石油コンビナート等災害防止法
法律第八十四号(昭五〇・一二・一七)
目次
第一章 総則(第一条−第四条)
第二章 新設等の届出、指示等(第五条−第十四条)
第三章 特定事業者に係る災害予防(第十五条−第二十二条)
第四章 災害に関する応急措置(第二十三条−第二十六条)
第五章 防災に関する組織及び計画(第二十七条−第三十二条)
第六章 緑地等の設置(第三十三条−第三十七条)
第七章 雑則(第三十八条−第四十八条)
第八章 罰則(第四十九条−第五十二条)
附 則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、石油コンビナート等特別防災区域に係る災害の特殊性にかんがみ、その災害の防止に関する基本的事項を定めることにより、消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)、高圧ガス取締法(昭和二十六年法律第二百四号)、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)その他災害の防止に関する法律と相まつて、石油コンビナート等特別防災区域に係る災害の発生及び拡大の防止等のための総合的な施策の推進を図り、もつて石油コンビナート等特別防災区域に係る災害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 石油等 石油(消防法別表に掲げる第一石油類、第二石油類、第三石油類及び第四石油類をいう。以下同じ。)及び高圧ガス(高圧ガス取締法第二条に規定する高圧ガス(同法第三条第一項各号に掲げる高圧ガス、ガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)第二条第五項に規定するガス事業及び同条第七項に規定するガス工作物に係る高圧ガス並びに政令で定める不活性ガスを除く。)をいう。以下同じ。)をいう。
二 石油コンビナート等特別防災区域 次のいずれかに該当する区域であつて、政令で指定するものをいう。
イ 当該区域に、石油の貯蔵・取扱量(消防法第十一条第一項の規定による許可に係る貯蔵所、製造所又は取扱所(同法第十六条の二第一項に規定する移動タンク貯蔵所を除く。以下「石油貯蔵所等」という。)において貯蔵し、又は取り扱う石油の貯蔵量及び取扱量を政令で定めるところにより合計して得た数量をいう。以下同じ。)を政令で定める基準貯蔵・取扱量で除して得た数値若しくは高圧ガスの処理量(高圧ガス取締法第五条第一項の規定による許可に係る事業所において定置式設備により同項第一号に規定する圧縮、液化その他の方法で一日に処理することができるガスの容積をいう。以下同じ。)を政令で定める基準処理量で除して得た数値又はこれらを合計した数値が一以上となる事業所を含む二以上の事業所が所在し、かつ、当該区域に所在する事業所のうち、石油貯蔵所等を設置しているすべての者の事業所における石油の貯蔵・取扱量を合計した数量を政令で定める基準総貯蔵・取扱量で除して得た数値若しくは同項の規定による許可を受けているすべての者の事業所における高圧ガスの処理量を合計した数量を政令で定める基準総処理量で除して得た数値又はこれらを合計した数値が一以上となる区域であつて、当該区域に所在する特定の事業所についてそれぞれ災害の発生及び拡大の防止のための特別の措置を講じさせるとともに当該区域について一体として防災体制を確立することが緊要であると認められるもの
ロ 石油の貯蔵・取扱量をイに規定する政令で定める基準総貯蔵・取扱量で除して得た数値若しくは高圧ガスの処理量をイに規定する政令で定める基準総処理量で除して得た数値又はこれらを合計した数値が一以上となる事業所であつて、当該事業所について災害の発生及び拡大の防止のための特別の措置を講じさせることが緊要であると認められるものの区域
ハ イ又はロに該当することとなると認められる区域
三 災害 火事、爆発、石油等の漏洩若しくは流出その他の事故又は地震、津波その他の異常な自然現象により生ずる被害をいう。
四 第一種事業所 石油コンビナート等特別防災区域(以下「特別防災区域」という。)に所在する事業所であつて、石油の貯蔵・取扱量を第二号イに規定する政令で定める基準貯蔵・取扱量で除して得た数値若しくは高圧ガスの処理量を同号イに規定する政令で定める基準処理量で除して得た数値又はこれらを合計した数値が一以上となるものをいう。
五 第二種事業所 特別防災区域に所在する事業所のうち第一種事業所以外の事業所であつて、政令で定める基準に従い、相当量の石油等その他政令で定める物質を取り扱い、貯蔵し、又は処理することにより当該事業所における災害及び第一種事業所における災害が相互に重要な影響を及ぼすと認められるものとして都道府県知事が指定するものをいう。
六 特定事業所 第一種事業所及び第二種事業所をいう。
七 第一種事業者 第一種事業所を設置している者をいう。
八 第二種事業者 第二種事業所を設置している者をいう。
九 特定事業者 第一種事業者及び第二種事業者をいう。
十 特定防災施設等 流出油等防止堤、消火又は延焼の防止のための施設又は設備その他の災害の拡大の防止のために土地又は工作物に定着して設けられる施設又は設備(消防法、高圧ガス取締法その他の災害の防止に関する法令の規定により設置すべきものを除く。)であつて、主務省令で定めるものをいう。
(特定事業者の責務)
第三条 特定事業者は、その特定事業所における災害の発生及び拡大の防止に関し万全の措置を講ずるとともに、当該特定事業所の所在する特別防災区域において生じたその他の災害の拡大の防止に関し、他の事業者と協力し、相互に一体となつて必要な措置を講ずる責務を有する。
(国及び地方公共団体の施策)
第四条 国及び地方公共団体は、特定事業者の行うべき防災活動について必要な助言又は指導をするとともに、この法律又は関係法律の規定に基づき、総合的な災害応急対策の実施その他防災体制の樹立を図る等特別防災区域に係る災害の発生及び拡大の防止並びに災害の復旧のために必要な施策を講ずるものとする。
第二章 新設等の届出、指示等
(新設の届出等)
第五条 第一種事業所(石油貯蔵所等を設置する事業所であり、かつ、高圧ガス取締法第五条第一項の規定による許可に係る事業所であるものに限る。以下この章において同じ。)の新設(石油の貯蔵・取扱量又は高圧ガスの処理量を増加するための工事その他の政令で定める工事をすることにより第一種事業所となる場合における当該工事を含む。以下同じ。)をしようとする者は、主務省令で定めるところにより、書面で、その者の氏名(法人にあつては、その名称及び代表者の氏名)及び住所、設置の場所、新設のための工事の開始の予定日並びに当該事業所に係る次の事項を含む第一種事業所の新設に関する計画を主務大臣に届け出なければならない。
一 主務省令で定める基準により、事業所の敷地をその用途に応じ、製造施設地区、貯蔵施設地区、用役施設地区、事務管理施設地区その他の施設地区に区分した場合におけるこれらの施設地区(以下「各施設地区」という。)の面積及び配置
二 特別防災区域内の事業所間の連絡導管及び連結道路であつて、当該事業所の敷地区にあるものの配置
三 敷地面積
四 その他主務省令で定める事項
2 前項の規定による届出をする場合には、当該事業所の位置、周囲の状況及び各施設地区の配置を示す図面、石油又は高圧ガスの各施設地区別及び種類別のそれぞれの貯蔵・取扱量又は処理量を示す書面その他の主務省令で定める書類を提出しなければならない。
3 主務大臣は、第一項の規定による届出があつたときは、遅滞なく、その届出書の写しを政令で定める行政機関の長(以下「関係行政機関の長」という。)、関係都道府県知事及び関係市町村長に送付するものとする。
4 主務大臣は、第一項の規定による届出に係る第一種事業所の新設に関する計画について、関係都道府県知事の意見を聴かなければならない。この場合において、関係都道府県知事が意見を述べようとするときは、関係市町村長の意見を聴かなければならない。
(経過措置)
第六条 一の地域が特別防災区域となつた際現にその地域に所在する第一種事業所に係る第一種事業者(当該地域において第一種事業所の新設のための工事をしている者を含む。)は、当該地域が特別防災区域となつた日から二月以内に、主務省令で定めるところにより、書面で、その者の氏名(法人にあつては、その名称及び代表者の氏名)及び住所、設置の場所並びに前条第一項各号に掲げる事項を主務大臣に届け出なければならない。
2 前条第二項の規定は前項の規定による届出をする場合について、同条第三項の規定は前項の規定による届出があつた場合について準用する。
(変更の届出等)
第七条 第一種事業所に係る第五条第一項第一号から第三号までに掲げる事項の一部の変更をしようとする者は、主務省令で定めるところにより、書面で、その者の氏名(法人にあつては、その名称及び代表者の氏名)及び住所、当該変更のための工事の開始の予定日並びに当該第一種事業所の変更に関する計画を主務大臣に届け出なければならない。ただし、災害復旧工事をする場合その他の主務省令で定める場合は、この限りでない。
2 第五条第二項の規定は前項の規定による届出をする場合について、同条第三項及び第四項の規定は前項の規定による届出があつた場合について準用する。この場合において、同条第二項中「当該事業所の位置、」とあるのは「当該変更に係る第一種事業所の」と、同条第四項中「新設に関する計画」とあるのは「変更に関する計画」と読み替えるものとする。
(新設等の計画に係る指示)
第八条 主務大臣は、第五条第一項又は前条第一項の規定による届出(以下「新設等の届出」という。)があつた場合において、当該新設等の届出に係る第一種事業所の新設又は変更に関する計画(以下「新設等の計画」という。)の内容が次のいずれかに該当するときは、当該新設等の届出をした者に対し、当該新設等の計画の内容のうち、第五条第一項第一号又は第二号に掲げる事項に係る部分(当該変更に関する計画が、同項第三号の敷地面積の減少を伴うものである場合には、当該第一種事業所に係る同項第一号又は第二号に掲げる事項で当該敷地面積の減少に密接に関連するものを含む。)について、災害が発生した場合における当該災害の拡大の防止(以下「災害の発生の場合の拡大防止」という。)をするために必要と認められる範囲内において、当該新設等の計画の変更を指示することができる。
一 第五条第一項第一号に掲げる各施設地区の面積又は配置が、当該各施設地区相互の関係、当該第一種事業所の敷地の面積及び地形、当該第一種事業所の周囲の状況その他の状況を勘案し、主務省令で定める基準に照らして、災害の発生の場合の拡大防止に支障を生ずるおそれがあると認められること。
二 第五条第一項第二号に掲げる連絡導管又は連絡道路の配置が、当該第一種事業所の各施設地区との関係、当該第一種事業所の敷地の地形及び周囲の状況その他の状況を勘案し、主務省令で定める基準に照らして、災害の発生の場合の拡大防止に支障を生ずるおそれがあると認められること。
2 主務大臣は、新設等の届出(前条第一項の規定による届出であつて、当該届出に係る変更に関する計画が第五条第一項第三号の敷地面積の減少のみを内容とするものであるものを除く。)があつた場合において、前項の規定による指示によつては災害の発生の場合の拡大防止についての支障を除去することが困難であると認めるときは、当該届出に係る新設等の計画の廃止を指示することができる。
3 関係行政機関の長は、第五条第三項(前条第二項において準用する場合を含む。)の規定により届出書の写しの送付を受けた場合において、前二項の規定による指示を要すると認めるときは、主務大臣に対し、当該指示をすることを要請することができる。
4 主務大臣は、第一項又は第二項の規定による指示をするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
5 第一項又は第二項の規定による指示は、新設等の届出が受理された日から三月以内にしなければならない。
6 前項の規定にかかわらず、主務大臣は、実地の調査を行うため必要があるとき、その他同項の規定による期間内に第一項又は第二項の規定による指示をすることができない合理的な理由があるときは、一月の範囲内において、前項の規定による期間を延長することができる。この場合においては、新設等の届出をした者、関係行政機関の長、関係都道府県知事及び関係市町村長に対し、同項の規定による期間内に、その延長する期間及びその期間を延長する理由を通知するものとする。
7 主務大臣は、第五項の規定による期間が経過する前であつても、新設等の計画について災害の発生の場合の拡大防止に支障を生ずるおそれがないことが明らかであると認めたときは、あらかじめ関係行政機関の長に協議して、当該新設等の計画について第一項又は第二項の規定による指示をしないことを決定し、その旨を当該新設等の届出をした者に通知するものとする。
8 主務大臣は、第一項若しくは第二項の規定による指示をしたとき、又は前項の規定による決定をしたときは、遅滞なく、その旨及び指示をした場合には当該指示の内容を関係行政機関の長、関係都道府県知事及び関係市町村長に通知するものとする。
(消防法等の許可との関係)
第九条 消防法第十一条第一項の規定による許可又は高圧ガス取締法第五条第一項若しくは第十四条第一項の規定による許可(以下「消防法等の許可」という。)をする権限を有する自治大臣、都道府県知事又は市町村長(以下この条において「許可権者」という。)は、新設等の届出に係る第一種事業所又はその施設について消防法等の許可の申請があつた場合には、前条第五項の規定による期間(同条第六項の規定により同条第五項の規定による期間が延長されたときは、その延長後の期間)が満了する日(同条第一項の規定による指示又は同条第七項の規定による通知があつたときは、当該指示又は通知があつた日。次条において「指示期間の満了等に係る日」という。)までは、当該消防法等の許可をしてはならない。
2 前項の規定に該当する場合のほか、許可権者は、新設等の届出に係る第一種事業所又はその施設について消防法等の許可の申請があつた場合において、次に掲げる場合に該当するときは、当該消防法等の許可をしてはならない。
一 当該届出に係る新設等の計画について前条第一項の規定による指示があつた場合において、当該消防法等の許可の申請の内容が、当該指示に従つて変更された場合の当該計画に適合していないと認めるとき。
二 当該届出に係る新設等の計画について前条第二項の規定による指示があつた場合
3 新設等の届出に係る第一種事業所又はその施設について消防法等の許可が行われた場合における当該第一種事業所の施設に関する消防法第十一条第五項本文及び高圧ガス取締法第二十条の規定の適用については、これらの規定中「技術上の基準」とあるのは、「技術上の基準及び石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)第五条第一項又は第七条第一項の規定による届出に係る計画(当該計画について同法第八条第一項の規定による指示があつたときは、当該指示に従つて変更された場合の当該計画)」とする。
(実施の制限)
第十条 新設等の届出をした者は、指示期間の満了等に係る日までは、当該届出に係る第一種事業所の新設又は変更(消防法第十一条第一項の規定による許可に係る施設及び高圧ガス取締法第五条第一項又は第十四条第一項の規定による許可に係る同法第八条第一号に規定する製造のための施設(第十二条において「許可施設」という。)に係るものを除く。次条第一項において同じ。)をしてはならない。
(新設等の確認)
第十一条 新設等の届出をした者は、当該届出に係る第一種事業所の新設又は変更をしたときは、主務省令で定めるところにより、その旨を主務大臣に届け出て、当該新設又は変更が当該新設等の届出に係る新設等の計画(当該計画について第八条第一項の規定による指示があつたときは、当該指示に従つて変更された場合の当該計画。次条第一号において同じ。)に適合しているかどうかについて、主務大臣の確認を受けなければならない。
2 主務大臣は、前項の規定による確認をしたときは、その結果を関係行政機関の長、関係都道府県知事及び関係市町村長に通知するものとする。
(使用停止命令)
第十二条 主務大臣は、次の各号に掲げる第一種事業所を設置している第一種事業者に対し、当該各号に定める期間、災害の発生の場合の拡大防止をするために必要な範囲内において、当該第一種事業所の施設の全部又は一部の使用の停止を命ずることができる。
一 新設等の届出に係る新設等の計画に適合していない第一種事業所(当該計画に適合していない施設が許可施設のみである場合を除く。)当該第一種事業所を当該新設等の計画に適合したものとするために必要な措置が講じられるまでの間
二 新設等の届出に係る新設等の計画について行われた第八条第二項の規定による指示に違反して新設又は変更をされた第一種事業所(当該計画に係る施設が許可施設のみである場合を除く。)当該第一種事業所を原状に回復するまでの間
三 第五条第一項の規定に違反して第一種事業所の新設に関する計画の届出をしないで新設をされ、かつ、同項第一号又は第二号に掲げる事項が第八条第一項第一号又は第二号の主務省令で定める基準(以下この号及び次号において「設置基準」という。)に適合していない第一種事業所 当該第一種事業所に係る第五条第一項第一号又は第二号に掲げる事項を設置基準に適合したものとするために必要な措置が講じられるまでの間
四 第七条第一項の規定に違反して第一種事業所の変更に関する計画の届出をしないで第五条第一項第一号から第三号までに掲げる事項の一部の変更をされ、かつ、当該変更に係る同項第一号又は第二号に掲げる事項(当該変更が同項第三号の敷地面積の減少を伴うものである場合には、当該第一種事業所に係る同項第一号又は第二号に掲げる事項で当該敷地面積の減少に密接に関連するものを含む。以下この号において同じ。)が設置基準に適合していない第一種事業所 当該変更に係る同項第一号又は第二号に掲げる事項を設置基準に適合したものとするために必要な措置が講じられるまでの間
(氏名等の変更の届出)
第十三条 第一種事業者(第一種事業所に係るものに限るものとし、第五条第一項の規定による届出をした者を含む。次条において同じ。)は、その氏名(法人にあつては、その名称又は代表者の氏名)又は住所に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
2 第五条第三項の規定は、前項の規定による届出があつた場合について準用する。
(地位の承継)
第十四条 第一種事業者から第一種事業所を譲り受け、又は借り受けた者は、当該第一種事業所に係る第一種事業者の地位を承継する。
2 第一種事業者について相続又は合併があつたときは、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により承継すべき相続人を選定したときは、その者)又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、当該第一種事業者の地位を承継する。
3 前二項の規定により第一種事業者の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
4 第五条第三項の規定は、前項の規定による届出があつた場合について準用する。
第三章 特定事業者に係る災害予防
(特定防災施設等)
第十五条 特定事業者は、その特定事業所に、主務省令で定める基準に従つて、特定防災施設等を設置し、及び維持しなければならない。
2 特定事業者は、特定防災施設等を設置したときは、主務省令で定めるところにより、その旨を市町村長(特別区並びに消防本部及び消防署を置かない市町村にあつては、都道府県知事。以下「市町村長等」という。)に届け出て、検査を受けなければならない。
3 特定事業者は、特定防災施設等について、主務省令で定めるところにより、定期に点検を行い、点検記録を作成し、これを保存しなければならない。
(自衛防災組織)
第十六条 特定事業者は、その特定事業所ごとに、自衛防災組織を設置しなければならない。
2 自衛防災組織は、特定事業所における災害の発生又は拡大を防止するために必要な業務を行う。この場合において、自衛防災組織は、消防法、高圧ガス取締法その他の法令の規定により災害の発生又は拡大を防止するために必要な業務又は職務を行うこととされている者で政令で定めるものが行うべき業務又は職務の遂行に協力しなければならない。
3 特定事業者は、その自衛防災組織に、政令で定めるところにより、防災要員を置かなければならない。
4 特定事業者は、その自衛防災組織に、政令で定めるところにより、当該自衛防災組織がその業務を行うために必要な化学消防自動車、消火用薬剤、油回収船その他の機械器具、資材又は設備(以下「防災資機材等」という。)を備え付けなければならない。
5 特定事業者は、主務省令で定めるところにより、その自衛防災組織の防災要員及び防災資機材等の現況について、市町村長等に届け出なければならない。
6 市町村長等は、前項の規定による届出があつたときは、遅滞なく、当該届出の内容を政令で定める管区海上保安本部の事務所の長に通知するものとする。
(防災管理者等)
第十七条 特定事業者は、その特定事業所ごとに、防災管理者を選任し、自衛防災組織を統括させなければならない。
2 防災管理者は、当該特定事業所においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てなければならない。
3 第一種事業者は、当該第一種事業所における災害の発生又は拡大の防止に関する業務を適切に遂行することができる管理的又は監督的地位にある者のうちから副防災管理者を選任し、自衛防災組織の統括について、防災管理者を補佐させなければならない。
4 第一種事業者は、防災管理者が当該第一種事業所内にいないときは、副防災管理者に自衛防災組織を統括させなければならない。
5 第一項又は第三項の規定により防災管理者又は副防災管理者を選任したときは、特定事業者(同項の場合にあつては、第一種事業者。第二十一条第一項第四号において同じ。)は、主務省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を市町村長等に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
6 前条第六項の規定は、前項の規定による届出があつた場合について準用する。
(防災規程)
第十八条 特定事業者は、主務省令で定めるところにより、自衛防災組織が行うべき第十六条第二項の規定による業務に関する事項について防災規程を定め、市町村長等に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。
2 第十六条第六項の規定は、前項の規定による届出があつた場合について準用する。
(共同防災組織)
第十九条 一の特別防災区域に所在する特定事業所に係る特定事業者の全部又は一部は、共同して、これらの特定事業所の自衛防災組織の業務の一部を行わせるための共同防災組織を設置することができる。
2 前項の特定事業者は、主務省令で定めるところにより、その協議により、共同防災組織が行うべき業務に関する事項並びに防災要員及び防災資機材等に関する事項について共同防災規程を定めなければならない。
3 第一項の特定事業者を代表する者は、共同防災組織を設置したときは、主務省令で定めるところにより、その防災要員の数、備え付けた防災資機材等の種類別の数量、共同防災規程その他の事項を市町村長等に届け出なければならない。届け出られた事項に変更があつたときも、同様とする。
4 政令で定める基準に従つて、防災要員を配置し、及び防災資機材等を備え付けた共同防災組織を設置している特定事業者は、第十六条第三項及び第四項の規定によりその自衛防災組織に置くべき防災要員の数及び備え付けるべき防災資機材等の数量を政令で定めるところにより減ずることができる。
5 第十六条第二項の規定は共同防災組織について、同条第六項の規定は第三項の規定による届出があつた場合について準用する。
(経過措置)
第二十条 一の地域が特別防災区域となつた際現にその地域に所在する第一種事業所に係る第一種事業者(当該地域において第一種事業所の新設のための工事をしている者を含む。)については、次の各号に掲げる規定は、当該地域が特別防災区域となつた日から当該各号に定める期間が経過する日までは、適用しない。
一 第十五条第一項の規定 一年間(同項の規定中政令で定める特定防災施設等の設置に係る部分については、二年を超えない範囲内で政令で定める期間)
二 第十六条の規定 一年間(同条の規定中政令で定める防災資機材等の備付けに係る部分については、三年を超えない範囲内で政令で定める期間)
三 第十七条及び第十八条の規定 一年間
2 前項の規定は、第二種事業所の指定の際現に当該第二種事業所を設置している第二種事業者について準用する。この場合において、同項中「当該地域が特別防災区域となつた日」とあるのは、「当該指定の日」と読み替えるものとする。
(措置命令及び使用停止命令)
第二十一条 市町村長等は、次の各号に掲げる特定事業者に対し、期間を定めて、当該各号に定める措置を行うことを命ずることができる。
一 第十五条第一項の規定に違反して、特定防災施設等を同項に規定する主務省令で定める基準に従つて設置し、又は維持していない特定事業者 特定防災施設等を同項に規定する主務省令で定める基準に従つて設置し、又は維持すること。
二 第十五条第三項の規定に違反して、同項の規定による点検を行わず、又は点検記録を作成せず、若しくはこれを保存していない特定事業者 同項の規定による点検を行つて、点検記録を作成し、これを保存すること。
三 第十六条第一項、第三項又は第四項の規定に違反して、自衛防災組織を設置せず、又は自衛防災組職に防災要員を置かず、若しくは防災資機材等を備え付けていない特定事業者 自衛防災組織を設置し、又は同条第三項若しくは第四項若しくは第十九条第四項に定めるところにより、自衛防災組織に防災要員を置き、若しくは防災資機材等を備え付けること。
四 第十七条第一項又は第三項の規定に違反して、防災管理者又は副防災管理者を選任していない特定事業者 防災管理者又は副防災管理者を選任すること。
五 第十八条第一項の規定に違反して、防災規程を作成していない特定事業者 防災規程を作成すること。
2 市町村長等は、前項の規定による命令に違反した特定事業者に対し、期間を定めて、当該命令に係る特定事業所の施設の全部又は一部の使用の停止を命ずることができる。
(石油コンビナート等特別防災区域協議会)
第二十二条 一の特別防災区域に所在する特定事業所に係る特定事業者は、共同して、次の事項を行う石油コンビナート等特別防災区域協議会を置くように努めなければならない。
一 当該特別防災区域の災害の発生又は拡大の防止に関する自主基準の作成
二 災害の発生又は拡大の防止に関する技術の共同研究
三 当該特定事業所の職員に対する災害の発生又は拡大の防止に関する教育の共同実施
四 共同防災訓練の実施
第四章 災害に関する応急措置
(異常現象の通報義務)
第二十三条 特定事業所においてその事業の実施を統括管理する者は、当該特定事業所における出火、石油等の漏洩その他の異常な現象の発生について通報を受け、又は自ら発見したときは、直ちに、石油コンビナート等防災計画の定めるところにより、その旨を消防署又は市町村長の指定する場所に通報しなければならない。
2 消防署長又は市町村長は、前項の通報を受けた場合には、直ちに、石油コンビナート等防災計画の定めるところにより、その旨を石油コンビナート等防災本部、警察署、海上警備救難機関その他の関係機関に通報しなければならない。
(自衛防災組織等の災害応急措置)
第二十四条 特定事業者は、その特定事業所において前条第一項に規定する異常な現象が発生したときは、直ちに、防災規程、共同防災規程及び石油コンビナート等防災計画の定めるところにより、当該特定事業所の自衛防災組織及び共同防災組織に災害の発生又は拡大の防止のために必要な措置を行わせなければならない。
2 前項の特定事業所が所在する特別防災区域の他の特定事業者は、石油コンビナート等防災計画の定めるところにより、その特定事業所の自衛防災組織を派遣する等同項の特定事業所における災害の拡大の防止に協力しなければならない。
(自衛防災組織等に対する指示)
第二十五条 市町村長(特別区の存する区域においては、都知事。次項において同じ。)又は第十六条第六項に規定する政令で定める管区海上保安本部の事務所の長は、災害の発生又は拡大の防止のための措置の実施について必要があると認めるときは、自衛防災組織又は共同防災組織に指示をすることができる。
2 警察官は、市町村長若しくはその委任を受けて前項に規定する市町村長の職権を行う市町村(特別区の存する区域においては、都)の吏員及び同項に規定する管区海上保安本部の事務所の長若しくはその委任を受けて同項に規定する管区海上保安本部の事務所の長の職権を行う海上保安官が現場にいないとき、又はこれらの者から要求があつたときは、人命の救助、危険な区域への立入りの制限若しくは禁止又は当該区域からの退去に関する指示について、同項に規定する市町村長又は管区海上保安本部の事務所の長の職権を行うことができる。
(災害応急措置の概要等の報告)
第二十六条 特定地方行政機関(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第九条に規定する国の行政機関の地方支分部局その他の国の地方行政機関で、政令で定めるものをいう。以下同じ。)の長、都道府県知事、市町村長、特定事業者その他法令の規定により特別防災区域に係る災害の発生又は拡大を防止するために必要な措置を実施する責任を有する者は、発生した災害の状況及びその実施した措置の概要について、石油コンビナート等防災計画の定めるところにより、石油コンビナート等防災本部に逐次報告しなければならない。
第五章 防災に関する組織及び計画
(石油コンビナート等防災本部)
第二十七条 特別防災区域が所在する都道府県に、石油コンビナート等防災本部(以下「防災本部」という。)を置く。
2 特別防災区域であつて、第二条第二号ハに該当するもののみが所在する都道府県においては、前項の規定にかかわらず、防災本部を置かないことができる。
3 防災本部は、当該都道府県の区域内に所在する特別防災区域に係る防災(災害の発生及び拡大を防止し、並びに災害の復旧を図ることをいう。以下この章において同じ。)に関し、次の事務をつかさどる。
一 石油コンビナート等防災計画を作成し、及びその実施を推進すること。
二 防災に関する調査研究を推進すること。
三 防災に関する情報を収集し、これを関係者に伝達すること。
四 災害が発生した場合において、当該都道府県、関係特定地方行政機関、関係市町村、関係公共機関(災害対策基本法第二条第五号に規定する指定公共機関及び同条第六号に規定する指定地方公共機関をいう。以下同じ。)、当該都道府県の区域内の公共的団体及び当該都道府県の区域内の特別防災区域に所在する特定事業所に係る特定事業者その他当該特別防災区域内の防災上重要な施設の管理者(第三十一条において「関係機関等」という。)が石油コンビナート等防災計画に基づいて実施する災害応急対策及び災害復旧に係る連絡調整を行うこと。
五 石油コンビナート等現地防災本部に対して、災害応急対策の実施に関し必要な指示を行うこと。
六 災害が発生した場合において、国の行政機関(関係特定地方行政機関を除く。)及び他の都道府県との連絡を行うこと。
七 その他特別防災区域に係る防災に関する重要な事項の実施を推進すること。
(防災本部の組織)
第二十八条 防災本部は、本部長及び本部員をもつて組織する。
2 本部長は、当該防災本部を設置する都道府県の知事をもつて充てる。
3 本部長は、防災本部の事務を総括する。
4 本部長に事故があるときは、あらかじめその指名する本部員がその職務を代理する。
5 本部員は、次に掲げる者をもつて充てる。
一 当該都道府県の区域内に所在する特別防災区域の全部又は一部を管轄する特定地方行政機関の長又はその指名する職員
二 当該都道府県を警備区域とする陸上自衛隊の方面総監又はその指名する部隊若しくは機関の長
三 警視総監又は当該道府県の道府県警察本部長
四 当該都道府県の知事がその部内の職員のうちから指名する者
五 当該都道府県の区域内の市町村のうち、その区域内に特別防災区域が所在する市町村の市町村長
六 当該都道府県の区域内の市町村(前号に規定する市町村を除く。)のうち、当該都道府県の知事が特別防災区域に係る防災に関し必要と認めて指定する市町村の市町村長
七 前二号に規定する市町村の消防長(消防本部を置かない市町村にあつては、消防団長)
八 当該都道府県の区域内に所在する特別防災区域ごとに、当該特別防災区域内の特定事業所に係る特定事業者を代表する者
九 その他当該都道府県の知事が必要と認めて任命する者
6 防災本部に、専門の事項を調査させるため、専門員を置くことができる。
7 専門員は、関係地方行政機関の職員、当該都道府県の職員、当該都道府県の区域内の関係市町村の職員、関係公共機関の職員、関係特定事業所の職員及び学識経験のある者のうちから、当該都道府県の知事が任命する。
8 前各項に定めるもののほか、防災本部の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める基準に従つて当該都道府県の条例で定める。
(石油コンビナート等現地防災本部)
第二十九条 防災本部の本部長は、特別防災区域に係る災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該特別防災区域において緊急に統一的な防災活動を実施するため特別の必要があると認めるときは、石油コンビナート等防災計画の定めるところにより、石油コンビナート等現地防災本部(以下「現地本部」という。)を設置することができる。
2 現地本部は、現地本部長及び現地本部員をもつて組織する。
3 現地本部長及び現地本部員は、本部員のうちから本部長が指名する者をもつて充てる。
4 現地本部は、防災本部の指示を受けて、石油コンビナート等防災計画の定めるところにより、当該特別防災区域に係る災害に関する防災活動の実施について、防災本部の業務の一部を行う。
(防災本部の協議会)
第三十条 一の特別防災区域が二以上の都府県にわたつて所在する場合には、当該特別防災区域に係る石油コンビナート等防災計画を作成し、その実施を推進するため、これらの都府県は、協議により規約を定め、当該特別防災区域に関し、防災本部の協議会を設置しなければならない。ただし、当該特別防災区域が第二条第二号ハに該当するものである場合は、防災本部の協議会を設置しないことができる。
2 前項の防災本部の協議会の組織、運営その他防災本部の協議会に関し必要な事項は、政令で定める。
(石油コンビナート等防災計画)
第三十一条 防災本部及びその協議会は、当該都道府県の区域内にその全部の区域が含まれる特別防災区域(防災本部の協議会にあつては、当該協議会を設置した二以上の都府県にわたつて所在する特別防災区域)に係る石油コンビナート等防災計画(以下「防災計画」という。)を作成し、及び毎年これに検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。この場合において、当該防災計画は、災害対策基本法第二条第八号に規定する防災基本計画、同条第九号に規定する防災業務計画、同条第十号イに規定する都道府県地域防災計画及び同号ハに規定する指定地域都道府県防災計画に抵触するものであつてはならない。
2 防災計画は、前項の特別防災区域に係る防災に関し、次の事項について定めるものとする。
一 関係機関等の処理すべき事務又は業務の大綱
二 関係機関等の防災に関する組織の整備及び防災に関する事務又は業務に従事する職員の配置等に関すること。
三 防災に関する調査研究に関すること。
四 特定事業所の職員及びその他の関係機関等の職員の防災教育及び防災訓練に関すること。
五 特定事業者間の相互応援に関すること。
六 防災のための施設、設備、機械器具及び資材の設置、維持、備蓄、調達、輸送等に関すること。
七 災害の想定に関すること。
八 災害が発生し、又は発生するおそれがある場合における情報の収集及び伝達並びに広報に関すること。
九 自衛防災組織及び共同防災組織の活動の基準に関すること。
十 現地本部の設置及びその業務の実施に関すること。
十一 火事、爆発、石油等の漏洩又は流出その他の事故による災害に対する応急措置の実施に関すること。
十二 地震、津波その他の異常な自然現象による災害に対する応急措置の実施に関すること。
十三 災害時における避難、交通の規制、警戒区域の設定等に関すること。
十四 災害時における関係機関等以外の地方公共団体等に対する応援要請に関すること。
十五 特別防災区域内の公共施設の災害復旧に関すること。
十六 その他災害の予防、災害応急対策及び災害復旧に関すること。
3 防災本部及びその協議会は、第一項の規定により防災計画を作成し、又は修正したときは、当該防災計画又は当該修正した防災計画を主務大臣に提出するとともに、その要旨を公表しなければならない。
(災害対策基本法との関係)
第三十二条 災害対策基本法第二条第十号イからニまで、第十四条第二項、第十六条第一項、第十七条第一項、第十八条第一項、第十九条第一項、第二十三条第一項、第四項及び第五項、第四十条第一項及び第二項、第四十二条第一項及び第二項、第四十三条第一項並びに第四十四条第一項の規定の適用については、これらの規定に規定する地域又は区域は、特別防災区域(第二十七条第二項の規定により防災本部を置かないこととする都道府県の区域内に所在するものを除く。次項において同じ。)を含まないものとする。
2 特別防災区域に係る災害対策基本法の規定の適用については、同法第二条第十号中「次に掲げるもの」とあるのは「次に掲げるもの(石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)第三十二条第一項に規定する特別防災区域については、同法第三十一条第一項に規定する石油コンビナート等防災計画(以下「石油コンビナート等防災計画」という。))」と、同法第三条第四項中「この法律の規定による都道府県」とあるのは「都道府県」と、同法第六条第一項中「この法律の規定による国」とあるのは「国」と、同法第十三条第二項中「都道府県防災会議又は」とあるのは「都道府県防災会議、石油コンビナート等災害防止法第二十七条第一項に規定する石油コンビナート等防災本部(以下「石油コンビナート等防災本部」という。)又は」と、「都道府県防災会議の協議会」とあるのは「都道府県防災会議の協議会、石油コンビナート等防災本部の協議会」と、同法第二十一条中「都道府県防災会議」とあるのは「都道府県防災会議、石油コンビナート等防災本部」と、同法第四十一条中「又は都道府県地域防災計画」とあるのは「、都道府県地域防災計画又は石油コンビナート等防災計画」と、同法第四十五条中「会長」とあるのは「会長若しくは本部長」と、「都道府県防災会議又はその」とあるのは「都道府県防災会議若しくは石油コンビナート等防災本部又はこれらの」と、同法第五十八条中「市町村地域防災計画」とあるのは「石油コンビナート等防災計画」とする。
第六章 緑地等の設置
(設置計画の作成等)
第三十三条 地方公共団体の長は、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(昭和四十六年法律第七十号)第二条第三項第二号の事業を行うことができる地域以外の地域において、特別防災区域における災害がその周辺の地域に及ぶことを防止するための緩衝地帯として緑地その他これに類する政令で定める施設(以下「緑地等」という。)を設置しようとするときは、政令で定めるところにより、関係地方公共団体の長(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第四条第一項の港務局の委員長を含む。)の意見を聴いて、緑地等の設置に関する計画を作成し、主務大臣の承認を受けるものとする。
(第一種事業者に係る費用の負担等)
第三十四条 地方公共団体は、前条の計画に基づいて緑地等の設置をするときは、政令で定めるところにより、当該緑地等の設置に要する費用で政令で定めるものの額の三分の一に相当する額(以下この条において「負担総額」という。)を、当該計画に係る特別防災区域に所在する第一種事業所に係る第一種事業者(当該第一種事業者となることが確実と認められる者を含む。以下同じ。)に負担させることができる。
2 前項の緑地等の設置につき各第一種事業者に負担させる負担金(以下「事業者負担金」という。)の額は、各第一種事業者について、当該第一種事業者に係る同項の特別防災区域に所在する第一種事業所の石油の貯蔵・取扱量及び高圧ガスの処理量を基準とし、当該第一種事業所における災害の周辺地域への影響の程度その他の政令で定める条件を勘案して、負担総額を配分した額とする。
3 地方公共団体の長は、前項の規定により各第一種事業者の負担すべき事業者負担金の額を定めたときは、各第一種事業者に対し、その者が納付すべき事業者負担金の額及び納付すべき期限その他必要な事項を通知しなければならない。
4 地方公共団体の長は、前項の規定により事業者負担金の額を定めた後、第一項の第一種事業者又は負担総額に変更があつたとき、その他事業者負担金の額を変更する必要が生じたときは、事業者負担金の額を変更して、各第一種事業者に対し、その者が納付すべき変更後の事業者負担金の額及び納付すべき期限その他必要な事項を通知しなければならない。
(強制徴収)
第三十五条 事業者負担金を納付しない第一種事業者があるときは、地方公共団体の長は、督促状によつて納付すべき期限を指定して督促しなければならない。
2 前項の場合においては、地方公共団体の長は、年十四・五パーセントの割合を乗じて計算した額を超えない範囲内の延滞金を徴収することができる。
3 第一項の規定による督促を受けた第一種事業者がその指定する期限までにその納付すべき金額を納付しない場合においては、地方公共団体の長は、国税滞納処分の例により、前二項に規定する事業者負担金及び延滞金を徴収することができる。この場合における事業者負担金及び延滞金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
4 延滞金は、事業者負担金に先立つものとする。
(財政上の特別措置)
第三十六条 地方公共団体が第三十三条の計画に基づいて実施する緑地等の設置に係る当該地方公共団体の経費については、他の法令の規定にかかわらず、国は、予算の範囲内で、その二分の一を補助することができる。ただし、当該緑地等の設置につき適用される他の法令の規定による国の補助の割合が二分の一を超えるときは、当該経費についての国の補助の割合については、当該他の法令の定めるところによる。
2 前項の緑地等の設置につき地方公共団体が必要とする経費に係る地方債で主務大臣が指定したものに係る元利償還に要する経費は、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)の定めるところにより、当該地方公共団体に対して交付すべき地方交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入するものとする。
(政令への委任)
第三十七条 この章に規定するもののほか、事業者負担金の額の決定及び変更、事業者負担金の納付の方法並びに前条第一項の規定により国が補助することとなる額の算定及び交付に関し必要な事項は、政令で定める。
第七章 雑則
(特別防災区域の指定)
第三十八条 主務大臣は、第二条第二号の区域を指定する政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、関係都道府県知事及び関係市町村長の意見を聴かなければならない。
(報告の徴収)
第三十九条 主務大臣、都道府県知事又は市町村長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、特定事業者に対し、その業務に関し、報告をさせることができる。
(立入検査)
第四十条 主務大臣、都道府県知事又は市町村長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その職員に、特定事業所に立ち入り、当該特定事業所に係る特定事業者の施設、帳簿書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を証する証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査及び質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(都道府県知事への報告等)
第四十一条 市町村長(特別区の区長並びに消防本部及び消防署を置かない市町村の市町村長を除く。)は、この法律又は消防法の規定により、第一種事業所に係る届出の受理、許可、命令その他の政令で定める行為をしたときは、主務省令で定めるところにより、その旨を関係都道府県知事に報告しなければならない。
2 都道府県知事は、高圧ガス取締法の規定により、第一種事業所に係る届出の受理、許可、命令その他の政令で定める行為をしたときは、主務省令で定めるところにより、その旨を前項の市町村長に通知しなければならない。
3 第一項の規定による報告を受けた都道府県知事又は前項の規定による通知を受けた市町村長は、特別防災区域に係る災害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、それぞれ、第一項の市町村長又は前項の都道府県知事に対し、必要な措置を講ずべきことを要請することができる。
(国の援助)
第四十二条 国は、特定事業者がこの法律に基づいて行うべき防災のための施設又は設備の設置又は改善につき必要な資金のあつせん、災害の発生及び拡大の防止に関する技術的な助言その他の援助に努めるものとする。
(消防法との関係)
第四十三条 消防法第十四条の四の規定は、政令で定める特定事業所については、適用しない。
(適用除外)
第四十四条 第二十五条の規定は、国の機関が設置する自衛防災組織については、適用しない。
(手数料)
第四十五条 第十一条第一項の規定による確認又は第十五条第二項の規定による検査を受けようとする者は、政令で定めるところにより、手数料を納めなければならない。
(主務大臣等)
第四十六条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一 第五条第一項、第六条第一項、第七条第一項、第八条第三項、第十一条第一項、第十三条第一項若しくは第十四条第三項の規定による届出の受理(要請を受けることを含む。)、第五条第三項(第六条第二項、第七条第二項、第十三条第二項及び第十四条第四項において準用する場合を含む。)の規定による送付、第五条第四項(第七条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第三十八条の規定による意見の聴取、第八条第一項若しくは第二項の規定による指示、同条第四項の規定による協議、同条第六項の規定による期間の延長、同条第七項の規定による決定及び通知、同条第八項若しくは第十一条第二項の規定による通知、同条第一項の規定による確認、第十二条の規定による命令、第三十一条第三項の規定により提出される防災計画の受理、第三十九条の規定による報告の徴収又は第四十条第一項の規定による立入検査若しくは質問に関する事項については、通商産業大臣及び自治大臣
二 第三十三条の規定による承認に関する事項については、建設大臣
三 第三十六条第二項の規定による指定に関する事項については、自治大臣
2 この法律における主務省令は、次のとおりとする。
一 第二条第十号の施設若しくは設備、第十五条第一項の基準、同条第二項の規定による届出及び検査、同条第三項の規定による点検及び記録、第十六条第五項、第十七条第五項若しくは第十九条第三項の規定による届出、第十八条第一項若しくは第十九条第二項の防災規程若しくは共同防災規程又は第四十一条第一項の規定による報告に関する事項については、自治省令
二 第五条第一項、第六条第一項、第七条第一項若しくは第十一条第一項の規定による届出、第五条第一項若しくは第八条第一項の基準又は第五条第二項(第六条第二項及び第七条第二項において準用する場合を含む。)の書類に関する事項については、通商産業省令・自治省令
三 第四十一条第二項の規定による通知に関する事項については、通商産業省令
(経過措置の命令への委任)
第四十七条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(権限の委任)
第四十八条 この法律の規定により主務大臣の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、都道府県知事又は市町村長に委任することができる。
第八章 罰則
第四十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第五条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をして第一種事業所(石油貯蔵所等を設置する事業所であり、かつ、高圧ガス取締法第五条第一項の規定による許可に係る事業所であるものに限る。次号において同じ。)の新設をした者
二 第七条第一項の規定による届出をしないで第一種事業所に係る第五条第一項第一号から第三号までに掲げる事項の変更をした者
三 第十二条の規定による命令に違反した者
四 第二十一条第二項の規定による命令に違反した者
第五十条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第六条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第十条の規定に違反した者
三 第二十一条第一項の規定による命令に違反した者
第五十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 第十一条第一項若しくは第十五条第二項の規定による届出をせず、又はこれらの規定による確認若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
二 第十三条第一項、第十四条第三項、第十六条第五項又は第十七条第五項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三 第二十三条第一項の規定に違反して通報しなかつた者
四 第三十九条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
五 第四十条第一項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
第五十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日等)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
2 第三十六条第一項の規定は、昭和五十一年度分の予算に係る国の補助金から適用し、昭和五十年度分の予算に係る国の補助金で翌年度に繰り越したものについては、なお従前の例による。
(消防法の一部改正)
3 消防法の一部を次のように改正する。
第十一条第二項中「適合する」を「適合し、かつ、当該製造所、貯蔵所又は取扱所においてする危険物の貯蔵又は取扱いが公共の安全の維持又は災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがない」に改める。
第十二条の二第四号中「第十二条第二項」を「前条第二項」に改め、同号の次に次の一号を加える。
四の二 第十二条の七第一項の規定に違反したとき。
第十二条の二に次の一号を加える。
七 第十四条の三の二の規定に違反したとき。
第十二条の六の次に次の一条を加える。
第十二条の七 同一事業所において政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所を所有し、管理し、又は占有する者で、政令で定める数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱うものは、政令で定めるところにより、当該事業所における危険物の保安に関する業務を統括管理する者を定めなければならない。
製造所、貯蔵所又は取扱所を所有し、管理し、又は占有する者は、前項の規定により危険物の保安に関する業務を統括管理する者を定めたときは、遅滞なくその旨を市町村長等に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
第十四条の三の次に次の一条を加える。
第十四条の三の二 政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者は、これらの製造所、貯蔵所又は取扱所について、自治省令で定めるところにより、定期に点検し、その点検記録を作成し、これを保存しなければならない。
第十六条の三第一項中「その他の事故が発生し、危険な状態となつたときは」を「その他の事故が発生したときは」に改め、「直ちに、」の下に「引き続く危険物の流出及び拡散の防止、流出した危険物の除去その他」を加え、同条に次の一項を加える。
市町村長等は、製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者が第一項の応急の措置を講じていないと認めるときは、これらの者に対し、同項の応急の措置を講ずべきことを命ずることができる。
第三十九条の次に次の二条を加える。
第三十九条の二 製造所、貯蔵所又は取扱所から危険物を漏出させ、流出させ、放出させ、又は飛散させて火災の危険を生じさせた者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。ただし、公共の危険が生じなかつたときは、これを罰しない。
前項の罪を犯し、よつて人を死傷させた者は、七年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
第三十九条の三 業務上必要な注意を怠り、製造所、貯蔵所又は取扱所から危険物を漏出させ、流出させ、放出させ、又は飛散させて火災の危険を生じさせた者は、二年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。ただし、公共の危険が生じなかつたときは、これを罰しない。
前項の罪を犯し、よつて人を死傷させた者は、五年以下の徽役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
第四十条第一項中「三十万円」を「五十万円」に改める。
第四十二条第一項第六号の次に次の一号を加える。
六の二 第十六条の三第三項の規定による命令に違反した者
第四十四条第三号の二の次に次の一号を加える。
三の三 第十四条の三の二の規定による点検記録を作成せず、虚偽の点検記録を作成し、又は点検記録を保存しなかつた者
第四十四条第六号中「第十一条の二第一項」の下に「、第十二条の七第二項」を加える。
第四十五条中「業務に関し」の下に「、第三十九条の二第一項若しくは第二項、第三十九条の三第一項若しくは第二項」を加える。
(地方交付税法の一部改正)
4 地方交付税法の一部を次のように改正する。
附則第二十二項を附則第二十四項とし、附則第二十一項を附則第二十三項とし、附則第二十項の次に次の二項を加える。
21 当分の間、地方団体に対して交付すべき地方交付税の額の算定に用いる基準財政需要額は、第十一条の規定によつて算定した額に、次の表に掲げる経費の種類に係る測定単位の単位費用に次項の規定により算定した測定単位の数値を乗じて得た額を加算した額とする。
経費の種類 |
測定単位 |
単位費用 |
|
石油コンビナート等特別防災区域に係る緑地等の設置のための地方債償還費 |
石油コンビナート等特別防災区域に係る緑地等の設置のための事業費の財源に充てるため発行を許可された地方債に係る元利償還金 |
円 |
銭 |
千円につき 五〇〇 |
〇〇 |
22 前項の測定単位の数値は、次の表の上欄に掲げる算定の基礎により同表の下欄に掲げる表示単位に基づいて、自治省令で定めるところにより算定する。
測定単位の算定の基礎 |
表示単位 |
石油コンビナート等特別防災区域に係る緑地等の設置のための事業費の財源に充てるため発行を許可された地方債で石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)第三十六条第二項の規定により自治大臣が指定したものに係る当該年度における元利償還金 |
千円 |
5 前項の規定による改正後の地方交付税法附則第二十一項及び第二十二項の規定は、昭和五十一年度分の地方交付税から適用する。
(消防施設強化促進法の一部改正)
6 消防施設強化促進法(昭和二十八年法律第八十七号)の一部を次のように改正する。
附則第二項中「政令で定めるもの」を「政令で定めるもの(次項の規定の適用があるものを除く。)」に改め、同項の次に次の一項を加える。
3 当分の間、石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)第二条第二号に規定する石油コンビナート等特別防災区域(以下「特別防災区域」という。)の所在する市町村のうち政令で定める市町村が、当該特別防災区域の指定のあつた日の属する年度からその日から三年を経過する日の属する年度までの各年度に当該特別防災区域に係る災害の防止のために配置する消防施設で政令で定めるものに係る第四条第一項の規定の適用については、同項中「三分の一」とあるのは、「二分の一」とする。
7 前項の規定による改正後の消防施設強化促進法附則第二項及び第三項の規定は、昭和五十一年度分の予算に係る国の補助金から適用する。
(消防組織法の一部改正)
8 消防組織法(昭和二十二年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第四条中第二十二号を第二十三号とし、第二十一号の次に次の一号を加える。
二十二 石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)の施行に関する事項
(自治省設置法の一部改正)
9 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項中第三十五号を第三十六号とし、第三十四号の四の次に次の一号を加える。
三十五 石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)の施行に関する事務を行うこと。
(通商産業省設置法の一部改正)
10 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように政正する。
第四条第一項第三十号の二の次に次の一号を加える。
三十の三 石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)の規定に基づき、事業所に対して、災害の防止に関し、指示し、又は命令をすること。
第九条の二第八号の次に次の一号を加える。
八の二 石油コンビナート等災害防止法の施行に関する事務で通商産業省の所掌に属するものを処理すること。
(大蔵・通商産業・建設・自治・内閣総理大臣署名)