塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法
法律第四十七号(昭四六・四・一六)
(目的)
第一条 この法律は、塩業の経済的諸条件の変化に対処して、新技術による塩の製造方法への転換を基本にその近代化を促進するため、塩業整理交付金の交付に関する措置等を講ずることにより、塩田等の整理を行なうとともに塩の価格の国際水準へのさや寄せを図り、もつて塩業の自立化のための基盤を醸成することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 塩、かん水、再製又は加工 それぞれ塩専売法(昭和二十四年法律第百十二号)第一条第一項、第二項、第三項又は第四項に規定する塩、かん水、再製又は加工をいう。
二 塩又はかん水の製造者 塩専売法第六条第一項の許可を受けて塩又はかん水を製造する者のうち、塩以外の物を製造する過程において副産物として塩を製造する者(以下「副産塩製造者」という。)その他政令で定める者以外の者をいう。
三 塩の製造者 塩専売法第六条第一項の許可を受けて塩を製造する者のうち、副産塩製造者その他政令で定める者以外の者をいう。
四 塩元売人 塩専売法第二十四条第一項の指定を受けた塩の元売人をいう。
(交付金の交付)
第三条 日本専売公社(以下「公社」という。)は、次に掲げる者(以下「廃止業者等」という。)に対し、塩業整理交付金(以下「交付金」という。)を交付することができる。
一 昭和四十五年十二月一日から昭和四十六年十二月三十一日までの間に塩専売法第十二条第一項の許可を申請した塩又はかん水の製造者で、当該許可を受けて公社の指定する日までに塩又はかん水の製造を廃止したもの(その者が死亡し、又は合併により解散した場合には、その相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人)
二 この法律の施行の日(以下「適用日」という。)から昭和四十六年十二月三十一日までの間に塩専売法第六条第三項の許可を申請した塩の製造者で、当該許可を受けて公社の指定する日までにその者の製造場のうち塩田(堤防により海面から区分された土地でかん水の製造の用に供されるものをいう。)の部分におけるかん水の製造を廃止したもの(その者が合併により解散した場合には、その合併後存続する法人又は合併により設立された法人)
(交付金の額)
第四条 前条第一号に掲げる者に対する交付金の額は、その交付を受けるべき者の同号の製造の廃止の際に当該製造の用に供されている製塩施設の当該廃止による減価をうめるための費用、当該廃止に伴つて必要とされる退職金を支払うための費用及び当該廃止に係る転廃業を助成するための費用で政令で定めるものについて、それぞれ政令で定める算定基準により算定した金額の合計額(同号に掲げる者のうち昭和四十五年十二月一日から昭和四十六年二月二十八日までの間に塩専売法第十二条第一項の許可を申請した塩又はかん水の製造者で、当該許可を受けて公社の指定する日までに塩又はかん水の製造を廃止し、かつ、昭和四十五年度の公社の予算に基づいて公社の定める塩業整理に関する補助金の交付を受けたもの(次条第一項において「昭和四十五年度廃止業者」という。)については、その受けた額を控除した金額)とする。
2 前条第二号に掲げる者に対する交付金の額は、その交付を受けるべき者の同号の製造の廃止の際に当該製造の用に供されている製塩施設の当該廃止による減価をうめるための費用、当該廃止に伴つて必要とされる退職金を支払うための費用その他政令で定める事項について、それぞれ政令で定める算定基準により算定した金額の合計額とする。
3 前二項に規定するもののほか、これらの項に規定する製塩施設の範囲及び減価の算定方法その他交付金の額の算定に関し必要な事項は、政令で定める。
(交付金の請求及び交付の手続)
第五条 第三条の規定に基づき交付金の交付を受けようとする者は、政令で定めるところにより、公社に対し、あらかじめ届け出た製造の廃止の日(昭和四十五年度廃止業者については、適用日)から一月以内に、塩業整理交付金交付請求書(以下この条において「請求書」という。)を提出しなければならない。
2 公社は、特にやむを得ない理由があると認めるときは、政令で定めるところにより、請求書の提出期限を延期することができる。
3 公社は、請求書が提出されたときは、これを審査し、交付金を交付すべきであると認めるときは、その交付すべき交付金の額を決定し、これを当該請求書を提出した者に通知しなければならない。
4 公社は、特に必要があると認めるときは、前項の規定により交付金の額を決定する前に、概算見積りにより、政令で定める金額の範囲内において、その一部を同項に規定する者に交付することができる。
(納付金)
第六条 塩の製造者(塩専売法第二十条の規定により製造者とみなされる者を除く。)は、交付金の交付に係る費用の一部をうめるため、昭和四十七年四月一日から昭和五十年三月三十一日までの間に公社に納付する塩(同法第十四条第四項の規定により納付があつたものとみなされる塩を含む。)について、一トンにつき七百円をこえない範囲内において政令で定める金額の納付金を、その収納代金の支払を受けるつど、公社に納付しなければならない。
2 公社は、前項の納付金を納付すべき者に対して支払う塩の収納代金から、支払のつど、その塩に係る納付金に相当する金額を控除することができる。
(課税の特例)
第七条 廃止業者等が交付金(第四条第一項に規定する補助金を含む。)の交付を受けた場合(当該交付金の交付の目的に応じ廃止業者等を通じて他の者が支払を受けた場合を含む。)には、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、これらの者の所得税又は法人税を軽減する。
(合理化目標価格)
第八条 公社は、第一条の目的を達成するため、塩の収納価格を昭和五十年度の始まる時期において輸入塩価格(輸入した塩を食料の用に供する塩とするため再製し又は加工した場合の価格をいう。)の水準とすること及び段階的にこれに近づけることを旨として、適用日から一月以内に、昭和四十六年度から昭和五十年度までの各年度における塩の収納価格に係る合理化目標価格(以下「目標価格」という。)を定めるものとし、これらの各年度において塩専売法第五条第二項の規定により塩の収納価格を定めるときは、目標価格を基準とし、その他の経済事情を参酌してこれを決定するものとする。
2 公社は、目標価格を定めたときは、遅滞なく、これを公告しなければならない。
(事業近代化計画書等)
第九条 塩の製造者のうち昭和四十七年一月一日以後引き続いて塩を製造しようとするものは、公社の定めるところにより、事業近代化計画書(以下この条において「計画書」という。)を作成して、これを公社に提出しなければならない。
2 計画書は、目標価格により塩の収納代金を受けるものとした場合に、健全な経営をすることができることを目標として、作成するものとする。
3 公社は、第一項に規定する者で塩専売法第六条第三項の許可を申請するものについては、その者に係る計画書の内容が製造の方法、製造能力その他の事項について公社の定める基準に適合しており、かつ、その者がその計画書の内容を的確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有すると認めるときでなければ、当該許可をしてはならない。
4 公社は、当分の間、塩専売法第六条第一項の許可を申請する者(当該許可を受けて副産塩製造者となろうとする者その他政令で定める者を除く。)が同法第七条第一項各号に該当しない場合においても、その者の製造に係る塩又はかん水の製造原価の見積りが公社の定める基準に適合しないと認めるときは、当該許可をしないことができる。
(販売の特例等)
第十条 塩の製造者は、当分の間、塩専売法第二十三条第二項の規定にかかわらず、公社の許可を受けて、次に掲げる塩を塩元売人に販売することができる。
一 塩化ナトリウムの含有量が百分の九十九・五以上の塩
二 塩専売法第二十九条第一項に規定する化学製品の製造又は漁獲物の塩蔵の用に供される塩
三 添加物を混入した塩
四 その他政令で定める規格を有する塩
2 前項の許可を受けて販売することを目的として同項各号に掲げる塩を製造しようとする者は、公社の定めるところにより、公社の承認を受けなければならない。
3 第一項の許可を受けようとする者は、その者が販売しようとする同項各号に掲げる塩につき、その規格、数量、販売先その他公社の定める事項を記載した申請書を公社に提出して、申請しなければならない。当該許可を受けた事項を変更しようとするときも、同様とする。
4 公社は、第一項の許可を受けた者が当該許可に係る事項に違反したときは、当該許可を取り消すことができる。
5 塩元売人は、塩専売法第二十三条第三項及び第三十四条第一項の規定にかかわらず、塩の製造者からその製造した塩で第一項の許可があつたものを買い受け、又は他の塩元売人から当該塩を買い受け若しくは他の塩元売人に当該塩を販売することができる。
6 塩専売法第五条第一項、第十四条第一項及び第四十二条第一項の規定は、前項の塩については、適用しない。
(収納の特例)
第十一条 公社は、当分の間、前条第一項の許可があつた塩を除き、塩専売法第九条の規定により塩の製造数量を制限した場合には、同法第五条第一項の規定にかかわらず、その数量をこえない範囲内においてあらかじめ製造場ごとに割り当てた数量に限り、収納するものとする。
(大蔵省令への委任)
第十二条 この法律に規定するもののほか、この法律の実施のための手続その他その執行に関し必要な事項は、大蔵省令で定める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第十条及び第十一条の規定は、昭和四十七年四月一日から施行する。
2 塩業整備臨時措置法(昭和三十四年法律第八十一号)は、廃止する。
3 この法律の施行前に旧塩業整備臨時措置法の規定の適用を受けてされた処分については、なお従前の例による。
4 日本専売公社法(昭和二十三年法律第二百五十五号)の一部を次のように改正する。
第一条中「塩業整備臨時措置法(昭和三十四年法律第八十一号)」を「塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法(昭和四十六年法律第四十七号)」に改める。
第二十七条第一項第七号中「塩業整備臨時措置法」を「塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法」に改める。
(大蔵大臣臨時代理・内閣総理大臣署名)