日本国有鉄道の所有地内にある日本通運株式会社の施設の処理等に関する法律

法律第二百四十三号(昭二四・一二・七)

第一条 この法律は、日本国有鉄道がその所有地内にある通運事業者の所有する荷役機械等の施設を譲り受けること等により、これらの施設の公正且つ有効な利用と通運事業における公正な競争の確保とに資することを目的とする。

第二条 日本国有鉄道は、この法律施行の際現にその所有地内にある日本通運株式会社の所有する左に掲げる施設のうち、日本国有鉄道がその事業の運営上荷主又は通運事業者に対してその有効な利用を確保し、共通の利便を与えるために必要なものを、第四条第二項の規定による交換により、及び予算のうち工事勘定で定められた額の範囲内で譲り受けなければならない。

 一 荷役機械

 二 貨車の入換に使用する動力車

 三 倉庫、上屋、労務員詰所、荷扱所その他作業用の建物

 四 貨物の積卸及び保管に使用する構築物

第三条 日本国有鉄道が前条の規定により譲り受けるべき物件は、日本国有鉄道が指定する。

2 前項の規定により日本国有鉄道が指定する施設の価格、第四条の規定により日本国有鉄道が日本通運株式会社に譲渡すべき株式の価格その他施設の譲受及び株式の譲渡に関する事項は、日本国有鉄道、日本通運株式会社及びこれらの者が協議して定めた候補者のうちから運輸大臣が選定する第三者の協議によつて定める。この場合において、施設及び株式の価格については、運輸大臣の承認を受けなければならない。

3 前項の協議が整わないとき又は協議することができないと認めるときは、運輸大臣が裁定する。

4 前項の裁定があつたときは、その裁定の定めるところにより、第二項前段の協議が整い、且つ、同項後段の承認があつたものとみなす。

5 運輸大臣は、第二項前段の選定、同項後段の承認又は第三項の裁定をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。

第四条 日本国有鉄道は、この法律施行の際現に所有する日本通運株式会社の株式を他に譲渡しなければならない。

2 日本国有鉄道及び日本通運株式会社は、第二条の施設と前項の株式とをその対等額の範囲内で前条の規定により交換するものとする。

3 前項の場合において、施設の価額が株式の価額をこえるときは、日本国有鉄道は、金銭でその差額を支払わなければならない。

4 第一項の株式の価額が第二条の施設の価額をこえるときは、日本国有鉄道は、遅滞なくそのこえる額の株式を他に譲渡するものとする。

5 第二項の規定による株式の譲渡については、有価証券の処分の調整等に関する法律(昭和二十二年法律第八号)は、適用しない。

6 第四項の規定による株式の譲渡については、有価証券の処分の調整等に関する法律は、適用があるものとする。

第五条 日本国有鉄道は、その所有地内にある日本通運株式会社以外の通運事業者がこの法律施行の際現に所有する施設であつて第二条の施設に準ずるものを、予算の範囲内で譲り受け、又は賃借しなければならない。

2 前項の通運事業者は、同項の施設を日本国有鉄道に譲渡し、又は賃貸しなければならない。

3 第三条の規定は、前二項の場合に準用する。

第六条 日本通運株式会社がその所有する施設であつてこの法律施行の際現に地方鉄道業者又は軌道経営者の所有地内にあるものについて、これらの者の要求によりこれを譲渡し、又は賃貸しなければならない場合における譲渡又は賃貸をすべき物件、その譲渡価格又は賃貸料その他譲渡又は賃貸に関する事項は、日本通運株式会社及び当該地方鉄道業者又は軌道経営者の協議によつて定める。

2 第三条第三項及び第四項の規定は、前項の場合に準用する。

   附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 この法律中「通運事業」又は「通運事業者」とあるのは、通運事業に関する法律が制定施行されるまでは、それぞれ「小運送業」又は「小運送業者」と読み替えるものとする。

(大蔵・運輸・内閣総理大臣署名) 

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