国家行政組織法

法律第百二十号(昭二三・七・一〇)

 (総則)

第一条 この法律は、内閣の統轄の下における行政機関の組織の基準を定め、もつて国の行政事務の能率的な遂行のために必要な国家行政組織を整えることを目的とする。

第二条 国家行政組織は、内閣の統轄の下に、明確な範囲の所掌事務と権限を有する行政機関の全体によつて、系統的に構成されなければならない。

2 国の行政機関は、内閣の統轄のもとに、行政機関相互の連絡を図り、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない。

 (行政機関の設置、廃止、所掌事務等)

第三条 国の行政機関の組織は、この法律でこれを定めるものとする。

2 行政組織のため置かれる国の行政機関は、府、省、委員会及び庁とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる。

3 委員会及び庁は、総理府、法務府又は各省の外局として置かれるものとする。

4 第二項の行政機関として置かれるものは、別表にこれを掲げる。

第四条 前条の行政機関の所掌事務の範囲及び権限は、別に法律でこれを定める。

 (行政機関の長)

第五条 総理府、法務府及び各省の長は、それぞれ内閣総理大臣、法務総裁及び各省大臣(以下各大臣と総称する。)とし、内閣法にいう主任の大臣として、それぞれ行政事務を分担管理する。

2 法務総裁は、その地位に最もふさわしい者の中から、内閣総理大臣がこれを命ずる。その者は、国務大臣でなければならない。

3 各省大臣は、国務大臣の中から、内閣総理大臣がこれを命ずる。但し、内閣総理大臣が、自らこれに当ることを妨げない。

第六条 委員会の長は、委員長とし、庁の長は、長官とする。

 (内部部局及び機関)

第七条 府及び省には、その所掌事務を遂行するため、左に掲げる内部部局を置く。

官房

2 庁には、その所掌事務を遂行するため、左に掲げる内部部局を置くことができる。

官房

3 前二項の官房、局及び部の設置並びに所掌事務の範囲は、法律でこれを定め、課の設置及び所掌事務の範囲は、その法律の範囲内で、各大臣又は各外局の長が、これを定める。但し、課を置く場合においては、予算上の措置がこれに伴つていなければならない。

4 委員会に事務局を置く。前二項の規定は、事務局の内部組織に、これを準用する。

第八条 第三条の各行政機関には、前条の内部部局の外、法律の定める所掌事務の範囲内で、特に必要がある場合においては、法律の定めるところにより、審議会又は協議会(諮問的又は調査的なもの等第三条に規定する委員会以外のものを云う。)及び試験所、研究所、文教施設、医療施設その他の機関を置くことができる。

2 前項に規定する機関が地方に置かれる場合においては、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百五十六条の規定の適用があるものとする。

第九条 第三条の各行政機関には、その所掌事務を分掌させる必要がある場合においては、法律の定めるところにより、地方支分部局を置くことができる。

 (行政機関の長の権限)

第十条 各大臣、各委員会の委員長及び各庁の長官は、その機関の事務を統括し、職員の服務について、これを統督する。

第十一条 各大臣は、主任の行政事務について、法律若しくは政令の制定、改正又は廃止を必要と認めるときは、案をそなえて、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めなければならない。

第十二条 各大臣は、主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基いて、それぞれその機関の命令(総理府令、法務府令又は省令)を発することができる。

2 各外局の長は、その機関の所掌事務について、それぞれ主任の各大臣に対し、案をそなえて、前項の命令を発することを求めることができる。

3 前二項の命令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない。

第十三条 各外局の長は、別に法律で定めるところにより、政令及び前条第一項に規定する命令以外の規則その他の特別の命令を自ら発することができる。

2 前条第三項の規定は、前項の命令に、これを準用する。

第十四条 各大臣及び各外局の長は、その機関の所掌事務について、公示を必要とする場合においては、告示を発することができる。

2 各大臣及び各外局の長は、その機関の所掌事務について、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)及びこれに基く規則の規定に従い、命令又は示達するため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる。

第十五条 各大臣は、主任の事務について、地方自治法第百五十条の規定により、地方公共団体の長のなす国の行政事務に関し、その長を指揮監督することができる。若し、国の機関としての都道府県知事の権限に属する国の事務の管理若しくは執行が法令の規定若しくは主任の各大臣の処分に違反するものがあると認めるとき、又はその国の事務の管理若しくは執行を怠るものがあると認めるときは、主任の各大臣は、地方自治法第百四十六条の規定により、その行うべき事項を命令し、裁判所の裁判を請求し、確認の裁判に基いて、当該都道府県知事に代つて当該事項を行い、又は同条の規定により、内閣総理大臣は、これを罷免することができる。

2 前項の規定により罷免をしたときは、内閣総理大臣は、政令の定めるところにより、罷免の理由を当該都道府県の住民に公示して周知させる措置を講じなければならない。

第十六条 府令、省令並びに前条の規定による指揮監督の権限に基いて、各大臣が地方公共団体の長に対してなす命令、示達その他の行為について、地方自治の本旨に反するものがあると認めるときは、当該地方公共団体の長は、その旨を内閣総理大臣に申し出ることができる。この場合において、その申出を理由があると認めるときは、内閣総理大臣は、三十日以内に調査を行い、関係各大臣に対し、必要な指示をなし、その他適当な措置を講じ、その申出を理由がないと認めるときは、その理由を示して当該地方公共団体の長に通告しなければならない。

2 前項の規定による申出は、関係各大臣の命令、示達その他の行為の効力に影響を及ぼすものではない。

 (行政機関の職)

第十七条 各省に次官一人を置く。次官は、特別職とする。

2 次官は、大臣を助け、政策及び企画に参画し、省務を整理し、大臣不在の場合その職務を代行する。

第十八条 総理府に秘書官二人、法務府及び各省に秘書官各一人を置く。

2 秘書官は、それぞれ各大臣の命を受け、機密に関する事務を掌り、又は臨時命を受け各部局の事務を助ける。

第十九条 各行政機関に置かるべき職の定員は、法律でこれを定める。

第二十条 第三条の各行政機関には、第七条の内部部局に応じ、それぞれの長として、左の職を置くことを例とする。

局長

部長

課長

2 前項の職に係る所掌事務の範囲及び権限は、国家公務員法の規定に従つて、これを区分しなければならない。

 (現業の行政機関に関する特例)

第二十一条 現業の行政機関については、特に法律の定めるところにより、第七条及び前条の規定にかかわらず、別段の定めをすることができる。

 (公団)

第二十二条 公団は、国家行政組織の一部をなすものとし、その設置及び廃止は、別に法律でこれを定める。

2 公団として置かれるものは、別表にこれを掲げる。

附 則

第二十三条 この法律は、昭和二十四年一月一日から、これを施行する。但し、第二十七条の規定は、公布の日から、これを施行する。

第二十四条 第三条第二項の行政機関の外、特に必要がある場合においては、別に法律の定めるところにより、臨時に、内閣総理大臣をもつて長に充てる本部を置くことができる。

2 本部については、法律に別段の定めがある場合を除く外、この法律中、府及び省に関する規定を準用する。

第二十五条 第十九条の規定のうち、職に関しては、国家公務員法の定める職階制が確立実施される日から、これを適用するものとし、その日までは、行政機関に置かるべき職員の種類及び所掌事項は、法律又は政令に別段の規定があるものを除く外、従来の職員に関する通則によるものとし、その定員に関しては、昭和二十四年一月一日から、これを適用する。

2 前項に規定する日までは、次官は、一級の官吏、秘書官は、二級の官吏とし、庁の長官は、法律に別段の規定があるものを除く外、一級の官吏とする。

第二十六条 この法律の施行に関し必要な細目は、他に別段の定のある場合を除く外、政令でこれを定める。

第二十七条 第三条第四項及び第二十二条第二項に規定する別表は、第三条及び第二十二条の規定に基く法律がすべて制定された後に、整備の上附加されるものとする。但し、それは、昭和二十四年一月一日以後であつてはならない。

(内閣総理・外務・大蔵・法務総裁・文部・厚生・農林・商工・運輸・逓信・労働・建設大臣署名)

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