首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律
法律第百十四号(昭四一・七・二)
(趣旨)
第一条 この法律は、首都圏の近郊整備地帯整備計画若しくは都市開発区域整備計画又は近畿圏の近郊整備区域建設計画若しくは都市開発区域建設計画の実施の円滑化を図り、首都圏及び近畿圏の建設の促進に資するために必要な国の財政上の特別措置を規定するものとする。
(定義)
第二条 この法律で「近郊整備地帯整備計画」又は「都市開発区域整備計画」とは、首都圏整備法(昭和三十一年法律第八十三号)第二十四条第一項又は第二十五条第一項の規定により指定された区域の整備に関する事項についての同法第二十一条第三項の整備計画をいう。
2 この法律で「近郊整備区域建設計画」又は「都市開発区域建設計画」とは、近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律(昭和三十九年法律第百四十五号)第三条の規定に基づいて内閣総理大臣が承認した建設計画で、近畿圏整備法(昭和三十八年法律第百二十九号)第十一条第一項又は第十二条第一項の規定により指定された区域に係るものをいう。
(地方債の利子補給等)
第三条 国は、近郊整備地帯整備計画若しくは都市開発区域整備計画又は近郊整備区域建設計画若しくは都市開発区域建設計画(以下「整備計画等」と総称する。)に基づいて関係都府県が国から負担金若しくは補助金の交付を受けて行ない、又は国が関係都府県に負担金を課して行なう事業のうち、次に掲げる施設の整備に係る事業(災害復旧に係るものを除く。)で政令で定めるもの(以下「特別整備事業」という。)について、政令で定めるところにより、当該事業の種類ごとに算定した当該都府県の通常の負担額をこえる負担額の支出の財源に充てるものとして、昭和四十一年度から昭和五十年度までの各年度において、当該都府県に地方債の発行を許可するものとする。
一 近郊整備地帯整備計画又は近郊整備区域建設計画(以下「近郊整備計画等」という。)に基づいて行なう事業に係る次に掲げる施設
イ 住宅
ロ 道路及び港湾
ハ その他政令で定める主要な施設
二 都市開発区域整備計画又は都市開発区域建設計画(以下「都市開発整備計画等」という。)に基づいて行なう事業に係る次に掲げる施設
イ 住宅
ロ 道路、港湾等の輸送施設
ハ その他政令で定める主要な施設
2 国は、前項の規定に基づき当該都府県が発行を許可された地方債で利率が年三分五厘をこえるものにつき、政令で定める基準により、年四分五厘の率を乗じて得た額を限度として、当該地方債の各年度分の利子支払額のうち、利率を年三分五厘として計算して得た額をこえる部分に相当する金額を、当該地方債の発行を許可された年度以後七年度内の各年度(その年度が昭和五十五年度以後となるときは、同年度まで)に限り、当該都府県(地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十四条の規定により算定した当該年度の基準財政収入額が同法第十一条の規定により算定した当該年度の基準財政需要額をこえる都府県を除く。)に補給するものとする。
(国の負担割合の特例)
第四条 整備計画等に基づいて昭和四十一年度から昭和五十年度までの各年度において関係市町村が国から負担金若しくは補助金の交付を受けて行ない、又は国が関係市町村に負担金を課して行なう事業のうち、次に掲げる施設の整備に係る事業(災害復旧に係るもの、当該事業に係る経費の全額を国が負担するもの及び当該事業に係る経費を当該市町村が負担しないものを除く。)で政令で定めるもの(以下「特定事業」という。)に係る経費に対する国の負担又は補助の割合(以下「国の負担割合」という。)は、次条に定めるところにより算定するものとする。
一 住宅
二 道路
三 下水道
四 教育施設及び厚生施設
五 その他近郊整備計画等又は都市開発整備計画等ごとに政令で定める主要な施設
第五条 特定事業に係る経費に対する国の負担割合は、関係市町村ごとに当該特定事業に係る経費に対する通常の国の負担割合に次の式により算定した数(小数点以下二位未満は、切り上げるものとする。以下「引上率」という。)を乗じて算定するものとする。
1+ |
( |
0.25× |
当該年度におけるすべての特定事業に係る当該市町村の負担額のうち、当該市町村の標準負担額をこえ、その2倍にいたるまでの額 |
) |
× |
||||
当該市町村の標準負担額 |
|||||||||
( |
0.7+0.3× |
0.72− |
当該市町村の財政力指数 |
… |
このかつこ内の計算をして得た数を「調整率」という。 |
) |
|||
0.72− |
すべての関係市町村のうち財政力指数が最低の関係市町村の財政力指数 |
2 前項の式において、次の各号に掲げる用語については、当該各号に定めるところによる。
一 当該市町村の標準負担額 当該市町村の当該年度の地方交付税法第十条の規定により算定した普通交付税の額、同法第十四条の規定により算定した基準財政収入額から同条の規定により算定した特別とん譲与税(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第七条第三項の市にあつては、特別とん譲与税、地方道路譲与税及び石油ガス譲与税。以下この項において同じ。)の収入見込額を控除した額の七十五分の百に相当する額及び当該特別とん譲与税の収入見込額の合算額の百分の十に相当する額(その区域の一部が整備計画等の対象となつている関係市町村にあつては、当該額を基礎として政令で定めるところにより算定した額)をいう。
二 財政力指数 地方交付税法第十四条の規定により算定した基準財政収入額を同法第十一条の規定により算定した基準財政需要額で除して得た数値で当該年度前三年度内の各年度に係るものを合算したものの三分の一の数値をいう。
三 調整率 その数値が〇・三に満たないときは、〇・三とする。
3 第一項の規定を適用した場合において、関係市町村の負担割合が百分の二十未満となるときは、同項の規定にかかわらず、当該特定事業に係る経費に対する関係市町村の負担割合が百分の二十となるように国の負担割合を定める。
4 自治大臣は、引上率を算定し、特定事業に係る事務を所掌する各省各庁の長(財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第二十条第二項に規定する各省各庁の長をいう。)、首都圏整備委員会委員長及び近畿圏整備長官並びに関係都府県知事及び関係市町村長に通知するものとする。
(他の特別法との関係等)
第六条 特別整備事業又は特定事業で新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律(昭和四十年法律第七十三号)第二条又は第三条の規定の適用を受けるものについては、この法律の規定は、適用しない。
2 関係市町村であつて地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)第三条第四項に規定する財政再建団体であるものに係る特定事業のうち、当該特定事業に係る経費について同法第十七条の規定により算定した国の負担割合(以下この項において「地方財政再建促進特別措置法による国の負担割合」という。)が当該特定事業に係る経費について前条の規定により算定した国の負担割合(以下この項において「この法律による国の負担割合」という。)をこえるものについては、同条の規定にかかわらず、同法第十七条の規定を適用し、地方財政再建促進特別措置法による国の負担割合がこの法律による国の負担割合をこえないものについては、同法第十七条の規定にかかわらず、前条の規定を適用する。
3 港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第四条第一項の規定による港務局は、この法律の適用については、地方公共団体とみなす。
(政令への委任)
第七条 第三条第二項の規定による利子の補給及び第四条の規定により通常の国の負担割合をこえて国が負担し又は補助することとなる額の交付、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十四条第一項の規定による一部事務組合及び同法第二百九十八条第一項の規定による地方開発事業団並びに港務局の行なう事業についてこの法律を適用するために必要な事項その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(適用)
2 第四条及び第五条の規定は、昭和四十一年度分の予算に係る国の負担金又は補助金から適用し、昭和四十年度分の予算に係る国の負担金又は補助金で翌年度に繰り越したものについては、なお従前の例による。
(自治省設置法の一部改正)
3 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第十三号の四の次に次の一号を加える。
十三の五 首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律(昭和四十一年法律第百十四号)の施行に関する事務を行なうこと。
第十二条中第十六号を第十七号とし、第十五号の次に次の一号を加える。
十六 首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の施行に関すること。
(内閣総理・大蔵・自治大臣署名)