行政相談委員法
法律第九十九号(昭四一・六・三〇)
(目的)
第一条 この法律は、国民の行政に関する苦情の解決の促進に資するため、苦情の相談に関する業務の委嘱について必要な事項を定め、もつて行政の民主的な運営に寄与することを目的とする。
(行政相談委員)
第二条 行政管理庁長官(以下「長官」という。)は、社会的信望があり、かつ、行政運営の改善について理解と熱意を有する者に、次の各号に規定する業務を委嘱することができる。
一 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する国の行政機関及び行政管理庁設置法(昭和二十三年法律第七十七号)第二条第十二号に規定する法人で政令で定めるもの(以下「行政機関等」と総称する。)の業務に関する苦情の相談に応じて、長官の定めるところに従い、申出人に必要な助言をし、及び行政管理庁又は当該関係行政機関等にその苦情を通知すること。
二 前号の規定により通知をした苦情に関して、行政機関等の照会に応じ、及び必要があると認める場合に当該行政機関等における処理の結果を申出人に通知すること。
2 前項の規定による委嘱は、その委嘱をしようとする者の担当する市(特別区を含む。附則第二項において同じ。)町村の区域を定め、かつ、二年以内の期間を限つてするものとする。
3 第一項の規定により委嘱を受けた者は、行政相談委員(以下「委員」という。)と称する。
(周知等)
第三条 長官は、前条第一項の規定による委嘱をしたときは、委員の氏名及び住所を関係住民に周知させるため適当な措置をとるものとする。
2 委員は、その業務に関し、啓発及び宣伝をするものとする。
(意見の陳述)
第四条 委員は、長官に対して、業務の遂行を通じて得られた行政運営の改善に関する意見を述べることができる。
(規律)
第五条 委員は、業務の遂行に際して知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その者が委員でなくなつた後も、同様とする。
2 委員は、その地位を政党又は政治的目的のために利用してはならない。
3 委員は、公平かつ適切にその業務を遂行しなければならない。
(解嘱)
第六条 長官は、委員が次の各号の一に該当すると認める場合には、第二条第一項の規定による委嘱を解くことができる。
一 心身の故障のため、業務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
二 業務を怠り、又は前条の規定に違反した場合
三 委員たるにふさわしくない非行があつた場合
(指導)
第七条 委員は、その業務に関して、長官の指導を受けるものとする。
(費用)
第八条 委員は、その業務に関して、国から報酬を受けない。
2 委員は、予算の範囲内において、その業務を遂行するために要する費用の支給を受けることができる。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和四十一年七月一日から施行する。
(最初の委員についての経過規定)
2 この法律の施行の際現に行政相談委員として長官の委嘱を受けている者は、第二条第一項の規定による委嘱を受けたものとみなす。この場合において、その者が担当する市町村の区域は、長官が定めるものとし、その委嘱の期間は、昭和四十二年三月三十一日までとする。
(行政管理庁設置法の一部改正)
3 行政管理庁設置法の一部を次のように改正する。
第二条第十三号の次に次の一号を加える。
十三の二 行政相談委員法(昭和四十一年法律第九十九号)の施行に関すること。
(内閣総理大臣署名)