司法書士法の一部を改正する法律

法律第八十二号(昭五三・六・二三)

 司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)の一部を次のように改正する。

 第一条を次のように改める。

 (目的)

第一条 この法律は、司法書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、登記、供託及び訴訟等に関する手続の円滑な実施に資し、もつて国民の権利の保全に寄与することを目的とする。

 第一条の次に次の一条を加える。

 (職責)

第一条の二 司法書士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。

 第二条を次のように改める。

 (業務)

第二条 司法書士は、他人の嘱託を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。

 一 登記又は供託に関する手続について代理すること。

 二 裁判所、検察庁又は法務局若しくは地方法務局に提出する書類を作成すること。

 三 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。

2 司法書士は、前項に規定する業務であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、これを行うことができない。

 第四条を削り、第三条中「左に」を「次に」に改め、同条第一号中「禁こ」を「禁 錮」に、「二年」を「三年」に改め、同条第二号中「禁治産者」を「未成年者、禁治産者」に改め、同条第五号中「二年」を「三年」に改め、同号を同条第六号とし、同条第四号中「認可の取消」を「登録の取消し」に、「二年」を「三年」に改め、同号を同条第五号とし、同条第三号中「二年」を「三年」に改め、同号を同条第四号とし、同条第二号の次に次の一号を加え、同条を第四条とする。

 三 破産者で復権を得ないもの

 第二条の次に次の一条を加える。

 (資格)

第三条 次の各号の一に該当する者は、司法書士となる資格を有する。

 一 司法書士試験に合格した者

 二 裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官若しくは検察事務官としてその職務に従事した期間が通算して十年以上になる者又はこれと同等以上の法律に関する知識及び実務の経験を有する者であつて、法務大臣が司法書士の業務を行うのに必要な知識及び能力を有すると認めたもの

 第十一条及び第十一条の二を削り、第十条を第十一条とし、第九条を第十条とし、第八条中「行なつて」を「行つて」に改め、同条を第九条とし、第七条を削り、第六条を第八条とし、第五条に次の一項を加え、同条を第七条とする。

2 司法書士は、他の法務局又は地方法務局の管轄区域内に事務所を移転しようとするときは、その法務局又は地方法務局の長に対し、その管轄区域内に設立された司法書士会を経由して、登録の移転の申請をしなければならない。

 第四条の次に次の七条を加える。

 (司法書士試験)

第五条 法務大臣は、毎年一回以上、司法書士試験を行わなければならない。

2 司法書士試験は、次の事項について筆記及び口述の方法により行う。ただし、口述試験は、筆記試験の合格者について行う。

 一 民法、商法及び刑法に関する知識

 二 登記、供託及び訴訟に関する知識

 三 その他司法書士の業務を行うのに必要な知識及び能力

3 司法書士試験を受けようとする者は、政令で定めるところにより、受験手数料を納めなければならない。

第五条の二 法務省に、司法書士試験の問題の作成及び採点を行わせるため、司法書士試験委員を置く。

2 司法書士試験委員は、司法書士試験を行うについて必要な学識経験のある者のうちから、試験ごとに、法務大臣が任命する。

3 前二項に定めるもののほか、司法書士試験委員に関し必要な事項は、政令で定める。

 (登録)

第六条 司法書士となる資格を有する者が、司法書士となるには、その事務所を設けようとする地を管轄する法務局又は地方法務局に備えた司法書士名簿に登録を受けなければならない。

 (登録の手続)

第六条の二 前条の登録を受けようとする者は、司法書士となる資格を有することを証する書類を添えて、同条の法務局又は地方法務局の長に対し、その管轄区域内に設立された司法書士会を経由して、登録の申請をしなければならない。

2 前項の登録の申請をした者が次の各号の一に該当する場合には、法務局又は地方法務局の長は、その登録を拒否しなければならない。

 一 第十五条の五第一項の規定による入会の手続をとらないとき。

 二 身体又は精神の衰弱により司法書士の業務を行うことができないとき。

 三 司法書士の信用又は品位を害するおそれがあるときその他司法書士の職責に照らし司法書士としての適格性を欠くとき。

 (登録の取消し)

第六条の三 司法書士が次の各号の一に該当する場合には、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長は、その登録を取り消さなければならない。

 一 その業務を廃止したとき。

 二 死亡したとき。

 三 司法書士となる資格を有しないことが判明したとき。

 四 第四条第一号から第四号まで又は第六号に該当するに至つたとき。

第六条の四 司法書士が次の各号の一に該当する場合には、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長は、その登録を取り消すことができる。

 一 引き続き二年以上業務を行わないこと。

 二 身体又は精神の衰弱により業務を行うことができないとき。

 (意見の聴取)

第六条の五 法務局又は地方法務局の長は、必要があると認めるときは、登録に関して、その管轄区域内に設立された司法書士会の意見を求めることができる。

 第十二条中「基く」を「基づく」に、「左に」を「次に」に改め、同条第二号中「一年」を「二年」に改め、同条第三号を次のように改める。

 三 登録の取消し

 第十三条第一項中「第十一条の二」を「第六条の二第二項、第六条の四」に、「当該司法書士」を「当該登録の申請をした者又は司法書士」に改め、同条第二項中「当該司法書士」を「当該登録の申請をした者又は司法書士」に改め、同条第三項中「当該司法書士」を「当該登録の申請をした者又は司法書士」に、「第十一条の二又は前条第二号若しくは第三号の」を「第一項に規定する」に改める。

 第十五条の五を次のように改める。

 (入会)

第十五条の五 司法書士の登録又は登録の移転の申請をする者は、その申請と同時に、申請を経由すべき司出書士会に入会する手続をとらなければならない。

2 前項の規定により入会の手続をとつた者は、当該登録又は登録の移転の時に、当該司法書士会の会員となる。

 第十六条中「基く」を「基づく」に、「第十一条の二」を「第六条の四」に改め、同条の次に次の一条を加える。

 (注意勧告)

第十六条の二 司法書士会は、所属の司法書士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反するおそれがあると認めるときは、会則の定めるところにより、当該司法書士に対して、注意を促し、又は必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

 第十七条の三を第十七条の四とし、第十七条の二の次に次の一条を加える。

 (建議等)

第十七条の三 日本司法書士会連合会は、司法書士の業務又は制度について、法務大臣に建議し、又はその諮問に答申することができる。

 第十八条中「認可」を「試験、資格の認定、登録」に改める。

 第十九条第一項中「第一条」を「第二条」に、「但し」を「ただし」に、「定」を「定め」に改める。

 第二十四条中「第十七条の三」を「第十七条の四」に、「一万円」を「十万円」に改め、同条を第二十五条とし、第二十三条第一項中「一万円」を「十万円」に改め、同条第二項中「五千円」を「五万円」に改め、同条を第二十四条とし、第二十二条第一項中「第十条」を「第十一条」に、「五千円」を「五万円」に改め、同条を第二十三条とし、第二十一条中「第九条」を「第十条」に、「一万円」を「十万円」に改め、同条を第二十二条とし、第二十条の前の見出しを削り、同条中「第六条」を「第八条」に、「二万円」を「二十万円」に改め、同条を第二十一条とし、第十九条の次の次の見出し及び一条を加える。

 (罰則)

第二十条 司法書士となる資格を有しない者が、法務局又は地方法務局の長に対し、その資格につき虚偽の申請をして司法書士名簿に登録させたときは、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。


   附 則


 (施行期日)

1 この法律は、昭和五十四年一月一日から施行する。


 (従前の司法書士に関する経過措置)

2 この法律の施行の際現に司法書士である者は、改正後の司法書士法(以下「新法」という。)の規定による司法書士となる資格を有する者とみなす。

3 前項に規定する者でこの法律の施行の際現に司法書士会に入会しているものは、新法第六条の登録を受け当該司法書士会に入会している司法書士とみなす。この場合において、その者が、この法律の施行の日から三月の期間内に、法務省令で定めるところにより、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長に対し、氏名、事務所の所在地その他の法務省令で定める事項を届け出ないときは、その期間の満了の時に、その者について登録の取消しがあつたものとみなす。


 (欠格事由に関する経過措置)

4 この法律の施行の際新法第四条各号の一に該当する者で改正前の司法書士法(以下「旧法」という。)第三条に該当しないものに対しては、当該事由について、新法第四条の規定は、適用しない。

5 新法第四条第五号の適用については、旧法第十二条の規定による認可の取消しの処分は、新法第十二条の規定による登録の取消しの処分とみなす。


 (罰則の適用に関する経過措置)

6 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。


 (土地家屋調査士法の一部改正)

7 土地家屋調査士法(昭和二十五年法律第二百二十八号)の一部を次のように改正する。

 第四条第七号中「認可の取消」を「登録の取消し」に改める。


 (土地家屋調査士法の一部改正に伴う経過措置)

8 この法律による改正後の土地家屋調査士法第四条第七号の適用については、旧法第十二条の規定による認可の取消しの処分は、新法第十二条の規定による登録の取消しの処分とみなす。


 (税理士法の一部改正)

9 税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)の一部を次のように改正する。

 第四条第八号中「認可」を「登録」に改める。


 (税理士法の一部改正に伴う経過措置)

10 この法律による改正後の税理士法第四条第八号の適用については、旧法の規定による懲戒処分である司法書士の認可の取消しの処分は、新法の規定による懲戒処分である司法書士の登録の取消しとみなす。


 (法務府設置法等の一部を改正する法律の一部改正)

11 法務府設置法等の一部を改正する法律(昭和二十七年法律第二百六十八号)の一部を次のように改正する。

 附則第四項中「第二条」を「第三条」に改める。


 (登録免許税法の一部改正)

12 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。

 別表第一第二十三号中「、免許若しくは認可」を「若しくは免許」に改め、同号(二)中「第四条第一項(認可)の司法書士の認可」を「第六条(登録)の司法書士の登録」に、「認可件数」を「登録件数」に改める。

(法務・大蔵・内閣総理大臣署名) 

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