時間外の貨物の積卸)若しくは第三十三条(執務時間外の貨物の出し入れ又は取扱)(第三十六条(許可を受けて保税地域外に置く外国貨物)において準用する場合を含む。)の許可又は第九十八条第一項(臨時開庁)の承認 日曜日、休日又はこれらの日以外の日の税関の執務時間外において税関職員が当該許可又は承認により執務する時間

 二 第二十条第一項(不開港への出入)の許可 外国貿易船の純トン数又は外国貿易機の自重

 三 第四十二条第一項(保税上屋)、第五十条(保税倉庫)又は第五十六条(保税工場)の許可 当該許可に係る保税上屋、保税倉庫又は保税工場の種別、延坪数及び許可の期間並びに当該保税上屋、保税倉庫又は保税工場において行う税関の事務の種類

 四 第六十九条第二項(指定地外検査)(第七十五条(外国貨物の積みもどし)において準用する場合を含む。)の許可 当該許可に係る検査に要する時間

 (手数料の軽減又は免除)

第百一条 税関長は、指定保税地域の利用の増加を図り、又は輸出の振興に資するため特に必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、指定保税地域について第三十三条(執務時間外の貨物の出し入れ又は取扱)の許可を受けた者又は第四十二条第一項(保税上屋)、第五十条(保税倉庫)若しくは第五十六条(保税工場)の許可を受けた者が前条の規定により納付すべき手数料を軽減し、又は免除することができる。

2 税関長は、第四十二条第一項(保税上屋)、第五十条(保税倉庫)又は第五十六条(保税工場)の許可を受けた者が第四十六条(保税上屋の休業又は廃業の届出)(第五十五条(保税倉庫)及び第六十二条(保税工場)において準用する場合を含む。)の規定により業務の休止を届け出たときは、政令で定めるところにより、前条の規定により納付すべき手数料を免除することができる。

 (証明又は計表の交付及び統計)

第百二条 税関は、税関の事務についての証明書類又は左の各号に掲げる事項についての計表の交付を請求する者があるときは、政令で定めるところにより、これを交付しなければならない。

 一 輸出され、又は輸入された貨物

 二 入港し、又は出港した外国貿易船等

 三 前二号に掲げるものを除く外、外国貿易についての事項で政令で定めるもの

2 前項の証明書類又は計表の交付を請求する者は、政令で定めるところにより、証明書類又は計表の枚数を基準として定められる手数料を納付しなければならない。

3 税関は、第一項各号に掲げる事項についての統計を作成しなければならない。

4 大蔵大臣は、前項の統計を集計し、政令で定めるところにより、定期的に公表しなければならない。

 (買受人の制限)

第百三条 関税の担保物、収容され、留置され、若しくは没収された貨物、領置物件又は差押物件で、税関において公売に付され、又は随意契約により売却されるものについては、税関職員及びその所有者は、いずれの方法によつてもこれを買い受けることができない。

 (武器の携帯及び使用)

第百四条 税関職員は、この法律の規定に基いて貨物の輸出若しくは輸入についての取締又は犯則事件についての調査を行うに当り、特に必要があるときは、当分の間、小型の武器を携帯することができる。

2 税関職員は、前項の取締又は調査を行うに当り、特に自己若しくは他人の生命若しくは身体の保護又は公務の執行に対する抵抗の抑止のため、やむを得ない必要があると認める相当の事由がある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、同項の武器を使用することができる。

 (税関職員の権限)

第百五条 税関職員は、この法律(第十一章(犯則事件の調査及び処分)を除く。)又は関税定率法の規定により職務を執行するため必要があるときは、その必要と認められる範囲内において、左の各号に掲げる行為をすることができる。

 一 外国貿易船等、外国貿易船等以外の船舶若しくは航空機若しくは車両で外国貨物を積んでいるもの、これらに積まれている貨物、保税地域にあり、若しくは保税地域に出し入れされる貨物又はこれらの貨物以外の外国貨物について、所有者、占有者、管理者、船長、機長、運送人その他の関係者に質問し、若しくは検査し、又はこれらに代えて関係書類を呈示させ、若しくは提出させること

 二 前号に掲げる貨物についての帳簿書類を検査し、又は当該貨物若しくはそのある場所に封かんを施すこと

 三 第五十三条(保税倉庫に外国貨物を入れる際の検査)(第六十二条(保税工場)において準用する場合を含む。)、第六十一条第三項(保税作業のため保税工場から出す外国貨物の検査)、第六十三条第一項(保税運送)、第六十七条(輸出又は輸入の許可)(第七十五条(外国貨物の積みもどし)において準用する場合を含む。)又は第七十六条第一項但書(郵便物の検査)に規定する検査に際し、見本を採取し、又は提供させること

 四 外国貿易船等若しくは外国貨物を積み、若しくは積み込もうとしている外国貿易船等以外の船舶若しくは航空機に乗り込み、又は保税地域に出入する車両の運行を一時停止させること

 五 関税定率法第十三条第一項(製造用原料品の減税又は免税)、第十八条第一項(船舶の建造又は修繕用貨物の免税)又は第十九条第一項(輸出貨物の製造用原料品の減税又は免税)の規定により関税の軽減若しくは免除を受けた貨物、その製品若しくは製造用機械器具又はこれらについての帳簿書類を検査すること

 六 関税定率法第九条第一項(不当廉売関税)に規定する不当廉売された貨物の輸入又は輸入された貨物の不当廉売について、その輸入者、不当廉売者その他の関係者に質問し、又はこれらの貨物若しくはこれらの貨物についての帳簿書類を検査すること

2 税関職員は、前項の規定により職務を執行するときは、制服を着用し、且つ、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があるときは、これを呈示しなければならない。

3 第一項の規定による質問又は検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (特別の場合における税関長の権限)

第百六条 税関長は、この法律の実施を確保するためやむを得ない必要があると認める相当の事由があるときは、左の各号に掲げる行為をすることができる。

 一 外国貿易船等若しくは外国貿易船等以外の船舶若しくは航空機で外国貨物を積んでいるものへの貨物の積卸若しくは保税地域にある貨物の取扱を一時停止させ、又は期間を指定して保税地域にある貨物を出させること

 二 船舶又は航空機の出発を一時延期させ、又は航行を一時停止させること

 (税関長の権限の委任)

第百七条 税関長は、政令で定めるところにより、その権限の一部を税関支署長に委任することができる。

 (外国とみなす地域)

第百八条 この法律の適用については、政令で定める本邦の地域は、当分の間、外国とみなす。

   第十章 罰則

第百九条 関税定率法第二十一条第一項(輸入禁制品)に掲げる貨物を輸入した者は、五年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2 前項の罪を犯す目的をもつてその予備をした者又は同項の犯罪の実行に着手してこれを遂げない者についても、同項の例による。

第百十条 左の各号の一に該当する者は、五年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 詐偽その他不正の行為により関税を免かれ、又は関税の払いもどしを受けた者

 二 関税を納付すべき貨物について詐偽その他不正の行為により関税を納付しないで輸入した者

2 前項の罪を犯す目的をもつてその予備をした者又は同項の犯罪の実行に着手してこれを遂げない者についても、同項の例による。

3 前二項の犯罪に係る関税又は関税の払いもどしの額(当該犯罪に係る貨物が関税定率法別表輸入税表第千二百十一号第二項に掲げる貴石である場合においては、その貨物について同法第四条(課税価格)の規定により計算した価格とする。以下この項及び第百十二条第二項(密輸貨物の運搬等をする罪)において同じ。)の十倍が五十万円をこえる場合においては、情状により、前二項の罰金は、五十万円をこえ、当該関税又は関税の払いもどしの額の十倍に相当する金額以下とすることができる。

第百十一条 許可を受けないで貨物を輸出(本邦から外国に向けて行う外国貨物(仮に陸揚された貨物を除く。)の積みもどしを含む。)し、又は輸入した者は、三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2 前項の罪を犯す目的をもつてその予備をした者又は同項の犯罪の実行に着手してこれを遂げない者についても、同項の例による。

第百十二条 第百九条第一項(禁制品を輸入する罪)又は第百十条第一項(関税を免かれる等の罪)の犯罪に係る貨物について、情を知つてこれを運搬し、保管し、有償若しくは無償で取得し、又は処分の媒介若しくはあつせん(以下この条においてこれらの行為を「運搬等」という。)をした者は、三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2 前項の犯罪に係る貨物についての第百十条第一項(関税を免かれる等の罪)の犯罪に係る関税又は関税の払いもどしの額の五倍が三十万円をこえる場合においては、情状により、前項の罰金は、三十万円をこえ、当該関税又は関税の払いもどしの額の五倍に相当する金額以下とすることができる。

  前条第一項の犯罪に係る貨物について情を知つて運搬等をした者は、二年以下の懲役若しくは二十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第百十三条 第二十条第一項(不開港出入の許可)の規定に違反した船長又は機長(船長又は機長に代つてその職務を行う者を含む。以下第百十四条第一号及び第三号(貨物と符合しない積荷目録を提出する等の罪)並びに第百十五条第一号(入出港の簡易手続の規定に違反する罪)において同じ。)は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

第百十四条 左の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。

 一 第十五条(入港手続)の規定により積荷目録を提出すべき場合において、貨物と符合しない積荷目録を提出した船長又は機長

 二 第六十七条(輸出又は輸入の許可)(第七十五条(外国貨物の積みもどし)において準用する場合を含む。)の申告若しくは検査に際し、偽つた申告若しくは証明をし、若しくは偽つた書類を提出した者又は第七十六条第一項但書(郵便物の検査)の検査に際し、偽つた証明をした者

 三 第十五条(入港手続)、第十七条(出港手続)、第二十条第二項(事故に因り不開港に入港したときの届出)、第二十一条(外国貨物の仮陸揚)、第二十二条(沿海通航船等の外国寄港の届出等)、第二十三条第一項(船用品又は機用品の積込)又は第二十五条(船舶又は航空機の資格の変更)の規定に違反した船長又は機長

 四 第十六条(貨物の積卸)、第十九条(執務時間外の貨物の積卸)、第二十四条(船舶又は航空機と陸地との交通等)、第三十三条(執務時間外の貨物の出し入れ又は取扱)(第三十六条(許可を受けて保税地域外に置く外国貨物)において準用する場合を含む。)、第六十三条第一項、第三項若しくは第五項(保税運送)、第六十四条第一項若しくは第三項(難破貨物等の運送)又は第六十六条(内国貨物の運送)の規定に違反した者

 五 第百五条第一項(税関職員の権限)の規定による税関職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの陳述をし、又はその職務の執行を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

 六 第百六条(特別の場合における税関長の権限)の規定による税関長(第百七条(税関長の権限の委任)の規定により権限の一部を委任された税関支署長を含む。)の処分の執行を拒み、妨げ、又は忌避した者

第百十五条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。

 一 第十八条(入出港の簡易手続)の規定に違反した船長又は機長

 二 第三十二条(見本の一時持出)(第三十六条(許可を受けて保税地域外に置く外国貨物)において準用する場合を含む。)若しくは第五十二条第一項(保税倉庫に外国貨物を入れることの承認)(第六十二条(保税工場)において準用する場合を含む。)の規定に違反した者又は第六十一条第一項(保税工場外における保税作業)の許可を受けないで外国貨物を保税作業のため保税工場から出した者

 三 第四十条第一項(指定保税地域における貨物の取扱)(第三十六条(許可を受けて保税地域外に置く外国貨物)、第四十九条(保税上屋)及び第五十五条(保税倉庫)において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

 四 第五十四条(保税倉庫についての記帳義務)(第六十二条(保税工場)において準用する場合を含む。)の規定による帳簿の記載を怠り、若しくは偽り、又は帳簿をかくした者

第百十六条 過失に因り第百十三条(許可を受けないで不開港に出入する罪)、第百十四条(貨物と符合しない積荷目録を提出する等の罪)(第五号を除く。)又は前条(第四号を除く。)の罪を犯した者は、当該各条の例による。

第百十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産について、第百九条から第百十二条まで(禁制品を輸入する罪・関税を免かれる等の罪・許可を受けないで輸出入する罪・密輸貨物の運搬等をする罪)、第百十四条第二号若しくは第四号から第六号まで(偽つた申告をする等の罪)、第百十五条第二号から第四号まで(許可を受けないで見本を一時持ち出す等の罪)又は前条に該当する違反行為(前条中第百十三条(許可を受けないで不開港に出入する罪)、第百十四条第一号及び第三号(貨物と符合しない積荷目録を提出する等の罪)並びに第百十五条第一号(入出港の簡易手続の規定に違反する罪)に係るものを除く。)をしたときは、その行為者を罰する外、その法人又は人に対して当該各条の罰金刑を科する。

第百十八条 第百九条から第百十一条まで(禁制品を輸入する罪・関税を免かれる等の罪・許可を受けないで輸出入する罪)の犯罪に係る貨物、その犯罪行為の用に供した船舶若しくは航空機又は第百十二条(密輸貨物の運搬等をする罪)の犯罪に係る貨物(以下この条において「犯罪貨物等」という。)は、没収する。但し、犯罪貨物等が犯人以外の者の所有に係り、且つ、その者が左の各号の一に該当する場合は、この限りでない。

 一 第百九条から第百十二条までの犯罪が行われることをあらかじめ知らないでその犯罪が行われた時から引き続き犯罪貨物等を所有していると認められるとき。

 二 前号に掲げる犯罪が行われた後、その情を知らないで犯罪貨物等を取得したと認められるとき。

2 前項の規定により没収すべき犯罪貨物等を没収することができない場合又は同項第二号の規定により犯罪貨物等を没収しない場合においては、その没収することができないもの又は没収しないものの犯罪が行われた時の価格に相当する金額を犯人から追徴する。

3 第一項第一号の規定により犯罪貨物等を没収しない場合において、これについて関税を徴収すべきときは、その関税は、直ちにその所有者から徴収する。但し、犯罪貨物等が税関長の指定する期間内に外国貨物として保税地域に入れられた場合においては、輸入がなかつたものとみなす。

   第十一章 犯則事件の調査及び処分

    第一節 犯則事件の調査

 (質問、検査又は領置)

第百十九条 税関職員は、犯則事件を調査するため必要があると認めるときは、犯則嫌疑者若しくは参考人に対して出頭を求め、これらの者に対して質問し、これらの者が所持する物件若しくは犯則嫌疑者が置き去つた物件を検査し、又はこれらの者が任意に提出した物件若しくは犯則嫌疑者が置き去つた物件を領置することができる。

 (開示の請求)

第百二十条 税関職員は、犯則の事実を証明するに足りる物件を身辺にかくしていると認められる者があるときは、当該物件の開示を求めることができる。

 (臨検、捜索又は差押)

第百二十一条 税関職員は、犯則事件を調査するため必要があるときは、その所属官署の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官があらかじめ発する許可状により、臨検、捜索又は差押をすることができる。

2 前項の場合において急速を要するときは、税関職員は、臨検すべき場所、捜索すべき場所、身体若しくは物件又は差し押えるべき物件の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官があらかじめ発する許可状により、前項の処分をすることができる。

3 税関職員は、第一項又は前項の許可状(以下「許可状」という。)を請求する場合においては、犯則事件が存在すると認められる資料を提供しなければならない。

4 前項の請求があつた場合においては、地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官は、臨検すべき場所、捜索すべき場所、身体若しくは物件又は差し押えるべき物件並びに請求者の官職氏名、有効期間、その期間経過後は執行に着手することができずこれを返還しなければならない旨、交付の年月日及び裁判所名を記載し、自己の記名押印した許可状を税関職員に交付しなければならない。この場合において、犯則嫌疑者の氏名又は犯則の事実が明らかであるときは、これらの事項をも記載しなければならない。

5 税関職員は、許可状を他の税関職員に交付して、臨検、捜索又は差押をさせることができる。

 (郵便物等の差押)

第百二十二条 税関職員は、犯則事件を調査するため必要があるときは、許可状の交付を受けて、犯則嫌疑者から発し、又は犯則嫌疑者に対して発した郵便物又は電信についての書類で通信事務を取り扱う官署その他の者が保管し、又は所持するものを差し押えることができる。

2 税関職員は、前項の規定に該当しない郵便物又は電信についての書類で通信事務を取り扱う官署その他の者が保管し、又は所持するものについては、犯則事件に関係があると認めるに足りる状況があるものに限り、許可状の交付を受けて、これを差し押えることができる。

3 税関職員は、前二項の規定による処分をした場合においては、その旨を発信人又は受信人に通知しなければならない。但し、通知によつて犯則事件の調査が妨げられる虞がある場合は、この限りでない。

 (現行犯事件の臨検、捜索又は差押)

第百二十三条 税関職員は、現に犯則を行い、又は現に犯則を行い終つた際に発覚した事件について、その証拠となると認められるものを取り集めるため必要であつて、且つ、急速を要し、許可状の交付を受けることができないときは、その犯則の現場において第百二十一条第一項(臨検、捜索又は差押)の処分をすることができる。

2 税関職員は、現に犯則に供した物件若しくは犯則により得た物件を所持し、又は顕著な犯則の跡があつて犯則を行つてから間がないと明らかに認められる者がある場合において、その証拠となると認められるものを取り集めるため必要であつて、且つ、急速を要し、許可状の交付を受けることができないときは、その者の所持する物件に対して第百二十一条第一項(臨検、捜索又は差押)の処分をすることができる。

 (臨検、捜索又は差押の夜間執行の制限)

第百二十四条 臨検、捜索又は差押は、許可状に夜間でも執行することができる旨の記載がなければ、日没から日出までの間には、してはならない。但し、旅館、飲食店その他夜間でも公衆が出入することができる場所でその公開した時間内にこれらの処分をする場合及び前条の規定により処分をする場合は、この限りでない。

2 日没前に開始した臨検、捜索又は差押は、必要があると認めるときは、日没後まで継続することができる。

 (許可状の呈示)

第百二十五条 臨検、捜索又は差押の許可状は、これらの処分を受ける者に呈示しなければならない。

 (身分の証明)

第百二十六条 税関職員は、この節の規定により質問、検査、領置、臨検、捜索若しくは差押をし、又は開示を求めるときは、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。

 (臨検、捜索又は差押に際しての必要な処分)

第百二十七条 税関職員は、臨検、捜索又は差押をするについて必要があるときは、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる。

2 前項の処分は、差押物件又は領置物件についても、することができる。

 (処分中の出入の禁止)

第百二十八条 税関職員は、この節の規定により質問、検査、領置、臨検、捜索若しくは差押をし、又は開示を求める間は、何人に対しても、許可を受けないでその場所に出入することを禁止することができる。

 (責任者等の立会)

第百二十九条 税関職員は、船舶、航空機、車両又は倉庫その他の場所で臨検、捜索又は差押をするときは、その所有者若しくは管理者(これらの者の代表者、代理人その他これらの者に代るべき者を含む。)又は成年に達したこれらの者の使用人若しくは同居の親族を立ち会わせなければならない。

2 前項の場合において同項に規定する者を立ち会わせることができないときは、その隣人で成年に達した者又はその地の警察官若しくは地方公共団体の職員を立ち会わせなければならない。

3 第百二十三条(現行犯事件の臨検、捜索又は差押)の規定により臨検、捜索又は差押をする場合において、急速を要するときは、前二項の規定によることを要しない。

4 女子の身体について捜索するときは、成年の女子を立ち会わせなければならない。但し、急速を要する場合は、この限りでない。

 (警察官等の援助)

第百三十条 税関職員は、臨検、捜索又は差押をするに際し必要があるときは、警察官又は海上保安官の援助を求めることができる。

 (調書の作成)

第百三十一条 税関職員は、この節の規定により質問、検査、領置、臨検、捜索又は差押をしたときは、その調書を作り、質問を受けた者又は立会人に示し、これらの者とともにこれに署名押印しなければならない。但し、質問を受けた者又は立会人が署名押印せず、又は署名押印することができないときは、その旨を附記すれば足りる。

 (領置目録又は差押目録)

第百三十二条 税関職員は、領置又は差押をしたときは、その目録を作り、領置物件又は差押物件の所有者若しくは所持者又はこれらの者に代るべき者にその謄本を交付しなければならない。

 (領置物件又は差押物件の処置)

第百三十三条 運搬又は保管に不便な領置物件又は差押物件は、その所有者又は所持者その他税関職員が適当と認める者に、その承諾を得て、保管証を徴して保管させることができる。この場合においては、その保管証について印紙税を納めなくてよい。

2 税関長は、領置物件又は差押物件が腐敗し、若しくは変質したとき、又は腐敗若しくは変質の虞があるときは、政令で定めるところにより、公告した後これを公売に付し、その代金を保管することができる。

3 第八十四条第三項及び第四項(収容貨物の随意契約による売却等)の規定は、前項の公売について、同条第五項の規定は、領置物件又は差押物件について準用する。

 (領置物件又は差押物件の返還等)

第百三十四条 税関長は、領置物件又は差押物件について留置の必要がなくなつたときは、その返還を受けるべき者にこれを還付しなければならない。

2 税関長は、前項の領置物件又は差押物件の返還を受けるべき者の住所若しくは居所がわからないため、又はその他の事由に因りこれを還付することができない場合においては、その旨を公告しなければならない。

3 前項の公告に係る領置物件又は差押物件について、公告の日から六月を経過しても還付の請求がないときは、これらの物件は、国庫に帰属する。

4 前条第二項の規定により公売に付され、又は同条第三項において準用する第八十四条第三項(収容貨物の随意契約による売却)の規定により売却された領置物件又は差押物件の代金を第一項の規定により返還を受けるべき者に還付する場合において、これらの物件について関税その他の国税が納付されていないときは、当該代金をもつて関税その他の国税に充てる。

 (管轄区域外における職務の執行)

第百三十五条 税関職員は、犯則事件を調査するため必要があると認めるときは、その所属する税関の管轄区域外においてその職務を執行することができる。

 (税関職員以外の公務員の通知)

第百三十六条 税関職員以外の公務員は、犯則嫌疑事件を発見し、又は捜査したときは、直ちにこれを税関に通知しなければならない。

    第二節 犯則事件の処分

 (税関職員の報告又は告発)

第百三十七条 税関職員は、犯則事件の調査を終えたときは、調査の結果を税関長に報告しなければならない。但し、左の各号の一に該当する場合においては、直ちに検察官に告発しなければならない。

 一 犯則嫌疑者の居所が明らかでないとき。

 二 犯則嫌疑者が逃走する虞があるとき。

 三 証拠となると認められるものをかくし、又はなくしてしまう虞があるとき。

 (税関長の通告処分又は告発)

第百三十八条 税関長は、犯則事件の調査により犯則の心証を得たときは、その理由を明示し、罰金に相当する金額及び没収に該当する物件又は追徴金に相当する金額を税関に納付すべき旨を通告しなければならない。但し、左の各号の一に該当すると認めるときは、直ちに検察官に告発しなければならない。

 一 情状が懲役の刑に処すべきものであるとき。

 二 犯則者が通告の旨を履行する資力がないとき。

2 犯則者の居所が明らかでないため、若しくは犯則者が通告書の受領を拒んだため、又はその他の事由に因り通告をすることができないときも、また前項但書と同様とする。

3 第一項の規定により通告があつたときは、公訴の時効は、中断する。

4 犯則者は、第一項の通告の旨を履行した場合においては、同一事件について公訴を提起されない。

 (通告処分の不履行と告発)

第百三十九条 犯則者が前条第一項の通告を受けた場合において、二十日以内に通告の旨を履行しないときは、税関長は、検察官に告発しなければならない。但し、二十日を過ぎても告発前に履行した場合は、この限りでない。

 (検察官への引継)

第百四十条 犯則事件は、第百三十七条但書(税関職員の告発)の規定による税関職員の告発又は第百三十八条第一項但書若しくは第二項(税関長の告発)若しくは前条の規定による税関長の告発をまつて、これを論ずる。

2 前項の告発は、文書をもつて行い、第百三十一条(調書の作成)に規定する調書を添附し、領置物件又は差押物件があるときは、これを領置目録又は差押目録とともに検察官に引き継がなければならない。

3 前項の領置物件又は差押物件が第百三十三条第一項(領置物件又は差押物件の所有者等による保管)の規定による保管に係るものである場合においては、同項の保管証をもつて引き継ぐとともに、その旨を同項の保管者に通知しなければならない。

4 第二項又は前項の規定により領置物件又は差押物件が引き継がれたときは、当該物件は、刑事訴訟法の規定により検察官によつて押収されたものとみなす。

5 第一項の告発は、取り消すことができない。

   附 則

1 この法律は、公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。

2 左に掲げる法律は、廃止する。

  保税倉庫法(明治三十年法律第十五号)

  保税工場法(昭和二年法律第四十五号)

3 この法律の施行前に課した、又は課することができた関税については、なお従前の例による。

4 改正前の関税法(以下「旧法」という。)、旧保税倉庫法又は旧保税工場法の規定によつてした申告、届出、免許、承認、許可、認許、特許、指定その他の手続又は処分は、改正後の関税法(以下「新法」という。)の相当規定によつてした相当の手続又は処分とみなす。

5 旧保税倉庫法第十八条第一項(保税倉庫の特許)の規定によつてした特許で前項の規定により新法第五十条(保税倉庫の許可)の規定によつてした許可とみなされるものの期限で、この法律の施行の際、まだ経過していない期間があるものの新法第五十五条(保税倉庫)において準用する新法第四十二条第二項(保税上屋の許可の期間)の期間は、同項の規定にかかわらず、そのまだ経過していない期間の末日までとする。

6 この法律の施行前に保税倉庫に入れられた外国貨物を保税倉庫に置くことができる期間は、新法第五十一条(保税倉庫に外国貨物を置くことができる期間)の規定にかかわらず、最初に保税倉庫に入れた日から三年とする。

7 旧保税工場法第五条第一項但書(原料課税)の検査を受けた外国貨物は、新法第四条第二号(原料課税)の承認を受けた外国貨物とみなす。この場合における新法第六十条第一項(加算税額)の規定の適用については、同項中「その承認の日の翌日から百日を経過した日」とあるのは「その検査の日の翌日から百日を経過した日」と、「輸入の許可の日までの日数に応じ当該関税額百円につき一日二銭の割合を乗じて計算した金額」とあるのは「輸入の許可の日までの期間に応じ当該関税額に年六分の割合を乗じて計算した金額」とする。

8 この法律の施行前に旧法第三十九条第一項(外国貨物の運送)の免許を受けて運送された外国貨物についての新法第六十三条第五項(運送目録の提出)の規定の適用については、同項中「第三項の規定により確認を受けた運送目録」とあるのは「運送目録」とする。

9 新法第十二条(利子税額)の規定は、この法律の施行前に納税の告知がされた関税については、適用しない。

10 新法第十三条(還付加算金)の規定は、この法律の施行前に納付した関税又は滞納処分費に過誤納があつた場合については、適用しない。

11 この法律の施行前に旧法第八十五条ノ二(犯則嫌疑物件の差出及び引渡)の規定により差し出され、又は引き渡された物件については、同法第八十六条ノ二(領置物件の還付等)並びに第九十八条第三項及び第四項(犯則嫌疑物件の差出についての報償金)の規定は、この法律の施行後においても、なおその効力を有する。

12 この法律の施行前に旧法第九十八条第一項(第三者通報)に規定する報告をした者に対する報償金の交付については、同条第一項及び第二項の規定は、この法律の施行後においても、なおその効力を有する。

13 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

14 この法律の施行前にされた旧法第七十四条第一項(禁制品を輸入する罪)、第七十五条第一項(関税を免かれる等の罪)又は第七十六条第一項(免許を受けないで輸出入する罪)の犯罪に係る貨物は、新法第百九条第一項(禁制品を輸入する罪)、第百十条第一項(関税を免かれる等の罪)又は第百十一条第一項(許可を受けないで輸出入する罪)の犯罪に係る貨物とみなして、新法第百十二条(密輸貨物の運搬等をする罪)の規定を適用する。

15 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律(昭和二十七年法律第百十二号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「関税法(明治三十二年法律第六十一号)」を「関税法(昭和二十九年法律第六十一号)」に改める。

  第五条第一項中「関税法第十条、第十一条、第十三条、第十四条、第十六条、第十七条及び第十九条から第二十一条まで」を「関税法第十五条から第十九条まで、第二十一条から第二十三条まで及び第二十五条」に、「同法第十条第一項」を「同法第十五条第一項」に、「入港申告書」を「入港届」に、「同法第十三条に規定する出港届及び出港申告書」を「同法第十七条に規定する出港届」に、同条第三項中「関税法第十八条」を「関税法第二十条」に改める。

  第七条中「但し、」の下に「保税工場において製造された物品及び」を加える。

  第九条中「関税法第三十一条」を「関税法第六十七条」に改める。

  第十条第一項中「税関長の承認した倉庫又は工場」を「税関長が期間を指定して承認した倉庫又は工場」に改め、同条第二項中「関税法第百一条ノ二第三項、第百一条ノ八及び第百一条ノ九」を「関税法第三十五条、第百条第三号並びに第百五条第一項第五号、第二項及び第三項」に、「前項に規定する倉庫又は工場」を「前項に規定する物品又は倉庫若しくは工場」に改める。

  第十一条第一項中「免許」を「許可」に改め、同条第二項中「免許」を「許可」に、「関税法第七十六条」を「関税法第百十一条」に改め、同条第三項中「関税法第八十四条、第八十五条、第八十六条、第八十六条ノ二(第二項及び第六項を除く。)及び第八十六条ノ三から第九十七条ノ二まで」を「関税法第百十九条から第百四十条まで」に改める。

  第十二条第一項中「第六条の規定の適用を受けた物品」の下に「(当該物品を使用して製造された物品及びその副産物を含む。)」を加え、同条第二項中「関税法第三十一条」を「関税法第六十七条」に、「免許」を「許可」に改め、同条に次の一項を加える。

 4 第一項の規定の適用を受ける物品は、関税法の適用については、同法の外国貨物とみなす。

  第十四条第一項中「保管」を「留置」に改める。

  附則第三項を次のように改める。

 3 合衆国軍隊、合衆国軍隊の公認調達機関、軍人用販売機関等、合衆国軍隊の構成員、軍属、これらの者の家族及び契約者等以外の者が、第六条又は前項の規定の適用を受けた自動車を譲り受けた場合において、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第七条又は第十三条の規定に基いて当該自動車の新規登録又は移転登録の申請をするときは、当該自動車について第十二条第一項の規定により適用することとされる関税法第六十七条の規定による輸入の許可を証する書類を提出しなければならない。

16 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う国税犯則取締法等の臨時特例に関する法律(昭和二十七年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「関税法(明治三十二年法律第六十一号)」を「関税法(昭和二十九年法律第六十一号)」に改める。

  第三条第三項中「保税倉庫法(明治三十年法律第十五号)、」を削る。

17  酒税等ノ徴収ニ関スル法律(明治四十四年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。

  第二条中「関税法第三十九条」を「関税法第六十三条」に改める。

18 物品税法(昭和十五年法律第四十号)の一部を次のように改正する。

  第十条第四項中「関税法第三十四条但書」を「関税法第七十三条第一項」に改め、同項中「輸入免許」を輸入ノ許可」に改める。

  第十条ノ二第一項中「輸入免許」を「輸入ノ許可」に改める。

19 揮発油税法(昭和二十四年法律第四十四号)の一部を次のように改正する。

  第二条第二項中「関税法(明治三十二年法律第六十一号)」を「関税法(昭和二十九年法律第六十一号)」に改める。

20 酒税法(昭和二十八年法律第六号)の一部を次のように改正する。

  第三条第十三号中「関税法(明治三十二年法律第六十一号)第二十九条ノ二」を「関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第二十九条」に改める。

21 しやし繊維品の課税に関する法律(昭和二十九年法律第 号)の一部を次のように改正する。

  第二条第三項中「関税法(明治三十二年法律第六十一号)第二十九条ノ二(保税地域の定義)」を「関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第二十九条(保税地域の種類)」に改める。

22 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。

  第九条第一項第六号を次のように改める。

  六 指定保税地域、保税上屋、保税倉庫及び保税工場に関すること。

  第十七条第一項の表中関税訴願審査会の項を次のように改める。

関税訴願審査会

大蔵大臣の諮問に応じて、関税に関する訴願について調査審議すること。

23 海上公安局法(昭和二十七年法律第二百六十七号)の一部を次のように改正する。

  附則第三項を次のように改める。

 3 関税法(昭和二十九年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。

   第百三十条中「海上保安官」を「海上公安官」に改める。

別表第一

都道府県

港名

北海道

根室

北海道

釧路

北海道

室蘭

北海道

函館

北海道

小樽

北海道

留萠

北海道

稚内

青森

青森

青森

八戸

岩手

宮古

岩手

釜石

宮城

塩釜

秋田

船川

山形

酒田

千葉

千葉

東京

}

京浜

神奈川

神奈川

横須賀

新潟

新潟

富山

伏木富山

石川

七尾

福井

敦賀

静岡

清水

愛知

武豊

愛知

名古屋

三重

四日市

京都

宮津

京都

舞鶴

大阪

大阪

兵庫

尼崎

兵庫

神戸

和歌山

田辺

和歌山

和歌山下津

鳥取

島根

浜田

岡山

宇野

広島

尾道糸崎

広島

広島

広島

山口

岩国

山口

徳山下松

山口

宇部

山口

山口

}

関門

福岡

徳島

小松島

香川

坂出

愛媛

松山

愛媛

今治

愛媛

新居浜

高知

高知

福岡

博多

福岡

三池

佐賀

唐津

佐賀

住ノ江

長崎

口ノ津

長崎

長崎

長崎

佐世保

長崎

厳原

熊本

三角

大分

津久見

大分

佐伯

宮崎

細島

宮崎

油津

鹿児島

鹿児島

鹿児島

名瀬

別表第二

都道府県

空港名

東京

羽田

山口

岩国

(大蔵・内閣総理大臣署名) 

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