海洋水産資源開発促進法
法律第六十号(昭四六・五・一七)
目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 海洋水産資源の開発を図るための基本方針(第三条・第四条)
第三章 沿岸海域における海洋水産資源の開発等(第五条―第十二条)
第四章 海洋水産資源開発センター
第一節 総則(第十三条―第二十一条)
第二節 設立(第二十二条―第二十六条)
第三節 管理(第二十七条―第三十四条)
第四節 業務(第三十五条―第三十七条)
第五節 財務及び会計(第三十八条―第四十五条)
第六節 監督(第四十六条・第四十七条)
第七節 雑則(第四十八条―第五十条)
第五章 補則(第五十一条―第五十三条)
第六章 罰則(第五十四条―第五十七条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、沿岸海域における水産動植物の増殖及び養殖を計画的に推進するための措置を定めるとともに、海洋水産資源の開発を図るための調査等を行なうことを目的とする海洋水産資源開発センターの制度を確立すること等により、海洋水産資源の開発及び利用の合理化を促進し、もつて漁業の健全な発展と水産物の供給の安定に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「海洋水産資源の開発」とは、水産動植物の増殖若しくは養殖又は新漁場における漁業生産の企業化により海洋における漁業生産の増大を図ることをいう。
第二章 海洋水産資源の開発を図るための基本方針
(海洋水産資源の開発を図るための基本方針の作成)
第三条 農林大臣は、政令で定めるところにより、海洋水産資源の開発を図るための基本方針(以下「開発基本方針」という。)を定めなければならない。
2 開発基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 沿岸海域における水産動植物の増殖及び養殖の推進に関する次の事項
イ 増殖又は養殖を推進することが適当な水産動植物の種類及び当該種類の水産動植物の増殖又は養殖による漁業生産の増大の目標
ロ 増殖又は養殖を推進することが適当な水産動植物の種類ごとの増殖又は養殖に適する自然的条件に関する基準
ハ イの目標を達成するために必要な漁業生産の基盤の整備及び開発並びに施設の整備に関する基本的な事項
二 海洋の新漁場における漁業生産の企業化の促進に関する次の事項
イ 新漁場における漁業生産の企業化による漁業生産の増大の目標
ロ 漁業生産の企業化を促進することが適当な新漁場の予定海域
三 その他海洋水産資源の開発に関する重要事項
3 開発基本方針は、水産物の需要及び生産の動向に即するとともに、漁業に関する技術の進歩等の状況を考慮して定めるものとする。
4 農林大臣は、開発基本方針を定めようとするときは、中央漁業調整審議会の意見をきかなければならない。
5 農林大臣は、開発基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(開発基本方針の変更)
第四条 農林大臣は、水産物の需給事情の変動その他情勢の推移により必要が生じたときは、開発基本方針を変更するものとする。
2 前条第四項及び第五項の規定は、開発基本方針の変更について準用する。
第三章 沿岸海域における海洋水産資源の開発等
(沿岸水産資源開発区域の指定)
第五条 都道府県は、その沿岸海域のうち、その自然的条件が開発基本方針において定められた第三条第二項第一号ロの自然的条件に関する基準に適合する一定の区域で、その区域内において漁業を営む者の経営の状況、その区域内の海域の利用状況等からみて、水産動植物の増殖又は養殖を推進することにより漁業生産の増大を図ることが相当と認められるものを、沿岸水産資源開発区域(以下「開発区域」という。)として指定することができる。
2 港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第三項に規定する港湾区域(同条第二項に規定する地方港湾で農林大臣が運輸大臣と協議して指定するものに係るものを除く。)又は同法第五十六条第一項の規定により都道府県知事が公告した水域(農林大臣が運輸大臣と協議して指定するものを除く。)については、海洋水産資源の開発の促進上特別の必要がある場合において、港湾管理者又は当該水域を管理する都道府県知事と協議がととのつたときに限り、前項の規定による開発区域の指定をすることができる。
3 都道府県は、開発区域を指定しようとするときは、関係市町村の意見をきくとともに、農林大臣に協議しなければならない。
4 農林大臣は、前項の規定による協議に応じようとするときは、関係行政機関の長の意見をきかなければならない。
5 開発区域の指定は、農林省令で定めるところにより、公告してしなければならない。
6 都道府県は、開発区域を指定したときは、遅滞なく、その旨を関係市町村に通知しなければならない。
(開発区域の区域の変更等)
第六条 都道府県は、水産物の需給事情の変動、船舶の航行状況の変化その他情勢の推移により必要が生じたときは、その指定に係る開発区域の区域を変更し、又はその指定を解除することができる。
2 前条第二項から第六項までの規定は開発区域の区域の変更について、同条第三項、第五項及び第六項の規定は開発区域の指定の解除について準用する。
(沿岸水産資源開発計画の作成)
第七条 都道府県は、開発区域を指定したときは、遅滞なく、当該開発区域について、水産動植物の増殖又は養殖を推進して漁業生産の増大を図るため、沿岸水産資源開発計画(以下「開発計画」という。)を定めなければならない。
2 開発計画においては、次に掲げる事項を定めるものとし、その内容は、開発基本方針の内容に即するものでなければならない。
一 増殖又は養殖を推進しようとする水産動植物の種類及び当該種類の水産動植物の増殖又は養殖による漁業生産の増大の目標
二 前号の目標を達成するために必要な次の事項
イ 水産動植物の種苗の確保、放流又は播植に関する事項
ロ 漁業生産の基盤の整備及び開発並びに施設の整備に関する事項
ハ 水産動植物の生育環境の保全に関する事項
三 その他第一号の水産動植物の増殖又は養殖の推進に関し必要な事項
3 都道府県は、開発計画を定めようとするときは、関係市町村の意見をきかなければならない。
4 都道府県は、開発計画を定めたときは、遅滞なく、その概要を公表しなければならない。
(開発計画の変更)
第八条 都道府県は、開発区域の区域の変更により、又は水産物の需給事情の変動その他情勢の推移により必要が生じたときは、開発計画を変更することができる。
2 前条第三項及び第四項の規定は、開発計画の変更について準用する。
(開発区域における行為の届出等)
第九条 開発区域内において、次の各号に掲げる行為をしようとする者(国の機関、都道府県その他政令で定める者(以下「国の機関等」という。)を除く。)は、農林省令で定めるところにより、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
一 海底の掘削その他海底の形質の変更(海面の埋立て、干拓及び政令で定めるその他のものを除く。)
二 前号に掲げるもののほか、当該開発区域に係る開発計画の達成に支障を及ぼすおそれのある行為で、政令で定めるもの
2 都道府県知事は、開発計画の達成を図るため必要があると認めるときは、開発区域内において、前項各号に掲げる行為をし、若しくはしようとする者又は海面の埋立て若しくは干拓をする者に対して、必要な勧告をすることができる。ただし、国の機関等に対しては、この限りでない。
3 国の機関等は、開発区域内において第一項各号に掲げる行為をしようとするときは、都道府県知事にその旨を通知しなければならない。
(水質汚濁等の監視)
第十条 都道府県知事は、開発計画の達成を図るため、開発区域及びその周辺の水域における水質その他の水の状態及び水底の底質の悪化(以下「水質汚濁等」という。)の状況を監視するように努めるものとする。
(国及び都道府県の援助等)
第十一条 国及び都道府県は、開発区域における水質汚濁等の防止のために必要な措置を講ずるように努めるほか、開発計画の達成のために必要な助言、指導その他の援助を行なうように努めるものとする。
2 国及び都道府県は、海洋水産資源の開発を促進するため、優良な水産動植物の種苗の供給の円滑化に努めるとともに、水産動植物の増殖又は養殖に関する技術の開発及び普及に努めるものとする。
(指定海域における行為の届出等)
第十二条 開発区域以外の一定の海域で、海底の地形、海流、餌料生物の分布その他の自然的条件がすぐれているため漁場としての効用が高く、かつ、漁業生産において重要な地位を占める海域として政令で指定するもの(以下「指定海域」という。)において、漁場としての効用を著しく低下させ、又は喪失させるおそれがある海底の掘削、工作物の設置その他の行為で政令で定めるもの(以下「特定行為」という。)をしようとする者(国の機関等を除く。)は、農林省令で定めるところにより、当該指定海域を管轄する都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
2 指定海域を管轄する都道府県知事は、当該指定海域の漁場としての効用を保全するため必要があると認めるときは、当該指定海域において特定行為をし、又はしようとする者(国の機関等を除く。)に対して、必要な勧告をすることができる。
3 国の機関等は、指定海域において特定行為をしようとするときは、当該指定海域を管轄する都道府県知事にその旨を通知しなければならない。
4 政府は、指定海域を指定する場合において、当該指定海域の区域が二以上の都道府県知事の管轄に属し、又はその管轄が明確でないときは、その指定に係る第一項の政令において、当該指定海域を管轄する行政庁を農林大臣とする旨をあわせて定めなければならない。この場合においては、前三項の規定中「都道府県知事」とあるのは、「農林大臣」とする。
5 農林大臣は、第一項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、中央漁業調整審議会の意見をきかなければならない。
第四章 海洋水産資源開発センター
第一節 総則
(目的)
第十三条 海洋水産資源開発センターは、海洋水産資源の開発を図るための調査並びに情報又は資料の収集及び提供等の業務を行なうことを目的とする。
(法人格)
第十四条 海洋水産資源開発センター(以下「開発センター」という。)は、法人とする。
(数)
第十五条 開発センターは、一を限り、設立されるものとする。
(資本金)
第十六条 開発センターの資本金は、その設立に際し、政府及び政府以外の者が出資する額の合計額とする。
2 開発センターは、必要があるときは、農林大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。
3 政府は、予算の範囲内において、開発センターに出資することができる。
(持分の払戻し等の禁止)
第十七条 開発センターは、出資者に対し、その持分を払い戻すことができない。
2 開発センターは、出資者の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
(持分の譲渡等)
第十八条 政府以外の出資者は、その持分を譲渡することができる。
2 政府以外の出資者の持分の移転は、取得者の氏名又は名称及びその住所を出資者原簿に記載した後でなければ、これをもつて開発センターその他の第三者に対抗することができない。
(名称)
第十九条 開発センターは、その名称中に海洋水産資源開発センターという文字を用いなければならない。
2 開発センターでない者は、その名称中に海洋水産資源開発センターという文字を用いてはならない。
(登記)
第二十条 開発センターは、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(民法の準用)
第二十一条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、開発センターについて準用する。
第二節 設立
(発起人)
第二十二条 開発センターを設立するには、海洋水産資源の開発について学識経験を有する者十五人以上が発起人となることを必要とする。
2 発起人は、定款及び事業計画書を作成し、政府以外の者に対し開発センターに対する出資を募集しなければならない。
3 前項の事業計画書に記載すべき事項は、農林省令で定める。
(設立の認可)
第二十三条 発起人は、前条第二項の募集が終わつたときは、定款及び事業計画書を農林大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。
第二十四条 農林大臣は、前条の規定による認可の申請があつた場合において、申請の内容が次の各号の一に該当せず、かつ、その業務が健全に行なわれ、海洋水産資源の開発に寄与することが確実であると認められるときは、設立の認可をしなければならない。
一 設立の手続又は定款若しくは事業計画書の内容が法令に違反するとき。
二 定款又は事業計画書に虚偽の記載があり、又は記載すべき事項の記載が欠けているとき。
(事務の引継ぎ)
第二十五条 設立の認可があつたときは、発起人は、遅滞なく、その事務を開発センターの理事長となるべき者に引き継がなければならない。
2 開発センターの理事長となるべき者は、前項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政府及び出資の募集に応じた政府以外の者に対し、出資金の払込みを求めなければならない。
(設立の登記)
第二十六条 開発センターの理事長となるべき者は、前条第二項の規定による出資金の払込みがあつたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
2 開発センターは、設立の登記をすることによつて成立する。
第三節 管理
(定款記載事項)
第二十七条 開発センターの定款には、次の事項を記載しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 資本金、出資及び資産に関する事項
五 役員の選任方法その他の役員に関する事項
六 評議員会に関する事項
七 業務及びその執行に関する事項
八 財務及び会計に関する事項
九 定款の変更に関する事項
十 公告の方法
十一 設立当初の役員
2 開発センターの定款の変更は、農林大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(役員)
第二十八条 開発センターに、役員として理事長一人、理事三人以内及び監事一人を置く。
2 開発センターに、役員として、前項の理事のほか、非常勤の理事三人以内を置くことができる。
3 役員の選任は、農林大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(役員の職務及び権限)
第二十九条 理事長は、開発センターを代表し、その業務を総理する。
2 理事は、定款で定めるところにより、理事長を補佐して開発センターの業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行なう。
3 監事は、開発センターの業務を監査する。
(役員の兼職禁止)
第三十条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、農林大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
(代表権の制限)
第三十一条 開発センターと理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事が開発センターを代表する。
(評議員会)
第三十二条 開発センターに、その運営に関する重要事項を審議する機関として、評議員会を置く。
2 評議員会は、評議員二十人以内で組織する。
3 評議員は、海洋水産資源の開発について学識経験を有する者のうちから、農林大臣の認可を受けて、理事長が任命する。
(職員の任命)
第三十三条 開発センターの職員は、理事長が任命する。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第三十四条 開発センターの役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第四節 業務
(業務)
第三十五条 開発センターは、第十三条の目的を達成するため、次の業務を行なう。
一 海洋の新漁場における漁業生産の企業化のための調査を行なうこと。
二 海洋水産資源の開発に関する情報又は資料を収集し、及び提供すること。
三 前二号の業務に附帯する業務
四 前三号に掲げるもののほか、第十三条の目的を達成するため必要な業務
2 開発センターは、前項に規定する業務のほか、委託を受けて、海洋水産資源に関する生物学的調査を行なうことができる。
3 開発センターは、第一項第四号に掲げる業務を行なおうとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。
(業務方法書)
第三十六条 開発センターは、業務開始の際、業務方法書を作成し、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、農林省令で定める。
(調査結果の公表等)
第三十七条 開発センターは、海洋の新漁場における漁業生産の企業化のための調査について、農林省令で定めるところにより、当該調査の結果を農林大臣に報告するとともに、その概要を公表しなければならない。
第五節 財務及び会計
(事業年度)
第三十八条 開発センターの事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(予算等の認可)
第三十九条 開発センターは、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(財務諸表)
第四十条 開発センターは、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に農林大臣に提出して、その承認を受けなければならない。
2 開発センターは、前項の規定により財務諸表を農林大臣に提出するときは、これに、予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添附しなければならない。
(書類の送付)
第四十一条 開発センターは、第三十九条の認可又は前条第一項の承認を受けたときは、当該認可又は承認に係る予算、事業計画及び資金計画に関する書類又は財務諸表を政府以外の出資者に送付しなければならない。
(利益及び損失の処理)
第四十二条 開発センターは、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 開発センターは、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(借入金)
第四十三条 開発センターは、農林大臣の認可を受けて、短期借入金をすることができる。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、農林大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
(給与及び退職手当の支給の基準)
第四十四条 開発センターは、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、農林大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(農林省令への委任)
第四十五条 この法律に規定するもののほか、開発センターの財務及び会計に関し必要な事項は、農林省令で定める。
第六節 監督
(報告及び検査)
第四十六条 農林大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、開発センターに対し、その業務に関し報告をさせ、又はその職員に、開発センターの事務所その他の事業所(開発センターが借り入れてその業務の用に供している船舶を含む。)に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係者にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(監督命令等)
第四十七条 農林大臣は、前条第一項の規定により報告をさせ、又は検査を行なつた場合において、開発センターの業務又は会計が法令若しくはこれに基づく農林大臣の処分又は定款若しくは業務方法書に違反すると認めるときは、開発センターに対して、この法律の目的を達成するため必要な限度において、役員の解任、定款又は業務方法書の変更その他必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
2 農林大臣は、開発センターが前項の規定による命令に従わなかつたときは、その役員を解任することができる。
第七節 雑則
(出資者原簿)
第四十八条 開発センターは、出資者原簿を備えて置かなければならない。
2 出資者原簿には、各出資者について次の事項を記載しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 出資の引受け及び出資金の払込みの年月日
三 出資額
3 政府以外の出資者は、出資者原簿の閲覧を求めることができる。
(解散)
第四十九条 開発センターは、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、これを各出資者に対し、その出資額に応じて分配しなければならない。
2 前項の規定により各出資者に分配することができる金額は、その出資額を限度とする。
3 前二項に規定するもののほか、開発センターの解散については、別に法律で定める。
(大蔵大臣との協議)
第五十条 農林大臣は、次の各号に掲げる場合には、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第十六条第二項、第三十五条第三項、第三十六条第一項、第三十九条又は第四十三条第一項若しくは第二項ただし書の認可をしようとするとき。
二 第三十六条第二項又は第四十五条の農林省令を定めようとするとき。
三 第四十条第一項又は第四十四条の承認をしようとするとき。
第五章 補則
(漁場の効用の低下等の防止に関する措置の要請)
第五十一条 農林大臣は、工場又は事業場からの排出水の排出その他の行為に起因して海洋における漁場の効用が著しく低下し、又は喪失するおそれがあると認められるときは、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対し、水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)その他の法令の規定に基づきその防止のために必要な措置をとるべきことを要請することができる。
(関係行政機関等の協力)
第五十二条 農林大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対し、必要な資料又は情報の提供、意見の開陳その他の協力を求めることができる。
2 都道府県知事は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対し、必要な資料の提供その他の協力を求め、又は海洋水産資源の開発及び利用の合理化に関し意見を述べることができる。
(適用除外)
第五十三条 この法律の規定は、放射性物質による水質汚濁等及びその防止については、適用しない。
第六章 罰則
第五十四条 第四十六条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした開発センターの役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
第五十五条 第四十六条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、三万円以下の罰金に処する。
第五十六条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした開発センターの役員は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定により農林大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第二十条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠つたとき。
三 第三十五条第一項及び第二項に規定する業務以外の業務を行なつたとき。
第五十七条 次の各号の一に該当する者は、一万円以下の過料に処する。
一 第九条第一項又は第十二条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第十九条第二項の規定に違反した者
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(経過規定)
第二条 この法律の施行の際現にその名称中に海洋水産資源開発センターという文字を用いている者については、第十九条第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第三条 開発センターの最初の事業年度は、第三十八条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。
第四条 開発センターの最初の事業年度の予算、事業計画及び資金計画については、第三十九条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「開発センターの成立後遅滞なく」とする。
(所得税法の一部改正)
第五条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中学校法人(私立学校法第六十四条第四項(各種学校)の規定により設立された法人を含む。)の項の前に次のように加える。
海洋水産資源開発センター |
海洋水産資源開発促進法(昭和四十六年法律第六十号) |
(法人税法の一部改正)
第六条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第二第一号の表中学校法人(私立学枚法第六十四条第四項(各種学校)の規定により設立された法人を含む。)の項の前に次のように加える。
海洋水産資源開発センター |
海洋水産資源開発促進法(昭和四十六年法律第六十号) |
(地方税法の一部改正)
第七条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第六号中「及び日本勤労者住宅協会」を「、海洋水産資源開発センター及び日本勤労者住宅協会」に改める。
(農林省設置法の一部改正)
第八条 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第七十三条第一項中「保護培養」を「保護培養及び開発促進」に改める。
第七十七条第七号を次のように改める。
七 水産資源の保護培養及び開発促進に関すること。(調査研究部の所掌に属することを除く。)
第八十条に次の一号を加える。
四 海洋水産資源開発センターの指導監督及び助成を行なうこと。
(大蔵・農林・自治・内閣総理大臣署名)