鉱山保安法

法律第七十号(昭二四・五・一六)

目次

第一章 総則(第一条―第三条)

第二章 保安(第四条―第三十一条)

第三章 監督機関(第三十二条―第五十四条)

第四章 罰則(第五十五条―第五十八条)

附則

第一章 総則

 (この法律の目的)

第一条 この法律は、鉱山労働者に対する危害を防止し、鉱物資源の合理的開発を図ることを目的とする。

 (用語の意義)

第二条 この法律において「鉱業」とは、砂鉱業を含む。

2 この法律において「鉱業権者」とは、砂鉱権者、旧重要鉱物増産法(昭和十三年法律第三十五号)附則第三項の規定によりなおその効力を有する同法第十七条ノ二の規定による使用権者及び石炭鉱業等臨時措置法(昭和二十三年法律第百五十四号)第十七条の規定による使用権者を含む。

3 この法律において「鉱山」とは、鉱業を行う事業場をいう。但し、鉱物の掘採と緊密な関連を有しない附属施設、当該鉱物の掘採に係る事業を主たる事業としない附属施設及び鉱物の掘採場から遠隔の地にある附属施設を除く。

4 この法律において「鉱山労働者」とは、鉱山において鉱業に従事する者をいう。

5 第三項但書の附属施設の範囲は、省令で定める。

第三条 この法律において「保安」とは、鉱業に関する左の各号の事項をいう。

一 鉱山における人に対する危害の防止

二 鉱物資源の保護

三 鉱山の施設の保全

四 鉱害の防止

2 前項第一号の鉱山における人に対する危害の防止には、衛生に関する通気及び災害時における救護を含む。

第二章 保安

 (鉱業権者の義務)

第四条 鉱業権者は、左の各号のため必要な措置を講じなければならない。

一 落ばん、崩壊、出水、ガスの突出、ガス又は炭じんの爆発、自然発火及び坑内火災の防止

二 ガス、粉じん、捨石、鉱さい、坑水、廃水及び鉱煙の処理に伴う危害又は鉱害の防止

三 機械、器具(衛生用保護具を除く。以下同じ。)又は火薬類その他の材料、動力及び火気の取扱に伴う危害の防止

四 通気の確保及び救護組織の設置

五 鉱物資源の保護

六 機械、器具、建設物及び工作物の保全

七 土地の掘さくによる鉱害の防止その他の保安

 (鉱山労働者の義務)

第五条 鉱山労働者は、鉱山においては、保安のため必要な事項を守らなければならない。

 (保安教育)

第六条 鉱業権者は、鉱山労働者にその作業を行うに必要な保安に関する教育を施さなければならない。

2 省令で定める特に危険な作業について、保安のため鉱山労働者に施すべき教育の程度及びこれを修了しない者の就業の制限は、省令で定める。

 (機械、器具等に関する制限)

第七条 鉱業権者は、省令の定めるところにより、機械、器具又は火薬類その他の材料であつて危険性の大きいものは、検定に合格したものでなければ、鉱山の坑内において使用し、又は設置してはならない。

2 商工大臣は、鉱山において実地の状況により必要があると認めるときは、特に危険性の大きい機械、器具又は火薬類その他の材料の坑内における使用又は設置を禁止することができる。

 (施設計画の認可、届出等)

第八条 鉱業権者は、その鉱業上使用する建設物、工作物その他の施設の設置又は変更の工事をしようとするときは、省令の定めるところにより、その計画につき、あらかじめ鉱山保安監督部長(石炭鉱業については炭鉱保安監督部長。以下本章において同じ。)の認可を受けなければならない。但し、省令で定める場合は、この限りでない。

2 前項但書の場合においては、鉱業権者は、省令の定めるところにより、工事着手の十四日前までにその計画を鉱山保安監督部長に届け出なければならない。

3 鉱山保安監督部長は、前項の規定による届出のあつた工事に関し、保安のため必要があると認めるときは、鉱業権者に対し、その工事の着手を禁止し、又はその計画の変更を命ずることができる。

4 鉱業権者は、第一項の工事が完成したとき、又は同項の建設物、工作物その他の施設を廃止したときは、十四日以内にその旨を鉱山保安監督部長に届け出なければならない。

 (性能検査等)

第九条 鉱業権者は、省令の定めるところにより、機械、器具、建設物、工作物その他の施設について、その設置又は変更が完了したとき、及びその完了後一定期間を経過するごとに、鉱山保安監督部長の行う検査を受け、これに合格したものでなければ、使用してはならない。

 (保安規程)

第十条 鉱業権者は、鉱山における保安を確保するため、省令の定めるところにより、保安規程を定めなければならない。

2 鉱業権者が保安規程を定め、又は変更するには、第十九条の規定による保安委員会の議に附さなければならない。

3 鉱山保安監督部長は、保安のため必要があると認めるときは、保安規程の変更を命ずることができる。

4 保安規程の設定又は変更は、鉱山保安監督部長の認可を受けなければ、その効力を生じない。

第十一条 保安規程は、この法律及びこの法律に基く省令その他の法令の規定並びに第二十五条第一項の規定による鉱山保安監督部長の命令に違反することができない。

第十二条 鉱業権者及び鉱山労働者は、保安規程を守らなければならない。

 (保安技術職員)

第十三条 鉱業権者は、省令の定めるところにより、鉱山において、保安管理者、副保安管理者及び係員を選任しなければならない。

2 鉱山保安監督部長は、保安のため必要があると認めるときは、鉱業権者に対し、保安管理者、副保安管理者又は係員の解任を命ずることができる。

3 鉱山保安監督部長は、前項の規定による命令をしようとするときは、その鉱業権者及び当該保安管理者、副保安管理者又は係員に対し、あらかじめ期日及び場所を通知して、公開による聴聞を行わなければならない。

4 前項の通知を受けた者は、同項の聴聞に際し、鉱山保安監督部長に対し、意見を陳述し、及び証拠の申出をすることができる。

5 鉱業権者は、保安管理者、副保安管理者又は係員を選任し、又は解任したときは、省令の定めるところにより、これを鉱山保安監督部長に届け出なければならない。

第十四条 保安管理者は、保安に関する事項を管理する。

2 副保安管理者は、保安管理者を補佐する。

3 係員は、保安管理者及び副保安管理者の指揮(保安管理者及び副保安管理者を選任しない鉱山においては鉱業権者の指揮)を受け、保安に関する事項を分掌する。

4 前三項に定めるものの外、保安管理者、副保安管理者及び係員の職務に関し必要な事項は、省令で定める。

第十五条 鉱業権者は、省令の定めるところにより、鉱山において、保安監督員を選任しなければならない。

2 保安監督員は、保安に関し、保安管理者、副保安管理者及び係員に勧告する。

3 第十三条第二項から第五項まで及び前条第四項の規定は、保安監督員に準用する。

第十六条 鉱業権者は、保安管理者、副保安管理者又は保安監督員が旅行、疾病その他の事故によつてその職務を行うことができない場合にその職務を行わせるため、省令の定めるところにより、あらかじめ代理者を選任し、これを鉱山保安監督部長に届け出なければならない。

2 前項の代理者がその職務を行う場合は、この法律及びこの法律に基く省令の規定の適用については、これを保安管理者、副保安管理者又は保安監督員とみなす。

第十七条 鉱山労働者は、保安管理者、副保安管理者及び係員がこの法律又はこの法律に基く省令の規定の実施を確保するためにする指示に従わなければならない。

第十八条 保安管理者、副保安管理者、係員及び保安監督員(以下「保安技術職員」と総称する。)は、省令の定めるところにより、国家試験に合格し、且つ、一定の資格を有するものでなければならない。

 (保安委員会)

第十九条 鉱業権者は、保安に関する重要事項を調査審議し、保安管理者(保安管理者を選任しない鉱山においては鉱業権者。以下本条において同じ。)の保安に関する職務の執行に協力し、これに勧告を行わせるため、省令の定めるところにより、鉱山に保安委員会を設けなければならない。

2 保安委員会は、保安管理者及び委員をもつて組織し、保安管理者が議長となる。

第二十条 保安委員会の委員は、鉱業権者が、その鉱山の鉱山労働者の中から選任する。

2 前項の委員の半数は、その鉱山の鉱山労働者の過半数の推せんにより選任しなければならない。但し、その推せんがないときは、この限りでない。

第二十一条 保安委員会は、議長が招集し、その議事は、出席した委員の過半数で決する。可否同数の場合は、議長が決する。

 (監督上の行政措置)

第二十二条 鉱山保安監督部長は、鉱業法(明治三十八年法律第四十五号)第四十四条(砂鉱法(明治四十二年法律第十三号)第二十三条、旧重要鉱物増産法附則第三項の規定によりなおその効力を有する同法第十七条ノ二十二第二項及び石炭鉱業権等臨時措置法第三十三条第一項において準用する場合を含む。)の規定による施業案中保安に関する事項の実施を監督する。

2 鉱山保安監督部長は、施業案中保安に関する事項について、商工局長(石炭鉱業については石炭局長。以下本章において同じ。)と協議し、理由を示して、その変更を命ずることができる。

第二十三条 鉱業権者は、海底、河底若しくは湖沼底の地下又は土地の掘さくにより鉱害を生ずるおそれの特に多い地下において鉱物を掘採しようとするときは、省令の定めるところにより、特別掘採計画を定め、鉱山保安監督部長の認可を受けなければならない。これを変更するときも同様である。

2 鉱山保安監督部長は、理由を示して、特別掘採計画の変更を命ずることができる。

3 鉱業権者は、第一項に規定する地下においては、特別掘採計画によらなければ、鉱物を掘採してはならない。

第二十四条 商工大臣は、鉱業の実施により、危害若しくは鉱害を生じ、鉱物資源若しくは施設を損じ、又はそのおそれが多いと認める場合において、必要があるときは、鉱業権者に対し、その鉱業の停止を命ずることができる。

第二十五条 鉱山保安監督部長は、鉱業上使用する機械、器具、建設物、工作物その他の施設の使用又は火薬類その他の材料、動力若しくは火気の取扱その他鉱業の実施の方法が、この法律又はこの法律に基く省令に違反していると認めるときは、鉱業権者に対し、その施設の使用の停止、改造、修理若しくは移転又は鉱業の実施の方法の指定その他保安のため必要な事項を命ずることができる。

2 前項の規定による命令をしようとするときは、鉱山保安監督部長は、商工局長に協議しなければならない。但し、急迫の危険のある場合は、この限りでない。

第二十六条 鉱業権が消滅した後でも五年間は、鉱山保安監督部長は、鉱業権者であつた者に対し、その者が鉱業を実施したことにより生ずる危害又は鉱害を防止するため必要な設備をすることを命ずることができる。

2 前項の規定による命令を受けた者は、その命令に係る事項を実施するため必要な範囲内において、鉱業権者とみなす。

第二十七条 商工大臣又は鉱山保安監督部長は、第二十二条第二項、第二十三条第二項、第二十四条、第二十五条第一項又は前条第一項の規定による命令をしようとするときは、その鉱業権者又は鉱業権者であつた者に対し、あらかじめ期日及び場所を通知して、公開による聴聞を行わなければならない。但し、第二十五条第一項の規定による命令をする場合において、保安に関し急迫の危険があるときは、この限りでない。

2 前項の通知を受けた者は、同項の聴聞に際し、商工大臣又は鉱山保安監督部長に対し、その意見を陳述し、及び証拠の申出をすることができる。

 (報告)

第二十八条 商工大臣又は鉱山保安監督部長は、省令の定めるところにより、鉱業権者に保安に関する必要な報告をさせることができる。

 

 (保安図)

第二十九条 鉱業権者は、省令の定めるところにより、保安図を作成し、これを鉱業事務所に備え、且つ、その複本を鉱山保安監督部長に提出しなければならない。

 (省令への委任)

第三十条 第六条から第十条まで、第十二条、第十三条、第十五条から第十七条まで、第十九条、第二十三条及び前二条に定めるものの外、鉱業権者が第四条の規定によつて講ずべき措置及び保安技術職員その他の鉱山労働者が第五条の規定によつて守るべき事項は、省令で定める。

 (適用除外)

第三十一条 第四条、第八条、第九条、第二十二条、第二十四条、第二十五条及び第二十八条の規定は、第二条第三項及び第五項の規定による附属施設については、廃水、鉱さい及び鉱煙の処理に伴う鉱害の防止についてのみ適用する。

第三章 監督機関

 (鉱山保安局及び保安監督部)

第三十二条 この法律を施行するために、商工省に内部部局として鉱山保安局を、並びに地方支分部局として鉱山保安監督部及び炭鉱保安監督部を置く。

2 鉱山保安局は、鉱業の保安に関する事務をつかさどる。

3 鉱山保安監督部は、鉱山保安局の所掌事務のうち、石炭鉱業以外の鉱業の保安に関する事務を、炭鉱保安監督部は、鉱山保安局の所掌事務のうち、石炭鉱業の保安に関する事務を分掌する。

4 鉱山保安監督部又は炭鉱保安監督部は、商工大臣の直接の管理に属し、それぞれ商工局又は石炭局に附置する。

5 鉱山保安監督部又は炭鉱保安監督部の管轄区域は、その附置された商工局又は石炭局の管轄区域によるものとし、その名称は、商工大臣が定める。

6 鉱山保安監督部及び炭鉱保安監督部の内部組織は、省令で定める。

 (職員)

第三十三条 鉱山保安局に置かれる職員の種類及びその定員は、別表第一の通りとする。

2 鉱山保安監督部及び炭鉱保安監督部に置かれる職員の種類及びその定員は、通じて別表第二の通りとする。

第三十四条 鉱山保安局の長は、鉱山保安局長とし、鉱山保安監督部又は炭鉱保安監督部の長は、それぞれ鉱山保安監督部長又は炭鉱保安監督部長(以下「保安監督部長」という。)とする。

 (鉱務監督官の権限)

第三十五条 鉱務監督官は、保安の監督上必要があるときは、鉱山及び鉱業の附属施設に立ち入り、保安に関する業務若しくは施設の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査し、又は関係人に対して質問することができる。

2 鉱務監督官が前項の規定により立入検査をし、又は質問する場合は、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。

第三十六条 鉱業上使用する機械、器具、建設物、工作物その他の施設の使用又は火薬類その他の材料、動力若しくは火気の取扱その他鉱業の実施の方法が、この法律に基く省令に違反し、且つ、保安に関し急迫の危険があるときは、鉱務監督官は、第二十五条第一項に規定する保安監督部長の権限を行うことができる。

2 前項の規定により鉱務監督官がした命令は、保安監督部長が第二十五条第一項の規定によりしたものとみなす。

第三十七条 鉱務監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による司法警察員として職務を行う。

 (保安監督部長又は鉱務監督官に対する申告)

第三十八条 鉱山にこの法律又はこの法律に基く省令に違反する事実があり、且つ、危害を生じ、又はそのおそれが多いときは、鉱山労働者は、その事実を保安監督部長又は鉱務監督官に申告することができる。

2 鉱業権者は、前項の申告をしたことを理由として、鉱山労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。

 (鉱山保安試験審査会)

第三十九条 保安技術職員の国家試験を行い、及び保安技術職員の資格に関する事項を調査審議するため、商工省に鉱山保安試験審査会(以下「審査会」という。)を置く。

第四十条 審査会の委員は、十人とし、左の各号に掲げる資格を有する者のうちから、商工大臣が委嘱する。

一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学若しくは旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校を卒業した者又は人事院がこれと同等以上の学力及び技能があると認めた者であること。

二 十年以上鉱業又は鉱業に関する研究に従事したこと。

三 三十歳以上であること。

2 商工大臣は、必要があると認めるときは、前項の資格を有する者のうちから、臨時委員を委嘱することができる。

第四十一条 審査会の委員の任期は、三年とする。但し、再任を妨げない。

2 補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

第四十二条 審査会に会長を置く。会長は、商工大臣が委員のうちから命ずる。

2 会長は、会務を総理する。

3 会長に事故があるときは、商工大臣の指名する委員が、その職務を代理する。

第四十三条 審査会の庶務は、鉱山保安局において処理する。

第四十四条 審査会の委員及び臨時委員に対しては、手当及び旅費を支給することができる。但し、他の国家公務員の職にある者に対する手当については、この限りでない。

 (保安協議会)

第四十五条 商工省に中央鉱山保安協議会(以下「中央協議会」という。)を、鉱山保安監督部に地方鉱山保安協議会を、炭鉱保安監督部に地方炭鉱保安協議会を置く。

第四十六条 商工大臣は、第六条第二項、第七条第一項、第八条第一項若しくは第二項、第九条、第十条第一項、第十三条第一項、第十四条第四項(第十五条第三項において準用する場合を含む。)、第十五条第一項、第十六条第一項、第十八条、第十九条第一項、第二十三条第一項若しくは第三十条の規定による省令の制定若しくは改廃を行うとき、又は第二十四条の規定による命令をするときは、中央協議会の議に附さなければならない。

2 保安監督部長は、第十条第四項又は第二十三条第一項の規定による認可の基準を定めるときは、地方鉱山保安協議会又は地方炭鉱保安協議会(以下「地方協議会」という。)の議に附さなければならない。

3 中央協議会及び地方協議会は、商工大臣又は保安監督部長の諮問を受けて、保安に関する重要事項について調査審議し、且つ、商工大臣又は保安監督部長に建議することができる。

第四十七条 中央協議会及び地方協議会は、それぞれ会長一人及び委員三十人以内をもつて組織する。

第四十八条 中央協議会の会長は、商工大臣をもつて、地方協議会の会長は、保安監督部長をもつて充てる。

2 中央協議会及び地方協議会の委員は、学識経験のある者、鉱業権者を代表する者及び鉱山労働者を代表する者について、各々同数を、中央協議会にあつては商工大臣が、地方協議会にあつては保安監督部長が委嘱する。

第四十九条 中央協議会の庶務は、鉱山保安局において、地方協議会の庶務は、鉱山保安監督部又は炭鉱保安監督部において処理する。

第五十条 関係行政機関の職員は、会長の承認を受けて、中央協議会又は地方協議会に出席し、意見を述べることができる。

第五十一条 第四十二条第二項及び第四十四条の規定は、中央協議会及び地方協議会に準用する。

 (鉱務監督官研修所)

第五十二条 鉱務監督官に対して、必要な技術及び実務を教授するため、商工省に鉱務監督官研修所を置く。

2 鉱務監督官研修所の名称、位置その他必要な事項は、省令で定める。

 (保安技術講習所)

第五十三条 保安技術職員又は保安技術職員になろうとする者に対して、必要な技術及び実務を教授するため、商工省に保安技術講習所を置く。

2 保安技術講習所の名称、位置その他必要な事項は、省令で定める。

 (労働大臣及び労働基準局長の勧告)

第五十四条 労働大臣は、鉱山における危害の防止に関し、商工大臣に勧告することができる。

2 労働省労働基準局長は、鉱山における危害の防止に関し、鉱山保安局長に勧告することができる。

第四章 罰則

第五十五条 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

一 第二十三条第一項又は第三項の規定に違反した者

二 第七条第二項、第二十二条第二項、第二十三条第二項、第二十四条、第二十五条第一項又は第二十六条第一項の規定による命令又は処分に違反した者

第五十六条 左の各号の一に該当する者は、六箇月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。

一 第六条第二項の制限に違反して鉱山労働者を就業させた者

二 第七条第一項、第八条第一項、第九条、第十条第一項、第十三条第一項、第十五条第一項、第十六条第一項又は第三十八条第二項の規定に違反した者

三 第八条第二項の規定に違反して届出をせず、又は虚偽の届出をした者

四 第八条第三項、第十条第三項又は第十三条第二項(第十五条第三項において準用する場合を含む。)の規定による命令又は処分に違反した者

五 第三十条の規定による省令に違反して、第四条に定める措置を講ぜず、又は第五条に定める事項を守らない者

第五十七条 左の各号の一に該当する者は、二万円以下の罰金に処する。

一 第六条第一項又は第二十九条の規定に違反した者

二 第八条第四項又は第十三条第五項(第十五条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して届出をせず、又は虚偽の届出をした者

三 第二十八条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

四 第三十五条第一項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をしなかつた者

第五十八条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

附 則

1 この法律施行の期日は、公布の日から起算して九十日をこえない期間内において、政令で定める。但し、第一条から第三条まで、第三十二条から第三十四条まで、第三十九条から第五十四条まで及び附則第五項から第十項までの規定は、公布の日から施行する。

2 鉱業法の一部を次のように改正する。

第八条を次のように改める。

第八条 削除

第四十一条中「、第七十二条」を削り、「命令」の下に「若ハ鉱山保安法第二十四条若ハ第二十五条第一項ノ命令」を加える。

第四十四条中「採掘権者」を「鉱業権者」に、「採掘」を「掘採」に改め、第二項として次の一項を加える。

鉱山監督局長前項ノ認可ヲ為サントスルトキハ鉱山保安監督部長又ハ炭鉱保安監督部長ニ協議スベシ

第四十五条に次の一項を加える。

鉱山監督局長前項ノ命令ヲ為サントスルトキハ鉱山保安監督部長又ハ炭鉱保安監督部長ニ協議スベシ

第四十七条を次のように改める。

第四十七条 削除

「第四章 鉱業警察」を「第四章 削除」に、第七十一条から第七十四条までを次のように改める。

第七十一条乃至第七十四条 削除

第九十六条第一号中「第四十四条」の下に「第一項若ハ第三項」を加え、同条第二号中「、第四十五条、第七十二条、第七十三条第一項又ハ第七十四条第一項」を「又ハ第四十五条第一項」に改め、同条第三号及び第四号を削る。

第九十七条第一号中「乃至」を「又ハ」に改める。

3 砂鉱法の一部を次のように改正する。

第十六条ノ三を削る。

第二十条第一号及び第三号から第五号までを削り、同条第二号中「第十条第二項」の下に「又ハ第四十四条第一項若ハ第三項」を加え、同号を第一号とし、同条に第二号として次の一号を加える。

二 第二十三条ニ於テ準用スル鉱業法第四十五条第一項ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者

第二十三条中「第三十八条乃至第四十三条、」の下に「第四十四条、第四十五条、」を加え、「第七十一条乃至」を「第七十四条ノ二、」に改める。

4 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。

第五章中第五十五条の次に次の一条を加える。

第五十五条の二 この章の規定は、鉱山保安法第二条第三項及び第五項の規定による鉱山における保安(衛生に関する通気及び災害時の救護を含む。)については、これを適用しない。

5 労働省設置法(昭和二十二年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。

第六条第二号及び第三号を次のように改める。

二 産業安全に関する事項(鉱山における保安に関する事項を除く。)

三 労働衛生に関する事項(鉱山における通気及び災害時の救護に関する事項を除く。)

6 商工省官制(昭和二十年勅令第四百八十六号)の一部を次のように改正する。

第二十三条を次のように改める。

第二十三条 削除

7 商工部内臨時職員等設置制(昭和二十年勅令第四百八十七号)の一部を次のように改正する。

第十条第二項及び第三項を削る。

8 商工局官制(昭和二十一年勅令第一号)の一部を次のように改正する。

第一条中「鉱業及砂鉱業ニ関スル事務」の下に「(保安ニ関スル事務ヲ除ク)」を加える。

第八条を次のように改める。

第八条 削除

9 石炭庁設置法(昭和二十三年法律第四十号)の一部を次のように改正する。

第一条中「消費に関する事務」の下に「(保安に関する事務を除く。)」を加える。

第五条第一項第二号中「保安及び」を削る。

10 臨時石炭鉱業管理法(昭和二十二年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。

第四十一条中「生産に関する事務」の下に「(保安に関する事務を除く。)」を加える。

11 石炭鉱業権等臨時措置法の一部を次のように改正する。

第二十九条第一項第三号中「、第七十二条又は」を「若しくは」に改め、「命令」の下に「又は鉱山保安法第二十四条若しくは第二十五条第一項の命令」を加える。

第三十三条中「第七十二条」を「第七十四条ノ二」に、同条第一項但書中「第七十四条第一項及び第七十四条ノ二第一項中「鉱業権消滅」とあるのは「鉱業権消滅ニ因リ使用権消滅」と、第七十四条ノ二第一項中「鉱業権消滅ノ時」とあるのは」を「第七十四条ノ二第一項中「鉱業権消滅セル場合」とあるのは「鉱業権消滅ニ因リ使用権消滅セル場合」と、「鉱業権消滅ノ時」とあるのは」に改める。

第三十六条第一号中「、第四十五条、第七十二条、第七十三条第一項又は第七十四条第一項」を「又は第四十五条第一項」に改め、同条第二号中「第四十四条」の下に「第一項又は第三項」を加える。

12 試掘権者又は砂鉱権者(改正前の砂鉱法第十六条ノ三第一項の規定による命令を受けた者を除く。)は、この法律施行の日から一年間は、鉱業法第四十四条第一項及び第三項(砂鉱法第二十三条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、その鉱業を行うことができる。

13 改正前の砂鉱法第十六条ノ三第一項又は第二項の規定による認可を受けた施業案は、改正後の同法第二十三条において準用する鉱業法第四十四条第一項の規定により認可を受けた施業案とみなす。

14 鉱業権者は、この法律施行の日から六箇月間は、第十八条の規定にかかわらず、この法律施行の際現に鉱業警察規則(昭和四年商工省令第二十一号)の規定による技術管理者、技術管理者の代理者又は係員である者を保安技術職員に選任することができる。

15 鉱業権者は、この法律施行の日から一年間は、第十八条の規定にかかわらず、審査会の選考を経た者を保安技術職員に選任することができる。

16 この法律施行前にした行為に対する罰則の適用に関しては、なお従前の例による。

別表第一

級別

一級

二級

三級

職員の種類

       
 

鉱務監督官

一七

商工技官

 

一〇

一六

商工事務官

 

一五

二二

三八

       

雇員

     

一二

       

総計

     

五〇

別表第二

級別

二級

三級

職員の種類

     
 

鉱務監督官

七四

九二

一六六

商工技官

一一

二一

三二

商工事務官

一二

一九

九二

一二五

二一七

     

雇員

   

二八

     

総計

   

二四五

(商工・労働・内閣総理大臣署名)

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