取引高税法

法律第百八号(昭二三・七・七)

目次

第一章 総則

第二章 課税標準及び税率

第三章 納付及び申告

第四章 銀行業等に関する申告及び納付の特例

第五章 更正及び決定

第六章 審査及び訴願

第七章 雑則

第八章 罰則

附則

取引高税法

第一章 総則

 (課税範囲)

第一条 この法律の施行地において営業者が営業として行う取引には、この法律により、取引高税を課する。

 (営業及び営業者)

第二条 この法律において営業とは、左に掲げる営業をいう。

一 物品販売業(動植物その他普通に物品といわないものの販売業を含む。以下同じ。)

二 銀行業(銀行、農林中央金庫、商工組合中央金庫、恩給金庫、庶民金庫、復興金融金庫その他命令で定める金融機関のなす金融事業をいう。以下同じ。)

三 無尽業

四 信託業(担保附社債信託法(明治三十八年法律第五十二号)による信託事業を含む。以下同じ。)

五 保険業(保険業法(昭和十四年法律第四十一号)により主務大臣の免許を受けてなす保険事業に限る。以下同じ。)

六 金銭貸付業

七 物品貸付業(動植物その他普通に物品といわないものの貸付業を含む。)

八 製造業(物品の加工修理業を含む。)

九 電気供給業

十 ガス供給業

十一 無線電話放送事業

十二 運送業

十三 運送取扱業

十四 自動車道事業

十五 運河業

十六 さん橋業

十七 船舶ていけい場業

十八 貨物陸揚場業

十九 倉庫業(物品の寄託を受け、これを保管する業を含む。)

二十 請負業

二十一 印刷業

二十二 出版業

二十三 写真業

二十四 席貸業

二十五 旅館業

二十六 料理店業

二十七 周旋業

二十八 問屋業

二十九 仲立業

三十 代理業

三十一 両替業

三十二 鉱業

三十三 砂鉱業

三十四 土石採取業

三十五 理容業(理髪業を除く。)

三十六 演劇興行業

三十七 よせ業

三十八 遊技所業

三十九 遊覧所業

2 前項に掲げる営業には、その性質上これらの営業に附随して行われる取引を含むものとする。

3 この法律において営業者とは、この法律の施行地において、第一項の営業をなす者をいい、営業所を有すると否とは、これを問はない。

 (営業者とみなす場合)

第三条 営利を目的としない法人がこの法律の施行地において前条第一項に掲げる営業と同種の事業を行う場合においては、これを営業者とみなし、その事業は、これを営業とみなす。

 (法人でない団体)

第四条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定のあるものについては、この法律中法人に関する規定を準用する。

 (納税義務者)

第五条 第九条第一項に規定する取引金額を領収する営業者は、取引高税を納める義務がある。

2 共同して営業をなす者は、連帯して取引高税を納める義務がある。

3 営業者が交換又はこれに類する取引をなした場合においては、その取引をなした各営業者は、第一項の規定の適用については、それぞれ取引金額を領収する営業者とみなす。

 (納税義務の承継)

第六条 法人が合併した場合においては、合併後存続する法人又は合併に因り設立した法人は、合併に因り消滅した法人の取引高税の納税義務を承継する。

2 法人が解散した場合において、取引高税を納付しないで残余財産を分配し、又は引渡したときは、その税金については、残余財産の分配又は引渡を受けた者は、その受けた財産の限度において連帯して納付の責に任ずる。

3 相続の開始があつた場合においては、相続人は、被相続人の取引高税の納税義務を承継する。

4 前項の場合において、相続人が二人以上あるときは、各相続人は、連帯納付の責に任ずる。

 (非課税取引)

第七条 左に掲げる取引については、取引高税を課さない。

一 政府の発行する官報並びに郵便切手類及び収入印紙類の販売

二 政府の専売品の販売

三 政府に対する金、銀及び白金属の地金又はこれらの合金並びに貨幣地金の販売

四 小学校又は中学枚(もう学校、ろう学校又は養護学校の小学部又は中学部を含む。)の教科用図書の発行、販売又は取次

五 水道条例(明治二十三年法律第九号)による水の供給

六 輸出取引(国又は鉱工品貿易公団、繊維貿易公団若しくは食糧貿易公団に対する輸出のためにする物品の販売を含む。)

七 食糧管理法(昭和十七年法律第四十号)の規定による主要食糧(同法第二条に規定する主要食糧をいう。)の取次、製造、加工及び販売。但し、自己の生活上消費する者(外食券食堂を含む。)以外の者に対する販売を除く。

八 そ菜及び鮮魚介並びにみそ、しようゆ、牛乳その他の臨時物資需給調整法(昭和二十一年法律第三十二号)に基いて配給される食料品及び燃料で命令で定めるものの製造、取次及び販売

九 国が価格調整補給金を交付する物品で命令で定めるものの製造、取次及び販売。但し、配炭公団又は肥料配給公団に対する石炭又は肥料の販売並びに配炭公団又は肥料配給公団(肥料配給公団令(昭和二十二年勅令第百七十一号)第十五条第一項第四号の規定により指定された肥料取扱業者を含む。)の行う石炭又は肥料の販売で価格調整補給金の支給を受けないものを除く。

十 価格調整公団が価格調整公団法(昭和二十二年法律第六十二号)第十五条の規定により価格等の調整のためになす取引

十一 自己の収穫した農産物(繭を含む。)、林産物、畜産物若しくは水産物の販売又はこれらを原料として製造し、若しくは加工した物の販売。但し、営業所を有する者の行う販売を除く。

十二 有価証券(有価証券移転税法(昭和十二年法律第七号)第二条に規定する有価証券をいう。)の移転

十三 通行税法(昭和十五年法律第四十三号)第一条に規定する乗客の運送

十四 馬券税法(昭和十七年法律第六十号)又は取引所税法(大正三年法律第二十三号)により馬券税又は取引所特別税若しくは取引税を課せられる取引

 (非課税団体)

第八条 取引高税は、国及び地方公共団体には、これを課さない。

2 公団は、前項の規定の適用については、これを国とみない。

第二章 課税標準及び税率

 (課税標準)

第九条 取引高税の課税標準は、取引の対価として領収する金額であつて左に掲げるもの(以下取引金額という。)とする。

一 物品取売業にあつては、売上金額

二 銀行業にあつては、貸付金利息、手形割引料、手数料、有価証券貸付料、債務保証料、保護預り料その他取引から生ずる収入金額でこれらの性質を有するもの

三 無尽業にあつては、無尽利益金、入札差金益、給付差金、貸付金利息、手数料、解約手数料その他取引から生ずる収入金額でこれらの性質を有するもの

四 信託業にあつては、信託報酬(金銭信託で貸付金に運用したものに対して受領すべき報酬に相当する金額を除く。)、貸付金利息、手数料、有価証券貸付料、債務保証料、保護預り料その他取引から生ずる収入金額でこれらの性質を有するもの

五 保険業にあつては、払込保険料額(但し、再保険契約に基いて収入するものを除く。以下同じ)、貸付金利息、手数料、債務保証料、有価証券貸付料、保護預り料その他取引から生ずる収入金額でこれらの性質を有するもの

六 運送取扱業、周旋業、問屋業、仲立業、代理業及び両替業にあつては、手数料又は報酬金額(第四項又は第六項の規定の適用を受ける場合にあつては、第四項又は第六項の規定により自ら販売したものとみなされる物品の販売価格。)

七 その他の営業にあつては、その取引から生ずる収入金額

2 前項第五号に規定する払込保険料額は、生命保険(定期保険を除く。)にあつては、その百分の七十五に相当する金額、その他の保険にあつては、その百分の三十に相当する金額を控除した金額とする。

3 交換又はこれに類する取引にあつては、納税義務者がその給付する物件、役務その他のものについて交換又はこれに類する取引以外の取引をなした場合において、その対価として領収すべき金額を取引金額とする。

4 問屋業、代理業その他において物品の販売の委託を受けた者が、自己の名をもつて委託者のためになした販売は、受託者がその販売価格をもつてこれを自らなしたものとみなす。

5 前項の場合において委託者が受託者から当該物品の販売価格の全部又は一部に相当する金額を受領したときは、そのときにおいて、委託者は、受託者に対し、その受領した金額をもつて販売したものとみなす。

6 問屋業、代理業その他において物品の買入の委託を受けた者が、自己の名をもつて委託者のために買い入れた物品を委託者に引き渡したときは、そのときにおいて、受託者は、委託者に対し、買入価格と手数料又は報酬金額との合計額をもつて自ら販売したものとみなす。

7 運送業又は運送取扱業をなす者が、他の運送業又は運送取扱業をなす者に代つて自己の名をもつて運送又は運送取扱に関する契約をなす場合においては、運送業又は運送取扱業をなす者が他の運送業又は運送取扱業をなす者にその領収した取引金額を引き渡すとき(相殺による決済をするときを含む。)に、他の運送業又は運送取扱業をなす者が自ら当該取引金額を領収したものとみなす。

8 第一項第一号に規定する売上金額、同項第六号に規定する手数料若しくは報酬金額又は同項第七号に規定する収入金額には、第二条第二項に規定する取引より生ずる収入金額を含むものとする。

 (税率)

第十条 取引高税の税率は、前条の規定による取引金額の百分の一とする。

第三章 納付及び申告

 (印紙等による納付)

第十一条 取引高税の納税義務者は、第十五条第一項に規定する取引をなす場合又は第四章の規定による場合を除く外、取引高税印紙をもつて、取引高税を納付しなければならない。但し、現金を政府に支払つて政府の作成する取引高税証紙の交付を受け、これをもつて取引高税印紙に代えることができる。

2 前項の取引高税印紙については、別にこれを定める。

3 第一項但書に規定する取引高税証紙の様式は、大蔵大臣がこれを定める。

 (端数計算)

第十二条 前条の場合において一取引(一取引について分割して対価を領収するときは、その分割して領収するごとにこれを一取引とする。以下同じ。)について第九条の規定による取引金額に十円未満の端数があるときは、これを切り捨てて取引高税の税額を計算する。

 (印紙等による納付の方法)

第十三条 第十一条の規定の適用を受ける取引高税の納税義務者は、取引金額領収の際、取引高税の税額に相当する金額の取引高税印紙又は取引高税証紙(以下取引高税印紙等という。)を消印しなければならない。但し、一取引について第九条の規定による取引金額が一万円以上の取引については、受取書に取引高税印紙等をはつて消印しなければならない。

2 前項の規定により消印した取引高税印紙等又は受取書は、取引金額領収の際、これを取引の相手方に交付しなければならない。

3 交互計算その他これに準ずる契約により相互の間の取引の対価の決済をなす場合においては、相殺をなすべき期間(当該期間が六月をこえるときは六月)満了の日において、相互に取引金額の領収があつたものとみなして、前二項の規定を適用する。この場合においては、相殺をなす金額の総額を一取引の取引金額とみなす。

4 前項に定める場合を除く外、相殺により相互の間の取引の対価の決済をなすことができる場合においては、相殺をなすに適した時において、相互に取引金額の領収があつたものとみなして、第一項及び第二項の規定を適用する。前項後段の規定は、この場合について、これを準用する。

5 前二項の場合においては、前二項の規定により領収があつたとみなされる金額を記載した書面をもつて、第一項但書の受取書に代えることができる。

6 第一項但書の場合においては、受取書(前項に規定する書面を含む。以下同じ。)の紙面と取引高税印紙等の彩紋とにかけて、受取書作成者の印章又は署名をもつて、判明にこれを消さなければならない。

 (申告書の提出)

第十四条 取引高税の納税義務者は、第四章の規定による場合を除く外、毎年二月、五月、八月及び十一月に終る毎三月分の取引について、第十五条第一項に規定するものとそれ以外のものとに区分して、取引金額及び税額を記載した申告書をそれぞれ毎年三月十日、六月十日、九月十日及び十二月十日までに政府に提出しなければならない。但し、取引高税の納税義務者が営業を廃止した場合においては、営業を廃止した日から十日以内に、これを提出しなければならない。

2 通信、交通その他の状況により、政府において已むを得ない事由があると認めるときは、政府は、命令の定めるところにより、前項に規定する申告書の提出期限を延長することができる。

3 第一項に規定する申告書は、営業所が二以上あるときは、各営業所ごとに、これを作成しなければならない。

 (特定取引の納付の特例)

第十五条 一取引について第九条の規定による取引金額が五十円未満の取引及び第十三条第二項の規定による交付が困難な取引で政府の承認を受けたものについては、取引高税の納税義務者は、毎年二月、五月、八月及び十一月に終る毎三月分(前条第一項但書の規定に該当する場合には、直前の毎三月分後営業の廃止までの間の分)の当該取引の取引金額に対する取引高税を、前条の規定による申告書の提出と同時に納付しなければならない。

2 第十三条第三項及び第四項の規定は、前項に規定する取引について、これを準用する。

3 納税義務者が第一項の規定により取引高税を完納しなかつたときは、政府は、国税徴収法(明治三十年法律第二十一号)第九条の規定により、これを督促する。

第四章 銀行業等に関する申告及び納付の特例

 (銀行業等に関する特例)

第十六条 銀行業、無尽業、信託業、保険業、電気供給業、ガス供給業、無線電話放送事業、運送業中鉄道業(軌道業を含む。)、海運業(平水区域内の水上運送で汽船によるものを含む。)及び道路運送法(昭和二十二年法律第百九十一号)第十条第一号(三)に規定する自動車運送事業及び出版業中日刊新聞紙の発行事業をなす営業者その他命令で定める営業者の当該営業についてなすべき申告及び納付並びに公団のなすべき申告及び納付については、本章に定めるところによる。

 (銀行業等の申告)

第十七条 前条に規定する営業者は、毎月分の取引金額及び税額を記載した申告書を翌月十日までに政府に提出しなければならない。

2 第十三条第三項及び第四項並びに第十四条第一項但書、第二項及び第三項の規定は、前項の場合について、これを準用する。この場合において、第十三条第三項中「前二項」及び同条第四項中「第一項及び第二項」とあるのは「第十七条第一項」と読み替えるものとする。

 (銀行業等の納付)

第十八条 第十六条に規定する納税義務者は、前条第一項の規定による申告書に記載された税額の取引高税を、同項の規定による申告書の提出と同時に納付しなければならない。

2 第十五条第三項の規定は、前項の場合について、これを準用する。

第五章 更正及び決定

 (更生及び決定)

第十九条 第十四条又は第十七条の規定による申告書が提出された場合において、申告又は修正に係る取引金額又は税額が、政府において調査したところと異なるときは、政府は、その調査により、その取引金額又は税額を更正する。

2 第十四条又は第十七条の規定による申告書の提出がなかつた場合において、政府の調査により納税義務があると認められるとき又はすでに納付した税額が政府の調査したところと異るときは、政府は、その調査により、取引金額及び税額(すでに納付した税額があるときは、その額を控除する。)を決定する。

3 政府は、前二項の規定による取引金額又は税額の更正又は決定後その更正し、又は決定した取引金額又は税額について脱漏があることを発見したときは、政府の調査により、その取引金額又は税額を更正することができる。

 (更正及び決定の通知)

第二十条 政府は、前条の規定により取引金額又は税額を更正し、又は決定したときは、これを納税義務者に通知する。

2 この法律の施行地に住所及び居所又は営業所を有していない者が第三十九条に規定する納税管理人の申告をしていないときは、前項の通知に代えて公告することができる。この場合においては、公告の初日から七日を経過したときは、その通知があつたものとみなす。

 (更正決定による税額)

第二十一条 政府は、第十九条の規定により取引金額又は税額を更正し、又は決定した場合においては、前条第一項の通知をなした日から一月後を納期限としてその追徴税額(その不足税額又はその決定による税額をいう。以下同じ。)を徴収する。但し、納税義務者が第三十九条に規定する納税管理人の申告をなさないで、この法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなる場合においては、直ちに追徴税額を徴収する。

2 第十一条及び第十二条の規定は、前項に規定する追徴税額については、これを適用しない。

第六章 審査及び訴願

 (審査の請求)

第二十二条 取引高税の納税義務者は、第二十条の規定により政府の通知した取引金額若しくは税額又は第二十九条第二項の規定により政府の通知した税額に対して異議があるときは、通知を受けた日から一月以内に不服の事由を具し、政府に審査の請求をなすことができる。

2 前項の請求があつた場合においても、政府は、税金の徴収を猶予しない。但し、政府において已むを得ない事由があると認めたときは、税金の徴収を猶予することができる。

 (審査決定の通知)

第二十三条 政府は、前条第一項の請求があつたときは、これを決定し、納税義務者に通知しなければならない。

 (訴願)

第二十四条 前条の決定に対し不服がある者は、訴願をすることができる。

2 第十九条の規定による更正若しくは決定又は第二十九条第一項の規定による追徴税額に関する訴願は、審査の決定を経た後でなければ、これをなすことができない。

第七章 雑則

 (還付の請求)

第二十五条 納税義務者が、取引高税を納付した取引について、契約の解除、取消その他の事由に因り取引金額の全部又は一部を返還したとき(第十三条第三項又は第四項の規定(第十五条第二項又は第十七条第二項において準用する場合を含む。)の適用があつた場合においては、領収があつたとみなされる取引金額の全部又は一部を返還すべきとき。)は、その事実を証する証拠書類を添附して、当該取引について納付した取引高税の税額のうちその返還し、又は返還すべき金額に対応する金額の還付を請求することができる。

2 前項の請求があつた場合において、政府は、その事実を確認すべき心証を得たときは、その請求に係る金額を還付する。

 (書類の閲覧)

第二十六条 取引高税の納税義務者の提出した申告書又は取引金額若しくは税額の更正若しくは決定に関する書類を閲覧しようとする者は、政府にその閲覧を請求することができる。

2 前項の規定により閲覧を請求しようとする者は、納税義務者一人の申告書その他の書類につき十円の手数料を納付しなければならない。

 (第三者の通報)

第二十七条 取引高税の納税義務があると認められる者が第十三条第一項若しくは第二項の規定に違反する事実又は申告書を提出しなかつた事実若しくは申告書に記載された取引金額若しくは税額に脱漏があると認められる事実を政府に報告した者がある場合において、政府がその報告に因り取引金額又は税額を更正し、又は決定したときは、政府は、その報告者に対し、取引金額又は税額の更正又は決定に因り徴収することができた税額の百分の十以下に相当する金額を報償金として交付することができる。但し、報償金の金額は、二十万円をこえることができない。

2 前項の規定は、不法の行為に因り知り得た事実又は公務員の職務上知り得た事実に基くものであるときは、これを適用しない。

 (加算税)

第二十八条 取引高税の納税義務者は、第二十一条第一項に規定する追徴税額を納付する場合においては、命令の定める期間に応じ、当該税額百円につき一日十銭の割合を乗じて計算した金額に相当する税額を加算して納付しなければならない。

2 第十一条の規定は、前項に規定する加算して納付すべき税額については、これを適用しない。

3 第一項の規定は、同項の規定により加算すべき税額の計算の基礎となる税額が百円未満であるときは、これを適用しない。当該税額に百円未満の端数があるときは、これを切り捨てて計算する。

4 第一項及び第三項の規定により計算した加算すべき税額が十円未満であるときは、これを納付することを要しない。

5 政府において已むを得ない事由があると認めるときは、第一項の加算税を免除することができる。

6 前五項の規定は、取引高税の納税義務者が、第十四条第一項又は第十七条第一項に規定する申告書の提出期限(第十四条第二項の規定並びに第十七条第二項において準用する第十四条第一項但書及び第二項の規定による提出期限を含む。以下同じ。)後第十四条又は第十七条の規定による申告書又は申告書を修正する申告書を提出して取引高税を納付する場合について、これを準用する。

7 第十五条第三項の規定は、第一項(第六項において準用する場合を含む。)の場合について、これを準用する。

 (追徴税)

第二十九条 前条第六項の規定の適用を受ける場合又は第二十一条第一項の規定により追徴税額に相当する取引高税を徴収することとなつた場合においては、第十四条第一項又は第十七条第一項に規定する申告書の提出期限内に申告書の提出がなかつたこと、第十四条又は第十七条の規定による申告書を修正する申告書の提出があつた場合において前の申告に係る取引金額若しくは税額について脱漏があること又は納税義務者の申告若しくは修正した取引金額若しくは税額が政府の調査した取引金額若しくは税額と異なることについて已むを得ない事由があると認められる場合を除く外、政府は、当該税額に、百分の二十五の割合を乗じて計算した金額に相当する取引高税を追徴する。

2 政府は、前項の規定により徴収する税額を決定したときは、これを納税義務者に通知する。

3 第二十条第二項の規定は、前項の場合について、これを準用する。

 (印紙等の購入手続)

第三十条 第十一条の規定の適用を受ける取引高税の納税義務者は、営業所ごとに、取引高税印紙購入通帳(以下購入通帳という。)を備え付けなければならない。

2 第一項の取引高税の納税義務者は、取引高税印紙を購入し、又は取引高税証紙の交付を受けようとするときは、政府又は取引高税印紙の売さばき人に対し購入通帳を呈示し、これに購入又は受領した取引高税印紙又は取引高税証紙の金額及び購入又は受領の年月日を記入して政府又は取引高税印紙の売さばき人の確認を受けなければならない。この場合において、政府又は取引高税印紙の売さばき人は、政府機関の名称又は取引高税印紙の売さばき人の住所及び氏名若しくは名称を証する表示をなさなければならない。

3 第一項の取引高税の納税義務者が、取引高税の納付のために使用すべき取引高税印紙等は、前二項の規定により当該取引をなす営業所に備え付けた購入通帳をもつて購入し、又は受領したものでなければならない。

4 第一項の取引高税の納税義務者が、営業の廃止その他の事由に因り、取引高税納付のために使用すべき金額をこえて取引高税印紙等を有するときは、政府の承認を受け、そのこえる部分に相当する取引高税印紙等を譲渡することができる。

5 第一項に規定する購入通帳の様式は、大蔵大臣がこれを定める。

 (印紙等の販売手続)

第三十一条 政府又は取引高税印紙の売さばき人は、購入通帳に前条第二項に規定する表示をなさないで、取引高税印紙等を販売し、又は交付してはならない。

 (納税義務者の記帳義務)

第三十二条 取引高税の納税義務者は、帳簿を備え付け、これに取引の内容、取引金額及び税額、取引の年月日並びに取引の相手方の住所及び氏名又は名称を記載しなければならない。

2 第十一条の規定の適用を受ける取引高税の納税義務者は、前項に規定する事項の外、併せて左に掲げる事項について各日分を取りまとめて記載しなければならない。

一 第十三条第一項の規定により納税のために使用した取引高税印紙等の金額

二 第十五条第一項に規定する取引については、当該取引の金額

3 小売の場合、第二条第一項第十四号、第十五号、第二十三号から第二十六号まで、第三十一号若しくは第三十五号から第三十九号までに掲げる営業をなす場合又は政府の承認を受けた場合においては、第一項の規定にかかわらず、毎日分の取引金額及び取引の年月日を記載しなければならない。但し、政府は、監督上必要と認める場合においては、第一項に規定する事項の記載を命ずることができる。

 (印紙の販売者の記帳義務)

第三十三条 取引高税印紙の販売をなす者は、帳簿を備え付け、これに左に掲げる事項を記載しなければならない。

一 購入した取引高税印紙の種類及び数量、購入の年月日並びにその売渡人の住所及び氏名又は名称

二 販売した取引高税印紙の金額及び販売の年月日並びにその買受人の住所及び氏名又は名称

 (営業申告)

第三十四条 この法律の施行地において、第二条第一項に規定する営業を営まうとする者は、営業所ごとに営業の種類、当該営業所の所在地(この法律の施行地に営業所がないときは住所地又は居所地、この法律の施行地に営業所を有しない納税義務者がこの法律の施行地に住所及び居所を有しないときは、納税管理人の住所地又は居所地とする。第三十九条を除く外以下同じ。)及び営業者の氏名又は名称を政府に申告しなければならない。あらたに営業所を設けようとするときもまた同様とする。

2 取引高税の納税義務者は、営業の内容の変更又は廃止、営業所の所在地の移転又は廃止、氏名又は名称の変更をしようとするときは、その旨を政府に申告しなければならない。

3 取引高税の納税義務がある法人について合併があつた場合においては、合併後存続する法人又は合併に因り設立した法人は、その旨を政府に申告しなければならない。

4 取引高税の納税義務者について相続の開始があつた場合においては、相続人は、その旨を政府に申告しなければならない。

 (収税官吏の質問検査権)

第三十五条 収税官吏は、取引高税に関する調査又は取引高税の徴収について必要があるときは、左に掲げる者に質問し、又はその者の営業に関する帳簿書類その他の物件を検査することができる。

一 納税義務者又は納税義務があると認められる者

二 納税義務者又は納税義務があると認められる者と取引があつたと認められる者又は取引があると認められる者

三 取引高税印紙の売さばき人

2 収税官吏は取引高税に関する調査又は取引高税の徴収について必要があるときは、納税義務者の組織する団体(その組織する団体を含む。)に対しその団体員のなす取引に関し質問し、又はその団体の帳簿書類その他の物件を検査することができる。

 (印紙等の有償譲渡等の禁止)

第三十六条 第十三条第二項の規定により交付を受けた取引高税印紙等は、何人も有償で、これを譲渡し、又は譲り受けることができない。

2 第十三条第二項の規定により交付を受けた取引高税印紙等は、何人も報酬を得てこれを収集し、又は何人も報酬を与えてこれを収集させることができない。

 (交付金の交付)

第三十七条 左の各号に掲げる者が、第十三条第一項の規定により消印された取引高税印紙等を政府に提出したときは、政府は、これらの者に対し、当該取引高税印紙等のうち、額面額一円以下のものについては額面額の百分の五に相当する金額、額面額二十円以下のものについては額面額の百分の三に相当する金額、額面額二十円をこえるものについては額面額の百分の二に相当する金額の交付金を交付する。

一 小学校、中学校、高等学校、大学、もう学校、ろう学校、養護学校、幼稚園及び学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九十八条第一項に規定する従前の規定により存続する学校の教職員及び学生又は生徒により組織されその共同の利益を図ることを目的とする団体

二 社会事業法(昭和十三年法律第五十九号)による社会事業、生活保護法(昭和二十一年法律第十七号)による保護施設、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)による児童福祉施設及び司法保護事業法(昭和十四年法律第四十二号)による司法保護事業の業務に従事する者及びこれらの施設又は事業の利益を受ける者により組織されその共同の利益を図ることを目的とする団体

三 前二号に掲げる者の外命令で定める者

2 前項に規定する交付金の交付の手続は、大蔵大臣がこれを定める。

3 第一項の規定により交付を受けた交付金は、同項に規定する者の利益のために、これを使用しなければならない。

4 国若しくは地方公共団体又は公団が第十三条第二項の規定により交付を受けた取引高税印紙等については、第一項の規定は、これを適用しない。

 (納税地)

第三十八条 第十五条第一項の取引をなす者又は第十六条に規定する者が納付する取引高税は、これらの者の営業所の所在地をその納税地とする。

 (納税管理人)

第三十九条 取引高税の納税義務者が営業所の所在地に現住しないとき又はこの法律の施行地に営業所を有しない納税義務者がこの法律の施行地に住所及び居所を有しないときは、この法律による申告書の提出その他取引高税に関する一切の事項を処理させるため営業所の所在地(この法律の施行地に営業所又は住所若しくは居所がないときは、この法律の施行地)に居住する者のうちから納税管理人を定め政府に申告しなければならない。取引高税の納税義務者が、営業所の所在地に現住しないこととなるとき若しくはこの法律の施行地に営業所を有しない納税義務者がこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるとき又は納税管理人を変更したときも、また同様とする。

 (附加税禁止)

第四十条 地方公共団体は、取引高税の附加税を課することができない。

第八章 罰則

第四十一条 左の各号の一に該当する者は、その免れ、又は免れようとした取引高税の二十倍に相当する罰金に処する。

一 第十三条第一項の規定に違反した者

二 第十四条又は第十七条の規定による申告書を提出しないで取引高税を免れようとした者

三 第三十四条の規定による申告をしないで取引高税を免れようとした者

四 詐偽その他不正の行為により取引高税を免れ、又は免れようとした者

2 第十二条の規定は、前項の場合においては、これを適用しない。

第四十二条 前条の罪を犯した者には、情状に因り、五年以下の懲役若しくは取引高税の二十倍をこえ四十倍以下に相当する罰金に処し、又は懲役及び罰金を併科することができる。

2 前条及び前項の場合において、罰金額が二十円に満たないときは、これを二十円とする。

3 前条及び第一項の場合においては、直ちにその税金を徴収する。

4 前条第二項の規定は、第一項の場合について、第二十一条第二項の規定は、第三項の場合について、これを準用する。

第四十三条 左の各号の一に該当する者は、これを十万円以下の罰金又は科料に処する。

一 第十四条又は第十七条の規定による申告書を提出せず、又は虚偽の記載をして政府に提出した者

二 第三十条第一項又は第二項の規定に違反した者

三 第三十条第三項の規定に違反して取引高税印紙等を使用した者

四 第三十一条の規定に違反して取引高税印紙を販売した者

五 第三十六条の規定に違反して取引高税印紙等を譲渡し、譲り受け、収集し、又は収集させた者

第四十四条 左の各号の一に該当する者は、これを五万円以下の罰金又は科料に処する。

一 第十三条第二項の規定に違反した者

二 第四十一条第一項第三号の場合を除き、第三十四条の規定に違反して営業を営み、又は営業所を設けた者

三 第三十二条又は第三十三条の規定による帳簿を備え付けず、所定の事項を記載せず、虚偽の記載をし、又は帳簿を隠匿した者

四 第三十四条第二項から第四項までの規定による申告をせず、又は虚偽の申告をした者

五 第三十五条の規定による収税官吏の質問に対し答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をなし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

六 第三十九条の規定による申告をせず、又は虚偽の申告をした者

第四十五条 他人の取引高税について、政府に対し、第二十七条第一項に規定する事実に関する虚偽の報告をなした者は、これを三年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。

第四十六条 取引高税に関する調査に関する事務に従事している者又は従事していた者がその事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は窃用したときは、これを二年以下の懲役又は二万円以下の罰金に処する。

第四十七条 第四十一条の罪を犯した者には、刑法(明治四十年法律第四十号)第三十八条第三項但書、第三十九条第二項、第四十条、第四十一条、第四十八条第二項、第六十三条及び第六十六条の規定は、これを適用しない。但し、第四十二条の場合において懲役刑に処するときは、この限りでない。

第四十八条 法人(第四条に規定する社団又は財団を含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して第四十一条、第四十二条、第四十三条又は第四十四条の違反行為をなしたときは、その行為者を罰する外、その法人又は人に対し、各本条の罰金刑を科する。

2 第四条の規定による社団又は財団を処罰する場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき、その社団又は財団を代表する外、法人が被告とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

附 則

第四十九条 この法律中第三十条、第三十一条、第三十三条及び第三十四条の規定は、この法律の公布の日から、その他の規定は、昭和二十三年九月一日から、これを施行する。

2 第三十条及び第三十四条の規定をこの法律の公布の日から昭和二十三年八月三十一日までの間において施行する場合には、第三十条中「第十一条の規定の適用を受ける取引高税の納税義務者」及び「第一項の取引高税の納税義務者」並びに第三十四条中「取引高税の納税義務者」及び「取引高税の納税義務がある法人」とあるのは、それぞれ「第二条第一項各号に掲げる営業をなす者」と読み替えるものとする。

3 取引高税は、昭和二十三年九月一日以後取引金額を領収する取引から、これを課する。

第五十条 この法律の公布の日において第二条第一項に規定する営業をなしている者は、同日以後一月以内に第三十四条の規定に準じて政府に申告しなければならない。

2 第四十四条第二号及び第四十八条の規定は、前項の場合について、これを適用する。

第五十一条 印紙等模造取締法(昭和二十二年法律第百八十九号)の一部を次のように改正する。

第一条第一項中「税印の印影」の下に「若しくは取引高税法(昭和二十三年法律第百八号)第十一条但書の規定により現金を政府に支払つて交付を受ける取引高税証紙」を加え、「これに」を「これらに」に改め、「印影」の下に「若しくは表示」を加える。

第五十二条 災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律(昭和二十二年法律第百七十五号)の一部を次のように改正する。

第八条及び第九条中「及び物品税」を「、物品税及び取引高税」に改める。

(大蔵・内閣総理大臣署名)

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