日本国有鉄道法の一部を改正する法律

法律第二百六十二号(昭二四・一二・一四)

 日本国有鉄道法(昭和二十三年法律第二百五十六号)の一部を次のように改正する。

 第十二条第二項第三号中「政府職員」を「政府職員(人事院の指定する非常勤の者を除く。)」に改める。

 第三十六条から第五十一条までを次のように改める。

 (総則)

第三十六条 日本国有鉄道の会計及び財務に関しては、本章の定めるところによる。

 (事業年度)

第三十七条 日本国有鉄道の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。

2 日本国有鉄道は、毎事業年度の決算を翌年度七月三十一日までに完結しなければならない。

 (計理の方法)

第三十八条 日本国有鉄道は、その事業の経営成績及び財政状態を明らかにするため財産の増減及び異動をその発生の事実に基いて計理する。

 (予算)

第三十九条 日本国有鉄道は、毎事業年度の予算を作成し、これに当該予算の予算実施計画に関する書類及び当該年度の事業計画、資金計画その他財政計画の参考となる事項に関する書類並びに前前年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書を添え、運輸大臣に提出しなければならない。

2 運輸大臣は、前項の規定により予算の提出を受けたときは、これを検討して適当であると認めたときは、大蔵大臣に送付しなければならない。

3 大蔵大臣は、前項の規定により予算の送付を受けたときは、これを検討して必要な調整を行い、閣議の決定を経なければならない。

4 内閣は、前項の規定により予算を決定したときは、国の予算とともにこれを国会に提出しなければならない。

5 前項の予算には、第一項に規定する添附書類を附するものとする。

6 第一項の予算の形式及び内容については政令で、同項の予算の作成及び提出の手続については大蔵大臣が運輸大臣と協議して定める。

 (債務の負担)

第三十九条の二 日本国有鉄道は、歳出予算の金額の範囲内におけるものの外、債務を負担する行為をするには、予め予算をもつて、国会の議決を経なければならない。

2 日本国有鉄道は、前項に規定するものの外、災害復旧その他緊急の必要がある場合においては、毎事業年度国会の議決を経た金額の範囲内において、債務を負担する行為をすることができる。

 (予備費)

第三十九条の三 業務取扱数量の増加その他避け難い事由による歳出予算の不足を補うため、日本国有鉄道の予算に予備費を設けることができる。

2 日本国有鉄道は、前項の予備費を使用して、なお事業のため直接必要とする歳出予算に不足を生じたときは、予算の定めるところに従い、業務量の増加により収入の見積をこえる収入に相当する金額を事業のため直接必要とする経費に使用することができる。

 (予算の議決)

第三十九条の四 日本国有鉄道の予算の議決に関しては、国の予算の議決の例による。

 (予算議決の通知)

第三十九条の五 政府は、日本国有鉄道の予算が国会の議決を経たときは、直ちにその旨を日本国有鉄道に通知するものとする。

2 日本国有鉄道は、前項の規定による通知を受けた後でなければ、予算を実施することはできない。

3 政府は、第一項の規定により日本国有鉄道に通知したときは、直ちにその旨を会計検査院に通知しなければならない。

 (追加予算)

第三十九条の六 日本国有鉄道は、予算作成後に生じた避けることのできない事由により必要がある場合に限り、追加予算を作成し、これに当該予算の予算実施計画に関する書類及び事業計画、資金計画その他財政計画の参考となる事項に関する書類を添え、運輸大臣に提出することができる。

2 第三十九条第二項から第六項まで及び前二条の規定は、前項の規定による追加予算について準用する。

 (予算の修正)

第三十九条の七 日本国有鉄道は、前条第一項の場合を除く外、予算成立後に生じた事由に基いて既に成立した予算に変更を加える必要があるときは、予算を修正し、これに当該予算の予算実施計画に関する書類及び事業計画、資金計画その他財政計画の参考となる事項に関する書類を添え、運輸大臣に提出することができる。

2 第三十九条第二項から第六項まで、第三十九条の四及び第三十九条の五の規定は、前項の規定による予算の修正について準用する。

 (暫定予算)

第三十九条の八 日本国有鉄道は、必要に応じて一事業年度のうちの一定期間に係る暫定予算を作成し、これに当該予算の予算実施計画に関する書類及び事業計画、資金計画その他財政計画の参考となる事項に関する書類を添え、運輸大臣に提出することができる。

2 第三十九条第二項から第六項まで、第三十九条の四及び第三十九条の五の規定は、前項の規定による暫定予算について準用する。

3 暫定予算は、当該事業年度の予算が成立したときは失効するものとし、この暫定予算に基く支出又はこれに基く債務の負担があるときは、これを当該年度の予算に基いてしたものとみなす。

 (予算の実施)

第三十九条の九 日本国有鉄道の予算の実施は、日本国有鉄道の予算に添附して国会に提出した予算実施計画に定める区分に従うものとする。

第三十九条の十 日本国有鉄道は、予算については、当該予算に定める目的の外に使用してはならない。

第三十九条の十一 日本国有鉄道は、予算で指定する経費の金額については、運輸大臣の承認を受けなければ、流用することができない。

第三十九条の十二 日本国有鉄道は、歳出予算のうち、当該事業年度内に契約その他支出の原因となる行為をし、当該年度内に支払義務が生じなかつたものに対する経費の金額を翌年度に繰り越して使用することができる。

第三十九条の十三 日本国有鉄道は、予備費を使用するとき及び予算を繰り越して使用するときは、直ちにその旨を運輸大臣に通知しなければならない。

2 運輸大臣は、前項の規定により通知を受けたときは、直ちにその旨を大蔵大臣及び会計検査院に通知しなければならない。

 (資金計画)

第三十九条の十四 日本国有鉄道は、国会の議決を経た予算を実施するため四半期毎に資金計画を定め、運輸大臣、大蔵大臣及び会計検査院に提出しなければならない。これを変更するときも同様とする。

2 大蔵大臣は、前項の規定により提出された資金計画が国の資金の状況により実施することができないと認めるときは、その実施することができる限度を運輸大臣を経て日本国有鉄道に通知するものとする。

3 日本国有鉄道は、前項の通知を受けたときは、その資金計画を修正しなければならない。

 (収入支出等の報告)

第三十九条の十五 日本国有鉄道は、政令の定める形式により、契約その他支出の原因となる行為により負担した債務の金額並びに収入し及び支出した金額を、毎月運輸大臣、大蔵大臣及び会計検査院に報告しなければならない。

 (決算)

第四十条 日本国有鉄道は、事業年度毎に財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、決算完結後一月以内に運輸大臣に提出してその承認を受けなければならない。

2 日本国有鉄道は、前項の規定による運輸大臣の承認を受けたときは、その財産目録、貸借対照表及び損益計算書を公告しなければならない。

第四十条の二 日本国有鉄道は、予算の区分に従い毎事業年度の決算報告書を作成し、これに当該年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書を添え、運輸大臣を経て大蔵大臣に提出しなければならない。

2 大蔵大臣は、前項の規定による決算報告書の提出を受けたときは、これを内閣に送付しなければならない。

3 第一項に規定する決算報告書の形式及び内容については、政令で定める。

第四十条の三 内閣は、前条第二項の規定により日本国有鉄道の決算報告書の送付を受けたときは、翌事業年度の十一月三十日までにこれを会計検査院に送付しなければならない。

2 内閣は、会計検査院の検査を経た日本国有鉄道の決算報告書に前条第一項に規定する添附書類を附して、国の歳入歳出の決算とともに、国会に提出しなければならない。

 (利益の処分)

第四十一条 日本国有鉄道は、経営上利益を生じた場合において前事業年度から繰り越した損失があるときは、この利益を繰越損失の補てんに充てなければならない。

2 日本国有鉄道は、前項の規定により利益を繰越損失の補てんに充ててなお残額があるときは、別に予算に定める場合を除き、これを政府の一般会計に納付しなければならない。

 (交付金)

第四十一条の二 政府は、日本国有鉄道に損失を生じた場合において特別の必要があると認めるときは、その損失の額を限度として交付金を交付することができる。

 (業務に係る現金の取扱)

第四十二条 日本国有鉄道は、業務に係る現金を国庫に預託しなければならない。但し、現金を安全に取り扱うため、日本銀行の支店又は代理店を簡便に利用できないときは、政令の定める範囲内において郵便局又は市中銀行に預け入れることができる。

2 政府は、前項の規定により国庫に預託された預託金については、大蔵大臣の定めるところにより相当の利子を附するものとする。

 (借入金及び鉄道債券)

第四十二条の二 日本国有鉄道は、運輸大臣の認可を受けて、政府から長期借入金及び短期借入金をすることができる。日本国有鉄道は、運輸大臣の認可を受けて、鉄道債券を発行することができる。

2 前項の規定による長期借入金、短期借入金及び鉄道債券の限度額については、予算をもつて国会の議決を経なければならない。

3 第一項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。但し、資金不足のため償還することができないときは、その償還することのできない金額に限り、運輸大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。

4 前項但書の規定により借り換えた借入金は、一年以内に償還しなければならない。

 (政府からの貸付等)

第四十二条の三 政府は、日本国有鉄道に対し長期若しくは短期の資金の貸付をし、又は鉄道債券の引受をすることができる。

 (国庫余裕金の一時使用)

第四十二条の四 政府は、前条に規定する短期の資金の貸付に代えて当該事業年度内に限り、国庫金裕金を日本国有鉄道に一時使用させることができる。

2 前項の規定により一時使用させる金額については、大蔵大臣の定めるところにより相当の利子を附するものとする。

 (償還計画)

第四十二条の五 日本国有鉄道は、毎事業年度、長期借入金及び鉄道債券の償還計画をたてて、運輸大臣の承認を受けなければならない。

 (会計規程)

第四十三条 日本国有鉄道は、その会計に関し、この法律及びこれに基く政令に定めるものの外、会計規程を定めなければならない。

2 前項の会計規程は、公共企業体としての日本国有鉄道の公共性にかんがみ、その事業の能率的な運営と予算の適正な実施に役立つように定めなければならない。

3 日本国有鉄道は、第一項の会計規程を定めるときは、その基本事項について、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更するときも同様とする。

4 日本国有鉄道は、第一項の会計規程を定めたときは、直ちにこれを運輸大臣、大蔵大臣及び会計検査院に通知しなければならない。

 (給与準則)

第四十四条 日本国有鉄道は、その役員及び職員に対して支給する給与について給与準則を定めなければならない。この場合において、この給与準則は、これに基く一事業年度の支出が国会の議決を経た当該年度の予算の中で給与の額として定められた額をこえるものであつてはならない。

 (大蔵大臣に対する報告等)

第四十五条 大蔵大臣は、日本国有鉄道の予算の実施に関し必要があると認めるときは、収支に関する報告を徴し、予算の実施状況について実地監査を行うことができる。

 (財産処分の制限)

第四十六条 日本国有鉄道は、法律に定める場合の外、営業線及びこれに準ずる重要な財産を譲渡し、交換し、又は担保に供することができない。

 (大蔵大臣との協議)

第四十七条 運輸大臣は、第三十九条の十一、第四十条第一項及び第四十二条の五に規定する承認並びに第四十二条の二第一項、同条第三項但書及び第四十三条第三項に規定する認可については、大蔵大臣と協議してこれをしなければならない。

 (会計職員)

第四十八条 総裁、副総裁又は理事(以下「総裁等」という。)により契約を締結する職員として任命された者は、契約の締結に関し、総裁等により現金の出納を命令する職員として任命された者は、債務者に対する支払の請求に関し、総裁等により現金の出納をする職員として任命された者(以下「現金出納職員」という。)は、現金の支払及び受領に関し、総裁等により物品の出納をする職員として任命された者(以下「物品出納職員」という。)は、物品の引渡及び受領に関し、それぞれ総裁等を代理する。

第四十八条の二 総裁は、現金出納職員又は物品出納職員が、善良なる管理者の注意を怠り、その保管に係る現金又は物品を亡失き損し、日本国有鉄道に損害を与えたときは、その損害の弁償を命じなければならない。

2 前項の規定により弁償を命ぜられた現金出納職員又は物品出納職員は、その責を免かるべき理由があると信ずるときは、会計検査院の検定を求めることができる。但し、弁償を命ぜられた時から起算して五年を経過したときは、この限りでない。

3 前項の場合において、会計検査院が現金出納職員又は物品出納職員に弁償の責がないと検定したときは、総裁は、その弁償の命令を取り消し、既納に係る弁償金を直ちに還付しなければならない。

 (契約)

第四十九条 日本国有鉄道が売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、公告して一般競争入札の方法に準じ申込をさせ、その最低又は最高の価格による申込者又は申込者との価格その他の条件についての公正な協議を経て定めた者とこれをしなければならない。但し、緊急な必要のある場合、一般競争入札の方法に準じてすることが不利である場合又は政令の定める場合においては、この限りでない。

 (会計検査)

第五十条 日本国有鉄道の会計については、会計検査院が検査する。

 (運賃の設定及び変更)

第五十一条 日本国有鉄道における運賃の設定及び変更に関しては、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三条及び財政法第三条の特例に関する法律(昭和二十三年法律第二十七号)の規定を準用する。

 第六十三条中「国の利害に関係のある訴訟についての法務総裁の権限等に関する法律(昭和二十二年法律第百九十四号)」の下に「及び財政法、会計法(昭和二十二年法律第三十五号)、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)等国の会計を規律することを目的とする法令」を加える。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、昭和二十五年四月一日から施行する。但し、改正後の第三十九条から第三十九条の五まで及び第三十九条の八の規定は、昭和二十五年度以後の予算について、改正後の第四十条から第四十条の三までの規定は、昭和二十五年度以後の決算について、改正後の第四十九条の規定は、公布の日から、それぞれ適用する。

 (昭和二十四年度の決算等)

2 日本国有鉄道の昭和二十四年度の予備費の使用及び決算については、なお従前の例による。

 (昭和二十四年度の国有鉄道事業特別会計の損失の取扱)

3 昭和二十四年度の国有鉄道事業特別会計の損失で、国有鉄道事業特別会計法の一部を改正する法律(昭和二十四年法律第十一号)附則第九項の規定により調整勘定として資産項目に計上された金額は、改正後の第四十一条の適用については、同条の繰越損失とみなす。

(大蔵・運輸・内閣総理大臣署名)

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