果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律
法律第百四号(昭四一・七・一)
果樹農業振興特別措置法(昭和三十六年法律第十五号)の一部を次のように改正する。
題名の次に次の目次及び章名を附する。
目次
第一章 総則(第一条)
第二章 果樹農業振興基本方針等(第二条―第二条の四)
第三章 果樹園経営計画(第三条―第五条)
第四章 加工原料用果実の取引に関する取決め(第五条の二―第五条の四)
第五章 雑則(第六条―第十三条)
第六章 罰則(第十四条)
附則
第一章 総則
第一条中「その生産の安定と拡大を図るため、」を「その生産の計画的かつ安定的な拡大を図るための措置及びこれに関連して」に、「これに」を「これらに」に改め、同条の次に次の章名を附する。
第二章 果樹農業振興基本方針等
第二条を次のように改める。
(果樹農業振興基本方針)
第二条 農林大臣は、政令で定めるところにより、果樹農業の振興を図るための基本方針(以下「果樹農業振興基本方針」という。)を定めなければならない。
2 果樹農業振興基本方針には、主要な種類の果樹として政令で定めるもの(以下「果樹」という。)につき、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 果実の需要の長期見通しに即した植栽及び果実の生産の目標
二 植栽に適する自然的条件に関する基準
三 近代的な果樹園経営の基本的指標
四 果実の流通及び加工の合理化に関する基本的な事項
五 その他果樹農業の振興に関する重要事項
3 農林大臣は、果樹農業振興基本方針を定めようとするときは、果樹農業振興審議会の意見をきかなければならない。
4 農林大臣は、果樹農業振興基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
第二条の次に次の三条を加える。
(果樹農業振興基本方針の変更)
第二条の二 農林大臣は、果実の需給事情、農業事情その他の経済事情の変動により必要があるときは、果樹農業振興基本方針を変更するものとする。
2 前条第三項及び第四項の規定は、果樹農業振興基本方針の変更について準用する。
(都道府県の果樹農業振興計画)
第二条の三 都道府県知事は、政令で定めるところにより、当該都道府県における果樹農業の振興を図るための計画(以下「果樹農業振興計」という。)を定めることができる。
2 果樹農業振興計画には、当該都道府県における主要な種類の果樹につき、次に掲げる事項を定めるものとし、その内容は、果樹農業振興基本方針の内容に即するものでなければならない。
一 植栽及び果実の生産の目標
二 その区域の自然的経済的条件に応ずる近代的な果樹園経営の指標
三 土地改良その他生産基盤の整備に関する事項
四 果実の集荷、貯蔵又は販売の共同化その他果実の流通の合理化に関する事項
五 果実の加工の合理化に関する事項
六 その他必要な事項
3 都道府県知事は、前項の主要な種類の果樹のうちに、その果実につき、生産の安定的な拡大を図り及び流通の合理化を推進することが特に必要であり、かつ、そのためには広域の濃密生産団地を計画的に形成することが適当であると認められるものがあるときは、果樹農業振興計画において、当該種類の果樹についてのその広域の濃密生産団地の形成に関する方針を明らかにするとともに、その方針に即して同項各号に掲げる事項を定めるものとする。
4 都道府県知事は、果樹農業振興計画を定めようとするときは、果樹農業に関し学識経験を有する者の意見をきかなければならない。
5 都道府県知事は、果樹農業振興計画を定めたときは、遅滞なく、これを農林大臣に提出するとともに、その概要を公表しなければならない。
(果樹農業振興計画の変更)
第二条の四 前条第四項及び第五項の規定は、果樹農業振興計画の変更について準用する。
第三条第一項第一号中「果樹(政令で定める果樹に限る。以下同じ。)の集団的な栽培に供される土地」を「第二条の三第五項の規定による提出があつた果樹農業振興計画に係る都道府県の区域内にある土地で果樹の集団的な栽培に供されるもの」に改め、同条第三項中「昭和四十一年三月三十一日」を「昭和五十一年三月三十一日」に改め、同条の前に次の章名を附する。
第三章 果樹園経営計画
第四条中「当該計画」を「当該果樹園経営計画」に改め、同条第一号中「農林省令で定める基準」を「農林大臣の定める基準」に改め、同条第三号中「前条第二項第四号の計画が果実の需給事情に照らし」を「前号に規定するもののほか、当該果樹園経営計画が果樹農業振興計画の内容に照らし」に改める。
第五条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 公庫が前項に規定する者に対し同項の資金のうち果樹を植栽するため農地とする土地の取得(その取得に当たつて、その土地の農業上の利用を増進するため防風林、道路、水路、ため池等として利用する必要がある土地をあわせて取得する場合におけるその土地の取得を含む。)に必要な資金で農林漁業金融公庫法第十八条第一項第一号の二に掲げるものの貸付けを行なう場合における貸付金の据置期間は、同条第三項の規定にかかわらず、十年以内において公庫が定めるものとする。
第五条の次に次の一章を加える。
第四章 加工原料用果実の取引に関する取決め
(取決め)
第五条の二 果実(その流通及び加工の合理化を図ることが特に必要であると認められる果樹の果実であつて政令で定めるものに限る。以下この項において同じ。)の生産者がその構成員となつている農業協同組合その他果実の販売事業を行なう者(その組織する団体を含む。)及び果実を原料として使用する加工又は製造の事業(以下「果実加工業」という。)を行なう者は、その双方又はいずれか一方がそれぞれ共同して、締結の日の二十日前までに農林大臣に届け出て、果実の売買に係る数量、価格又は取引方法について、取決めを締結することができる。
2 農林大臣は、前項の規定による届出があつた場合において、届出に係る取決めが次の各号に適合するものでないと認めるときは、その取決めの締結前に、その取決めを締結しようとする者に対し、その取決めの変更を命じ、又はその締結を禁止しなければならない。
一 果樹農業又は果実加工業の健全な発展に支障を与えるものでないこと。
二 不当に差別的でないこと。
三 その取決めに参加し、又はその取決めから脱退することを不当に制限しないこと。
四 一般消費者の利益を不当に害するおそれがないこと。
3 農林大臣は、第一項の規定による届出に係る取決めが前項各号に適合するものでなくなつたと認めるときは、その取決めを締結している者に対し、その変更又は廃止を命じなければならない。
4 第一項の規定による届出に係る取決めを締結している者は、その取決めを廃止したときは、遅滞なく、その旨を農林大臣に届け出なければならない。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外)
第五条の三 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定は、前条第一項の規定による届出に係る取決め及びこれに基づいてする行為には、適用しない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 不公正な取引方法を用いるとき。
二 前条第二項又は第三項の規定による処分に違反したとき。
三 次条第三項の規定による公示があつた後一月を経過したとき。(同条第二項の規定による請求に応じ、前条第二項又は第三項の規定による処分があつた場合を除く。)
(公正取引委員会等との関係)
第五条の四 農林大臣は、第五条の二第一項若しくは第四項の規定による届出を受理し、又は同条第二項若しくは第三項の規定による処分をしたときは、遅滞なく、公正取引委員会及び関係都道府県知事にその旨を通知しなければならない。
2 公正取引委員会は、第五条の二第一項の規定による届出に係る取決めが同条第二項第二号から第四号までの各号に適合せず、又は同項第二号から第四号までの各号に適合するものでなくなつたと認めるときは、農林大臣に対し、同項又は同条第三項の規定による処分をすべき旨を請求することができる。
3 公正取引委員会は、前項の規定による請求をしたときは、遅滞なく、その旨を官報に公示しなければならない。
第六条の前に次の章名を附する。
第五章 雑則
第七条の次に次の二条を加える。
(果樹農業振興基本方針等と果樹農業の振興に関する施策)
第七条の二 国及び都道府県は、果樹農業の振興に関する施策を実施するに当たつては、国にあつては果樹農業振興基本方針、都道府県にあつては果樹農業振興計画に即してしなければならない。
(消費の拡大及び輸出の振興)
第七条の三 国は、果樹農業の健全な発展に資するため、果実及び果実製品の消費の拡大及び輸出の振興に関し必要な施策を積極的に行なうように努めるものとする。
第十三条の次に次の章名を附する。
第六章 罰則
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 改正後の第三条第一項及び第四条の規定は、昭和四十三年四月一日以後にされた果樹園経営計画の認定の請求及び当該請求に係る認定について適用し、同日前にされた果樹園経営計画の認定の請求及び当該請求に係る認定については、改正前の第三条第一項及び第四条の規定の例による。
3 昭和四十三年四月一日前にされた改正前の第三条第一項(前項の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の規定による認定の請求に係る果樹園経営計画についてした認定は、改正後の第四条の規定によりした認定とみなす。
(内閣総理・大蔵・農林大臣署名)