漁業法施行法
法律第二百六十八号(昭二四・一二・一五)
(現存漁業権の存続)
第一条 漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号。以下「新法」という。)施行の際現に存する漁業権(以下単に「漁業権」という。)及びこれについて現に存し又は新たに設定される入漁権については、同法施行後二年間は、同法の規定にかかわらず、漁業法(明治四十三年法律第五十八号。以下「旧法」という。)の規定は、なおその効力を有する。但し、新法第六十七条の規定及び同条に係る罰則の適用を妨げない。
2 漁業権について政令で地区及び漁業権の種類を定めて期日を指定したときは、その期日以後は、当該漁業権については、前項の規定は、適用しない。
3 漁業権は、新法施行後その存続期間が満了するものであつても、その存続期間は、満了しないものとする。
(漁業権の変更の不許可)
第二条 漁業権の変更は、許可しない。
(漁業権の譲渡等の制限)
第三条 漁業権は、都道府県知事の認可(地先水面専用の漁業権については、主務大臣の認可)を受けた場合を除き、譲渡又は抵当権(現に存する抵当権を除く。)の目的となることができない。
2 前項の認可をしようとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見をきかなければならない。
(漁業権の貸付契約の解除等の制限)
第四条 漁業権の貸付契約であつて新法施行の際現に存するものについては、借受人が賃貸料を滞納する等信義に反する行為がある場合、一時的に貸し付けた場合、貸付契約の内容が事情の変更によつて妥当でなくなつた場合その他正当の事由がある場合を除き、その解除若しくは解約(合意解約を含む。)をし、又は更新を拒むことができない。
2 前項の貸付契約の解除若しくは解約(合意解約を含む。)をし、又は更新を拒もうとするときは、都道府県知事の認可を受けなければならない。
3 前項の認可をしようとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見をきかなければならない。
4 前三項の規定は、新法施行の際現に存する入漁権を消滅させ、又はその更新を拒む場合に準用する。
(漁業協同組合による漁業権の取得等)
第五条 漁業協同組合又は漁業協同組合連合会は、河川における漁業権を取得し、若しくはその貸付を受け、又はこれについて現に存する入漁権を取得し、若しくは新たに入漁権を設定することができる。
(旧法に基く許可その他の処分の効力)
第六条 漁業の免許を除き、旧法の規定に基いてした許可その他の行政庁の処分であつて新法施行の際現に効力を有するものは、当該行政庁が新法の規定に基いてすることができるものに限り、これに基いてしたものとみなす。
2 前項の規定により新法に基いてしたものとみなされた処分の有効期間については、漁業調整のため必要な限度において命令でその期間を短縮することができる。
(旧法に基く指定遠洋漁業の許可又は起業の認可)
第七条 主務大臣は、その定める期間内に、新法施行の際現に旧法第三十四条第二項(主務大臣の取締規則)の規定に基く命令又は第三十五条第一項(汽船トロール漁業等の許可)の規定に基いて新法第五十二条第一項に規定する指定遠洋漁業について許可又は起業の許可を受けている者につき、中央漁業調整審議会の意見をきいて、その者が新法第五十六条(許可又は起業の許可をしない場合)各号の一に該当するかどうかを審査し、該当する場合にはその者の受けている許可又は起業の許可を取り消さなければならない。
(旧法に基く訴願)
第八条 新法施行前にした訴願については、なお従前の例による。
(漁業権者等に対する補償金の交付)
第九条 政府は、漁業権又はこれを目的とする入漁権、賃借権若しくは使用貸借による借主の権利(以下「漁業権等」と総称する。)を第一条の規定による漁業権の消滅の時に有している者に対して、この法律の定めるところにより補償金を交付する。
(漁業権等補償計画及び補償金額の算定)
第十条 補償金の交付は、漁業権補償委員会が補償すべき漁業権ごとに定める漁業権等補償計画に従つてしなければならない。
2 漁業権等補償計画においては、補償金額を定めなければならない。
3 前項の補償金額は、左の各号に掲げる額の範囲内において定める。
一 昭和二十二年七月一日から昭和二十三年六月三十日まで(以下「基準年度」という。)の全漁期間貸し付けられていた漁業権については、基準年度の賃貸料(使用貸の場合にあつては漁業権補償委員会が近傍類似の漁業権の賃貸料を参しやくして定める額)の、専用漁業権以外のものにあつては十一倍、専用漁業権にあつては十六倍に相当する額
二 基準年度の全漁期間貸し付けられていなかつた漁業権であつて専用漁業権以外のものについては、漁業権補償委員会が基準年度につき近傍類似の漁業権の賃貸料を参しやくして定める推定賃貸料の十三倍に相当する額
三 専用漁業権であつて基準年度の全漁期間貸し付けられていなかつたもの又は入漁権については、基準年度の当該権利による漁獲金額
四 基準年度において貸し付けられていた漁期と貸し付けられていなかつた漁期とがある漁業権については、その各々の期間についての第一号に掲げる額と第二号又は前号に掲げる額の十三分の十一に相当する額とを平均した額の十一分の十三に相当する額
五 賃借権又は使用貸借による借主の権利については、その目的たる漁業権の補償金額の二割に相当する額
六 特別の事由により前各号に掲げる額によることができない場合又は著しく不適当であると認められる場合にあつては、主務大臣が定める基準によつて算出した額
4 前項の賃貸料及び漁獲金額は、漁業権調査規則(昭和二十三年農林省令第五十二号)に基いて報告した額による。但し、賃貸料については、漁業会がその会員に賃貸していたため賃貸料が著しく低い場合、事情の変更によつてその賃貸料によることが著しく不適当である場合その他特別の事由がある場合においては、その賃貸料によらず、漁業権補償委員会が近傍類似の漁業権の賃貸料を参しやくして定める額を賃貸料とし、漁獲金額については、基準年度の不漁、天災等により漁獲金額が著しく少い場合その他特別の事由がある場合においては、その漁獲金額によらず、漁業権補償委員会が近傍類似の漁業権の漁獲金額を参しやくして定める額を漁獲金額とする。
5 漁業権補償委員会は、漁業権等補償計画を定めたときは、遅滞なくその旨を公告し、且つ、公告の日から二十日間、補償すべき漁業権の漁場に最も近い沿岸の属する市町村の事務所において左の事項を記載した書類を縦覧に供するとともに、公告の日から十日以内に、前条に規定する者であつて知れているものに対して当該漁業権等補償計画について通知を発しなければならない。
一 補償すべき漁業権等を有する者の氏名又は名称及び住所
二 補償すべき漁業権等
三 補償金額
(異議の申立及び訴願)
第十一条 第九条に規定する者又はその承継人は、前条の規定による当該漁業権等補償計画について異議があるときは、漁業権補償委員会に対して異議を申し立てることができる。但し、同条第五項の縦覧期間満了後十日を経過したときは、この限りでない。
2 漁業権補償委員会は、前項の申立を受けたときは、同項の異議申立期間満了後二箇月以内に決定しなければならない。
3 前項の決定に対して不服がある申立人は、都道府県知事に訴願することができる。但し、同項の期間満了後二十日を経過したときは、この限りでない。
4 都道府県知事は、前項の訴願を受理したときは、同項但書の期間満了後二箇月以内に裁決しなければならない。
(知事による補償計画の承認等)
第十二条 前条第一項の期間内に同項の規定による異議の申立がないとき、同項の規定による異議の申立があつた場合においてこれについて同条第二項の規定による決定があり、且つ、同条第三項但書の期間内に訴願の提起がなかつたとき、又は同項の規定による訴願の提起があつた場合においてこれについて同条第四項の規定による裁決があつたときは、漁業権補償委員会は、遅滞なく当該漁業権等補償計画について都道府県知事の承認を受けなければならない。
2 都道府県知事が前項の承認をしようとする場合において、主務大臣は、当該漁業権等補償計画が他都道府県の漁業権等補償計画と均衡を失し、その他不当であると認めるときは、都道府県知事に対して承認をしてはならないことを命ずることができる。
3 都道府県知事が第一項の承認を拒んだときは、漁業権補償委員会は、漁業権等補償計画を作成し直さなければならない。
4 漁業権補償委員会が前項の規定により漁業権等補償計画を作成し直さないときは、都道府県知事は、漁業権補償委員会に代つてこれを作成し直すことができる。
5 前項の場合においては、第十条第五項(漁業権等補償計画の公告等)及び前条の規定を準用する。この場合において、前条第三項及び第四項中「都道府県知事」とあるのは「主務大臣」と読み替えるものとする。
6 第一項の規定による承認を受けたときは、漁業権補償委員会は、遅滞なくその旨を公告し、且つ、第九条に規定する者であつて知れているものに対して通知しなければならない。
7 前項の規定は、都道府県知事が第四項の規定により漁業権等補償計画を作成した場合においてこれについて前条第一項の期間内に同項の規定による異議の申立がないとき、同項の規定による異議の申立があつた場合においてこれについて同条第二項の規定による決定があり、且つ、同条第三項但書の期間内に訴願の提起がなかつたとき、又は同項の規定による訴願の提起があつた場合においてこれについて同条第四項の規定による裁決があつたときに準用する。
(承継人に対する効力)
第十三条 前三条の規定によりした手続その他の行為は、第九条に規定する者の承継人に対してもその効力を有する。
(補償金の供託)
第十四条 第九条の規定により補償金を交付すべき漁業権等(その属する漁業財団を含む。)について先取特権又は抵当権があるときは、当該権利を有する者から供託をしなくてもよい旨の申出がある場合を除き、政府は、その補償金を供託しなければならない。
2 前項の漁業権等(その属する漁業財団を含む。)について先取特権又は抵当権を有する者は、前項の規定により供託した補償金に対してその権利を行うことができる。
(補償金増額請求の訴)
第十五条 第九条の規定による漁業権等の補償金の額に不服がある者は、訴をもつてその増額を請求することができる。但し、第十二条第六項(同条第七項において準用する場合を含む。)の通知を受けた後一箇月を経過したときは、この限りでない。
2 前項の訴においては、国を被告とする。
(漁業権証券)
第十六条 第九条の規定による補償金は、三十年以内に償還すべき証券で交付することができる。
2 前項の規定により交付するため、政府は、必要な額を限度として証券を発行することができる。
3 前二項の規定により交付する証券の交付価額は、時価を参しやくして大蔵大臣が定める。
4 第二項の証券に関して必要な事項は、命令で定める。
(漁業権補償委員会)
第十七条 都道府県に漁業権補償委員会を置く。
2 漁業権補償委員会は、主務大臣及び都道府県知事の監督に属し、その設置された都道府県の区域内に存する漁業権等の補償に関する事項を処理する。
3 漁業権補償委員会は、委員をもつて組織する。
4 委員は、都道府県知事が漁業者及び漁業従事者の中から選任した者七人及び学識経験がある者の中から選任した者三人をもつて充てる。
5 主務大臣は、必要があると認めるときは、特定の漁業権補償委員会について前項の委員の定数と異なる定数を定めることができる。
6 委員の任期は、第九条の規定による漁業権の補償金の交付の事務が終了するまでとする。
7 新法第八十五条第二項、第四項から第六項まで(海区漁業調整委員会の会長、専門委員及び書記又は補助員)、第九十五条(兼職の禁止)、第九十六条(委員の辞職の制限)、第九十八条第三項(補欠委員の任期)、第百条から第百三条まで(解任、会議及び議決の再議)及び第百十六条から第百十九条まで(報告徴収等、監督、費用及び委任規定)の規定は、漁業権補償委員会に準用する。この場合において、第百十九条中「本章」とあるのは「漁業法施行法第十七条」と読み替えるものとする。
(日光養魚場の所管換)
第十八条 農林大臣が日光養魚場の用に供されている国有財産の所管換を受ける場合には、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第十五条(異なる会計間の所管換等)の規定にかかわらず、無償とする。
(水産庁設置法の一部改正)
第十九条 水産庁設置法(昭和二十三年法律第七十八号)の一部を次のように改正する。
第七条の六を次のように改める。
(その他の附属機関)
第七条の六 左の上欄に掲げる機関は、水産庁の附属機関として置かれるものとし、その目的は、それぞれ下欄に記載する通りとする。
種類 |
目的 |
水産物規格審議会 |
水産物の規格の審査その他指定農林物資検査法(昭和二十三年法律第二百十号)に規定する権限を行うこと。
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漁船保険審査会 |
漁船保険法(昭和十二年法律第二十三号)により政府の行う再保険に関する事項を審査すること。
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中央漁業調整審議会 |
漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)の施行に関する重要事項を審議すること。
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瀬戸内海連合海区漁業調整委員会 |
瀬戸内海における漁業調整を行うこと。 |
2 水産物規格審議会については指定農林物資検査法、漁船保険審査会については漁船保険法、中央漁業調整審議会及び瀬戸内海連合海区漁業調整委員会については漁業法の定めるところによる。
第七条の六の次に次の一条を加える。
(瀬戸内海漁業調整事務局)
第七条の七 瀬戸内海における水産動植物の繁殖保護、漁業の許可、漁業取締その他漁業調整、漁業調整委員会の監督等漁業法の施行に関する事務の一部を分掌させるため、瀬戸内海漁業調整事務局を置く。
2 瀬戸内海漁業調整事務局は、神戸市に置く。
3 前二項に規定するものの外、瀬戸内海漁業調整事務局について必要な事項は、政令で定める。
第八条第一項中「漁業法(明治四十三年法律第五十八号)の施行」を「漁業の許可(瀬戸内海漁業調整事務局の所掌に属するものを除く。)」に改める。
(漁業財団抵当法の一部改正)
第二十条 漁業財団抵当法(大正十四年法律第九号)の一部を次のように改正する。
第一条中「漁業権若ハ其ノ登録シタル賃借権」を「定置漁業権若ハ区画漁業権(ヒビ建養殖業、カキ養殖業、漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第六条第五項第五号ノ規定ニヨリ主務大臣ノ指定スル湖沼以外ノ内水面ニ於ケル魚類養殖業又ハ第三種区画漁業タル貝類養殖業ヲ内容トスル区画漁業権ニシテ漁業協同組合又ハ漁業協同組合連合会ノ有スルモノヲ除ク以下同ジ)」に改める。
第二条、第三条及び第六条中「漁業権又ハ其ノ登録シタル賃借権」を「定置漁業権又ハ区画漁業権」に改める。
第四条第一項及び第四項中「漁業権」を「定置漁業権又ハ区画漁業権」に、同条第一項、第五項及び第六項中「漁業免許」を「漁業権」に、同条第六項中「水産物ノ蕃殖保護」を「漁業調整」に、「若ハ国防其ノ他ノ軍事上必要アル場合、公益上害アル場合又ハ錯誤ニ依リ漁業ノ免許ガ与ヘラレタル場合」を「其ノ他公益上必要アリト認ムル場合」に改める。
第五条を次のように改める。
第五条 ヒビ建養殖業、カキ養殖業、漁業法第六条第五項第五号ノ規定ニヨリ主務大臣ノ指定スル湖沼以外ノ内水面ニ於ル魚類養殖業又ハ第三種区画漁業タル貝類養殖業ヲ内容トスル区画漁業権ニ付漁業財団ヲ設定シタル場合ニ於テ之ヲ漁業協同組合又ハ漁業協同組合連合会ニ譲渡セントスルトキハ漁業権者ハ抵当権者ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
抵当権者ハ正当ノ事由ニ因ルニ非ザレバ前項ノ同意ヲ拒ムコトヲ得ズ
第一項ノ譲渡アリタルトキハ抵当権ハ消滅ス
2 新法施行後同法附則第五項の規定により定置漁業権又は区画漁業権が抵当権の目的となることができない期間中は、定置漁業権又は区画漁業権を有する者は、これについて抵当権の目的とするため漁業財団を設けることができない。
3 第一項の規定施行の際現に漁業権又はその登録した賃借権について抵当権の目的とするため設けられている漁業財団については、なお従前の例による。
(水産業協同組合法の一部改正)
第二十一条 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)の一部を次のように改正する。
第十七条第一項を次のように改める。
第十九条第一項の規定により組合員に出資させ、且つその営む漁業又はこれに附帯する事業に常時従事する者の三分の二以上が組合員又は組合員と世帯を同じくする者である組合は、第十一条に規定する事業の外、漁業及びこれに附帯する事業を営むことができる。
第十七条第一項の次に次の一項を加え、第二項を第三項とし、同項中「前項」を「前二項」に、「同項」を「第一項」に改める。
2 前項の規定により漁業協同組合が漁業を営むには、組合員の三分の二以上の書面による同意を必要とする。
第十八条第一項に次の但書を加える。
但し、河川において水産動植物の採捕又は養殖をする者を主たる構成員とする組合にあつては、組合の地区内に住所を有し、且つ水産動植物の採捕又は養殖をする者(遊漁者を除く。)であつて、採捕又は養殖に従事する日数が一年を通じて三十日から九十日までの間で定款で定める日数をこえるものも組合員たる資格を有する。
第十八条第二項に次の但書を加える。
但し、前項但書に規定する組合については、この限りでない。
第四十二条第二項中「、第十七条の規定による漁業及びこれに附帯する事業を営まない組合の組合員名簿には第五号の事項を」及び第五号を削る。
第八十条、第八十一条及び第八十二条第三項中「従事する者」を「常時従事する者」に改める。
第八十四条第二項第一号中「第一号及び第三号から第五号まで」を「第一号、第三号及び第四号」に改め、同項第二号の次に次の一号を加える。
三 組合の営む漁業又はこれに附帯する事業に常時従事する者でないときはその旨
(水産業協同組合法の制定に伴う水産業団体の整理等に関する法律の一部改正)
第二十二条 水産業協同組合法の制定に伴う水産業団体の整理等に関する法律(昭和二十三年法律第二百四十三号)の一部を次のように改正する。
第十三条第六項中「財産」を「財産(漁業権、これを使用する権利若しくは入漁権又はこれらの権利に基いて当該水産業団体の取得した財産を除く。以下本条中同じ。)」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(漁業権管理委員会)
第十三条の二 漁業法施行法(昭和二十四年法律第二百六十八号)施行の際現に存する漁業会で漁業権若しくはこれを使用する権利又は入漁権を有しているものは、同法施行後二箇月以内に総会を招集しなければならない。
2 前項の総会には、第十二条第二項から第五項までの規定を準用する。この場合において、「会員」とあるのは「水産業協同組合法第十条第二項に規定する漁民(同法第十八条第一項但書に規定する者を含む。)たる会員」と読み替えるものとする。
3 第一項の総会においては、漁業権管理委員会の委員を選挙しなければならない。
4 前項の委員の選挙は、水産業協同組合法第十条第二項に規定する漁民(同法第十八条第一項但書に規定する者を含む。)たる会員の無記名投票によつて行う。
5 第三項の委員の定数は、五人から九人までとし、その全部が水産業協同組合法第十八条第一項に規定する漁民でなければならない。
6 漁業権若しくはこれを使用する権利又は入漁権に係る理事の権限は、漁業権管理委員会が行う。
7 第一項の漁業会の清算人は、漁業権若しくはこれを使用する権利又は入漁権に基いて当該漁業会が取得した財産の処分については、漁業権管理委員会の意見をきき、これに従わなければならない。但し、漁業権管理委員会の意見が総会の議決に反する場合は、この限りでない。
(農林中央金庫法の一部改正)
第二十三条 農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項中「漁業協同組合、」を「漁業協同組合、漁業生産組合、」に改める。
(旧法の罰則の適用)
第二十四条 新法施行前(この法律第一条に規定する漁業権及びこれについて現に存し又は新たに設定される入漁権については、同条の規定により効力を有する旧法の失効前)にした行為の処罰については、新法附則第二項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
(罰則)
第二十五条 左の各号の一に該当する者は、六箇月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一 第三条第一項の規定に違反して漁業権を譲渡又は抵当権の目的とした者
二 第四条第二項(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
第二十六条 前条の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
第二十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、第二十五条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対し、同条の罰金刑を科する。
附 則
1 この法律は、新法施行の日から施行する。
2 この法律施行後海区漁業調整委員会が設置されるまでの間は、都道府県知事は、第三条第二項又は第四条第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、海区漁業調整委員会の意見をきくことを要しない。
(大蔵・農林・内閣総理大臣署名)