公認会計士法
法律第百三号(昭二三・七・六)
公認会計士法目次
第一章 総則
第二章 公認会計士試験
第三章 登録
第四章 公認会計士及び会計士補の義務
第五章 公認会計士及び会計士補の責任
第六章 会計士管理委員会
第七章 業務の取締
第八章 罰則
附 則
公認会計士法
第一章 総則
(定義)
第一条 この法律で「財務書類」とは、財産目録、貸借対照表、損益計算書その他財務に関する書類をいう。
2 この法律で「公表する」とは、公告をすることその他株主、債権者その他多数の者の知り得る状態に置くことをいう。
(公認会計士の業務)
第二条 公認会計士は、他人の求に応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすることを業とする。
2 公認会計士は、前項に規定する業務の外、公認会計士の名称を用いて、他人の求に応じ報酬を得て、財務書類の調製をし、財務に関する調査若しくは立案をし、又は財務に関する相談に応ずることを業とすることができる。但し、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
3 第一項の規定は、公認会計士が他の公認会計士の補助者として同項の業務に従事することを妨げない。(会計士補)
第三条 会計士補は、公認会計士となるのに必要な技能を修習するため、会計士補の名称を用いて、前条第一項の業務について、公認会計士を補助する。
2 会計士補は、他人の求に応じ報酬を得て、会計士補の名称を用いて、業として前条第二項の業務を営むことができる。
3 前条第二項但書の規定は、前項の場合に、これを準用する。
(欠格条項)
第四条 左の各号の一に該当する者は、公認会計士又は会計士補となることができない。
一 未成年者、禁治産者又は準禁治産者
二 禁こ以上の刑に処せられた者であつて、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつてから二年を経過しないもの
三 破産者であつて復権を得ない者
四 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)の規定により懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
五 第三十条又は第三十一条の規定により登録の抹消の処分を受けた者
六 第三十条又は第三十一条の規定により業務の停止の処分を受け、当該業務の停止の期間中にその登録が抹消され、未だ当該期間を経過しない者
七 税務代理士法(昭和十七年法律第四十六号)、弁護士法(昭和八年法律第五十三号)又は弁理士法(大正十年法律第百号)により許可の取消、除名又は業務の禁止の処分を受けた者
第二章 公認会計士試験
(公認会計士試験の種類)
第五条 公認会計士試験を分けて、これを第一次試験、第二次試験及び第三次試験とする。
2 第二次試験に合格した者又は第九条各号の規定による第二次試験の免除が全科目に及ぶ者は、会計士補となる資格を有する。
3 第三次試験に合格した者は、公認会計士となる資格を有する。
(第一次試験)
第六条 第一次試験は、第二次試験を受けるのに相当な一般的学力を有するかどうかを判定することをもつてその目的とし、国語、数学及び論文について、これを行う。
(第一次試験の免除)
第七条 左の各号の一に該当する者に対しては、第一次試験は、これを免除する。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学を卒業した者又は同法第五十七条第二項の規定によりこれと同等以上の学力があると認められた者
二 旧高等学校令(大正七年勅令第三百八十九号)による高等学校高等科、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学予科又は旧專門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による專門学校を卒業し、又は修了した者
三 高等試験予備試験に合格した者
四 前二号に該当する者の外、会計士管理委員会の定めるところにより、前二号の一に該当する者と同等以上の一般的学力を有すると認められた者
(第二次試験)
第八条 第二次試験は、会計士補となるのに必要な専門的学識を有するかどうかを判定することをもつてその目的とし、会計学、簿記、原価計算、経済学、経営学、財政学、金融論、民法(親族及び相続に関する部分を除く。)並びに商法(海商、手形及び小切手に関する部分を除く。)について、これを行う。
2 第二次試験は、第一次試験に合格した者又は前条の規定により第一次試験を免除された者に限り、これを受けることができる。
(第二次試験の一部免除)
第九条 左の各号の一に該当する者に対しては、当該各号に定める科目について、第二次試験を免除する。
一 学校教育法による大学、旧大学令による大学(予科を含む。以下同じ。)、旧高等学校令による高等学校高等科若しくは旧専門学校令による専門学校において三年以上商学に属する科目の教授若しくは助教授の職にあつた者又は商学に属する科目に関する研究により学位を授与された者については、会計学、簿記、原価計算、経営学及び金融論
二 学校教育法による大学、旧大学令による大学、旧高等学校令による高等学校高等科若しくは旧專門学校令による專門学校において三年以上経済学に属する科目の教授若しくは助教授の職にあつた者又は経済学に属する科目に関する研究により学位を授与された者については、経済学、財政学及び金融論
三 学校教育法による大学、旧大学令による大学、旧高等学校令による高等学校高等科若しくは旧専門学校令による専門学校において三年以上法律学に属する科目の教授若しくは助教授の職にあつた者又は法律学に属する科目に関する研究により学位を授与された者については、民法及び商法
四 前条第一項に規定する科目の一又は二以上について高等試験本試験を受け当該試験に合格した者については、当該試験において受験した科目
(第三次試験)
第十条 第三次試験は、公認会計士となるのに必要な高等の專門的応用能力を有するかどうかを判定することをもつてその目的とし、財務に関する監査、分析その他の実務について、これを行う。
(第三次試験受験の要件)
第十一条 第三次試験は、第十二条の規定による実務補習を受けた期間が一年をこえ、且つ、当該期間の外に会計士補として第二条第一項の業務について公認会計士を補助した期間が二年をこえる者に限り、これを受けることができる。
(実務補習)
第十二条 実務補習は、会計士補に対して、公認会計士となるのに必要な技能を修習させるため、公認会計士の事務所その他会計士管理委員会の認定する機関において、これを行う。
2 実務補修について必要な事項は、会計士管理委員会規則をもつて、これを定める。
(受験手数料)
第十三条 第一次試験を受けようとする者は、二百円、第二次試験又は第三次試験を受けようとする者は、五百円を、受験手数料として納付しなければならない。
2 前項の規定により納付した受験手数料は、公認会計士試験を受けなかつた場合においても、これを還付しない。
(合格証書)
第十四条 公認会計士試験の各試験に合格した者には、それぞれ当該試験に合格したことを証する証書を授与する。
(試験の執行)
第十五条 公認会計士試験は、会計士管理委員会規則の定めるところにより、会計士管理委員会の定める試験機関が、これを行う。
2 公認会計士試験は、毎年一回以上、これを行う。
(試験の細目)
第十六条 この法律に定めるものの外、公認会計士試験に関し必要な事項は、会計士管理委員会規則をもつて、これを定める。
第三章 登録
(登録の義務)
第十七条 公認会計士又は会計士補となる資格を有する者が、公認会計士又は会計士補となるには、公認会計士名簿又は会計士補名簿に、氏名、生年月日、事務所その他会計士管理委員会規則をもつて定める事項の登録を受けなければならない。
2 前項の登録は、三年間これを有効とする。
3 第一項の登録の有効期間満了の後引き続き公認会計士又は会計士補であろうとする者は、更新の登録を受けなければならない。
(名簿)
第十八条 公認会計士名簿及び会計士補名簿は、会計士管理委員会に、これを備える。
(登録の手続)
第十九条 第十七条第一項又は第三項の登録を受けようとする者は、登録申請書を会計士管理委員会に提出しなければならない。
2 第十七条第一項の登録の申請書には、公認会計士又は会計士補となる資格を有することを証する書類を添附しなければならない。
3 会計士管理委員会は、前二項の規定により書類の提出があつた場合には、遅滞なく第十七条第一項又は第三項の登録をしなければならない。
(変更登録)
第二十条 公認会計士又は会計士補は、第十七条第一項の規定により登録を受けた事項に変更を生じたときは、直ちに変更の登録を申請しなければならない。
(登録の抹消)
第二十一条 左の各号の一に該当する場合には、会計士管理委員会は、公認会計士又は会計士補の登録を抹消しなければならない。
一 公認会計士又は会計士補がその業務を廃止したとき。
二 公認会計士又は会計士補が死亡したとき。
三 第四条各号の一に該当するに至つたとき。
四 登録の有効期間の満了の際、更新の登録の申請がなかつたとき。
(登録の細目)
第二十二条 この法律に定めるものの外、登録の手続、登録の抹消、公認会計士名簿、会計士補名簿その他登録に関して必要な事項は、会計士管理委員会規則をもつて、これを定める。
(外国の法令による有資格者に関する特例)
第二十三条 会計士管理委員会は、会計士管理委員会規則をもつて、外国の法令により公認会計士に相当する資格を有する者に対する公認会計士試験の免除及びその者の登録に関する事項を定めることができる。
第四章 公認会計士及び会計士補の義務
(特定の事項についての業務の制限)
第二十四条 公認会計士は、財務書類のうち、左の各号の一に該当するものについては、第二条第一項の業務を行つてはならない。
一 公認会計士又はその配偶者が、役員、これに準ずるもの若しくは財務に関する事務の責任ある担当者であり、又は過去一年以内にこれらの者であつた会社その他の団体の財務書類
二 公認会計士がその使用人であり、又は過去一年以内に使用人であつた会社その他の者その他公認会計士が著しい利害関係を有し、又は過去一年以内に著しい利害関係を有した会社その他の者の財務書類
2 国家公務員若しくは地方公共団体の吏員又はこれらの職にあつた者は、その在職中又は退職後二年間は、その在職し、又は退職前二年間に在職していた職と職務上密接な関係にある営利企業の財務について、第二条第一項の業務を行つてはならない。
(証明の範囲及び証明者の利害関係の明示)
第二十五条 公認会計士は、会社その他の者の財務書類について証明をする場合には、いかなる範囲について証明をするかを明示しなければならない。
2 公認会計士は、会社その他の者の財務書類について証明をする場合には、当該会社その他の者と利害関係を有するか否か、及び利害関係を有するときはその内容を証明書に明示しなければならない。
(信用失墜行為の禁止)
第二十六条 公認会計士又は会計士補は、公認会計士若しくは会計士補の信用を傷つけ、又は公認会計士及び会計士補全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
(秘密を守る義務)
第二十七条 公認会計士又は会計士補は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らし、又は窃用してはならない。公認会計士又は会計士補でなくなつた後であつても同様とする。
(広告事項の制限)
第二十八条 公認会計士又は会計士補は、公認会計士又は会計士補の称号及び専門とする業務を除く外、その技能又は経歴に関する広告をしてはならない。
第五章 公認会計士及び会計士補の責任
(懲戒の種類)
第二十九条 公認会計士又は会計士補に対する懲戒処分は、左の三種とする。
一 戒告
二 一年以内の業務の停止
三 登録の抹消
(虚偽又は不当の証明についての懲戒)
第三十条 公認会計士が、故意に、重大な虚偽、錯誤又は脱漏のある財務書類を重大な虚偽、錯誤及び脱漏のないものとして証明した場合には、会計士管理委員会は、一年以内の業務の停止又は登録の抹消の処分をすることができる。
2 公認会計士が、相当の注意を怠り、重大な虚偽、錯誤又は脱漏のある財務書頬を重大な虚偽、錯誤及び脱漏のないものとして証明した場合には、会計士管理委員会は、戒告又は一年以内の業務の停止の処分をすることができる。
(一般の懲戒)
第三十一条 公認会計士又は会計士補がこの法律又は会計士管理委員会規則に違反したときは、会計士管理委員会は、第二十九条各号に掲げる懲戒の処分をすることができる。
(懲戒の手続)
第三十二条 何人も、公認会計士又は会計士補に前二条に該当する事実があると思料するときは、会計士管理委員会に対し、その事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。
2 前項に規定する報告があつたときは、会計士管理委員会は、事件について必要な調査をしなければならない。
3 会計士管理委員会は、公認会計士又は会計士補に前二条に該当する事実があると思料するときは、職権をもつて、必要な調査をすることができる。
4 前二条の規定による懲戒の処分をしようとするときは、会計士管理委員会は、当該公認会計士又は会計士補にあらかじめ、その旨を通知し、それらの者又はその代理人の出頭を求め、釈明のための証拠を提出する機会を与えるためこれを聴問しなければならない。
5 前二条の規定による懲戒の処分は、前項の規定による聴問を行つた後、相当な証拠により前二条に該当する事実があると認めた場合においてこれを行う。
(調査のための権限)
第三十三条 会計士管理委員会は、前条第二項又は第三項の規定により事件について必要な調査をするため、左の各号に掲げる処分をすることができる。
一 事件関係人若しくは参考人に出頭を命じて審問し、又はこれらの者から意見若しくは報告を徴すること。
二 鑑定人に出頭を命じて鑑定させること。
三 帳簿書類その他の物件の所有者に対し、当該物件の提出を命じ、又は提出物件を留めて置くこと。
2 会計士管理委員会は、相当と認めるときは、会計士管理委員会事務局の職員をして、前項の処分をさせることができる。
(調書の作成及び公開並びに懲戒処分の公告)
第三十四条 会計士管理委員会は、事件について必要な調査をしたときは、その要旨を調書に記載し、且つ、前条に規定する処分があつたときは、特にその結果を明らかにして置かなければならない。
2 利害関係人は、会計士管理委員会に対し、前項の調書の縦覧を求め、又は実費を支弁して、その謄本若しくは抄本の交付を求めることができる。但し、当該公認会計士若しくは会計士補又はその代理人以外の者は、事件について懲戒処分がなされ、又は懲戒処分をしない旨の決定があつた後でなければ、同項の調書の縦覧を求め、又はその謄本若しくは抄本の交付を求めることができない。
3 会計士管理委員会は、第三十条又は第三十一条の規定により懲戒の処分をしたときは、その旨を公告しなければならない。
第六章 会計士管理委員会
(会計士管理委員会の設置)
第三十五条 公認会計士及び会計士補並びに公認会計士試験に関する事項を管理し、公認会計士及び会計士補を監督するため、会計士管理委員会を置く。
2 会計士管理委員会は、大蔵大臣の所轄に属する。
(委員)
第三十六条 会計士管理委員会は、委員五名をもつて、これを組織する。
2 委員は、人格が高潔で、公認会計士に関する事項について理解と識見とを有する年齢三十五年以上の公認会計士のうちから、大蔵大臣が、これを任命する。
3 委員は、国家公務員法第二条第三項第十三号の特別職とする。
(委員の任期)
第三十七条 委員の任期は、三年とする。但し、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
(委員の身分保障)
第三十八条 委員は、左の各号の一に該当する場合を除いては、在任中その意に反して罷免されることがない。
一 公認会計士の登録を抹消された場合
二 この法律の規定に違反して刑に処せられた場合
三 一年以内の業務の停止の処分を受けた場合
四 会計士管理委員会により、心身の故障のため、職務の遂行に堪えないと決定された場合
五 会計士管理委員会により、職務上の義務に違反し、その他委員たるに適しない非行があると決定された場合
(罷免)
第三十九条 前条各号に該当する場合には、大蔵大臣は、その委員を罷免しなければならない。
(委員長)
第四十条 委員長は、委員のうちから、大蔵大臣が、これを命ずる。
2 委員長は、会計士管理委員会の会務を総理し、会計士管理委員会を代表する。
3 大蔵大臣は、あらかじめ、委員のうちから、委員長が故障のある場合に委員長を代理する者を定めておかなければならない。
(議事)
第四十一条 会計士管理委員会は、委員長及び二人以上の委員の出席がなければ、議事を開き、議決をすることができない。
2 会計士管理委員会の議事は、出席者の過半数をもつて、これを決する。可否同数のときは、委員長の決するところによる。
3 委員は、自己に関係のある議事については、議決に加わることができない。
4 会計士管理委員会が第三十八条第四号又は第五号の規定による決定をするには、第一項及び第二項の規定にかかわらず、本人を除く全委員の一致がなければならない。
(委員の報酬)
第四十二条 委員は、予算の範囲内で、一般職の国家公務員の最高の俸給よりも高く国務大臣の俸給よりも低い額の範囲内で大蔵大臣の定める額の報酬を受ける。
(事務局)
第四十三条 会計士管理委員会の事務を処理させるため、会計士管理委員会に事務局を附置する。
(地方の事務所)
第四十四条 会計士管理委員会は、その監督の下に、財務局をして、会計士管理委員会事務局の事務の一部を掌らせることができる。
(秘密を守る義務)
第四十五条 委員又は委員の職にあつた者は、正当な理由がなく、その職務執行に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は窃用してはならない。
(会計士管理委員会規則)
第四十六条 会計士管理委員会は、この法律で委任された事項その他その職務を行うために必要な事項について、会計士管理委員会規則を制定し、改正し、又は廃止することができる。
2 会計士管理委員会規則は、官報をもつて、これを公布する。
第七章 業務の取締
(公認会計士でない者の業務の制限)
第四十七条 公認会計士でない者は、法律に定のある場合を除く外、他人の求に応じ報酬を得て第二条第一項に規定する業務を営んではならない。
(監査及び証明を受けた旨の公表の禁止)
第四十八条 公認会計士の監査又は証明を受けた場合を除く外、何人も、その公表する財務書類の全部又は一部が監査又は証明を受けたものである旨を公表してはならない。但し、他の法律の規定による監査又は証明があつた場合において、当該監査又は証明があつた旨を公表するときは、この限りでない。
(名称の使用制限)
第四十九条 公認会計士でない者は、公認会計士又は監査士、計理士その他公認会計士と誤認させるような名称を使用してはならない。
2 会計士補でない者は、会計士補又は監査士補、計理士補その他会計士補と誤認させるような名称を使用してはならない。
3 前二項の規定は、法律の規定により定められた名称を使用することを妨げない。
第八章 罰則
第五十条 公認会計士となる資格を有しない者で第四十七条の規定に違反したもの又は第四十八条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第五十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰する外、その法人又は人に対し、同条の罰金刑を課する。
第五十二条 第二十七条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、告訴を待つて、これを論ずる。
第五十三条 第四十九条の規定に違反した者は、これを一万円以下の罰金に処する。
第五十四条 公認会計士となる資格を有する者が、第十七条の登録を受けないで第二条第一項の業務を行つたときは、一万円以下の過料に処する。
第五十五条 左の各号の一に該当する者は、これを千円以下の過料に処する。
一 第三十三条第一項第一号又は同条第二項の規定による事件関係人又は参考人に対する処分に違反して出頭せず、陳述をせず、虚偽の陳述をし、報告をせず、又は虚偽の報告をした者
二 第三十三条第一項第二号又は同条第二項の規定による鑑定人に対する処分に違反して、出頭せず、鑑定をせず、又は虚偽の鑑定をした者
三 第三十三条第一項第三号又は同条第二項の規定による物件の所持者に対する処分に違反して物件を提出しない者
附 則
第五十六条 この法律中第六十二条の規定は、公布の日から、その他の規定は、昭和二十三年八月一日から、これを施行する。但し、第四十七条及び第四十八条の規定は、昭和二十四年四月一日からこれを施行する。
第五十七条 昭和二十三年八月一日から三年以内に限り、会計士管理委員会の定める時期に、特別公認会計士試験を行う。
2 商学に属する科目に関する研究により学位を授与された者及び左の各号に掲げる職の一又は二以上に在つてその職に在つた年数を通算して三年以上になる者は、特別公認会計士試験を受けることができる。
一 計理士
二 学校教育法による大学、旧大学令による大学、旧高等学校令による高等学校高等科又は旧專門学校令による専門学校における商学に属する科目の教授、助教授又は講師
三 行政機関において会計検査、銀行検査、法人税又は会社その他の団体の財務に関する行政事務を直接担当する職であつて会計士管理委員会の指定するもの
四 銀行、信託会社、保険会社又は特別の法律により設立された法人であつてこれらに準ずるものにおいて、貸付その他資金の運用(貸付先の経理についての審査を含む。)又は会計に関する事務を担当する地位であつて課長又はこれに準ずるもの以上に相当するもの
五 前号に掲げるものを除く外、会社又は特別の法律により設立された法人において会計に関する事務を担当する地位であつて課長又はこれに準ずるもの以上に相当するもの
六 商学又は財務に関する研究又は調査を目的とする機関で会計士管理委員会の認定するものにおける研究又は調査についての責任ある地位
3 国家公務員法施行前における一級官又は二級官の職であつて会計検査、銀行検査、法人税又は会社その他の団体の財務に関する行政事務を直接担当したものは、前項の規定の適用については、これを同項第三号の規定により会計士管理委員会の指定した職とみなす。
4 特別公認会計士試験に合格した者は、公認会計士となる資格を有する。
5 特別公認会計士試験を受けようとする者は、五百円を、受験手数料として納付しなければならない。この場合には、第十三条第二項の規定を準用する。
6 特別公認会計士試験に合格した者には、特別公認会計士試験に合格したことを証する証書を授与する。
第五十八条 特別公認会計士試験は、会計士管理委員会規則の定めるところにより、会計士管理委員会の定める試験機関が、これを行う。
第五十九条 特別公認会計士試験の時期、場所、試験科目及び試験の方法については、会計士管理委員会が、これを定める。
第六十条 会計士管理委員会の第一期の委員は、第三十六条第二項の規定にかかわらず、公認会計士以外の者であつて同項に規定する他の条件を備えるもののうちから、これを任命することができる。
2 会計士管理委員会の第一期の委員の任期は、第三十七条第一項の規定にかかわらず、二年とする。
3 会計士管理委員会の第二期の委員の任期は、第三十七条第一項の規定にかかわらず、そのうち一人については、一年、二人については、二年、二人については、三年とする。
4 前項に規定する各委員の任期は、大蔵大臣が、これを指定する。
第六十一条 計理士法(昭和二年法律第三十一号)は、これを廃止する。但し、同法廃止前になした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第六十二条 計理士法第五条の規定による計理士の登録の申請は、この法律公布の日以後は、これを受理しない。
第六十三条 計理士法廃止の際計理士である者は、昭和二十六年七月三十一日までに限り、計理士の名称を用いて、計理士法第一条に規定する業務(第二条第一項の業務に該当するものを除く。以下同じ。)を営むことができる。
第六十四条 前条の規定により、計理士法第一条に規定する業務を営む者については、計理士法第四条、第五条第二項、第七条、第八条、第九条第一項、第十条第一項及び第十一条の規定は、なおその効力を有する。この場合において、第四条及び第八条中「主務大臣」とあるのは、「会計士管理委員会」と、第九条中「主務大臣ハ計理士懲戒委員会ノ議決ニ依リ」とあるのは、「会計士管理委員会ハ」と読み替えるものとする。
第六十五条 第四条の規定の適用については、官吏懲戒令(明治三十二年勅令第六十三号)、旧判事懲戒法(明治二十三年法律第六十八号)、旧会計検査官懲戒法(明治三十三年法律第二十一号)又は旧行政裁判所長官評定官懲戒令(明治三十二年勅令第三百五十四号)の規定による懲戒免官の処分は、国家公務員法の規定による懲戒免職の処分とみなし、計理士法の規定による業務の禁止の処分は、第三十条又は第三十一条の規定による登録の抹消の処分とみなす。
2 第十一条の規定の適用については、計理士として会計に関する検査又は証明の業務に従事していた期間は、これを第十二条の規定による実務補習を受けた期間又は当該期間の外に会計士補として第二条第一項の業務について公認会計士を補助した期間とみなす。
第六十六条 計理士法の規定による計理士試験に合格した者に対しては、公認会計士試験第一次試験は、これを免除する。
第六十七条 大蔵省官制(昭和十七年勅令第七百四十三号)の一部を次のように改正する。
第一条中「、計理士」を削る。
第七条第十三号を次のように改める。
十三 削除
第六十八条 証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)の一部を次のように改正する。
第百九十三条中「計理士」を「公認会計士」に改める
第六十九条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第七条ノ二 左ノ事項ニ付キ公認会計士名簿又ハ会計士補名簿ニ登録ヲ請フ者ハ左ノ区別ニ従ヒ登録税ヲ納ムベシ
一 公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十七条ニ依ル登録
公認会計士 金三千円
会計士補 金千五百円
二 公認会計士法第二十条ノ規定ニヨル登録
公認会計士 金百二十円
会計士補 金六十円
第七十条 税務代理士法の一部を次のように改正する。
第二条第二号を次のように改める。
二 公認会計士
第五条第二号中「計理士」を「公認会計士」に、「計理士登録簿」を「公認会計士名簿」に改める。
2 税務代理士が、第六十三条の規定により計理士法第一条に規定する業務を営む者である場合において、計理士登録簿の登録の抹消があつたときは、税務代理士法第五条の改正規定にかかわらず、同法第四条第一項の許可は、その効力を失う。
第七十一条 弁護士法の一部を次のように改正する。
第五条第二号中「又ハ弁理士法若ハ計理士法ニ依リ業務ヲ禁止セラレタル者」を「、弁理士法ニ依リ業務ヲ禁止セラレタル者又ハ公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第三十条又ハ第三十一条ノ規定ニ依リ登録ノ抹消ノ処分ヲ受ケタル者」に、「又ハ業務禁止」を「、業務禁止又ハ登録ノ抹消」に改める。
2 計理士法の規定(第六十四条の規定により効力を有する同法の規定を含む。)により業務の禁止の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者は、弁護士法第五条の改正規定にかかわらず、弁護士たる資格を有しない。
第七十二条 弁護士法の一部を次のように改正する。
第五条第三号中「本法若ハ計理士法ニ依リ業務ヲ禁止セラレタル者」を「本法ニ依リ業務ヲ禁止セラレタル者、公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第三十条若ハ第三十一条ノ規定ニ依リ登録ノ抹消ノ処分ヲ受ケタル者」に改め、「業務禁止」の下に「、登録ノ抹消」を加える。
2 計理士法の規定(第六十四条の規定により効力を有する同法の規定を含む。)により業務の禁止の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者は、弁理士法第五条の改正規定にかかわらず、弁理士たる資格を有しない。
(大蔵・内閣総理大臣署名)