国立公園法の一部を改正する法律
法律第八十四号(昭二四・五・一九)
国立公園法(昭和六年法律第三十六号)の一部を次のように改正する。
「勅令」を「政令」に、「地方長官」を「都道府県知事」に改める。
第一条中「主務大臣」の下に「国立公園審議会ノ意見ヲ聞キ」を加える。
第三条中「主務大臣」の下に「国立公園審議会ノ意見ヲ聞キ」を加える。
第四条第二項を次のように改める。
公共団体ハ主務大臣ノ承認ヲ受ケ国立公園事業ノ一部ヲ執行スルコトヲ得
第六条の次に次の一条を加える。
第六条ノ二 国立公園事業ニ因リ著シク利益ヲ受クル者アルトキハ行政官庁又ハ公共団体ハ其ノ者ヲシテ利益ヲ受クル限度ニ於テ国立公園事業ノ執行又ハ国立公園事業ニ因リ生ジタル施設ノ管理ニ要スル費用ノ全部又ハ一部ヲ負担セシムルコトヲ得
行政官庁又ハ公共団体ノ執行スル国立公園事業ニ関スル工事ニシテ他ノ工事ニ因リ必要ヲ生ジタルモノナルトキハ其ノ費用ハ工事ノ必要ヲ生ジタル程度ニ於テ其ノ原因タル工事ノ費用負担者ヲシテ之ヲ負担セシムルコトヲ得
第七条第一項但書中「前条」を「第六条」に改め、同条第二項を削る。
第八条第二項に、第六号として、「六 水位水量ノ増減ヲ来ス行為」を加え、同項の次に次の一項を加える。
前項ノ規定ニ依ル許可ヲ得ルコト能ハザリシ為損害ヲ被リタル者ニ対シテハ通常生ズベキ損害ニ限リ国庫之ヲ補償ス
第八条の次に次の二条を加える。
第八条ノ二 主務大臣ハ特別地域内ニ於テ特ニ景観維持ノ為必要アリト認ムルトキハ国立公園計画ニ基キ特別保護地区ヲ指定スルコトヲ得
特別保護地区内ニ於テ左ノ各号ノ一ニ該当スル行為ヲ為サントスル者ハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ但シ命令ヲ以テ許可ヲ要セズト規定シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 前条第二項各号ニ掲グル行為
二 開墾、植栽其ノ他形質ノ変更
三 物件ノ堆積
四 家畜ノ放牧
五 焚火又ハ火入
六 爆発物又ハ容易ニ燃焼スベキ物件ノ貯蔵
七 野生動物ノ捕獲又ハ高山植物ノ採取
前条第三項ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル許可ヲ得ルコト能ハザリシ為損害ヲ被リタル者ニ之ヲ準用ス
第八条ノ三 第八条第二項及前条第二項ノ許可ニハ条件ヲ附スルコトヲ得
第九条第四項を削り、同条の次に次の一条を加える。
第九条ノ二 第八条第三項、第八条ノ二第二項並ニ前条第二項及第三項ノ規定ニ依ル補償金額ハ主務大臣之ヲ決定ス其ノ決定ニ対シテ不服アル者ハ其ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三月以内ニ裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第十条中「第八条第二項ノ規定、同条同項ノ許可ニ附シタル条件」を「第八条第二項(第十一条ノ二第二項ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)若ハ第八条ノ二第二項ノ規定、第八条ノ三ノ規定ニ依リ許可ニ附シタル条件」に、「前条」を「第九条」に改める。
第十一条第四項中「通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ズ」を「裁判所ニ出訴スルコトヲ得」に改め、同項の次に次の一項を加え、同条末項中「第九条第四項」を「第九条ノ二」に改める。
前項ノ訴ニ於テハ補償ノ当事者ノ一方ヲ被告トス
第十一条の次に次の一条を加える。
第十一条ノ二 主務大臣ハ風景地ノ保護又ハ利用ノ為予メ都道府県ニ諮リ国立公園審議会ノ意見ヲ聞キ国立公園ニ準ズル区域ヲ指定スルコトヲ得
第八条、第八条ノ三及第九条ノ二ノ規定ハ政令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ規定ニ依リ指定セラレタル区域ニ之ヲ準用ス
第十二条を次のように改める。
第十二条 主務大臣ノ諮問ニ応ジ国立公園ニ関スル重要事項ヲ調査審議スル為国立公園審議会ヲ置ク
国立公園審議会ハ国立公園中央審議会及国立公園地方審議会トス
国立公園地方審議会ハ国立公園毎ニ置カルルモノトス
前三項ニ定ムルモノヲ除クノ外国立公園審議会ニ関シ必要ナル事項ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム
第十三条第二項を削る。
第十四条及第十五条を次のように改める。
第十四条 本法ニ規定スル行政官庁ノ徴収金ハ国税徴収法ノ例ニ依リ之ヲ徴収スルコトヲ得但シ先取特権ノ順位ハ国税ニ次グモノトス
第十五条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ一年以下ノ懲役又ハ一万円以下ノ罰金ニ処ス
一 第八条第二項(第十一条ノ二第二項ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定又ハ同項ノ許可ニ附シタル条件ニ違反シタル者
二 第八条ノ二第二項ノ規定又ハ同項ノ許可ニ附シタル条件ニ違反シタル者
第九条第一項ノ命令又ハ処分ニ違反シタル者ハ五千円以下ノ罰金ニ処ス
第十五条の次に次の一条を加える。
第十五条ノ二 法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ前条ノ違反行為ヲ為シタルトキハ行為者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ対シ各本条ノ罰金刑ヲ科ス
附 則
1 この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。
2 国立公園委員会官制(昭和二十二年勅令第百七十六号)は廃止する。
(内閣総理・大蔵大臣・法務総裁・厚生・農林・商工・建設大臣署名)